性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話 作:PP→KP
「彼女──ゼノヴィアさんは早急に聖都へ留学し多くを学ぶべきです。脳が若いうちに」
「────は?」
お姉さんとアビーが一緒に勉強を始めてから1ヶ月。
雇用した聖都出身の教育係から告げられたその一言は、楽しそうに勉強する2人にホッとしていた私の顔から笑顔を消すには十分な破壊力があった。
「……理由を聞かせてもらおうか?」
抑えなければいけない、と分かっていても言葉の端々に怒気が滲む。だけどしょうがないだろう。
目の前の教育係は私からお姉さんを引き離そうとしている。憎くて好きな性奴隷で、お嫁さんで、一緒に勉強しているアビーと私が孕ませた赤ちゃんのママで、2歳になったバーティと私のお腹の赤ちゃんのパパなのだ。
そんな掛け替えのない大切な存在を片道1ヶ月はかかるだろう聖都に連れていくべきだ、なんて主張されたら怒って当然だろう。
それでもまず理由から聞いたのは、目の前の教育係が
「ええ、それなんですがね……っと、その前に──」
と、彼女?が複雑な呪文を唱えると同時に、その見た目が変貌する。
変形ではなく、一種の幻術に近いのだろう。その標準的な人間女性の顔が、皮膚が、肉が、骨が溶けるように消えていき、後に残ったのは──首の上から直接生えた、脳だけ。
"──これで良いでしょう。偽装を継続すると主とのリンクが途切れがちになるので"
その姿は図書館に居る司書たちと同じもの。首から上が大脳だけで、そこから目がひょろりと生えたような見た目の異形──
"さて、それでは話を続けさせていただきます"
先程までの音を使った声ではなく、念話を使った無音の会話。別に隠蔽したいというのではなく、彼らにとって会話とはかくあるというだけだろう。
そんな彼女?は(声がないため表現として正しいかはともかく)朗々と語りだした。
"ゼノヴィア。転生者、女性。性奴隷で、現在15歳。優秀な思考回路を持っています。おそらくその優れた知性を幼少期から違和感なく受け入れていたからでしょうか、脳の発達については同世代と比較しても目を瞠るモノがあります"
「転生者なら大なり小なりそういうものだろう?わざわざ聖都に行く必要はないはずだ」
お姉さんは頭が良い、それは間違いない。でもお姉さんが頭が良いという事実自体は
"ええ、確かに。彼女は本来なら10年掛けて学ぶべきカリキュラムをたった1ヶ月で完了させました。ですがその内容はかつての世界においては義務教育的に学ぶ内容なので、義務教育を完了させた人間であれば全工程を修了させることも可能でしょう"
「だったら……」
"ですが、それは転生前の話になります。転生後の肉体が発生してからその脳の発達が凡そ完了するまでの10代前半から20代後半に至るまでの間に、大部分の転生者はそういった『利用しない』知識を忘失させるため、通常は再度学び直す必要が出てきます"
尚の事彼女に拘る必要がないだろう。そう言おうとしたところで、それを遮るようにして目の前の存在からの念話が頭に響いた。
"彼女はそういった『利用しない』かつて学んだ記憶をほぼ欠けさせることなく現在に至るまで持ち越している。コレは非常に珍しいと言えるでしょう"
"我々のCWC内の情報収集の結果、彼女のかつての人生で学習に費やしたのが最長で19年から20年程度、社会人としては8年程度勤めていたことを認めています。大抵の人間であれば、8年の勤労の中で教育時の知識を保持することは困難です。本当に基礎になる知識、目的上利用する知識、趣味に合致する知識、そして最新に学んだ知識以外は亡失することが多い"
"彼女は、そうではない。勤労から死刑までの12年、今生の15年。この27年の間『利用しない』知識を保持し続けた。勉学が嫌いであると本心で主張しておきながら『目的上不要で、趣味に合わず、ただ学ぶために学んだ知識』を保持していた。これはすなわち、彼女が魂に知識を刻むことが得意であることの証左となります"
"表面的に身に着けた知識や技術は通常、脳にこそ刻まれるものの、魂にまで刻まれることは稀です。転生者は大勢居ますが、彼女のように些細な知識や経験を魂に刻む事が可能で、かつ基礎的な理解力や知性に優れた人間は中々出てくることがありません"
"であるならば、若いうちからこの世界の最先端に触れさせておくことができれば、彼女は非常に優れた知性を獲得できる可能性がある。本能的に魂に知識を刻む術に長けているというのは
お姉さんを聖都に連れ出すことの利点を、つらつらと羅列される。お姉さんを聖都に連れていきたいあちら側の理由がどんどん開示されていく。
「……いずれ紹介する、って前に言った筈だけれど。そこまで待てないのか?」
"いずれ、が指し示す時期が不明瞭ですので、なんとも。些細な知識や経験まで魂に刻むことができる彼女の才能、そしてそれを活かせるだけの彼女の知性がいつまで維持できるのかは不明です。かつての彼女は34歳で死亡したので、それ以降加齢とともに喪われる可能性もゼロではありません。そうなってからは遅いのです"
お姉さんが34歳で死んだ、というのは私も知らない情報だ。というかそもそも私は私を殺した時のお姉さんの年齢すら知らない。数多の転生者の脳に繋がり、構成されるCWC環境の情報のほぼ全てに目を光らせている
本当は
でも、だからって今すぐはダメ、絶対に駄目だ。
もしもお姉さんがここから離れちゃったら、聖都に行ったら。技術の最先端が注ぎ込まれた聖都の方が居心地良くて、犯し殺してくる奴隷主がいる此処に戻ってくるなんて思えない。お姉さんが戻ってくる確証が持てるか、あるいは──。
「──じゃあ、性奴隷としての役務が完了したら、という条件ならどうだ」
"…………"
──あるいは、お姉さんが性奴隷でなくなれば。私がどうこうできる話ではなくなる。あちらがお姉さんにアプローチを掛けることを私が止めることが出来なくなる。
本当は絶対に止めたいけど──でも、お姉さんのことを考えれば、止める訳にはいかない。性奴隷でなくなった後、お姉さんの今後を思えば止めるなんて出来るわけがない。
お姉さんが性奴隷であるのはあと15年。お姉さんが30歳になる頃だ。
目の前の彼女?の言い分であれば、お姉さんは今に至るまで知識を魂に刻む才能を持っていることになる。それを活かす知性を持っていることになる。前世で34歳で死んだときも持っていなら、性奴隷から解放される30歳でもその能力を維持できている筈だ。
"……
「わかった、ありがとう」
"いえ、これが私の職務ですので」
念話が途中から声に切り替わり、再度偽装が展開される。
何があったのかと思えば、部屋の外から足音が聞こえてきた。
「あっ、お父様!……と、先生……」
がちゃり、と扉を開けて入ってきたのは4歳のアビーだ。その可愛らしい顔をぱあっと輝かせたその一瞬後に露骨に眉をしかめ、私を盾にするように背後に回り込んでくる。
「お嬢様、ダメですよ。隠れたりなんかしてもお勉強は待ってはくれないんですから」
先程までの淡々とした語り口ではない、優しく、されど厳しい顔でアビゲイルに口酸っぱく注意する教育係。どちらが本当の面なのかは知らないけれど、少なくともアビゲイル相手にはヒトらしい面を向けてくれるのだけはありがたい。
「ぶぅー……でも今日の分は終わったから!あっお父様聞いて聞いて!今日はお母様より早く課題終わったんだよ!」
「へぇ、凄いじゃないかアビー!ほーら、褒めてあげる」
そう言って、張ったお腹に障らないように気をつけながらアビーを抱き上げたら、アビーはきゃーと喜んで抱きついてきた。
そう、今の私は妊娠中だ。お姉さんも6ヶ月で妊娠中。
アビーもバーティも可愛いし、きっとこの子も可愛いだろう。お姉さんのお腹の子も可愛いにきまってる。私は9ヶ月でおっぱいも滲んできているが、まだお姉さんのおっぱいは出ない。次に生まれた子は私が授乳して、お姉さんのおっぱいが出るようになったらお姉さんのおっぱいで育てることにしようと思う。お互いの赤ちゃんを入れ替えて、パパのおっぱいを飲んで育つことになるわけだ。子供や教育係が居るから勃ちはしないが、ちょっと興奮してきた。
(…………)
こうやって、一緒に赤ちゃんを作って。ママ同士の関係になってお互いに悩み事を吐き出してスッキリしたり、すごく大きくなったお姉さんの重く張りのあるおっぱい(15歳だよね……?)でちんちんを扱いて貰っていっぱい射精できたり。そんな、お互いを慈しむ(?)ような関係も、私が子供を産んだら終わる。そうしたら、私はお姉さんが子供を産むまで離れることになるだろう。
まだ、そういう関係が続いている。まだ、私はお姉さんを犯して殺し続けている。お互いのおなかに赤ちゃんがいるからこそ手を出さずに居られるだけで、私達の関係は大きく進んだとは言い難い。
お姉さんを奴隷にして、最初に犯して、肉棒で腸をかき回してぐちゃぐちゃに砕いて壊して惨殺して、もう5年。性奴隷として雇用されたお姉さんが解放されるまで、あと15年。期間の1/4が過ぎて尚関係が大きく変わっていないのは……正直言ってだいぶ辛い。
聖都へ行く。研究者として身を立てる。それが出来る方がお姉さんにとって嬉しいことだとして、性奴隷から解放されたお姉さんがそっちを選ぶことに耐えられるのかは、今はまだ考えたくはなかった。
──────
────
──
─
「とは言ったものの……さて、どうしたものかな……はあ」
教育係は客間に戻り、アビーは彼女の従者と一緒にお風呂中だ。今は私とフローだけの部屋で、私は悩ましい思いをいっぱいに詰め込んだため息を吐いた。
どうにかこうにか教育係を通じてお姉さんの聖都行きの条件やらを設定することはできたから、少なくともあと15年は聖都に行くことはない。とりあえずそれは一安心だ。
でも同時に、お姉さんが聖都に行かないということは前々からの悩みについて解決の道が遠ざかったとも言えちゃうわけで。
前々からの悩み、それはつまり──。
「不老の術式、私だけで行使するにはちょっと……いやかなり不安があるんだよなあ……」
不老の術式、私とお姉さんの寿命差を埋めるために使いたいそれの術式を脳裏に浮かべただけでげんなりとする。
お姉さんは頭が良い。今回の話でそれこそ
だから私はお姉さんにもその術式の構築と維持を手伝って欲しいって思ってた、んだけど。
「まあ、お嬢様だけで1から魔法教え込むのは時間かかりますしね。それ以前にそもそも教え始めることが出来るのか、という問題もありますけど」
「そうなんだよなぁ……」
実のところ、私はお姉さんに自分から魔法を教えたいとは思っていない。不老の魔法を手伝ってほしいと思ってるくせに、である。
お姉さんに関しては度々思考が矛盾しちゃってるというのは承知の上だ。だけどそれでも、私はお姉さんにあまり魔法を教えたくないのだ。
「彼女の学習能力を見ただろう。ちゃんと魔法の勉強方法を知ったらどんどん深く突き詰めるんじゃないかって思うとな……まあ、初級の魔法ぐらいなら教育係を通して教えてもいいだろうけど」
「それはまあ……確かに驚きですよね、あんなすぐにカリキュラム完了するなんて。転生者ってみんなああ……じゃ、ないですね」
「私を見て言うんじゃない」
10歳で死んだ私と34歳で死んだというお姉さんじゃ基礎知識が違って当然じゃないか。
いやまあ、同じく30代半ばで死んだかつての父だったらこんなに早く終わらないだろうなって確信があるのでお姉さんが頭が良いのは確かなんだろうけど。
「でも正直比べたくなるじゃないですか。あの娘が普段これっぽっちも生活に関わらない第二言語とかの問題を教えられる前から全部きっちり回答できるのを見ると」
「それはそうだけども」
もちろん、私だってこっちに来てから(生まれ変わってから?)覚えた英語で政策周りの用語とかはしっかり理解できるつもりだし、会話だってまあなんとかなる。でも……お姉さんみたいに使わないのに覚えていられるかっていうと流石に自信がない。
それこそ教育係が言うように「魂に刻む才能がある」ということなんだろうな、とは思う。
かつての私や父を相手に家まで注意に来るような、そんな現場仕事をする警官が英語を普段遣いするとは思えないし、一度覚えたそれをきっちり今に至るまで覚えているということなんじゃないかな。
「あの娘なんも勉強せずカリキュラムの内容全部見て全部きっちり解答できてたじゃないですか。アビゲイル様の手前誤魔化してますけど、微細な表現に至るまできっちり満点ですよ?」
頑張って(業務に関わる範疇の)英語を勉強した私だって流石にそこまでは無理だ。
そして記憶力はもとより知性というか、頭の良さは多分超大天才!ってわけじゃないんだろうけど……それでも、
「分かってるよ。だから魔法を教えたくないんだ。……魔力量も常人よりは間違いなく多いし、図書館かなんかで魔法を勉強し始めたら家の者じゃ手に負えなくなる可能性も無くはない。下手したら私が聖都に出仕に出てる間に逃げられるかもしれないじゃないか」
「あー、まあ、有り得そうで嫌な仮定ですね、それ」
それに、図書館の
CWCには私の弱みもゴロゴロ転がってるし、私のやってることを嫌うヒトも多少は居る。頭のいいお姉さんなら私を出し抜く手段をいくらでも調べられるかもしれないって考えると、そもそも魔法を学べない環境に置きたいと思ってしまうのだ。
……だって、もし、お姉さんが下手に逃げようとしたら。私は捕らえようとしないといけない。お姉さんの魔法が円熟してて、家からの追手では捕らえられなかったら、私が直々に出張って……そうして、お姉さんと戦って、叩きのめして、痛めつけて。嫌がるお姉さんを、また、地下牢に閉じ込めることになるのだ。犯すために、殺すために。
「ううう……それをすると絶対に関係が悪化する……!只でさえ進歩してない関係が一気に後退する……!」
「どころか、脱走奴隷ってことで下手したらもっと酷い扱いになりかねませんからね。頭のいいあの娘だからこそ、脱走できる力さえ与えなければ自分から脱走しようとはしないでしょうけど」
「だから魔法を教えない、でもそうすると不老の術式の手伝いがなあ……」
堂々巡りだ。お姉さんと一緒に居たいのに、そうするとお姉さんの短い人生の間しか一緒に居れない。永く一緒に居るためには、お姉さんが戻ってこない覚悟をして学びに出さないといけない。無理矢理連れ戻したら、それこそ完全な破局になる。
「……結局。彼女が私の下に戻って来てくれるだけの関係になれば良いんだけどなあ」
「そりゃそうですけど。そんな関係を作るためにお嬢様の憎しみが燻り続けるままに我慢できない、我慢し続けたら何するか分からない、っていうのが問題なわけじゃないですか」
「うん……」
私が優しくできれば良いんだろうけど、でもそうするには憎しみが邪魔で。でもこの憎しみを覚えた源泉があるからこそ、私はお姉さんが大好きなんだ。たとえ勘違いだとしても、優しくて、暖かくて、強くてかっこよくて、大人なお姉さんに犯された、求められたっていうあの記憶があるから、私はお姉さんを愛するようになったんだから。
勿論、好きな理由はそれだけじゃない。赤ちゃんを産んでもらって、本当に犯してもらって赤ちゃんを作って、おっぱいをあげて、結婚して。そうして、私はお姉さんをもっともっと好きになった。でも「もっと好きな」理由はいっぱいあっても、「好きになった」理由はそこにしか無いんだ。
憎しみを忘れるためには、お姉さんを好きになったかつての思い出を忘れないといけない。そんなの、そんなのは……嫌だ。嫌だ、なんて考えると祝福の効果もあって嫌じゃなくなるかもしれないけど、たとえ嫌じゃなくなったとしても、私は実行しようとは思わないだろう。だって、その行いに私がやりたいって思える要素がないんだから。
酷い話かもしれないけど、私はお姉さんを憎んだり恨んだりする感情を捨てたいってこれっぽっちも思えない。お姉さんを好きになったその原点を忘れてまで──お姉さんへの憎しみを捨てる必要性が、感じられないんだ。
「…………憎しみが捨てられないというのなら、お嬢様。ここはお嬢様の性癖に頼ってみるのは?」
「は?」
何いってるのこの従者。もしかしてフローも遂に私に付き合いきれなくなっちゃったのかな、って思ってしまって涙が出そうになる。
「何で目を潤ませてるんですか」
「だって、私の性癖に頼るなんてそんなの……」
憎しみと愛情と性欲をごちゃ混ぜにして犯して射精で殺す性癖に頼ったって何も変わらないじゃない……。
「そうじゃなくて、お嬢様ってこう、歪んだ関係や行為が好きじゃないですか。だからそういった背徳的で倒錯的な行為を突き詰めれば、お嬢様がすぐにイッちゃって結果的にあの娘を苦しませる時間が減ると思いませんか?」
「ああ、そういう……。でも、それって彼女に余計に負担をかけるだけじゃないか?」
「長々と犯しても負担がかかるんですから、だったら早く終わったほうがあの娘も(相対的に)喜ぶと思いますよ」
きっぱりと言い切られると、そうなのかな?って気がしてくる。
でもそうかな、どちらにしても嫌なものは嫌なんだし、受け入れられないんじゃないかな……。
「……前々から思ってましたけど、お嬢様は良くも悪くも恋は盲目と言うか、あの娘の悪い部分を見れていないと思うんですよね」
「ええ……?言いたくはないが、彼女の前世の所業を知ってる身としては十分悪いところを見たと思うんだが……」
甘い顔をして私を騙して、首を絞められた挙げ句に私を(擬似的に)犯して、そうやって殺されたんだけどな、私……。こんなに悪い面を知ってるのに、悪い部分がどうこう言われてもなって気分になる。
それに今のお姉さんは私に監禁されて、犯されて、苦しんで……かつての私のように、ひたすらに虐待されているようなものだろう。責任感があるからこそ、そんな私の歪んだ感情を受け止めてくれている。アビーやバーティのこともしっかり愛してくれているし、悪い点なんて見当たらないと思うんだけどなあ。
「いや違いますって。あの娘って結構受動的で、怠惰で、やりたくないことはかなり面倒くさがるんですよ。奴隷だから従うってだけで、それ以外のことで何やってもいいって言ってもアビゲイル様やバーソロミュー様に構う以外だと基本部屋でぼんやりしてて、ふと思い出したようにベッドにごろ寝して図書館から借りてきた本読んでますよ、あの娘」
「そうなのか!?」
全然知らなかった……。そういえば前にフローがお姉さんが勉強することに懐疑的だったけど……つまり、フローからするとそういう人間にしか見えなかったってことか。
「まあお嬢様の前ではしっかり取り繕いますからね。奴隷の自覚もあるんでしょうけど、要領がいいんでしょうね、ホント」
「そうなんだ……」
「ああ、ちなみに読んでいる本は娯楽小説がほとんどですよ。農村出で活字本をしっかり読めるのは凄いなあって前は思ってましたけど……読んでる本って基本娯楽系なんですよね。自分から勉強したのなんて私は見たことありません」
あれ?なんかお姉さんのイメージと違うような……いや、でも私は彼女からすれば怖い奴隷主で、夫で、娘の父で息子の母なわけだし。それにかつての罪悪感や責任感があるともなれば、そういった姿を見せることに抵抗があるのかもしれない。……なんか悔しいというか、そういう姿も見せてほしいけど。
「まあそんなわけなんで、多分あの娘はどっちにしても辛いなら早く終わってくれたほうが高評価になると思いますよ?今の状況に慣れがきてるのもあって、そこから改善すれば多少なり評価が上向きそうですし」
「う、ううん……慣れるものなのか、こういうのって……」
私は未だにゼノヴィアの死体に慣れてないんだけど……。初めてから5年経った今なお、自分の悍ましい性欲の犠牲者であるその死体の様は私の心に深く深く突き刺さる棘のようで、すぐに治さないと動悸が激しくなって死にたくなってくるぐらいだ。
「少なくともあの娘は慣れてきてます。最初は凄い泣きながらだったのに、今じゃ素手で鷲掴みにして雑にバケツに放り込みますからね、自分の死体」
だが、当の死者であるお姉さん的にはそうでもなかったらしい。犯している間の苦しみや諦観、恐怖の感情は間違いなく残っているのだけど、それ以外の部分では確かに慣れているということなのかもしれない。
「……うん、それなら、ちょっと少しずつ変えてみよう。その、変態的で、倒錯的で、歪んだ行為で……自分の恨みや性欲を満たしつつ、彼女を犯す時間を減らせるようにしてみようと思う」
「言葉にすると酷いですけど、その意気ですお嬢様」
取り敢えず方針を定めた私に対してこの言い草は酷いと思う。やめてよ、私だってそう思ったんだから。
とりあえず、どんな風にしようかな。お姉さんから動いてもらうのではダメだ、それだとお姉さんの負担が大きいのは私が妊娠中の時の騎乗位ではっきり分かってる。それこそ私のお腹に赤ちゃんがいるときならいいけど、そうじゃないときまで強要するのはあんまりだ。そうすると姿勢とか?誰かの前で……は、ちょっとどころじゃなく恥ずかしいしな。ああ、私の女の子の部分を同時に使えば良いかもしれない……。
そんな、バカみたいなエロ妄想を至極真面目に考えながら。私はアビーがお風呂から出てくるのを心待ちにするのだった。……お風呂で、って言うのも良いかもしれない。浴室大きいのを設置してみようかな……?
──────
────
──
─
「え?留学ですか……?」
「ああ、聖都にな。今すぐは無理だけど……もし、君が行きたいというのなら、だが」
後日。一応、一応意思確認ぐらいはしておこうとおもった私は予防線を張った上でこのことをお姉さんに聞いてみたのだが。
「ええと、御主人様がどうしてもと仰るのであれば向かいますが……。その、御主人様はもとより、御息女様からも御子息様からも離れたいわけではないですし……」
「ああいや、どうしてもって訳では無い。忘れていい」
「畏まりました」
なんかその、普通に否定された。忘れていいよっていったら即答するぐらいには雑に拒否された。
この時の態度は果たして私が嫌そうにしていたことを察した勘のいい奴隷としての態度だったのか、あるいはフローが言う面倒くさがりの怠惰な気質が出ていたのか……まあ、どちらにせよ私が内心で胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。ああ良かった。
イヴェット・ゼヌニム(38):
勉強が好き。祝福のために勉強への嫌悪感は消え、新しいことを覚える楽しさや仕事ができるようになる充実感を求めて努力できるようになっている。まあ才能で言うならゼノヴィアには劣るのだけど。ゼノヴィアへの好意や自分の所業から悪い面はしょうがないと断じ、結果的に良い面しか見てこなかった。ゼノヴィアの負担軽減出来る変態プレイを検討し始めた。不老の術式を単独で運用するのは難しい。
フローレンス(39):猫獣人。女。
勉強は普通。主に付き添って一緒に頑張ろうってやれるぐらいには勉強に向き合える。主が良くも悪くも盲目気質というか、ヒトを信じるタイプなのでちゃんと現実を教えてあげる冷静さを評価されているらしい。不老の術式の運用は不可能。
ゼノヴィア(15):人間。女。
モチベの持てない勉強は嫌い。面倒くさがりで怠惰な女。実はさらなる才能が取り沙汰されたのだが結局宝の持ち腐れ。「魂に刻む才能がある」というのはかつての世界で言うなら脳細胞のシナプス可塑性について、「長期増強」が軽易に実行され、反対に「長期抑圧」があまり実行されないという傾向があったという話。些細なことでも「記憶すべきだ」とちゃんと思えることならきっちり記憶し、そうそう忘れることがないという高い記憶力を持っており、そのために論文書くぐらいでしか使わなかったギリシャ語やラテン語ですら今に至るまで記憶していたのである。不老の術式の運用は(ちゃんと覚えれば)さほど苦にしない。