「な、なに? もしかしてしたいの?」
それなら言ってくれればいいのに。そう続けた立城を真也はベッドに押さえつけた。だが立城はベッドに押し倒しても抵抗しない。そういう約束だからなのだが、この時の真也の頭からは約束のことは抜け落ちていた。
「な、んで……」
腕を押さえ、圧し掛かりながら真也は呻き混じりに呟いた。うわ言のような呟きに立城が眉を潜める。だが真也は俯いていて、立城の表情を見てはいなかった。
「……んで抵抗しねえんだよ!」
嫌がれよ! 止めろって言えよ! そう叫びながら真也は立城のシャツを力任せに引いた。ボタンが千切れ飛ぶ。露になった乳房を半ば握るようにしてつかむ。だがそれでも立城は痛みに顔を僅かにしかめるだけだ。
「だって抵抗しないって約束したでしょ?」
静かに立城が告げる。それを聞いた真也は歯軋りして立城の股間に手を伸ばした。まだ硬さの残る陰唇に強引に指を入れる。
「つっ! ちょっ……まだ無理だよ」
「うるせえ!」
腹の底から声を放つと真也はジーンズの前を開いてペニスを剥き出しにした。緩みきっていない膣口に無理やりペニスをねじ込む。
「んく! いたっ!」
小さく悲鳴を上げて立城が身をよじろうとする。だが真也はそれを腕で押さえ込んだ。閉じかけた足の間に膝を入れ、強引に開かせる。立城のふくらはぎを肩に乗せ、真也は無理やりに腰を進めた。狭く緊張した膣内をペニスを突き入れる。
「いたいってば! しんやっあっ!」
痛々しい悲鳴を上げて立城が首を振る。真也は立城の肩を押さえていた手を退けて身体を起こした。力をこめてつかんでいたために立城の胸には指の痕が赤く残っている。真也が押さえる手を退けたからだろう。目元を覆っていた立城がゆるゆると腕を下ろす。
「じゃあやめるか?」
膣内はまだ狭い。だがペニスを挿入したことによって少しずつではあるが肉の締め付けが緩み始めていた。力任せに動けばペニスを扱くことも可能だ。だが真也は身動きせずにそう訊ねた。驚いたように立城が目を見張る。
「抵抗……しないって言ったでしょ」
苦しそうに顔は歪んでいるが立城の声音はあくまでも優しく穏やかだ。このまま強引に抽送をしてもきっと抵抗はしないのだろう。真也は俯いて立城の両脇に手をついた。こぶしを作って力いっぱい握ると自然と身体が震えてくる。俯いた真也は奥歯を強く噛みしめていた。ぎり、という嫌な音が口の中で響く。
ごめん、と呟いて真也は身体を引いた。ゆっくりとペニスが膣から抜ける。ペニスが完全に抜けきる前に真也は静かに顔をあげた。
「もう……こんな真似、しない」
「え?」
呟いた真也に立城が驚いたように声を返す。真也は顔を背けてもう一度同じことを言った。肩に乗せていた立城の足をゆっくりと下ろす。だが足が下りきる前に立城は腿に力をこめて真也の身体を挟んだ。
驚愕に目を見張って立城を見る。立城は真也を静かに見上げていた。
「何で突然そんなことを言うの?」
「何でって」
抱けば抱くほど余計に欲しくなるからだ。そう思いはしても真也は素直にそれを口には出来なかった。真也が口ごもっている間に立城が続ける。
「僕に恥ずかしい真似や痛い思いをさせるのが楽しいんじゃないの? そう言ってたよね」
「いやあれは」
昨日のことを言われているのだということは真也にもすぐに判った。確かに色んなことをするのは楽しい。だがそれは勘違いをしていられた間ならの話だ。自分の思いに気がついた真也には既にその手の状況を楽しめるような余裕はなくなっていた。立城を目の前にするだけで全てが欲しくなる。他のことは一切、気にならなくなる。実際に立城を抱けば訳の判らなくなるような快楽に襲われる。そしてまた立城を見れば抱きたくなる。その繰り返しなのだ。
激情に任せて立城を抱くのは容易い。立城も抵抗しないと約束している以上、強く迫ればいつでも抱くことは可能なのだろう。だがそれはこの先ずっと続く関係ではない。
「だからごめんっつってるだろ。もうしねえよ」
「それは答えになっていないよ、真也」
静かにそう告げて立城はため息をついた。真摯な眼差しに耐えられず、真也は目を背けた。それを見た立城が眉を寄せて腕を伸ばす。立城に首を捕まえられた真也は自然と身を屈めた。
「どうしたの? 何か今日の真也は変だよ」
「それは……くそっ、そんな近づくなよ!」
立城に引き寄せられた真也のペニスは自然と張りつめた。抜けきっていないペニスの様子の変化を身体で感じたのだろう。立城が目を見張って息を飲む。
「くそったれ! ああ、判ったよ! 言ってやる!」
やけ気味に叫んで真也は腕を動かした。口調とは裏腹に優しく立城の胸を愛撫する。指先で乳首をつまみ、捏ねる。
「俺はお前が好きなんだよ! やればやるほど止まんなくなるんだよ! 畜生、何でこんなことんなったんだ! お前だってやだろうが! んなこと言われんの!」
一気に喚いて真也は深く息をついた。乳房を両手に包み込んで柔らかな手つきで揉む。だがふと真也は手を止めた。いつの間にか膣口が緩んでいるのだ。愛撫し始めて間もないはずだ。とてもこれだけのことで緩むとは思えない。真也は訝りに眉を寄せて顔を上げた。
立城がふわりと微笑む。首に回っていた手が真也の腰に伸びる。立城は自分から真也を引き寄せ、膣内にペニスを導き入れた。
「奇遇だね。僕も真也が好きだよ」
ぬめる膣奥にペニスの先が滑り込む。真也は驚きに目を見張り、しばし立城を凝視していた。
まあ、実際にアレしているのでエロシーンと言えなくも……。