性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話 作:PP→KP
分岐点:9話:「彼女」
ガツン、ガツン、と凡そヒトから出る事のないような痛みが身体の内から響いてくる。
ぐぼっ、ぐぼっ、と張りの緩んだ膜鳴楽器のような音が胎を揺らして身体に鳴り渡る。
「どうだ、気持ちいいか……?もしも気持ち良くなかったら言ってくれ、こういうのはお互いの感情が大事だからな」
心配そうな声で、困ったように眉をひそめるのは、未だ私より20cm以上も大きい彼女。その言葉とは裏腹に、激しく腰を打ち付けこれまた私より一回り大きな乳房を揺らして犯し続けている。
長大なペニスの胎内を抉るようなピストンが、子宮の中に押し入り引き伸ばし、内臓にかすめるたび鈍痛が走る。べきり、と鳴ったから、抱く強さのせいもあって多分どこかの骨が折れたんだろう。
「っぐ、ぅ、はい、気持ちいい、です」
「──、そうか」
努めて苦しんでいるように見せかける。別にそうする意味もないのだけど、ただ漠然と「そうした方が相手もいつも通りだと思うだろう」というだけ。「私」という人間はそうして、いつも通りを擬態することについては長けていた。
彼女はそんな私を見て一瞬だけ目を見開いて、そうして大きな動きを止める。魔法の光が彼女の掌から放たれ、私の肉体に負わされた傷が癒えていく。
そうして、大きなペニスが突き刺さったまま、全身の傷が癒えたところで、ちゅく、ちゅく、と今度は細かく、無理に押し広げないように小さく動き始めた。
「んっ、あっ、やっ……」
先程までと打って変わって私を優しく、気持ちよくさせようという動き。だから私はソレに応えるように、気持ちよくなったような喘ぎ声を上げた。
果たして私の行動がお気に召したのかは知らないが、どことなく息を荒げて目線を少し揺らした彼女は、少しだけ強く、深く私の奥にペニスを突き入れた。
「……
慣れた動きで子宮口に鈴口を押し当てた彼女は、そう言って私の身体を抱きしめる。
私は何も言わず、いつものように身体から力を抜いた。
どびゅっ、ごぶ、ごぷん。大きな塊のような高粘性の精液がたちまちのうちに子宮に詰め込まれ、魔法によって強度と展延性を増した私の胎が大きく膨らんでいく。
10回ほど大きな蠕動をしたペニスは、凡そ30秒ほどかけて射精を終える。そうして臨月の妊婦のように胎が膨らんだところで、彼女はずるりとペニスを抜いた。
「…………これで、また、妊娠するだろうか」
「どうでしょう……一応、危険日ではあるので、妊娠する可能性はあるかと思われますが……」
明日、彼女は聖都への出仕のために王都を発つ。今日妊娠したとしたら、奴隷となって6年目の私は4度目の懐妊を迎えることになるだろう。
その事実をうけてどこか不安そうな彼女に、いつも通り労るように優しく声を掛ける。
とはいえ、妊娠したとしても意味はないだろう。不安そうに、恐ろしそうに、そしてどこか悲しそうに私の胎を、そして私を見る彼女を見ても、最早何の感慨もない。
(──孕んでいたとしても、どうせ。また、私は守れないし、彼女に殺されるんだろう)
だから、いちいち気にするだけ無駄でしか無いと無感動に思う。
ペニスを咥えこんで、胃袋に精液を吐き出される。どこかぎこちない動きで服を着た彼女が牢を出たことを確認した後、膨らんだ胎の中身を棄てるために、私はベッド下のたらいを引っ張り出した。
──────
────
──
─
どうしてこうなったのだったか、とぼんやりと思う。
結局、私は4度目の妊娠をしていた。妊娠が判明した時の、従者たちの気の毒そうな顔を思い出す。
今は妊娠3ヶ月だ。多少お腹も張ってきたこともあり、不用意に負荷をかけないように気をつけて撫でてみる。
昔は、ここに生命が宿ってることに思うところもあった。かつての彼女の父親に孕まされた子を自分で堕ろした時もそうだし、彼女に孕まされた時もそうだ。
でも今は、というと……。
「……お前も、生まれることは出来ないだろうな。せめて苦しまない死に様であってほしいが」
ポツリ、とつぶやく。胎教としてはおよそ最悪な言葉だが、まあ3ヶ月の胎児に状況を認識する力はない。
──何より、どうにもならないと判っていて親らしく振る舞おうとするだけの意識や感情なんてもの、とてもじゃないが今の私が持つことはできなかった。
『っ止めてくれ、止めてぇ……っ!!』
『イく、射精る……っ!赤ちゃんに、チュウしたままで──射精して、あげる……っ!!』
私が11歳の頃。彼女との最初の子供を孕んでいた私は、臨月の胎を彼女によって犯された。
『あ、あっ、
ごびゅうううっ、という、凡そ射精のそれとは思えない噴出音とともに、私の胎内に凄まじい勢いで精液が吐き出される。
一瞬だけ彼女の角が強く光り、すぐに消える。私の胎の中を濁流が荒れ狂い、その内に揺蕩っていた1つの生命があっという間に飲み込まれ、撹拌され、消えていく。
『あ、ああ、あああ…………っ!い、嫌ぁ、嫌だ、そんな……っ』
ぶくぶくと太る胎。私の脚はその重量に耐えきれずにぐちゅりと潰れていたが、そんなことすら気づかないほどに目の前の光景に精神が砕かれていった。
こんな事が赦されるのか。悍ましい罪人である私ですら思わず神に問いただしたくなる程に、目の前の光景は冒涜的で、残酷で、おぞましくて。
『あっ、あっ、あは、あはははっ……
狂った笑いを浮かべながら、涙を流して膨らむ胎に角を押し当ててくる、彼女。
『痛かったよね、ごめんね、違うんだよ、私、私ね、こんな、違うんだ……っ、そうだ、早く、早く終わらせなきゃ……っ!』
何かをつぶやいているその声音こそ悲痛だが、それでも私の胎に精液を最後まで吐き出し続けていく。
そして、全ての精を吐き出した彼女はペニスをズルリと引き抜いて、私の胎から生命を掻き出そうと手を伸ばした。
『い、嫌っ、やめて!止めてくださいっ!』
『何言ってるの!?脚潰れちゃってるんだよ!?それに、早くしないと……っ』
膨れたお腹に手を伸ばされ、恐怖を覚えて身をよじる。だが胎の重みに勝てず、すぐに彼女の細い腕に捕まる。
それでも嫌だと無理矢理振りほどこうとして、ごきり、と嫌な音が鳴る。彼女の怪力で無理に引き戻されそうになったことで関節が抜けた音だった。
『っ、痛い、ああ、こんな、こんなこと……どうして、赤ちゃん、ごめん、ね……』
『はやく、早く全部お腹から出さないと……っ!あ、ああ、まって、まって、行かないで……っ!ごめん、私が悪かったから、待って、待ってよ!』
何か、熱が消えていくような気分だった。
彼女の悲痛な声を上げているようだが、どんな顔だったのかはもう思い出せない。
胎からゆっくり溢れ出す白濁に混じる赤い色に涙を流しながら、私は意識を失った。
その翌朝。昨晩は何かの悪夢だったのか、そう思えるくらいに綺麗に整った部屋で目を覚ました。
だけど私は理解していた。昨晩のことが実際に起きたことなのだと。膨らんでいたはずの私の胎が、小さくしぼんでいたのだから。
『………………』
未だ彼女の魔法の影響が残っている凹んで皮が余った腹を触っていると、違和感を覚えた。
自分の股を開いて、陰門をこじ開けて。肉や皮が伸びるに任せて無理矢理腕を突っ込んで、胎の中を弄って。
そうして、見つけた。
丁寧に洗われたのだろう、彼女の精液の残っていない子宮の中に、ほんの少しだけ残ったもの。
『…………あ、ああ……あああああああっ!』
小さな小さな、指が一本。
悍ましい殺人鬼の所業の罰なのだと、子供を痛めつけて殺した私の子供は痛めつけられて殺されるのだと。そう暗に説かれているように感じて。お前のせいで子供が死んだのだと、そう言われた気がして。
そこで、私の心は、精神は、魂は。どうしようもないほどに折れてしまった。
私は丁寧に指を洗い、部屋の隅の少し石畳が崩れた場所に置いた。死んだ回数を刻むための石を墓標代わりに上に乗せ、それで終わり。
既にあらゆる気力が、意思がかき消えていた私は、気絶するようにベッドに倒れ込んだ。
以降、私は抵抗をやめた。形だけ今まで通りを維持して、あとは全て為されるがままになった。
乱暴に犯されて、苦しむ。犯される最中に振るわれる暴力に怯える。
そういったかつての心の動きも、そのときには既に無くなっていた。彼女は
きっとこれは償いなのだ。この世界で、彼女に最初に犯された時の記憶を反芻する。
ここは地獄で、私は罪人で、彼女は獄卒だ。だから彼女に犯され、殺されるのは私に与えられた罰で、彼女は刑を執行しているだけだ。だから私は刑を受け続ければ良いのだと。
そうすれば、きっといつかは、私という人間の罪が精算されて。私という存在が精算されて。新しい、きれいで、まっさらな私じゃないモノに生まれ変われるのだろう。そんな思いを、ただ只管に自分の頭の中で巡らせ続けた。
だから、ただ漫然と受刑を続けていた。耐えるとか、抵抗するとか、そうするだけ無駄なのだと私は理解して、全てそのままに受け入れ、死んで、蘇って。
『妊娠、1ヶ月ですね』
そして、孕んで。
帰ってきた彼女は、孕んだ私を見て怯えたような表情を浮かべ、前以上に念入りに私を監禁した。本当に限られた人員だけに世話をさせ、育てさせた。
『今度こそ、本当に、産めるのかな』
彼女の入念な対応に、そんな事を思ってしまった。多分、それもまた間違いだったんだろうなと今なら思う。
彼女の言うまま、従者の指示のまま。子供のために栄養を摂って、子供のために良く眠って、地下牢で運動して。
大きくなってきたお腹に、前のように、今度こそ、なんて思ってしまったものだから。期待を、思いを、願いを向けてしまったから。
『どうして、どうしてそうやって……子供にばっかり、心を向けて……っ!なんで私には何もくれないっ!何も思わないっ!』
『やめて、やめてぇっ!』
8ヶ月を過ぎたあたりで、ベッドに引きずり倒される。周りには暴走する彼女を止めようとして、逆に昏倒させられた従者たち。傷こそ癒えているが、意識は未だ戻っていない。
地下牢には私の悲鳴と彼女の怒号ばかりが響く。寝間着をビリビリに剥ぎ取られ、これっぽっちも濡れてない性器にペニスを押し当てられて……。
ずぐん、と一息に貫かれる。また、一瞬だけ明滅する角。お腹の中から聞こえてくる、ぐちゃり、となにかが潰れたような音。
『ほら、ほらっ!あは、あははははっ!お姉さん、やっと、やっと私を見てくれた!私のことを思ってくれた!』
『あ、ああああ……なんで、どうして、やめて……』
ぐちゅん、ぐちゅん、と彼女がピストンするたびに肉がひしゃげ、骨が砕ける音が響く。
漸く産めるかもしれない、今度こそ産ませてもらえるかもしれない。そう思っていた私に突然に振るわれた凶行は、彼女を憎むに余りあるもので。
だから、私は。赤ちゃんを守るために必要かも、なんて子供じみた夢想のままに食堂から持ってきた研いだナイフを枕から取り出して。彼女に向けようとして。
『……え?』
『赤ちゃん、私の、赤ちゃん……』
だけど。そんなどうでもいいことより、赤ちゃん助けてあげなきゃって思って。自分の腹を割いて、取り出そうとして。
ずぼっ、と。抵抗がなくなって彼女のペニスが引き裂かれた胎から一気に飛び出してきた。その先端には、勢いのままに串刺しにされた、ひしゃげた血塗れの肉塊だけ。
『……ああ、そっか、遅かったのか……だめな、ヒトで、ごめんなさい……』
『あ、ああ、ごめん、お姉さん。今、今治すから。この子も治して、そうしたら、ちゃんと謝るから!なんで、なんでこんな事を……私は……っ!』
発狂したような彼女の声が聞こえる。何を言っているのかわからないし、興味もない。どうせ私を責める声だし、その言葉はきっと正しい。
翌朝。蘇生した私の元には赤ちゃんは残っておらず。その子がどうなってしまったのか、どう処理されたのかは未だに判っていない。
そんなふうにして、私は2人目を失った。
3人目は、確かそこから1年が経ったあたりで孕んだと思う。うろ覚えだ。よく覚えていない。
当時の彼女は流行りだったのか何だったのか、私を殺さずに犯し続けていた。優しく、丁寧に。きっと彼女がそういうのにハマってたんじゃないかと思う。よく知らないけど、私はかつての記憶を頼りに気持ちいいように繕っていたと思う。
そんな中孕んだのが3人目。私が14かそこらだったと思う。
ただ、私は2人目のときのような熱量を子供に持てなかった。どうせ殺されるし、殺されなければ産まれるか、或いは流れるかだろうが、まあそれだけの話だ。ちゃんと産む事が彼女の父との約束だったような気もするが、まあ彼女に殺されたならしょうがないだろう。どだい私にどうこうできる話ではなかったのだ。
だって彼女は獄卒で、私は罪人だ。仏教の地獄では姦淫を犯したものは色香に誘われ針山を動き回って全身突き刺されるというが、色香の代わりに無様な母性に誘われるままに針山で踊らされているのが今の私なのだろう。そんなことを思うようになっていた。
そんな私を知ってか知らずか、彼女は死体か何かと見紛うような蒼白な顔で、再度私を隔離する。2人目のときより従者の数が少ないが、彼女自身諦めているようだ。
そして、当然ながら3人目が無事に産めることはなかった。
『どうして、私を見てくれないの。お姉さん、お姉さん……っ』
『あっ、あっ、中に出てます……っ。すごい、いっぱい……っ』
妊娠している私の胎内に、彼女はペニスを突き入れ射精していく。勢いはあまりないが、次から次へと間断なく吐き出すさまはまるで噴水か何かのようだ。彼女のペニスが蠕動するたび、少しずつ胎が膨らんでいくのがわかる。
『そうだよ、中に出してるんだよ……っ!良いの?このままいっぱい出たら、また赤ちゃん死んじゃうんだよ……っ!そんなの嫌でしょ、だから私を見て、嫌って、怒ってよっ!なんでも良いから、もうそれだけでいいから!そうしたらもうこんな事しないからぁ……っ!』
滂沱の涙を流しながら叫ぶ彼女は私が感情を見せないことに怒っているようだった。いや、前からそうだったかもしれないが。
だけど嫌って欲しい、怒ってほしいと言われても困る。だってどうせこうやって犯されて、ペニスなり精液なりで尊厳ごと殺されるだろうことは判っていて、それで抵抗すらしていなかったのだ。なのにそのことでさも自分の権利のように感情を振りかざすのは誤りだろう。
『こういうのは、お互い気持ちよくなれば良いのでしょう?そのためにいつも……』
『気持ちよくなってない!私も、お姉さんも……っ!なんで、口だけでも良いから止めてよ……っ!私、お姉さんに……止めてもらわないと、自分じゃ、もう……っ!』
不思議だ、と素直に思う。
なぜ私に止めて欲しがっているんだろうか、という疑問しか無い。だって……。
『御主人様は、私では止められませんから』
『────────』
彼女の表情が崩れる。絶望という表現が似合う顔だった。なんで今になってそんな顔をするのかはわからないけれど、彼女は確かに何かを悟ったのだろう。
最初は強く、しかし私の子宮に射精していく間に弱まりながら明滅する角。それが消えるかどうかというタイミングで、私の膨れた腹を更に膨らませた精液の流れが止まった。
そのまま何も言わずにペニスを抜く彼女。精液がごぼごぼと音を立てて私の中から流れ出し、6ヶ月だか7ヶ月だか、そのぐらいの小さい胎児が流れ出してくる。全身が強く押しつぶされたかのようにひしゃげていて、だからまだ細いだろう産道を流れてこれたんだろう。
まだぴくぴくと動く胎児に彼女が回復魔法をかける。動きが強くなって、やがてすぐ弱まる。また回復魔法をかける。動きが強くなって、すぐ弱まる。
そんな、まるで賽の河原で石を積むような所業はそう長くは続かなかった。魔力が尽きたのか回復魔法の光が放てなくなった彼女の目の前で胎児が動かなくなり、彼女の角に灯った薄明かりは完全にかき消えた。
『………………』
『御主人様、終わりの一回はしなくても……?』
いつも通りの精液を飲ませる行為。それがないと彼女は性行為を終わらせられなかったんじゃなかったか。そう思って声を掛けるが、反応はなく。
動かなくなった胎児を震えた手つきで布で包んだ彼女は、ふらつくような足取りで地下牢を出ていった。
「結局、何がしたいんだろうな」
過去を振り返ってポツリと呟く。
正直、私は彼女の思考がわからなくなっていた。私に心を向けて欲しい、という割には意図的に私の心を砕く方に行動しているようにも見え、そのくせその結果を受け入れがたいとでも言うように涙を流す。
神の祝福とやらのせいか、或いはかつてと今のギャップで性格が歪んだせいなのだろうか?どちらにせよ、やはり原因は私に帰結しているようだ。
「……ねえ」
そんな私のつぶやきが耳に届いたのか、部屋の入口から声がかかる。猫獣人の従者、彼女の付き人だ。
主が聖都に向かったのにも関わらず同行していないのは、信頼できる従者に私の身を任せたかったから、らしい。
「はい?なにか御用でしょうか」
「あー……その、さ。図書館行ってみない?あんた、本読むの好きだったでしょ?」
本を読むのが好きだった訳では無いが。胎教として読んでいたこともあったが、今となっては無駄なことだし、やろうとも思わない。
「わかりました、行きます」
でも、だからといって相手方の好意を否定するのは性奴隷の「私」ではないので、素直に了承した。
目的は気分転換か、感情を覚えさせようという話なのだろう。本を読んで感情を抱けるようになったなら良いことかもしれないが、まず不可能だとは思う。
何も期待していない、何も思わない只の外出。集積された本がずらりと並ぶ知識の御殿を、ただぼんやりと歩く。
結局、何も思うことがなく。どうせ何をしても無駄だと判っていて、何かをしようとなるほど私は情熱的ではないのだと改めて認識して。
だけど、そこで。
"……おや、何か本をお探しですか?"
「……そうだな。ええと、大切なものを守る方法が書かれた本、とかかな」
"なるほど……"
司書業務として話しかけてきた脳頭の
"……ふむ。今の貴女なら、そうですね。貴女自身を提供していただけるのであれば、およそ大概のことを提供できます"
「────本当か?」
私は、全てを解決できる可能性に出会ったのだった。
──────
────
──
─
「お姉さ……あの子が消えた、だって!?」
「はい。その、地下牢で見張っていたはずなのですが、一瞬の内に煙のように消えてしまって……」
お姉さんが妊娠して10ヶ月が経ち、臨月を迎えたその当日。
急に飛び込んできたおよそ信じがたい凶報、思わず耳を疑った。
「そんな馬鹿な、あそこは、あの子の地下牢は私が魔法で探知網を敷いていたはずだぞ……っ!」
「そうは言われましても、その、わたし達も何がなんだか……っ!」
言い訳にもならない言い訳をしどろもどろになって並べる従者に思わず殺意が向きそうになるが、すぐにしぼむ。
そもそも、目の前の子はフロー以外で私と彼女の悍ましく血に染まりきってしまった間柄を知ってなおついてきてくれる数少ない従者だ。そんな彼女が今ここで自分の不手際を偽るなんてことはしないはずだ。彼女から感じる偽りのない不甲斐なさへの罪悪感がそれを伝えている。
「一体どうやって……いや、それよりもなんで……?」
フローを連れて地下牢へと急ぎ向かいながら独りごちる。
お姉さんと私の関係ははっきり言って最悪の様相を呈している。全部全部、私の醜い嫉妬心と独占欲、そして歪みきった性的快楽によるものだ。
関係が最悪、というのが忌み嫌われているというなら逃げるということはまああり得なくもないと思えるが、しかし実情はもっと悲惨にしてしまっている。
(お姉さん、今は誰に対しても感情を持ってないのに……っ!)
だから、逃げることすらしないのだ。今のお姉さんは。
どこが分岐点だったのか、引き返せない場所だったのかははっきりわかる。──1人目の我が子を、お姉さんの
お姉さんに愛された、私の血を引く子。私は愛されないのになんでこの子だけ、なんて醜い嫉妬心と赤ちゃんを性行為で使い潰すという背徳的な興奮から、悍ましくも射精で自分の赤ちゃんをグシャグシャに撹拌したのだ。
悲鳴のような2人分の感情を浴びて正気に返ったときには何もかも遅くて。お姉さんの魂に包まれた赤ちゃんを精液ごと体外に引っ張り出したときには、1t近い精液で撹拌された赤ちゃんの魂はとっくに消えてしまっていて、蘇生なんて叶わなかった。
……丁寧に丁寧に、子供を作るために使うはずの精液から赤ちゃんの残骸を取り出して、バラバラの肉片に精液が残らないように洗って綺麗にした上で火葬した。どうしても、左手の中指だけは見つからなかったことを覚えている。
そこから箍が外れたように、私は自分の子供を犯し殺した。「やってはいけない」と認識して理性で抑えていた「赤ちゃんを殺すこと」が、祝福の効果もあって嫌いにならなかったから、多分そうすることへの敷居が下がってしまったんだと思う。
1人目を殺したことで私に心を向けなくなったお姉さんが、2人目を孕んだことで子どもにだけ心を向け始めた。そのことがとても羨ましくて、憎らしかった。
だから犯して、私に心を向けさせようとした。憎しみでも、怒りでも、悲しみでも、恐怖でも良い。なんでも良かった、私を向いてくれれば。
何度も何度も剛直を叩きつけて、小さな赤ちゃんを彼女の胎の中で挽き潰した。目論見通り私に対して憎悪と恐怖をぶつけてきたお姉さんに、確か歓喜を覚えたと思う。そうして彼女が隠し持っていた刃を私に向けてきて──そうして、そのまま殺されれば。私はきっと、お姉さんの心に残れたのだ。
だけど結局、お姉さんは赤ちゃんを優先した。自分のお腹を切り開いて、私の剛直に貫かれた赤ちゃんを助けようとして、全てが遅かったのだと絶望してしまった。また……ううん、前以上に心が喪われてしまった。
私は失意と後悔に沈みながらお姉さんを治した。……ぐちゃぐちゃになった赤ちゃんの蘇生は諦めた。赤ちゃんを優先して蘇生させれば間に合ったかもしれなかったけど、赤ちゃんの損傷は激しいなんて言葉で言い表せる範囲を遥かに通り越していたこともあって、蘇生魔法を使ったらきっと次の蘇生魔法を使えるだけの魔力が残らなかった。もし赤ちゃんを蘇生させる間にお姉さんが死んだら、私はお姉さんを蘇生させられなくなる。だから、私は赤ちゃんを見捨てるしかなかった。
2人目を私が殺して以降、誰に対しても強い感情を発することが無くなって。だけど見た目だけは今まで通りに振る舞うその姿が痛々しくて、悲しくて、寂しくて……。
幸か不幸か、2人目を殺した時に赤ちゃんをペニスで物理的に殺傷し串刺しにした事は私にとっても負担だったのか、私のペニスは30cmぐらいにまでなっていた。この大きさだと子宮を貫くことはできるだろうけど、無理に押し込まなければ赤ちゃん自体を強く傷つけるようなことはできない。
そしてその大きさなら、優しく犯すという今までには出来ないやり方が出来た。だから殺さないように、優しく丁寧に犯した。甘い言葉もいっぱい囁いた。普通に好きなんだと、もう暴力は振るわないと、もう酷いことなんてしないと、そう言い続けた。
だけど、そんな中で孕んだ3人目に、お姉さんは関心を向けなかった。私にも、フローにも、赤ちゃんにすら、お姉さんは心を向けられなくなっていたんだ。
そんな見るに耐えない大好きなヒトを見てられなくて、私は3度目の凶行に及んでしまった。
赤ちゃんを犯すという悍ましい行いをすれば、きっとまた恐怖や憎しみを向けてくるだろう。そうしたら即座に止めて、身体も赤ちゃんも全部癒やしてあげればいい。多少なり心が動いたタイミングで彼女の意思に従うようにすることで、私はもう貴女の嫌なことをやらないよって示せれば。
そうすれば、少しずつでも心を取り戻してくれると。そう思っていたのに。
『御主人様は、私では止められませんから』
……お姉さんは、とっくに全部諦めていた。何もかもを諦めて、受け入れて、何も考えないようにしていたのだ。
もう、どうやっても心を動かせない。そう悟って、快楽もないのに無理矢理刺激してまで精液を子宮に吐き出す意味はないのだと、
妊娠22週の赤ちゃんは精液で押しつぶされていたとはいえ魂は残っているし、今までに比べれば原型も残ってた。だから頑張って治療しようとしたけど、私の魔力が尽きると同時に死んじゃった。片手に収まるサイズのその子は、未成熟すぎてそもそもお母さんの中じゃないと生きられなかったんだ。
そうして。愛の結晶だったはずの赤ちゃんを3人も惨殺した私は、もう何をしてもお姉さんの心が動かせなくなってしまったとしても、それでもどうしようもないくらいに好きだったから、ただずっと愛を囁いて、乱暴に抱いて、優しく犯した。
今まで同様に殺すように犯すこともあった。逆に殺さないように丁寧に、まるで普通のヒトのように犯すこともあった。パターンを付けたり、やり方を変えたり、少しでもお姉さんを刺激できればと思ってやったことだったけど、全部無駄だった。
そうして、4人目を孕んだのが最近のこと。私が聖都から戻ってきたときには少しだけお腹が膨らんでいて、今までの子たちと同様に私とお姉さんを混ぜたような魔力を放っていた。
その時にはもう、母胎ごと赤ちゃんを犯そうなんて気は起きなかった。だってそんな事をしてもお姉さんの気を引けないことが判ってしまったから。
赤ちゃんごと犯すのは嫌いじゃないが、別に好きでもない。お姉さんの心を動かせないのならやりたいとも思わない。……皮肉なことに。お姉さんの心を完全に圧し砕いてしまったことで、私は漸くお姉さんとの赤ちゃんをちゃんと迎え入れることができる精神性を獲得したのだ。
ともかく。いつも通り隔離して、いつも通りお姉さんは赤ちゃんを育んでいた。無感動に、無感情に、かつてそうしていたからという理由で同じように振る舞っていた、筈だ。
「なのに、急に姿を消すなんて……」
唐突が過ぎる。今は妊娠10ヶ月で、あと数日もすれば出産するという状況だった。あとたった数日、あの地下牢に居てくれればそれで全部終わった話だったのに。
なのに、消えた。ありえない、何かの陰謀だなんてバカみたいな考えすら飛び出しかけた私は、だけど地下牢に来たことで何があったのかを察してしまった。
がしゃん、と乱暴に鉄扉を開けた先。私の蛮行の痕跡やお姉さんを犯し殺した回数が刻まれた石造りの牢獄からは、しかし薄っすらとだけど普段とは違う魔力の残滓が残っていた。
「──この魔力、は。
その魔力は覚えがある。とても馴染みがある。転生者の大半がお世話になっている
「
無性の
──────
────
──
─
『図書館にこんな場所が……』
"やあ。僕のことは知っているかな?まあいいや、自己紹介をしよう。僕は
『……
"おや、やっぱり多少知っているようだね。結構、それじゃさっそく本題に入ろう。君の現状は知らないが、君の状態は把握している。魂が破損し、歪み、心が砕けた。そうだね?"
『そうなんですか?その、よくわからないのですが』
"……そうなんだよ。そしてこれから話すことは、魂が不可逆になってしまった君にこそ提案できることだ"
『…………それが、私を捧げて、代価を得ることだと?』
"そのとおりだ。何故そうなるのかは今から説明しよう"
"僕の
『脳髄を?しかし、何故そんな事を?』
"記憶の収奪は知識の集約を、脳髄の収奪は僕自身の脳容量の増加を求めてのものだ。本来なら
"だから、脳髄を奪って直接僕の思考力を上げる。昨今の時代だとハードウェアの増設、というのが近いか"
"君の脳髄の機能自体は人類全体で見ればかなり優秀な部類だ。増設部品として使えば僕の思考機能は0.00002%は上昇すると見ている。単体の脳髄としては破格であり、だからこそ対価を払う価値はある。……だからこそ、魂の変化が可逆範囲に収まっていればなお良かったんだけど。まあ贅沢は言えないね"
『……なるほど。私の脳髄を貴方が取り込むことで、自己の機能向上を図る。その対価として、私が希望した内容を実現していただける、と』
"そういうことになるね。何、詐欺や詐取を心配する必要はない。大昔から同じ事業を行って、そうして聖都というこの世界の先端都市が生まれたんだ。実績は折り紙付きだとも"
『そこは疑っていません。私程度を騙す意味はないのですから』
"話が早くて助かるよ。それでどうする?受けるかい?"
『そうですね。私は、私の希望は────』
──────
────
──
─
"そうして、契約が成立。母胎の安定を待って、彼女の願望通りこうしてここに連れてきたわけだけれど、なにか質問はあるかい?イヴェット・ゼヌニム"
「………………」
何も言えなかった。というより、説明が殆ど耳に入らなかった。
王都の図書館。犯人が
私の視線の先に居るのは、女の子座りで、大切そうに大きなお腹を抱えるお姉さん「だったもの」の姿。
後頭部と背骨が切り開かれて、その中にあるはずの脳髄が喪われている。へんなケーブルめいたものがたくさん繋げられて、その先にある機材を
そこに、既にお姉さんの魂は残っていない。目の前に居る「ゼノヴィア」は、もうどうやってもお姉さんに戻すことは出来ない、ただ生きているだけの
"ああ、そうだ。これは彼女という性奴隷、その残価だ。おっと、契約の横紙破りと言わないでくれよ?扱いとしては「性機能」以外の当人が持っている財産を売り払うことで、性奴隷としての立場はそのままに自分を買い戻すための資金を稼ぎきったという扱いになるんだからね"
ジャラ、と大量の金貨が入った袋が置かれる。聖都の紋章が入ったソレは、お姉さんという人間を永久に損失したことはそのくらいの価値しかないと言われているみたいだ。
「…………どうして」
我慢しきれず、ぽつり、とつぶやく。
"?"
「こんなことしたら、もう、お姉さん、戻ってこれないよ。どうして、どうしてこんなことしたの……?」
心底不思議そうな感情を浮かべた大きな脳を前に、堪えきれなかった言葉がポロポロと溢れ出した。
「ひどいよ……もう、もう、私、会えないなんて……まだ生きてたのに、まだなんとか、できた、筈なのに……!
ああ、だめだ。止まらない。こんな唐突に、大好きな人を喪ってしまったことが悲しくてたまらない。
目が潤む。視界がゆがむ。涙が後から後からとめどなく流れていく。
"おかしなことを言うね。判ってるだろうに"
だけど、
"この転生者はどうしたって元には戻らなかったよ。不可逆になるまで魂を虐げたのは君だろう、イヴェット。その所業を悪いとは言わないけどさ、僕に押し付けるのはやめてくれない?"
「──────っ、ソレ、は」
違う、って言おうとして、言えなかった。
そうだ。気付いていた。私がお姉さんを殺したんだって。痛めつけて、壊して、元に戻らなくしたんだって。ただそれを認めたくなくて、ずっと目を背けていただけだ。
"彼女が僕に抱いた願いは、厳密には願いじゃなかった。あくまで『自分ならそう願うだろう』という言葉を僕に吐き出しただけだったよ"
"だけど彼女は、確かに自分を代価にすることを了承して、願いを叶えることを望んだ。本当にそうしたいって思ってるわけでもない願いのために、自分を捧げることを良しとした"
"つまり、そのくらい彼女は自分を捨てたかったんだろうね"
そうだろうな、そうに違いない。お姉さんが10歳の頃、私が殺人の犠牲者だと知った時にお姉さんは悲痛な感情を抱いていた。自分はどうでもいいから子供だけは、そう言っていた。
きっと、お姉さんは自分が嫌いだった。もしお姉さんが
そして、そうなるまでに壊したのは私だ。お姉さんが自分より守りたかった赤ちゃんを犯して、凡そ人間らしい身体すら残らないぐらいにぐちゃぐちゃに殺して、徹底的にお姉さんを凌辱したのは私だ。
なのに、どうして
「…………」
"質問はもうないかな?"
私が無言になったことをうけて、
「質問……そうだ、お姉さん、転生したりするかな。そうしたら、また会えるかな」
他人によって魂を強く歪められたら、神様が祝福して転生させてくれる。転生者ならほとんど皆が知ってることだけど、この世界でもそうあって欲しかった。
一縷の望みを懸けた私の言葉は、だけど冷静に否定された。
"無理だろうね。転生は肉体に発生した魂を構築できるまでに至った精神を基準に魂を構築して、そこに付随する肉体を扱える精神生命体へと転化させる行いだからね。この世界の誰もが既に
「…………そっか。じゃあ、やっぱり会えないんだ」
やっぱり。二度の転生をした人の話なんて聞いたことなかったから無理だろうなとは思ってたけど。
"そもそも転生者は元来魂が歪んでいて、神はその補正のために色々手を尽くしているんだ。なのに歪みが解消されなかった魂っていうのは神にとっては不適格品になる。仮に君等2人が死んだとしても、神に掬われるのは君だけだよ、イヴェット"
追い討ちをかけるような
「私は歪んでるって扱われないの?」
"祝福を受けいれて
祝福を受け入れられた時点で、身体が作り変えられる。ソレが事実上の2回目の転生で、ソレが出来た時点で魂の歪みはないことの証明だって。笑っちゃうよね。
ちっちゃな身体に鈴口を押し当てて、吐き出した精液でミンチにした。赤ちゃんをペニスで殴って、ぐちゃぐちゃにしてその体を貫いた。ちっちゃな赤ちゃんがいる子宮の中にゆっくりじっくり精液を吐き出して、時間を掛けて圧し潰した。そんな悍ましい私は、しかし魂が歪んでいないということらしい。
そして、異常者でしかない私の魂は歪んでいないという神の判断によって、私は救われて、お姉さんは救われないらしかった。
そんなのってないと思う。いくらなんでもひどすぎる。自分の所業を棚に上げて、私はそんな事を思った。だけどもう取り戻せない。どうにも出来ない。手立ても何も見つからない。
「……わかった、それじゃあ……」
"あ、待った。産まれるな、そろそろ"
「…………えっ?」
喪失感と失意のままに立ち去ろうとした私の耳に届いた
お姉さんだったゼノヴィアの大きな胎がぶるり、と震える。ばしゃり、と破水した水が座り込む彼女の足元に広がる。
"さーて、お産の介助とか何時ぶりだったか。イヴェット、もしよければ手伝ってくれない?この身体に拡張魔法かけてやってよ、そうすれば簡単に取り上げられるから"
「え……でも、私は……」
怖い。するつもりがないと判っていても、殺す気がないと自覚していても。
だけど、それでも、同じ立場の赤ちゃんを3人も犯してきた私だ。手伝いなんてとても怖くてできない……そう、思っていたのだが。
「…………っ」
伝わってくる。赤ちゃんの苦しそうな感情が。頑張って外に出ようとしている、生物としての本能が。
それが、その感情が。発する魔力は──大好きな大好きな、お姉さんのそれに近しいもので。
肉体拡張の魔法を使って子宮と膣が簡単に伸びるように作り変える。かつては60cmもあった私のペニスを11歳の女の子が受け入れられるようにするような魔法は、17歳のお姉さんの中から出ようとするちっちゃな赤ちゃんが産道を通りやすくするには十二分の働きで。
赤ちゃんの感情が強くなる。角がいっそ痛いくらいに明滅する。
私は1歩2歩とゼノヴィアの身体に近寄って、ゆっくり、壊さないように慎重に、性器の中に手を入れて。ちっちゃなちっちゃな柔らかい身体を、両手で優しく抱えるように引っ張り出した。
おぎゃっ、おぎゃあっ!おぎゃあっ!
元気良く泣きわめく、ちっちゃな生命。私の精子と、お姉さんの卵子。私のペニスと、お姉さんの子宮から産まれた、私達の赤ちゃん。
じゅく、と胸元から何かが染み出す。無闇に大きなおっぱいの先端から、ドレスを貫通する勢いで母乳がぶぴゅっと吹き出した。
"お、そうか。淫魔って精神の繋がりで親子判定して、子育てに必要な身体に作り変わるんだっけか。であれば、女性機能がある淫魔の
どこかのんびりした
これは、この子にあげるために身体が作り変わったんだ。この子は、この赤ちゃんは、私の子供だから。
だから、あげないと。そう思って、胸元に寄せようとして……だけど、その前に。赤ちゃんの身体を、お姉さんのおっぱいに寄せた。
「んく、んく、んく……」
赤ちゃんがお姉さんのおっぱいにむしゃぶりつく。体の機能は維持されていたこともあって、お姉さんの大きなおっぱいから初乳が溢れ出てくる。
その姿に私の親としての本能が刺激されたのか、母乳が更に溢れてくる、絞ってもいないし吸われてもいないのに、ぶぴゅ、ぶぴゅ、と私の服を白く汚していく。
そして、お姉さんのおっぱいを一通り飲ませた私は、恐る恐る自分の乳首に赤ちゃんの口を充てがって。
「んく、んく……」
果たして、赤ちゃんは私の乳首に吸い付いた。怖がったり、嫌ったりなんてしないで、ただ必死に生きようとしている。
「ああ、あああ…………!」
一口吸うごとに、私の乳房の中にぱんぱんに満ちた母乳が乳首を通って吸い出されていくスッキリした快感が身体に走る。もっとあげたい、お腹いっぱいにしてあげたい。そんな母性が本能的に身体を満たす。
強い好意。混じり気のない愛情。本能的な欲求の感情。お姉さんに近い魔力を持つ小さな命から、一杯に一杯に求められて。私は思わず泣き崩れた。
(こんなに、こんなにも愛しかったんだ。可愛かったんだ。柔らかくって、ふわふわで、元気いっぱいに私にしがみついてきて、大好きを向けてくれるんだ……)
ようやく、本当に漸く。私というヒトがどこまでも悍ましい行いをしたのだとはっきりと自覚した。こんなにも愛してくれる、可愛らしい、自分とお姉さんを受け継いだ生命を。性欲のままに、殺意のままに、嫉妬のままに、犯し殺してしまったという事実を認識できてしまった。
「ごめんね、ごめんね、ごめんね…………っ!殺してごめんね、犯してごめんね、酷いことしてごめんね……!」
許されない罪だ。とても認め難い存在だ。こんな自分が生きて、まるで母親のように授乳して。本当のお母さんであるお姉さんは、ゼノヴィアは──。
かたん、と軽い音がした。振り向けば、すべてを終えたと言わんばかりに目を閉じて倒れ伏した、背中がバックリ切り裂かれた
"さて、それじゃあ契約は完了だ。性奴隷契約を完了できるだけの代金を精算すること、赤子を
「っ、待って!お願い────最後に教えて。お姉さんは、わ……この子について、何か言ってた?その、なんでも良いから……何か……」
自分ならそうするだろう、そういう「普段通りに振る舞う」演技で、生命を捨ててしまったお姉さん。
私はもとより、子どもにすら感情を向けられないように心を踏み躙られた彼女は、赤ちゃんになにか思うところはなかったのか。それだけはどうしても知りたかった。
"ふむ…………"
私の呼び止めに答えるように、少しだけ気配が増した
──────
────
──
─
『ああ、すごい、これは、こんな、世界が────』
極彩色の世界。ありとあらゆる全てが見通せるような、そんな鮮やかな世界が一気に広がった。
契約を結んだ私は、臨月を迎えた際に図書館に移送され、そして脳髄を切り離された後、図書館に設置された分脳を介して発動した魔法によって切り離された脳髄だけが一気に聖都の
実際は脳髄を切除された段階で自意識は一時的に消失してたから分からない。だが次に目覚めた時、私は一気に膨大な、それこそ万華鏡のような無尽無限に広がる情報に圧倒された。
映像、会話、大気、魔力、精神、魂──凡そあらゆる種類の情報が一気に全身を巡り、私もその中に溶け込んでいく。
"驚いた。なるほど、忘却機能に乏しい脳を基準として構成される魂の場合は希釈されるにも多少時間はかかるのか"
『
希釈、という言葉の通り。私は少しずつ世界に広がっていくような感覚はあった。だけどそうなるたびに、どんどん私自身に得られる世界が広がっていくような万能感すら感じられて、恐ろしいことなど何もなく、ただひたすら、好奇心と感動が私を包みこんでいた。
"まあ、そうだね。にしても、膨大な情報の僕の魂で希釈して、混ざり合うことで漸く感情が戻るなんて本当に重症だったんだな"
『うん──?ああ、なるほど、そういうことだったのか』
この感動は、感情をちゃんと発露できる
そうして、久方ぶりにものを感じて、僅かな時間を楽しんでいると……ふと、知覚の端に引っかかったものがあった。
『あ────』
"何かあったのかな?って、ああ。イヴェットか"
多分、魂を知覚する部分で彼女に気付いたのだろう。
改めて、思いを抱けるようになって彼女を見て思うことはそこまで変わらない。責任感と、恐怖と、憎しみと、罪悪感。子どもを悍ましい手段で犯され殺された。彼女の前世を悍ましい手段で裏切って殺した。その事実は覆りようがないからだ。
だけど、ああ──こうやって、
そんな彼女が、私が消えたことで半狂乱気味に地下牢へと向かっている。ぐちゃぐちゃな感情の大部分を私を失うことへの恐怖で満たしながら、それでも一縷の望みを懸けて頑張って自分を奮い立たせている。
"悪いことをしたな、って思ってる?"
『いえ……まあ、それは、ずっと前からそうです』
ただ、それでも諦めてしまった。彼女への償いからも、子どもたちを守る立場からも逃げ出した。諦めた。
そんな私が、果たして彼女に何を残せるというのだろうか。そもそも何かを残すべきなのか。ひたすらに悩むばかりだ。
そうやって悩む間にも、彼女はいよいよ私の身体のもとにたどり着いていた。
お腹の中の赤ちゃんはもう間もなく産まれるだろう、そんな状況で。彼女は私だった身体をみて呆然としていた。
『……ああ、形はどうあれ、愛されてはいたんだな』
愛されていたのに無視をして、死ぬまで気づかないなんてことを2回も繰り返す辺り本当に私は愚かしいなと思う。
『赤ちゃんも、駄目な母親のもとに産まれてごめんな。きっと、彼女なら守ってくれるだろうから』
今の彼女の精神性なら、きっと産まれてくる子を守ってくれるだろう。そこに至るまでに3人も守れなかった駄目な母親よりは、きっとマシなはずだと信じたい。……まあ、殺したのも彼女なので、可能なら
"無茶言わないでほしいね。淫魔であれ人間であれ、
『口すらないものな……っと』
なんて、軽口を叩いている間に時間切れのようだった。私の意識が徐々に薄れ、認識できる自己の像が曖昧になっていく。
結局何も残せなさそうだけど、そもそも私みたいなのが何かを残そうなんて烏滸がましい……そう思ったところで、ふと、この極彩色の世界と、もうすぐ産まれてくる私の赤ちゃんのことで思い出したことがあった。
『……ああ、そうだな。名前、名前だ……』
名前、赤ちゃんの。確か、彼女の子を孕むずっと前、柘植の子を孕んだ時より更に前。ええと、そうだ。「彼」がもうすぐ出所するということで、子供の名前を夢想していたんだった。
本当は、丁寧に考えてやれば良いんだろうけど。もう時間もないし。だからせめて、ずっと昔に、頑張って健やかに育って欲しい、そう思って、考えた、名前の候補があって。その中にあった、彼女と、赤ちゃんに、似合う名前。
『…………私の、私達の、赤ちゃんの、なまえ……は…………』
ぽつり、と小さく呟いて。無限に広がる輝かしい世界の情報に溶け込むようにして。
そうして、私という人間はめでたくこの世界から消失した。
──────
────
──
─
「ん…………」
意識が覚醒する。
10年前の、私が引き起こした惨劇の幕引きの夢だった。絶対に忘れられない、悍ましく悲しい、私という存在の罪の全てが詰まった記憶。
忘れもしないそれを、なぜ夢で見たんだろうと思ったけれど。今日がお姉さんの事実上の命日で、娘の誕生日だったことを思い出した。
「ママー!遊びに来たよー!」
ててて、と軽い足音。また素足だな、さては。
程なくして、がしゃん、という金属音とともに鉄扉が音を立てて開く。そこから顔を出したのは、可愛らしい顔の淫魔の少女。
「……アミタ。私は「ママ」じゃないぞ。どちらかと言うとパパだっていつも言ってるだろう」
そこだけはどうしても訂正したくて、小さな命を抱きかかえる。キャー、と喜んで手足をばたつかせる姿はとてもかわいい。
「えー、でもママでしょ?パパだったらおちんちん付いてるしおっぱいはないんだよ?」
「おちんちんは昔引きちぎって捨てたんだ。おっぱいはアミタがいっぱい欲しがるから残してるんだよ」
「えー、私そんなに子どもじゃないもん」
そう言いながらも、抱きしめてあげればおっぱいに顔を埋めてご満悦だ。小さな頃からいっぱい触らせて、吸わせて、抱きしめて、ちっちゃな娘を温めてきた栄養満点の自慢のおっぱいだ。この子にとっては何よりも馴染むものだろう、きっと。
アミタ、それがお姉さんが娘に最後に残せた心──ちっちゃな娘のために、消える間際まで考えていた名前。仏教の言葉で「無限」とか「無尽」とかそんな感じの意味。阿弥陀様の語源なんだって
"
消える間際の記憶を確認したらしい
最後にお姉さんが見た光。
だから、それはお姉さんにとっても特別な名前で、だからこそこの名前をつけることにしたんだ。かつてお姉さんに殺された私のことまで気遣った名前というのもあり、これ以外の名前にはしたくなかった。
ちっちゃなアミタが来て、いっぱい遊んで。お昼になったから午後の勉強ということで教育係に連れて行かれて。
そうして、私は再度1人になったので、ベッドにゴロンと寝そべった。
横になって壁を見れば、刻まれなくなった死の痕跡。罪を認め、当主の後継を辞退した私は本来の主が不在のこの地下牢を居室としていた。
「……アミタ、可愛く育ってるなあ」
毎日のように一緒に会って、遊んで。すくすく大きく育った可愛らしい娘。私とお姉さんに似た見た目だけど、性格は天真爛漫って感じでどちらとも似てなくて。だけど確かに私達の子供だった。
……あの子と一緒に遊ぶたび、私は自分で殺した子どもたちを思い出す。父親の手で無惨に殺された赤ちゃん達は、きっと本当はあんなふうに育つはずだったんだろうと思うと、今の自分が生きている資格なんてないって強く思えてならない。
「……やっぱり、早く育ってほしいなあ」
ちゃんと育って、私みたいな異常な性癖を持たないで、立派な大人になって欲しい。
そうしたら、お母さんのことをちゃんと話して。そして、私を悍ましい悪人であると弾劾して欲しい。……私のような浅ましく嫉妬深い、子殺しの性欲異常者ではない、貴女の本当の味方がいたんだよって知ってほしい。
「そうしたら。そうしたら、きっと私は裁かれるよね。きっと、ちゃんと、死ねるよね」
死にたいわけじゃない。でも、いつかしっかり報いを受けて死なないといけないと思っている。嫉妬心から子どもを犯し殺すようなヒトなんて、万が一にも生き延びるべきじゃなかったってずっとずっと思ってる。
今はまだ、無理だ。あの子も小さいし、まだ周囲に敵性になりうる国もある。それらが平定されるなり同盟になるなりしてからでないと、国で最強である私は死ぬことが出来ない。
だけど、いつか。あの子が大人になって、周りが平和になったら。
「──お願いだから、こんな悍ましい父親を、絶対に殺してね。……アミタ」
悍ましい自分を消したいっていう思いだけは、お姉さんと重なるところがあることに気付いた私は、そう言って、小さく笑った。
私(享年17):人間。女。161cm 100/59/94のKカップ。心的疲労から本来の時空より背が低いが逆に胸や尻がでかい。
本編より諦めが早い性格。本編だともうちょっと抵抗したので「彼女」が犯すまでに時間がかかり、胎内の赤ちゃんが「彼女」に感情を向けるタイミングが出来たが今回は出来なかったので死んだ。
3人堕胎ックスどころか子宮内で惨殺されるという凡そ耐え難い仕打ちを受けて心が死んでさっさと死にたいと思うようになった。本編に比して自分ではできないと思ったことへの諦めが早いので「彼女」の考えの理解を早々に放棄したのが敗因。脳のデキだけは良いので
彼女(39→49):淫魔。ふたなり。1児の父。3人の赤ちゃんを母胎にいるままに犯し殺した。
本編より嫉妬深い性格。本編だと
1人目は精液ミキサーで粉々、2人目はちんちんで物理的に犯して挽き肉、3人目は精液の圧力が胎内で高まったことによる圧死+未熟児を体外に排出させたことによる衰弱死。4人目はどうやっても彼女の気を引けないと認識していたので手を出そうとすら思わなかったので、別に主人公が動かなくても赤ちゃんは助かってた。つくづく間が悪いと思う。
現在は事実上の兵器扱い。地下牢に軟禁され、有事のときだけ外に出される。流石に子煩悩な彼女の父も庇おうとはしなかったそうな。残当。ちなみにちんちんと子宮と膣は引きちぎって捨てた。陰門は排尿に必要な箇所を除いて縫い合わせてあり、性機能は事実上喪失している。
アミタ(10):淫魔。女。
この時空における「私」と「彼女」の娘。天真爛漫。おっぱい大好き。ママ(パパ)が大好き。なんで上の階じゃなくて地下牢にいるか不思議に思っているらしい。
こっそり主人公の様子を観察していた。ちゃんと仲間として働けそうなら普通に勧誘するつもりがエラいことになったのでがっかり。しゃーないので主人公の脳髄や魂を取り込んで同一化した。単体の脳や魂としては優れていたので彼?基準ではコスパの良い取引だった模様。実は神の目的や転生の意図を知っている。