デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
ドンッ! と地面が振動するほどの踏み込みで、オルガが弾かれるように走り出す。
ケティとミラも同じく付いて行くが、それでも少しずつ離される。
(徒競走はあんまりやってこなかったとはいえ、やっぱり単純に強化が上手いな……)
まあ、単純にケティとミラが走る度に乳がぶっるんぶっるん揺れてしまうからかもしれないが。
魔力による身体強化と流水の鎧で揺れを抑えているとはいえ、オルガとの差は明らかだ。
風で飛行すれば追い抜けそうだが、大した差でもないし疲れるので走り続ける事にした。
ヴィオラはオルガの真横に付いて行っているが、無手で完全に全力疾走という感じなのでケティ達の参考にはならない。
さすが上級冒険者だなあと感心していると、もうダンジョンの中に突入した。
今までやってきた依頼はすぐに脇道に逸れるので慎重に歩いていたが、どちらも速度を落とさない。
それもそのはず……ダンジョンに入りまっすぐ進むと、さらに道幅が広くなっている。
これこそが本来の意味での『北東のサブゲート』、その昔魔族が侵攻のために使った大軍を出撃させるための道を辿っているのだ。
とはいえ前が暗いのは面倒なので頭のすぐ上に照明を作り、緩やかな下り坂を照らしながら走る。
「おっ、器用だな! 明るくしてくれてありがとよ!」
オルガの速度がさらに上がり、見えて来た行き止まり……最初の関門とでも言うべき遺構へ飛び込んでいく。
いつの間にか天井までの高さは10メートル以上になり、壁にはポツポツと穴が空いているのが分かる。
侵攻された時のために銃眼……いや矢狭間のように射撃するためのものだ。
この壁の下で大きな道は半分に別れ、進んでも結構な深部でしか合流出来ない構造になっている。
ケティ達はオルガを追わずに、別の道へと飛び込んだ。
天井の低くなった道はそれでもまだまだ広く、走り続けるのに支障はない。
当然アンもケティ達にぴったりと付いて来ている。
標的のガンバンジーは深層上部の入口、第2の関門とされる大広間を縄張りとしているので、そこまでは単なる徒競走だ。
アンの言った通りに人とすれ違わず、ラージラットなど小型モンスターも警戒してこの辺りに近づかないので問題なく到着した。
深層の入口であるそこは天井まで10メートル、床は20メートル四方程度の四角い部屋だ。
ケティは天井付近まで照明を伸ばし、思い切り明るく部屋を照らした。
暗がりで見づらいが、天井付近の壁や天井自体に大きな穴がある。
図鑑で見た説明では冒険者の通りづらい通路を張り巡らせ、そこから岩などを投げてくるらしい。
シンプルに厄介なので、どうにか組み合って戦うように誘導したい所だ。
「とりあえず閃光弾でつついてみるわ」
「お願い。気配を探ってみるよ」
ケティは腕を横に伸ばし、下向きに開いた手からピンク色の魔力の液体を出して地面にしみこませながらミラの提案に頷く。
沢山の野球ボール大の淡く光る球がヒョイヒョイと連投されていく先を観察する。
洞穴の奥から光の柱と共に大きな破裂音が響くが、それ以外の動きはない。
しかし、ケティの魔力には1つの穴だけ微かな振動が伝わっていた。
「あそこ、左奥の天井近くの横穴!」
言われたミラが、今度はドッジボール位の大きな球を投げつける。
ごあっ、と空気を焦がす音と共に穴から火柱が噴き出した。
「ギャアアッ!!」
火柱に押されるように出て来た魔物が、悲鳴を上げて落下しながらも鋭く腕を振る。
「避けてッ!」
ケティとミラは左右に跳び、人の頭位の岩が空気を裂く音を響かせながら2人の間を通り抜けた。
◆◇◆◇オルガ◆◇◆◇
成り行きで勝負なんか挑んじまったが……期待通り、あいつらは全くビビらずに堂々と勝負を始めた。
一応衆目の前なんで先を走らせてもらったが……どうもケティの奴は余裕があった。
何か速く移動する手を持ってるんだろう。今日緑になったばかりとは思えない実力だ。
なんにせよ、自分のホームで負けるわけにはいかない。何度も狩った場所へと最速で駆け抜ける。
ケティとは別れたが、同じ獲物狩っても勝負にならねえからどちらにとっても都合が良いだろう。
あっちは横穴の数が多くて面倒なので、ますます負けてられない。
ホールに入ると、その勢いのままジャンプする。
壁際までに8メートルの高さに達し、横穴の中でさらにダッシュ。
全ての横穴は裏で一本道になっていて、走りながら全部確認できる……のだが、さすがにギルドの図鑑には載っていない。
迂闊な奴らが珍しい場所だからと遊び半分で入って大型モンスターの餌になるのがオチだからだ。
何度も歩いたことのある真っ暗な横穴を、全身に雷光を纏って照らしながら駆け抜ける。
「ギィッ!」
暗がりから放たれた礫を駆けながら躱し、背負った大剣を叩きつける。
がああぁん、と大きな音を立て、ガンバンジーが腕を交差させて受ける。
相手も蹴ろうとしていたが、勢いのあるこちらの前蹴りの方が早かった。
喉元に爪先を入れようとしたが後ろに転がられて入りきらない。
壁際に後退する所にさらに振りかぶり追撃の袈裟斬り。
横にずれつつカウンターを入れてこようとするが、いなそうとした腕を大剣で押し込み相手の身体へ吹っ飛ばすことで動きを潰しつつ、1回転してもう一撃。
「ギヒャアァ!?」
ぎゃりり、と耳障りな音を立て、腹筋に沿って割れる腹部の金属部分、その1枚が剥がれ落ちて血が流れる。
こうやって剝ぎやすい所を狙ってやれば防御は格段に落ちる。
あとは剥いだ所に剣を叩き込めば討伐完了だが……このまま瞬殺させてくれるほど甘い獲物でもない。
さっき打ってやった腕に力を込めて薙ぎ払われ、大きく距離を取らされる。
横穴のそこら中に落ちている岩を掴み、投擲しながら逃げるのをまた追いかけ始める。
(さて、ケティは何を見せてくれるかな?)
どこかワクワクしながら、瞬殺して悠々と待ってやろうと勇んで飛び出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「よっ!」
空中に跳んだ所を、槍を伸ばして狙う。
しかし間合いが遠すぎたか槍を掴んで折ろうとしてくるので、すぐに引っ込めるしかなかった。
横穴から追い出したは良いが、広間で3次元的にぴょんぴょん跳びながら岩を投げてくるのも厄介だ。
適当に壁を砕いた岩なのであまり痛くもないが、近づかない事には致命傷を与えられそうになかった。
「とりあえず引いてみよっか」
「そうね。確認しておきましょう」
来た道を戻ってみると、急に静かになる。
やはり縄張りから積極的に離れようとはしないらしい。
「追って来てくれたら楽なんだけど」
極論、入口近くで倒せたら運ぶのは一瞬なのだが、さすがに付き合ってはくれない。
だがゲームと違ってこれは現実なので、これはこれで嬉しい性質ではある。
魂の力で魔力を汲み上げるにも時間がかかるので、ここでなら十分に準備出来る。
そして今回準備しているのは……
「そうそう、アンは息止めて、入ってこないでね。効果あると良いな……それっ」
広間の入口から天井へ向かって斜めに侵入したピンク色に光る球が、ちょうど空間の中心辺りで岩に撃ち抜かれて破裂する。
ぶわっ、とピンク色の濃い霧が膨れ上がり、広間の空気を押しのけてケティ達にも吹き付けた。
「わぷっ」
ただならぬピンク色の霧に、アンが咄嗟に口を塞いで伏せていた。
充満したのを確認して突入すると、またガンバンジーはすぐさま岩を投げてくる。
それを避け、こちらもプチボムを投げて応戦する。
「はぁ……ふう……♥」
ミラの息が荒く、色っぽくなってくる。
もちろん、ケティも乳首がツンと勃起し、トロトロと愛液が溢れ出す。
そう、スキル『性魔法』による媚薬噴霧だ。
全身が濡れるほどの濃密な媚薬の霧に晒され、ケティとミラにも効果は覿面だが……
「グフゥー、ブフゥーッ!」
ガンバンジーもどこか目がギラつき、息も荒くなっており、効いているのが見て取れた。
じりじりと自分から間合いを詰め、俊敏な動きで襲い掛かってくる。
「グシャアァァッ!」
3メートルもの巨体が地を這うように貫手を放ってくるのを辛うじて躱し、ミラが右脚を高く上げてむき出しの顔をハイキック。
「ブフォ! ブフォ!」
大して効いている風ではないが、ミラのピッチリスーツは右脚だけえぐいハイレグであり、大陰唇を見せつけられたガンバンジーの興奮は高まった。
「さすがミラ! 蹴ることで自然におマンコを魅せたんだね!」
「違いますっ!」
赤面したミラの否定など気にせず、ケティもここぞとばかりにハイキックしたり、乳房を寄せるように両手で槍を突いたり挑発する。
「フシュー! フシュー!」
ガンバンジーはすっかりこちらを性欲の対象と認識してくれたように鼻息も荒く掴み攻撃を繰り返すようになった。
全力でやっているのが伝わってくる素早い動きだが、ケティが顔面に強風を食らわせて一瞬怯ませると背を向けて退却する。
「ギシャアアッ!!」
すると今度は血眼で追ってくる。
モンスターを凶暴化させたうえ引き連れて入口を目指すなど前世のゲームでも許されざる行いだったが、人払いが済んでいるというので使わせてもらった。
(子供やつがいが近くに居ることが多いって言うから、そっちを狙おうかとも思ったんだけど)
家族に手を出されたら怒り狂って追ってくるらしいので、やってみたかったのだが。
実際に現場を見てみると、やはり探すような手間はかけられなかった。
顔が赤くなっているアンには申し訳ないが、これが安全確実だ。
たっぷり吸わせたとはいえ巨体なので、こちらよりも早く媚薬は抜けるはずだ。
あんまり粘って冷静になられるのも困る。
ケティは目くばせして、ほどほどに走った所でトドメを刺すことを確認し合う。
トドメの当てはあった。
ケティの溜めた余剰魔力はまだまだ残っているのである。
「ミラ、お願い」
「ええ……!」
ミラのスーツは、興奮するとぷっくりと勃起乳首が浮いてしまう仕様だ。
股間もちょっと愛液が漏れてしまっているのを、ガス状の魔力による気配察知でケティは感じ取っていた。
それでもキレのある動きでミラがガンバンジーに向かって鞭を振るい、広い通路で横を向くように誘導する。
ケティはありったけの魔力を込めた貫通特化の魔力の穂先を形成し、踏み込みと同時に爆発するような勢いで背中に風を受け前へ。
ミラの小さな体を捕まえて犯そうと両手を閉じるガンバンジーの脇腹、その鎧の切れ目をこじ開けるように槍が吸い込まれる。
ぞぶ、と鈍い銀の鎧の隙間が瞬時に血で染まり、ケティの身体がどしんと受け止められた。
「ガッ……!!」
頭の方へと斜めに入ったが、辛うじて肺に達した程度か。
ケティはガンバンジーの体内の槍を爆散させた。
「…………!」
噴き出す血に押されながら、背骨を砕いた感触を得たケティが離れる。
ガンバンジーは目の前のミラに伸ばした手を痙攣させながら倒れ、もう動かなくなった。
「よっし! 運ぼう、ミラ!」
「ええ!」
と言っても、背負子ですらどうこう出来ない、ケティとミラが縦に並んだよりも身長のある大猿だ。
疲れるがケティが風を起こしてギリギリ宙に浮かせ、2人でそれぞれの手を持ってバンザイの形で引きずるように運ぶしかない。
「ふう、はぁ……♥」
自爆攻撃によりミラの顔色はますます赤く、身体の強化効率が落ちている。
ありがたい事に性魔法の媚薬はすぐに抜けたりはしないので、勝負が終わるまでこのままだろう。
ケティも媚薬霧の中で全力で戦闘したのでマンコをグチョグチョにしているが、エンチャントオーブによって得た能力で誤魔化している状態だ。
・Ex.快楽行動阻害低減・・・快楽による行動阻害を33%減らす。
・快楽行動阻害低減(中)・・・快楽による行動阻害を20%減らす。
・快楽行動阻害低減(大)・・・快楽による行動阻害を45%減らす。
体感的には恐らくパーセントの加算で、98%減になっていると思う。
今のケティはローパーに犯されようと問題なく戦えるので、ミラの方の風の強度を上げて重量をこちらに偏らせながら走り続けた。
「んっ……♥ はあ、はあ……♥」
後ろから追ってくるアンの息遣いが荒く、色っぽくなっているのは……後で謝ろうと思うケティだった。
ガンバンジーの金属の鎧は勢いを付ければ地面を滑らせやすく、死体を跳ねるように断続的に浮かせる方法に慣れて来たころ、ようやく分かれ道まで戻って来る。
ちらりとオルガの入った方を見るが、特に引きずった跡などもない。前にもオルガは見えない。
ぬち、くち、と股間から水音をさせながら全力で駆け抜けるしかなかった。
行きはあっという間だった地上への広い道が遠く感じる。
半分くらいまで来た時、ついに後ろから声が聴こえてきた。
「ん・ぬ・お・お・お……!!」
振り返らずとも、顔を真っ赤にしたオルガが巨大な猿を担ぎながら全速力で走る所が目に浮かぶようだった。
「ミラ! 手を放して! 全速力で行くよ!」
「ええ!」
ケティがガンバンジーの死体、天然の金属鎧に魔力を巡らせて、全力で風を噴出させる。
巨体が完全に宙を舞い、尻から噴き出る強風を推進力にしてケティもさらにペースを上げる。
ミラは媚薬の興奮に蝕まれながら、陸上選手のように美しいフォームで全力疾走に移る。
それでもオルガの声は振り払えないが、大きくなることもない。
やがて、前方に光が見えた。