※この作品はR-18です。

キヴォトスに墜ちた悪魔   作:やーなん

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毒婦

 

 

 

「これが一昨日、ゲヘナ郊外の監視カメラに写っていた映像」

 

 地下の特別尋問室。

 形だけ拘束を外されたナギサは、テーブル越しにヒナと対面していた。

 

「トリニティ自治区から、うちの自治区への弾頭の投射が確認できる。確認、出来てしまった……」

「……」

「うちの情報部は優秀だから、暴徒たちの資金源が幾つも口座を経由していても、トリニティから流れていることは突き止めている。

 ゲヘナとしては、あなたをこうしてテロリストとして拘束する正当な理由が出来てしまった」

 

 出来てしまった、その言葉がヒナの心境の全てを物語っていた。

 

「こんな形で、対面したくはなかったわ。ナギサ」

「……私もです」

 

 一晩で大分やつれたナギサが、ヒナに応じた。

 二人は直通のホットラインで綿密にやり取りをしていた。

 友人同士、とまでは言えなくとも、同じ方向を向いた仲間意識ぐらいは持っていた筈だった。

 

「私は、エデン条約締結を阻止するテロリストを排除しろ、と言ったわ。

 誰がナギサをテロリストに仕立て上げて連れて来いなんて言ったの?」

 

 ナギサの四方から銃を突き付けるWolf小隊の後ろで、ニヤニヤと笑っている男にヒナは目を向けた。

 

「我が麗しの風紀委員長よ。まさか俺が証拠をでっち上げたとでも思っているのなら大きな誤解だ。

 これらすべては、このヒヨコちゃんの自分の意思でやったことだ。

 なんなら先生も連れてこようか? その場に居たので、証言してくれるはずだ」

「そう、先生も関わってるのね……」

 

 証人が居る、しかもそれが先生と言う第三者というのが非常に厄介なことだった。

 先生は連邦生徒会所属。第三者として、これ以上無いほどの証人だ。

 

「……教えてください。これは貴方たちの策略なのですか?」

「言うだけ無駄ですぜヒナ委員長。

 こいつは本音を知らないと信用できないってのたまったんだ。

 貴女が何を言ったところで、戯言だと一蹴するでしょう」

「お願いだから、これ以上事態をややこしくしないで」

 

 御意、と男は心底面倒くさそうなヒナの言葉に、引き下がった。

 

「ハッキリ言うわ。私は貴女をさっさとトリニティに送り返したい。

 そして、何事も無かったと言うことにする。

 証拠も全て処分するし、記録にも残さない。貴女もここには来なかった、すべて忘れる。それで終わりにしたい」

「……本当ですか?」

「貴女を拘束しつづけて、私に何のメリットがあるの? 

 エデン条約機構の議席をゲヘナ側に有利な形で交渉する為とか? 

 そもそも、あなたがここに居る時点で、条約なんてご破算よ。

 私達は貴女をテロリストと言う口実で拘束し、トリニティ側がそれを知ったら貴女の返還を要求してくる。

 ……はい分かりました、帰ってください。なんて、私達が言えると思う?」

 

 それがこの状況がいかに厄介かを物語っていた。

 ナギサがテロリストとしてゲヘナに居る。そんな最上級の厄ネタは、あってはならないのだ。

 

「……全て、私の愚かさが招いた結果です」

「そこの男はね、テロリストを破滅させるためなら何でもする男よ。本当に何でもした結果、あなたがここに居る。

 何事も無かったことにして貴女を無事にトリニティに帰しても、多分キヴォトス中に正体不明の発信者から証拠がバラまかれるだけでしょうね」

 

 ヒナの視線がうな垂れるナギサから男に向けられる。

 よくわかってるじゃないか、とでも言いたげな笑みを浮かべていた。

 

「そうなったら、もう戦争しかない。

 もう誰にも止められない」

「うッ、うう、ううぅ……」

「泣きたいのは私の方よ」

 

 そこに居る男が、如何に狂っているのか分かるだろう。

 ナギサの取り扱い一つで、キヴォトスは戦乱に叩き込まれる。

 それを平気な顔をして、ゲヘナに連れて来たのだ。この男は。

 

 常軌を逸している、そう表現するほかなかった。

 

 二人の想像する未来は、もう条約締結云々の話ではない。

 どちらかの陣営が疲弊し尽くすまで、血みどろで泥沼の潰し合いが始まるところなのだ。

 

「どうやら、お互いに本音で話し合えるほど親交が深まったようですな」

「次、余計な口を開いたらブツわ」

「おや、ブッて下さるので?」

 

 ヒナはナバトに視線を向けた。

 ナバトは顔を顰めながらも、銃床で男を痛そうにみえるように殴った。

 

「話して貰えるかしら。

 なぜこんなことになったのか。その全てを」

「……はい」

 

 そして、ぽつりぽつりと、ナギサは話し始めた。

 

 自分が調べ上げた裏切り者の候補を、補習授業部という形で集めたこと。

 それを炙り出すために、自分なりに行動を起こしたこと。

 それが、この結果を招いたということを。

 

「……なんで彼に全て任せなかったのよ。

 一体何のために、彼を貸し与えたのかわからないじゃない」

「返す言葉もありません……」

「いえ、貴女の心労を思うと、そこまで責めることもできないわね」

「……」

 

 誰が悪いか、と言うとナギサは当然悪いが、そこの男も大分悪い。

 先生たちの計画を知らない二人にとって、男はただ事態を引っ掻き回しただけだ。

 

「トリコ、説明してくれる? 

 なぜ彼はこんなことを仕出かしてくれたのか」

「御意のままに、ヒナ委員長閣下」

 

 トリコは包み隠さず、しかしほんの少しだけ事実を言わずに話した。

 

 ミカがアリウスから接触を受けたこと。

 アリウスの現状を嘆いた先生が、彼女らを助けようと決意し、男はそれに同調したということ。

 ナギサの身柄の確保は、その計画の一端に過ぎないと言うことを。

 

「ミカさん……なんでこの時期に、そんな馬鹿な真似をッ」

「くッ」

 

 馬鹿なのはお互い様だろ、と言いたげに男は笑い声を漏らした。

 

「ナギサ殿を拘束したのは、彼女の身を守る為でもあります。

 アリウスの連中の狙いがナギサ殿であるのは、確実でしたので」

「なら、爆弾に火をつけてドッヂボールをするような真似をしたのは?」

「計画のうちであります。

 その詳細は、私の口からは言えません。どうしても聞き出したいのならば、我が身を裂いてこの頭から情報を引き出してください」

「……わかったわ」

 

 ヒナはトリコの報告に、溜息を吐いて納得した。

 

「とりあえず、お互いの落としどころを見つけて、別の場所で匿うようにする方向で行きましょう」

「お願いします、もうここは嫌です……」

 

 ヒナは見た。

 震えるナギサの身体越しに、男が笑っているのを。

 

「ところでトリコ、あれは報告しなくて良いのか? 

 そいつの差し向けた刺客が仕掛けた爆弾で、先生が吹き飛びかけたってのを」

「――――なんですって?」

 

 まるで軽口のような男の言葉に、ヒナの目の色が変わった。

 

「……ヒナ委員長?」

「気が変わったわ。しばらくの間、ここでおもてなしをさせていただくわね」

「そんな、どうして!?」

「あの人はね。私を優しい子だって言ってくれるの」

「ッ!?」

「だけど、どうやら違ったみたい。

 私も、他のゲヘナ生と同じだったみたいね」

 

 ナギサは見た。

 ヒナの瞳から、同情が消えているのを。

 

「ここは絶対安全だから、先生達の計画とやらが終わるまで、ゆっくりとくつろいでいくといいわ。

 ――あとは、任せるわね。くれぐれも手荒な真似をしないように」

「御意のままに。我が麗しの風紀委員長閣下」

 

 男と共にWolf小隊の面々が、特別尋問室から退出するヒナを頭を下げて見送った。

 

「や、やだ、出して、ここからだして……ください……」

「ずっと同じ姿勢はキツイだろう? 

 この部屋で自由に過ごすといい。何もない所だが、ゆっくりしてけや」

 

 本当に机と椅子ぐらいしかない尋問室からそれらを運び出し、文字通り何も無くなった室内から男たちも去ろうとしていく。

 

 人間は何もない真っ白な部屋に三日ほど閉じ込められると、精神を病むという。

 この何もない尋問室は、それと同じ効果を彼女に齎そうとしていた。

 

 男は先生との約束通り、彼女に指一本触れるつもりも無かった。

 触れるまでもなく、ナギサを苦しめる方法は幾らでもあるのだから。

 

「出してッ、出してください!! 出して――」

 

 がちゃん、と鉄の扉が閉まる。

 頑丈な錠前が、扉の開閉を隔てる。

 

 地獄(ゲヘナ)に繋がれた天使の叫びが、いつまでも冷たい地下室に響いていた。

 

 

 

 §§§

 

 

 先生達の、ナギサの活用方法。

 それをトリニティ学園、より正確には正義実現委員会はすぐに知ることとなった。

 

「な、なんですか、これは!!」

 

 ハスミは、正義実現委員会宛てに送られてきた封筒の中身を見て、震えていた。

 

 その茶封筒に、差出人の名前は無い。

 それを届けに来たのは生徒で、知らない人物に届けるように言われただけだったという。

 

 封筒を開けると、白い羽根が舞った。

 中には手紙と、写真が一枚。

 

 写真は、どこか薄暗い地下室らしい場所に囚われたナギサが椅子にロープで縛りつけられ、ガスマスクを被った何者かに銃を突き付けられている光景が映されていた。

 彼女の目の前のテーブルには、時刻と日時が表示されたナギサのスマホが置かれていた。日付は、昨日だ。

 

 そして手紙には、こう書いてあった。

 

ナ ギ サ ハ 預 カ ッ タ。

無 事 ニ 帰 シ テ 欲 シ ク バ エ デ ン 条 約 ヲ 白 紙 ニ シ ロ。

 

「ガスガスガスマスク団より、ですって!!」

 

 ハスミは怒りのあまりテーブルに拳を叩きつけた。

 

「ふざけたことを!!」

「とりあえず、その羽根とナギサ様のDNA情報を照合しましょう。

 よく出来たフェイクということもあるかもしれないっすから」

「その前に、本人との連絡を取ってください!! 

 こんな脅迫文が、私達だけに送られているとは限りません!! 

 マシロ、ティーパーティーに事実確認を!!」

 

 ハスミはイチカとマシロに指示を飛ばす。

 

「ここに居る全員に、緘口令を敷きます!! 

 全員、スマホの類はテーブルの上に置きなさい!! 

 事実が確認できるまで、この教室から退出も許しません!!」

 

 激昂するハスミを見て、ツルギは厄介なことになったな、と思った。

 彼女の、いや彼女とハスミの直感が告げているのだ。

 これはイタズラなどではない、と。

 

 焦燥感だけが、彼女達を苛んでいく。

 

「ティーパーティーのミカ様との連絡が取れました!! 

 今すぐこちらにいらっしゃるそうです!!」

 

 生徒会室に向かったマシロが戻り、報告をする。

 

「そう、ですか……」

 

 それは、事実上の返答だった。

 ナギサと連絡が取れるなら、それで終わる筈なのだから。

 

「あー、えっと、DNA情報の照合が出来たっす。

 あの羽根と、保管してあったナギサ様の毛髪とのDNAが一致したそうっす……」

「わかりました……」

 

 そして戻ってきたイチカがおずおずと報告を口にした。

 恐れていた事態が、確定してしまった。

 

「なんだか大変なことになったみたいだね」

「ミカさん!!」

 

 程なくして、ミカが付き人を連れて正義実現委員会の教室にやってきた。

 

「私達のところにも届いたよ、脅迫状」

 

 そう言って、ミカはハスミ達の元に届いたのと同じ脅迫状を示して見せた。

 

「やはり、相手はエデン条約の阻止が狙いでしょうか?」

「多分そうだと思うよ。

 現時刻を持って、誘拐されたティーパーティーのホストのナギちゃんに変わって、私がホストを代行し、緊急事態としてあらゆる手続きを省略、あなた達を直接指揮します」

「はい、それが妥当でしょうね」

「相手からの具体的な要求とかは無いの?」

「いえ、脅迫状を送り付け、ナギサさんを誘拐する以上のアクションは……」

 

 ハスミはそれだけ言って、それで十分でしょうが、とも呟いた。

 事実として、ナギサの身柄はティーパーティーでも把握できない状況だった。

 

「じゃあまず治安維持を除く正義実現委員会の兵力を本校舎に集結し、待機を命じます。

 何があっても即時即応できるように、そして可能な限り混乱が広がらないように普段通りの活動をお願いしようかな」

「お言葉ですが、ナギサさんの捜索はなさらないのですか?」

「どうやって? どこを探すの? この場所がどこか分かるの? 

 私に探してますよってポーズを取りたいの?」

「い、いえ……」

 

 詰め寄って来るミカの迫力に、ハスミは言い淀んだ。

 

「ミカさんの言う通りですが、探していない、という状況がマズいと言いますか」

 

 士気に関わる、とハスミは言おうとしたが、ミカは彼女を黙ってみるだけだった。

 

「士気? 私はこれ以上無く高ぶってるよ。

 大事な幼馴染のナギちゃんを攫われた挙句、こうして脅迫状を送り付けてきた。

 その事態を解決するために、私が直接指揮をすると言ったの。

 それであなた達はのほほんとできるの?」

「いえ、差し出がましいことを言いました」

 

 ハスミは少しだけ、感心していた。

 ミカはお世辞にも素行良好とは言えない生徒だった。

 彼女が起こした問題をハスミが対処したこともあるくらいだ。

 その時は、このような真面目な態度ではなかった。

 

 その姿に、ハスミは彼女の本気を感じた。

 

「じゃあ、私はこの事をティーパーティーのメンバーに周知してくるね」

「わかりました、お願いします」

 

 そう言って、ミカは彼女らの拠点から退出した。

 

「ふふふッ☆ 笑いがこみ上げるってこの事だね」

「まさか、我々より先にナギサの身柄を奪取する存在が現れるとは」

「エデン条約はそれほどまでに多くの敵を産もうとしてるってことだね」

 

 ミカの付き人のアリウス生が頷いた。

 廊下を歩きながら、ミカは言った。

 

「でも、お陰で私はティーパーティーの権力を緊急事態ということで自由に行使できるようになった。

 計画はむしろ進んだって言っても過言じゃない。条約なんてどうなっても良いし、むしろゲヘナとやりあう口実としては良いんじゃないかな? 

 どうせあの連中はゲヘナだろうし。ほら、戦争に勝つ秘訣は相手に最初の一発を撃たせることっていうじゃない?」

「同感です」

「そう言えば、サオリが報告したあれ、なんだっけ? 他の自治区に逃げたアリウスが居たとかどうとか」

「戯言ですよ。そんな連中が居たとして、何になるのでしょうか」

「そうだよね。アリウススクワッドが主導してるとは言え、今回の作戦はもう彼女達は必要無いんだから。好きなだけ外部の連中と遊んでて貰っても構わないね☆」

 

 はい、とミカの付き人は頷いた。

 

「決行は五日後に早めようか。

 ナギちゃんの行方は、後からゆっくり探せば良いし」

「では、その日に」

「うん。先生とあの男を始末する」

 

 ミカはにっこりと笑ってそう言った。

 

「あの二人はこれからの私達の栄光の邪魔になる存在。

 部隊の大半を注ぎ込んででも抹殺しないといけない」

「作戦の最大動員数を導入して、決行いたします」

「うん、お願い☆」

 

 こうして、彼女達の作戦も大詰めに差し掛かろうとしていた。

 

「ちょっとお花摘みに行ってくるね♪」

「はい」

 

 ミカは手ごろな位置のトイレに入る。

 そして、すぐに秘匿通信で暗号を送った。

 

 その内容は、作戦成功、だ。

 

「……面白くなってきたね、先生」

 

 自分を褒めてくれるだろう先生の顔を思い浮かべ、ミカは恍惚の笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 §§§

 

 

「人を惑わし、堕落させる存在を、ヒトは魔女と呼ぶらしいな。

 近年には美魔女という言葉も存在し、魔女と言う存在は魔法使いの老婆から、美しさを保ち続ける存在へと変貌していった」

「あんッ、ダメッ、そこはッ」

「魔性とは、時としてカリスマを示す言葉でもある。

 悪性は時として、人を魅了する。魅力とは、善悪に依らないものだ。

 魔法を収め、美貌を窮める魔女に憧れる人間は少なからずいる」

 

 再び椅子に縛り付けられ、目隠しをさせられたナギサに、男は語り掛ける。

 

「だが、そこから魅力を欠いた場合、なんと呼ばれるか知っているか?」

「……アップルマンさん、ナギサ様の事なんて今はどうでもいいでしょう? 私だけを見てください」

「ああ。そうだな」

 

 ずりゅ、ずちゅ、と男女の交わる音が特別尋問室に響く。

 

「カリスマを失った魔女は、きっと――毒婦と呼ばれるのだ。

 少なくとも俺は、それに憧れを持つ存在を知らない。

 魅力を欠いた悪役。滑稽な道化。ナギサ、今のお前の事だよ」

「……もう、許してください」

「何を言ってる。俺はお前を許してるぞ。

 お前に爆破されて殺されかけたことだって、俺はこんな人間だからな、お前に殺されたって仕方がないさ」

 

 だが、と男はくぐもった笑い声を漏らす。

 

「他の連中は知らないがな」

「ひ、ヒフミさん!! 何度でも土下座して謝ります、もう許してください……」

「はい、わかりましたぁ」

「……え?」

「ナギサ様にはよくして貰いましたから」

 

 淫猥な水音が止む。

 そして、ナギサは目の前に近づいていく気配に身じろぎする。

 

「ナギサ様、仲直りのキスをしましょう」

「ヒフミさん……」

 

 ナギサの応答を待たず、ヒフミの声をしたトリコはナギサの唇を奪った。

 とても残酷な、復讐の成就だった。

 

「私と一緒に、彼に愛されましょう。

 私の愛を、ナギサ様にも分けて差し上げます。

 ……嬉しいですか?」

「はいッ、はいッ!!」

 

 それがこの苦痛から逃れる唯一の方法だと悟ったナギサは、歪な笑みを浮かべて何度も頷いて見せた。

 

「一緒に、愛されたいですか?」

「はいッ、私もヒフミさんと一緒に愛されたいです!!」

「じゃあ、縄を解きますね」

 

 トリコはナギサの拘束を解いた。ナギサは自ら目隠しを解いた。

 そして、そこに広がる絶望の光景を彼女は知った。

 

「う、うそ、わ、わたし、だまさ、れ……て……」

「大好きですよ、ナギサ様」

 

 それは、チョークを食べて声を変える童話の狼が、自ら目隠しと言う家の扉を開けた憐れな子豚を喰らおうとしている光景だった。

 

「カスミの尻尾でしごいた時に思いついたんだけどな、トリニティの連中の翼ならもっと気持ちいいんじゃないかってな。

 ああ、俺からはちゃんと指一本触れなかったぞ、先生。

 ナギサの方から、俺を求めたんだ」

 

 そんな誰も聞いて居ない言い訳を並べつつ、衣服を身にまとっていない男は下半身の凶悪なそれを見せつけるようにナギサに近づいて行く。

 

 ナギサは真っ青な表情のまま、顔を左右に震わせるだけしか出来なかった。

 

「さて、男女間の本当の愛って奴を教えてやるよ。

 それでこそ、毒婦に相応しいってもんだ」

 

 そしてその日は一日中、ナギサは自分がこんな声を出せたのか、と思いながら過ごす羽目になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 





皆さんナギサ様の脳破壊好きすぎてワロタww
やっぱり彼女は脳が破壊されているのが一番美しいべ……。(某ビジン並感

だから丸々一話かけて、彼女の末路を描写しました!! 本当はこんな長くなるつもりはなかったんですけどね!! 思わず描写に力が入っちゃって……。

私はナギサ様をイジメたいわけじゃないんです!!
だって脳内RTAのチャートに、こうしろって書いてあったから。仕方ないね。

ではまた、次回!!
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