※この作品はR-18です。

キヴォトスに墜ちた悪魔   作:やーなん

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非エロ作品です。
今のところ非エロ作品です。
大事なの事なので二回言いました。


アビドス編
アビドスの悪魔


 

 

 

「お体の具合はどうですか?」

「ああ、大丈夫。暇すぎて死にそうなくらいだ」

 

 アヤネが病室におかゆを運んできた。

 男は雑誌を読んでいた。タイトルは“キヴォトス観光案内最新版”だった。

 

「なにかあれば言ってくださいね」

「そうか、じゃあ聞かせてくれ」

 

 男は真剣な表情でアヤネに尋ねた。

 

「君、意外と着痩せするタイプじゃないか?」

「えッ」

「俺としたことが見誤ったよ。

 俺の予測によると三年後の君のスリーサイズは俺の許容を超えるだろう。

 つまり──」

 

 男はウブなアヤネの手を取った。

 

「今のうちに砂漠のラブロマンスとしゃれこまないか?」

「えっと、その、ええと!?」

「いい加減にしなさいよこのロリコン!!」

 

 その時、ドアが乱暴に開けられ、セリカがドシドシと入ってきた。

 そしてアヤネの手から男の手を振り払った。

 

「ぎゃー、傷が、開いたぁ!! 

 これはセリカちゃんが体で癒してくれないと治らないぁ!! 

 とりあえずそのうっすい胸板で貸してくれればいいから、擦るだけだから」

「悪かったわねッ、うっすい胸板で!!」

「何を言う、褒めてるんだ。

 需要はあるぞ、主にここに」

「だまれー!!」

 

 セリカと男は両手で取っ組み合いを始めた。

 

「せ、セリカちゃん。一応相手は怪我人だし」

「心配ないわよ、ピンピンしてるじゃないのよ!!」

「ははは!!」

 

 セリカは気づいていなかった。

 このセクハラ男にとって、こうして女子の柔肌に触れている時点で彼の思うつぼであることを。

 

「ん。みんな楽しそう」

「どこがよ!!」

 

 セリカは新たに入室してきたシロコに怒鳴り散らした。

 

「アップルマン。これ、補充しておいた」

 

 彼女は古いリボルバー銃を差し出した。

 

「おう、サンキュ。

 お礼は股座でも舐めればよろしいか?」

「領収書がここにある。

 キヴォトスにこの規格の銃弾は無かったからオーダーメイド」

 

 男はリボルバー銃を手にすると、慣れた手つきで分解を始めた。

 

「フレームに補強が入っているな? 

 弾丸も炸薬の量が増している」

「ん、キヴォトスで自衛するならこれくらいは必要」

「生身の人間何人か貫通する量だぞ、これ」

 

 俺肩外れないか、と男はぼやいた。

 

「悪いな、頼んじまって」

「別に。サイクリングのついで」

 

 シロコはそれだけ言うと病室から去って行った。

 

「いつかのしを付けて返す」

 

 怪我が治るまで居て良い、と男は言われているが、年下の女子にそこまで甘えるつもりはなかった。

 

「切羽詰まってんだろ?」

「……ええ、まあ。

 補給も絶たれていますし、最近になって武装集団が学校を襲撃してもいます」

「まるで愚連隊だな」

「キヴォトスでは珍しくもありません」

 

 男は暇潰しの為にくれた雑誌に“キヴォトス・ガンカスタムトレンド最新版”というモノが有ったのを思い出した。

 そんな雑誌が普及しているくらい、この世界は硝煙でまみれているのだ。

 

 そうしているうちに、警報が鳴った。

 

「ほら、また」

 

 男は、力無く笑うアヤネを何とも言えない表情で見ていた。

 

「アヤネ、行くわよ」

「はい!!」

 

 セリカはアヤネを伴って病室から駆け出して行った。

 

「…………これも、罰か」

 

 男はベッドに背中を預け、深く溜息を吐いた。

 

 

 

 

「ホシノ先輩から五時の方向に敵集団、その数五人!! 

 セリカちゃん、前に出過ぎです!! シロコちゃんも突出せずにノノミ先輩の火力支援を待ってください!!」

 

 アヤネは機材を操りながら味方をオペレーションをしていた。

 

「シロコちゃんが負傷!? 今ドローンで医療物資を」

「大変そうだな、アヤネちゃん」

 

 この忙しい時に、とアヤネが振り返るとモップを杖代わりにして男がオペレーションルームに改装された部屋に入ってきた。

 

「あ、アップルマンさん!? 寝てないと駄目ですよ!!」

「俺を気にしないで前を見ろ!! 

 オペレーターは現場の命だ、必要な事だけに注視しろ」

「は、はい!!」

 

 アヤネはレーダーの索敵結果を示す画面に向き直った。

 

「敵の陣形はバラバラだ。

 愚連隊らしく、秩序の有る作戦行動じゃない。

 陽動に簡単に引っかかるだろう。

 ホシノ、ノノミ、戦線を下げ、左翼に敵の視線を集中させろ」

「はい!! 先輩たち、お願いします!!」

「シロコの負傷はどうだ? 

 戦闘に支障が無いなら補給の為にフェードアウトと見せかけてそこに脇道から奇襲させろ。

 恐らくこの道を相手は把握していない」

「わかりました!!」

「奇襲が成功したらホシノが押し込め、プレッシャーを掛けろ。

 それで士気は瓦解するはずだ」

 

 レーダーと監視カメラの情報だけで、男は恐ろしいほど的確に状況を見抜いていた。

 それが空恐ろしく、男を背にしているアヤネは気が気では無かった。

 

『ヘルメット団、撤退を確認』

『状況終了ですね』

 

 ホシノとノノミの声が戦闘終了を報告する。

 それを聞いたアヤネは深く息を吐いた。

 

「助かりました、アップルマンさん」

「……」

 

 彼女が振り返ると、そこにはいつものセクハラ親父は居なかった。

 男はまだ油断せず、レーダーの反応を睨みつけていた。

 

「実戦経験が少ないな? 

 いや、責めているわけじゃない。誰だって最初は新兵だ」

 

 男の視線がレーダーからアヤネに向いた。

 血に飢えた餓狼の瞳が、恐怖に通じていた。

 

「宿代代わりだ。鍛えてやる、いいな?」

 

 アヤネはこくりと頷いた。

 

 

 その日から、アビドス学園の地獄が始まった。

 

 

 

 

 ばぁん!! 

 

 男の愛銃が火を噴いた。

 

「いッったあああああい!!!」

 

 セリカの叫びが校庭に響く。

 

「何度言ったら分かんだ、チビまな板!! 

 ホシノと息を合わせろ!! 戦闘の軸はホシノだ!! 

 あとカバーが遅い、そのうすっぺらいまな板が弾丸を防いでくれんのか、ああ!!」

 

 男の愛銃が更に火を噴いた。

 遮蔽物に隠れ損ねたセリカの胸板に銃弾が命中し、彼女は痛みを噛み殺して遮蔽物に背を預けた。

 

「それと駄犬!! お前なに戦果を焦ってやがる!! 

 勝利とは部隊のモノだ、お前のモンじゃねぇ!! 

 お前の突入のタイミングでそこの薄らまな板が釣られてペースが乱れんだ、わかってんか、ああ!!」

「ん!!」

「ん、じゃねぇ!! もっとお互いに声を掛けろ」

 

 男はグレネードのピンを抜いて、シロコが隠れている遮蔽物に放り投げた。

 

「ほら、ん、だ!!」

「!?」

「パイナップルが投げ込まれて何で誰も何も言わねえんだチビガキども!!」

「ぐ、グレネード!!」

「遅いんだよ舐めてんのかメスネコッ!! 発情した時みたいにニャーニャー声を出すんだよ!!」

 

 爆発から逃れるために遮蔽物から飛び出すシロコ。

 銃撃を受け半泣きになりながらカバーを繰り返すセリカ。

 

 そんな様子を、ホシノは冷や汗を掻いて見ていた。

 

 アビドスのカリキュラムで、今は演習の時間。

 普段はホシノが主導して皆を鍛えているが、そこの教官役に男が名乗り出た。

 結果は御覧の通り。地獄絵図だった。

 

 演習内容は突入を想定。

 ホシノが盾で突撃しつつ残り二人が追従するという想定だ。

 攻撃目標のところに男が立ち、愛銃に込めたゴム弾を容赦なくぶっ放している。

 

 男は、鬼教官だった。

 

「俺はテレビゲームが好きでよ、勇者パーティは皆個性があって面白いんだが」

 

 男は弾倉から空薬莢を排し、流れるようにゴム弾を装填する。

 

「兵隊にそんなのは不要だ!! 

 個性は捨てろ、てめえらは勝利の為の部品だ!! 

 オペレーターの道具、手足なんだよ!! 

 毎回同じパフォーマンスを発揮しろッ!! 

 欲や恐怖を捨てろ、何も考えず動けるように俺がお前たちに戦い方を叩きこんでやる!!」

 

 銃を連射しながら、男は二人に怒鳴り続けていた。

 

「よし、次だノノミ!! 

 次はお前の火力支援を前提に状況を組むぞ!!」

「はい教官」

「アヤネ、次の状況を想定しろ!!」

「わかりました」

 

 アヤネが架空の敵影を報告する。

 ホシノ達前衛はそれがあたかも存在するかのように動き始めた。

 

「おいホシノ」

「あうぅ」

 

 ゴム弾が彼女の足に命中し、ホシノは呻いた。

 

「後輩たちに合わせたな? 

 てめぇはママか? 仲間を気にしてパフォーマンスを落としてどうする!! 

 ああそうだな、お前におんぶにだっこじゃねぇとすぐに野垂れ死ぬような情けねぇ後輩だもんな!!」

「くッ」

「言わせない!!」

「もう一度だアヤネ!! 最初からやり直し!!」

「はい!!」

 

 演習は時間いっぱいまで続いた。

 

 

「時間だ、整列!!」

 

 男の号令に、五人は一糸乱れぬ動きで年齢名前順に並んだ。

 

「今日の演習はこれまで。お疲れさまでした!!」

「「「「「お疲れさまでした!!」」」」」

 

 演習の授業が終わるのと同時に、全員は校庭に崩れ落ちた。

 

「よーし、各自塩分と水分の摂取は怠るなよ。

 砂漠の日差しは体力を消耗させる。十分に休息をするように」

 

 はーい、と徹底的にしごかれた五人の返事は若干気が抜けていた。

 

「……一週間前よりマシになったな」

 

 男にとって、アビドスの面々は個々としての戦闘力は文句はなかった。

 だが各々敵を見つけては攻撃するような有様で、男からすればお粗末そのものだった。

 

「ガキのごっこ遊びからお遊戯会レベルにはなったな」

「それ、変わってるのぉ?」

「三歳児が幼稚園の年長レベルにはなった」

 

 うへぇ、と手厳しい男の言葉にホシノが校庭に寝そべった。

 

「もうここで良いから寝たいよ~」

「ほらダメですよホシノ先輩、教室で休みましょう」

「うへぇ」

 

 脱力しっぱなしのホシノはノノミに連れて行かれた。

 

 

「それにしても、マジでここって普通の高校なんだよな? 

 なんで軍事演習とか授業に入ってるんだよ」

 

 と、男がこぼしたのはいつのことやら。

 その教材らしいBDを見て即座に叩き割り、教官を志願したのが一週間前だった。

 

 拳銃用の模擬弾を調達して、その日からそれを容赦なく教え子にぶちかます鬼教官と化した。

 

「お前らもシャワーを浴びていい。

 それとも、汗だらけのシャツから見えるブラを肴に一杯呑んでも良いのか?」

「くぅ、好き勝手言ってくれちゃってぇ」

「……」

 

 セリカは悪態を付きつつ、シロコは若干赤面しながらそそくさと校庭から校舎へ戻った。

 

「アヤネ、あとで復習だ」

「は、はい!!」

 

 五人の中で唯一前線で戦わない彼女は、特別授業が課せられていた。

 卓上での戦術的センスを養う為の状況戦を次々と口頭で質疑応答されるのだ。

 設問に間違える度に、ホシノが死んだ、ノノミが死んだ、お前が死んだ、と告げられるのでその内彼女は胃に穴が開くんじゃないかと思っている。

 

「俺は斥候の痕跡が無いか確認してから戻る。

 夕飯ごろまでには戻る」

「わかりました」

 

 アヤネも校庭から去る、男は一人になった。

 そして校門から出ていく。

 

 

 

 男は動けるようになってから、すぐに行動に移した。

 

 行き先は校舎から程なく離れたアビドスの旧市街地。

 そこの誰も使われていないビルの地下室の扉を開けた。

 

「よう、待ったか?」

 

 男が壁のスイッチに手を伸ばすと、豆電球が付いた。

 暗い部屋に、か細い光にて三名の少女が浮かび上がった。

 

 彼女達は男を見上げると、縄で縛られた口から小さな悲鳴を漏らした。

 

 男は二日前の戦闘で発生したヘルメット団から逸れた団員を、独自に捕縛して監禁していた。

 

 縄で手足を縛られ猿轡をされ、──彼の手伝いをさせられていた。

 

「じゃあ今日はA子、今日はちょうどいいバッテリーが有ったんで手伝って貰うわ」

 

 A子、B子、C子、男が暫定的に彼らに付けた記号だった。

 

 男はバッテリーの端子を、A子の両手に繋げ電源をONにした。

 

「────ッ!!」

 

 高圧電流が流れ、A子は言葉にならない絶叫を挙げる。

 その様子を、残りのB子とC子は恐怖に震えながら見ていた。

 

「うーん、この程度じゃ死なないか。

 悪いな。俺はキヴォトスに来て浅いもんだから」

 

 男の顔は、薄暗い地下室の電球の影によって、悪魔のような形相に二人は見えた。

 

「だから、どの程度痛めつければ死ぬのか、知らないんだ」

 

 この拷問は、男の実験に過ぎなかった。

 

「今日はお前らのお仲間を襲って弾薬を五百発、頂いたんだ」

 

 ヘルメット団から奪ったアサルトライフルを、B子の額にほぼ密着させた。

 

「んん──ッ!!」

「額は、昨日やったな。

 じゃあ……」

 

 男の銃口は額から、B子の目で止まった。

 

「目玉に百発、それで失明まで行くのか、それとも脳みそを貫通するのか試してみよう」

「んッ、んんッ!!」

「動くなよ、それとも口の中に突っ込むか?」

 

 男は猿轡代わりの縄を外した。

 

「や、やめて、もう、ゆるして」

 

 か細い声で、B子は赦しを乞う。

 だが、返答は銃声だった。

 

 だだだだだだんッ、と無情な銃声が地下室にこだまする。

 

「知らなかったのか?」

 

 痛みで黙らされたB子の唇に、硝煙が上る銃口を突き付けた。

 

「お前みたいにクソガキに教えてやるよ。

 

 ────ひと様に銃を向けて、殺す気はなかったなんて通用しないってな」

 

 恐怖と痛みで、B子は涙と鼻水で顔面がめちゃめちゃになっていた。

 

「こいつはな、人を殺せる武器なんだよ。

 お前らがオモチャのラッパみたいにブーブーならしてるこれはよ!!」

 

 がちゃ、がしゃ、と男は弾倉をリロードした。

 そしてその銃口を、彼女の目に向けた。

 

「俺の恩人たちに銃を向けた罪は重い。

 安心しろ、お前らのお仲間一人残らず同じ目に遭わせてやる」

 

 銃声、マズルフラッシュが地下室を照らす。

 

「ああああああああああああぁぁぁっぁあああ!!」

 

 全弾を片目に直撃したB子は悶絶して魂の絶叫が地下室に響き渡る。

 もう一度、男はアサルトライフルの弾倉をリロードする。

 

「もうワンマガジン……。

 いや、三十発も目玉に当たって貫通しない時点でこれ以上は無駄か」

 

 男は悶え苦しむB子の唇に銃を突き付けた。

 

「しゃぶれよ」

 

 精一杯の拒否なのか、左右に首が揺れる。

 

「そうか、じゃあ後で歯医者に見て貰え」

 

 男は、引き金を引いた。

 

 

「これ以上やったら死ぬな」

 

 男はバッテリーの端子をA子から外した。

 A子はびくんびくんと白目を剥いて気絶していた。

 

「それにしても、予想以上だな、ヘイローの恩恵は!! 

 やっぱりヘイローを壊さないと実質的に殺害は難しいと考えるべきか」

 

 男は何度かの実験という凄惨な拷問の末に、そう結論付けた。

 

「うん?」

 

 男は、地下室の端っこにもぞもぞと逃げているC子に目を向けた。

 

「──ッ!?」

 

 C子は己に注意が向いたことに恐怖したが。

 

「ああ、安心しろ。お前には何もしない」

 

 ヘイローの輝きが消え、気を失った二人を間近に見ていた彼女に男は語り掛けた。

 

「何もしないさ。

 食事も、水も与えない」

「ッ!?」

「まあ、死ぬ寸前まで付き合ってくれや。

 その次はどれだけ失血すれば死ぬのか確認するからよ」

 

 狂ってる、C子はそう思った。

 この男はちっとも殺人に忌避感を持っていなかった。

 

「耐久性には個人差もあるみたいだし、あと十人は実験したいところだな」

 

 こいつは悪魔だ、C子はそう確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





作者の浅い理解度で二次創作を許して下さるのなら、続きを書きます。
では、そうであることを願って。

また会いましょう!!
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