性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話 作:PP→KP
分岐点:かつての話②と③の間、「後輩」の話近辺
「……えぇ、まさかとは思ったけど、嘘だろう……?」
自宅マンションの廊下の奥、トイレの中で思わず独りごちる。
最近、不思議には思っていたのだ。本来なら生理が来るタイミングから1週間も経ってなお、あの不快な腹痛も流血もなかったから。
ストレスによる生理不順を一瞬疑ったが、私に科されたストレスは平常通りであり急に周期が変わるような要素もなく。だから少しだけ不安に思って、周囲にバレるのを恐れて通販で購入した。所謂妊娠検査だ。
それを使うべくトイレに向かい、そうして検査をした。その結果。
「陽性……」
判定窓にはきっちり濃赤紫色のラインが一本、終了窓にも同じく一本。何か特殊事例でもないかと説明書を穴が空くほど見つめてみても結果は変わらず、私はどうやら妊娠してしまっていたようだった。
何故?と頭が混乱する。
妊娠検査薬は一般的に妊娠4週~5週目頃で正確な結果が出る。つまり今日から数えて1ヶ月程度前にセックスした誰かの子を孕んだということになる。
でもおかしいのだ。いや、確かにそのタイミングでセックスはした。確かにこの家に男を招いて性の快楽と交わりに耽ったのは認める。
「でも避妊していたはずだぞ……?ゴムも付けてたし、低用量ピルもずっと服用してたのに……」
誰も聞いていないのに思わず声に出してしまうのは、音で聞くことで当時の記憶をより明確に呼び覚ましたい私の無意識の願望によるものだろうか。
しかし記憶力にはそれなりの自負を持つ私だが、間違いなく避妊をしていたと自信を持って言える。ゴムの付け方を間違えたり、ピルの飲み忘れなんてのもない。
「…………あ」
だが、そうやって当時のことを明確に思い返している内に、1つ思い当たることがあった。
『ふふふっ、2回もゴム越しに
『っ、あっ、や、やわらか……っ!で、
『おっと!すごいな全く、そんなに私の胸が良かったのか?……ふふ、顔にかかってしまったな』
『あっ……その、すいません……』
『謝らなくていいさ。元気の証拠だろう……ん、苦いな……でも、こういう匂いを直で嗅ぐと、やっぱり興奮するな……』
そう。そうだ。
あの時、デカく育った胸で最後まで精液を絞り出したとき。元気なペニスから出てきた精液が顔にかかって、指で掬い取って、相手の支配欲や性欲、満足感を与えるためにとぺろりと舐めたんだ。
そして、その匂いがすこし、その、興奮できるものだったから。そのまま──相手の前で、見せつけるようにして自分を慰めたんだった。
「アレかぁ…………!」
何のことはない。自分の不手際だ。
精液がついた指を膣に入れてオナニーをすれば、そりゃ避妊具を付けた意味がないだろう。ピルも絶対に排卵を予防するわけじゃないのだから、悪運が重なったということだろう。これもマーフィーの法則というやつか。
「…………まあ、妊娠したのはもうしょうがないとして」
今から妊娠する前に戻れるわけもない以上、妊娠してしまったのは受け入れるしか無い。
だが、だからといって受け入れたままでいたら平穏無事に終わるのかと言えば勿論そんなこともないわけで。今後どうするかを考えるべきだろう……なんて、決まっているのだけど。
「……
私にはどうしても復讐として殺したい相手が3人居る。
現在は狙う順序や証拠の残りづらく、それでいて復讐であると匂わせられるような計画を検討しているところだが、その計画も大分煮詰められてきている。最初の決行までの準備期間は1年程度だろう。身体を使っての誘惑なども含めた計画である以上、若い内に始めないと不味い。
だから、子どもを抱えているなんて到底出来ない。だから、
私はパソコンを起動し、比較的遠方でありながら自家用車での移動が容易そうな、口が硬いことを評判としている産婦人科で──早期中絶を実施している院を探し始めた。
早めに見つけて、堕胎して。あとは何事もなかったかのように生きながら、復讐を始める。それで良いのだと脳裏で何度も明言する。
「………………」
ふと、腹を見る。何も膨らみ無い、いつもどおりにしか見えない私の身体。そこに今、生命が宿っているのだという実感はわかなかった。
寧ろ僥倖だろう、そう思う。下手に生命があると感じてしまえば、きっと罪悪感から生活の偽装に支障が出るかもしれないから。
「………………」
だけど、なぜだろうか。私は生命が実感できていないはずの今この段階で既に、そういった罪悪感じみたものを感じている。
今ならまだ、犬に噛まれたとでも思えば良い。そう思って──脳裏に浮かぶのは、大型犬のような人好きする、多少強面の逞しい男の顔。
「………………そう、だよな」
5週程前、家に招いた男。職場の同僚となって2年ほど経った、優しく、強く、実直な男。
決して嫌いではない、寧ろ好ましくすら思っていて……それでも、「彼」の復讐が終わるまでは、なんて思っていた男。
復讐のために堕胎すれば良い、なんて何度も自分に言い聞かせないと、言い聞かせてもなお心が揺らいでしまうぐらいには憎からぬ──後輩の、優しい笑顔を思い浮かべて。
その男との間の子どもを殺さないといけないんだな、と。私はそんな風に思ってしまった。
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「それで、その子の父親……ああ、あくまで生物的な意味での父親はどなたですか?」
「それは……ええと」
思わず言い淀む。産婦人科の女医はキリ、とした目つきで私をしっかり見据えてきた。
「言えませんか?レイプ被害に遭った、などの理由がお有りでしたら……」
「あ、いえ、そういうわけでは、ないんですが……」
言ってからしまった、と思った。いっそレイプ被害に遭ったのだと言ってしまえばよかったのだが、どちらかと言うと私が後輩をレイプしてなし崩し的に身体の関係を続けているという負い目があって、つい後輩の名誉のためにと訂正してしまった。
訂正しようかと思ったが既に遅く、女医の目線がより鋭くなった。
「であれば、相手方の同意が必要となります。ウチはなるべくそういった被害者には優しくするようにしているつもりですが、それに便乗して和姦で出来た子どもを同意なしに勝手に中絶しようとする方もおりますので」
「なる、ほど……」
どうやらこの医者結構な情熱をもっているらしく、自分勝手な性行為の果てに出来た子どもを自分勝手に
そこからどう言い繕うのも無理だな、と感じた私はその医院を後にした。
別な病院を探して、今度はちゃんと偽装しよう。なに、どうせ今回しか関わらないような産婦人科だ。レイプ被害に遭ったのだと偽ったところで何が問題になるとも思えない。
……そのはずなのに。PCを立ち上げて、新しい病院を探さないといけないはずなのに、どうにも体が動かない。
ならば、と代わりにスマホの電源を入れて、ブラウザを起動しようとして……私は、気づけば電話アプリの発信履歴の上から2番目、産婦人科の予約の前にかけた電話番号を選んでいた。
「…………」
プルルル、という非常にシンプルでクラシカルなコール音。3度繰り返される直前に、聞き慣れた電子音が耳に届いて相手が電話に出たことを知らせてくれた。
『もしもし?先輩、何かありましたか?』
「あー、その、だな。……今から、私の家に来れないか?」
急な誘い。日曜の午後3時、明日にも出勤があり、きっと休んでいたいだろうタイミングだろうが、そんなタイミングで私は後輩を呼び出した。
或いは最後の抵抗だったのかもしれない。ここで断ってくれたなら、それを理由に医師を騙し後輩の名誉を毀損してもしょうがないのだと自分を納得させようとしたのかもしれない。
『え?あ、はい。じゃあ今から行くんで待っててください』
「……そうか、すまんな」
『良いですって、俺と先輩の仲じゃないですか』
だけどまあ、そんな私の浅はかな考えのとおりにいくわけもない。優しく気が利く後輩は職場の先輩の無茶振りにも穏やかに応えてくれる男だった。
連絡したからには話さないと駄目だよな、と産婦人科を探すこともせず30分ほど待つ。インターホンが鳴り、私は覚悟を決めて後輩をマンションへと迎え入れた。
「ええと、つまり、まあ、そういうことでな。勿論、悪いのは私だ。お前との身体の関係を無理に維持してこの状況なわけで、お前がなにか気に病む必要はない。ただ、中絶には同意が必要だから……」
ゆっくり、丁寧に。何をやらかしてしまったのかを説明する。
後輩は最初ぽかんとしていたが、次第にその、私を見る目つきが変わり始めた。鋭くなったと言うか、眉間にシワを寄せたと言うか。思わず目線を下げてしまう。
ただ怒っている、というわけではない。なにか悩んでいるようだったので、全部私の責任だからと説明してみたのだが……。
「……先輩」
「っ、なんだ?」
後輩の静かなはずの一言が何故か重く響き、思わず息を呑む。
思わず顔を上げてしまって、気まずさと罪悪感から避けていた後輩の視線と真っ向からぶつかった。
「俺、その、なんて言えば良いのかわからないんですが……少なくとも、先輩だけが悪いわけじゃないです。俺だってずっと甘えて、先輩とエロい関係ばっかり維持して……最初の日だって、避妊具付けないで中に
「あれは私が無理矢理……」
「だとしても、力自体は俺のがあるのに、気持ちよさとか、性欲とか、そう言うのに負けて言われたままになってました。こうなったことに先輩だけが悪いなんてことは絶対に無いと思います」
拳をぎゅっと握る後輩。責任感が強いにも程があるだろうに……。
「そして、俺はもっと恥知らずです。先輩が俺との子どもを妊娠したって話は勿論驚いたんですけど……それ以上に、嬉しかったんです。ずっと先輩に憧れてたから……俺、先輩のことが好きだったから」
「…………」
後輩が素直に感情を吐露する。好かれていたことは薄々自覚していたが、こうも正面からぶつけられるとドキリとして言葉を失ってしまう。
「だから先輩。先輩が苦しいなら、先輩を苦しめてるなら、俺は中絶に同意をします。だけどもし、先輩が良ければ……」
「お前……」
「俺、先輩が好きです……!
ガバっと頭を下げる後輩。
震える手で差し出された小箱には、キラリと指輪が光っていた。
「…………」
晴天の霹靂だった。
突然のプロポーズで、まったく心の準備が出来ていなかった。
きっと罵倒されるか、或いは慰められて、憐憫の情を抱かれて、色々呑み込んで同意してくれるんじゃないかって思っていた。
だから、まさか急転直下にプロポーズされるなんて思わなかった。
頭が混乱する。だってそうだろう、職場の先輩に泥酔から逆レイプされ、身体だけの関係って明言して、そうしてセックスばかり積み重ねていくだけの関係だった、筈なのに……。
「いや、いや……待て待て。セフレだって言ってただろうに、それにその指輪は一体……」
「指輪は、その、いつか先輩に告白しようって思って1年ぐらい前から金貯めて、つい先月買ったんです。あとセフレって言いますけど手料理作ってくれたり映画一緒に見に行ったりしてたんだから普通に付き合ってる範疇だったじゃないですか」
セックスが多いのは認めますけど……なんて恥ずかしそうに目線をそらして頬をかきながら、それでも指輪を引っ込めようとしない後輩。
そりゃ、まあ、確かに、言われてみれば本当に身体だけなのかと言えば微妙ではある。職場の同僚で、仕事の
「お前な、私はその、失恋してて、それでお前とは身体だけの関係にするって言ってなかったか……?」
「……確かに言っていました。だからもしかしたら先輩を傷つけるかもしれないってビビってたんです」
そう言って、改めて後輩は顔を上げ、私と正面から向き合った。
「だけど、それでも。先輩と2年も付き合って、一緒に働いて、一緒に遊んで。どうしても譲りたくなかったんです。……その、先輩の好きな人を相手取ってでも、諦めたくなかったんです」
大真面目にそう言い切った後輩の男らしい顔に面食らう。
優しくて、どこか抜けてて、だけど真っ直ぐな芯を持つ後輩は、明確に私のことを愛してくれる1人の男としてしっかり私と向き合っていた。
「……そっか、なら、しょうがないな」
「!」
その事実に、どうしようもなく嬉しくなってしまう。舞い上がってしまう。
愛してくれる。欲してくれる。認めてくれる。そんな真っ直ぐな感情に、私は昔からとても弱かった。
無意識にお腹を擦る。ここに居るのは、私自身の恋心を相手取ってでも私をほしいと願う男との子どもだ。私が後輩を犯し続けて「孕ませさせた」結果だ。
(ああ、色々と逆だよなあ)
普通、こういうのは男が女を孕ませた「責任」を取るという文脈だろうに。だが確かに、私は私の身体を使って、未婚のままに身体だけの関係を続けて後輩に子どもを「作らせた」のだから。なら、責任を取るのは私だろう。
(それに……)
……それに、仮に中絶に同意させたら。きっともう、後輩が言うような一緒に働いて、一緒に遊ぶような、そんな楽しい付き合い方は出来ないのだ。
気付かないでいればそれでも良かった。だが気付いてしまえば、その温かい手を振りほどくなんて出来やしなかった。
私は、ゆっくりと手を伸ばして、ベルベットの中に飾られた
白金の眩しい指輪を左薬指へと嵌め、石座に光るダイヤモンドが互いに見やすいように位置を調節した。
そうして、普段仏頂面な私は、精一杯の思いを胸に、少しでも後輩にとって良い思い出になるようにと願って。
「それじゃあ、喜んで。……結婚しよう、
そう、笑顔で後輩の……武志の名を呼んで。
喜色満面となった武志の顔を見るのが恥ずかしくって、思わず抱きついて。そうしてお腹に負担をかけないように、私達はお互いに愛情を込めて抱擁を交わしたのだった。
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それから、私達はお互いに結婚に向けて今までの状況を整理しはじめた。
具体的に言うと「今までも隠れて付き合ってました」という状況証拠を捏造……とはいっても実際色々と行動を共にしていたので、強ち捏造というわけでもないが、とにかくそういう証拠を作り、今回避妊したけど(重要)デキちゃったので丁度いいので結婚します、という形にしたわけだ。
その上でまずは互いの家族に報告、という流れになった。
「お前、勝手に警視庁なんて現場仕事に就いた上に相談もなしに同僚と結婚だと!?ふざけるな萬廣、お前にはもっと優秀な男が……」
「ひどいわ、なんて親不孝者なの!」
なんて言っていた我が両親はもう見るのも聞くのも嫌だったので、縁をぶち切った。マンションも家財も引き払い、自分の給料で買ったベースグレードの小型SUVに必要な着替え等を詰め込み、武志のアパートに転がり込んでやった。携帯の番号も変えたからそうそう追えないだろう。ざまあみろ。
人非人はどうでもいい。重要なのは武志の家族だ。
無作法にならない程度に精一杯化粧して、フォーマルなレディススーツを纏った私は緊張した面持ちで武志の実家を訪れたのだ。
「……と、言うわけで。私は武志さんと2年ほどお付き合いをさせていただきました。それでこの度、結婚の意志を固めましたので、まずはご両親へご挨拶をと思い参上いたしました。どうか、息子さんと結婚させてください。お願いいたします」
彼の実家の居間にて、ぺこり、と土下座みたいにしてご両親へ頭を下げる。
前置きもほぼなく、真正面からそんなことを言われたお二方は目が点になっていた。
「はぁ……えっ!?武志がこんなキレイなお嬢さんと!?!?嘘でしょ!?」
「いくらなんでも酷いだろ母さん!!」
「おい武志、お前絶対逃すなよ!?こんな別嬪さんを嫁に貰える機会なんざお前の人生で二度と無いんだからな!」
「父さん!!」
そんな私の言葉に慌て始めたご両親の態度は、それはもう見ものだった。パニクりながらガクガクと武志の首を揺する母親に、短く切り揃った武志の頭をガシガシする父親。
だけどそれはまさに気のおけない家族、というふうで。良いなあと憧れ半分に眺めていた。
そうしてぼんやり眺めていたことに気付いた母親が慌てたように私のもとにずいと身を乗り出してきた。
「あっ、せっかく来ていただいたのにほっといちゃってごめんなさいね。こんなどら息子で良ければぜひ!この子ったら学生時代も浮いた話がぜんぜんなくって、もうどうしようかって思ってたのよ~」
「そうなんですか?こんな素敵な男性、そうそう放って置かれないと思うんですが」
「先輩……!いや、取り敢えず今日はここまでにしましょう!ね!」
「おいおい何言ってるんだ。出会いの話とかそう言うの色々聞かせてもらわないとなあ!」
「父さん!!!」
そんな、まさに大盛り上がりという感じだったこともあって武志の実家に泊まることになり、その日はこれまでとこれからの話(あと私の実家の不仲のこと)を話し合った。
……出会いの話はそのまま本当のことを話すと流石に常識知らずだと引かれるのが判ってたので良い感じにごまかしたとだけは言っておく。あと私が既に妊娠していることは(ちゃんと避妊措置を講じていたのにも関わらず妊娠してしまったので武志が悪いわけじゃないと念押しした上で)ちゃんと説明した。
「そうねえ、それじゃあちょっと早いけど結婚式は……3ヶ月後くらいになるのかしらね。あんまり長いとお腹が凄く目立っちゃうものね」
「そうですね。そうしたいと考えています」
実際、ある程度目星は付けていた。神前式か教会式か、或いは武志の実家によっては仏前式もあるかもと各方式の候補を絞っていたのだ。まあ普通に教会式、挙式+披露宴という定番の中の定番に落ち着いたが。
その詳細を詰めたり、武志の弟妹たちに自己紹介をして驚かれたり、末の妹さん(中学2年生らしいが反抗期って感じもない素直な娘だった)に懐かれたり。
(ああ、これからこの家族の一員になれると良いな)
そう素直に思えるような、素敵な夜を過ごしたのだった。
そうして。職場にもきっちり話を通して、ついでに課長に仲人になってもらって。お互いの学生時代の友人や警察の同僚も招いて。ついに結婚式当日を迎えることとなった。
「……ふふ」
真っ白なウェディングドレス。腰回りを緩めにしているらしいが、姿見に映るシルエットからはそうは見えない。職人技だなあと思うと同時に、私がこれを着ているということに歓びが溢れ、思わず口角が吊り上がってしまう。
「わぁ、よく似合ってますよ先輩。……腰、大丈夫なんですか?すごい絞ってるように見えますけど……」
「全然絞ってないぞ。むしろ緩い。普段私が好むゆったりした服と違ってラインが出るからそう見えるだけだろう」
そうしれっと言いつつも、好きな人に褒められてしまえば満更でもなく更に笑みが深まっていく。
「お前も似合ってるぞ、武志。やはりパリッとしたスーツはガタイが良いほうが見栄えがするな」
「え、そうですか?先輩に褒められると嬉しいっすね!」
へへへ、なんてだらしなく緩んだ頬をポリポリと掻く武志。
……にしても、だ。
「名前」
「へ?」
あ、気付いてないのかこいつ。いやまあ、確かに指摘はしてこなかったけど。
「名前、だ。いつまで先輩呼びするんだ?職場ならまだしも」
「ぅえ!?あ、いや、でも確かにそうっすね。結婚して、夫婦になっても先輩呼びっておかしいですもんね」
「全くだ」
ようやく気付いたらしい。えー、とか、うー、とか唸って、どうにかゆっくり口を開いた。
「あー……萬廣……さん」
「萬廣」
「…………萬廣」
よし、と頷く。何か恥ずかしそうにしているが知ったことではない。
「それじゃ、行こうか。式が始まるからな」
「そう……で……だ、な。萬廣」
「……名前はともかく、喋り方は徐々に慣らしていけばいいさ」
「うっす……」
見栄えのする厚い体躯を縮こまらせるその姿が可愛らしくて、思わずくすくすと笑ってしまう。
なにか言いたげにじとっと見つめる背中をポンと押して、式場に出て。
「……それでは、新郎、武志。貴方はここにいる萬廣を、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
「新婦、萬廣。貴女はここにいる武志を、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
互いに、これからをともに過ごすのだと、居るかもわからない神に誓って。
「それでは、誓いのキスを」
厳かな神父の言葉に則り、お互いに顔を寄せる。
目の前には武志の精悍な顔。背丈は私がやや下だがそこまで差はなく、同じ高さの目線で合わせてくる。
……思えば色々あった。逆レイプから始まり、貪るようにキスを奪った。変態的な、いろいろな形での性的快楽の手管を身につけるべく様々な形で犯した。
だけど、今、こうして。神聖な場で、清浄な形で向き合っている。それがなんとも尊いと感じられる。
そして、私達はお互いに目を瞑り。ゆっくりと口付けを交わしたのだった。
その口付けは、今までにないくらいの幸福感だったと思っている。
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「……さて、どうしようかな」
そんな過去のことを思い返して、私は独りごちる。
結婚から1年が経ち、生後半年の娘は元気いっぱいだ。子育てがこうも大変だとは思わなかったが、幸いながら義父さんも義母さんも協力的で、孫にだだ甘にお世話してくれている。
自分で言うのも何だがでかい乳房は母乳の出もすこぶる快調で、哺乳瓶いっぱいに搾乳した母乳を冷凍庫に数本キープしてなお直接の授乳だけじゃ絞りきれず、武志に飲ませてみたりしたけどそれでも足りず母乳パッドのお世話になりっぱなしである。
そんな、何もかも順調とは言わずとも手探りで愛娘を愛し、育てる毎日が幸せだったのだが。
「──東海林の職場は特定できた。殺す手段も、死体を遺棄する手段も問題ない。犯行特定できない状況まで持ち込んでから死体が発覚する、というプランも……テレビ局の取材が来るなら、可能だろうが」
「彼」が死んでから10年近く経って、ずっとずっと計画していた復讐。その最初の一手となる機会が巡ってきたということ。
近づくのは容易だろう。リストラ、破局から自棄になって暴走した男だ。障害者手帳を交付されてどうにか採用され、今は社会復帰を頑張っているという東海林は、しかしだからこそ心の傷に沿う形でゆっくり親しんでいけば殺す機会を作ることはできる。
そう、例えば……女に捨てられた東海林に男に棄てられた女として振る舞い、近づけば。そうして、関係を持てば。きっと殺すことはできるだろう。
「彼」を殺した憎らしい男の1人だ。だから殺してやりたい。その思いを胸に抱き続けてきた。今もずっとそういう思いは燃え続けている。
だから、そのためなら何もかもを捨てられるのだと、そう考えてきた、のだけど。
「………………」
無意識に、半年前まで子どもが居た腹を撫でる。結婚式で優しく口付けた唇にそっと触れる。
私はほんの少しだけ逡巡して、だけどすぐに思考を打ち切った。リビングから泣き声が聞こえてきたからだ。
『おっと、唯ちゃんどうかしたのかな~?おむつ交換かな~?』
「……まったくもう」
はあ、とため息を吐いて立ち上がる。
あの泣き方はおむつ交換じゃない。お腹が減っているのだろう。
授乳服のトップスをめくれるように手を懐に入れながら、自室からリビングへと足を向けた。
ふと、起動しているパソコンを見る。そこにあったのは種々様々な計画。いくつかのパターンに分けて、状況に応じた殺人の手口が記載されている。少しだけ悩んだ後、私は乳房を晒すために懐に入れていた手を戻し、パソコンを操作した。
「……これで、よし」
画面にはデータの削除のプログレスバーが映し出される。キャンセルボタンなどもあったようだがそんなのに目を向けている時間もなく、私はパタパタと早足で歩き始める。
『おっと、お腹へってるんだなこれ。萬廣ー、早く来てくれー!』
「ああ、今向かってるよ」
まったくもう。いつまでも変わらない、頼れるけど可愛い男だなと思う。
こころなしか泣き言のような、だけど子どもの面倒を見るのが楽しそうな武志の声を聞きながら、私も気持ち心を弾ませて歩を早めたのだった。
主人公。本編より少しだけおっちょこちょい。
精液が付着した手でオナったら妊娠してデキ婚授かり婚した。避妊してなおこいつが妊娠したのは単純に哺乳類の雌としての肉体機能に秀でているから。尻大きめ安産型で体躯も大柄で母乳もたっぷり出て孕みやすいという(人間としてかはともかく)生物的には優秀な母胎。低用量ピル使っててもなお排卵している辺り大分ヤバい。
結局のところ愛情に飢えているヤンデレ属性な人間なのでちゃんと愛してくれる方に靡きやすい。一度ちゃんと愛するようになれば一途で浮気することもないのだが、「彼」との関係は構築される前に消滅したので後輩に惹かれた。最後のほうだと「復讐果たせなくてごめんね、私、新しい幸せを優先します」なんて脳裏で謝罪していたりするのだろうが「彼」からすればずっと昔に攫って暴力も振るっちゃった幼女が8年経って急に手紙送ってきたみたいなヤベー存在なので多分この方が幸せ。死んでるけど。娘が大好き。
ヒーロー。本編より男気がある。
妊娠させてしまったからには責任を取る。ちゃんと好きだったし告白する準備として指輪もしっかり用意していた男。まあ妊娠したのは主人公が精液でオナったからだけど。これからヤンデレ攻勢に晒されるんだろうけど好きな人のことだから良いかなって思ってる。あと職場の同僚であることから仕事に理解を持ってくれるので、下手にライバルが出たり不倫とかしなければちょっと重めの良妻にとどまるというのも追い風。娘が大好き。妻の母乳をお腹いっぱい飲まされたことがある。別に美味しくはなかったけど背徳的すぎてヤバかったとのこと。
武志と萬廣の娘。溺愛されている。母乳大好き両親大好き祖父母大好き叔父叔母大好き。皆優しいのでお姫様のように扱われててご満悦。
本編だと主人公に殺されるのだがこの時空だとそんなことはない。つまり父親に犯されっぱなし。将来主人公が虐待対策第一係とかに異動になった時に柘植のことを思い出して調査して通報して助けてくれるのでそれまでの辛抱。