※この作品はR-18です。

性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話   作:PP→KP

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3話:「私」が死ぬ理由

「────、はっ、はっ……夢、か」

 

 酷い夢だった。私が初めてここに連れてこられた時の記憶。私が彼女に初めて犯された時のことは今でも鮮明に──いや、鮮明と言うほどでもない。出血と激痛で意識が朦朧としてた中での記憶だから、もしかしたら誇張されてたかもしれない。

 

(……いや、だとしても腹が引きちぎられたのは確かだからな……)

 

 

 従者曰く、私が死んだ後も彼女は私の身体を犯すことを止めなかったらしい。私の性器が絡みついたペニスを私の死骸に擦りつけ、終いには射精したときに「ナカ」に射精そうとして腸を掻き分けるように挿入・射精した結果、私の死骸が臍があったあたりから「射精で」真っ二つに引き裂かれたそうだ。

 ……そんなことまで細かく説明しないで欲しかった気もする。教えてくれた従者もその悍ましい光景にトイレに直行して腹の中身を戻したと嘆いていた。

 

 そして次の日の朝、私は彼女の蘇生魔法によって生命を取り戻した。蘇生早々眼の前にあった慈愛の顔を浮かべた彼女に私は悲鳴を上げそうになるも、彼女の手で素早く抑えつけられてしまって半ばパニックになっていたと思う。

 彼女は怯える私の頭を撫で、手を離した後ですぐ私にペニスを咥えさせ(急なことで歯を立ててしまい、勃起した彼女のペニスで上顎をへし折られた。申し訳無さそうに治癒魔法で治してくれたが……)、私の胃にはち切れそうなほどの生臭い精液を流し込んだ。

 

「っ、ふぅ……それじゃあ、次は3日後だ。それまでは……この家の敷地から出ないのなら好きにしていい。ああ、この部屋は片付けておいた。昨日使ったベッドは君の場所だから片付けておくといい。いずれまた使うだろうから」

 

 なんて言って去っていた彼女。彼女から与えられた痛みと恐怖で精神的に深い深い傷を負った私は、彼女の指示に震えながら頷き、精液と死臭がないまぜになった悪臭に辟易しながらも自分の残骸を大きいバケツにより分けていった──忘れがたい記憶だ。

 

 

 彼女の言う3日後の夜から、彼女は新たに強化・拡張魔法を使用するようになった。その結果、1日目のような惨殺を迎えることはなくなったが──それでも、結局犯されるごとに殺された。

 胎に射精した精液で身体が破裂することが大半で、正直それだって痛いし怖いが──今となっては慣れた死に方の部類だ。

 強化魔法が強くかかりすぎて破裂せず、精液で膨らんだ子宮と膣によって潰された内蔵を口から吐き出すように死んだこともあるし、逆に強化しきる前に興奮が最高潮になった彼女のペニスに他の臓器を貫かれて死んだこともある。ひどい時だと私の胴の前面部を彼女のペニスが突き破って体外に出て、痛みに顔を上げたときに射精されてしまって、射精の勢いが強すぎて精液が直撃した頭部が大きく破損し、頭蓋骨陥没と頚椎骨折で死んだなんてふざけた死に方もあった。

 

 そして昨日、私は彼女との33回目の性交で、33回目の死を迎えた。手を握りつぶされたことで全身に力を入れてしまい、死ぬ心の準備をする前に殺されてしまった。

 ……唐突で、そして痛みを伴う死は、私の知る限り一番嫌な死に方だ。死ぬのは恐ろしいからこそ、せめて覚悟くらいはしておきたい。だから最初の日の夢を見たのはきっと、それが私にとって一番の死への恐怖と絶望の記憶で──私が一番、覚悟出来ないままに死んだ記憶だからだろう。

 

 明後日の夜、私はまた彼女に犯されて殺されるだろう。彼女はいつものように優しく、労るような態度で、私を傷つけ、苦しめ、殺すのだろう。幾度の死を経ても蘇り、そしてまた殺される。本当に地獄のようだが、だとしても犯されることで惨殺されるという殺され方は、果たして何の地獄で何の罪業なのだろう。

 彼女がここまで私を犯して殺すことに拘るのは何故だろう。不思議に思って誰かに聞こうと思っても、流石に彼女に直接聞くのは恐ろしくてとてもではないが無理だ。奴隷だからと、蘇生できるからと惨殺を繰り返すような行いはこの世界でも異常者の振る舞いだということは私でも知っている──他ならぬ彼女を知る者にそう言われたから。

 

 

「お嬢様は、そうねえ……。その、気の毒っちゃ気の毒なんだけど……貴女以外にはああいうコトをしたことないのよ」

 

 従者がとても申し訳無さそうな顔で、ぽつりぽつりと語ったのは、そんな言葉だった。

 

「ううん、何なら淫魔なのに浮ついた話の一つもないってことで不思議がられてたくらい。孤児院の子どもたちの面倒を見てあげたりとか、病院の普通の回復魔法じゃ対処できなさそうな人の治療をしたとかで皆から感謝されてるすごい方なのよ。戦地ではすっごい魔法を使って敵をやっつけたり、味方の蘇生や強化とかの魔法を駆使して大活躍したって話も聞くし。この国の民でお嬢様のことを尊敬しない、感謝しないヒトなんてそうは居ないってぐらいには優しくて、勇敢で、強い方なのよ」

 

 かつて私が数回ほど殺されたときに、彼女の従者に何故私が、と涙混じりに聞いたときに帰ってきた答えは、そんな言葉だった。

 信じられない、という顔をする私に複雑そうな表情を見せた従者は、更に言葉を続けた。

 

「疑うのも分かるわ。貴女からすれば暴力なんて生温い、残虐で残酷な主人としか思えないでしょうしね。……貴女が来る前から、この部屋の整備が進んでたの。家財の運び入れもそうだし、貴女が暮らしやすくなるように上下水道の工事なんかも入ってた。あとは……まあ、色々ね。まさかこんな目的で進めてたとは思わなかったけど……」

「それって……」

 

 まるで、私を迎え入れることを最初から想定していたような話に、私は困惑していたように思う。

 彼女が今までこの国で見せてきたという姿を知る限り、好色なわけでも、残虐なわけでもない。人徳に溢れ、民を守り、敵に容赦ない。まさに理想的な貴族であり……私を犯して殺す彼女の姿と重なる点が殆どなかったのだから。

 

「だから、今のお嬢様は色々と危ないわ。自分で買った性奴隷だから犯す、まではまあ良いのかもしれないけど……でも、この国では重犯罪奴隷みたいな例外を除けば奴隷でも勝手に殺してはいけないのよ。たとえ蘇生させるとしてもね。だから私も初日の様を見て当主様には報告したんだけど……当主様はお嬢様の味方みたい」

「…………まあ、性奴隷と跡継ぎではどちらを優先するかは決まってるとは思います」

 

 この従者からしても異常だったという彼女の行動はやっぱり即座に上に報告されていた。そしてその上で現状が許容されているという事実が、当時の私にはとても重く感じられていたように思う。

 あの狂気の行いは彼女の両親も認めているということになるのだから、この生活を受け入れるしかないのだと。もうどうしようもないのだ、これは己の罪の結果なのだと諦めて、以降は誰にも相談することもなく、ひたすら覚悟できる死を迎えられるように──唯々諾々と、犯されるときの彼女の要求に応えられるようになっていったのだった。

 

 

 

「……いや、待てよ?」

 

 と、ここまで従者とのかつての会話を想起したところで、今朝の夢を──その夢を通じて、過去の、初日にここに来たときの会話を思い出した。

 確か、彼女の両親である当主夫妻は私に「頑張れ」と言っていた。ここだけ切り取れば単なる激励なのだろうが──これはつまり、彼女の両親は私の奴隷としての仕事を理解していた可能性が高いのではないだろうか。

 思い返せば、彼女の父は私を見て言葉を濁し、娘に大切にするように話していた。彼女の母は私に対し「大変だろうけど」「辛いだろうけど」と話していた。

 

「ということは、私がこのような扱われ方をすることは最初から分かっていた、ということなのか……」

 

 従者が彼女の異常性を理解したのは私が最初に殺された時、という話だ。であれば初日の面会時点であの対応をしてきた彼女の両親はそれより前から知っていなければ辻褄が合わない。

 よく考えればいかに次代当主とは言え、現当主が居る中でもう使われなくなった地下牢の居住性を改善した上で牢獄のままにしておく、なんて工事や整備をする時点でそうする目的ぐらいは共有しているに決まってる。

 

 つまり──彼女の両親は彼女の異常性を理解し、現行の法や倫理に真っ向から反する娘の行いを容認しているということになる。そして同時に、私に「頑張れ」と言っていたということは、私が彼女に犯され殺されることについて不遇に思っている、ということでもある。ここから考えられることは1つ。

 

(……彼女の両親は、彼女が振るう凶行の理由を知っている。そして、それが子供である私を性奴隷にして犯して──そして殺すことすら、同情すれども許容できるだけの理由である、ということ)

 

 だとすれば、何故なのかを知りたい。

 もしこれが本当に死後の刑罰なのだとしたら、その、まあ、受け入れるほかないのかもしれない。だがそうではない場合は?

 彼女の狼藉の理由が私にある、と言うには今の私の人生との接点があまりにも少ない。たかが1人の村娘である私と、淫魔の上位種に昇格した最強の戦士であり、次代の淫魔たちの当主たらんとする程の英傑である彼女。何らかの不義を働けるような機会は生まれてから10年の間、そもそも存在しなかった。

 さりとて、例えば一目惚れか何かで私を性奴隷にしたいと考えたとしても、たったそれだけの理由でこんな豪邸の改修を実施し、奴隷の監禁・殺害を定期的に行うことを許容するほど倫理観が欠如した存在なのかと言えば、従者たちの話を聞く限りそれもない。

 

 私は、私が受け入れられない理不尽な死が怖いし、嫌いだ。だから前の世界では好きな人が死んだ時、受け入れられなくて復讐で殺人を犯した。

 私は、死ぬならせめて覚悟がある状態で死にたい。だから前の世界で首に縄をかけられた時、表面上くらいは冷静で居られた。

 

 今のままではただただ犯され、理不尽に殺され続けるだけだ。それは怖い。我儘かも知れないが、とてもじゃないが受け入れられないことだ。

 私のどこが彼女の琴線に触れたのかはわからないが、せめてそれぐらいは知りたい。そうでないと、殺され続ける日々に耐えきれなくなりそうだから。だからせめて──知らなくては。私が殺される、その理由を。

 

 

「となると、どう動くかだが……」

 

 まあ、思い立ったが吉日という言葉は今の私には当てはまらないのだが。

 地下牢の鉄扉を見る。今日明日は彼女は地下に来ないから従者が外に待っているということもない。

 私は奴隷である以上、そうやすやすと当主夫妻にコンタクトを取れるということはないだろう。どこか緩いこの世界であれば可能かもしれないが、まあ不可能であると見るほうが妥当である。であれば、私が頼れる立場にあるのは主人であり声を掛けても怒らず話を聞いてくれる彼女か、あるいは彼女の従者だけだ。

 

 当然、彼女を頼るのは不可だ。そもそも本人に聞いたら何があるかわからないから周りの人間を頼ろうと思っているのに頼れるわけがない。頼るなら従者の方だ。

 

 敷地内なら自由に行動することは認められているし、奴隷ではあるが従者たちと一緒に食堂で食事をすることも問題ない。従者たちとも特に隔意を持たれているということもない……筈だ。

 表面上は少なくとも普通に会話ができている。だから従者に話を通すことで当主夫妻と会話する機会が得られる可能性はまあ、無くはないだろう。というか、それしか選択肢がないとも言うのだが。

 

 じゃあ何故行動しないのかと言えば、だが。

 

「頼ったとして、まず初めに彼女に連絡が入る可能性が高いか」

 

 私と彼女の事情を理解している従者は、彼女のお付きの猫獣人の従者だけだ。それ以外の従者を介して当主夫妻と連絡を取ることは出来るかもしれないが、その前に直接の主人である彼女に連絡が行く可能性がよほど高い。

 逆にいつもの従者であれば事情を知っているから、主人である彼女にも隠して当主夫妻との面談の場を設けてくれる可能性はある。だがその職務上、ほぼ常時彼女に付き従っている。彼女に気づかれずに従者に依頼をする、ということ自体が困難だろう。

 

「それに……よしんば彼女の目を掻い潜って対話の約束を取り付けたとして……」

 

 私が渡りをつけたい相手は、この家の当主だ。

 この王都でも指折りの勢力を持つ貴族の今の当主であり淫魔族の長、そして上位種に昇格した次代の王とも目される娘を抱えた存在だ。そんな彼女の父がいつ予定が空くか、なんて早々わかるものではない。

 約束してからあまり日が空けば、面談の情報が彼女に漏れてしまう可能性も十分にある。なにせ私は彼女の性奴隷なのだ。性奴隷が何か普段と違う動きをしている、というちょっとした話が耳に入れば何をしているのか聞き出そうとするだろう。

 それで私が彼女の両親と話をするということがバレたら、彼女自身が同席する可能性が高い。性奴隷である私を当主と立ち会わせる、というときに主人である彼女が立ち会うことは何もおかしくないから拒否なんて出来るわけもない。

 

「そうなったら聞き出すのは無理だ。なら、彼女が長期的に空けるようなタイミングを待つしかない、か……?」

 

 彼女自身強力な戦士かつ極めて優秀な支援系の魔法使いであることを考えれば、前線に赴くこと自体はまあまあ可能性としてあるとは思う。

 私の村の所属が変わったように、この世界では小競り合いのような争いならそれなりにはある。少し派手になればそういった戦場への派遣で長期不在になる可能性もある。彼女に悟られずに彼女の両親から話を聞くなら、そういった物理的に彼女が離れている状況を狙うのが無難だ。

 勿論、ずっと平和でそういった長期不在の状況が訪れない可能性もあるが……だとしても、下手に気づかれたほうが危険だ。私の生命は彼女に握られている以上、不必要に不興を買うようなことは避けるべきだ。

 

 已むを得ないか、とため息を吐く。また暫く死に向き合うことになるが、だとしても本当に死ぬのは恐ろしいことだ。納得の行かない、覚悟のできていない死は特にも恐ろしい。

 彼女が心変わりをして突然私を蘇生してくれなくなる可能性を考えれば、取り敢えず現状維持をして死んでも蘇らせてもらえるような関係を保つ必要がある。恐れて、苦痛に呻いて、諦観と共に死を迎える、そんな状況を維持しなくてはならない。

 

 ……まあ、つまりいつも通りでいるしか無い、ということだが。

 

 

 

 そんな後ろ向きな覚悟を固めてなんだが、思ったよりすぐに「機会」は訪れた。

 

 それは、動くと決めてから5日後、35回目の彼女との夜を迎えた時のこと。

 

 その夜はやや趣向を変えたいという彼女の要望から、彼女と向かい合い抱き抱えられるような、所謂対面座位という姿勢で犯された。

 豊満な乳房に顔を埋め、綺麗な乳首を吸わされている私を「まるで赤子みたいだな」なんて揶揄うように言う彼女にガツンガツンと体の奥まで響くように突かれ続けた。

 優しく頭を撫で続ける彼女の動きだけ見れば確かに母親か何かに見えるかもしれないが、その下半身で小さな子供の体を抉るように犯し続けるのだから尊厳破壊も良いところだ。

 

 腰を彼女の片手で抱えられ、私が動くまでもなく彼女が私の身体をオナホールか何かのように持ち上げ上下に揺さぶられ、そのくせもう片手で私の頭を撫でるという器用なマネをする彼女。その頬は紅潮し、興奮も最高潮に達するか──というところで。

 

 ガンガン、と鋼鉄の扉が力強く叩かれた。

 

 ピタ、と彼女が動きを止めて、訝しげに扉を見る。

 

「お嬢様、お楽しみのところ申し訳ありませんが……、その、聖都への出仕について変更があったとの通信が入りました」

「何……?おかしいな、アレはまだ1ヶ月は先だった筈だが……。それに私にはまだ──っ、と、ああ、確認できた」

 

 どうやら彼女の業務に何かトラブルがあったらしい。それもこんな夜更けに連絡が入るような情報が。確認した、というのは念話かなにかだろう。彼女が頭を抑えている。

 

「……なるほど、昇格者が亡くなったのか。寿命死だと蘇生も使えない、となると葬儀が行われることになるから……ああ、これは今から準備しないと駄目だな」

 

 やがて届いた、という情報を整理し終えた彼女は独り言のように呟くと。未だに彼女の乳房を咥えた状態で頭を抑えられた私を優しく撫で、手を離した。

 

「3日ぶりの逢瀬で最後まで出来なくて済まない。だが、今晩はここまでだ。仕事が……いや、半分は私用が入ったからな」

 

 そう言って彼女は私をベッドにそっと仰向けに寝かせ、お互いの粘液に塗れたペニスをズルリと引き抜く。びちゃ、と彼女の多量のカウパーと私の少量の愛液が混じった透明な液体がベッドに落ちる。

 ぽかん、とベッドに膝立ちする彼女を見上げる私に名残惜しそうな微笑みを浮かべると、彼女は少し前に出て私の胸の下あたりに跨り、どろどろのペニスを私に咥えさせた。

 

「え……んむっ!?」

「最後だから頼む。これで終わりだから、な?」

 

 普段よりやや乱雑に硬く太いペニスを咥えさせられた私は、もはや条件反射気味に歯を立てずに優しく喉まで誘導し、粘液まみれで普段より遥かに熱く生臭いペニスを愛撫する。

 正直今まで犯された状態で大分疲労しているときにこんなモノを咥えると吐き気がするのだが、それでもなんとか優しく刺激してやることで、ぼびゅ、と彼女のペニスから普段の3割増ぐらいの量と勢いで吐き出された精液を己の胃袋で受け止めた。

 

 それで当座は満足したのか、彼女はペニスを私の口から引き抜くとお互いに洗浄魔法と治癒魔法をかけ、そしてテキパキと服を身にまとっていく。

 

「そうだ、多分4ヶ月は戻らないと思う。その間は他のメイドたちの言うことを聞いて生活していてくれ」

「え……あ、は、はい……」

 

 部屋から出る間際、思い出したかのように彼女にそう告げられる。そして私がなにか反応する間もなく彼女はパタパタと従者とともに足早に去っていき──私は、あまりにも急な「機会」を得ることになったのだった。

 

 

 

「え……当主様に聞きたいことがある、ですか?お嬢様ではなく?」

「はい。主には『優しく』してもらっているのですが……奴隷として買われて、その、これで良いのかって思いまして」

 

 彼女が去ってから3日。わざわざ犯しに戻ってこないことが確認できたので、私は行動を起こすことにした。彼女に指示され私に仕事の説明をしに来たこの家のメイド長に、当主と話ができないかと相談することにした。

 総白髪の老いた、しかし丁寧に身なりを整え背筋もしっかり伸びた人間のメイド長はふむ、と少し唸る。

 

「そうですね……やれることを探したい、ということならばわかります。お嬢様からは貴女には私達の仕事を手伝わせるようにと指示を受けていましたが、そもそも当家は奴隷がなくとも手が足りています。であれば、お嬢様が直接買い付けた貴女が何が出来るか、当主様にお伺いを立ててみるのも良いかもしれませんね」

「あ、宜しいのですか?その……」

「何を遠慮するというのです?仔細な目的までは伺っては居ませんが、貴女は目的があってお嬢様が買い付けた奴隷であることは聞き及んでいます。そのお嬢様が居ない現状で、素人の貴女の手伝いが必要なわけでもない当家の家事や付き人としての仕事をやらせるなら、まず当主様方のお考えを聞くのも有意義でしょうに」

 

 あっけらかんとしたメイド長の答え。正直ここまですんなり話が通るとは思っておらず驚いた。やはりこの世界はどこか緩いと言うか合理的と言うか、見た目ほど中近世の封建社会ではないと思わせる。

 戸惑う私を見て、メイド長は小さく嘆息した。

 

「正直ね、本当によくわからないのよ。さっきも言ったけど、この家は昔から奴隷なんて必要としてなかったし、それで働き手も十分足りていたわ。お嬢様が私達に「私が不在の時は彼女に仕事を手伝わせてくれ」なんて言ってたけど、普段からそういった仕事をしてない農民の子を、お嬢様が不在の時だけ手伝わせるっていうのは逆に不便でしょう?」

「それは……そうですね」

「そうなのよ。普段から手伝わせるなら分かるけど、お嬢様は普段貴女を何処かに隠して、お付きの子ぐらいしかその場所知らないもの。だからお嬢様が私達にああ言ったのは、ご自分が不在の間に貴女が手持ち無沙汰にならないように、って意味で指示した思うの。ならほら、当主様に話を聞いてから自分で何するか決めたほうが良いでしょ?」

 

 そういって、孫と祖母ほどに年の離れた私の頭を優しく撫でる。枯れたような手だが、とても暖かく感じられた。

 

(しかしこうやって聞いていると、私を買うこと自体は前から決めていたとしても、買うことを決めること自体は衝動的なものだった、ということなのか……?)

 

 思ったより根回しが出来ていないと言うか、こういう時は普通私が手伝うべき仕事を予め準備しておくべきではないだろうかと思う。

 使えている従者にすら不審がられる程度の根回しで事を進めるほど短慮な印象はなかったのだが、もしかするとやると決めたら止まらないタイプのヒトなのかもしれない。……それはそれで、私を殺すことを絶対に止めなさそうで恐ろしいのだが。

 

「さ、それじゃ行きましょ?当主様今空いてるかしら」

「今からでいいんですね……」

 

 行き当たりばったりな感じがするが、これが普通なのだろうか。少なくとも貴族当主に当たるには不適切ではないか?と思わなくもないが……まあ、その当主に付き従うメイド長なのだから大丈夫と信じてついていくことにした。

 

 

「ああ、聞きたいこと?うんうん、そりゃまああるよね。いいよ、聞こうか。あ、二人っきりにしてくれる?」

「かしこまりました。奥様、こちらへ……」

「……そうね。ねえ貴方、その子に、その……説明、どのくらい出来るかわからないけど……お願いね」

 

 部屋に入ってメイド長が当主に事情を説明して。トントン拍子に話が進み、あっという間に私と当主の二人だけになった。

 

「……あ、あの。宜しいのですか、これで……」

「良いよ良いよ。君には負担掛けてるって自覚はあるからね。……聞きたいことって仕事とかじゃなくてさ、ウチの娘が君に拘り続ける理由でしょ?」

「!」

 

 そして当然というか、当主は私の聞きたいことを知っていたらしかった。いや、わざわざ娘が居ないタイミングで私が聞きに来ることなんて彼女の所業を知っていれば1つしか無いだろうが。

 どう言葉を選べばいいか少し悩んだが、私は意を決し、直截的に聞くべきだと口を開いた。

 

「主は、その……私に何か、恨みとかそういった感情をお持ちだと思います。私が何か、粗相をしたとかでしょうか?」

「ん、ん~。まあ合ってると言えば合ってるかな?半分くらい」

 

 当主の軽い言葉にやはり、とうなだれる。なにか私がしでかして、それで知らず彼女の恨みを買っていたということだろう。半分、というのは彼女もなにか原因のひとつなのだろうか?

 しかし、そんな私の考えを吹き飛ばすような言葉が当主の口から放たれた。

 

「君、アレだろう?前世の記憶を持つ、転生者ってやつ。違う?」

「!……知って、いたのですか?」

 

 確かに私は前世の記憶を持っている。つまみ食い宗教ばかりとは言え死後の世界感は仏教基準だから、そういう意味では転生者で間違いない。ここが六道だとすれば私は地獄道に居るのだろう、なんて彼女に殺されてからはずっと思っていた。

 私の反応にだよねえ、と訳知り顔で頷く当主。

 

「やっぱりね。君物分り良いし、何より娘が買ってきたわけだしね」

「……とすると、その、主も……」

 

「そう。ウチの娘も転生者なんだ。それも神と対話して祝福を受けた転生者」

 

 私が恐る恐る言えば、当主は軽い口調を崩さずそう話す。

 

 聞けば、前世の記憶を持つ転生者というのはこの世界にそれなりにいるらしい。当主は転生者でこそ無いが、この世界の立場が上の者であればそれらの情報はある程度入ってくるのだそうだ。

 神というのはその、よくわからない。前の世界の宗教の話なのか、あるいは今の世界に神が居るのか。祝福を受けた転生者は一様に「神」から祝福を受けたと言うが、それが何の神なのかも分かっていないらしい。そして、彼女はその神から何らかの祝福を受けたということだ。

 

「神と対話する転生者ってのはね、基本的に歪んだ者──いや、歪められた者が多い。本人が悪いというよりも、何らかの事情で歪んだまま前世で死んでしまったから、神はその魂を不憫に思い、祝福を授けてくれるって言われてる」

 

 君はそうじゃないみたいだけどね、と当主は話を続ける。確かに私は神にも仏にも閻魔にも会った記憶はないし祝福なんてものもない。

 しかし、そうすると先程の言葉は──と、1つの考えに至り、私の顔にたらり、と一筋の冷や汗が流れた。

 

「では、その、半分、というのは……」

「あ、気づいた?」

 

 気づいちゃったかー、なんて軽い口調の当主。そこに含まれている感情はよくわからないが、多少なり感じ取れるものはある。これはきっと、怒りと憐憫だ。

 はあ、とため息をつく当主。

 

「今の君が悪いわけじゃないんだ。転生者であってもなくても、この世界では基本的に前世は前世、今は今、だからね」

 

「でも、そう割り切れない者も居るわけさ。何も悪くないのに前世で魂を歪められた者……それも、神が不憫に思って祝福を与えるぐらいに歪んじゃった子なんかは特にね」

 

「娘のお付きから聞かなかった?娘の振る舞いが異常だって知ってても、僕は娘の味方をしたって。つまりまあ、半分っていうのはそういうこと」

 

「再三言うけど、今の君が悪いわけじゃない。君が転生者でさえなければ、きっと娘は君を殺さなかったし興味も示さなかっただろうね」

 

「でも現実として君は転生者で、前の魂の形質をたしかに引き継いでいる。君は、僕の娘が生まれつき歪んだ魂を持つに至った原因なんだよ」

 

 

「君が僕の娘に犯されるのは、殺されるのは──君と僕の娘の、前世からの因縁だ」

 

 

 淡々と告げられた言葉に、私はやはり、と目を閉じる。それならば仕方ないか、と思ってしまう。何が半分だ、全部じゃないかと自分に文句をつけたくなる。

 碌でなしの私、殺人鬼の私、死刑囚の私。人の恨みなんてきっと知ってるところでも知らないところでも多く買っていたに違いない。人の人生を歪めたに違いない。彼女の前世もその1人だというのに、未だに私には心当たりがないなんて、本当に碌でもない人間だと自嘲したくなる。

 

 

「だから、君がやるべきは──君自身が何をしたのか、自分の前世を振り返ることだ。そうしないと、きっと僕の娘と君は向き合うことが出来ないからね」

 

「ほんと、頼むよ?愛しい可愛い娘なんだからさ、せめてちゃんと向き合ってくれると嬉しいね」

 

 

 愛しい娘を狂気の殺人者に貶めた元凶である私に対し怒りを向けて、殺され続ける私に対し憐憫を向けて。──その上で、罵倒の1つもなく、アドバイスにとどめてくれた当主様に、私は震えながらも、深く、深く礼をした。




私(10):人間。女性。転生者。前世が殺人鬼だった人間の屑。だいたい自業自得。被害者ぶってるけどこれから作中に登場する全キャラ通しても一番の畜生と言っても過言ではない。

彼女(33):淫魔。ふたなり。転生者。射精で殺すのが性癖だけどそうなったのはだいたい主人公のせい。歪んだ性癖を歪ませた相手にぶつけている以外は極めてマトモな人格者。主人公が転生したことに気付いて囲い込むために色々頑張った。

従者(34):猫獣人。女性。彼女の幼馴染で生まれたときから従者の立場が決まってたが不満を持っているわけではない。可愛い妹分の幼馴染が主人公に対してえっぐい殺人レイプかましたことでゲロ吐いた。主人公に同情的だが権力もなにもないので当主やらに告げ口しか出来ない。

当主(年齢不詳):淫魔。男性。娘びいき。可愛い娘が異常な性癖を発露した原因として主人公に対して思うところはあるが、さりとて被害者が当の主人公だけだから取り敢えず様子見。娘を見捨てるつもりはないが、最悪の場合嫁さんと第二子作ってそっちを後継にしようかなーって思ってる。
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