性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話 作:PP→KP
日本語において驚いたことを「たまげた」と言う。
このたまげたという言葉、実は漢字で書くとは「魂消た」、魂が消えたと書くそうなのだ。魂が消えるだなんて大げさな書き方だなあと思えるかもしれない。でも私はそうは思わなかった。
「…………………え、……?妊、娠…………?した、のか。君が……」
つまりこう、驚きすぎて考えていたこととかやろうとしたこととか、そういった全部がパーンと消えてしまうのなら、それはもう魂が消えたようなものなんだなあ、と。
お腹を膨らませたお姉さんから告げられた言葉はつまり、私にとっては魂が消えるような衝撃だったということだ。
さすりさすり、と恐る恐る小さな、でも大きくなったお腹を撫でる。
今のお姉さんは10歳だ。前世であれば小学校に通ってて、難しい勉強なんてしていないようなそんな時期。男子がちょろっと馬鹿話とかをしてたりとか、少ないながらも友達とませた話をしてたりとか(家ではもっと酷いことになってたけど)、そんな子供としか言えない年齢。
……そして、私がかつての父に犯されていて、避妊すらしない
私はどこか、甘く見ていたんだろう。私はずっと犯されて、でも妊娠なんてしなくて。だから子供のお姉さんはまだ妊娠しないだろうって思っていた。赤ちゃんができる子宮が原型を留めないぐらいにぐちゃぐちゃにしてるんだから、殺してるんだから、だから無責任に
でも現実は違った。お姉さんはかつての私と違って既に初潮を迎えていた。妊娠できるような体になっていた。だから──あの夜、急いで出立した時。犯している途中で殺さなかったから、きっとその時に私の赤ちゃんを妊娠しちゃったんだ。
淫魔として育ったから、一通りの性知識はあったつもりだった。だから先走りにも精液があって、妊娠させることがあるとは知っていたつもりだった。
だけど全然実感なんてしていなかったんだ。
お父様もお母様も、えっちなことは大好きだ。いっぱい
さすり、さすり。まだ小さいけどたしかにそこに私の血を引く生命があることを示すように、私に近い魂の波長を返してくれるお姉さんのお腹の中の子供。私とお姉さんの、性交の結果でデキてしまった赤ちゃん。
好きだった。憎かった。好きな人だから抱きたくて、犯したくて。憎い人だから傷つけたくて、殺したくて。だからずっと犯し続けた。一晩中抱き潰して、子宮を抉って、
良くないことだとは分かっていた。それでも、今の私なりの愛し方がそれしかなかった。だからせめて夜の間に獣欲を使い切って、朝になったらちゃんと話をしようって。いつか愛し合えるようになりたくて、少しずつ進めないとって決意を新たにして。
でも、まだ愛し合ってもいないのに。私は彼女を一方的に犯して、無理やり孕ませてしまったということだ。赤ちゃんを作ってしまったということだ。
……こんなの、お父さんより酷いじゃん、私。
「お嬢様は……私が妊娠している子を、どうされますか?」
「っ!」
お父様から確認するように、そう前置いて伝えられたその言葉は。不安な感情が伝わるその言葉は。
まるで、不本意な妊娠であるという意識を共有したいと言っているかのように感じられた。
ああ、やっぱり。お姉さんだって嫌だよね。ごめんね。
犯して殺したお姉さんに嫌われていても、私は嫌じゃなくて。怖がられていても、嫌じゃなくて。でも駄目なことだとは思っていから、今日で少しでも関係を進めたかったんだけど。
でも、そうなる前に、取り返しのつかないことをしちゃった。ううん、しちゃってたんだ。私は。
……そして、それでも。私は、彼女との子供が居ると知ってしまったら……その生命を諦めたくはなかった。
「私の心は決まっている。──私と、君との間に出来た子供だからね。当然、その子がちゃんと育つまでは私も君に手を出したりしないよ」
だから、それでも、もっと嫌われてもいいから、お願いだから──私とお姉さんの赤ちゃんを、産んでください。そう思って言った言葉に対して。
「……わかりました」
なんて、無表情ながらも安堵の感情を伴った返答を受けたときの私の感情は、どう表現したらいいんだろう。
お姉さんは、さっきの私が考えているようなことを思っていなかったんだ、って最初に思った。赤ちゃんを産みたかった、堕ろしたくはなかったんだって。
もしかしたら……いや、もしかしなくても不本意だというのはそうだろうけど。それでも、私の赤ちゃんを嫌っているわけじゃなかったって、そういう歓喜があった。
もしかしたら……赤ちゃんが生まれたら、親子になれたら。そこから、今の家族みたいに仲良くなれるんじゃないかな、なんて淡い希望を抱くことができていたんだ……このときは。
お姉さんに二言三言注意した後、フローを連れて牢を出る。部屋に戻る足取りもどこか浮ついていて、正しく浮足立ったという形容がぴったりだったと思う。
「嬉しそうですね、お嬢様」
「ああ、嬉しいとも。彼女みたいな可愛い子が産まれてくると良いんだが……いいや、彼女との子という時点で可愛いとしか思えないだろうな、私は」
ふんふん、と鼻歌交じりで自室に入り、その感情のままに不調法にもベッドに飛び込んだ。
はしたないものを見る目で見られたけどまあしょうがない。ロングスカートを捲くるようにアレが跳ねるのを見たら苦言の1つも言いたくなるだろう。
……私だって本当ならちゃんと下着でも何でも抑え込みたいのだけれど。でも普通の男物の下着じゃあ私のちんちんを抑え込むのは無理だから、しょうがなくローライズのショーツを履いて陰茎部は全部露出させて、そして上からカバーを付けて隠していると言い張っているのだし。
大丈夫。フローじゃ勃たない……というか、お姉さんを前にしないと妄想ですら勃たないし。
「はあ」
「何だそのため息は。フローは見たくないのか、あの子と私の赤ちゃん」
「そっちじゃないんだけどね……もとい、そちらではないんですけどね。本当にテンション高くて気色悪いと言うか」
アホを見る目で見られている気がして苦言を呈したらそれ以上の苦言が返ってきた。幼馴染とは言え主に向けて言う言葉か?
むぅ、という表情を浮かべる。もう33にもなるのにとは思ってしまうが、きっとそれぐらいお姉さんが赤ちゃんを受け入れてくれたことが嬉しかったんだろうと自己分析する。
「ともかく。お嬢様、暫く地下牢に行っちゃ駄目ですよ?もし盛ったら赤ちゃんが死んじゃうんですからね」
だからそんな、何気ない一言が私に突き刺さった。
「……ああ、勿論だ。彼女にも言っただろう、育つまで手は出さないと」
「なら良いですけど」
フローからすれば余りにも当然で、牽制程度の言葉があれば私が自制することが出来ると信じての言葉だったのだろう。何なら冗談程度の話でしか無いかもしれなかった。そう思えるくらい、フローの感情は平時のままだったから。
(赤ちゃんが……死んじゃう?私が、今のお姉さんを犯したら……)
やって良いはずがない、想像すらするべきじゃない。そう思ったのに、悍ましい好奇心が抑えられなくてつい想像してしまった。もし、今のお姉さんが……もっとお腹が大きくなって、赤ちゃんが産まれそうになって、そのお姉さんを何時もみたいに犯したらどうなるのかを。
きっと、私の太く長いちんちんはその長さの半分、いや1/3も彼女の体に収まらないだろうな。子宮の入り口、赤ちゃんがすくすく育っているそこに亀頭があたって、お姉さんは痛がるかな。
お姉さんはきっと泣くに違いない。だって赤ちゃんを産みたいと思っていたのだ。私みたいに、赤ちゃんが欲しいって思っていたのだ。だから、きっとその先を思えば泣いて嫌がるだろう……憎いあの人が、そんな顔をするのだと。今までみたいな諦観の顔じゃない、絶望と恐怖と最後まで抵抗して、それでも願い叶わずどん底に落ちるのだと。
ゆっくりゆっくり、私は魔法を使って柔らかくしたお姉さんのちっちゃくて狭い子宮口を握りこぶしみたいな亀頭で無理やり押し広げるんだ。子宮の中では今か今かと産まれるのを待ってる赤ちゃんが居て、私の亀頭がその子に当たって──そして、お姉さんを破裂させるような精液を、直に浴びて。逃げ場もないまま、射精に呑まれて。私はそれに絶頂しながら、ぐちゃぐちゃの胎内を亀頭で掻き混ぜて。
きっと、白濁に血の赤と内蔵のピンクが混じった汚濁になって、お姉さんのちっちゃな入り口からどろりと流れ出すんだ。
(駄目、駄目だ!考えるな!考えるなってば……ッ!)
嫌だ、そんな結末を迎えたくない。そう思うのに、その嫌だという感情が薄れていく。心を喪い涙すら枯れたお姉さんが、死んだ目でお腹から赤ちゃんだった精液の塊を、そのちっちゃな手で掻き出すのだと思うと昏い感情が滲み出てくる。
(っそうだ、赤ちゃん!赤ちゃんが可哀想だよ!赤ちゃんが嫌いなわけじゃない、むしろ大好きで、だから死んでほしくない、そう、そうだよ!)
仲のいい親しい友にそういった感情を抱かないのは、その友に憎しみを抱いていないからだ。だから死んだことで喜べない。生きていたほうが遥かに嬉しい。だからそういった感情も、性欲も抱かないし抱けない。
それは赤ちゃんだって、私達の子供だって同じことだ。お姉さんが苦しんで、泣いて、これ以上無いほどの絶望に沈むことで生まれる昏い感情なんかより、赤ちゃんが無事に産まれてきてくれたほうが遥かに嬉しいに決まってる。
だから大丈夫だ。その筈だ。
「……お嬢様?」
「っああ、何だ?」
内心が大きく揺れていた私を怪訝に思ったらしいフロー。危なかった、ちゃんと取り繕えたかな。
「それで、私はどうします?あの子の手伝いに行きましょうか?」
「ああ、ええっと。そうだな……」
その申し出を聞いて、私は一瞬悩んだ。
フローは私とお姉さんの間柄を知っているから、お姉さんのケアには向いている。フロー自身もそれを自認しているからこそ名乗り出たのだろう。それに私自身が地下牢にいけなくても付き人のフローを派遣すれば、幼い性奴隷を孕ませた主がそれでも大切に思っていると対外的に示すことは出来る。
特に悩むことはない。彼女の申し出を承認すべきだ。
「ああ、頼めるか」
「はいはい、了解です」
よし、これでいい。あとは私が部屋に居て、地下牢にさえ出向かなければ良い。
「……ついでと言っては何だが、彼女のお腹の状況とか、赤ちゃんをどう思うかとか聞いてもらっていいか?出向けない分それくらいは知りたいんだ」
あれ。何でこんな事を言ったんだろう。皆に任せていれば心配なんて要らないし、お姉さんが赤ちゃんを大切にしていることは分かっているし。……赤ちゃんが育ったところで、地下牢にいけない私が手伝えるようなことなんて無いのに。
「ええ、わかりました。お嬢様ったら顔がいいから、似た子が産まれるといいですねえ」
無意識に口をついて出た頼み事は、しかし普通なら当然のお願いだ。フローは何も躊躇うことなく了承してくれた。お世辞なのか本心なのか……いや、フローは私にお世辞を言ったことなんて無いし本心なんだろう。まあ、顔がいいのは本当。だってかっこいい警察のお姉さんに似るようにって肉体作用系の魔法を頑張って覚えて育つ過程で使い続けたのだから。お姉さんみたいなかっこいい大人になれるようにって、そんな思いで。
だから、生まれる子はきっと。私にとって憎くて大好きな、警察のお姉さんに似てくれる。私と警察のお姉さんの血を引いた、実の子供として産まれてきてくれる。
『俺が居なきゃお前は産まれてもいねえんだ、だったら俺が好きに使ってもいいだろうが!』
なんでだろう。そんな、ずっとずっと前に言われた嫌だった筈の言葉が、頭の中に響いた気がした。
「今6ヶ月だそうですよ。胎動も増えてあの子、小さく笑ってましたよ」
それは良かった。元気に育ってくれたら何も言わない。
「ああ、今日で7ヶ月と2週ですかね?医師の話を聞くに、どうやら平均に比べて身体が大きいそうです。やっぱりお嬢様の血を引いてるんですねぇ」
そうか、私の血を引いているんだったな。警察のお姉さんも大きかったし、もしかしたら2人の血を継いでもっと大きくなったりするのかな。
「8ヶ月にもなると、運動させるのも一苦労ですね。かといって寝たきりも良くないですし……もう本人に洗濯とかもさせられませんね」
危ないものね。転んだりしてお腹をぶつけちゃったりしたら、中の赤ちゃんに響いちゃうから。気をつけないと。
「もう9ヶ月で、あとひと月もすれば産まれるみたいですよ。寝る時も無意識に手を当てて、お嬢様との赤ちゃん、本当に大事にしているみたいですよ。良かったですねぇ」
そっか、私の血を引いている赤ちゃん、大切にしてくるんだね。考えなくても、本能的に。そうだよね、お姉さんもお母さんになるんだもんね。私も……お父さんに、なるんだもんね。
……私の血を引いているのに。私の子供なのに。
──どうして、赤ちゃんはお姉さんに優しく守ってもらえるんだろうな。
お父さんの言葉が反芻される。嫌だった筈の理不尽な暴虐が脳裏に蘇る。
生物的にも、倫理的も、到底許されない、嫌悪されるべき思想の筈の、それが。
(──そうだよ)
私の血を引いている子供なんだから、親の好きにしても、良いんじゃないかな。
あの子で、私達の、お姉さんとの愛情を確かめるのに使うぐらい、許されるんじゃないかな。
頑丈な私の血を引いているわけだし、私だってお父さんに使われても生きていられたし。
だから、ちょっと使うぐらい、大丈夫なんじゃないかな。
「──知ってます?あの子、自分の子がお嬢様に似るといいって言ってたんですよ?良かったですね、お嬢様」
「そうか──ああ、それは本当に良いことだ」
……お姉さんに嫌われている私の血を引くくせに、私よりお姉さんに大切にされている子。私に似て欲しいだなんて思われるなんて卑怯だと思う。そんなことになってしまったら──私じゃなくて、私に似た子がお姉さんに愛されてしまう。そんなのは駄目だよ、ずるだよ、悪い子だよ。
だから────お仕置きくらいは良いんじゃない、かな。
──その日の夜。どうやって、どんな風に部屋を出たのか。何を思って夜に歩き出したのか。
────私はもう、何も覚えていない。
まるで夢の中を進むようだった。
夜という秘められた時間こそが本領の淫魔といえども、本当の真夜中をうろつくことなんてそうそうない。そんな本当の真夜中、家人も家族も付き人のフローも寝静まった新月の館を、私はただ歩いていった。
僅かな照明、最低限の常夜灯とでもいえるような魔法の明かりに導かれるように、最上階にある自室から最下層の地下にある部屋までの道のりを靴も履かずに進んでいく。
大理石の艷やかな冷感、カーペットの柔らかな触感を超えた先。硬くゴツゴツした、およそ裸足が適さないような石造りの道を超えて、私はその扉を静かに開いた。
そこに居たのは、ずっとずっと見ていなかった好きなヒト。フローの言うようにお腹を優しく抱えるように寝ている、小さな女の子。
その姿をみて、私は獣欲を高めてしまう。そのお腹を見て、性欲を滾らせてしまう。
憎くて好きな相手なら、私は犯すことが出来る。愛して、犯して、傷つけて、殺せる。眼の前の少女の歪む顔を見て覚える昏い情動のためなら、私は悍ましい行いで性を満たすことが出来る。
そして、今日は、今はそれだけじゃない。彼女だけじゃない。──そのお腹の中も、同じ様に思えてしまう。だって、あんまりにも嫌いな言葉だったかつての父の言葉が、今は嫌じゃないのだから。
父親の私が、娘であるお腹の赤ちゃんで、愛するヒトを歪ませることは──薄ら憎くて、とても好きな自分の娘を、歪んだ性欲のために使うことは。全然、これっぽっちも、嫌じゃないのだから。
そうして、私は──彼女の小さな手にガチャリと手錠を掛けた。
彼女は我儘だった。私の性奴隷なのに、私が好きな人なのに、私が憎いヒトなのに。それでも、私よりも赤ちゃんを優先していたのだ。
だから、私は彼女を頑張って説得した。
私を守らなかったんだから良いじゃないか、とか。
子供は親のものなんだから一緒に愉しもうよ、とか。
赤ちゃんはまた作れるから大丈夫だよ、とか。
そんな事を話したからか、彼女は──警察のお姉さんは、私が誰だったのか気付いたみたい。私のことを覚えていてくれたことが嬉しくて、思わず笑ってしまった。
そうして、警察のお姉さんが殺したお父さんが言っていたことを引き合いに出して、無理矢理に犯して。
産まれる前の赤ちゃんを
私より
掛け値なしの「好き」という本能的な感情を、一気に浴びたんだ。
まるで、悪夢の中を彷徨っていたようだった。
やっぱり、淫魔だからって真夜中にうろついちゃいけないんだ。月明かりもないこんな夜だ、何が起きてもおかしくはないんだ。
薄暗がりの中、必死で走り続けた。後ろを振り返らないように、あんな悍ましい世界に戻らないように。あんな──あんな悍ましい自分を見ないように。
私に痛みを与え、正気に返してくれる硬い石床を蹴って、柔らかなカーペットがずれても構わないとばかりに床を踏みしめて。私は硬い硬い大理石に爪先がめり込むぐらいの勢いで走り続けた。
そうして、自室のある最上階に到着した時、すれ違いざまに階段を降りようとするフローにぶつかりそうになって。
慌てて止まった私がバランスを崩してしまい、暗闇に染まった螺旋階段の底までも落ちそうになって──獣人族特有の強く靭やかな筋肉がついた毛深い、それでいてとても暖かい腕に掴まれて。そのまま抱き抱えられるようにして部屋まで一気に連れて行かれたのだった。
部屋に戻った私は応接用に置いていた立派な木造のテーブルの脚を引きちぎって扉に叩きつけた。そのままナイフでもフォークでも何でも良いとばかりに釘のようにしてテーブルを扉に打ち付けて、徹底的に強化魔法を掛け続けた。
そうして限界まで強化した、塞がった扉にもたれ掛かるようにしてずるずると座り込んで。
眼の前の怒ったような、悲しんだような幼馴染に向かって、ぽつり、と口を開いた。
「ねえ、フロー……私、私……もう、駄目だよ、きっと」
「お嬢様…………」
これ以上無いくらいの弱音。フローもきっと何かがあったのだろうこと察したのだろう、怒りよりも悲しみの感情が強くなっている。やめてよ、私のことを怒ってよ、止めてよ。あんな、あんな恐ろしい真似をするような主人を諌めてよ……!
「どうしても、あの子を苦しめたくなる。殺すために犯して、苦痛に歪んだ顔を見る度に気持ち悪い快楽が私に生まれるんだ。今日、今日なんて……私との赤ちゃんが、おなかに居たまんま、犯して、殺、そう、と……!」
ああ、駄目だ。怖い。私はどうしてあんな事ができたんだろう。私はどうして──そのことで、また、勃起しそうになっているんだろう。
「……まずはお嬢様。ご自身の御身体を治してください」
「身体……そうか、これだ、これがあるから──」
咄嗟に精液を押し止めるため、尿道に突き刺した親指の穴がまだ残っている。勃起のために血の流量が増え、どくどくと血を流しているそれは、あの子を、そして自分の娘を殺そうとした凶器だ。
こんなものがあるから性欲に流されるんだ、獣欲に突き動かされるんだ。そう思った私は、穴に指を入れて、根本から──。
「っおやめください!それ以上傷を放置するどころか広げてしまうと死んでしまいますよ!?」
「だって、こんなのがあるから私は赤ちゃんを犯そうとしたんだ!こんな、こんなのが──!」
「──良いから治せっつってんのよこのバカ!死んじゃったら元も子もないでしょ!?」
「だけどっ!」
「イヴェット!あんたが死んだらその責を取らされるのは誰!?わかるでしょ、直前に会っていたあの子なのよ!!」
「────っ!!」
「……おわかりですよね、お嬢様。性奴隷が主に反抗して、その結果どうあれ主が死んだとなれば。今まで受けていた行為の非道さを当主様が公開するでもない限り、死ぬのは奴隷のあの子なんです。良いんですか、あの子が単に罪人として絞首刑になっても?」
「──お父様が、公開しないなんてことはないだろう。あの娘のお腹には後継者が居るんだ、流石にそれを無碍には──」
「本当にそう思いますか?お嬢様は小国とはいえこの国で最強の戦士にして
フローの言う結末を震え声で否定したが、それすらもより有り得そうな未来で上書きされる。
彼女が、お姉さんが死ぬ。私が死んでからお姉さんが死んだら、きっと誰も蘇らせてはくれないだろう。世間では優秀な治癒師であり戦士だと知れ渡っている私が死んだ原因だと触れ回らせてしまえば、それこそ罪人だの悪党だのと言われてもおかしくはない。
──お姉さんの魂を持っているから、という理由で。住んでいた村ごと無理やり領土抗争に持ち込んで連れてきた少女。穏やかな田舎の集落で優しい両親とともに安穏と暮らせるはずだったゼノヴィアという女の子は、両親から引き剥がされて地下牢に囚われ幾度となく犯されて、殺されて、孕まされて──最後は性奴隷でありながら主を死に追いやった罪人として、尊厳のないまま生命を終わらせられてしまう。──加害者として、その罪を背負ったまま最期を迎えることになってしまう。
「……わかった、治す」
ぽう、と治癒魔法の光に照らされ、私の血染めで青あざまみれの歪んだ、赤子と母胎をまとめて犯そうとした悍ましい性器が元の形を取り戻す。
本当は治すべきじゃなかったかもしれない。だけどそれでも──あの子は、お姉さんは、死ぬならばせめて被害者として死ぬべきだと思ったのだ。だってそうだろう、私がかつてのお姉さんにやられたことをやり返しているのだから、お姉さんはかつての私と同じように被害者として扱われないとおかしいじゃないか。
元に戻った性器にカバーを付けて、その上からスカートで覆い隠す。親しい間柄とは言え見せたいものではない。
「ねえフロー、私、どうしたらいいんだろう……」
もう何もわからない。どうすればお姉さんに優しく出来るのかが分からない。……どうすれば、産まれて欲しいって思っていたはずの赤ちゃんを犯して、後戻りできない快楽に浸りたいっていうこの思考を止められるのかがわからない。
唾棄すべきこと、嫌悪すべきことなのに。神様の祝福はその嫌悪を取り払っちゃって、歪んだ欲望だけが残り続けていく。
「……私には、何も手立てがありません。お嬢様が何かしようとした時に体を張って止めることすら叶いません。……あの子が3日に1度惨殺されていると知りながら、駄目だ、止めろと声を上げることすら出来ないのですから」
「フロー……」
それは、そうなってしまったのはフローは悪くない。お父様には私の味方をするように言われているし、私だってお姉さんを犯していることについてフローが問いただしてきても「前世の因縁だから」なんて言って介入しないように言い含めていた。
何より獣人族と淫魔族という種族的な強さの垣根を遥かに凌駕するほどに
そんな主人を命を賭してでも止めろ、だなんてことを言えるわけがなかった。
「
が、そんな私の葛藤を知ってか知らずか。フローはキッと目つき鋭く私を見つめ言葉を続けた。
「私では無理です。この国の戦士たちでも無理です。力量もさることながら事情を公表することも出来やしません。本来ならばお嬢様の心変わりを祈るぐらい……
「で、ですが……?」
すごく強調してくる。何を言おうとしているのだろうか……ちょっと怖いが、それ以上に期待感が胸に湧く。その言葉の端々から現状を好転させうる可能性なんて既に見出している、とでも言わんばかりの力強さが溢れている。
「……単純です。私達では無理なら、出来るヒトを呼びましょう」
「な、成る程……?」
お父様とかお母様とかに諭してもらうとかだろうか。でもそれで解決出来るのか、と不安になる私を一蹴するかのように、フローは力強く言葉を続ける。
「ある程度事情を話せる
「あ、アグナギメルさんは故郷での立場があるからちょっと難し……ヒィっ!?」
恐る恐る声を掛ける私をギロリと睨む眼光鋭いその瞳には、かつて人間だったが故に力量差をも超えて昇格者である私を恐怖させるような、そんな獣の力強さが輝いていて。
「良いですかお嬢様。事ここに至って、根本的な解決は後回しです」
にやり、というよりニタリ、と笑うその口角にちらりと見える獣人族特有の鋭く長い犬歯は──よくCWCで揶揄するために使われる「笑うとは本来攻撃的なモノである」なんて言葉はもしかして真実なんじゃないか?なんて思わせてしまうほどに背筋が凍りそうなもので。
「とにかく赤ちゃんが生まれるまでの1ヶ月、お嬢様が地下牢に絶対に近づけないようにしましょう──物理的に!!!」
真夜中の、それも主一族の居所である最上階で。
下手したら皆が起きるんじゃないか、そう思わせるほどの大音声で言い放ち。
あまりにも力技過ぎる解決策に唖然とする私に向けて、フローはビシッと指を突きつけた。
イヴェット・ゼヌニム(34):
赤ちゃんが出来たことを知って感情を処理しきれず無表情でお腹を撫で続けていた。それでも内心ではすごく嬉しかったのだが、ちょっとそこから色々あってヤバいことになった。
かつての父の言葉が「嫌いではなくなっていた」こと、娘が自分を差し置いて「警察のお姉さん」に大切にされていたことなどが理由で狂気に奔った。どうにか正気に戻った後は自分がゼノヴィアに近寄れないように扉を封鎖して、自分のちんちんを引きちぎって死のうとした。ちぎった後に回復させるには彼女の魔法の能力が強すぎたので自然治癒に任せるしか無いがそんなことしたら普通に出血多量で死ぬためにフローに説得されて渋々治した。その後のフローの獣の眼光(意味浅)にたじたじになりながらもそれが最善と判断して彼女の提案を受け入れた。
フローレンス(35):猫獣人。女。主人な幼馴染が気づかぬ内に部屋から消えていたので魂消そうになった。
戻ってきた主を無理やり部屋に引っ張り込んだらその主が狂ったように部屋の扉を塞いだ挙げ句にちんちん引きちぎろうとしたから慌てて止めるファインプレー。ここでイヴェットが死んでたらマジで主人公も赤ちゃん産んだ後で処刑されていた。多分主人公は受け入れるだろうけどその後遺された赤ちゃんを育てることになるのはフローレンスなのでマジで色んな意味で地獄を見るところだった。幼馴染がロリ性奴隷を殺人レイプした挙げ句にそのすったもんだで両親死亡済みの赤ちゃんを育てろとか精神的拷問も良いところである。ついこないだ聖都で会った頼れそうな