※この作品はR-18です。

夏休みの思い出~田舎で いとこ とエッチするはなし~   作:霧里

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おまけ:ハッピーエンド

 

 

正月が明けた後、受験に、卒業にと、一気に忙しさがやってきた。

あれよあれよと、流されている内に気づけば入学式。これが終わればようやく落ち着けるかといえばそうでもなく。新しいクラスに馴染めるかどうか、最初の1ヶ月が勝負になると、本当に落ち着けるのはゴールデンウィークも過ぎた頃だろう。

 

今頃は、唯も新しい制服に身を包んでいるんだろうか?

 

少しだけ、大人になった彼女の姿を想像すると、胸がドキドキとしてしまう。

『見せて欲しい』と、当然送ったメッセージはだけど『入学式まで待って』と、お預けを食らってしまった。

 

ちょうど、今日がその日になるんだけど。

 

正直、これから始まる学校生活よりも、唯の制服姿のほうが気になって仕方がない。彼女に付き合う形で続けていた夜のおしゃべりの時間が、いつも以上に待ち遠しかった。

 

「それじゃ、行ってきます」

 

新しい制服に袖を通し、荷物を確認して部屋を出る。

 

「母さんたちも後から行くからね」

「良いって、別に」

「アンタは良くてもね?」

「なんの話?」

「別に?」

 

なんかはぐらかされてしまったような気になりつつも、おしゃべりに付き合うような暇もない。時間に押されるように家をでて、いつもとは違う方に足を向けた時だった。

 

「おはよ、和樹」

 

耳馴染んだ声に足が止まる。こんな所にいる訳がないと、ただの聞き間違いだと自分に言い聞かせながらも、今一番聞きたいその声を間違えるなんて有り得なかった。

 

「は? ゆい…なん、で?」

「なんでって? 見てわかんない? ほらっ♪」

 

振り返ったそこには確かに唯が立っていた。

その姿は、俺が見たいと言っていた制服姿で、その制服は俺が今日から通う学校の女子のもので。

 

くすっと、どこか楽しそうに微笑んだ唯は、両手を広げ、踊るように回ってみせた。

 

「ほら…じゃなくってさ。唯、なんでココに?」

「なんでって。だから、今日から和樹と同じ学校なんだって。一緒のクラスになれると良いね?」

 

良いねって、簡単に言うけれど。

 

唯の家からココまでって、そんな毎日通える距離じゃないはずだ。

それに、受験してたなんて一言も言わなかったし、勉強してる素振りさえもなかった。

 

「ああ、でも。家じゃいつも一緒だし、違うクラスなのも良いのかな? 一緒にいると甘えちゃいそうだし」

「家じゃって…は?」

「ふふっ…。じゃーんっ♪」

 

さっきから驚いてばかりの俺の姿に、満足そうに微笑んだ唯は、ポケットから取り出した鍵を見せびらかすように掲げてみせた。

 

「和樹の家の鍵。お揃いだね?」

「???」

 

理解が、追いつかない。いや、理解しようとした側から、追加される情報を飲み込みきれず、頭がフリーズしそうだった。

 

「おばさん達がね、合格できたらいいよって。和樹にも内緒にしてて貰ってさ。私頑張ったんだよ? 和樹ってば、すっごい難しい所行こうとするんだもん。知ってた? 受験の時にね? 私、和樹の少し後ろにいたんだよ?」

 

唯が楽しそうに種明かしをする間に、だんだんと状況が飲み込めてきた。

家を出る前、さっき、母さんがお茶を濁した理由。唯が制服姿を見せたがらなかった理由。合格発表のその前日。いつも以上に、唯が甘えてきた理由が今なら分かる。

 

スマホ越しで、出来ることはあんまりなかったけれど、唯が寝落ちしてしまうまで、甘やかしていたのをよく覚えていた。

 

「唯っ…」

 

なにか、言葉に出来ない感情が、俺の胸を埋め尽くしていく。

恋とか愛だとかって、口にしてしまえば きっと簡単な事なんだろうけど、そんな感情に突き動かされるまま、目の前の彼女を抱きしめてしまっていた。

 

「え、あ、ちょっ…和樹。恥ずかしいって…みんな見てるよ」

「ごめん…でも、うん。ありがとう、めっちゃ嬉しい」

「にひひっ。良かった…ほんとはちょっぴりね、迷惑がられたりしたらどうしようって、ね? ほんと、ちょっとだけさ、あったんだよ」

 

その不安をかき消すように、俺はさらに強く唯のことを抱きしめた。

春先とはいえ、まだ肌寒さの残る季節。抱きしめた唯の体温は、いつも以上に俺の胸を温かくしてくれる。

 

見られてるのは分かってた。

 

朝の通学路には、格好からして俺たちと同じ新入生も少なくはない。

もしかしたら、クラスメイトになる奴も混じっていたかもしれないけれど、噂になるならなれば良いって、そんな事すら気にならなくなるくらい、俺は舞い上がってしまっていたんだ。

 

「子供みたいって、私には言っといて…ね?」

「ごめん。でも、ちょっと、気持ち分かったから…」

「分かっちゃったかぁ。でもさ、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」

 

名残惜しいが、唯の言うことも正しい。

 

「ほら、手、繋いでこ?」

「…」

 

少し迷った。

 

人目はもちろんあるし、好きな女の子と二人、手を繋いで歩くのだって何回やっても慣れるものじゃない。

だけど、差し出された唯の手を前にして、他の選択肢なんてあるわけもなく。

彼女の手をしっかりと握り返すと、二人で一緒の通学路を歩きだしていた。

 




最後までご覧いただきありがとうございました。

これから先はもう、イチャイチャラブラブちゅちゅしたり。
場合によっては、ドロドロと愛し合っていくことでしょう。
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