※この作品はR-18です。

キヴォトスに墜ちた悪魔   作:やーなん

37 / 121




突入

 

 

 

 ブラックマーケット:魔王城。

 

 コンクリートや鉄筋で出来たビルや建物が曲がり、捻じれて出来た巨大な摩天楼。

 

 その最上階に、魔王の謁見の間があった。

 

「まあ即席の居城にしてはホコリっぽいが、まあよかろう」

 

 三メートルの巨体が玉座に座り、王の間に呼び寄せた“世話係”を見下ろす。

 

「この場所で有力者であるそなたらよ、名乗るがいい」

 

「こちらはスマイルリクルートのCEOを務めます、ゴリアテと申します」

「ヘルミナ、って呼ばれてる」

「ラブだ」

「弦蜂会のシバだ」

 

 魔王の前に集ったのは、ブラックマーケットでも悪名の高い組織の長だった。

 ロボットに不良生徒が二人、額に傷のある老犬の獣人。その見た目や年齢はバラバラだ。

 

「(不良グループのヘッドに、悪徳企業のトップ、ヤクザのボス……魔王の配下にしてはイロモノすぎるだろ)」

 

 と、ラブは思った。

 彼女はリゾート地から戻って、新しい勢力を作り上げようとしたらこの騒動に巻き込まれていた。

 

「このキヴォトスと言う世界、私も数多の世界を滅ぼしてきたが、我が主上たるメアリース様が見たら即座に滅ぼせと命じるだろう。それほどまでの混沌のるつぼだ。

 旅行の暇潰しに、無聊の慰めに問おう、そなたらはいかな悪事を行っているのだ?」

 

 魔王が問う。

 その前に跪く四人に拒否権は無い。

 

「我が社は退学になり学籍を失った元生徒に、仕事先を斡旋しております」

「人身売買の元締めが、よく言うぜ」

 

 耳障りの良いことを言うロボットに、ヤクザのボスである獣人が笑い飛ばす。

 

「我が社は“商品”をよりよいお客様に提供することを社訓としております。

 それ故に、お買い求めいただくお客様の質にも拘っておりますゆえ」

「身寄りのない奴隷を、大切に扱う主人にのみ売るというわけだな」

「企業の本質は社会貢献ですゆえ」

 

 悪徳企業のトップは悪びれずに言った。

 魔王は頷いた。

 

「まあ、儂のところも似たようなものか。

 マーケットガードに出資したりして便宜を図って貰ったり、行く当てのないガキを世話して兵隊にしたり、それを使ってみかじめを頂いたり、まあお互いにろくなもんじゃねぇわな!!」

 

 ヤクザのボスである獣人は呵呵大笑した。

 ラブは極悪人の二人にドン引きしていた。

 

「それで、その方ははどうだ?」

「……別に。ただ好きに生きてるだけだ」

「ほう」

 

 ヘルミナと名乗った不良生徒に、魔王は興味を示した。

 

「お前たちはここ最近で急成長した危険な不良グループだと聞いた。

 誰彼構わず喧嘩を売り、この地の治安機関も手を焼いていたとか」

「生きるためだ。何が悪い」

「ああ、悪いとも」

 

 魔王は笑みを深めながら言った。

 ヘルミナの敵意が増す。

 

「私達に、奪う以外の方法なんて知らなかった!!」

「誰もダメとはいってはいまい」

 

 ゆっくりと、魔王が玉座から立ち上がる。

 

「なぜ、お前はそのような非行に走る」

「学校で、イジメられて、犯罪を強要されて、それをネタに脅されて……逃げるように退学するしかなかった」

「報復はしたのか?」

「そんな、学校に在学する相手に喧嘩を売るような真似は……」

「なぜ躊躇う」

 

 魔王は彼女を見下ろした。

 

「お前は尊厳を奪われた。お前は今、人間扱いされてもいない。

 なぜやり返さない。なぜ弱者に甘んじる。

 尊厳無き今と、尊厳ある死、どちらがマシだ?」

「あんたに分かるわけがない!! こんな城を作れる、化け物のあんたには!!」

「ああ、分からないとも」

 

 だが、と魔王は彼女の目を見た。

 

「しかし、偉大なりし我が母はお前を赦すだろう」

 

 その直後、ヘルミナの意識は闇に包まれていた。

 

 彼女が周囲を見渡すと、上下左右すべて真っ暗闇。

 不安と恐怖、それに苛まれる。

 

 そして気づいた。

 

 両眼だ。真っ赤な二つの瞳が、ヘルミナを見ていた。

 奈落のような、底なしの地獄のような瞳が、彼女を見ていた。

 

 悲鳴を上げる間もなく、彼女は更に濃密な闇に包まれた。

 それは死、いや違った。

 

 それは、温もりだった。

 この闇は、大いなる母の腕(かいな)。

 

 彼女は、闇そのものである途方もない存在に抱きしめられていた。

 闇は、彼女をあやすようにその矮小な身体を撫でていた。

 

「あ、あ、ああ……」

 

 ヘルミナは、気づくと元の場所に戻っていた。

 

「お、お母さん……」

 

 彼女は涙を流し、膝をついていた。

 

「我が母はなんと?」

「私の、全てを赦すと……」

 

 この場にいた他の三人には、何が起こったのか理解できなかった。

 ただ、魔王が彼女の瞳を覗き込んだ。ただそれだけだったのだから。

 

「魔王様、もう何も怖くありません……我が尊厳を奪った奴らを八つ裂きにし、大いなるお母さんの下へ行きます」

 

 まるで、数秒前とは別人だった。

 

「(洗脳、いや違う。まるで奇跡でも目の当たりにして改心する悪党みたいじゃねーか)」

 

 ラブは目の前の怪物が、本物の巨悪であることを心底理解した。

 

「我が母は、邪悪を司る女神。

 悪を行うことでしか生きられぬ者に赦しを与える。

 同時に、悪によって傷ついた者の心を慰撫する。

 お前の所業も、そしてこれからの行いも、我が母は赦す。

 倫理や常識、社会や法律が許さずとも、我が母はお前を肯定する」

 

 際限無き、母なる者の慈愛の抱擁。

 洗脳や、ましてや奇跡でもない。

 ただただ、母親が抱きしめただけ。

 

 全てに傷ついた少女は、それだけで救われていた。

 

 自然と、悪徳企業のトップとヤクザのボスは魔王に心の底からひれ伏していた。

 そこに居る御方こそ、魔王。それ以外に形容する言葉は無い。

 

 悪の王、邪悪の権化。

 ラブも恐怖しつつ、それにひれ伏した。

 

「ひゃあ、こいつはすげえや」

 

 そんな場に、下品な声が割って入ってきた。

 でっぷりと太った鳥頭の獣人だった。

 

「あなたは、コルレオンの」

「ああ、マフィアのボスか。あんたも呼ばれていたのか」

 

 二人の大人の声に、ラブも心当たりがあった。

 麻薬の密売や違法賭博、売春斡旋など多岐にわたる仕事をしているという、極悪マフィアである。

 

「魔王様、こいつらをお納めください」

「……」

 

 マフィアのボスは、煽情的な格好をした二人の元生徒を連れてきていた。

 ボスの命令で、彼女達は恐怖を顔に張り付けたまま、魔王の両脇に寄り添った。

 

「俺達と魔王様が組めば、このキヴォトスを手中に収めることだって夢じゃねえ!!」

「ひとつ、勘違いしているようだな」

「は?」

「我が母は邪悪の女神。醜悪までは司っていない」

 

 直後、魔王の腕がマフィアのボスの頭を鷲掴みにした。

 魔王の手から、紫電が迸る。

 

「あぎゃああああああぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 下劣な男の悲鳴が、最上階に響き渡る。

 ラブは思わず目を逸らした。

 

 そして。

 

「魔王様万歳、魔王様万歳!! あひゃひゃひゃ!!」

「おっと、出力を間違えたか? 

 どうにもこの世界では加減が効かん」

 

 マフィアのボスだった何かは、狂ったように笑い出した。

 

「想像力が足りなかったな。

 他者を虐げ尊厳を奪ってきた貴様が、奪われる側になるという覚悟も無しにそれを行ってきた。

 ここがキヴォトスでよかったな。お前が人間なら、我が母は貴様を地獄に落としただろう」

 

 マフィアのボスだったモノは、踊り狂いながら最上階から去って行った。

 

「では、そなたにこの旅の最中のもてなしを頼もうか」

 

「御意のままに」

「おう、任せてくれ!!」

「魔王様をお守りいたします!!」

「……了解です」

 

 こうして、魔王はこのブラックマーケットに悪の王として君臨した。

 

 その数時間後のことである。

 

 ブラックマーケットに存在する物的、人的なあらゆるリソースが、魔王への歓待に注ぎ込まれていた。

 魔王の前に集められた四人によって、魔王城内の全ての勢力は瞬く間に傘下に入ったからだ。

 

 そんな忙しい彼女らが武装して出撃した理由、それは。

 

「あのー、魔王様、お耳にいれたいことが……」

「何用だ、ラブ」

 

 マフィアに献上された二人の元生徒に酒のお酌や料理を運ばせていた魔王が、報告に来た彼女に視線を向ける。

 最上階は数時間前とは様変わりしていた。

 

 豪華な装飾品で飾られ、床は絨毯が敷き詰められていた。

 調度品も最高級の物ばかりで、テーブルの上には豪華な料理がこれでもかと置かれていた。

 

 まさに王族の歓待そのものであった。

 

「えーと、なんていえばいいんすかね、キヴォトスには温泉開発部ってテロリストが居たんすけど」

「なるほど温泉……なに? 温泉?」

「とりあえず温泉を掘るって名目であちこち荒らしまわってた連中っす。

 それが、どういうわけかこの魔王城の外延部で工事を始めたらしく……。

 この魔王城中心部へ向けて橋を掛けようとしてるようで」

「捨て置け」

 

 ワインを口に含みながら、魔王は言った。

 

「でもあれ、絶対こっちに侵攻しに来ますよ。連邦生徒会の連中に頼まれたのかも」

「むしろ外への直通路が出来てお前たちは助かるのではないのか?」

「それはそうなんですけど……」

 

 魔王城の構造は寄せ集めの集合体故に複雑怪奇で、まだその全てを誰も把握していない。

 なので、誰もが移動に四苦八苦していた。

 

「そうはいきません!!」

 

 勝手に親衛隊を自称して仲間と一緒に警護しているヘルミナが叫んだ。

 

「ここは魔王様の居城、それを穢す者は全員ぶち殺します!!」

「よきに計らえ」

「はい、他の三人と一緒に全部排除します!!」

 

 金持ち喧嘩せずとはこのことか。

 魔王はまるで気にしていない。

 

「行くわよ!!」

「お、おう」

 

 目を血走らせた彼女に、ラブは引っ張られていく。

 ただ、先も言った通り魔王城の構造は誰の事も考慮されていない。

 戦闘兵器の準備し、その搬出口を探すだけで何時間も掛かってしまっていた。

 

 

 一方で、魔王城外延部。

 

「諸君、あの建物を見て見よ!!」

 

 カスミが部員たちに見せつけるように、禍々しい摩天楼を指差す。

 

「私が調べたところ、あの建物にはインフラが完璧に整っているそうだ!! 

 つまり、つまりだ!!」

「温泉宿が作れる!!」

「その通り、ハーッハッハッハ!!」

 

 部員たちの音頭に、カスミは高笑いする。

 

「ここはブラックマーケット。我らが無法地帯!! 

 なら、我々があそこに温泉宿を建設しても誰も文句は言わないだろう!! 言ってきても叩き潰す!!」

「無法なら、違法じゃないですもんね!!」

「そうだ!! 想像してみろ、あの頂上に温泉を引っ張って来れれば、キヴォトス一高い温泉宿になるだろう!!」

 

 想像するだけでうっとりするカスミ。

 極上の露天風呂を作り、キヴォトスを見渡す。きっと最高の気分のはずだ。

 そんな場所で抱きしめられ、キヴォトス中から見られながらする男女の交わり……カスミはぶるりと震えた。

 

「そう言うわけで、諸君!! 

 とりあえず資材搬入路を建設しようじゃないか!!」

 

 カスミの号令に、おー、と部員たちもやる気満々。

 そう言うわけで、彼女達は魔王城中心部への直通路を超特急で作り始めた。

 

 その数時間後に、不良生徒や戦闘ドローンなどが湧きだしてくる。

 

「ははははは、応戦だ応戦!! 

 温泉に障害は付き物だ!!」

 

 歴戦の元テロリストたちは、すぐさま応戦を開始。

 そしてすぐ、付近で待機していたシャーレの部隊が現場に到着した。

 

「こ、こちら、アビドス隊のノノミです!! 

 魔王軍は、温泉建設部と交戦中です!!」

『な、何をやってるんですか、彼女達は!?』

 

 ノノミはすぐに状況を報告した。

 オペレーションルームからアコの悲鳴みたいな声が聞こえてくる。

 

『大方、あの頂上に温泉を作ったら素晴らしいとでも思ったのかもね。

 ブラックマーケットは無法地帯。そこでの温泉開発はうちの校則には違反してはいないってことでしょ。

 幸い、あんなふざけた構造でもインフラは生きているらしいし、温泉を引っ張れるって考えたのかもね』

 

 ヒナが呆れてそんなことを言った。

 ブラックマーケットの住人への迷惑は、迷惑ではないそんな理屈だろう。

 

『だけど、彼女達は魔王城中枢への直通路を建設していたみたいですね。

 見たところ九割がた完成しているみたいですし、折角ですし使わせてもらいましょう。

 アビドス部隊は彼女達の援護をお願いします』

「わかりました、援護を開始します」

 

 ユウカの命令を、ノノミは了承した。

 魔王城は上層に行けば行くほど細くなっていく。

 この直通路が完成すれば魔王城中層の上部まで、まだ全貌を誰も把握していない迷路のような下層をすっ飛ばせるのだ。

 

「すみません、こちらは連邦生徒会所属シャーレの部隊です!! 

 彼女達は我々が引き受けますので、あなた達は工事の続きを!!」

「おっと、これは思わぬ天運!! 

 そこまで言うなら任せよう!! そして、あとで共に温泉に入ろう!!」

 

 カスミ達は戦いながら構築していたバリケードから離れた。

 ノノミたちアビドス部隊はそれを利用し、防衛線を構築。

 不良生徒や戦闘ドローンに本格的に交戦を始めた。

 

「あ、あんた、リゾートでの!!」

 

 セリカは見覚えのある敵を指差す。

 

「うわ、またお前らかよ!!」

「今度は魔王の手下? 節操ないね」

「好きで従ってると思うか!!」

 

 シロコの嫌味に、ラブは叫んだ。

 

「それもこれも全部お前らのせいだ!!」

「悪い子は、オシオキです☆!!」

 

 ノノミのガトリング砲が敵勢を薙ぎ払う。

 しかし、第二陣が現れるだけだ。

 

「魔王様の御為に!!」

「ああ!! お母さん、見ておられますか!!」

「偉大なりし我らの母と、魔王様の為に!!」

 

『敵勢力、特攻してきます!! 気を付けて!!』

 

 アヤネの警告に、アビドス生たちは弾幕を厚くする。

 数十と数十の敵味方がぶつかり合う。

 

「おほほほ、お気持ち悪い連中でございますわね……」

「いやあんたの口調も気持ち悪いぞ、エセお嬢様。

 だが、なんなんだ、あいつら」

 

 狂ったように特攻を繰り返す彼女達を、アビドス生たちは気味悪がる。

 そのせいで、思うように戦線が押し上げられない。

 

 思わぬ苦戦を強いられる、彼女達。

 そんな時だった。

 

『え、後方から未確認の車両が…………建設途中の直通路に向かってます!?』

「ええッ」

 

 ノノミは思わず、そちらの方を見た。

 作業中のハスミ達を他所に、直通路に上がった車が窓を開け、そこから顔を出した男が皆を見下ろした。

 

「ようお前ら。俺の天使もそうだが、こんな形でまた会うことになるとはな」

「教官!!」

「それじゃあな、アディオス!!」

「じゃねー、みんなー!!」

 

 男だけでなく、ムツキも顔をだして手を振って行った。

 

 車は発進し、加速して進んでいく。

 そして、建設途中で途切れている先端から、映画さながらの大ジャンプをして、魔王城へ突っ込んでいった。

 

「さ、作戦本部、こちらアビドス部隊!! 

 きょ、教官が、アップルマンさんが、魔王城に突入していきました。便利屋の四人も一緒です!!」

『居ないと思ったら、な、なにやってるんですか、あの人は!!』

 

 再びアコの悲鳴が通信越しに聞こえた。

 

『魔王のバリアを解除しないと戦いにもならない。

 そう言っていたのは彼だったはずなのに……理解できないわ』

『“でも、魔王を外へ引っ張り出すのは誰かがやらなくちゃいけないことだった。そう思うしかないよ……”」

『先生……』

 

 ユウカは先生の言葉に掛ける言葉が無かった。

 

『直通路が完成次第、それを防衛する部隊を向かわせます。

 アビドス部隊の方々はそこの専守防衛をお願いします』

「任されました」

 

 ノノミがその任務を請け負った、その少し後。

 

『ま、また所属不明の車両が!!』

「今度は誰!?」

 

 アヤネの声に、セリカが反応する。

 

「宇宙人の持ってきた食材は、我々の物ですわ!!」

「ブラックマーケットなら違法にならない、最高ですわね!!」

「クローン精製された培養肉とかあるのかな!!」

「ひゃっほーう!! 未知の味覚よー!!」

 

 オープンカーに乗った元美食研究会の四人が直通路を駆けあがって、そのまま魔王城に突っ込んでいった。

 

「…………」

『アビドス部隊、何が有りました、応答願います」

「あ、はい……」

 

 とりあえずノノミは、今起こったことを説明するのだった。

 

 

 

 

 

「へいヒマリ、最上階までの案内は出来るか?」

 

 まんまと魔王城に侵入をはたした五人は、クリアリングを終えて安全を確保すると、男はヒマリに連絡を取った。

 

『ええ勿論オオカミさん、私のような都合のいい天才美少女ハッカーに掛かれば、インフラの位置から逆算してマッピングが可能ですとも、ええ』

「生きて帰れたら可愛がってやるから、機嫌直せよ」

『ふぅ、私にあんなことをしておいて、すぐにあの世に逃げるなんて許しませんよ?』

「言っただろ。俺にあの世なんて無い。

 死んじまっても、また会いに来てやるよ」

『もう、バカ!!』

 

 バカバカバカ、と可愛い罵倒をしながらも、カタカタと通信の奥から作業をする音が聞こえる。

 

 そして、すぐに予想される経路が送られてきた。

 

「よし、行くぞお前ら」

「ねえ、カヨコちゃん。この人今のうちに撃ち殺した方がいいんじゃ」

「うーん、賛成かな」

 

 ムツキとカヨコがぼそぼそ会話していたが、男は無視した。

 

「皆さん、敵襲です!!」

 

 周囲を警戒していたハルカが銃を構えながら叫んだ。

 

「ああ、カヨコ。

 最期かもしれないから言っておくが」

「なに!!」

 

 すぐに応戦する四人。

 そんな中、男はカヨコに話しかけた。

 

「実はお前らの中で、あんたが本命だった」

「ッ!?」

「お前だけ十八なんだろ? 俺にとっちゃ合法だから、好みを把握してそのうち口説こうかと──」

「どうしてムツキにだけ口説くのかと思ったらそう言う理由か!!」

 

 カヨコは背筋にぞわぞわしたモノを感じて、叫んだ。

 この土壇場にする話では無かった。

 

『私、十七なんですけど』

「四捨五入すれば二十歳だ、誤差だ誤差」

「念のために、私は十六だぞ!!」

 

 ヒマリや、突入口のすぐそこで作業していたカスミが茶々を入れる。

 直通路はもう既に完成間近であった。

 

「ああっと、手榴弾が勝手に!!」

 

 ムツキの手榴弾があらぬ方向に飛んで行った。

 

「ぎゃ──!!」

 

 男がそれを避けながら咄嗟に叫ぶ。悪は滅びかけた。

 

「後で覚えてろ、ムツキ!!」

「私が知らないと思った? 

 アルちゃんの為ってハルカにいかがわしいこと教えてたの」

「……」

 

 すん、と男は真顔になって黙り込んだ。

 

「きょ、教官は悪くありません!! 

 私がアル様のお役に立ちたかっただけで!!」

「え、あれってマッサージじゃなかったの!?」

「ハルカの腕が良いからって私達に勧めてくるアルちゃん、控えめに言って地獄だったよ」

「う、嘘よ──!!」

 

 大騒ぎしながらも、的確に敵勢を蹴散らしていく便利屋の四人。

 

「はあ、相変わらず緊張感がない」

 

 そう溜息を吐くカヨコ。

 しかし、こんな死地でもそんな連中だから何も怖くは無かった。

 また何とかなる、そう思えた。

 

 そうして彼女達は展望台の螺旋階段ように細くなっていく最上層を駆け上っていく。

 

 そして、辿り着いた。

 

 

「魔王、アダム!!」

「思いのほか、早い再会だったな。我が宿敵」

 

 因縁の二人が、再会を果たした。

 

 

 

 

 




ホントは三日で終わらせたかったのですが、ちょっと無理かも……。
ご、五話で終わるかなぁ。
総力戦始めてから三連続で低評価をくらい高評価取り消しがあってビビってる作者であります。分かってたこととはいえ、きついです。
でも止めないもんね!! この幕間だけの設定ですので、どうかご容赦を(土下座

あと二話で終わる計算なので、マジで勘弁してください。
作者は書きたい話しか書けないのです。

ではまた明日!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。