デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
「カミーラ……さん?」
目の前で、背中姿が一回り小さくなってしまったカミーラ。
「そう、さっきまでの姿はエンチャントで変わった姿よ……軽蔑するかしら?」
髪の色は真っ白になり、振り返った顔、首筋のシワ……それらは間違いなく加齢した老人のものだった。
「おおー……すごいです!」
「え?」
ケティシュはカミーラの正体……老婆である事を知って、目を輝かせた。
「私も、一生エッチなことして生きていたいって思っているので。そのお歳になっても精力的なの、とっても憧れます!」
「え? い、いえ、その、別にソレを楽しむのが主目的では……」
「えー? でも色々と経験してるんですよねー?」
「う、ううう……お、おばあちゃんをそんなにからかうものじゃないわよぉ……」
そう言って照れる姿は、さっき見た若い姿と間違いなく同一人物で……あの体も若い頃を再現したものなのかと思わされるほどだった。
やや垂れた細い目が、年月のシワを刻まれてもなお、優しげにケティシュの事を見ている。
「一応言っておくけれどね、私の若い頃だってさっきの身体みたいに見事な美人なんかじゃなかったわよ?」
「そうなんですか? さっきの姿と今の姿、よく見ると凄く似てて納得してたんですけど」
「本当よぉ、あの姿になった時は驚いたわ……それに、身体が軽くてねえ。今日だって、ついつい夜明けから……あっ」
「んふふふ、やっぱりお好きなんですよね? ね?」
「うっ……そ、そうだ、ケティシュちゃん。せっかくだし、今日はウチに泊まりに来ない? もう良い時間だし、貴女の話しももっと聞いてみたいわ」
苦し紛れという感じで言われたが、満面の笑みを浮かべて快諾した。
宿屋には一応明日の宿賃も渡して説明を入れておく。冒険者が宿に帰らないなんてことは常識らしく、軽く受け入れられた。
「おおー、街から離れた静かなところですね」
「そうね……辺鄙で不便だけれど、静かなのは気に入っているわ」
薄く笑うカミーラの横顔は少し寂しそうだったが、どう声をかければいいか分からない内に家に着いてしまった。
「さ、どうぞ。朝からダンジョンだったから、お腹が空いてしまったわね……料理を作るから一緒に食べましょう」
「はい! ごちそうになります!」
若い身体のときと印象の変わらない、目を線のように細めた優しげな笑顔を浮かべ、カミーラは台所へ歩いていく。
ケティシュは食卓に座っていてと言われたので大人しく座り、素朴というよりはインテリアのない殺風景な室内を見渡す。
「カミーラさんは、お一人で住んでるんですか?」
「ええ、もう何年も一人暮らしでねえ。私は、夫も息子も迷宮騎士でね。どちらも戦いで命を落としてしまったから、こうして遺族年金で一人暮らしをしているのよ」
台所から、聞きにくい身の上をあっさりと明かしてくれるカミーラ。
気にしていない、という事はないだろう。寂しいからこそ招いてくれたのは、流石に理解できる。
ここはあえて明るく振る舞った方が良いと、ケティシュは普通の口調で返事をした。
「そうなんですね……でも、よくダンジョンに一人で潜ろうと思いましたね」
「うふふ。それはね、私も若い頃は冒険者だったのよ。今でも魔法は使えるから、死んだりしないならと思って暇つぶしに始めたの」
遠い昔を思い出しているかのように、カミーラの声が微かに弾む。
その後は街の常識なんかの雑談をして料理ができるのを待った。
「おまちどうさま。さあ、召し上がれ」
「わあ、美味しそう! いただきまーす!」
肉と野菜のスープ……口に含むとポトフそのものの味が広がる。
この世界にコンソメがありそうでケティシュはその意味でも笑顔になった。
「ん、美味しいです!」
「お口にあって良かったわ。エルフに料理を出すのは初めてだったから」
「なんだか優しくてホッとする味です」
「ありがとうねえ。何十年も作ってきた味だから、愛着もあるのよね……」
普通に美味しいし、塩味も利いている。今日はダンジョンで運動したりマンコを
「ダンジョンに入って身体が変わっても、汗をかいたりしたらその分栄養が必要なんですか?」
「ん? ああ、そうだと思うわ。やっぱり運動の後にはお塩も摂らないとね」
カミーラもパクパクと健康そうに食べるし、老人とは思えない位に姿勢もしゃんとしている。
「ケティシュちゃんは、故郷では何を食べていたの?」
「基本的には、野菜が多かったですね。近所の町と交易していたから、じつは町と大差ないのかもしれませんけど。あ、狩人の人がイノシシを沢山狩った時はお祭りみたいに皆で食べた事もあります。アレは楽しかったなあ」
ウィノナと食べさせっこさせたりして、その日だけ夜更かしも許されていた。
ケティシュは、珍しく夜に人の気配を感じる中でのオナニーでドキドキしたのを思い出して笑顔を浮かべた。
「エルフも普通にお肉を食べるのねえ。あ、ごめんなさい、偏見を……」
「良いんですよ。だって私の方も森の外に全然出たこと無くて何も知りませんし、お互い様です」
そんな感じで、食事中はなんてことのない雑談をして和やかに食べ終えた。
暖炉の前においてあるソファに並んで腰掛け、寄り添ってお喋りに興じる。
「それで、カミーラさんの一番気持ちよかったのはどれでした?」
「も、もう……こんなおばあちゃんに何を訊いているのよぉ」
いきなり猥談をぶっ込んでくるケティシュに、カミーラは顔を赤らめた。
「えー? でも気になるじゃないですか。カミーラさんが感じてきた苦労の歴史!」
「ふぅ……そうねえ。体力がないし、走るのも辛いから最初は本当に大変だったわ……」
カミーラはポツポツと苦労話をしてくれた。
その殆どは、老婆の身体でどうやって魔物を倒してきたかという話だが、いくつかの情報はケティシュにも役に立った。
例えば、スライムは肛姦しかしないらしい。明日は絶対スライム姦しようと想って目を輝かせると、苦笑されてしまった。
「あの服もダンジョンで手に入れたんですよね?」
「ええ、16階より下は壁が金属で出来ているダンジョンになっていて、ゴーレムみたいな機械系の魔物が出るのよ。そこからは装備品も手に入りやすくなるわ」
「いいなあ。私のこの服も、森の仕立て屋さんが作ってくれた良いものではあるんですけど……ああいうエッチな感じの服が手に入ったら着替えようかな」
ズボンなんか履いていたら、おちおちオナニーもできないし敵に犯される時に破られたりずり降ろされたりして面倒だ。
着ながらにしてセックス出来るような服をケティシュは求めていた。
「え、エッチって、そんな……」
「そう言えば、アレにもエッチなスキルが付いてるんですよね? どんな奴です?」
「ちょ、ちょっと、ケティシュちゃん……!」
「ええー? 良いじゃないですかー、教えて下さいよー」
カミーラの腕を抱き、すり寄ってみる。
困りながらも笑顔を浮かべ、耳打ちするような小声でポツポツと教えてくれた。
「ええとね、触手誘引と言って、触手系魔物に狙われやすくなるスキルが……」
「あー、なるほど。だから私が見た時も襲われてたんですね」
「うう……わ、わざとじゃないのよ? 丈夫だし、俊敏性12%アップというスキルもあって、良い装備なのは確かだから」
「おお、良いじゃないですか。それなら多少エッチなデザインで触手に襲われる位平気ですね♥」
「もうっ。またからかって……」
ケティシュのせいで下ネタに偏ってはいるが、お互いに笑顔で会話が弾んでいた。
エロスキルについて掘り下げて聴こうとしたが、カミーラはケティシュにまとわり付かれるのを喜ぶ素振りをしながらも渋ってなかなか教えてくれない。
「そう言えば、カミーラさんはダンジョンに潜るのに何か目標があるんですか?」
「いいえ、これと言って無いけど……でも、せっかくだから奥深くを目指したいと思って。他に潜っている人達はだいたい6階までしか来ないし、のびのびやってるわ」
「そうなんだ……じゃあ、私とパーティを組みませんか?」
ケティシュは、今日であったばかりのカミーラをとても気に入っていた。
甘えられる『おばあちゃん』という存在自体初めてだったし、なによりエッチな話題にも照れながら付き合ってくれる。
エロダンジョンでも
「パーティ……でも、きっとケティシュちゃんのほうがずっと強いわよ? 私は足を引っ張ることになるかも」
「大丈夫ですよ。エッチなことも、2人で経験したほうがきっと楽しいです!」
「そ、それはあまり経験したくないのだけど……」
顔をそらして赤面しているカミーラに抱きつき、目を合わせておねだりする。
「お願いします、カミーラさん! 私と一緒に、楽しくエロダンジョンを攻略しましょう!」
カミーラは顔を赤面させておさげの先を弄りながら視線をさまよわせていたが、しばらく経って頷いてくれた。
「え……ええ。こんな、おばあちゃんで良ければ……」
こうしてカミーラを口説き落とし、人生初の冒険者仲間を得るのだった。
その後、テンションの上がったケティシュをなだめるためにそろそろ寝る事を提案するカミーラだったが……
「ご、ごめんなさい、ベッドが一つしか無いなんて分かっていたのに」
「良いんですよ、パーティ結成記念です」
ケティシュとカミーラは一緒のベッドに入って添い寝している。
「あー、明日から楽しみだなあ」
「ふふ……ケティシュちゃん、お祭りを前にした子供みたい」
「そのものですよ。女の人と一緒にエッチな事を楽しむなんて、出来ると思ってなかったから……すっごく楽しみなんです!」
「そ、それはお手柔らかにね……」
そっと、カミーラがケティシュの頭を遠慮がちに撫でる。
許しを与えるようにケティシュもカミーラに抱きついて、そのまま心地よい暖かさに包まれて2人とも眠った。
「むにゃむにゃ……カミーラさんのアヘ顔かわいい……♥」
ケティシュにとってはいい夢を見つつ、夜は過ぎていった。