夏休みの思い出~田舎で いとこ とエッチするはなし~ 作:霧里
和樹が部屋に入ると、お化けでも見たみたいに目を丸くした唯は、躊躇う様に視線をさまよわせた。
寝ていた布団から体を起こし、それでもまだ俯いたまま。ぎゅっと、太ももの上で布団を握りしめてようやく、和樹の方へと視線を戻す。
「久しぶり…でも、ないか。この間まで一緒だったのに、なんか変な感じするね?」
唯は笑っていた。
最初に見せた躊躇いなんて初めから無かった様に。再び顔を上げた唯は、まるで、いつも事の様に和樹を笑顔で迎えていた。
その違和感といったらないものだった。
だって、お前…。
俺を笑顔で迎えてくれた事なんてなかったじゃないか。
良く言えば普通に、悪く言えば素っ気ない。それでも、俺が来る日には必ず家にいてくれて、なんとなしにもそれが嬉しかった覚えはある。
「こんな所に居ていいの? そっちってもう学校始まってるんじゃない?」
こんな所、か。
投げやりな言葉が胸に突き刺さった。
母さんたちが止めるのも聞かず、新幹線にまで飛び乗って、やっとの思いでたどり着いた場所が、俺にとってこんな所なはずがない。
ただ唯に会いたかった。
会って、それからの事は考えていなかったけど。傷ついた唯を励ましてやれたらって、それだけで頭が一杯だったんだ。
「だめなんだよ? 私なんかのために学校さぼったりしたら、ね?」
スマホを買って貰ってからの唯とは、頻繁に連絡を取り合っていた。そりゃ、鬱陶しいなって思う時も合ったけど。離れた距離を埋めるには、それぐらいがちょうどよかった。俺一人じゃ、きっと何処かでやり取りは途絶えていたとも思う。
早く会いたいね。
一週間も経たない間に、一体何回その言葉を聞いたのか。
それに、何回頷きを返したのか。
だって言うのに。
ようやく会えたっていうのに。
良く言えばそっけなく。悪く言えば余所余所しい。
投げやりな言葉の節々からは、俺を遠ざけるような雰囲気だけが伝わってくる。
「なんかじゃ、ないだろ…。俺にとって唯は大切な…っ」
「大切にし過ぎだよ」
言おうとして遮られた。まるで、その先なんて聞きたくないとでも言うように視線を逸した唯は、ついには恨み言の様な言葉を漏らす。
「だから、先越されちゃうんだって…」
「そんなのっ。無理やりするほうが悪いんじゃんかっ」
「そうだね、そうだけど…。こんな事になるくらいなら、無理矢理でもよかったな、私は…」
結果論だ。誰が悪いわけじゃない。
強いて言うなら、乱暴を働いたアイツが悪いに決まってる。
後悔と諦観がこの場を支配していた。
唯の事を励ましに来たつもりでも、投げやりな彼女の言動に苛立ちの様なものを感じていた。唯が悪いんじゃない、あんな事があったんだから、それは分かってやらなければいけない。
だけど、言葉の端々に俺を責めるような色合いが増えてくると、つい声が強く出てしまう。
だったら、あの時俺はどうすればよかったんだ。一体何が出来たんだって。
母さんに話して、警察も呼んで貰って、それが精一杯。
子供の俺に、しかも、新幹線ほどの離れた距離に居た俺に、これ以上出来たことは無いはずだ。
それとも唯の言う通り、強引にでもエッチしてればよかったのか。何なら、今すぐにでも押し倒してやれば満足なのかよ。
口を開けなかった。
いま何かを言ったら、飲み込みきれなかったイライラをそのままに、唯を責め立ててしまいそうだ。それじゃあ、一体なんのために何をしにきたのかわかったものじゃない。
「ね、和樹? 一個だけ教えて? あの後、どうしたの?」
「あの後って?」
「聞いてたんでしょ? 私が犯されてるの…。その後さ? 一人でエッチ、した?」
「それ、は…」
そんな訳無いだろっ!
言えればよかった。
唯がアイツに取られたみたいで悔しかった。他の男に抱かれて、喘いでる声を聞いて悲しくもなった。でも、快感に抗えなくなって、どんどんと上ずっていく唯の声を聞いていると、どうしても思い出してしまったんだ。
一人で、オナニーをしてしまった日の事を。
二人で、触りあった夜の事を。
奪い返したかった。
お前は俺のなんだって、なに勝手に他の男ので喘いでるんだよって。一番悲しいのは唯のはずなのに、無理矢理にでも押し倒して分からせたくもなった。
一晩中悶々としていたんだ。
気づけば頭の中で、何度も、何度も、唯を犯していた。
ごめん、ごめんねって。あの時、泣いていた唯の声が頭に響き、どうしようもない興奮を抑えられなかった。
あれ?
じゃあ、俺はなんでだ?
後で大目玉を食らうのも承知で、始発から電車に飛び乗って、帰りの分のお小遣いなんて残っちゃいない。
唯の事が大切だった。
それもある。
誰にも取られたくなかった。
そんなの当たり前で。
でも、それ以上に…。
「いいよ」
あの日の夜と、同じ言葉が耳に響いた。
しゅる、しゅるっと、衣擦れの音をさせながら、唯は着ていたパジャマのボタンを外していく。
俺の方は見ないまま。1つ、2つ、上から、下へと向かって、開いた胸元の隙間が大きくなった分だけ、彼女の素肌が目に焼き付いた。
「ちょっ、止めろよ唯っ。何やってんだっ」
「何って? エッチ…したいんだよね? だから、いいよって…。私なんかでよければ、だけど」
違う、とは言い切れなかった。したくなかったなんて言ったら、それこそ嘘になる。
想像しなかった筈がない。ただ、想像が足りてなかっただけ。
甘かったんだ。もしかしたらなんて、僅かでも期待をしてしまった事自体が間違っていた。それが、彼女の傷口を抉るような行為なんだって、ちょっと考えれば分かるのに。
眼の前で、唯が服を脱いでいく。
いざ、期待していた事実が目の前にあるのに、俺はその姿を直視できなくなった。
目のやり場に困ったんじゃない。あんまりにも痛々しかったんだ。
今はまだ肌を晒しているだけでも。何かを間違えれば、取り返しの付かないことになりそうな空気さえあった。
まだ、分かれて一月と経ってはいない。別れ際に見せた、唯の寂しそうな顔だって思い出せる。あんなに、俺との別れを惜しんでいた彼女は、見る影も無くなってしまっていた。
まるで、自分にはもう興味がないって風に、これしか価値がないんでしょって言いたげに。
しゅるっと、ボタンが解けていくと、胸元の開いたパジャマが肩から外れ、細い腕を滑り落ちていった。
惜しげもなく晒された唯の淡い膨らみから、無理矢理にも視線を剥がす。
俺が馬鹿だった。浅はかだった。そりゃ、唯とはエッチしたかったけど、こんな風にしたいんじゃなかったんだ。こんなにまでなってるなんて考えないどころか。もしかしたら、唯も同じ気持ちでいてくているんじゃないかって、本当に自分勝手にも程がある。
「しないの?」
「出来ないだろ、そんな…。唯、ちょっと落ち着こう、な?」
「落ち着くのは和樹の方じゃん? おちんちん、もう おっきくなってるよね?」
「うっ…ごめん。だけど、俺は…」
「良いよ、別に。和樹だって男の子だもん、分かってるつもり」
当たり前だ。眼の前で好きな女の子が裸になってるんだ。それを見ない振りが出来るほど、大人になんかなりきれない。
どんなに後ろ暗い思いを抱えていたって、結局それは興奮の色を変えるスパイスでしかなかった。
股間が苦しい。
俺のモノが早くしろって、ズボンを押し上げせがんでくる。
だけど、それを良しとして良い場合じゃないと、無理矢理にも欲望を抑えつけた。
「ね? キス…も、まだったよね、私達…」
唇に指を当て、微笑む唯の顔は、あまりに妖艶だった。
どこか、底が抜けてしまったような瞳は俺を見ているようでいて、視線は何処にも重ならない。ただ、行為の結果だけを求めた、少女の見せる女の表情に、俺の中の男が吠えた。
「おっぱいだってほら? まださ? そんな大きくはないけど、ちゃんと柔らかいんだよ?」
自らの膨らみに手をやり、寄せて、上げて、弾んだ胸がふわりと揺れる。
「おまんこは…まだ、ちょっとまって? いま、濡らしたげるから、すぐできるようになるから…」
自分の胸に触れながら、パジャマのズボンの上から股間を弄りだす。
ピク、ピクッと、時折肩を揺らしながら、だんだんと、その声に熱が灯り始めていた。
「和樹…。はぁ、っ、あっ…んっ。きもちぃ、ちゃんと出来るから、私、みてて? 和樹に見ててもらえたら、わたし、がんばれるから…ね?」
やめてくれ、お願いだから…。
今、そんな風にされたら、何もかもを唯のせいにして台無しにしてしまうじゃないか。
眼の前で、半裸の唯がオナニーをしていた。
脱いだパジャマの袖を引っ掛けたまま、晒した胸を自分で揉みはじめる。
ズボンの上から股間を弄りながら「はぁっ…はぁっ…」と、吐息は熱を上げ、ふるふると体が揺れると、股間を弄る指が激しさを増していった。
「ぁっ♥ ね? ほら…聞こえた? いま、くちゅってね、愛液、でてきて…おまんこ、濡れて、わた、わたし…ひゃっ、んっ♥ ふぅ、ふぅ…はぁ、やだ、和樹、見てるのに、私…どんどん、エッチになって。ね? 和樹、和樹、どう、かな? 私、エッチかな? いいから、ね? 我慢できなくなったら、いつでも、わたし…いいから、だから、ね?」
和樹、和樹、和樹…。
俺を呼ぶ声に、頭がクラクラとした。
頬を染め、汗ばみ始めた唯の肌から、何だか甘い匂いが漂ってくるような感じさえしてしまう。
快感で張り詰めていた乳首を指で転がしながら、嬌声を上げる唯。
くちゅり、くちゅりと、愛液を撫ぜる音が、俺の耳にまで届いてくる。
自傷行為に思えた。
傷口の上から別の傷を作って、元の傷を誤魔化すような乱暴な行為。
そんなの絶対間違ってる。だけど、唯がそれでいいのなら。それが少しでも唯の慰めになるならって…。
嘘だ。
そんなの言い訳だ。
唯が用意してくれた、俺にとって都合の良い言い訳だ。
罪悪感はそこにある。助けてやれなかったって後悔ばかりが纏わりつく。
何かが決定的に間違っている。だけど、伸ばされた唯の手を掴む以外の選択肢が、俺には見つけられなかった。
今、彼女の手を払ってしまったら、きっと壊れてしまう。そんな予感が確かにあった。
拒めない。その誘惑に抗えない。
昨日から、我慢の限界はとっくに越えていた。
傷ついた唯を見て、流石に落ち着きは取り戻したけれど、露骨に俺を煽ってくる彼女の姿に、抑えていた欲望が股間を大きく膨らませていく。
「唯っ!」
「あっ…」
押し倒していた。
あの日、押し止められた興奮をもう一度。今になって叶えるみたいに、彼女を布団の上へと押し倒す。
隠すものは何もない。あの日の夜、お互いを覆っていた布団は脇に追いやられ、今はただ、裸になった唯の姿だけが、俺の視界の全部だった。
「そっか。そう、だよね…。私が、止めちゃったから。あの時にさ? 和樹にさせてあげてたら、私…はじめて、ちゃんと、上げられたのに、ね…? 勇気、でなくってさ。あの時はだって…和樹のこと、ほんとに好きなのかなって、ごめんね、今更だよね、私…私…っ」
もう、見てられなかった。口を開く度自虐を重ね、自分を傷つけていく唯を許せない。
「唯。少し黙って」
「へ、かず…ぁっ、ちゅっ…んっ、ぅぅぅ…っ!」
唇を奪ってやった。
あまりにも自虐的な言動にイライラさせられる。
そんなに傷つけて欲しいなら、幾らでも傷をつけてやる。それで、幾らでも俺のせいにすれば良い。だからもう、自分で自分を傷つけるような真似だけはさせたくなかった。
「んちゅっ、あっ、ゃっ、まっ、かず…ふぁ、あ、くぅ…んんぅぅっ!」
驚いた唯に、パタパタと肩を叩かれる。
苦しいんだろう。必死で息継ぎをする姿に察しはしても、止めてやる気はなかった。
乱暴なキスだと思う。
ほんとにこれをキスって言って良いのかもわからない。
ただ、相手の唇に、自分の唇を押し付けただけ。それから、奪うように唯の口から唾液をすすり、伸ばした舌で口の中を舐め回す。
確かに、エロ本ではこんな事してたけど。ほんとにあってんのか、コレ?
もう少し、気持ちがいいものだと、幸せな気持ちっていうのか。心が温かくなるようなものを想像していただけに、今に胸を急かす情動との差に、戸惑いを隠せない。
気持ちよくもない。幸せにもなれない。
強いて言えば傷を舐め合うような、やるせなさだけが残る。
なのに、無性に続けたくなった。
服従させて、支配して、奪い尽くす。普通に生きてたら考えもしないような欲望が湧き上がり、ますますと唯の唇を求めてしまう。
「んんぅぅっ。んっ、ぷはっ、かず、き、まっ、まってって、いって、む、ちゅっ」
叩かれていた肩に痛みがはしる。引き剥がそうと掴まれ肩に爪が食い込み、だけど、その力も次第に弱くなっていった。
「はぁ…っ、はぁ…ぁ、んっ…」
しばらくして、唯の抵抗がなくなった後。唇を離してやると、どこか焦点の合わない瞳から、つぅっと涙が零れていく。
痛かったのか。苦しかったのか。それとも、傷跡をえぐるような行為に悲しくなったのか。
荒い息を繰り返したまま、唯の視線が逸らされる。
「止めて」とも「いいよ」とも言わない。完全に主導権を俺に渡してしまったような態度に、思い描いていた乱暴な興奮が煽られた。
胸の膨らみを手で包み、そのまま閉じる。
揉むなんて、可愛いものじゃない。握る様な強い刺激に唯の体が震え上がる。
それでも構わず繰り返し胸を握り続け、ぎゅっ、ぎゅっと、柔らかい膨らみに指先を沈めていった。
「はっ、はぁっ、んっ、くっ…んぁっ」
痛みと、もどかしさが入り混じった様な曖昧な声だった。
胸を握る度に声を上げ、悩ましげに身を捩る。
そんな彼女の姿に、俺はますますと興奮を強めていった。
もっと、崩れていく唯が見たい。
俺の手で滅茶苦茶にしてやりたい。
唯の乳首は、すでに膨らんでいた。自虐の様なオナニーでも、性感を覚え始めていた体は、痛みでさえ快楽へと変えていた様だ。
握った膨らみの真ん中に、固くなった乳首の凝りがある。
押し付けられていたそれを手の平で転がしてやると、唯の口の端から鼻にかかったような声が漏れてきた。
おでこにキスをした。頬にキスをした。軽く唇を重ねると、身構えるように体を縮こまらせた彼女を無視して、首筋に、胸元に、唇で触れて、舌で舐めながら、だんだんと乳首へと近づけていく。
何をされるか分かってるんだろう。
ちらりとでも、逃していた視線がこっちを向くのを感じる。
胸の膨らみから手をどかし、赤い手垢の浮かんだ肌にキスをした。
舌先でくすぐるように、ゆっくりと頂点へと伸ばしていく。ペロッと、勃起を強くしていた乳首を舐めると、我慢の糸を切らしたみたいに唯の口から声が漏れる。
「ひゃっ、あ、はぁ…それ、今の…」
「気持ちよかった?」
「…っ」
口ごもる。けど、止めてとも言われない。
なんだか卑怯だな。自分から誘っておいて、人任せにするだなんてのはズルいと思う。
舌で弾く度。ふるっと柔らかそうに感じ入る唯の乳首。体を揺らし、声を震わせ、明らかな快感を示しても、まだ唯はそうとは言わなかった。
照れてるのか、意地を張っているのか、それとも、もっと滅茶苦茶にしてほしいのか。
逡巡する唯をそのままに、カリっと、快感に膨らむ乳首に薄く歯を立てた。
息を飲む声に続いて体が跳ねると、唇に胸の膨らみが押し付けられる。
けどダメだ。それで止めてなんかやらない。
押し付けられた乳首を唇で啄んだ。そのまま吸い上げ、舌先で嬲りあげながら、より強い刺激を彼女へと送っていく。
「あ、ひっ、やめっ…かず、それ、つよ、乳首、とれちゃっ、ぅあっ、あっ、んんぅぅぅっ!」
ビクビクと体が震えた。俺のことを退かそうとして、両手で頭を押さえつけられる。そんな、可愛らしい反応を返す彼女の乳首に、もう一度歯を立てた。
「んぁっ! あっ、い、ゃっ、ぅ。やめ、それ、いた…っ、んんぅっ」
快感に揺れていた声音に、ふと涙が混ざる。抵抗しようとして、出来なくなって、ビクッと強く体が反応した後、俺の頭を抑えつける手から力が抜けていく。
「じゃあ、答えて唯。気持ちよかったの? 乳首イジメられて感じてたんだ?」
「…そう、だよ。おっぱい、ぎゅっとされて、体 ザワザワしてきて。それで…」
「それで?」
「…っ。乳首、ペロってされたら、なんか、なんかね? からだがフワってしてきて、だから。気持ちいいなって、和樹に触ってもらえて、嬉しいなって。だから、ね? 大丈夫だよ…つづけて、良いから、ね?」
それは、まるで、自分に言い聞かせるみたいだった。
きっと、アイツにも同じことをされてしまったんだろう。
受け入れたいのに拒絶してしまう。体はそうだといっても、素直にそれを受け入れられてはいない。
本当に、このまま続けて大丈夫なのだろうか?
いくら体を感じさせることが出来たって、唯がそれを受け入れられ無いんじゃ、いつか壊れてしまうんじゃないかって。
情欲に茹だっていた頭が、薄っすらとでも冷えてくる。
欲望で真っ赤になっていた視界に、今にも泣きそうな唯の顔が映り込むと、胸が締め付けられた。
こんな無理やりって。これじゃ、アイツと同じなんじゃないか。
「ごめん、唯。ちょっと、やりすぎた…」
「やだっ!」
体を離そうとした俺を引き止めたのは、唯にしては珍しい大きな声だった。
「止めないで良いからっ、良いんだからっ、和樹だからいいのっ。今、止められたら、私もう…どうしていいかわかんないっ。だって、だって、ね? いっぱい、いっぱい嫌だったの。怖くて、痛くって。たくさん、たくさん、叩かれて、酷いことされて、ね? ね? 和樹に、和樹にね? 上げるはずだったの、全部、初めての、全部とられちゃって、悲しくって、悔しくって、泣きたかったのに、からだきもちよくなちゃって…。和樹のこと、言えないんだよぉ…っ。私だって、だって…。許して、ごめんなさい、ごめんなさい…ごめん、ごめん、ね…」
痛いくらいに手を掴まれた。離れようとする俺を引き留めようと、必死になって縋りついてくる。
「いやだよぉ…いやぁっ。わたし、和樹の事、まだ好きなんだもん。いや、いやだぁ、これでおしまいなんて、ぜったいやだよぉ。私、和樹に上げられるものなんて、もう、ひっぐっ…けどね? だから、ね? 好きに、好きにして良いから。和樹のしたいこと、なんでもしてあげるから。だから、私のこと…きらいにならない、で…一人にしないでよぉ。怖い、怖い、怖いの。思い出すんだよ、ずっと、ずっと、気持ち悪いの体中ベタベタって、和樹と指切りしたの、全部なかったみたいにされて、それでっ、それで…ね…」
泣いた。泣いた。大泣きだ。感情が抑えられない。今、一人で放り出されたら自分が壊れてしまうのが分かる。いや、もうとっくの昔に、私は私を支えられなくなっている。
こんな事言うつもりなんかなかった。
和樹が来てくれて、嬉しくって、でも迷惑掛けたくなくって。
ううん、レイプされちゃった自分を、どんな風に見せたら良いか分かんなくって、和樹に合わせる顔がなかっただけ。
ただ、やんわりと、帰ってほしいって伝えてるつもりが、どうしてこんなことになっちゃってるのか分かんない。
「唯っ、唯っ。大丈夫だから、落ち着いて、唯ってば」
「いやっ、いやだっ。和樹っ、一緒にいてくれないと、私っ!」
何度も呼びかけられているのに、その声すら聞こえていなかった。
ただ必死に、彼のことを繋ぎ止めたくって縋り付く。
ああ、そっか、それで、私…。
彼に会いたい自分と、会いたくない自分。
引き止めたくって、どっかに行って欲しくって。
心がグチャグチャだった。
もう、こんな事しか思いつかない。
心の繋がりを見失っていた私には、体で続きを求めるしかなかった。
自分から和樹の前で裸になる。
自棄になってるのにも気づかない、和樹を傷つけてるのも分からずに。
それで嫌われちゃったらもう良いやって、色んなものを諦めてしまっていた。
「唯っ!」
「んっ!!」
また唇を奪われちゃった。
半ばパニックになってた私は、それでも落ち着けずに、やたらめったらに和樹の体を叩きまくってしまう。
息が苦しい。
けど、和樹は唇を離してはくれず、鼻息だけが荒くなる。
そのうちに暴れさせていた手にも力が入らなくなり、やがて、ストンっと下へと落ちた頃、ようやく和樹の唇から開放された。
「はぁっ、はぁっ…んっ。キス…乱暴すぎだよ、下手っぴ」
「下手ってな…。唯が、暴れるからだろ?」
「それは、ごめん…でも、ね?」
「いいから。俺の方こそ謝らないと。唯が、酷い事されてるのに興奮しちゃって…それで、その」
「やっぱり、しちゃってたんだ?」
「うん」
「和樹のエッチ。でも、許したげる。私も、そう、だったから…ね?」
もう一度、重ねた唇は優しかった。
ゆっくりと、慰めるように唯の頭を撫でた和樹は、そのまま残っていた彼女のパジャマを剥ぎ取っていく。
ズボンを下ろし、パンツを脱がせ。晒された太ももと太ももの間。真っ新な恥丘にできた割れ目には、もう待ちきれないと言っているように、糸を引くくらいの愛液で濡れそぼっていた。
勝手な想像なのは分かる。でも、罪悪感でギリギリ引き止められていた興奮は鎖を外され、眼の前のごちそうに飛びつく野獣の様な勢いで、和樹は唯の体に手をかけていた。
勢いのまま彼女の体に覆いかぶさり、露出させた おちんちんがビクンっと大きく跳ね上がると、二人で同時に息を飲み込む。
「うわっ…すっごい、ビクビクしてる、ね?」
「唯が、我慢させるからだろ?」
「襲えばよかったんだよ、そのままさ? 私はそのつもりで…」
「悲しいこと言うなって。そんなヤケみたいなのは」
「じゃあ、黙らせれば? さっきみたいに。和樹のこと以外、忘れさせてよ…」
誘われてるな。分かってはいても、誘惑には抗えない。
好きの証明。愛されてる実感がほしい。あるいはただの逃避か。嫌な現実を忘れるために快楽に流されたいだとか。
理由は何にでも思い当たった。その全てが的外れで、その全部が当たっているように思えて態度を決めかねる。
ならいっそ。唯の方が音を上げるまで、デロデロに甘やかしてやろうかとも思ったが、俺の方にこそ、そんな余裕は残っていなかった。
出来るのはきっと、これ以上唯に触れればきっと。
欲望のままに彼女を犯してしまう。それじゃアイツと同じなのかもしれないと心に引っ掛かりつつも、今更興奮を抑えられるものじゃない。
自棄を残しつつも、怖いんだろう。俺の手首を掴んで離さない唯の手を握り返して布団に押し付ける。空いた手で、おちんちんを支え、おまんこの入り口に示し合わせると、ゆっくりと腰を落とした。
「んぐっ!」
先端が、割れ目の入り口に包まれた途端に快感がはしる。あまりの気持ちよさに射精しそうになるのを必死に堪えながら、奥に向かって腰を動かしていく。
「はぁっ、んっ、ふぁ、はいって、和樹の…きて、やっと、やっと、わたしたち…」
一つになる。その言葉がぴったりに思った。
おちんちんを奥に進めれば進めるほど、唯は悩まし気な声を漏らしながら、体をくねらせた。苦しいのか、気持ちがいいのか。どっちでもいい。恍惚と、その緩んだ顔を見ているだけで、些細な気遣いなんか無用なんだと分かる。
それと同時に、昏い欲望が俺の心にも影を落としていた。
あの時もこんな風に、唯の中にアイツものが挿ってた。
唯の中で俺のモノが気持ち良くなればなるほどに、それを思い返し、悔しさと腹立たしさが大きくなっていく。
「ね、和樹? 怒ってる?」
「ちが、いや…違わないけど。唯がってわけじゃ…」
「分かるよ。悔しい、よね? 私だって、なんで…あの時、初めてが和樹じゃないんだろうって、ずっとさ…ぅっ、あるよ、ね?」
「泣くなって…」
「ごめ、ちが、これは、嬉しいやつ、だから…」
また泣いちゃってる。和樹を困らせたいわけじゃないのに、色んな感情で胸が一杯になると、抑えきれなくなった分だけ涙に変わる。
やっと、和樹に抱いてもらって嬉しい筈なのに。なんでって、初めて相手が和樹じゃない事を思い出す度に悲しくなった。
「そっか。じゃあ…いく、ぞ? 我慢とか俺、もう、無理だからな」
「…っ」
返事はなかった。ただ、繋いでいた手が強く握り返されたのを感じた後、和樹は思いっきり唯の中へと腰を打ち付けた。
その瞬間。唯の中で快感が弾ける。
ズルっと膣のヒダを掻き分けて、おまんこの奥を貫く衝撃に体が跳ねた。
まだ痛みの残る体、慣れない刺激に息が詰まる。優しくはない抽挿に、犯された時のことが頭を過りながらも、だんだんと刺激に慣れていく自分の体。
不意に感じた刺激は、甘く痺れるものだった。
また、あの時にみたいになっちゃうんだ。
ふとした瞬間に思い出し、心が沈んでいく。
本当は誰でも良いんじゃないか。おちんちんで犯されれば、こんな風に気持ちよくなっちゃえるんじゃないか。
そんな思いを必死で否定し続けた。
違う、違う、違うんだから。誰でも良いって、そんな訳なんかない。
あの時も感じちゃったけど。今だって気持ちがいいんだけど。
和樹がしてくれるから、こんなに素直に気持ち良くなれてるんだって強く思う。
とんとんと、お腹の奥を突かれる度に、きゅんきゅんっと体が喜んでる。
おまんこ が おちんちんを締め付けて、下腹部にきゅっと力が入ると 押し出された子宮の入り口が、おちんちんの先へと近づいていった。
「あっ♥ そこ、そこっ。当たって、私の一番気持ちいいとこ、もっと、もっといじめて。和樹っ、かずきが、いっぱいで、すごいの、きてて、わた、し、もうっ、いっちゃっ! や、あ、あ、ぁぁぁぁぁっ!!」
おまんこの深くを おちんちんに突き上げられた瞬間。唯は声を上げて泣いていた。涙を流し、全身を震わせて、ただ気持ちいい、気持ちがいいと、和樹のモノを愛おしそうに締め付ける。
「ぐぁっ。唯、そんなされたら、俺っ、俺っ…!」
いつ、射精してもおかしくなかった。
いや、実際にもう何回も出しそうになっていて、その度に唯のおまんこに強く締め付けられると、噴き出しそうになった精液が根本に押し留められてしまう。
その繰り返しは、拷問みたいだった。
出したいのに出せなくって。絶頂の快感だけが、勃起したおちんちんを震わせた後、射精のタイミングを逃したまま勃起が緩む。
それの繰り返し。
喉を締め付けられるような息苦しさに抽挿は乱暴になり、強い刺激が唯に快感を送り込んだ分だけ、おまんこの締め付けは増していく。
快感に流され続ける唯が羨ましかった。
射精の寸前。また先に絶頂に達した唯に おちんちんを締め付けられた。
乱暴に奥まで突き込み、ゾクっと快感の刺激に背筋が震えても、根本から先へと精液は流れていかない。
「クソっ、クソっ、なんで、なんでっ!!」
どうして俺たちはこんなにもタイミング合わないんだ。
体の相性だっていうのかよ。アイツには出来て、俺には出来ないなんてこと絶対に認めるわけにいかなかった。
「はっ、あっ、ま、まって、かず…わたし、すこし、やすませ、ずっと、イッてて、くるし、気持ちいいの、いっぱいで、しんじゃっ、あっ!」
「なんでだよっ! アイツには中出しさせといて、俺のはだめだって! 何でもしてくれるって、いったのは唯じゃんかっ!」
「ちがっ、ちがうのっ。ごめんなさい、ごめんなさい、そんなんじゃ、そんなんじゃなくって…ね? いいよ、いいから、和樹が気持ち良くなれるまで、私の使っていいから…。私がんばるから、大丈夫だから。和樹もちゃんと良くなって、私の中、一杯にして、出して、いいからっ…あぁっ!」
それは気遣いでも、優しさですらなかった。
ただ、俺のことを縛り付けようとしただけの、自虐的なまでの献身だ。
悪いのは唯じゃないのに。分かっていても、自分から傷付きたがる彼女の仕草にイライラが募っていく。
どうしても、八つ当たりみたいな感情が拭いきれない。
暗い欲望が渦を巻き、それが快感の熱へと変わっていく。
だって、射精しようとする度に唯が邪魔をしてくるから。だって、唯ばっかり気持ちよくなってズルいじゃないか。俺がイケないのもだって、だって…。
だって、お前が勝手にあんな奴に犯されるから。
言ってはいけない言葉が喉元に引っかかる。
じっとりと、それは嫌な熱を持ち、飲み込んだ腹の奥底でなお、欲望を煽り、グツグツと煮えたぎった快感が俺のモノを震わせた。
終わりは確実に近づいてきていた。
幾ら射精の邪魔をされようとも、精液が消えてなくなる訳じゃない。根本から押し戻され、勢いを無くした後も、刻々と溜まり続けたそれはもう、おまんこの締め付けだけじゃ抑えきれないほどに膨れ上がる。
バチッと、頭の奥で何かが焼き切れたみたいだった。
ゾクッと、おちんちんの根本から、加熱した快感が背筋を走り抜け、頭の中を焼いていく。
唯、唯、唯…。
出したい、出したい、出したい…。
俺のものなんだ。誰にも渡したくない。奪われた分だけ取り戻そうと、傷口を広げるように腰を振り続ける。
「んっ、ひゃっ、あ、あ、ぅぁ、ぉっ、くぁ…はぁ、はぁ、ふぅふぅっ、ふぁぁぁっ、ゃぁ…っ。いっちゃ、わた、また、ぅぁぁっ、はげし、かず、だめ、ひゃっ、あ、あぅ…あぁぁぁぁぁっ!!」
もう何度目か。唯が絶頂の声を上げ、快楽に流されていく。
おまんこの深くに入り込んだ おちんちんの全部を締め上げ、きゅぅっと力の入った下腹部に押し出されてきた子宮口に先端がのめりこんだ。
まるで、キスでもされたみたいだった。
おちんちんの先端が子宮口に口づけると、ちゅっと優しく吸い込まれる。
たったそれだけ。
今まで おちんちんを苛んできた刺激に比べると、児戯みたいなやりとりが、我慢の限界を越えさせる。
「あひっ♥ え、あ、あ、ぅぁっ、あぁっぁぁぁぁぁっ、やぁ…でて…」
ドバッと。
そんな擬音が似合うほどの勢いだった。
子宮にまで広がる熱。おまんこよりももっと深い所まで入り込んだ精液は、唯の体を浮かれさせていく。
もう、何度もイッた筈なのに、今までのどんな快感よりも気持ちがいい。
絶頂を重ね、敏感になりすぎた体は、子宮に注ぎ込まれる精液の熱にさえも反応してしまっていた。
ドクンっ、ドクンっ…!
力強く、打ち付けてくるみたい。
散々我慢をさせたぶんだけ、大きくなった和樹の快感がそのまま私に伝わってくる。
ドクンっ、ドクンっ…!
気持ちよくて、幸せで、目の前が涙で霞んでいった。
「ぅぁ、かずき、かずきぃ…はぁ、ぁぁぁっ、きもち? ねぇ、ねぇ? ちゃんとわたしで、私の中だせて、気持ちいい? 私、ちゃんと出来てた?」
絶頂のさなか、呂律の回らない舌を無理に動かしてでも、和樹の言葉が、声が聞きたかった。愛されてる実感が貪欲なくらいに欲しくなる。
「分かるっ、だろっ。唯の中…すげーいっぱいでて、まだ、とまんなっ、くぉっ」
「やだっ。ちゃんと言って、誤魔化しちゃ、じゃないと私…」
「気持ちいいに決まってるだろっ。やっと、俺たち一緒になれて、ずっとこうしてやりたいって、俺っ、でも、唯を傷つけるんじゃないかって、だからっ」
「あはっ、あはははっ。じゃ、じゃあ…和樹も、私と一緒だ、ね?」
唯が笑っていた。
その初めて見る笑顔に、胸が締め付けられる。
どこか気の抜けた。真冬の夜にようやくと見つけた灯りに手をかざした様だった。だらしなく吐息を漏らしながら、恍惚と快感に惚けた笑顔の中に、ほっと、安心したような溜息が重なっていく。
その姿は、今にも溶けて、崩れて、無くなってしまいそうで。そんな彼女を見失わないように強く抱きしめた。
気持ちいい、気持ちがいい。
最後に一つ。おちんちんが大きく弾けると、快感が二人の体を覆い尽くしていった。
それが全部で、一杯になって。抱きしめて、抱きしめられたまま。二人の意識は、幸せの中に解けていった。
ーーーー
「うん、うん。わかった、明日には、帰るから…うん」
「おばさん、なんて?」
「すげー怒られた」
「分かる。こっちまで聞こえてきたもん」
掛かってきた母親からの電話に叩き起こされた和樹は、平謝りをするしかなかった。
「でも明日…なんだ?」
「今から帰っても遅くなるしって。それになんか、唯のお母さんが話してくれた? みたいで?」
「お母さんが? ん…あれ? それってさ…」
一瞬、二人の間に沈黙が落ちる。
ここから何が見えるはずもないのに、階下にいるであろう人の影を気にして視線が畳へと落ちていった。
確かに、声なんて気にしてる余裕もなかったし。唯がパニックを起こした時は、随分と響いてしまっていたはずだ。
「和樹くーん♪ お夕飯何が良い?」
そんな気まずい沈黙を破るようにして、下の階から 唯のお母さんが呼ぶ声が聞こえてきた。
それは、まるで、鼻歌でも混じっているような上機嫌で、そんなニュアンスが聞き取れる程度には、この家の防音性能は低いことが伺える。
「もう、お母さんのバカ…」
絶対にバレている。
今更、ちょっと喧嘩をしてみただけです。なんて、言い訳をするほうが見苦しいとさえ思った和樹は、腹を決めて声を上げていた。
「ハンバーグが食べたいですっ」
「おっけ♪」
急に声を上げた和樹に、驚いた唯がきょとんとした顔で視線を向ける。
「なんで? ハンバーグ? 好きなの?」
「嫌いなやつの方が少ないだろ? 唯だってさ?」
「そうだけど。そうじゃなくって…ね?」
「まあ、ちょっと…疲れたし、体力付けとこうかなって」
「ふーん…そう、なんだ」
沈黙がくすぐったい。
体力をつけて何をする気なんだろうと、お互いが意識しないはずもなく、トクンっと小さな鼓動が重なっていた。
仲直りエッチに見せかけた共依存ルート。
好きの証明、愛情の確認。後悔と、後ろめたさ。罪悪感と無力感。
良くも悪くも、色んな感情でグチャグチャになりながら、ドロドロに愛し合ってて欲しい。
理由はどうあれ、もし「そんな訳無いだろっ!」を選んでいたら、唯ちゃんのストレスがマッハになって…。
ーーーー
「そっか…そう、だよね。あははっ、私が和樹を信じてあげなきゃなのにね。ごめん、ちょっと疲れてるのかも。少し休むから、和樹はゆっくりしていって、ね?」
「あ、うん。わかった。それじゃあ、後でな?」
「うん、あとで…ね」
言える訳がなかった。
エッチ、して欲しいだなんて。今の和樹に何を間違ったら言えるんだろう。
あんなに必死に、私の事心配してくれてたのに。電車代だって、きっと馬鹿にならなかったはずなのに、それでも私に会いに来てくれた。
困らせたくなんかない。
嫌われたくなんてもっとない。
それでも、ワガママが許されるなら、私を滅茶苦茶にして欲しかった。
寝ても覚めても、ふとした拍子に思い出してしまう。体中を這い回る他人の感触。それに性感を覚え、快感に満たされていく自分の体。
その、全てが気持ち悪かった。
体を抱きしめて衝動に耐えるのも限界で、今にも自分の体に爪を立ててしまいそうになる。
私を滅茶苦茶にして欲しい。何も分からなくなるくらい壊して欲しい。
そうすれば、こんな悪寒も止まるんじゃないかって。誰でも良いはずなんかない。愛されて、ちゃんと私は気持ち良くなれるんだって。その相手は、きっと和樹が良いって確かめたかった。
「いえないよ…そんなこと」
震える指を噛みしめる。痛みが限界を越え、口の中に血の味が広がっても、私は指を離せなかった。
痛い…痛い…痛い…。
ああ、でも。
気付いちゃった。
そう思っている間は少しだけ、何も考えずにいられる事に…。
ーーーー
多分こうなる。
吐きそう…。