本日二度目の更新でございます!!
筆が爆速でノッております!!
さて、お互いに自己紹介となった。
「実はわたくし、身体が弱くてずっと病院で過ごしておりましたの。
病院でテストは受けられたのですけど、丁度体調を崩してしまいまして……」
と、毒島 ウズキなる架空の人物像と設定をウズは説明した。
「よろしくお願いします、毒島さん」
「苗字で呼ばないでください!!」
「……じゃあ、ウズキちゃんと」
「おほほ、皆さまには親しみを込めて、ウズと呼んでください。
監督生さんも、ね?」
「わかりました」
ハナコ達に自分の要求を突き付けつつも、ウズは自己紹介を終えた。
そういうキャラで行くんだ、と先生は内心ツッコミを禁じえなかった。
「私はナギサ様の派閥の末席として、この度は監督生に選ばれました。
普段は資料室で資料整理などを行っておりまして、我ながら影が薄いと自覚しております。
このような立場ですが、皆さまとは仲良くして頂ければ幸いです」
と、兜衣 リコなる人物像と設定をトリコは語った。
ウズは病弱設定で、トリコは閑職で影が薄い。
二人は二年の設定だが、トリニティは超巨大なマンモス校。同じ学園でも顔を知らない相手なんて幾らでも居る。
実際、同学年の筈のヒフミも疑問を抱かなかった。
「か、監督生って何をするの!?」
コハルが警戒するようにトリコに言った。
「毎日の最後に経過報告と、主に先生の補佐をと。
そして可能な限り、勉強を教えられれば、と。そんなに堅苦しい立場ではないので、遠慮せず声をかけて下さればその都度お目こぼしもしますので」
トリコは絵に描いたような優等生を演じきっていた。
そして彼女の立場も、監視者というより彼女達の味方であると示す。
潜入し、相手へ取り入る。
先生も彼女達の正体を知らなければ警戒しなかっただろう。
補習授業部の面々も、トリコの姿勢にホッとしたようだ。
というか、こうも簡単に相手に取り入れる彼女達が空恐ろしかった。
「(“C&Cにあんなに敵愾心を露わにしていたけど、たぶん彼女達にこんな繊細な潜入はできないだろうなぁ……”)」
そこまで劣等感を抱かなくても良いのに、と先生は思うのだった。
そこは彼女達の理想と現実の違いと言うか、かっこよくて何でも涼しい顔でこなすエージェントと言う理想像と、今の泥臭い裏仕事をこなす現実のギャップに苦しんでいたのだろう、と先生は内心分析した。
「うう、きもちわる……」
「そちらの方、大丈夫ですか?」
トリコがさりげなく窓際に陣取っている男に近づいた。
「ありがとう……」
先生だけは見えた。
トリコの耳がピンと立った。男がそっとトリコの胸を揉んでいたのだ。
「ふう、少しおちついた……」
「先生、心配ですので、近くの保健室に連れていきますね」
「“お願いするよ”」
多分物陰でチョメチョメするんだろうなぁ、と諦念を込めて先生はトリコに頷いて見せた。
そして去っていく二人。
そんな二人を、正確には男に怨念を込めてウズが見ていた。
「“ウズ”」
「ちッ」
先生はフォローをしようとしたのだが、返って来たのは舌打ちだった。
先生は頬が引きつるのを感じた。
「ウズちゃんは、リコちゃんとお知り合いなんですか?」
「ええ、実はリコ姉さんは幼い頃から旧知の間柄で、よく体の弱い私を気にかけてくださって」
「まあ、同い年なのに姉と言うほど慕っているのですね♡」
「ぽッ」
ハナコの指摘に、ウズはよどみなく答えて見せた。
なるほど相互の関係性を構築して説得力を持たせるのか、と先生は思った。
二人一組の強みが出ていた。
「悪い、持ち直した」
そして割とすぐに、二人は戻ってきた。
「もう大丈夫なのか?」
「ああ、醜態を晒したな」
男は心配そうにしていたアズサに笑みを返した。
「ところで、そちらの御方は何を担当されるのですか?」
ここでようやく、男について言及された。
「“ああ、彼は……”」
「お前以外の保健体育」
「うふふ、面白いことを仰いますね。是非ともどんな授業をしてくださるのか、教えてくれますか?」
先生は思った。
怖ッ、と。
ハナコの笑顔からは妙な圧があった。
付き合いの短い他の面々でもわかる、こいつ気に入らねぇ、というオーラがお互いに滲み出ていた。
淫猥な話題なのに、コハルが二人の間に割って入ろうとしないくらいなのだから、相当である。
「“彼は、まあ私の秘書みたいなものだから気にしないでくれ。
リコ、彼と一緒に雑事を頼んでいいかい?”」
「はい、任されました」
トリコは実直に先生の言葉に頷いて見せた。
この二人は一緒の方が彼女も仕事がやりやすいだろう、と言う先生の配慮だった。
「あ、あはは、みんな仲良くしましょうね……」
部長であるヒフミの笑みが痛々しかった。
§§§
そして、それから毎日放課後、補習授業部は教室に集まって授業を受けることになった。
先生はシャーレでの書類を持ち込み、判子を押しながら書類仕事をしつつ、生徒たちに分からないところがあればその都度教えていく。
トリコとウズは手のかからない子だった。
トリコは積極的に勉強が分からないアズサにハナコと一緒に教えているし、ウズは時々咳き込む演技をしながらも、自主学習をしていた。
だから先生のやることは、シャーレのオフィスに居る時と大して変わらない。
「ようお前ら、今日の差し入れだ」
そして、差し入れを買ってきた男がビニール袋を示した。
先生は彼をなるべく教室に居させないような口実を作っては、生徒たち(主にハナコ)から離すようにしていた。
「わぁ、ありがとうございます!!」
ヒフミが席から立ち上がって、男に近づく。
基本的に差し入れは男の自腹なので、彼女達は大喜びだった。
「ほい、アズサ」
「ありがとう」
「ほら、コハル」
「……よし、何も混入してないわね」
「するかボケ。ほら、ハナコ」
「……私がお願いしたのとは違うようですが?」
「気を使ってやってるんだ。普段から人様にその無駄な肉を晒してるんだろ? このダイエット飲料を飲んで、その見苦しい贅肉を引っ込めたらどうだ?」
「ありがとうございます……」
コオォォ、とハナコの席から絶対零度のオーラが放たれていた。
誰もそちらの方を見ようともしない。
本能が、そっちを見るなと訴えるからだ。
「ああ、そうでした」
男が踵を返したその時、つるんと彼はすっ転んだ。
「そこ、さっきワックスを落としちゃったんですよ。転ばないように気を付けて……ああ、もう遅かったみたいですね」
「……ご忠告どうも」
アズサが震えながら、こんな恐ろしい戦闘訓練は知らない、と呟いた。
先生は大人げない男に溜息を吐いた。
そんなこんなで、あっという間に一次試験の日がやってきた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
先生は、真剣にテストに向かう生徒たちを見て回っていた。
トリコも監督生と言うことで、名目上は不正が無いか見て回っている。
ちなみに男は雑誌を読んで欠伸をしていた。
「試験終了です。各自答案を提出してください」
トリコが試験終了を告げ、各々から答案を回収していく。
そして、それを生徒会の試験担当のところへ持って行った。
程なくして、彼女が採点された答案を持ってきた。
「えっと、100点満点で60点以上でしたら合格だそうです!!
高得点は取れなくても、とりあえずそのラインだけ超えられれば大丈夫です!!」
ヒフミは確信していた。
今回の問題は基礎ばかり。不合格者が出る筈が無いと。
「“結果発表します”」
そうして、先生は各々の点数を発表した。
ヒフミ:72点。結果──合格。
アズサ:32点。結果──不合格。
コハル:11点。結果──不合格。
ハナコ: 2点。結果──不合格。
ウズキ:50点。結果──不合格。
「2点!?!?!?!?」
ヒフミは各々のツッコミどころしかない点数に一々反応していたが、ハナコの答案には度肝を抜かれていた。
「おやおやぁ、ハナコ君。
頭に行くはずの栄養が胸とケツの脂肪になってしまわれたのかなぁ」
男は嬉々としてハナコの答案を覗き込む。
そして、表情が変わった。
「どうしたんですか? ……こ、これって」
ヒフミは見た。
ハナコの答案は、満点だった。
全ての回答が、一個ずつズレてなければ。
「あ、あはは、ハナコちゃん、解答欄を間違えてズレて書いちゃったんですよね、よくある、よくあることですね!!」
「うふふ、ホントうっかりですねぇ」
これはうっかりだからと自分に言い聞かせてるヒフミを微笑ましそうに見るハナコ。
そして、同じ笑みのまま全く別の意味の笑みを男に向けた。
こいつ、と男は頬を引きつらせた。
こうして、事前に決まっていた通り、不合格者が出たら合宿と言う運命が彼女達を待ち受けることになった。
§§§
「あのハナコってガキ、くそ気持ち悪いな」
その日の日が沈んだ頃、先生は男と一緒にトリニティの廊下を歩いていた。
ティーパーティーのナギサに呼ばれたからだ。
「“それは、君の性癖に会わないからかい?”」
先生にはどうしてこの男があそこまでハナコにあたりが強いのかわからなかった。
「違う。あいつ、皆が努力しているのを知っていた。
知っていて、わざと殆ど全部の回答をずらした。
ずっと微笑ましそうにそれを見ていたのに、だ」
「“……”」
「自分の勉強も、ずっと見当違いのところをやっていた。コハルに試験範囲外だと指摘していたのに、だ」
意外と見ていたんだな、と先生は思った。
それと同時に、先生は彼を教室から完全に遠ざける判断をせずに良かったと思った。
この男は無意味なことはしない、そんな信頼があったからだ。
「或いは性根が腐ってるのか、ずっと探りを入れてたが全く読めねぇ。
構ってちゃんなのか、自暴自棄なのか……」
「“君がそこまで読めないなんて、珍しいね”」
「ああ、ハナコなんて珍しくもない名前のくせにな」
次の試験でふざけたことをしたらその名の通りトイレの住人にしてやる、と男は吐き捨てた。
そんな会話をしているうちに、生徒会室へと辿り着いた。
テラスでは、相変わらず一人でナギサがテーブルに座っていた。
独りチェスをしていた彼女は、先生を見るなり挨拶を挟んでからこう言った。
「今日は先生に、お伝えしておきたいことがあったのですが……それよりも先に、先生の方から何か言いたげなことがあるようですね」
その容姿も相まって、天使そのものにすら見えるナギサの微笑み。
それは先生の言いたいことを全て理解していると言うような、天上人のそれだった。
「“三回とも不合格になったら、補習授業部の皆はどうなるの?”」
補習授業部の面々には、三度の試験の機会が与えられていた。
それを経てダメならどうなるのか、先生は聞かされていない。
出所はヒフミさんですかね、とナギサは呟いた。
「それとも、貴方ですか。アップルマンさん?」
「俺は守秘義務は必ず守る。
依頼主の情報も、その依頼内容も」
先生は横に居る男を見て、やっぱり、と思った。
「“ナギサ、君が彼の依頼主だったんだね”」
「ええ、ヒナさんから紹介されました」
それを聞いて、先生は納得した。
この男の行動原理は、己の心酔するヒナの為だけ。
彼を動かすには、ヒナに頼むのが一番手っ取り早い。
「さて、質問にお答えしますと、簡単な話です」
ナギサは語る。
試験で不合格を繰り返す、落第を逃れられそうにない、助け合うことも出来ない、だとすれば皆さん一緒に退学していただくしかない、と。
「俺の故郷の女神も同じことを言うだろう。
皆で協力も出来ない、本気で試練に打ち勝とうとしない。なら滅ぼすだけだ、と」
男は笑う。
先生はそれを見て、わかってるんだろうな、と無言で睨み返す。
この男が度々言及する彼の故郷の創造主、その性格が評される場合一様にこう形容されている。
その性格は、──終わってる、と。
先生が本当に退学にするのか、と問う。
すると、彼女は長い手続きと議論を、シャーレの権限を組み込むことで省略できるようにしてある、と答えた。
「そもそも、補習授業部は……──生徒を退学させる為に、作ったものですから」
先生はそのナギサの言葉に、思わず隣の男を見た。
な? とでも言わんばかりの表情だった。
終わっている。
彼女の、その性格が、ではない。
彼女の中の、結論が、だ。
先生はそう思った。
「“どうして、そんなことを!?”」
「……あの中に、トリニティの裏切り者が居るからです」
彼女の答えは端的だった。
裏切り者……、と先生はオウム返しに呟くほかなかった。
「その裏切り者の狙いは、エデン条約締結の阻止」
そしてナギサは語る、エデン条約が何かと。
それはゲヘナとトリニティの中心メンバーが全員参加する、中立的な紛争解決の為の武力機構である、と。
両者の共倒れを防ぐ為の、一種の不可侵条約にも等しかった。
「トリニティとゲヘナの長きにわたる敵対関係は、お互いに大きな重荷になっています。
エデン条約はその無意味な消耗を防ぐ為の、恐らくは唯一の方法であり、キヴォトスにおける力のバランスを保つ方法でもあります」
その言葉で、先生は思い出す。
隣の男が、シャーレに来た時の言葉を。
『両方の学園のパワーバランス的なアレの為に、表向きは追放されたってことよ』
もうこの時から既に、ナギサの策略は始まっていたのだ。
「これは、連邦生徒会長が提示した解決策でもありました。
彼女が行方不明になってしまい、一度は空中分解しかけたものを私のもとでどうにかここまで立て直したのです」
「先生、あんたは何も聞いてないのか? お前の女だろ?」
「“だからそれは大いなる誤解だって!!”」
この男はまだ、先生が連邦生徒会長を手籠めにしてどこかに匿っていると信じているのである。
「こほん、そしてこの念願の条約が締結される直前まで来た、このタイミングで……これを妨害しようとする者達が居るという情報を耳にしてしまいました」
「その頃、俺は我が麗しの風紀委員長に提言していた。
トリニティ側の条約推進派と、ホットラインを構築してお互いの連携を密にすべきだと。
それも出来ないなら、条約締結なぞ夢のまた夢である、と」
「ええ、ゲヘナ側の条約推進派であるヒナさんと私の間に、直通の専用回線を設けました。
そして、彼女に相談したのです、トリニティに潜む裏切り者を排除しなければならない、と」
そうして、ナギサのもとに送られたのが、その男とWolf小隊だった。
ヒナに絶対忠実な決して裏切らない戦力であり、同時にエデン条約を揺るがすテロリストを駆逐できる鬼札を。
ナギサの手引きで、トリコとウズは二年前からトリニティ学園に在籍していることになった。
そうして、次善の策だった補習授業部の設立を待ち、ナギサの睨んだ生徒をひとまとめにして、裏切り者を炙り出す。
疑心暗鬼のナギサが、ヒナを信じた理由は簡単だ。
ヒナに裏切られたら、そもそも前提として条約締結が不可能になるから。
皮肉なことに、今彼女が信じられるのは長年敵対していた学園の、同じ志を持つ相手だけだということだった。
「裏切者はそこに居ます。ですが、誰なのかはわかりません。
であれば、一つの箱にまとめて、いざと言う時にまとめて焼却炉で燃やしてしまえるようにしてしまえば良い」
そろそろお分かりでしょう、と天使の姿をしたナニカは言う。
そのために、初めから先生を利用することは計画に織り込まれていたのだと。
そして言った、ごめんなさい、と。
それは彼女に残された、ヒトとしての最後の良心だったのかもしれない。
「こんな、血生臭いことに先生を巻き込んでしまいました。
私の事は罵っていただいても構いません」
「まあ、丸ごと焼き殺さずに済むように、俺らが居るってわけだ」
「“…………”」
先生は、話は理解できた。
だが、納得はしていなかった。
「“なら、どうしてこうして話してくれたんだい。私を利用するつもりだったら、こうして話す必要は無いはずだ”」
「それは、先生を利用するには、そこのオオカミさんがあなたに近すぎたから。やむを得ず、話すことになってしまっただけです」
ナギサはそう答えた。
この作戦には、どうしてもシャーレの超法規的な権限が必要になる。
「なら、痛くもない腹を探られるより、話してしまった方がマシと言うものです」
「“……”」
「先生はこれまで通り、裏切り者以外の成績不審者の皆さんに指導をお願いします。
ええ、出来ることなら、裏切り者だけを排除したい。そのことに嘘はありませんから」
それはナギサの本心だろう。
だが、もう既にナギサの心は固まっている、と先生は思った。
彼女は、政治家だった。
大の為に、小を切り捨てるのが仕事だ。
誰かの命を数字として扱い、それを日常とする。
もうとっくに、彼女は壊れているのだ。
「“……私は私のやり方で、その問題に対処させてもらうね”」
「先生、先生にその役割は求められていないのですよ?」
「良いじゃねえか。先生も犯人探しに付き合ってくれるっていうんだ。より多角的な視点がある方が、俺は助かる」
男の助け舟に、専門家の意見ならば、とナギサは言葉を引っ込めた。
その様子を見て、先生は確信した。
この男は、先生がどう動くのか見る為に、こうして自分をまきこんだのだ、と。
獅子が我が子を谷底に突き落とすように。
彼もまた、先生に試練を与えている。
「ですが先生。ゴミを細かく選別して捨てるのが難しい時は、箱ごと捨てるのも手段の一つ。そうは思いませんか?」
「政治家のお嬢ちゃん。あんたの仕事は政治だ。
こっちの仕事に口出ししないで貰おうか。あんたの言うゴミを捨てたところで、こっちにゴミを投げ入れてくるクズ達を始末できるわけじゃないんだからな」
男の言葉に、ええそうですね、とナギサは頷いた。
「ですが覚えておいてください。試験については基本的に、私達の手のひらの上にあるのだということを」
「“その為の、ウズか”」
ウズの一次試験の回答は露骨だった。
彼女の点数は50点。最初から丁度配点が50点分だけ正解し、残り全て不正解だった。
そもそも設問を知っていなければ非常に難しい芸当だ。
彼女が居る限り、全員揃って試験に合格は絶対に不可能なのだ。
「ええ、例えば他にも『急に試験の範囲が変わる』ですとか、『試験会場が変わる』ですとか、『難易度が変わる』ですとか……そう言うことが起きないことを祈っていますが」
あくまで、主導権は自分が握っておきたいのか、ナギサは二人にそう告げた。男の忠告も馬耳東風のようだった。
「なるべく、先生に不利益や危害が加わらないようにしたいのですが」
「安心しろ、先生の身の安全は俺が保証する」
そう言って、男はナギサを流し見る。
その視線が、男がナギサに対する全てを物語っていた。
「ええ、どうかこの結末が、出来るだけ苦痛を伴わないものであることを願うだけです」
その言葉に、男はゆっくりと笑みを深めるばかりだった。
「ああ、一つだけ、ウズさんの名誉の為に言っておきますが、一次試験において、私達の方は如何なる操作も不正も行っておりません。この部分については誓って嘘では無いとお約束します」
「つまりウズは、自分の判断で、これから裏切り者を誘い込む為の合宿場に自ら赴くことを選んだ。
まったく、俺にはもったいない奴だよ、あいつは」
尤も、ウズはそれを自分の判断だとは言わないだろう。
合宿場行きは、事前に決まっていたのだから。
「先生なりのやり方も、トリニティに利するものであることを願っていますね。
……それでは、また」
ナギサが立ち上がり、優雅に一礼する。
こうして、先生はナギサとの二度目の会合を終えた。
「とまあ、これが今回の俺の仕事なわけよ」
帰りの道中、男はそう口を開いた。
「“私は、彼女達の中に裏切り者が居るなんて考えたくない”」
「あんたはそれでいい。あんたは教師で、俺は傭兵だからな。
だが、事態は最悪を想定して動くべきだ、それが大人だ。違うか?」
「“……”」
「防災訓練を施すのも、教師の仕事だと思うがな」
「“……ああ、君の言う通りだ”」
災害が起こると分かっているのに、それに備えないのは教育どうこう以前に怠慢だ。
生徒を守るのもまた、教師の仕事なのだから。
「俺は例の合宿所に、色々と備えをしている。
久々に、本物のテロリストと戦えそうだ。
キヴォトスのテロリストどもときたら、所詮はガキどもでしかなかったからな」
男は己の血が疼くのを感じていた。
今度の敵は、本物だ。
本物の憎悪と殺意で、こちらに戦いを挑んでくる。そう言う予感があった。
「“目星はつけているのかい?”」
「いや、まだだ。ああ、だが、……まあ、アズサだろうな」
男は遠い目になってそう言った。
「“……なぜ、そう思う?”」
「骨格を見ればわかる。
あいつは、幼い頃から十分な栄養を与えられずに育ったんだろう。
個人的にはそそる体型だが、少年兵に欲情するほど落ちぶれてない」
紛争地帯を練り歩いた経験のある男には、説得力があった。
だから先生は信じた。そして、同時に沸いた疑問を口にする。
「“それを、なぜナギサにあの場で言わなかったんだい?”」
「なに言ってやがる、あいつを見極めるのが、お前の、先生の仕事だろうが」
男はそう言って、先生の胸を拳で押すように叩いた。
彼はアズサが生徒か、それとも卑劣なテロリストか、先生が判断し決めろと言っているのだ。
「学びを求めるモノに、等しく教育は与えられるべき。我が故郷の神の教えだ。
学びと言う神の恩寵を、なぜ俺一人の判断で勝手に奪えるというんだ」
「“アップルマン……”」
「ひとつだけ教えておく。
テロリストを殺してはならない。我が麗しの風紀委員長のお言葉だ。
これは、俺の命よりも優先される」
男が、先生を真剣な目で見つめた。
あまりにも重い、責任だった。彼の命は、彼一人のモノではない。
「“ああ、君はともかく、あの四人は私の生徒だからね”」
「ははは、お前も言うようになったじゃねえか!!」
男は先生の肩に手を回し、バンバンと叩いて笑い声をあげた。
そして、補習授業部の合宿の日はやってくる。
はぁ、やっぱりブルアカ最高、無限に二次創作が書けるぅ。
メインストーリーという下地はあれど、どんどん掛けてしまえる!!
とは言え、今日までほぼ二週間近く毎日更新してるので、誰か褒めてくれてもいいんですよ(ちらちら
冗談はともかく、念滅年始ももう終わりですし、ほんの少しだけでも更新速度は落としたいところ。
執筆は楽しいけれど、ソシャゲをやる時間が無くなるというジレンマww
では、明日か明後日にでも!!
また次回!!
Wolf小隊が実装されるなら誰がほしい? 或いどのキャラが好き?
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生真面目なトリコ
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舌打ちをしてくれるウズ
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サイコな毒女のムツニ
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正義の暴走車両なナバト