デカパイエルフに産まれたからにはエッチな目に逢いに行く。 作:伊倉米磁
「本当、よくやるわよね。別に男が欲しくなってセックスする位、ほっとけば良いのに」
オルガの熱い言葉に長い溜息をつくヴィオラにケティが語り掛ける。
「私はいつも道行く人全員とセックスしたいと思ってるけど……」「思わないでね?」
「思ってるけど、でも後から思い出した時に嫌な思い出になるセックスはして欲しくない。あの時は面白かったな、気持ちよかったな、って思って欲しい。そうじゃないなら止めてあげたい」
ケティは毎晩のようにエロダンジョンで貰った手帳を開いている。
そこには今までシてきたセックスの数々が回想シーンという形で記録されている。
毎晩確認するのは「実は完全催眠を食らってていつの間にか催眠セックスされてないかな」と楽しみに思っての事だが、ケティにとってはセックスの思い出は全部楽しい事ばかりだ。
さすがに口には出さないが、CCの皆にとってもローパーとのセックスがそんな思い出になってほしかった。
ケティの言葉を聞いたヴィオラが苦笑する。
「それで、みんな後でケティちゃんと楽しくセックスするの?」
「もちろん♥」
満面の笑みを浮かべるケティに、ヴィオラは大笑いした。
「あっはっは! ……私も、その位ストレートに言えたらよかったのかな」
「何を?」
「私は最初から男を嫌いになった事ないし。ずっとこのクラン居づらいのよね。そもそも10年前にパーティ組んでた奴にレイプされたのだって、私にとっちゃ良くある展開でさ、やたら文句言ってるオルガと、小さい子供で泣いてるアンがたまたま居たからこうなっただけだし」
とぽぽ、と酒を注ぎながらヴィオラは語り続ける。
「そしたら本当に男に酷い目にあわされてる子をオルガが連れてきてさ、アンも男に近づくなって言われて素直に聞いちゃったからマトモに男と話した事もなく育っちゃったし。みんな心が不安定で管理職とか出来たもんじゃないから私がやってきたわけ。たまに長めのお休み貰ってビーチリゾートで男漁りするのが趣味の私がよ。行きずりのイケメンと、夜通しハメまくるの超気持ちいいのに」
いつかイケメンのヤリモク逆ナンはお付き合いしたいな……とケティが思う間にも、ヴィオラは投げやりに語る。
「そんな私が何をどう慰めんのよ……別にいいじゃん、男が欲しくなるくらいさあ……」
グイグイ呑んで、酒臭い溜息は更に深くなった。
「……アンだけは、可哀そうだったわね。本当は男嫌いじゃなかったなら、育った所で別のパーティに移籍してくれて良かったのに」
「アンはクランの皆の事大好きって言ってたよ。この間沢山教えてくれた」
エロダンジョンでのお泊り会で、幼いころから育ってきたクランの皆を家族だと思っている事は伝わって来た。
「……そう。そんな風に思ってくれてたのね……」
酒は口に運ばれることなく、ヴィオラのまぶたがトロンと下がってくる。
「眠いならベッドに運んであげるね」
そう言ってヴィオラをそっと抱きしめ、お姫様抱っこで持ち上げるケティ。
「あーケティのおっぱい柔らかくて気持ちいー♥」
魔法少女服の胸がヴィオラの顔周辺にどたぷんと載り、首を振ってケティの乳の柔らかさを堪能していた。
「後でたっぷり揉んでいいよ♥」
「うんそーするー」
ほとんど寝言のようなヴィオラをベッドに横たえると、もう寝息を立てていた。
ひとまずヴィオラはこれで良いとして、ケティはアンの所へ向かう。
「アンー? 私、ケティ。入って良い?」
ノックしても返事が無い。
「入るよー」
鍵はかかっていなかったので、勝手に入らせてもらった。
アンはベッドの上で体育座りで顔を埋め、小さくなっている。
「アン、大丈夫?」
グス、と鼻をすする音がするので、目が覚めてはいるようだった。
嫌がられてはいないようなので、ケティは隣に密着して座る。
横からギュッと抱きしめてケティの胸に導いてあげると、巨乳に顔を埋めて隠すようにしてアンは泣き始めた。
「ケティみたいに……できなかった」
震える声をあげるアンの頭を、ケティが優しく撫でる。
「みたいって?」
「ローパーと、セックスしながら倒せればよかったのに」
「あれはほら、エロダンジョンのスキルの力が結構あるんだよ。イッても動きが鈍くならない奴とか、ローパーのチンポ2本まとめてマンコに入れても裂けない奴とか」
「気持ちよくなっても魔力の集中が切れてなかった」
物心ついた時から毎日修行とオナニーをし続けた成果だった。
「それは元からかな……」
「やっぱりケティはすごい。私もセックスしながら戦えれば、皆をこんな目に遭わせなかったのに。私はエッチな子だけど、皆は本当に嫌がってたのに」
自分がローパーにやられた事ではなく……嫌がるクランメンバーを守れなかった事を後悔している。
それが分かったケティはアンを抱き寄せ、背中をさすってあげた。
「アンのおかげで助かった人もいたはずだよ。一人でローパーを引き付けたんでしょ?」
周りの人よりも明らかに多く、アンは触手でぐるぐる巻きになって媚薬をどドバドバ浴びていた。
「ん……ケティを真似して、ローパーとセックスしたいって思って自分から動いたの」
そしたら魔力が使えるくらい集中できた、と語るアン。
「それだって十分凄いよ。アンは戦闘とセックスの才能があるよ、絶対」
ケティだって、新しい魔法を使うときには何回か練習をする。
ぶっつけ本番で形に出来たアンは少なくともセックスしながら魔法を使う才覚を示したと言っていいだろう。
「でも……私が皆にちゃんと注意出来なかったからローパーを呼びよせたかもしれなくて……」
抱きしめながら聞いていると、トイレの時に穴が浅かったり不始末があるのを指摘したが他の場所でも同じようなことがあったはず……という事だった。
「まあ、アンは副リーダーだから責任が無かったとは言わないけど。だからこそ、アンは辛い目に遭った仲間達を元気づけに行ってあげた方が良いんじゃない?」
「う……」
「アンは口下手かもしれないけど……きっと私がお見舞いするより、アンがギュって抱きしめてくれる方が心が軽くなると思う」
そう言って、ケティはアンをギュッと抱きしめた。
「……うん。ケティのおっぱい、あったかくて柔らかくて良い匂いがする……心が軽くなった」
最後にぽんぽんと背中を叩いてあげると、アンは顔を上げた。
涙の跡が残ってはいるが……確かに笑顔を浮かべることが出来ていた。
「私もケティみたいなおっぱいが欲しいな」
平たい胸を見下ろしてぺたぺた触るアン。
「エロダンジョンなら見つかるかもしれないし、時間が出来たら一緒に狩りでもしようよ」
「ん。約束」
小指を絡めて笑いあうと、アンが立ち上がる。
「ありがと、ケティ」
「どういたしまして。また明日もお見舞いに来るよ」
「ん。頑張って皆を励ましてみる」
そう言っておもむろに着替え始めたアンを置いて、ケティは部屋を出た。
「どうやらアンが一番大丈夫そうね」
「うん。エロダンジョンで一緒にエンチャントを掘る約束もしちゃった」
半眼になるミラに、アン自身にセックスへのトラウマは無いから大丈夫、とケティは笑って歩き出す。
まだ騒いでいるのはオルガ一人だが……入る時より活気づき始めたクランハウスを後にした。
「……あれ、煙? 火事かな?」
次から次へと騒ぎが起こるので、関係があったら嫌だな……と思い一応現場を見てみる事にする。
案の定野次馬の人だかりが出来、消火活動の邪魔になっているようだった。
これ以上近づけないので道行く人に訊いてみると、燃えているのはベルカント商会……よりによってCCを支援している商会だという。
「何か関係あるのかな?」
「ううん……」
もちろん……ラザロのダンジョンではローパーが公的にはかなり昔に絶滅済みであり、商会こそ違法養殖の犯人である……という事を知らないケティ達には見当もつかなかった。