雪が解けたら、どうせ俺たちは捕まる。
いつの間にかこの言葉が二人の合言葉になっていた。
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あっ、と言ったときにはもう遅すぎた。
三人で下校する途中だった。二人乗りの自転車が倒れて、後ろに座っていた女の子が投げ出された。彼女は頭から地面に突っ込んで、悲鳴を上げる間もなく、大きく痙攣してから動かなくなった。即死だったと願いたいが、実際はどうだったのか分からない。
前の座席に乗っていた男の子は自分自身も傷だらけになりながら、自転車を放り出して彼女に駆け寄った。「大丈夫か?」と声をかけたものの返事はない。一緒に歩いていたもう一人の女の子も近寄って手を握ったり脈を図ったりしたが、心臓の鼓動は驚くほど速いスピードで弱くなって途絶えた。
彼女の首はまるでマネキンみたく変な方向に曲がっていて、口からは涎が泡になって噴き出していた。出血はないが、微動だにしない彼女の体は死んでいるように見えた。少なくとも、彼ら二人は彼女が死んだと判断した。そして、殺した、とも。
「……どうすんだよ?」
何分経ったか分からない頃、男の子が女の子に話しかけた。
「どうするって……」
言われた方の女の子もどうしていいかなんて分かるはずもなかった。同じ学校の制服を着ている彼ら三人は高校の同級生だった。
男の子はケン、女の子はアイ、死んだ子はシュウ――彼らはお互いをそう呼んでいた。
「病院だよ、救急車呼ばなきゃ――」
「もう死んでるよ、これ」
ケンは死体を指さした。シュウはかっと目を見開いて、仰向けにだらんと倒れていた。確かにもう、助かりそうには見えなかった。晩秋の冷たい風がシュウの茶髪を揺らして、ばらけた髪が顔を覆っていた。
「俺たち、捕まんのかな」
震える声でケンが言う。アイは制服の袖からはみ出したセーターを強くぎゅっと握りしめて、マフラーの内側で唇を噛んでいた。
「んなわけないでしょ、殺人じゃないんだから」
「でも俺が二人乗りしなかったら、シュウはこうならなかったよね?」
ケンの口調にいつもの自信はない。怯えきった彼は両手で頭を抱えて、地面にしゃがみこんでいた。
「……それを言ったら、アタシがシュウに無理に『一緒に帰ろ』って誘わなかったら、って話になるでしょ?」
いつもならアイが、ケンの言ったことにこんなにも強く何かを言い返すこともない。
幸いここは田舎の坂道で、事故を目撃した人物はいなかった。そして今夜は大雪が降るという予報だった。
そのせいで二人は最悪の選択をしてしまった。
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死体を山に埋めた。それだけなら普通、数日も立たないうちに警察に見つかってしまうだろう。
だがここは雪国だ。十一月下旬から降る大雪は、道路を一面アイスバーンに変え、湖の表面をも凍らせてしまう。道も、街も、山も、すべてが分厚い雪に閉ざされる。
二メートル近い雪の下敷きになった死体は腐りもせず、春まで発見されるはずもなかった。あくまでも春まで、だが。
突然降りかかった悲劇と、先延ばしにしかならない行為――それでも、高校生の彼らにとっては精一杯の判断だった。