※この作品はR-18です。

性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話   作:PP→KP

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後日談4:「娘」と「両親」①

「いやああああああっ!やだ、お母様ぁっ!」

 

 絹を裂くような悲鳴が耳に届いた気がするが、意識は朦朧としていてよくわからない。

 その絶叫に動揺したように、後ろに伸ばした私の腕を掴んでいた細く力強い指から力が抜け、支えられなくなった身体が重力に負けてズルリと崩れ落ちる。

 落下の勢いに負けたのか、最後の激痛が走り──中途から砕けていた背骨を境に、上半身だけが更に下へと向かい──血と、臓物と、精液の海に叩きつけられて。私は生臭い匂いの混合液が口鼻から流れ込むような感覚を最後に、意識を閉ざした。

 

「いや、いや、死んじゃう、死んじゃったぁ!ああ、ああああ……」

 

 意識が消えるまでの間ずっと、小さく温かい誰かが泣きながらしがみついているような──そんな気がした。

 

 

 

 

 翌朝。どこか上の空と言うか、非常に後ろめたそうな彼女の様子を不思議に思いながらも何時ものように口で抜く。

 どうにも精彩を欠いている様子の彼女は普段より口に射精するまでに時間がかかり、その量も平時に比べてやたらと少なかったので「おや?」と思った。

 

「……あの、御主人様?どこかお体の調子が悪いのですか?」

「え、それはその、昨日の夜の……ああ、いや、何でもない。気にしなくて良い、大丈夫だ」

 

 ここ最近の彼女は新たな開拓もあってむしろ調子が良いとすら感じていたから、今日一気に不調になったような姿を見せたことが心配で声を掛けたが、帰ってきたのはそんな反応。

 明らかに昨夜に何かあったとしか思えないが、残っている記憶の限りで何かあったようには思えない。おそらく私が死んでから蘇生するまでに何かがあったのだろうが……口には出さないことにした。かなり気まずそうにしていたから問いただすのも悪いかな、と思ったのだ。

 

「それじゃあ、私は行くよ」

「はい」

 

 言葉少なに、彼女が去っていく。娘の成長もあり、一通り終わった後も色々と会話をしていたのにたった一言で足早に去る彼女は有り体に言って非常に怪しかった。

 

「……昨日の夜、か」

 

 意識が途切れる間際に何か聞いたような気もするが、そもそも死ぬ間際の記憶はいつも曖昧だから幻聴なのかもわからない。

 どうせ思い出せないということは大したことじゃないか記憶の齟齬か何かだろう。気にする必要もないと割り切った私は、最近は殆ど汚れないベッドを少しだけ整えたのだった。

 

 

「…………………」

「あの、御息女さ「アビー!」アビー、その…………あー、昨日、居たのか?」

 

 その日の夜。普段は夜に地下牢に入ってくることが殆どない9歳になった娘がぎゅうっと力強く私に抱きついてきて。何があったのかを薄々理解してしまった。

 私の言葉にバッと上げた顔は涙が溢れており、悲しみと恐怖、そして裏切られたことへの怒りで顔がくしゃくしゃになっていた。

 

「お母様、お母様ぁ……酷い、酷いよ!お父様、お母様のこと好きだって、愛してるって何時も言ってたのに、あんな、あんな……!」

 

 大きなクリクリとした目いっぱいに涙を浮かべた娘がそう言って私を抱きしめる。

 

 あんな、とはおそらく昨晩のことだろう。

 私達の歪過ぎる関係は教育には最悪だろうということは、彼女も私も彼女の両親も事情を知る従者も全員見解が一致していた。

 だから今まで教えてこなかったし、表立っては仲の良い夫婦としての姿を見せてきた。その甲斐あって、娘は元より7歳になる息子も、4歳になる彼女が産んだ娘も私が産んだ息子もそう信じて疑ってこなかっただろう。

 

 そんな中、昨晩ついに娘は目撃してしまったのだ。

 常軌を逸したペニスで胎を貫かれ、射精によって子宮を、肉体を破裂させられ臓物を撒き散らしながら絶命する私を。

 ──膣内射精(なかだし)で母を無惨な姿へと変え、その末路に恍惚とした笑みを浮かべて、貫いたままの母親の死体に精液をぶち撒けながら、肉感的で艶めかましい肉体を絶頂の快楽に震わせる美しい父親を。

 

「私ずっとここに住む!もうお父様をお母様に近づけさせないんだから!」

「う、ううん。そのだな、御主人様にも事情が……」

「何言ってるの!?あんなことしてもいい事情なんてないよ!嘘つき、お父様の嘘つき!私、私、お父様のことを尊敬してたのに……っ!」

 

 彼女がああなってしまったのは十割私が悪いわけで、どうにかとりなそうとしてみたものの娘からの反論にぐうの音も出ない。

 

「あのな、アビー」

「ひっく、うぅ……なぁに?お母様」

 

 ただ、それでもどうしても訂正したいところがあった。聞き入れてくれるかは分からないが……多分、ここまで荒れている理由の1つだと思ったから、そこだけは認識を改めさせたい。

 

「御主……アビーのお父様は嘘なんかついてないよ」

「なにそれ……お母様、お父様のこと庇うの?お父様のこと怖くて、悪く言えないんじゃ……」

「いいや、庇うわけじゃない。だけど親として嘘は言いたくないんだ」

 

 そう告げた私の感情が真摯であることを感じたのだろう。涙を拭った娘は多少潤ませながらも、私と目をしっかりと合わせた。

 

「いいか、アビー。アビーのお父様は私を愛している。勿論私だけじゃない。アビーも、バーティも、ケイトもクリスも。みんなのことを愛してるんだ」

「お母様……でも……」

 

 不安そうな表情で私を見上げる娘を抱き上げ膝の上に座らせ、何も心配要らないと示すためにぎゅっと抱きしめる。

 

「あの人が私に向けた振る舞いは、きっとアビーにとって恐ろしいものだったと思う。だからアビーはお父様の言葉が信じられなくて、愛し合っていない親のもとに産まれたんじゃないかって不安になったんじゃないか?」

「…………」

「でもね、それは違うんだ。あの人は私を愛しているし、愛したからこそ皆が産まれてきてくれた。だから心配することなんかないんだ」

 

 そういって、胸元に抱え込んだ艷やかな黒髪を優しく撫でつける。

 

「……うん」

「良い子だ」

「……ねえお母様、もっと撫でて」

「良いとも。アビーのお願いはちゃんと聞いてあげる。アビーは良い子だからな」

 

 ぎゅううっと頭を私の体に押し付け全身で甘えるような態度を見せる娘を優しく抱きしめ、頭や背中、肩なんかを撫でていく。

 やがて、撫でられて気持ちよかったのか疲れたのか、私の胸の中で寝息を立てた娘をそっとベッドに横たえて、万が一にも風邪を引かないようにとふわふわの毛布をかけてあげた。

 

 

「…………寝た、かな」

「ええ、寝られましたよ」

 

 その様子を逐一確認していた彼女が恐る恐る呟いた言葉に、私は肯定するように頷いた。無闇矢鱈と高度な隠蔽魔法で姿はもとより気配から魔力から漏れ出る感情やらをかき消して、娘に先んじて部屋にきて様子を見に来ていたのだ。

 かなり気まずそうだが無理もないだろう。そもそも今回、娘に私達の情事という名の殺人がバレてしまったのは彼女のせいと言っても過言ではないのだから。

 

 彼女はこと性が絡む行為については背徳的で倒錯的な行いを好む。

 子を作るための射精で私を惨殺するという殺意と愛情が混ざった復讐行為に始まり、私が妊娠して胎児が居る胎を犯してかつての父のように子を性的に消費しようとしたことや、そうやって殺しかけた娘に母親の私に代わって父親の彼女が授乳したりなど。

 発端はかつての私が裏切られ続けた彼女に優しくしておきながら手酷いやり方で惨殺したことなのだが、それが常態化したことで本格的に彼女の性癖となってしまっている。

 

 

 で、今回の事件が何故彼女のせいと言えるのか。それはその彼女の性癖が大いに関わってくるためである。

 

 

 淫魔族である娘は種々様々な教育を受ける中で、弱冠9歳という年齢でありながら実践的な知識を含めた性教育なんかも受けるようになっていた。

 淫魔族はその性質上、ある程度性に関する技術や知識を身に着けておかないと生きるのが手間になってくる。だから性教育自体は必要であり、別段止めるようなことでもない……のだけど。

 

 その結果、両親である私達が3日に1回の頻度でそういった行為をしていることを知った娘は、大体3ヶ月ぐらい前から夜にこっそりと地下牢に来るようになったのだ。

 勿論、流石に娘がいる状態でいつもの光景を見せるつもりはなかった。彼女の従者にお願いして地下牢には入れないよう待機してもらい、廊下で声を聞いているようにと伝えた。そして私達は娘が待機している間は大人っぽい会話をしたり互いに手淫して嬌声を上げるなどして誤魔化していたのだ。

 

 だがそんな中、地下牢の扉越しに娘がいるという状況に対して、彼女の中である欲求が芽生えたのだ。

 

「犯されて死ぬという事実に娘が気付かないように嬌声を上げて欲しい。死ぬと分かっていて痛みと恐怖の中で娘のために快楽を演じて欲しい」

「親が愛し合っていると思っている娘が壁一枚を挟んだ向こう側に居る中で、私を膣内射精(なかだし)で原型を留めないぐらいに惨殺したい」

 

 という、控えめに言って邪悪だとか外道だとかそんな背徳的なセックスをしたいという欲求が。

 

 ……そして1ヶ月前ぐらいに彼女は実際に私にそれを持ちかけ、駄目なら娘が聞いている中で無理やりやろうかな、なんて脅してきたものだから已む無く了承した。

 

 興味津々な娘が扉向こうに居て、愛し合う夫婦を幻視しているのだから。好きな人同士での性行為で好意的な感情を獲得できるという知識や実感を身に着けないと娘のためにならないから、と。

 私は苦痛の中でわずかに感じる性的快楽を元に頑張って喘いで。そして娘が満足して去るタイミングで、彼女が扉向こうの娘に別れの挨拶を告げると同時に射精されて死ぬということを繰り返すようになったのだ。

 

 ……正直に言えば、私は然程苦痛ではなかった。訂正、苦痛ではあったが何時もよりは大分マシだった。

 

 娘が去る瞬間に私に膣内射精(なかだし)をして殺すという背徳的なセックスは彼女にとっては大変に興奮できる行いで、だからこそきっちり絶頂して満足して終わってくれる。

 つまり、何時もみたいに強化・拡張に時間を掛けて長時間犯された末に死ぬのではなく、娘が寝る時間ぐらいには死んで終われたということだ。これが理由の1つ。

 

 そしてもう1つ。普通に愛し合うようなセックスを演出させるためには私に嬌声を上げさせる必要があるということで普段より強めに強化を掛けられていた。また、彼女自身犯し方を工夫しているのか普段犯されるときに比べて痛みが薄く、感じるタイミングも多かった。

 だから何時もに比べれば比喩抜きで気持ち良いのだ。まあ苦痛であり死の恐怖があることには変わりないが。

 

 ……今更だが、これが「何時もよりマシ」という環境に慣れているのは如何なものだろうかとは思わなくもない。

 

 それはともかく。娘が壁一枚挟んだ向こう側に居る中で犯されて射精されて惨殺される、その過程を快感に感じているように演じるという状況こそ精神的負荷が大きいがそれ以上のメリットもあって私も文句は言わなかった(仮に何時もよりキツくても何も言えないというのはさておき)のだが。

 

「その、だな。どうしても私達のセックスを生で見たかったアビーが、私のメイドを催眠魔法で眠らせてしまったらしくて」

「従者の方が持っていた鍵をくすねて扉を開けたら、ちょうど絶頂した御主人様の射精の瞬間に鉢合わせてしまった、と」

 

 最近の私は娘に声を聞かせてあげられるように、という彼女の趣向で敢えて扉の脇の壁に手をついた背面立位の姿勢で犯されていた。

 そんな体位で彼女が絶頂すれば、射精で膨らんだ子宮や膣で消化器や背骨が圧迫、損壊した上で破裂することは容易に想像できる。そうして腰部周りが軒並み吹っ飛んで砕けた脊椎でかろうじて繋がっているような死に様を迎えていた事だろう。下手したらちぎれて上半身が床の汚濁に沈んでいたかもしれない。

 

 ……つまり、娘が目撃した「愛し合っている両親のセックス」とは次のとおりなわけだ。

 

 父親である彼女の射精で母親である私の上半身と下半身が泣き別れしていて。

 ペニスが陰門や膣を貫いているために、それに支えられて倒れることもなく立ったままの下半身の、射精の圧力で引き裂かれぐちゃぐちゃに吹き飛んだ断面が晒されていて。

 母親の断面から突き出された父親のペニスから吹き出る精液が、背骨からちぎれて精液と血と臓物に浮かぶ母親の上半身にだらしなくぶち撒けられ、惨劇を覆い隠すように白濁に沈められていった。

 

 さっきまで気持ちよさそうに声を上げていた筈の母の死に顔は苦悶と諦観に染まっていて、優しげに別れの挨拶を告げた筈の父親は背徳的な射精での殺人の快楽に恍惚とした顔で体を震わせていたことだろう。

 

 

 ………………………さて、どうやって娘を納得させたものだろうか。

 

 

「真っ先に思いつくのは、私達が本当は仲睦まじいのだと見せつけてやることなんだけどね」

 

 私の顎にくい、と人差し指を掛けて自分の方を向かせた彼女がニヒルな笑みを浮かべる。

 一挙手一投足が様になる美女である彼女を前に、私はじとっとした目つきを向けた。

 

「それをするには御主人様が私を殺さずに犯すことが必要ですが」

「…………」

 

 途端に黙り込む彼女。端から出来もしないことを挙げられても困る。

 そもそも彼女が私を犯す、という行為は殺意と性欲がない混ぜになった彼女が、その嗜好に合わせて肥大化したペニスを用いる前提となっている。

 彼女にとって犯すということは害することであり、それを理解して止められないからこそ好きで嫌いな私以外にその感情を向けていないし向けられなかったのだ。

 

 ……いや、1回だけ。私を殺さずに犯そうとしたことはあったか。

 

「可能であれば、強化魔法を最大の出力で使用して頂ければ死なずに済む可能性はありますが」

「……確かに、そうだ。でもそれは、その…………」

 

 言いよどむ彼女。おそらくかつての事件を思い出しているのだろう。

 

 ……思い出す。いいや、忘れもしない。臨月間際の私に夜這いを掛けてきたあの夜。かつての私によって殺された哀れな犠牲者である彼女が、魂を歪まされながらも強い理性と愛情で自分を抑え込める高潔な姿を見せた、あの日のこと。

 

 当時11歳で娘を妊娠していた私に対し、彼女の暴力的な膣内射精(なかだし)で胎内を蹂躙し、その惨殺された胎の中身を孕んでいた私自身に片付けさせるという行いを強要したい。そんな歪んだ欲求を爆発させかけた彼女は、胎内で生命が潰える様を味わわせるためには私が死んではいけないから、と平時とは段違いに強力な強化魔法を付与してきた。

 

 結局当時は未遂に終わったが……つまり、彼女はやろうと思えば私を殺さずに犯そうとすること自体はできるのだ。

 だから一応確認してみたのだが──言い淀むということは、まあ、難しいんだろうなとは思う。

 

「やはり、私が苦しむわけでもないのに生かすというのは抵抗がありますか」

「……ああ、そうだ。アビーにとっては不甲斐ない父親にはなってしまうが、私は、どうしても──セックスをするなら、君を苦しめたい。殺したい。裏切ったお姉さんを、愛している君を──何処までも、奥底まで犯したいんだ」

 

 そういって、うつむいた顔を両手で覆う彼女を見て嘆息する。

 

 そうだろうなとは思う。言いたくはないが、娘のために変われると言うならもっと前に変わっていてもおかしくはない。

 こんな彼女にしたのはかつての私だし、こんな彼女を受け入れ続けたのは今の私だ。だから私と彼女だけの関係だったなら、犯されて死に続けるのも当然だと思っていたし、変わってほしいと思いはしても強制したり頼んだりしようとは思わなかったが──今は娘がいる。

 私なんかより彼女の方が娘の保護者としては適しているし、そもそもこの家の後継者候補の娘は彼女から薫陶を受けなければならない立場なのだ。下手に仲違いさせるわけにもいかない。

 

 それに──これは、ある意味で。私と彼女の関係を大きく変える可能性があるのではないか。

 彼女の性奴隷になり10年以上経ち、正妻となって8年は経つ。ここまで長い間付き合い続けていれば、良くも悪くも慣れが来ている。殺意と性欲を以て犯し惨殺してくる彼女に対し、私も諦観や恐怖以外の感情を大分向けられるようにはなってきている、筈だ。

 

 だから、今なら。娘のため、親子関係のためという大義名分がある今なら──私は、いよいよ進めるのではないかと決心した。

 私は覚悟を決め、すう、と息を吸って口を開いた。

 

「では御主人様、代わりに私が魔法を用いるというのはどうですか?」

 

 そう言って、今後の形を変えるための第一歩を踏み出した。

 

 

 

「君が?確かに魔力は人間の元村人としてはかなり多いから、まあ不可能ではないだろうが……」

 

 怪訝な顔を見せる彼女。だがこれは必要なことだと思うのだ。

 

「私を犯して、苦しませて、殺す。それが御主人様にとっての当然のことで、だからこそ私に強力な強化魔法を適用するのが憚られるのもまた、当然です。ですが、あの子に仲睦まじい両親を見せるためにはやはり、私が死なないようにすることが最低限必要です」

「それはそうだな。だが──」

 

「であれば、私が魔法を使うしかありません。それとも、どなたか優秀な治癒や強化の使い手を侍らせますか?お互いに全裸で、肌を、胸を、秘部を晒して。地下牢でセックスする姿を魔法医の監視下でやったほうがいいですか?」

 

 彼女が何かを言う前に畳み掛ける。ちなみに後半は一応言ってみたが少なくとも私は絶対に嫌だ。復讐の為にと仇に股を開いたり色々していた私より遥かに貞操観念が硬い彼女はもっと嫌だろう。

 

「……まあ、確かに。構わず見せるのはちょっと、その、いくら何でも恥ずかしいな」

「そうでしょう?ですからどうか、御主人様の研鑽した魔法──私なんかがどれほど追従できるかはわかりませんが、強化の部分だけでも良いので教えていただきたく思います」

 

 ほんの少しだけ自尊心をくすぐるような言い回しで、彼女に上目遣いでお願いする。姿勢を低くしているのではなく単に上背で負けているだけだが。

 

「……はぁ。良いよ、教えてあげる。アビーとも仲直りしたいしな」

 

 そんな私のいじらしい?姿に絆されたのか、単に言っていることが正論だと感じたのか。小さく嘆息した彼女はそうやって困ったような、でも作ったわけではないと感じられる微笑みを見せた。

 

「とはいえ、だ。その、次の日までは2日しか無い。私が我慢出来ないのはそうだけど、アビーも私達が3日に1回セックスしているのは知っているから日取りをズラスわけにもいかない。かなり突貫で教えることになるし、徹夜になるかもだけど……」

「それは覚悟の上です。ただ、可能なら回復魔法等を掛けて体力を保たせていただけませんか?なるべく時間は有効活用したいので」

「まあそれくらいなら。魔法の基礎は……アビーと一緒に勉強済みだったな。適正は測ったか?」

「はい。攻撃魔法を一通りと、自己強化に適正がありました」

 

 他者を攻撃する魔法と、自己を強化する魔法。何処まで言っても自己中心的であるという私の本質を示しているようで少し気落ちする。目の前に居て私に暴虐を振るう彼女が他者にも適用できる回復・強化・蘇生といった慈愛に満ちた本質を示す魔法に適性を持っているのとは正反対だ。

 だがとりあえず自己強化は可能なので、それでどうにか頑張りたいところだ。

 

「自己強化に適正があるならまあ、あとは君のやる気と才能次第か。とりあえず、出来る限り頑張ってみて……難しそうならまた考えよう」

 

 ふむ、と納得したように頷いた彼女。と、そこで何かに気付いたように口を開いた。

 

「……もし駄目だったら言い訳が必要になるな。どう誤魔化したものかな」

「それは……もう、そういうプレイだったということにしましょう」

 

 悩む素振りを見せる彼女に対しバッサリと告げる。

 ……正直、この言い方も大分綱渡りだ。あくまで彼女は恐れ苦しむ私を犯して殺したいのであって、両者同意のプレイとは言いたくないだろう。かつて被害者側だった彼女自身の恐怖や悲しみを否定するような物言いだ。

 実際、さっさとぶった切った私になんか納得言ってなさそうな表情を見せていたし、申し訳ないとは思うのだが……しかしアレについてはもうどうしようもないと思うのだ。

 少なくとも娘に対しては、彼女が超優秀な蘇生魔法の使い手なのだからそれを前提とした倒錯的なプレイだと言い切るしか無い。

 

「……まあ、そうするしかないか。早めにアビーの誤解を解いて、元鞘に戻りたいところだな」

「お嬢s……当主様、資料持ってきましたよー」

「ありがとう、助かった。さて、それじゃあビシバシ鍛えていくから覚悟しておくといい」

 

 はあ、とため息を吐いた彼女は私達の話を聞いていた従者が気を利かせて持ってきた種々の教材をベッドに広げ、気を取り直したようにニヤリとした笑みを向けてきた。

 

「はい、その……スパルタでお願いします」

 

 娘のために──そして、彼女との関係のために。

 お手柔らかになんて腑抜けた言葉を吐きたくなかった私は、敢えてそう頼んだのだったた。

 

 

 

 ──────

 

 ────

 

 ──

 

 ─

 

 

 

「むぅ……」

 

 あの後、ぐずる娘を已む無く祖父母のもとに隔離?してハードな勉強会を始めて2日が経った。

 

 不満げに唸る彼女が私の腹を掴む。普段は無駄な脂肪も少なく頑張ればほんの少しは摘めるかな?ぐらいの私の腹が容易に掴まれるのもなかなかおもしろい。

 そのまま彼女がグイグイ引っ張れば、私の体が動くこともなく腹の皮や腹筋やらがまとめてぐにぐにと変形してこれまた不思議な感覚だ。

 

 ……相変わらず謎な魔法である。自分で使えるようになった今でもそう思う。

 

 本来は淫魔が持つ生体機能である「ある程度大きい相手でも受け入れられる」という性質を再現・強化するために開発された魔法であるとのことだが、戦場では近接攻撃時のリーチを伸ばしたり打撃の威力を減衰させるのに使えるそうだ。

 まあこの魔法を実践で使えるくらいの魔法使いなら他の魔法を使ったほうが強いという論が主流であり、実際に用いられることはあまりないらしいが。この魔法について彼女から指導を受けるに当たり、そういった現状なんかも合わせて教えてもらったのだ。

 

 そんな雑学も含めてきっちり講習を受けた私によって構築された強化・拡張魔法が適切に働いていることを確認した彼女は、我慢ならないとばかりに口を開いた。

 

「ずるくないか?」

「そう仰られましても……」

 

 基礎部分については既に習得していたから、後はより高度な部分さえ学べればよかったのだ。

 性欲が絡まない部分だと私相手でも非常に真面目だった彼女が律儀に回復魔法を使ってくれたおかげで、徹夜だろうが問題ないぐらいに私の体力を維持することが出来たのも大きいだろう。

 

 だから、まあ。2日目の昼ぐらいに目的の魔法を習得出来ていても何もおかしくはないと思うのだ。

 

「いやおかしいだろう。私はこれを覚えるまでにすごく勉強と実践を積み重ねたんだぞ……?」

「御主人様のご経験あればこそ、私が速やかに習熟することが出来たのです。私自身というよりも御主人様の御力あってこそですよ」

 

 そうかな……?なんて首を傾げる彼女。私としてはここまでお膳立てされていれば寧ろ習得できて当然だと思うのだが。

 彼女の教え方だって厳しいと言えば厳しいが、理不尽に厳しいわけじゃない。

 それに魔法の使い過ぎによる衰弱状態も予め準備していた回復ポーションなる薬品で復帰できたし、魔法の失敗で肉体に影響が出てしまっても彼女が優れた魔法で治してくれたおかげで問題はなかった。

 

 総じて、彼女という優秀な教官と潤沢なサポートがあるからこその習得だと思う。

 

「ですから、御主人様。私ではなく御主人様が素晴らしいのです。感謝いたします」

「そうか?そうか……いや、君がそう言うなら、まあ、その感謝は有り難く受け取っておこう」

 

 いまいち納得していなさそうだがとりあえず押し切った。

 

 とにかく、これで彼女のペニスや射精を受け入れるための条件はクリアできた、筈だ。

 後はこの魔法を適用して、彼女とセックスをして、愛し合う様を娘に見せつけてやればきっと納得してくれるだろう。

 

「……アビーの前で、か」

 

 ぽつり、と小さくつぶやく。

 何が悲しくて親の情事を自分たちの子に見せつけなければならないのだろうか。

 両親は愛し合っているんだよ、ということを示していくのは家族関係にとっては大事だが、そこに淫魔という要素が絡むだけで人間の私にとっては大惨事だ。

 

 彼女はどうなんだろうと思いその顔をちらりと見やれば、同じようにげんなりとした表情を浮かべていた。やはり転生者だから人間的な価値観がまだ残っているのか、或いは自分の異常な性欲と殺意を娘に見せたくはないのかもしれない。

 ふと、目が合う。彼女も私がどう考えているのかを知りたかったのだろうか。きっと同じようにげんなりとした私を見て、同じように心中でため息を吐いているに違いない。

 

 

 こんなしょうもないことで見解の一致を見てしまった私達は、しかし他にどうしようもなく。ただ互いに目を合わせて、へにゃりと苦笑することしか出来なかった。




私(20):人間。女。2児の母で2児の父。彼女が産んだ子に授乳してあげた(途中から)。ピンチはチャンスの精神で魔法の取得にこぎつけた。この作品で今まで出てきたネームドキャラで2番目に地頭が良く、魔法や武芸の才能も十分にある万能系女子。ちなみに一番頭がいいのは叡智の主(と司書)。祝福抜きなら彼女よりあらゆる才覚で勝っているのだが自己中メンタルで全部台無し。魔法も他害と自愛という畜生セット。普通はもっと他愛系の魔法も持てるはずなのだがほとんど適性がない。

彼女(43):淫魔。ふたなり。2児の父で2児の母。主人公が産んだ子に授乳してあげた。主人公の口車に乗せられて魔法を教えたらたった2日でマスターされて不貞腐れている。祝福と昇格の2つがあって絶対的なパラメータの差で主人公より遥かに優位にいるが、才能では全部負けている。ただ博愛性が高く自身の性に関する異常性を理解して主人公以外に向けないなどメンタル面では遥かに勝っている。この主人公にメンタルで負けるほうがどうかしているとも言えるが。魔法は自他問わず回復・防御・強化・蘇生などのバフ適性が高い。淫魔だけど精神系の魔法はからっきし。

アビゲイル(9):淫魔。女。長女。父親と母親の修羅場(文字通り)を見て家族の信頼が崩壊しかけている。被害者の主人公が頑張って説得したからもう一度信じようとしているが、多分次で駄目だったらプレイだなんだと言っても信じてくれないどころか下手したら母親すら信じなくなる可能性がある。残当。淫魔らしく催淫系の魔法への適性が高い。

バーソロミュー(7)、キャスリーン(4)、クリスティアン(4):淫魔。男、女、男。アビゲイルとクリスティアンは主人公母で彼女父、バーソロミューとキャスリーンは主人公父で彼女母である。なお全員黒髪ストレートヘアで両親そっくりの女顔。アビゲイルと合わせて全員女の4姉妹と見られている。
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