デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
行けども行けどもお目当てのドロップは無く、もう49階の下り階段までたどり着いてしまった。
「うーん、やっぱりエンチャントオーブはそうそう落ちるもんじゃないか」
もにゅんと腕を組み、前に突き出した長くも大きい乳を持ち上げつつケティが呟いた。
「ううん、やっぱりボスだけがドロップするとかじゃないかしら?」
ミラが大きく膨らんだリュックを背負いなおすと、ピッチリ戦闘服に包まれた大きな胸が弾んだ。
「うーん、一応40~50階で落ちるってナンナさん言ってたから雑魚からもドロップすると思うんだけど」
ナンナに訊けばもっと詳しく教えてくれるかもしれないが、ケティはあまりやりたくなかった。
(ちゃんと攻略したほうがナンナさん喜びそうだしなあ)
おそらく、前世知識でエロ同人RPGを知るケティと(濃いエロ話が出来るという意味で)唯一話が合いそうなナンナとは今後も仲良くしていきたい。
いつの日かナンナに受肉してもらっていちゃらぶエッチがしたい。
そういう考えからあまりナンナが残念がるようなことはしたくなかった。
「ま、いっか。一回も出てないんだから、ボスが落とすとも普通の魔物が落とすとも言えないよね」
「身も蓋も無いわねぇ。それじゃ、ボスと戦いに行く?」
「イクイクー! きっとこんなエッチな階層のボスだから負けたらすっごいことになっちゃうよ!」
「わ、わざと負けたりしないでね……?」
ミラは腕を組んで胸を押し付けてくるケティに顔を赤らめながら階段を下りていくのだった。
「期待通りな感じだね」
「そうねぇ……」
いつも通り、階段の終わりごろに荷物を置いて身軽になってボスと対峙する。
現在最下層である50階のボスは……触手女王とでも言うべきか。
20歳程度の若めな金髪美女といった風貌で、切れ長の瞳は冷たい眼光を湛えている。
金糸をあしらった白のロングドレスは所々軍服のような意匠が入っており、動きやすさも考慮されているように見えた。
しかし、女体だけ見れば清廉なその印象は、対峙して
女は、触手を背負っているからだ。
おそらくは、背中から生えているのだろう蠢く触手が縦も横も10メートルは覆いつくし、壁の真ん中に張り付けられたようにドレスの女が宙に浮いている。
「ずいぶんぶっとい触手だね。私の胴体位ありそう」
「さすがに挿れたいなんて言わないでね」
「ちゃんと膣拡張のエンチャントが手に入ってからにするよ」
ミラのため息を聞きつけたように、目の前の触手の壁から槍……どころか破城槌のような触手が何本も突き出てくる。
ケティは短めに伸ばした魔力の刃で直撃コースの触手を切り落としたが、ミラは大きく跳んで避けた。
(鞭でいなせるような大きさじゃないからね)
おそらく魔力を通して操作しているのだろう鞭は強力だが、単純に触手が太すぎて力負けが目に見えている。
あまり時間をかけすぎると危険かもしれない。
(敗北エロもやりたいけど、後でね、後で)
触手のガッツリしたセックスと女性ならではの繊細な愛撫も期待できそうなおいしいボスではあるが、今の目的はエンチャントオーブだ。
それぞれに回避した2人に、全くひるまずどんどんと触手が襲い掛かってくる。
ケティはミラの負担を減らしつつ敵にダメージを与えるため、その場に踏みとどまり切り捨て続ける。
ミラはうまくケティを盾にしつつ、プチボムをぽいぽいと触手の壁に投げて満遍なく炎で炙るように攻撃している。
(人型への攻撃は防いでる……)
触手壁の中心の人型に対するプチボムは、周辺の触手が叩き落としている。ダメージが拡散しないように、一本の触手を焦げても使い続けているようだ。
(なら同時に行く)
「ミラ! 人型を!」
「分かったわ!」
後ろから返事とともに、プチボムが2個同時に投擲される。
それを触手が迎撃に動くと同時に、白銀の槍をそのまま延長した鋭さで魔力の槍を最速で伸ばして突きこむ。
人型が弱点ならこれで決まるかと思われたが、触手女王はケティが突きをする一瞬前にはすでに避けに入っており、たわめた触手をバネのように弾けさせ、触手の壁の中央部を歪めて瞬時に移動してみせた。
しかし、ケティはまだあきらめていない。魔力の槍をそのまま刃に変換し、触手を切り裂きながら女王の身体を切り裂こうとする。
触手女王は魔力の刃の腹の部分を何本もの太い触手でへし折ろうとしてくる。
魔力で形成した刃は高密度の魔力であるがゆえに、折られて失うと消耗も激しい。
ケティにとってはそこまで気にするほどではないとはいえ、あえて失うこともないと刃を瞬時に縮めて攻撃を逃れた。
それよりも……
「やっぱり人型が弱点っぽい! 狙って行こう!」
触手を切り落とした時と比べれば過敏なくらいにダメージを避けた様子からして普通に弱点のはずと見当をつける。
「了解!」
後ろからひょいひょいとプチボムが投げつけられる。
いつの間にか触手女王の顔は不機嫌そうに歪み、切られた触手も含めて大量の触手でもってこちらを押しつぶそうとしている。
おまけに触手は勃起したチンポを思わせる血管を浮かせ、ビキビキに硬くなっているようだ。
ケティに切り裂けないほどではないが、先ほどよりはかなり時間がかかる上に束になってこられると押し切られるのは時間の問題だ。
やむなく避けながら切れそうな触手のみを切り裂く事になる。触手女王も当然のように人型を大量の触手でガードしてしまった。
「くっ……」
後ろからミラが苦悶するのが伝わってくる。ケティが触手に対処しきれないので、ミラを狙う触手も増えているのだ。
(多少無理しても短期決戦したほうが良いかな……?)
ケティがそう思い始めたころ、ミラが叫んだ。
「ケティ! 前衛を交代するわ!」
「うん!」
無意味に聞き返すことはしなかった。ケティを狙ってきた触手を力の入った唐竹割りで切り裂き、後ろに飛ぶ。
「はああああっ!」
ミラは逆にケティの前に走ると、追撃の触手を渾身の回し蹴りで弾く。
さらに、ほとんど触手に包まれた人型にプチボムを投げる。
女王は触手の隙間からこちらを見ていたためそこに炎を通すつもりで投げたのだろうが、女王はぴたりと触手をつけて完全に遮断した。
それと同時に、触手の攻撃がおおざっぱに薙ぎ払うだけになる。
(触手に感覚器はないのかな?)
ローパーなんかも触手を器用に扱っていたが、肉柱の部分を布とかで覆ったらこうなるのだろうか。
そんなことを考えつつも、ケティは魔力の溜めに入る。
いかにケティが常人離れした総魔力量を持つとはいえ、魔力とは魂の力で世界から汲み上げるものである限りは短時間で大量の魔力を扱う事はどうしてもできない。
(もっと溜めて、一気に貫く!)
ミラは切れ間なくプチボムで触手の隙間から炎を通そうとし、女王に外を見させない。
貫けると確信できる魔力量までたっぷり10秒、さらに槍の整形に3秒、引いた槍を最速で突きだした。
一条の光のように、ケティの魔力光が触手の塊に吸い込まれる。
先ほど見た視線からして胸の真ん中に突きを放ったはずだが、内部でずらされていたらまたやり直しだ。
しかし、ケティは手ごたえから人型を貫けたことを確信した。
のたうっていた触手が、どどどど、と地響きすら立てて大量の触手が床へ落ちていく。
光になってほどけるように、さあっ、とあっという間に消えて行き、最後に残った人型も床に落ちる前に消えた。