サキュバス化催眠アプリ 〜巨乳黒髪眼鏡の図書委員の彼女に〜 作:Rオウ
── 月曜日 ──
「では行ってきます!」
私は家を飛び出した。
学校でヒロくんが待っているんだ。
……というのもあるけど、この土日の二日間は家の中の雰囲気が大変キツかったので逃げ出したい。
分かってる。
原因は私にある。
お父さんとお母さんの間にあった地雷と言うか、例えるなら地面の奥深くに埋めて、「無かったことにしましょう」と夫婦で取り決めていた匂いを放つ
妹の翠は
一人だけずるい!
私には転がり込む先なんかないのに!
おかげで一人取り残された私は針の筵だった。
だけどまあ、それはもういい。
終わったことより、私は未来を見る。
今日ヒロくんが私に催眠を掛ける方が大事。
逸る足を抑えつつ、それでも小走りになってしまうのでいつもよりかなり早く学校についてしまった。教室に入ると、何人かのクラスメートの姿はあったけど、残念ながらヒロくんの姿は見えなかった。まだ登校してきてないみたいだ。
……もしかしたら早く登校してきてるかもと思ってたんだけど。
だって、ねぇ?
ヒロくんは私のことが大・大・大好きなんだから、1秒でも早く私に催眠をかけたいはずなのだ。
私だって1秒でも早く催眠にかけられたかったから、こんなに早く登校してきたのだし。
教室の席に座りヒロくんの登校を待つ。
夫の帰りを待つ妻の気分とはこういう感じなのか♥
ワクワクするし、ドキドキもしちゃうとか♥
なにこれ、こんなに幸せになっちゃうのか♥
なんだか今日だけは私を中心に世界が回っているような気がする♥
「おはよう、青子さん」
待つこと15分ほどで、ヒロくんが登校してきて教室に姿を現した。
ヒロくんの顔を見たらヒロくんの熱烈な愛の告白文が頭の中に一杯になって、私の顔が一瞬で真っ赤に火照った。
私はさりげなく手で顔を扇ぎながら、普段通りを意識してヒロくんに挨拶を返す。
「ヒロくん、おはおう」
よし、声は震えなかった。頑張った、私。
ヒロくんは私の席の隣を通りすぎ、私の前の席に座った。
鞄から教科書を取り出して机の中にしまうと、ヒロくんはすぐに私の方を振りかえった。
きたっ♥
ドキドキしながらスマホのぐるぐる画面を見せられるのを待つ。
この後すぐに催眠にかけられちゃうのだ♥
ヒロくん専用の、ヒロくんだけのサキュバスにされちゃうのだ♥
元々サキュバスだけど、それはそれ。これはこれ。
ヒロくん専用のサキュバスになっちゃったら、きっと毎日おちんちんをペロペロ舐めさせられちゃう♥
青子は僕の奥さんなんだからこのおちんちんを射精させるのが日課なんだよって言われちゃう♥
でも妻としての大事なお仕事だもんね♥
毎日5回かな♥
それとも10回かな♥
いやいや、そんな少ないわけないよね♥
だって最愛のサキュバス妻の私に射精させられるんだもん♥
一時限目と二時限目の間の休み時間でしょ♥
二時限目と三時限目の間の休み時間でしょ♥
三時限目と四時限目の間の休み時間も当然として、その次は長い長いお昼休み♥♥
休み時間の度にヒロくんを射精させても、授業の間におちんちんは休めてるから次の休み時間には回復してギンギンになっちゃう♥
ヒロくんは毎回毎回ギンギンになったおちんちんを私に無理やり咥えさせちゃったり♥
それが一日最低でも20回? それとも30回? いやいや50回かな?
ううん、きっと毎日100回だ♥♥
いけるいける♥
きっとヒロくんなら超余裕♥
「──っ♥」
いけない、想像しただけで軽く
でも妄想が止まらない♥
絶倫ヒロくんのおちんちんに繰り返しご奉仕させられて「もう許して……♥」と懇願してもヒロくんは許してくれないのだ♥ 「青子は僕だけのサキュバスなんだろ?」と私の耳元で甘く囁きながら私のあそこに指を入れてクチュクチュと弄って「ほら? 下の口はもう準備ができてるみたいだよ?」とSっ気発揮して虐めてきたりしちゃって♥♥
なにコレ!?
ものすごく興奮する!!
女性向け小説投稿サイトの官能小説みたいに、絶倫の
「──青子さん、週末何か気になる作品あった?」
「え? ええ?」
いきなり現実に引き戻された。
あれっ?
あれれっ!?
面白そうなネット小説を教え合うより、もっと重要なことがあるでしょ?
この妄想を現実にするためにっ!
ほら! そのスマホをガッと!
私に向かってガッと!!
◇◇◇◇◇◇
数学の工藤先生が黒板にカっカっと白墨で式を書いて解説しているのを聞いているうちに、茹っていた私の頭が冷えて冷静さが戻ってきた。
うん、そりゃ無理だよね。
周りにはクラスメートが一杯いたし。
……いやいや、絶対無理ってこともないか?
こっそりスマホの催眠ぐるぐる画面を見せてくれたら、私だってこっそり催眠にかかってあげるくらいの気配りはできる。
例えば、授業中は周りのみんなは先生と黒板を見てるわけだから、ヒロくんはスマホの画面を背中に回して私にそーっと見せれば、ほら、私はすぐに催眠にかかっちゃう♥
それで授業が終わって休み時間になったら、私はヒロくんの手を引っ張って誰もいないトイレへダッシュ……あ、そうか。トイレか。
◇◇◇◇◇◇
「それで、どうだったの?」
「だめだった」
ソファに突っ伏しながら、ひじ掛けを両手でバンバンと叩く。
おかしい。
私の全てを大好きなヒロくんが、今日私に催眠にかけなかったのはなぜなのか?
今日が私とヒロくんの記念日になるはずだったのだ。『僕だけのサキュバスになって』と君が言ったから●月●日は催眠記念日、というフレーズまで考えておいたのに。
「そっかー。まあ学校だと周りに一杯生徒いるもんね」
今日はさすがに翠も私を見ながら話を聞いてくれてる。
「でもこっそり催眠をかけてくれたら私だってこっそり催眠にかかってあげるんだよ? 周りに生徒がいてもやろうと思えばやれるよね?」
「……ああやっぱりまだ狂ったままなのか」
妹の翠がダメだこいつ、みたいな仕草をする。
「狂ってないから。ちゃんと正気だし。さすがに教室の中だと誰にも見られないように催眠にかけるのも催眠にかかるのもタイミングがシビアだし、ヒロくんも落ち着かないかなと思ってちゃんとトイレに誘ったのよ?」
「トイレ?」
「そう、N棟3階の女子トイレって昼休みは誰も来ないの」
「催眠に掛けてもらうために女子トイレに誘ったの?」
「でも断られたの! おかしくない!?」
── 火曜日 ──
「あれぇ?」
── 水曜日 ──
「なんで?」
── 木曜日 ──
「……それでどうだったの?」
妹の翠がソファに寝そべりながら興味無さそうに聞いてきた。
月曜日からずっと空振りが続いて翠の興味が薄れてきている。
「駅前で本屋をハシゴした後はマクドで本の感想をお互いに語り合ったの」
「楽しかった?」
「もう、すっごく楽しかったの!」
ほっぺたに両手を当てて頭をブンブンと振る。
「ほーん」
「でも違うの! そうじゃないの!」
頭を抱えて首をブンブンと振って、ひじ掛けをバンバンと叩く。
「学校の中じゃ無理っぽいから、放課後に学校の外に連れ出すって昨日言ってなかった? 駅前なんかに行ったら学校より人が多いじゃん」
翠が不思議そうに聞いてくる。
「ほら、私の高校の南に松原公園てあるでしょ? ほんとはそっちにデートで連れて行こうと思ってたの」
「……ああ、あの公園? でもデートするには不向きじゃない? あそこ何にもないし」
「でもあの公園トイレがあるでしょ、誰も使ってない大きなトイレが」
「……お姉ちゃん、トイレになにか拘りでもあるの?」
「え? 無いけど?」
「じゃあ言うけどさ。さすがにトイレで初体験はないと思うよ?」
「え? そうなの?」
妹が呆れたような目で私を見た。
「無いでしょ、あり得ないでしょ! 月曜日に学校のトイレに付いてきてくれなかったってお姉ちゃんが愚痴ってた時も、内心お姉ちゃん正気? って思ってたもん」
「酷くない!?」
私の抗議を翠が鼻で笑った。
「ヒロシくんのさぁ? あんなに熱烈な愛の告白文読んでおいて、トイレで処女捨てるとかあり得なくない? ヒロシくんだって好きな女の子との初めてをトイレで済まそうなんて考えるわけないじゃん。好きな女の子相手に童貞をトイレで捨てましたって一生記憶に残るんだよ?」
「む、むむむー」
「お姉ちゃんさぁ? 雑過ぎない?」
妹の翠があからさまに見下した顔で私を見てる。
姉として敬う気持ちがこれっぽっちもない。
おまけに「はぁ……どうしようもないな、こいつ」みたいな感じに姉に向かって溜息を吐いてる。
「お姉ちゃんは知らないだろうけどさ、男子って女子よりロマンチストなわけよ。だから可能な限りシチュエーションには凝ってくるもんなのよ」
「凝る……とは?」
私には無かった発想だ。
私はとりあえずヒロくんのおちんちんをすぐにでも舐め回したいだけだったし。
「例えば誰もいない図書室とか」
「図書……室?」
「……夕日が差し込み、カーテンが赤く染まる静かな学校の図書室」
「いきなり何言い出してるの、翠?」
「……校庭で部活動に勤しむ運動部員の元気な掛け声が遠くから響いてくる」
少し顔を上に向けてなぜか目を閉じたまま翠が話し続ける。
「……それがむしろ二人っきりなのを意識させて、訪れる者が誰もいない図書室で意識しあった二人が恥ずかしそうに俯いて……こっそり横を見るとヒロシくんと目が合ってしまう。そのまま見つめ合う二人。時計が時を刻む音が二人の間を流れていく」
「──っ!」
「……ヒロシくんの頬が夕日ではない赤に染まって、その眼には美の化身を崇めるような崇拝する色が宿り」
「──美の化身っ!」
「自然と二人の間の距離が縮まって」
「それでっ!? それでどうなるの!?」
思わず妹の襟首を両手で掴んでガタガタ揺らす。
「そういうグッと来る
翠が私の手をぺしっと叩いて襟首から払いのける。
「そ、そうなのかも。じゃあヒロくんは二人っきりになれる金曜日の図書係の時を最初から狙って?」
「……ねぇ? お母さん思うんだけど、その雰囲気でヒロシくんって催眠アプリ使うの?」
キッチンで晩御飯の準備をしていたお母さんが口を挟んできた。
「あっ」
「何もかも台無しにならない?」
「だ、台無しにはならない、かも」
「お母さんは
「だ、だって途中まではすごく良かったし! 明日の放課後の図書室で、きっとヒロくんは催眠アプリを使ってくると思う!」
「まあ、少なくとも学校内だと金曜日の図書係の時が確実に二人きりになれるチャンスではあるし、可能性は高いんじゃない?」
と翠。
「じゃあ、明日に備えてまた練習するから、プロの指導をお願いします、お母さま!」
「……青子は催眠にかかった演技はこれ以上練習しても上達しないと思うんだけど」
「もう十分上手いってこと?」
そう聞いたら、お母さんは目を逸らした。
── 金曜日 ──
「っしゃおらあっ!!」
ぱんぱんぱぱぱん!!
差し出されたお母さんの手と翠の手に自分の手のひらを打ち付けると、小気味良い破裂音が玄関に鳴り響いた。
「いい、お姉ちゃん? 今日が決戦だよ!」
「分かってる!」
「お母さんが教えたように演技するのよ?」
「大丈夫! 今日の私はハリウッド主演女優!!」
「下着は?」
「勝負下着はバッチリ!!」
「よし! 行ってきなさい!」
「我! 出陣す!!」