デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
激しすぎる絶頂に、2人はピクリとも動かずにもわもわとした汗の湯気の中で余韻に身を任せていた。
5分か10分か、長い余韻から覚めると、2人して見つめあって笑いあう。
「ふぅ……大したスケベだよ、お前」
「そうでしょ? 先輩もすっごく良かったですよ♥」
無責任種付けされたというのに、ケティは汗みずくの顔に髪の毛を張り付けながら、媚びるでもなくニコニコと明るい笑顔を浮かべた。
その様子をみて、ふ、とジェイクは気持ちがすとんと落ち着いていくのを感じる。
◆◇◆◇ジェイク◆◇◆◇
俺は、ガキのころから魔人たちと戦う騎士の物語が好きだった。
冒険者として活躍した中から騎士に取り立てられる事もあると知り、ガキのころから身体を鍛えた。
俺は身体が大きく、同年代で負けなしだった。
15のころ、冒険者になってダンジョンに潜り始めた。
物語の騎士と違い、冒険者はダンジョンの中のものを売るのが仕事だから、動植物の知識も要求されたが、頑張って覚えた。
初めのころは良かった。力任せに戦う方法で十分通用したからだ。
しかし、次第に同年代の奴らに追い越され始めた。
俺は魔法が絶望的にヘタクソだった。それは、身体強化の効力が少なすぎるという事だ。
それでも第五位……黄ランクまでは実績を積む事で上がった。
引退までこのランクから上がらない、という奴だっている。一応、一人前と呼ばれるランクだ。
しかし、ベテランの黄ランクは余裕をもって仕事をするが、俺は毎度命がけ。時間も倍以上かかる。
そのころになると、諦めが頭をちらついていた。だが産まれてからずっと追ってきた夢を捨てきれず、傷を増やしながら冒険者を続けた。
ある時、ずっと世話になっていた冒険者の先輩が引退することになった。
皆我流なので普通は無いことだが、俺の悩みを知る先輩は頑張って魔法の指導をしてくれた。
しかし、俺はまるで魔法を覚えられず、先輩は申し訳なさそうに何度も俺に謝った。
そこで、心が折れてしまった。俺ももう28、あと10年もすれば引退してもおかしくないくらいだ。
冒険者以外の何にもなれない俺は酒に逃げるにも金が続かず……流れ流れて稼ぎだけは良いというあのダンジョンに行きついた。
そして、小銭を稼いでは酒を飲む日々の中で、あの身体を手に入れた。
魔法の才能があり、貧相なくせにあさましいスケベな身体だ。
その身に宿ったスキルを、雑魚に負けて犯されるのが大好きという最悪な性向を、最初は軽視していた。
男よりも性欲が溜まりやすく、ある日いつの間にかゴブリンに敗北して犯されてから、酒よりセックスに溺れるようになった。
プライドなんてものが粉々になってしばらく、場違いな少女が現れた。
本当に不思議な奴だった。
拒絶しても平気な顔で近づいてきて、いつの間にか恩を売られている。
どれほど無様にイき散らかして見せても卑屈にならず、屈託のない笑みを浮かべる。
力を持っても振り回されず、まっすぐに自分のしたいことをする、ケティシュという少女。
(俺は……お前のことを尊敬する。お前の横に並べる存在になりてえ)
魔力を扱う才能が全くない身体では叶わない願い。
それを叶えられる手段を、俺はもう持っている。
「なあ……いつか、いや、すぐに俺も戦えるようになるからよ、そしたら……」
そこで言葉を切る俺に、ケティシュは急かすこともなくじっと待った。
「俺の、エンチャントオーブも一緒に探してくれ」
それは、男である自分に別れを告げ、新しい人生を始めようという決意だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
それを聞いて、ケティが目を見開く。
じわじわと口元が綻び、満面の笑みを浮かべた。
「うん、もちろん! んへへ、そしたら今度は、私のほうが女の子の先輩ですね♥」
「先輩なら、お前も敬語は要らないだろ……いや、俺のほうが敬語になった方がいいか? ケティシュ先輩?」
気安い笑みを浮かべるジェイクに、ケティもニコニコと答えた。
「それじゃ、これからはお互いに敬語はなしって事で! これからもよろしく、先輩♥ じゃあさっそく、先輩の男としての最後のセックスを楽しまないと!」
「ちょっ、まだ絞るのかよ……!?」
まだまだ昼にもなっていない安宿で、2人はズコバコとセックスし続けた。
結局日が暮れるまでヤりまくり、ケティはミラに遅れた事を叱られるのだった。
ジェイクと一日中セックスしまくった夜。
ミラに、約束の人とセックスしてきた事をニコニコ笑顔で報告したらものすごく渋い顔をされた。
エンチャントの効果でダンジョンの中ではバイセクシャルで背徳快楽に弱いミラも、まだまだダンジョンの外では割り切れないものを抱えている。
「まーまー、ミラも今度混ざって一緒にセックスしようよ♥」
結局、ケティのドスケベさによるゴリ押しで、惚れた弱みを突かれミラも納得する事になった。
年甲斐もなくむくれるミラの横で、ジェイクの精液を子宮にたぽたぽに飲み込んだケティが安らかに眠りにつく。
(楽しかったなあ……セックスも気持ちよかったけど、なんか……)
それ以上の楽しさ、嬉しさがあった。
どうしてだろうと寝る前の頭でつらつら考える。
(ジェイク、明るい顔してたな……女の子になる決意もしたし)
何にも深い事情なんか知らない。
けれど、確かに心と心が触れ合ったような……深い絆を結べたような気になった。
そこで、唐突に理解した。
(そうか……私、そういうセックスが好きなんだ)
心と心を通わせて、相手の悩みを吐き出させて楽にしてあげるような、そんなセックス。
(大丈夫……そういう『先輩』に心あたりあるし)
前世の経験が、エロ同人RPGの主人公たちの生きざまを教えてくれる。
ミラ先輩*1とか、ノエル先輩*2、アルシー先輩*3なんかが自分の目指すべき境地だ。
目の前の靄が晴れ、遠くまで見渡せるような気になって、ケティの胸はドキドキと高鳴った。
今まで妄想でしかなかったエロ同人RPGのような人生が具体的な形を伴って目の前に現れたように思われた。
(ミラも、ジェシーちゃんも、皆でいっぱいセックスできたらいいな……♥)
当の本人たちが聞いたら苦笑いされるかもしれないが、ケティは気にしない。きっと最後には笑顔で楽しんでくれるに決まっているから。
翌朝、これまで以上に溌剌と目覚めたケティは、ミラを引き連れて今日もエロダンジョンに潜る。
エンチャントオーブも近いうちにドロップするだろう。
その後の、沢山のやる事に思いをはせてケティは笑顔でモンスターを狩るのだった。