※この作品はR-18です。

エンゲージリング   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。


エンゲージリング 26

「もう帰れ」

「なっ……」

 

 それまで泣きじゃくっていた美鈴が絶句して真也を見つめる。涙が後から後から零れている。真也は静かにそんな美鈴を見下ろしながら顎をしゃくってみせた。

 

「帰れっつったんだ。聞こえただろ?」

「何で!? どうしてよ! あたし、吉良瀬くんの彼女なんでしょ!?」

 

 周囲に響くとは考えなかったのだろう。必死の面持ちで美鈴が叫ぶ。あー、と呻いて真也は通りすがったマンションの住人である老人に会釈をした。驚いたように二人を見ていた老人がいそいそとその場を後にする。すんません、と胸中で老人に詫びてから真也は美鈴に向き直った。

 

「彼女とか? 彼氏とか? そういう関係だって思ったことは一度もないが?」

「ど、どういう意味よっ」

 

 だってあんなことしたじゃない。小声でそう言いながら美鈴はスカートのポケットからハンカチを出した。濡れた頬を拭いながら涙に濡れた目を上げる。だがそれを見ても真也は何も感じるところはなかった。

 

「俺はしたそうに擦り寄られたらとりあえず抱くことにしてるが? おっと、その気になる程度には見目が整ってる女に限るがな」

 

 すらすらと言いながら真也は踵を返そうとした。隠していたつもりはないが、学校などで大々的に性癖を宣伝した覚えもない。美鈴が知らなかったのも仕方がないだろう。出来るだけ判りやすく説明したのだから美鈴も納得したに違いない。そう思って真也はその場から離れようとした。

 

 不意に腕をつかまれる。真也は足を止めて深々とため息をついた。後ろから腕を引いたのは美鈴だ。

 

「待ちなさいよ! さっきの人もじゃあ、あたしと同じなの!?」

 

 声高に言った美鈴を真也は肩越しに振り返った。もしもそうだと言ったら美鈴は落ち着いたのかも知れない。決して自分が劣っている訳ではないのだという、方向違いの安心は得られただろう。だが真也は美鈴の問いかけを嗤って否定した。

 

「いんや。同じじゃない」

 

 そう言って真也はいきなり美鈴の腕を逆に取った。強く引き寄せてスカートの中に手を突っ込む。悲鳴を上げた美鈴の股間に指をあてがって真也は告げた。

 

「クリだけじゃなくて中でいけるようになったら訪ねて来な。気が向いたら抱いてやるよ」

「さっ!」

 

 真っ赤になった美鈴が暴れて真也を振り解く。

 

「最低っ!」

 

 美鈴は勢いよく腕を振って真也の頬に平手を食らわせた。派手な音と共に痛みに襲われる。だが真也は殴られたまま微動もしなかった。憤然と肩を怒らせながら美鈴が真也の脇を過ぎる。足音が遠ざかってから真也は振り返った。美鈴の背中が小さくなっていく。痛みの残る頬を押さえて真也はベンチに戻った。

 

「悪い。待たせた」

 

 片手を上げて声をかけると俯いていた立城が顔を上げる。真也は立城の腕を取ってそっと引いた。力なく真也にすがりながら立城が腰を上げる。

 

「……いいの?」

 

 なにが、とは言わず立城がそう訊ねる。真也は片手を立城の腰に回した。頼りない足取りに合わせてゆっくりと歩き出す。

 

「ちょっと本音を晒しただけだ。やっぱ殴られたけどな」

 

 遅れてそう答えてから真也は苦笑を浮かべた。立城は無言でそんな真也を見上げる。その顔に悲しそうな表情が浮かぶ。立城を横目に真也は小さく笑ってみせた。

 

「可哀想だと思うなら身体で慰めてくれよな」

 

 茶化して告げた真也に立城が眉を寄せる。何事かを言いたそうにはしていたが、結局立城は何も答えなかった。

 

 マンションに入って最上階を目指す。家に辿り着いた真也は真っ先に寝室に向かった。戸惑いの声を上げる立城に大丈夫だからと頷いて寝室のドアを開く。真也と立城の寝室はそれぞれ別にある。真也が入ったのは立城の寝室だった。

 

「心配しなくても何もしやしねえよ」

「身体でって言ってなかった?」

 

 話を蒸し返しつつ、立城は促されるままにベッドによじ登った。言われるままにスカートをめくり上げてショーツをずり下ろす。膝を折り曲げてベッドに座った立城に真也は苦い笑みを浮かべてみせた。

 

「冗談だよ、冗談。さっすがにちょっと疲れちまったからな、俺も」

 

 露になった立城の秘部からローターを取り上げる。愛液に塗れた秘部をティッシュで丁寧に拭いながら真也は続けた。

 

「立城も疲れたろ? 散々焦らしまくったしな」

 

 脳裏にトイレの個室で見た立城の姿が過ぎる。真也は無意識にティッシュを握った手を止めた。思い起こしただけで自然と股間が熱くなる。だが真也は何食わぬ顔で立城の秘部を拭い終えた。




可哀想過ぎる美鈴。
真也と関わった時点でやむなしです! 諦めて!
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