性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話 作:PP→KP
「え……?妊、娠……したのか、君が」
「はい」
妊娠した事実が判明してから3ヶ月。帰ってきた彼女は両親との挨拶もそこそこに地下牢に居た私の元に姿を現し、そして私のぽっこりと膨らんだ腹を見て珍しく驚愕の表情を見せていた。
今の私は妊娠15週程度で、かつて堕胎したときと同じぐらいの時期。前の時は170cm強の成人だったこともあって太り気味で誤魔化せる範疇だったが、10歳児の細い体では明らかに歪に膨らんでいることが一目でわかる程になっていた。
呆然と私を見る彼女は恐らく両親から話を聞く前に私の元へと来たのだろう。今日は3日に1度の彼女が私を犯す日と重なっている。今に至るまで禁欲状態だったことを考えるとすぐにでも犯したかった、殺したかったという感情が先行していたのかもしれない。
恐る恐る近寄ってきた彼女は私の服を捲り、その白魚のような指で私の腹をそっと撫でる。擽ったさに思わず声が出そうになるが堪え、奇妙なものを見るような顔で私の腹を見る彼女の顔をじっと見つめた。
妊娠が発覚してからこっち、私は調査の継続を断念していた。
身重だからというのもそうだが、それ以上に私が妊娠してしまったことを使用人に知られると次期当主の彼女の評価に疵がつくからだ。期せずして彼女の汚点になりかけていた(10歳の性奴隷の時点で大概だが)私は、当主様の指示で地下牢でほぼ軟禁状態にされていたのだ。
無論、軟禁とはいっても身重の私に負担をかけるようなことはされていない。
地下牢内にはトイレや洗い場が併設されていることもあって特に生活に困ることはなく、食事は当主様直々に厳選された使用人複数名──彼女に強い恩があり、私を犯して孕ませたという情報があって尚も彼女を信じ事実を吹聴しないと認められた者──によって運ばれていたので栄養も十分に取れていた。
そういった事情から身の回りについては十分以上に整えられてはいたのだが──結局、彼女がかつて何者だったのかの見当はつかずじまいだった。
「……他の誰かに、身体を許してはいないよな?」
なおも懐疑的な目線を向けてくる彼女。
そんな事ができる立場じゃないと分かっていながらもそう聞いてしまうのは、それだけ自分が私に対して行う所業への自覚があるということなのだろう。とても妊娠するわけがないほどに残虐に犯している、という。
「そのようなことはしておりません。御当主様方にお頼みして確認させていただきましたが、魔力等から確かに御主人様の子を身籠っていると」
「そうか……そうだな。確かに、私に近しい魔力を感じる。この子は間違いなく、私と君の間にできた子供なんだな」
子供の形を確認でもしたいかのように、優しく腹を撫で回す彼女。
これだけ見ていると普通に子供が気になる親にしか見えない、のだが。
(一体何を思っているんだろう、彼女は)
私が子供を孕んだことについて、驚愕し、懐疑し、認知して。その上で彼女は喜びもしなければ怒りもしない。感情が追いついていないだけなら良いのだが──今までの彼女との関わりを考えると少し不安を覚えてしまう。
そこまで考えて、私は自分の胎にいる子供について多少なり心配していたことを自覚した。妙な話である、彼女との子供なんて別に欲しいわけでもなかっただろうに。
(一応、当主様からはなるべくこの子を産むようにとは伝えられているけど)
『どうしても嫌だー!なんて言われない限りは産んでね』なんて朗らかに言われたのは記憶に新しい。私の自由意志がないのは良いが、言い方がまずかったのだろう奥方様にひっぱたかれていた。
産むようにと言われた生命が宿っている、今は細く美しい指先に擦られている膨らんだ自分の腹を見る。
(産むのか、この子を)
美しく恐ろしい、私に対する溢れんばかりの殺意を笑顔で覆った彼女。そんな彼女は私に歪んだ愛も持っているのだと、父親である当主様は言う。そうであるなら、この子供は彼女にとって愛の産物と呼べなくもないだろう。
では私は?私はこの子にどんな思いを持てば良いのだろうか。
かつて子供を堕ろしたことへの償いで産む、と考える事はできる。
性奴隷だからそもそも自由なんて無い、産めと言われたから産むと責任を放棄しても誰も何も言うまい。
でも、と思う。果たしてそれで良いのか、という考えが脳理に過ぎる。
私の胎に居るのは、淫魔族の頂点とも呼べるような大家の次期当主の長子だ。必然、余程の無能でもなければこの国の淫魔という種族全体を取りまとめる貴族の跡継ぎとしての重責を担うことになるだろう。
そんな子を、過去の罪滅ぼしのためという私自身の為でしかない身勝手な理屈で産むのか。産むことを求められた性奴隷だからという認識で機械的に産むのか。
産まれる前から重石を背負わされた子に対して、産み落とす私がそんな認識しか持っていないというのは──それは、例え愛のない彼女との子供だったとしても、余りにも酷ではないだろうか。
(……いや、考えても詮無い話だな)
そこまで考えてから、そもそもそれ以前の話だと思い直す。
もしこの子が産まれたとしても、母親としての立場が得られるとは思えない。犯され、殺されるが常となってしまった幼い性奴隷が孕んでしまった子供なんて公にはできないのだから、精々が「隠し子で親は秘匿する」とでも公表されて彼女や当主夫妻のもとで育てられるのだろう。
だったら最初から親なんかじゃないと、そう考えていればいい。そう考えれば、私は産まれた後にまで考えを回すことなど無いのだから。
「…………ふむ」
それにしても。
「…………」
さわさわ、さわさわ。
さっきからずっと触られ続けている。如何に彼女が指先に至るまで絹のように滑らかであったとしても、それでもこうも触られるとなんとも言えない気分になる。
「ええと、御主人様」
「何だ?」
何だ、ではないと思う。声を掛けても何処か上の空で私の腹を触るのをやめない。
「お嬢様。そろそろ行きませんと。この娘もずっとお腹を出したままだと身体に障りますし」
「え?……あ、ああ。そうだな。行こうか」
そう言って、彼女は名残惜しそうに手を離した。私が服を着直している間も触っていた自分の手をじっと見つめている。まるで先程まで触っていた感触を忘れたくないかのようだ。
彼女は未だ、喜びも怒りも向けてこない。だけどあの様子を見るに、自分が妊娠させた子供に対しては何か感じるものがあったのだろう。
(……やはり、柘植か、或いは私の子供が転生したのが彼女なんだろうか)
憎い相手を犯した結果として自分の子が出来たということを認知し、そこに感傷を抱くとなると──やはり、彼女が誰だったのかという候補としてはその2人が有力だと思う。
我儘ではあるが、そのどちらかであれば柘植であってほしくはないと思ってしまう。
あの男は己の娘すらも性欲の捌け口に使っていた。今宿っている子供の性別は不明だが、彼女はどちらであっても相手に使えるわけで……そうなってしまうのは、彼女はともかく今お腹にいる子供や当主夫妻にとっては不幸以外の何物でもない。
(女好きだと調書にあったかつての柘植と違って、彼女にそういった浮ついた話はない。だから仮に柘植だったとしても、祝福とやらと両親の教育で真っ当になってるとは思いたいが)
この世界に生まれて33年になるという彼女はこれまで、私に向けたような狂気を誰にも見せたことはないし向けたこともないという。であれば、私が過去に囚われて猜疑の目を向けるというのは間違っているに違いない。
でも、そう考えている私がそもそも死刑になったかつての私との連続性を自認しているのだ。
かつて苛烈過ぎる指導の両親のもとで歪み、誘拐・監禁された中で恋に落ちて、それが狂って殺人を繰り返した私と、牧歌的な両親の元で育ち、今は殺意に歪んだ性愛を叩きつけてくる主のもとで性奴隷をしている私は間違いなく連続していると認識できる。
だったら、例え祝福だの素敵で素晴らしい両親だのの元で暮らしていたからといってかつての己をそう簡単に捨てられるのだろうか、切り離して品行方正に生きることは出来るのだろうかと思う。
いつか、どこかで──かつての柘植に戻ってしまうのではないか、それを私は危惧していた。
(……まあ、柘植だと決まったわけでもないのにうだうだと悩んでも仕方ないことだろうが)
ここまで考えておいてアレだが、別に柘植だと決まったわけでもない。
寧ろ私以外には品行方正を維持できている時点で柘植の可能性を低く見るべきだろう。あくまで私に対してのみ個人的に恨みを持つ誰かであると考えたほうが辻褄は合う。
その場合は私の子供か、或いは柘植の娘や三重野の息子だろうが……まあ、その中で誰なのかと特定できる程の情報がないのが現状だ。
だから、というわけでもないが。情報収集も兼ねて、当主様から言付かっていたことを伝えることにした。
「その、御主人様」
意を決したように呼びかける。
何かを思って己の手のひらをじっと見つめていた彼女は、私の緊張した声を聞いて顔を上げた。
「どうした?私はお父様に改めて聖都の話を伝えに──」
「その御当主様より、私から御主人様に聞くようにと申し付けられていたことです」
「……ふむ」
流石に父親、当主からの話とあれば彼女も聞く姿勢に変わる。
「お父様と仲が良くなったのだな、少し妬けるぞ?」
「そういうわけでは……御当主様は素晴らしいお人ですが、私はあくまで御主人様の奴隷です」
「冗談だ。それで、お父様はなんと?」
そう問われ、息を少し深めに吸う。
「お嬢様は……私が妊娠している子を、どうされますか?」
私の言葉に、彼女も、彼女の従者もピタリと動きを止めた。
正直ここでどういう答えが返ってくるのかは大分未知数だ。先程の私に対する強い感情の見えない子供への向き合い方も含め、下手につつくと何が出てくるかもわからない相手だ。
だけど、それでも今のうちに聞いておきたかった。かつての彼女も含めた彼女との向き合い方を決める重要な情報で──妊娠している子の進退を決めるのだから。
「どう、とは?」
何時もの笑顔のようで、だけど私にも分かるくらいには感情が抜け落ちたような彼女から発せられた言葉にゴクリ、とつばを飲み込む。この部屋の空気が一気に張り詰めたように感じられたのはきっと気の所為ではないだろう。
「……言葉通りの意味となります」
「そうか。言葉通り、か」
彼女の従者が冷や汗をダラダラと流しており、主が横にいるというのにも関わらずハンカチで何度も拭っている。
正直こんな緊張状況を作りたくはなかったのだが、それでも早い内に聞いておきたかったのだ──もし、彼女が子供を拒否した場合を考えると、子供が小さい内のほうが良いだろうという思いもあった。
無言の時間が続く。そう長くはなかったはずだが、私にとっては何時間もシンとした世界に身をおいていたように錯覚してしまう。
やがて、彼女は私を見て口を開いた。
「私の心は決まっている。──私と、君との間に出来た子供だからね。当然、その子がちゃんと育つまでは私も君に手を出したりしないよ」
「……わかりました」
彼女から告げられた言葉に内心で安堵する。少なくとも、今の彼女は私との間にできた子供を疎ましくは思ってないように見せられるだけの精神性はあり、それを従者の前で明言できるくらいには事実として扱うつもりであることがわかったのだから。
そして同時に、子がちゃんと産まれるまでは待っててくれるということでもあって……或いはそちらの方がより嬉しいとすら感じる。かつての私が堕ろした時の、あの小さな小さな体が私の性器を通って排出される瞬間は──どれほど経っても、忘れがたい記憶だ。
例え遺伝上の母親でしかなく、相手である彼女を恐れているような私でも。未だに産まれてくる赤子への対応を決めかねているどころか、私が関わることなんてそれほどもないだろうと高を括るような私でも。
それでも今度ぐらいは、ちゃんとした生命で産むくらいはしてあげたいと思っていたのだ。
「それじゃ、ちゃんと身体を労るんだぞ?今は君1人の身体じゃないんだ」
「はい、ありがとうございます」
至極当然な優しい言葉を最後に残して、彼女は従者ともども地下牢を去った。
十分に離れただろうことを察し、私は深く息を吐いた。
「このままなら当主様の希望通りことが運ぶか。取り敢えず一安心といったところだ」
子供に対して何を考えているかはともかく、言質としては従者ともども取れている。
産まれた後の子供の扱いは不明だが……流石にそこには当主様の意向も絡むだろうし、彼女がそこまで無碍に出来るとは思えない。
「……そうなると、今度こそ母親になるのか、私は」
父親の立場が彼女であることは少々、いやかなり思うところはある。
それでも、たとえ生物的な繋がりでしか無いとしても、母という立場はかつての私では得られないものだった。
子供を産めるということは、母になるということは……ある意味ではとても尊いものではないだろうか、なんて思う。例え精神的に向き合えなくて、生物的な認識でしかなかったとしても。
前時代的だと揶揄されるかもしれない。それでも。
恋していた彼が殺されて。愛してくれた後輩を裏切って。最も憎い相手の仔を孕んで、胎の中で殺して棄てた。そんな「かつて」を経た私にとってはやはり、子供を産むということには思うところがあった。
まだまだ小さく、しかし確かに膨らんでいる腹を撫でる。先程彼女の細指にされていたように。
「ふふ、ちゃんと大きくなってくれ。今度こそ、棄てたりなんかしないから」
……本当に度し難いな、と思う。
かつて堕ろした子と今孕んでいる子は全くの別人だ。転生という現象を加味しても尚、時系列的にかつての胎児だということはありえない。
なのに今度こそ、だなんて勝手に同一視している。産まれた後の子にどう向き合えばいいかを棚上げしているのに、産むことだけはやり直したい、産むだけは産みたいなんて身勝手な思いを胸に抱いて、止められない。
愚かで、弱くて、自己中心的で──本当に、自分で自分が嫌になる。
それでも──敢えて「今度こそ」と己に言い聞かせて。かつてと今とを通して最後になるかも知れない、そんな自分の子が宿る胎を優しく撫でた。
彼女はそれから、本来であれば私を犯す日になっても地下牢に来ることはなくなった。
彼女が戻ってきても尚、死ぬことがなくなり安穏とした日々。とはいえ制限がなかったわけではない。
今まで通り子供が居ることは最低限にのみ明かしてそれ以外には基本隠蔽していたし、原則として地下牢から出ることは禁じられていたのもそのまま。
「ほら、服脱いで。洗うから」
「ええと……はい、お願いします」
変わったことと言えば、世話に来る人間が当主様から指定された従者以外に彼女の付き人の猫獣人の従者も来るようになったことだろうか。
今の私は子供の貧相な身体に不釣り合いなほどに大きなお腹になっていた。いまや3kg近くなった生命を胎に抱えており、ずっと地下牢にいたことで運動能力が低下していることも相まって徒歩での移動にすら難儀する始末。
(マタニティヨガとかそういった知識は流石に持ち合わせていなかったな……あればまだマシだったんだろうが)
かつての体幹や筋力があればこの状態でも十分に動けただろうことを考えると、やはり妊娠は子供がするべきじゃないなという当然過ぎる考えが浮かぶ。
そしてそんな不自由な状態で無理はさせられないからと、今までは自分でやっていた洗濯なども従者が代行するようになり、私の世話役の人員増をする必要が出てきた。だからこそ、事情をよく知る彼女の従者も手を貸しに来てくれていたわけだ。勿論、それだけが目的ではないのだが。
「何で私が来てるのかって?それはほら、お嬢様に貴女が元気してるって伝えるためよ」
隠すようなことでもないのだろう、気負いなくさらりと応える従者。
どうやらこの従者、あくまで私の状態を逐一確認したいという彼女の意向を受けてここに来ているとのことだ。だがそんな理由であれ、こうやって世話に来てくれるのはとてもありがたかった。
他の従者は彼女の凶行を実際に見たことはない。あくまで幼い私を性奴隷にした上で孕ませた、という事しか知らない。だからその上で彼女に対し今も信頼を向けられるし、彼女の評価を落とさないように口を噤むことが出来る。
でも彼女が私を犯す度に膣内射精で破裂させて惨殺している、なんてとんでもない異常性癖を知ったら流石に問題になるだろう。当主様からも私から口外しないよう言い含められている。
対して、この猫獣人の従者は私の最初の死から合わせて計35回、私の惨殺を見届けている。そして私の残骸を捨てる場所を指示してくれたり、破裂死体から溢れベッドに撒き散らされた血液混じりの精液を私に代わり何処かに捨ててきてくれてもいるのだ。
私達の悍ましい関係を知っても尚、彼女の事を大切に思ってに付き従い事情を絶対に口外しないだけの口の堅さがあって、かつ色々吐き出した私の弱音や感情を彼女には黙ってくれているぐらいには私に対しても同情心を抱いてくれている。
彼女と私の関係を完全に理解し、その上で双方にしっかり義理立てしてくれているのはこの従者ぐらいだろう。
こういった諸々の要素もあり、凡そこの家で最も信頼できて最も気安く接することが出来る。それがこの猫獣人の従者だった。
「御主人様の様子は、その、どうでしたか?」
「普段どおりよ。お腹の子について質問した時に空気が凍った時はヒヤヒヤしたけど……でも、今は普通」
従者から今の彼女の様子を教えてもらう。どうやら特段変わったところは見せていないとのことで、無いだろうとは思ったが私の前でだけ取り繕ったとかではなかったらしい。
あの質問で空気が重くなったのは、私が子供を堕ろしたいと言っているように感じたためにああいった反応をしたのではないかと思えた。
「お嬢様だって貴女のことが……その、色々と重たい思いを向けてはいるけど、それでも貴女を選んだのには理由があるんだから。だからお腹の子の事は大事にしたいんだと思うわ」
「そうだと喜ばしいのですが……」
他にも従者が居るためぼかした言い方にはなるが、その内容は彼女をフォローするような意味合いもあるのだろう。
私だってそれは分かっている。事ここに至って理解できないのは「何故犯し殺すという手段に執着するのか」という点だけで、幾度も惨殺されること自体は私の自業自得であると既に納得していた……辛くないと言えば嘘になるが。
「それじゃ、私は一旦報告に行ってくるわ。って、そう言えば今何ヶ月目だっけ?」
「9ヶ月、34週と5日ですね。胎動もあって、診察にいらした先生も元気に育っているとおっしゃっていました」
日数まですぐに浮かぶのは3日単位での計算が癖になっていたからだ。この子が出来た日は私が犯された日なので、そこから今に至るまでに本来何回死んでいたのかを無意識下で数えていたのである。
ちなみに9ヶ月の子供としてはかなり大きいらしい。妊娠日まで完全に特定できてるので計算に誤りがあるわけもなく、単純にこの家の栄養管理が優れているのか、あるいは彼女の大柄な体躯を受け継いでいるのだろう。
「そっか、じゃあ何事もなければあと1ヶ月かそこらで産まれるんだ。……女の子だっけ?お嬢様に似て可愛い子だと良いなあ」
「そうですね、私より御主人様に似たほうが絶対に良いと思います」
「ふぅん?意外ね、お嬢様のこと……その、苦手と思ってるんじゃないの?」
「それとこれとは話が別です。私なんかより御主人様のほうが余程……いえ、ともかく御主人様の美しさを受け継いでくれたほうが嬉しいじゃないですか」
苦手どころか恐怖と絶望に泣いたことを知っている従者からすれば私の答えは不思議だったのだろう。だがこれは私にとっては本心でもあった。
今の私は幼いながらも整った顔立ちだ。かつての経験もあり、このまま丁寧にケアしながら育っていければ前に負けず劣らずな見た目にはなれるかな、という感覚もある。
だがそんな私をして彼女の美貌は桁外れだ。髪型や喋り方はかつての私を模倣していると思われるが、その美しさは雲泥だろう。もちろんかつての私が泥だ。色々な意味で。
そして見た目だけではなく、精神性でも雲泥だ。かつての彼女が誰だったかはこの際無視して、今の彼女は少なくとも私以外には高潔で優しい上位者として偽りなく振る舞っている。他者を癒やし蘇生させるという魔法に非常に高い適性を持つという点からもその事が良く分かる。
復讐に無関係な子供すら惨殺して、憎くもなかった胎児を身勝手に堕ろして。それで涙も流さなかった殺人鬼である「私」が連続している私なんかよりよっぽどマシだろう。
「まあ良いか。それじゃ、またね」
「はい、また」
私の言葉に納得したのかは分からないが、別れの挨拶を告げて去っていく猫耳の従者。
それを皮切りに、当主様から仕事を任されていた従者たちもそれぞれに去っていった。
「……今更ながら、奴隷なのに正規の従者に面倒を見てもらうっていうのも不思議な話だ」
それほどまでに私が──というより私のお腹にいる子供が大切なのだろう。そう思うと、不思議と安心感が湧き出てくる。
私より子供が優先されることについては何も思うところはない。罪人であり復讐を受け続けている私の扱いが悪いのは当然だ。そんなことよりも、ここまで丁重に扱われるのであれば──きっと、私が関われなくなってもちゃんと成長していくだろう。そう確信できることの方が余程重要だった。
子供に向き合う勇気もなければ、親になれるイメージもない。
恐怖を覚える相手との間に孕んだ子供で、デキた過程に愛はないけれど──それでも、やっぱり幸せに健康に育ってほしいとは思う。
少し前まではちゃんと産むことができればそれで良い、なんて考えていたのに。これも一種の母性かと思い──首を振った。
「何を馬鹿なことを。母になる気も、母として向き合おうという気もないくせに」
生物的な母体以上の立場に踏み込もうという気概は、結局終ぞ持てなかった。私が育てることはないのだからと目を背け、子を産めたという感慨を抱きたいだけだ。
だと言うのに、強欲にも子の成長だけ期待している。皆が育ててくれて、ちゃんと成長してれることを望んでいる。
こんなのが母性だとは言えまい。無責任で、関わりがないと開き直っているから幸福になって欲しいなんて軽く言えるだけだ。
もしも私に母性が本当にあるのなら涙の1つも流すだろう。もっともっと胸の奥に痛みを抱いて、身を引き裂かれるような思いの中で子を託すに違いない。
だが少なくとも今の私は違う。昔の罪をやり直したいという思いだけで、その先からは目を背けているだけ。テレビの向こう側で繰り広げられる人情噺を見て「幸せになって欲しい」と言っているのと同じことだ。
「……全く、こんな親の胎で育まれるなんて。お前には申し訳ないな」
膨らんだ腹を
かつての私の凶行によって歪んでしまったであろう彼女に対する罪悪感。犯され、殺され、孕ませられたことへの恐怖と嫌悪、そして歪んだ感謝。そして今度こそ子供を産んであげることで擬似的なやり直しが出来るという自分本意な罪滅ぼしの意識。
様々な思考が脳裏を巡り、その度に私の心が掻き乱されるように感じる。
強い眠気が私の瞼を押し下げようとしてくる。地下牢ゆえに窓はないが、夜も更けただろうことは想像できる。
私は茹だるような頭をスッキリさせたくなって、ランプの灯を落とし眠りについた。
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ゴソゴソ、という音。ギィ、と地下牢の扉が開く音。
何処かで聞いたことのある音に薄く目を開ける。
廊下につながる扉が空いており、そこから光が差しているのだろうか。しかし、その光を遮るように──大きな人影が、私の身体を覆っていて。
「────ああ、目が覚めてしまったのか」
優しい、だけどどうしようもなく高揚しているような──そんな美しい声が小さく響く。
だけど何故だろうか、その声には例えようもないような狂気が渦巻いているように思えて、私は目を見開いた。
私が身じろぎしたことで、じゃらりと嵌められた手枷につながる鎖が擦れたような音を出す。膨らんだ腹に熱いとすら錯覚しそうな熱気を持った何かが柔らかく押し付けられる。
腹回りの緩い寝巻きを纏った私の身体に密着する、着飾りなど不要なことを理解させられるような美しい裸体。上気したように薄い桜色に染まっている白い肌が、廊下からの光によって逆光のように照らしだされる。
私の胎にいる子をも凌駕する重量感の乳房を掻き分けるようにこちらを向くペニスはかつて無いほどに肥大化しており、亀頭から滝のように垂れ流されているカウパーが私の寝巻きを濡らし、薄い胸周りをベトベトとした感触で包み込んでいく。
「────え?何、で」
敬語すら忘れ、呆然と呟く私を見て──彼女は、取り繕ったような笑顔ではなく、隠しきれない興奮に染まった歪んだ、しかしどこまでも美しいとしか言えない笑みを浮かべて。
「もう、こんなに大きく育ったんだな。だから、良いだろう?もう、我慢しなくても──なあ?」
彼女と私の子が居る丸く大きくなった腹を、まるで優しく撫でているとでも言うように。彼女は、その股間から伸びる大きく硬く熱いペニスをぐちょりと擦りつけた。
私(10→11):人間。女。妊娠9ヶ月。大体8ヶ月あたりで11歳になった。子供が居るから覚悟していなかった。
彼女(33→34):淫魔。ふたなり。子供が大きくなるまでは手を出すつもりがなかった。子供が大きくなったから手を出してもいいと考えてしまった。
従者(35):猫獣人。女。楽しそうに子供の成長を聞いていた幼馴染のお嬢様が暴走していることに気付いていない。子供が育つことも産まれてくることも祝福していたのは事実だったので気付けなくても無理はない。
***(-1ヶ月):淫魔。女。無責任な親のもとで産まれる前から重石を背負わされたと思ったらもっとヤバい状況に陥ったけど当然何も知らないしわからない。