私には3人の娘がいる。
そのうちの1人、三女のアリスは……自他ともに認めるエロガキである。
彼女はれっきとした女なんだけど、『リバリバの実』の能力で性別を逆転させることができ、男にもなれる。なので、女としての性欲だけでなく、男としての性欲も持っている。
また、彼女は世界政府非加盟国の出身で――厳密にはそこ『出身』ではないんだけど、そこでずっと暮らしていた――仕事なんか選んでいられない孤児だったため、日々の糧やお金を得るために何でもやって生きていた。
色々と、まっとうじゃない仕事もやって……だ。その中には、売春も含まれていた。
先に述べた『リバリバの実』の能力で男にも女にもなれる彼女は、相手によって男になったり、女になったりしてお客の相手をしていた。
男の姿で女性のご婦人の相手をしたり、女の姿で男に抱かれたり。
……時にはその『逆』も。どこにでも倒錯した性癖の変態はいるもんだ。
アリスにしてみれば、仕事と割り切ってたから……男の姿で男にお尻を差し出そうが、女の姿でご婦人のおもちゃにされようが、どうでもよかったそうだけど。
そんなわけで、アリスはまあ……世間一般的な言い方で言って、『きれいな体』とは言えない状態なわけだ。
もっとも、私はそれで彼女をどうこう思ったりすることはない。
過去に何があろうが、何をして、何をされていようが、私の大事な娘に変わりはない。
……私だって同じだしね。
賞金稼ぎだった頃から、随分と色々やられちゃってる。
海賊や人攫いに捕まって犯されたこともある。
奴隷商人に売られた先で、肉奴隷として使われたこともある。
天竜人にさんざんに、人間扱いされずに辱められたりもした。
とっくにきれいな体とは言えないし。なんならアリスよりひどい経験だってしてると思う。
まあ私のことはさておいて……そんな過去を持っているアリスは、それが理由かどうかはわからないけど……男も女もどっちもいける、という性癖を持ってる。どっちもエロの対象として見れるから、どっちにも興奮するし、どっちともやりたい、と。
それもまあ、別にいい。他人の――親子とはいえ――下半身事情に口出ししようとは思わない。
……問題は、そのアリスが……性の対象として、私や姉2人……スズとレオナも見ていること、だろうか。
彼女は堂々とそう公言し、欲望を隠そうともしていないだけでなく、『いつか母と姉2人に自分の子を産ませる』とまで宣言している。……おそらくは本気で。
なので、『さすがに問題児だなー』とか思ってしまっているわけで……。
とはいえ、若干のセクハラ的な内容を交えつつも、ふざけて笑い合ったりツッコミを入れられたりしつつ、私達親子4人、きちんと親子仲は良好である。
なので、ぶっちゃけ私は……そんなに深刻には考えてなかったんだよね。
……けど……
☆☆☆
それは、私がメルヴィユに滞在していた……ある夜のことだった。
いつも通り、昼間レオナと遊んで、スズが作って収穫した食材で晩御飯を作って食べて……のんびり3人で過ごした。
そして、あとはもうお風呂入って寝るだけかなーと思ってたんだけど……よっぽど疲れたのか、レオナとスズが先に寝ちゃったんだよね。
レオナは遊び疲れてとして、スズは農作業で張り切りすぎて……かな。頑張ってたもんな。
なので、お風呂は明日の朝でいいかってことにして、2人とも寝床に横にしてあげてから……私とアリスの2人でお風呂に入ったんだけど……
「……っ……はぁー……っ……!」
「? どしたの、アリス?」
一緒にお風呂入る時に恒例にしている、背中の流しっこをしてた時のこと。
後ろに回って私の背中を流している時に、なんかアリスが、やたらでかいため息をついたのが聞こえた。
あまりに大きなため息だったんで、気になって『何か悩みでもあんの?』って聞いてみたけど、なんかしどろもどろな回答でごまかされて、流された。
その後、交代して私が背中を流そうとしたんだけど……いつもなら大喜びで『おっぱいにボディーソープつけてよろしく!』って言ってくるこの子が……。
「あ、ごめんお母さん……僕はいいや」
「え?」
「えっと……ちょっとトイレ行ってくるね」
そう言って、併設されてるトイレに入っていった。
……うん、まあ……やりたくないならそれはそれでいいんだろうけど……なんか……違和感。
いや、別に『いつもスケベ全開なのに』とか『物足りない』とか思ってるわけじゃなくて――まあ多少は思ってるけど――どうもアリス、何か苦しそうにしてる感じがして……
(……お風呂でのぼせた? いや、かけ湯した後数分くらいしか入ってないし……何か体調悪かったとか? いや、そんな様子もなかったけど……んー、なら……)
―――がたぁん!
考え込んでいたその時……トイレの方からそんな音がした。
びっくりして思わずそっちに目をやる。
同時に、反射的に『見聞色』もやる。
あるのはアリスの気配1つ……侵入者が出たとか、そういう物騒なアレはない。
加えて、そこから察知できるアリスの感情は……なんかゴチャゴチャしてて感じ取りにくいけど……焦ってるというか、慌ててる、のかな、コレは?
何かを落としたような、倒したような音だった……もしかして、トイレの床で滑って転んだ?
床は木目張りになってて滑りにくいはずだけど、絶対はない。さっきまで『洗いっこ』してて、体に石鹸の泡とかついてたかもしれないしね……。
……すぐに出てくる様子もないので、万が一を考えて……私はトイレに入った。転んで怪我とかしてたら、助けなきゃいけないし。
「アリス、大丈夫? ごめん、入るよ」
―――ガチャ
「え゛っ!? あ゛っ……ま、待って……ってか鍵は!? え!?」
ごめん、今こじ開けた。
ホントに転倒とかしてたらまずいと思ったから、指を紙に変えて扉の隙間に差し込んで、閂を下から押し上げてかちゃん、と。
恥ずかしいシーン見ちゃったらきちんと謝るつもりで開けたんだが……そこで私の目に入ってきたのは……
「……えっ」
「待っ……お、お母さん……見ないで……!」
便座ではなく、トイレの床に尻もちをついて、壁にもたれかかっているアリス。
お風呂に入っていたから当然全裸だが、それはまあ、いい。
……問題は……アリスが能力で性転換していて、男の体になっていたこと。
当然、その股間にはおちんちんがついているわけだが……それが、ギンギンに勃起していた上に……白くてねばねばしたものでドロドロに汚れていたことだ。
それが何かとか、これ以上の説明はわざわざ必要ないとは思う。
そんなあられもない状態で……しかもそのおちんちんを右手でぎゅっと握りしめた状態で、床に座り込んでいるアリス。
目が合った彼女は、ぷるぷると震えて涙ぐんでいた。
一応事情を聴いてみると……まあ、見た目通りというか、何というか……。
性欲が昂りすぎて我慢できなくなった。言ってしまえばそれだけの理由である。
私と一緒に過ごして、お風呂一緒に入って……裸も見て……そんな中で限界が来ちゃったと。
そんなんいつもやってたじゃん……とは言えないか。
そういう欲求って、年齢と共に育ってくるもんだからなあ……。この子ももう、立派に思春期の年齢だし……そういうのがどんどん湧き上がってきても時期的にはむしろおかしくない。
それにこの子は、男と女、両方補正欲を持ってるわけで……そんな子が、私や姉2人とこういうあられもない姿も見せあった、無防備な付き合いをしてるとなれば……そりゃ我慢できなくもなるか……。2つあるうちの片方が。
親子・姉妹とはいえ、血は繋がってないからな……どうしてもそういう目で見ちゃうこともあるだろう。
そんで、さっきの洗いっこでもう限界ってところになって……一旦自分でしごいて抜いて出してすっきりしようと思ってトイレに入ったはいいけど、夢中になりすぎて足腰の力が抜けて、滑って転んでしまった。
で、あの大きな音がして、驚いた私が入ってきて……今に至る。
ひとまずお風呂に戻り、精液を洗い流しながら話してもらった理由は、そんなところだ。
けど……まだおちんちん、ビンビンだな。全然足りないと見える。
本人はオナニー現場見られて精神的に落ち込んでる様子だけど……男は下半身が別な生き物だ、って誰かが言ってたけど、よく言ったもんだね。
「……あのさ、お母さん……いつもあれだけセクハラしといてこんなこと言うのもなんだけど……ボクだって恥ずかしいと思ったりすることあるんだからさ……そんなにじろじろ見ないでほしいんだけど……」
ちょっと気まずそうな声音で、ジト目になってそう言ってくるアリス。
今自分で言って通り、いつもあんだけオープンスケベなのにね。何だか意外。
「あ、そうなの? あははは……ごめんごめん」
「むぅっ……」
股間を気にしつつも、ちょっとむくれるアリスを見て、なんだかかわいいなと思ってしまう。
でも、言われなくてもそのくらいわかってるよ。
アリス、何だかんだで私達のこと、大事にしてくれるもんね。
セクハラは普通にするけど……ホントに傷つくようなことは絶対に言わないし、しない。
一線を超えてこっちが不快に思ったり、後を引くようないたずらもしてこないからね。
……これは私の想像だけど……さっきアリスがわざわざトイレに行って、私に何も言わずに自分で処理しようとしたのも、私を気遣ってだろうしね。
ホントにセクハラに何の遠慮もないなら、あの場で私の裸体をおオカズにしてオナニー始めてもよかったわけだし。
なんてことを考えてたら、ニヤニヤ笑っちゃってたらしくて……バカにされたと思ったのか、アリスがもっと膨れたような顔でムッとしていた。
そして、ちょっと私をからかおうとしてか……開き直ったみたいに、隠さずそのちんぽをこっちに見せつけるように立って、
「それともぉ……お母さんが責任取ってどうにかしてくれるの? このおちんちん」
アリス自身も恥ずかしいんだろう、ちょっと顔をまた赤くして……でも意地になって見せつけるように私の前におちんちんを突き出して、そんな風に言ってくる。
ここで、さっさと『ごめんごめん』って謝っちゃえば、話を終わらせるのは簡単だ。
アリスはぷりぷり怒りつつも、きちんと矛を収めてくれるだろう。
……で、その後また1人でどうにかするためにトイレに行く、と思う。
…………けど……
「………………」
「……? お母さん?」
アリスが不思議そうに聞いてくるのにも返事をせず、私は……ちょっと考え込んでいた。
何をか、っていうと……
(…………思えば、私も随分とご無沙汰だったっけなあ。最後にしたの、マリージョアでオモチャにされてた頃だから……もう10年以上前か)
……こんなこと言うと何だけど、私だって一応……性欲無いわけじゃないんだよね。
ただ、少し我慢すれば気にしないでいられる程度だから、しなくても全然平気でもある。そういう程度なのだ、私の性欲は。
ぶっちゃけ、執筆欲求とかそれにかかわる諸々の欲求の方が勝るので、それに押されて潰されて消えてるか、吹っ飛んでると見ている。
けど、決して全然ないわけじゃないんだよね……。
女の本能につんとくる、この香ばしい雄の匂い……。
久々に……ちょっとムラッと来たかも。
……それに、このままアリスを放置していいのか、とも思う。
聞いてた限りだと、アリス、結構ガチで悩んでるっぽいしな……私達を襲わないために、必死で自分で処理して我慢してくれてる。
それだけでも、ちょっと心苦しくはある。
そして、もしそれが我慢の限界にきて……スズやレオナに本当に襲い掛かってしまったら……。
その時は、スズもレオナも、アリス自身も傷つくことになってしまうんじゃないか、と思うし……ぶっちゃけコレ、『よし、じゃあ自分でがんばってね』って放置していい問題じゃなくない?
そう考えると……むしろ今日こうして、彼女の実情を知ることができたのは幸運かも。
本当に取り返しがつかないことになる前に……対策が打てる。
「……アリス」
「……? 何、お母さん……あ、ごめん、もしかして怒った……?」
「いや、全然。……怒ってはないけど、それはそれとして真面目に聞くね。アリスさあ……」
「……本気で私とヤりたい?」
「…………へっ?」
アリスにしてはなんか素直というか大人しいかな、とは思ったんですが、思いついたら書かずにはいられないのが作者の悪い癖でして。
……もしかしたらまたパラレル扱いで別なアリスの姿も書くかもです。
作者のノリ次第ですが。