デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
10階に到達すると、そこは洞窟ではなく床壁天井がすべて板張りの洋館を思わせる内装だった。
ここまでとは違い、入り口から別れた通路は一つだけ。
そこにはキノコを被った人のようなシルエットが描かれている。
「あっちの部屋にいるのは、マイコニド……キノコが人間の姿を取ったような魔物よ」
ミラから齎された情報はネタバレではあるが、まあナンナに色々聴いている時点で今更ではある。
「なるほど……それは美しい女性の姿なんだよね?」
「まあ、そうね……ケティ、まさか……」
「もちろん、後でその子ともセックスするよ。とりあえず、今は顔とドロップだけ見たいな」
ケティとミラは、今も甘く疼く肛門の感触を我慢しつつも武器を構え通路へと入っていく。
おなじみの教室程度の広さの部屋に入る直前、ミラがケティを手で制した。
「足元、気をつけて。マイコニドは小さなキノコから一瞬で
意味が飲み込めず首を傾げるケティを横目に、ミラが注意深く入り口脇の床からすべて目で確認していく。
「ん、ミラ。あの左の隅っこにある奴?」
「あぁ……アレね。どうする? あの状態ならファイアボールで一撃よ」
「じゃあ、お願い。火の魔法は慣れてなくて」
こくりとミラが頷き、入り口から身を乗り出すように上半身だけ出してムチの柄を向け、集中に入った。
数秒程度の集中の後、こぶし大の火球が撃ち出される。
結構遅く、130km/h程度くらいかとケティは目算した。とはいえ近距離なのですぐに着弾し、ボワッ! と1メートル程度の球体に炎が膨れ上がる。
後に残ったのは、木製のくせに焦げ目一つ無いダンジョンの建材と、こんがり焼けていい匂いを放つキノコだ。
「おいしそー」
「だ、駄目よ、食べちゃ。アレは……」
「どうなるの?」
言い淀んだミラの顔からエッチな効果だと推察してケティがニヤリと笑う。
「じょ、女性が食べるとその、おちんちんが生えてしまうの」
ふたなり効果と聞いてケティの目がキラリと光った。
「じゃあ、私が食べてミラとセックスしたいな」
びくん! と肩を跳ねさせ、ミラが耳まで真赤にして手をワタワタさせる。
「だっ、だだだ、駄目よ! ダンジョンの中でそんな事したら危険だし、その、外では余計危険でしょ」
「そうかな? この階なら誰も来ないし、ちょうど床も木になってて寝そべりやすいよ」
「だ、駄目! 駄目ったら駄目!」
あまりにもムキになって恥ずかしがるので、ミラが可愛くなったケティは抱きつきに行く。
「わかった、わかった。ミラが良いって言うまで食べないから」
「ううぅ……」
孫のような年頃の背丈の小さな子にあやされてしまい、ミラは言葉もなく恥じらいながらも大人しく抱きしめ返す。
「んふふ、ミラは照れ屋さんだなー♥」
「もう、だからおばあちゃんをからかわないで……」
ミラが優しくケティの頭を撫でて身体を離すと、部屋の中をまた見渡した。
「まだいくつか居るみたいね」
「今度は姿を見てから倒してみる」
ケティの方針にミラも頷きを返し、小さなキノコに向かって歩いていくケティと魔法を用意するミラの前衛後衛に別れた。
「こーんにーち……わっ」
殆ど踏みそうになるまで近寄った時、にゅうっと一瞬でキノコが伸びて豊満な身体を持つ女性の形になる。
薄ピンクの胞子を振りまきながらハグしてくる相手に、ケティは背をのけぞらせながらバックステップで躱した。
デカパイを包む革鎧とローブが危うくマイコニドの指と掠りそうになるが、紙一重ですり抜けていく。
体勢を崩しながらも手首だけの動きで魔力の刃を滑らせ、マイコニドを割断する。
「まあ、すごい……! ケティ、本当に強いわね」
ドロップは無く、マイコニドは音もなく消滅した。
「ありがと。でも、これが背中からの不意打ちだったら抱きつかれてたと思う」
その場合でも魔力の鎧と『拒絶』があるが、いくらか媚薬胞子を吸ってしまうのは避けられないだろう。
「確かになかなか面倒な階層かも。他も見てみたいな」
近づかなければ襲っても来ないため、残りは無視して入り口に戻った。
これまでと違って何も描かれていない通路を進むと、脇道が3つある。ここにお決まりの絵も用意されていた。
女性の乳房に被さるカップ、結び目がある縄をまたぐ人、吹き出す煙。
「なるほど、なるほど……こう来るかあ」
細い道の一つ、『女性の乳房に被さるカップ』を進んだケティの目の前の床には、ピンク色のパネルがある。
「見て分かるかもしれないけど、それは罠よ。踏むと、その……ネバネバした触手みたいなので胸を吸われるわ」
「じゃあ服は脱いでおかないとね」
ウキウキしながらローブと革防具、シャツに下着も脱いで上半身裸になるケティ。
「ああ、やっぱり……わ、私は踏まないわよ?」
「そう? 気持ちよさそうなのに……」
ぽちー。と罠パネルを踏むと、両脇の壁から一瞬で触手が伸びてきた。
「ひゃっ♥」
すぽん、と狙い違わずケティの大きな長乳をカップ状の先端が包み込む。
見えないが、内側で無数の舌のようなヒダが触れたのを感じ、これから起きる事に期待を膨らませ……
「んひぃぃぃっ♥」
乳房をもみほぐされ、舐め回され、乳首を吸われ、舐られ、それらを一瞬ですべて味わったケティが驚きと快楽の悲鳴を上げる。
「はっ♥ あぁぁああっ♥♥♥」
しかもなかなか終わらない。30秒以上も続けられ、乳首をチロチロと無数の舌先で舐められる心地よさに胸だけで絶頂してしまう。
「それ、引っ張って取らなかったら5分くらい続くわよ?」
「じゃ、じゃあ時間いっぱい楽しむぅ……♥」
ズボンがぐしょ濡れになってしまうな、とちらりと思いながらケティは胸の快楽に集中し、何度もイッた。
『結び目がある縄をまたぐ人』の通路。
「なんだろう、子供の頃、大人がこういう遊び場を作ってくれたなあ」
短い上り階段と下り階段があり、上り階段の方は一本の縄が渡されている。
縄自体もピンク、さらに薄ピンクの粘液が染み出して下へと滴っていた。
下は特に何もなく、階段で登ってこれるようになっている。向こう側はもちろん何もない行き止まりだ。
「この縄は、ヌルヌルするから立って移動出来ないのよね……」
それでしがみついて股を擦りつけながら移動する、そういう趣向なのだろう。男性は微妙な顔をしそうだ。
「またヌルヌルかあ。やっぱり私もミラみたいなエッチな服が欲しいな。ズボンの中が濡れて気持ち悪いかも」
「ケティが勝手に濡らしたんだけど……まあ、胸とかも汚したら面倒よね」
ミラが呆れてため息を付くが、問題には同意してくれた。
「とりあえず、これは汚れそうだから良いや……それに、私は渡る必要無いし」
そう言って、踵の辺りから風を噴出して飛び上がる。
まだ少しふらつくが、一定速度で水平方向に移動する事は出来るようになった。
「わぷっ……空まで飛べるなんて、大した魔力ね」
地面に叩きつけられた風の余波で太い三つ編みごと後ろに流されながら、飛んでいくケティをミラが見送る。
歩くより少し遅い程度の速度で滑るように移動し、向こう側の上り階段にたどり着いた。
もちろん、ここでは一段下がった通路にこちら側と向こう側両方に下り階段があるので、普通に行き来出来る。
「この先は立体交差みたいな構造が出るってこと?」
下を普通に歩いて戻ってきたケティが聞いた。
「ええ。私では頑張っても飛びつけそうに無い位には高低差があるわ」
「うーん、まあ、攻略順序を飛ばすのも楽しいし……飛んでいこ。ミラを抱えて飛べるように練習しなきゃね」
「そうねえ……罠も、今知ってるのは床を踏むやつだし、飛ぶのは効果的だと思う」
次の『吹き出す煙』の通路は、
「踏んだら媚薬ガスが吹き出すだけよ」
「うーん、プレイではないんだね。媚薬ガスを食らったら注意力が散漫になって、更に他の罠に……って感じ?」
「ええ。ある意味これが一番厄介な罠よ。他と比べて見つけづらいし」
一応通路を覗いてみるが、パッと見では何も無い。
薄暗い上に濃い茶色の木造っぽい建材がさらに見通しを悪くしている。
「木目のような、ヒビが入っているような……見えないや」
「振動に反応すると思うのよ。歩いたり手をついたりの他に……ムチで床や壁を叩いたら吹き出すの」
そういうことなら、とケティは魔力の刃をどんどん伸ばす。刀身の腹の部分を使って、床や壁をバンバンと叩いた。
ぷしゅぅぅぅぅっ! と結構な音を立てて濃いピンク色の霧が吹き出す。
かなり濃密で、あそこに立っていたら全身が濡れそぼっていたのではないかと思うくらいだった。
「モンスターが出す媚薬よりも強力だから、まともに食らったら大変よ」
隣に立っているミラが顔をしかめて解説してくれるのをふむふむと聞いていた。
「結局、新顔はマイコニドだけかあ。ここはサクサクと抜けよう。装備品が出るのも16階からなんだよね?」
「ええ。ここからは下手な本物のダンジョンよりも迷路だから道に迷わないようにね」
「ミラは一人で頑張って抜けたんでしょ? すごいなあ」
「ふふ……時間はたっぷりあるから、少しずつ進めたわ。ケティが飛べるなら、相当時間を短縮出来るはずよ」
そうして雑談をしながら11階へ階段へ向かう。
肛門の疼きは、ようやく治まろうとしていた。
大して長くもない階段を抜け、11階へたどり着くと……
「館の中みたいなイメージだったけど、随分大胆な作りだね……」
まず、見晴らしが良いことに驚く。11階の入り口からすぐ断崖絶壁になっていた。