※この作品はR-18です。

性奴隷と長身巨乳リョナグロ背徳性癖倒錯ふたなりが純愛に堕ちるまでの話   作:PP→KP

6 / 56
4話:かつての「私」③

 後輩との肉体関係(セフレ)を始めて2年を過ぎたある日。

 私達を含む捜査第一課の数名は、都心から離れた池のほとりに立っていた。

 

「ガスで膨らんでいるし死蝋化も進んでいるな。肉が剥げて頭蓋も見えている。……確認できる限りだと男性、全裸──下肢が切断されて横に並べて入れてあるようだな」

「うへぁ……先輩よくマジマジと見てられるっすね」

「仕事だぞ、慣れろ」

 

 腐敗臭に顔を顰める後輩を窘めながら、私は目の前に置かれた死体を見て目を細めた。

 事の起こりは1時間前。「池の水を全部抜く」というテレビ番組の制作現場で起こった。

 対象となった池には討ち死にした武将を鎮める社があるらしく、その池をきれいにする──というテーマで撮影していたところ、池の中心付近で何か怪しげな大きく重たいボストンバッグが見つかったのだ。

 今までも犯罪の証拠だとか怪しげな遺留品のようなものだとかが見つかっていたりしたことがある番組だったこともあり、待機していた地域課の警官が中身を確認したところ冒頭の死体が入っていたというわけだ。

 明らかに殺人事件、乃至死体損壊・遺棄事件の被害者であるということで、当時待機中だった我々が先行捜査に来たという状況だった。

 

 被害者の名前は「東海林 雄一」。およそ1ヶ月ほど前に行方不明の届出がされていた男だった。──尤も、この段階で特定できたのは私だけだっただろうが。

 

 

 この男に近づいて関係を作るのは容易だった。住所は割れているし、出所後の勤め先等の相談に警察も僅かながら関わっていたので通勤経路等も把握できた。

 であれば、あとはどうやって関係を作るかだが……東海林と同じ苦痛を受けて自棄になった女を装ったのだ。

 

「ねえ、そこの人。ちょっと遊ばない?」

「……怪しい?そうよね……。私、実はちょっと失恋してて、もう誰でも良いかなって思ってたのよ……」

 

 敢えて肌を露出させ、胸の谷間を強調する水商売のような服装に派手な茶髪のロングウィッグ。声を掛けて不審がられたところで傷ついたように演技をしたら簡単に引っかかった。

 一度気を許せばこちらのもの、とは思ったが都合が良すぎる女はそれはそれで怪しいだろう。互いに勤務の都合もあったので、精々月に1~2度の逢瀬を重ねた。

 そんなやり取りを続けること4ヶ月あまり。何度も身体を重ねて、家に上げてもらえるようになって──殺害を決行したのが、1ヶ月前の金曜だ。

 

 手段としては単純に、鼻と口をガムテープで塞いで窒息させるというもの。

 リストラ、破局が連続で来たことで軽度の精神疾患を患っていた東海林は医師から睡眠導入剤を処方されていたので、手作りの料理を振る舞った際に砕いたそれを混ぜて摂取させた。

 後は昏睡するまで待つだけで──下手に気付かれると面倒だからと抱かれて、コンドーム越しに何度かイかせたら体力の限界が来てすぐに昏倒した。

 昏睡後はフローリングやペニスに付着した体液を徹底的に拭き取り、両手両足を縛り上げた上で口と鼻を念入りに塞いで殺害した。死の間際に至って僅かに目を開けていたようだったが、仮に意識が戻っていたとしても何が起きたのかは最期まで理解らなかっただろう。

 

 死後は遺体をバスルームに運び、持参した鋸で両脚を切断。血を抜いて洗い流した後にボストンバッグに詰めて運び出し、東海林の家の近くかつカメラの目がない路地裏に停めた車に乗せて池まで移動。運び出す際に使ったものとは別のバッグに移し替えて池に投げ捨てたのだ。

 ……痩せ型とは言え60kgを超える肉塊を肩で支え、夜とは言え念のために通行人に見られても不審にならない歩き方で運び出して。挙げ句その60kgが早々見つからないようにと岸から5m程度まで遠投するというこの流れが一番苦労した。

 筋トレして膂力を上げて物理的に解決したのだがその甲斐あって、東海林の家に出入りしていた女は(長身なのもあり)実は女装だったのでは、という意見まで出るほど捜査を錯綜させられたので結果としては良かったと思うことにしよう。

 

 

「しかし、ここまで情報が少ないとなると計画的な犯行だった可能性が高いな」

「東海林を狙っての計画犯ですか?……ってなると、やっぱり件の事件と関わりがあるんですかね」

 

 まとめられた調査内容を見ながら後輩の言葉に首肯する。件の事件、つまり彼が獄中で殺された事件の話だ。

 東海林という男は元来そこまで素行が悪いわけではなく、精神的負荷がピークに達して衝動的に起こしたコンビニ強盗未遂を除けば娑婆での確執らしい確執はなかった。だからこそ、刑務所内での事件が何か関係するのでは、というのが課の見解だった。

 

「あの事件のきっかけになった被害者あての手紙には写真が添付されていた。差出人が匿名でどういう経緯で知り合った何者なのかは不明だが、写真に写っていた女が差出人だとすれば関係している可能性はあるだろうな」

 

 いけしゃあしゃあとのたまう。関係も何も話している本人こそが差出人で犯人だと言うのに。

 

 私もまた、かつての事件の被害者とは関わりがある女性であるということで事情聴取を受けた1人だ。一応身長の条件を満たしていて、体力的にも不可能ではないからだ。

 だが証拠不十分……というか、そもそも動機も何もないこと。自宅マンションの監視カメラで帰宅後に外出した記録がなかったことから特に何も無いまま開放された。

 私の自宅のマンションは最新のセキュリティではなく、非常階段や駐輪場を経由すればカメラの視界を掻い潜れる。だから厳密に言えばアリバイはないし、それは私を含め警察側でも理解していた。

 だがそもそも動機がない人間を「出来るから」という理由で犯人とするなら、都内の170cm以上でジム等で鍛えている女性が軒並み犯人候補になるだろう。

 

 誘拐犯に誘拐・監禁され暴力まで振るわれた当時10歳だった女が、誘拐犯を殺した相手を執拗に追い回して復讐するというのは捜査関係者の想定の範囲外だった。そういう意味で、心理的なアリバイとでも言うものが私には成立していたので疑われる余地が無かったのだ。

 

 当然ながら、それは目の前で義憤に燃える後輩も同様だった。騙していることに対して多少罪悪感が芽生えたが、それも今更だと割り切った。

 そもそも東海林に薬入り手料理を振る舞って、抱かれて、殺して血まみれになりながら解体して、その死体をボストンバッグに入れて真夜中の池に投棄して。その次の日には後輩を家に招き入れて同じように手料理を振る舞って、日付が変わる辺りまでセックスを楽しんだのだ。

 狙ったわけではない。単に東海林を殺し遺体を隠して、そして暫く経ってから必ず発見されるという時期を見繕った結果後輩と遊ぶ予定に重なっただけの話。とはいえ、愛する男の復讐の一環で仇に抱かれ、そいつを殺したその翌日すぐに上書きするように憎からぬ後輩を抱いたのは……まあ、私なりに悪かったとは思っていた。

 

「しかし、もし件の事件の復讐だとすれば当時加害者とされた男はあと2人。その2人にもなにか起きるかもしれんな」

「事情を説明して警邏を増やす形にはなるんでしょうけど……犯人が浮かんでこないのがもどかしいっすね」

「ああ、そうだな」

 

 むむむ、と唸る後輩に同調しながら、私達は話題に出た残りの加害者──柘植と三重野の家へと向かうことになった。

 

 

 後輩とは二手に分かれ、私は他の警官とともに柘植への説明に赴いた。

 

「すると何だ、俺もその殺人犯のターゲットにされてるかも知れないってことかよ?」

「そういうことです。ですので暫くの間警邏のルートを変更し、こちらのご自宅の前を通らせていただくなど対応を取らせていただきます」

「おいおい、マジで勘弁してくれよ!あんたら警察だろ?俺みてえなちゃっちい犯罪者は逮捕できたくせに殺人犯は野放しなのかよ!」

 

 説明を受けた小太りの男──柘植はそう言って露骨に嫌悪感を見せてくる。開いた玄関の向こうからは恐る恐ると覗き込む10歳前後の少女が見えた。恐らく獄中出産されたという柘植の娘だろう。

 

「ちっ、しょうがねえなあ……。うるさくないように夜は止めてくれよ?女房にゃあ随分前に逃げられたがガキはまだ家に居るもんでよ、夜騒がしいと迷惑なんだよ。……ああ、そっちの婦警さんなら来てくれてもいいけどなぁ」

 

 制服を大きく歪ませている乳房に下卑た目線を向けられ、思わず眉をひそめる。殺そうとしている私が言うのもアレだが命の危険を自覚できないのだろうか。

 

「お前なあ、もしも狙われているとしたら娘さんも危ないかも知れないんだぞ?」

「ああ……?ちっ、へいへい。精々気ぃつけるよ」

 

 一緒に来ていた白髪が目立つ地域課の警官が呆れたように溢す。年配の人間はこういう時に上から説得力を出せて便利だなと素直に感心した。

 

 あの後一通り警邏の増加等について説明し、課に戻ってきた私は仕事をしながらも柘植について考えていた。

 

(妻に逃げられた、か)

 

 柘植の妻は窃盗事件の共犯として柘植と同時に逮捕されていた女で、当時は婚姻を結んでいなかったが獄中で妊娠が明らかになったことで獄中結婚及び出産。

 5年前に出所してからは娘を引き取り生活保護を受けた母子家庭として生活していて、去年の初めに柘植が出所してから同居を開始し──その僅か半年後に行方を晦ましたのだという。

 

(DVの可能性が高いからと調査が入ったが、その時は結局何も見つからなかったのだったか。だがもしDVが本当だとすると──少し面倒だな)

 

 明らかに欲情した先程の目線を考えれば女好きであることは分かり切っていたから、取り入ることは容易だろう。ただ問題は、そういう関係を築く前に塀の中に逆戻りされては困るというところだ。

 警邏が増えて監視の目が増えるということはそれだけ柘植自身も注視されるということ。もし本当にDVをしていて、証拠が出てきて逮捕されてしまったら刑務所か拘置所送りになるわけで……そうなったら私では手を出せなくなってしまう。そうなる前にコトを済ませるべく、私は早急に次の計画に取り掛かった。

 

 次の計画といってもこれもまた単純だ。ギャンブル中毒の駄目なOLの振りをして柘植の行きつけのパチンコ屋に定期的に通い、柘植を見かけたら玉を転がすなり何なりから会話を始めて関係を構築するという本当に単純なやり方……こんなのを計画なんて言って良いのかは不明だが、怪しまれずに近づくならこれぐらい迂遠にしないと不味いだろう。

 

 柘植がパチンコ屋に行っているという情報は、警邏での監視を効率的にする為に本人の行動パターンを確認していた際に発覚したものだ。

 役所のケースワーカーに連れられてハローワークに行った帰り、1人帰路につくその最中にパチンコ屋に行っていたという事実が調査の結果わかったのである。法的に駄目という訳では無いが余りにもな生活態度に捜査関係者は眉をひそめていた。

 

 ともかくそんな自堕落生活を送っている柘植は、明らかにかっちりした服装で仏頂面の女警官相手だろうと見目が良ければ誘うような節操なしでもある。自分同様にギャンブルにハマっていて頭の弱そうな胸のデカい女が声を掛けてくればその関係を維持しようとする筈だ。

 ……あの男の性欲に計画を委ねるのは癪ではあるが、後先考えずに女を孕ませたまま一緒に窃盗するような考えなしの男であることを鑑みればその欲望ぐらいしか行動指針として信頼できないのだからしょうがない。

  あとはホテルなりで関係を深めて、家に行きたいけど柘植の家周りの警官が多いことに言及。柘植から警察が夜は来ない、という言葉を言質とした上で私自身が把握する警邏の情報から可能な限り死角を通って柘植の家へと通うようになった。

 家にさえ上がれればこちらのものだ。東海林同様に何らかの手段で殺して、そのまま家に入ったとき同様に見つからないように抜け出せば良い。目撃者は精々柘植の娘くらいだろうが、変装していれば私という正体が掴まれることもない。

 

 警戒網や対象の個人情報などといった、当該事件における捜査本部の捜査班員だからこそ得られる絶大なアドバンテージ。

 それらを検討した上で私は犯行に着手し──結果として、私につながることがほぼ有り得ないと言えるような、予定よりも良い結果を得られた。……得られてしまったのだった。

 

 

 

「んっ、あっ……」

 

 パンッ、パンッ、と腰が力強く打ち付けられ、私の身体が否応なしに反応する。力強い腕でわたしの身体を抱えた後輩は自分の頭を私の胸に押し付け、その歯で乳首を軽く甘噛してくる。そのまま唇で乳首を覆われた後は優しく吸われ、暖かく湿った舌で先を弄られてしまえば思わず嬌声を上げる。2年以上もこんなことばっかりヤッてたせいか舌使いが大分上手くなっていて、乳首の感覚だけでイキそうだ。

 勿論、口で私の乳首を責め立てる間に他の部位を留守にするなんてこともなく、立派な逸物が私の膣を激しく犯し性感帯を強く刺激しており、身体の興奮が高まる余りに気を抜けばあっという間に達してしまいそう。

 だけどそれだと私が快感に染まるばかりで後輩を満足させてやれないだろうと、私は後輩の身体を脚で絡め取って私自身に強く押し付け、同時に胎に力を入れてペニスを絞め上げてやる。

 

「っ、くぅ……先輩、俺、もう……!」

「イクのか?ふふ、そうだな──私ももう、だ」

 

 乳房を離れた後輩の頭を両手で優しく抱え、その唇と自分の唇を重ね合わせる。先程まで私の乳首をねぶっていた舌に己の舌を絡ませ、互いの唾液を交換する。この夜で一番硬く大きくなったペニスが力強く押し込まれ、私の最奥にあるポルチオに深く口づけしてくる。

 後輩との交わりでしか感じたことがない、私の秘部を埋め尽くすような密着感。離したくないとでも言うように私自身が亀頭に吸い付いているようなこの不思議な感覚は──他の男では味わうことの出来ない、後輩との交わりでのみ得られる特権なのだと思えば、それは心の充足感から高揚と快楽に変じてしまう。

 そうして、薄いゴム1枚で隔てられたお互いの性が溶け合うような感覚とともに──私達は、4度目の絶頂を同時に迎えた。

 

「あ、は、はぁ──ああ、ふぅ」

 

 1夜のセックスで4回も達したことはなかったので、最後の絶頂では脳髄が溶けてるのではないかと思えるくらいに真っ白になっていた。これ程までに昂ったのはかつて無かったと言えるだろう。

 私の中を満たしていたペニスが抜かれると胎の温度が下がってしまったように思えてしまって、まだ少しだけ入れていてほしかったな、なんて身勝手な感想を抱く。

 

「流石に、もう無理だなこれは」

「もう、もう出ないっす──今日の先輩、すごくて」

 

 ぜいぜいと荒く息を吐く後輩が仰向けに寝返ったので、そのだらりと力なく何処かしおれたようにも見えるペニスを覆っていたコンドームを外してやる。

 戦利品を確かめるかのように一晩で使った3つと並べてやれば、流石に量も濃さも減じていた。私からすれば最後が一番気持ちよかったのだが……まあ、出すものを出す男側からすると中々酷なのかも知れない。

 

「安心しろ、私だってもう無理だ。お前は本当にいい身体をしているからな、女としては体力があると自負していてもクタクタだ……とても良かったぞ、満足だ」

「……褒めてるんですよね?」

「褒めているに決まってるだろ?ほら、綺麗にしてやるから」

 

 私は彼の股間に顔を寄せて力の入らなくなったペニスを口に含む。ちゅく、と陰茎を圧迫しながら吸って尿道に残った精液を吸い出し、亀頭を汚していた精液を舐め取ってやれば、勃たないまでも気持ち良いのだろう、後輩は「うっ」と声を上げて勃起しないままに射精するようにペニスを蠕動させた。

 そうして精液の代わりに唾液まみれになったペニスを、最後は乳房で挟み込むようにして拭き上げてやる。三十路間際ではあるが私の肌はかなり若々しく、1つ1つが赤子の頭より重い張りのある双丘が唾液を綺麗に拭き上げた。

 

 そうして突き出すような乳房が多少ベタついた粘液に汚れ、口端に精液が少しだけ付着した私の姿を、後輩は何処か申し訳無さそうな、だけど目を離せないようにしっかりと見つめていた。

 やがて、その目線を下げた後輩は何処か絞り出すように言葉を発した。

 

「……あの、先輩。俺たち、こんな事をしていて良いんですかね」

「うん?──ああ、言いたいことは分かる。だけど……他の同僚だってちゃんと休んでるんだ。私達だって休暇を取って英気を養うぐらいは許されるだろうさ」

「そりゃそうかもですけど、でも……その、今回の事件は……!」

 

 その言葉に、私は困ったように眉根を寄せる。優しい後輩のことだ、今関わっている事件を思えば本音ではこうやって快楽を貪ることを良しと思えないのだろう。

 今までにない激しく長いセックスも、そんな沈んでいた後輩を遊びの日だからと無理に誘った私に行き場のない感情をぶつけた結果なのかも知れない。

 

「いくらなんでも、こんなのあんまりじゃないですか……!」

 

「……ああ、そうだな。余りに凄惨で、酷い話だ──」

 

 

 

「──柘植が自身の娘を犯していて、その娘に抵抗されて双方死亡した、というのはな」

 

 

 

 

 そう、私は予定以上に隠蔽を上手くやりすぎてしまったのだ。

 

 

 柘植の家で何度も交わる中でわかったことだが、柘植の家では確かにDVがあった。特に残された娘は、実の父親から性的虐待を含む暴力を受けていたのだ。

 娘への性暴力が始まったのは妻に逃げられた頃。元々素行不良だった柘植は妻に見限られてしまい逃げられたのだが、それ以来、妻相手に発散していた性欲や逃げられたことへの怒りや不満の矛先として、抵抗できずどこか妻の面影のある実の娘を選んだのだ。

 

 最初にこの事実に気付いたときは頭を抱えた。

 最初に違和感を覚えたのは柘植の家でヤるようになって2回目の時。必死に下手くそな腰使いで快楽を貪っている小男に辟易しながら形だけヨガる素振りを見せていた私の視界の端に、襖から全裸の柘植の娘が覗き込んでいたのが見えたのだ。

 何故、深夜に10歳になったばかりの筈の子供が起きていて、全裸で父親の元に来ていたのか。嫌な確信を抱いた私は、精魂尽きた柘植を布団に寝かせた後で柘植の娘の元へ向かって話を聞いてみたのだ。

 

 『私を助けに来てくれたんだね、警察のお姉さん』

 

 そう返されて、心臓が止まるかと思った。柘植に最初に警告に行ったあの日、玄関からチラっと顔を覗かせていたあの一瞬だけで顔を覚えられ、あまつさえ変装して口調まで変えていたのに見抜かれたのだ。

 当人曰く他人の顔色を見るのに慣れてしまって、そこから人を区別する能力に長けるようになったのだという。獄中出産から母子家庭、父子家庭からの性的虐待という波乱万丈な人生を送れば子供でもそれだけの能力が身につくということなのだろうか。

 私は悩んだ。父親には黙っているように言ったが所詮は子供、いつバレてしまうかも分からない。父親を殺した後で保護されたとき、警察のお姉さんがやっつけてくれたなんて言おうものなら私が逮捕されてしまう。

 

 つまり、私には柘植の娘を生かす選択肢はなかった。

 

 ならばどうやって自然に、私との関連性を見せずに口を封じるか──そこまで考えて、ふと閃いたのだ。私のことを助けに来た警官だと健気に信じるこの娘を、親殺しの犯人に仕立て上げれば良いのだと。

 

 柘植の娘の身体には、服で隠れる範囲に明らかな虐待痕があることを一緒に風呂に入った時に確認していた。犯されていたことも事実だし、そのことで警察はDVを疑っている。

 であれば、父親に犯されている時に反撃したら当たりどころが悪く(良く?)殺せたが、同時に力尽きて犯人の娘も死亡した──という形を整えれば、外部犯を疑われる可能性は格段に下がるだろう。

 

 およそ非人道的が過ぎる計画。だがその程度のことを躊躇えるような心理的ストッパーは、遥か昔に私の中から消えていた。

 

 最期の夜。柘植に好きなようにさせて疲労させた私は、時間を確認するような素振りで木でできた小さく硬い置き時計を手に取った。

 その際に指紋・足紋が残らないようにオペラグローブとガーターソックスだけ身につけた扇情的な姿の私を見て再度欲情した柘植が、大して多くもない精液を搾り取られた後のフニャフニャのペニスを無理やり挿入れてきたため、しょうがないなと姿勢を変えるふりをして、そのまま撲殺した。

 

 柘植の娘はその凶行を襖から覗き込んでいたが、予め「今日捕まえるから見ていて」と伝えておいたため、私が「気絶させたぞ」と声を掛けたら小さく笑顔を見せた。そして何処か期待感を持った顔で私に近づいてきたので──私はその細い首を掴み、絞め上げ、床に引き倒した。

 なんで、と目で訴えてくる彼女の幼い傷だらけの膣に、今日のためにそこらの雑貨屋で購入した柘植のペニスと同じだけの太さのすりこぎ棒をねじ込んだ。

 痛みに顔を歪め、首を絞められたために声も上げられず、ただ涙を流す姿に構うこともなくそのまま奥まで突き刺し──その先端にくくりつけていたコンドームから、私が今さっき自分の膣で搾精した彼女の父親の精液を、幼い膣と胎内にぶちまけながら絞殺したのだ。

 

 全部が終わって、痕跡を丁寧に隠滅した私は家に入るときと同様に監視の隙間を縫って離脱した。

 

 残されたのは、10歳になったばかりの実の娘を首を絞めながら犯した小太りの男と、実の父親に犯され涙ながらに反撃したが相討ちに終わった哀れな幼い少女──そう、体裁を整えられた2つの死体だけだ。

 

 

 隣で憤る後輩には申し訳ないな、と思う。

 その厳つく精悍な顔をキスに誘導するために頬に添えた手で、罪もない子供の首を絞めて生命を奪ったのだ。一晩で4回も絶頂し、快楽のままにペニスを奥まで咥え込んだ膣で、子供の死体の胎に詰め込むための精液を実の父親から絞り出したのだ。

 人としての倫理観が存在しない、畜生だと揶揄されようがそのとおりだと返すしか無い。そんな人間が──素知らぬ顔で、自分の犯行に憤る人間を優しく慰め、いつも通りに犯して快楽を貪っているのだから。所業より何よりこの事実こそが悍ましいとさえ言えるかも知れない。

 

(だけど、あと1人だ。あと1人殺せばそれで全部片がつく)

 

 全部終わりさえすれば、これ以上後輩を、皆を裏切り続ける必要はなくなる。

 隣の後輩の頭を慰めるように撫でつけながら、私は最後の1人である三重野の殺し方について改めて検討を進めることにした。

 

 

 三重野という男は、個人として見るなら別に悪人というほどの人間ではない。妻も息子も居て、柘植のように性欲に忠実というわけでもないから今までのような古典的な美人局は上手くいくまい。

 そんな三重野だが、自分や周囲が害されることを恐れる余りに過剰に動くきらいがある。収監される時の詐欺もそう、彼を殺す際に必要以上に無理くり抑え込んで拘束して殺した時もそうだ。

 

 つまり三重野を動かすためのキーは脅迫、ということになる。三重野自身やその周囲の人間を材料に脅しかければ、例えば警察にも言わずに勝手に行動してくれるのではないか、私は当時そう考えた。

 

「もう7ヶ月も経つってのに、会議あんま進みませんでしたね」

「7ヶ月も経ったからこそ、新たな情報もなく進展させようがないんだろう」

 

 東海林が死んで7ヶ月が経ち、柘植が死んで3ヶ月が経った。未だに三重野に対するアプローチは発生していないということで捜査は停滞し続けていた。

 私自身、三重野を確実に殺す手段を検討していたからこそここまで時間が経ってしまったのだが……まあ、その甲斐はあった。

 

「だからこそ東海林の事件の捜査に人を増やす事になったんだ。まあそれで三重野側の警戒を減らすのはどうかと思うが……」

「先輩反対してましたもんね」

「生きている人間を優先したほうが良いだろう」

 

 呆れたようにため息を吐く。もちろん演技であり、内心では安堵していた。

 三重野の警邏が減り、我々も警戒の目を東海林殺害の捜査に回すことになった。連続殺人と言うには間が開いており、その間不審な情報等が無かったために東海林個人の怨恨の可能性を検討する必要が出てきたためだ。

 東海林と柘植の犯行に繋がりが見えれば三重野を優先したのだろうが、柘植については虐待案件として処理されていたためにこの判断が下されたのだろう。

 

 私はその中で三重野の警戒班に回された。会議で三重野の警戒の必要性を説いたのが理由だろう。

 警戒と行っても三重野自身車で通勤しているので家の周囲と勤務先の警戒が主で、そういう意味では確かにあまり人員を要するものではない。減数後の人員配置でも十分警戒できるだろう……三重野自身は。

 

「個人の怨恨か……本当にそれで済めばいいが。警戒を緩めて出し抜かれたなんてことになったら、本当に馬鹿みたいだ」

 

 そう言いながら、共有された三重野の資料を確認する。

 そこには万が一に備えて漏れが無いように、と注意すべき対象者の顔写真が載っている。本人、妻、そして──小学2年生となり、集団下校がなくなった一人息子。

 

 ……あどけない少年の顔写真を見ると、柘植の娘を思い出す。私の復讐に巻き込まれた彼女の末期の顔は、私の脳裏に鮮明に焼き付いていた。

 

 そして、そんな柘植の娘を思い出せば──連鎖的に、反射的に、別なことへと思考が飛ぶ。まだ殆ど目立っていない、だが確かに膨らんできている自分の胎に無意識の内に目が向いた。

「これ」も処理しないとな、なんて無機質な思考が浮かぶ。まだ比較的寒い季節で、厚着の今なら気付かれないだろう。とはいえ、流石にずっとこのままというわけにもいかなかった。

 

 ……柘植との最期の、その直後から。月に2回は定期的に後輩と貪るようなセックスをしていたのだから。先輩太りました?なんて失礼なことを言い出すような鈍感で、純真な後輩に「恥ずかしながらな。ダイエットも兼ねて少し激しくしないか?」なんて誘惑までしたのだから。

 それで片付いてくれれば、考えなくて良かったのに。そんなことを、一瞬だけ思ってしまった。

 

(……何を馬鹿な。結果論とは言え、こんな優しい男に片棒を担がせなくて済んだことを喜ぶべきだろうに)

 

 意識をリセットするように小さく頭を振る。どうせ三重野を殺すまでには片を付ける算段は出来ているから問題はないのだ、これは。

 

 それよりも、三重野の息子だ。

 

 下校ルートの情報はある。監視カメラの無い部分にはある程度人員が配置される予定にはなっているが、だとしても警戒網に隙間はある。

 重要なのは同僚に見つからず、道行く人間に悟られないこと。どの日に誰が、どの様に警戒するのかが分かるのであれば、それを詰めていくことで出し抜くことは出来る。

 

 狙ってそうなったわけではない。色々考えた結果、このやり方が一番成功率が高そうだという、ただそれだけの話。

 だけどある意味運命的かもしれない。三十路にもなった人間が運命がどうのと年頃の娘のように考えるのも馬鹿らしいが──だがまあ、殺人鬼の考えることなんてそんなものでいいだろう。

 

 本当に笑うしか無い。最後の最後に取る手段がこれか、と思う。でも──彼を殺したことを償わせるのなら、最後は彼がやったことを真似してみるのも良いだろう。

 隣の後輩と他愛もない会話をしながら、脳裏には全く別の光景を思い浮かべる。最後の1人、最後の仇たる男が──己の子を拐かされ、嘆く姿を。

 

(自分を、家族を守るために余計な犯罪に手を染めたんだ。今度も同じように突っ走って暴走してもらいたいものだ)

 

 一連の事件がかつての復讐なのだと知らしめるというのであれば──やはり最後は、誘拐事件で殺すのがそれらしいだろう。

 

 命を守りたい、犯人を捕まえたいと心からの本音を訴える後輩の事を思い、改めて己の胎に手を当てる。痩せないとな、なんて隣を歩く後輩に聞こえるかどうかくらいの声で、誤魔化すようにポツリと呟く。

 

 胎内にいるものについて、私は思うところはない。碌に勃たないぐらい疲労してたくせにゴムも無しに挿入れた柘植に対しては無責任だなと腹も立つが、私の子宮に着床した生命が何かした訳ではないのだ。

 だから、恨んだり憎んだりする道理がない。邪魔だから、怪しまれるから、だから処理しないといけない……新しく発生した命に対しての私の本音は、ただそれだけだった。

 そしてそれは柘植の娘に対しても、三重野の息子に対しても本質的には同じだ。復讐に邪魔だから、復讐に使えるからそうするという、それだけの話。

 

 可哀想だと憐れみつつ、申し訳ないと思いつつ。それでも可能な限り復讐を世間に知らしめたいという欲求が抑えられない。そのために他の生命を巻き込むことに躊躇しない。人生を奪うことに躊躇わない。

 やっぱり私は異常な人間なんだろうな、とただぼんやりと、言い訳と諦観混じりにそう思った。 




私(29):人間。女性。学名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。好きな人の為なら何でも出来ると信じて疑わないタイプの顔とスタイルだけは良い類人猿。内心では色々尾を引いているし後悔もするのだが、それを一切表に出さず淡々と作業出来るしその後いつも通りに振る舞える畜生。仏頂面で中性的な口調という印象を遥かに凌駕する大質量で女らしさを補填している。2つ揃えば赤ちゃんより重い。既製品の服を虐待する天才。セックスの事前知識がエロ本だったせいで巨根絶倫の後輩が男性の普通なんだと思っていた(過去形)。

後輩(25):人間。男性。学名はホモ・サピエンス。見た目は私より遥かにゴツい元柔道系男子。真面目で思いやりがあって見た目がちょっと厳ついことを除けば理想的な男と同僚女子からは評判。巨根で絶倫だが最初にヤッた相手がIカップ爆乳フィジカルモンスターで高い学習能力をエロ方面にも活用する類人猿の鑑みたいな地雷女だったせいでこれが普通なんだなと思っている(現在進行系)。

東海林 雄一(享年41):犠牲者その1。実は先に「彼」に殴られたというのは本当。柘植が手を出したときに便乗煽りしたら殴られて喧嘩になった。児童略取したクズがめっちゃ美少女の写真がついた手紙を貰えたという現実を認められなかったせいでとんでもない方向から逆襲された。

柘植 謙次郎(享年35):犠牲者その2。「彼」が死んだ主要因。児童略取犯のくせに真面目な態度で懲役に励んで出所できそうっていうのがムカついたから殴ったら思ったより短気だった「彼」に殴り返されて喧嘩になって結果的に傷害致死を食らって刑期が伸びた。下半身がだらしないキャラ第1位。なお第2位は主人公である。

柘植の娘(享年10):犠牲者その3。本当に単純に全く関係ない復讐に巻き込まれただけという被害者筆頭。救いようが無さすぎる人生が僅か10年で終わる羽目になった可哀想な子。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。