「勧誘されたって、本当?」
「ああ」
翌日、ユキノは小隊の仲間の前で昨日の件を話した。
「なるほどね。あのオオカミさんの利益だけが見えなかったから不気味だったんだけど、目的は私達か」
オトギは溜息を吐いて、そう口にした。
そう言う意味で、男とWolf小隊の求めるモノは同じだった。
「で、どうするの? 今度はあいつに従うってわけ?」
クルミの言葉には棘があった。
カヤの次は、あの男なのか、と。
「分からない。分からないんだ……」
「そうだよねぇ。教官の言う通り、ユキノちゃんだけじゃなく、私達も“世間知らずの子供”だからねぇ」
ユキノはだからこうして相談しているのだ。
ニコもどうすれば良いのか、分からないのである。
「先生に頼るのは? そもそもSRT部の創設は決まってるし、私達をそこから引き抜くのは防衛室長の思惑を前提から壊すことになる。
それは彼女も、先生も黙ってないと思うけど」
「それについて考えたが、恐らくこういうことだと思う」
ユキノは己の考察を口にした。
「SRT部はSRT特殊学園と同じ機能を有するが、その規則までは同じではない。
部隊員の暴走や、権力の悪用を防ぐ為に、出動プロセスも厳格になるだろう。
しかし、それは実働部隊に限った話なら、どうだろう?」
「教導部隊……」
ユキノの言葉から、オトギは男の思惑を察し、その発想に舌を巻いた。
SRT部に所属しながら、実働部隊ではない存在。
それが教導部隊。それがユキノ達FOX小隊ならば、別に何もおかしなことではない。
彼女達が一線を退き、後輩達の教官として指導に専念する。
FOX小隊の実績と練度、そして卒業を控える三年生部隊ということも加味すれば、全体的に利点の方が大きい。
そして、陰では男の手足として、邪悪を討つ一助となる。
そう考えれば、FOX小隊にもメリットはある。
SRTの看板に傷をつけた彼女達がいつまでもSRT部の顔を張るわけにもいかないし、SRT部が軌道に乗ったら後輩達も参加するだろう。
全体の技量を向上させるのは、悪い事ではない。
それに実働部隊に比べれば教導部隊の負担も少ないし、裏での活動もし易くなる。
FOX小隊も活動を辞めるわけでは無いし、SRT部でさえ手が届かない相手と戦うこともできる。
全て計算ずくでSRT部の創設を決めたのなら、寒気がするほどの深謀遠慮だった。
「ルールは作った側にとって有利なものだって、初めて実感したよ。
そんな事例は、幾らでも見てきたはずなのにね」
恐らく先生に頼るのも計算ずくなのだろう、とオトギは思った。
「彼の実績は本物だ。
そして、誰よりもテロリストを憎んでいる」
当然ながら、FOX小隊はあの男のプロファイリングをしている。
その思考や心理を分析し、その全てを上回られていた。
それでも、見えてくるものはあった。
「Wolf小隊と教官は深いところで相互理解をしている。
あの男は信用ならないが、後輩達は信頼している。
――私は、どちらでもいいと思う」
それが、ユキノの下した暫定的な結論だった。
優柔不断と言うより、二つの利益のある方法に左右から引っ張られて決めかねているのだ。
「じゃあ、あの男に付き従うことが、SRT部の不利益だとしたら?
私達があいつに従って行動して、それが世間に知れたらSRT部の意義を問われるわよ」
クルミは冷静に、ユキノに尋ねた。
「特殊部隊の活動がかい?
機密も多く取り扱う私達の活動の全てが公表されるって?」
「そうだね……世間が欲してるのは、実績だけだろうし」
オトギの意見に、ニコも頷く。
SRT部の活動はシャーレを通すとは言え、防衛室も噛む。
防衛室がそんな不利益を許す訳も無いだろうし、そもそもカヤも男を通して裏工作をFOX小隊に頼むことだろう。
全員にとって、利害は一致しているのだ。
「……」
「……」
「……」
「……」
意見は出尽くし、議論は煮詰まった。
それでも、答えは出なかった。
「……先生を頼っても、恐らく我々は安寧を得られるだろうね。
居場所を得て、後輩達と苦楽を共にし、贖罪も果たせる」
オトギが言う。
「別に先生が不満ってわけじゃない。連邦生徒会を襲撃したなんて、ヤバい生徒である私達を無条件で受け入れてくれた。
だけど、私達って、そんなんで満足する奴らだっけ?」
クルミが問う。
「少なくとも、連邦生徒会を襲撃したのだって、自分達の利益の為じゃなかった。
私達はそのユキノの判断を信じたし、信頼してるからこそ従った。
だけどもう、以前の私達と、これからは違うよ」
ニコが微笑む。
「SRTの正義。それは無辜の人達の生活や財産を、悪党から守ること。
後輩達が、後に続く者達がそれを続けられる場所を守れれば、それで良いと思っていた。
だが私達に必要だったのは、学園でも連邦生徒会長でもなかった……」
ユキノが己を顧みる。
彼女達の可愛い後輩たちが、それを示した。
「自分たちの信じる正義を選択し続ける意思。
きっと、私達にはそれが足りなかったのだろう。
それを示し続けていれば、たとえどんな形でもそれは継承されていったのだと思う」
だから彼女達の後輩は、SRTを必要とはしなかった。
本当に大事なモノを、理解していたからだ。
「それで、決まったのか?」
FOX小隊の四人は、事務室で資料を見ていた男の下にやってきた。
「はい、貴方に従います。皆で決めました」
「それはなぜだ?」
男はユキノの言葉に、視線すら向けない。
「SRT部は革新的な成果を上げるでしょう。
しかしそれは、氷山の一角に過ぎない」
「例えば、こういうのとかか?」
男は振り返り、ユキノ達に今見ていた資料を差し出した。
「最近流行り出した闇バイトのフィクサーだ。
強盗、密輸、脅迫、やりたい放題だ。同じ自治区で二度と犯行を行わない、巧妙な手口だ。まだ公安局に被害者が相談を寄せているような段階だろう。それを俺の右手に内偵させていた。
SRT部は基本的に大きな不正や犯罪に対して動く。こう言った小規模な小悪党相手にはどうしても動きが鈍るだろう」
それは性質上仕方のないことだった。
SRT部は大鉈であり、庭の隅に生えた雑草ひとつに使うものではないのだから。
「お前達は恐らく、その言葉の後にこう言いたかったんだろう?
俺の正義を証明しろ、と。だがそれは恐らく無理だ。
俺は俺のやりたいことしかしない。お前達がそれに乗るかは自由だ。俺はお前達に何も強要はしない。そして、お前達が俺に失望したなら、いつでも背中から撃って良い」
「それを、後輩達にも言っているのですか?」
「勿論だろうが。何なら聞いてみればいい」
男は何も恥ずべきことは無い、と言わんばかりの態度で応じた。
「お前達はゲームなんてやらんのだろうから教えてやろう。
メタルギアソリッドってゲームは知ってるか?
そのゲームにはお前達と同じ、FOXの名を持つ特殊部隊が登場する。
そしてその部隊では最も優秀な兵士には、FOXのコードネームが与えられる。
俺は心のどこかで、お前達がそうであることを望んでいた。
お前達がナマクラで居ることは、俺が許せないのだ」
ゲームの話をしているのに、男は真剣だった。
ゲームの設定をFOX小隊に当てはめて、勝手に期待しているだけなのに、男はどうしようもないほど真面目だった。
「その兵士はこんなセリフを遺した。
――――俺達は、政府や誰かの道具じゃない。闘う事でしか自分を表現出来なかったが、いつも自分の意思で闘ってきた!!」
男は大仰にゲームのセリフを諳んじる。
そして、目の前の四人を見た。
「お前達はどうだ? 誰かの道具に甘んじるのか? お前達の闘いに、お前達の意志はあるのか?
お前達が道具でないのであらば、お前達に意志があるのならば、――ちょっと付き合えや」
男はユキノから資料にある犯罪者の拠点を指差し、そう言った。
まるで、これからコンビニに買い物に行くような感覚で。
「そのゲームの設定が、現実でも正しいことを証明しましょう」
ユキノがそれに応じた。
男は心底、楽しそうに笑った。そして、彼女達の眼前に弓矢のように指を突き付け、今度は映画の台詞を諳んじた。
「俺を撃つなら今だぞ。こんな所に居たいやつはいない。だが、俺達のようなモノの仕事はここにある!!
――目的も無く生きるか、何かのために死ぬか、お前が決めろ!!」
FOX小隊の四人は思った。この男は止まらない。止められない。
もう行きつくところまでしか行けないのだ、と。
そして、その日の深夜。
数十人の生徒を食いモノにした闇バイトの主犯が、公安局の前に証拠と一緒に縄で縛られ転がされているのを発見された。
ただ“ディープスロートより”、というメッセージだけを残して、誰がそれをしたのか最後まで不明だった。
§§§
――『今日のカヤちゃんのコーナー!!』
「やはり出勤直後に呑むコーヒーは格別ですね……」
日課の高級コーヒー豆を自分で挽いてコーヒーを淹れて飲む。
カヤがささやかな幸福を噛み締めていると。
「カヤ室長」
「のわッ!?」
応接用のソファーに男が座っていた。
それに気づいたカヤはびっくりしてコーヒーを零しそうになった。
「いつからそこに居たんですか!?」
「んなことはどうでもいい。
どうすればカヤ防衛室長のカリスマを高められるか、考えたんだが……」
「どうでも良くはないですよ……」
「室長、あんた実はメッチャ強いとかないか?」
「何を言ってるんですか、あなたは」
「いや、単純な強さはそれだけで人を惹きつけるものだからな。
私はその気になれば、連邦生徒会長だってぶん殴れるッ、みたいなキメ台詞とかあると良いな」
「どんな野蛮人ですか、それ」
「失敬な、政治家の台詞だぞ、これは」
「ウソでしょう……」
まあそんな安価スレみたいな都合の良い話は無いか、と男は考えを改めた。
残念ながらカヤは完全な事務方だった。
「不知火カヤ。レッドウインター事務局から連邦生徒会の防衛室へと転校、類稀なる政治力を発揮し室長へ抜擢される、か」
「……私の経歴が、どうしました?」
「あんた、現場を知らないだろ。
数字でしかヒトを見ない奴に、部下は付いて来ない」
男の言うことは図星だった。
カヤが居た頃のレッドウインターは安定していたので、彼女に荒事の経験は無かった。
「とりあえず、視察って名目でヴァルキューレの公安局や生活安全局とか、現場を見て来い。そして現場の悩みとか、要望を聞き入れるんだ。
それだけであんたの人気は容易に上がる。簡単だろう?」
「し、しかし、今日はこれから会議で……」
「次長には、今日はあんたが必須の案件は無いと聞いたが? どうせ椅子を温めてるだけだろ、彼女を代理で出席させればいい」
そう言って、男はスマホで連絡を入れた。
「ああ、先生。俺だ、護衛を頼みたい。
防衛室長の視察の護衛だ。SRT部についての打ち合わせもまだだろ? ついでにそれもやってしまうと良い。
ああ、ああ、それじゃあ」
男は通話を切った。
「そう言うことになった、これからシャーレに集合な」
「この人、強引すぎる……」
あれよあれよ、と言う間にカヤの今日の予定は決まってしまったのだった。
「“君がカヤだね、よろしくね”」
「はい、先生……」
初対面の二人が挨拶を交わす。
男はそれを見届けると、今回の護衛を引き受けるFOX小隊と共にヴァルキューレ警察学校に向かった。
そして。
「検挙ーー!!」
今日は一斉検挙の日だった。
盾を持ったヴァルキューレ生が並んで、不良の犯罪グループに突撃していった。
そこらかしこで銃撃戦が繰り広げられる。
「ひ、ひぃぃ!!」
銃弾がカヤの頭上を掠める。
「怯むな、堂々としろ!!」
「そんなこと、言われましても!!」
「虚勢でもなんでも張れッ、トップが怯えてて部下が戦えると思うのか!!」
「ひぐッ」
男がカヤの背中を叩く。
その力強さにカヤの背筋が伸びた。
「“大丈夫だから、彼女達を信じよう”」
「……はい」
先生に手を握られ、涙目のままカヤは前を向いた。
先生が指揮をしていては、カヤの姿がかすんでしまう為、今日はヴァルキューレの機動部隊に全部任せている。
「じ、事前のブリーフィングでは、十五分で制圧可能とのことでしたが!! もう三十分は戦闘をしてます、なぜこんなにも長引いているんですか!!」
カヤの言う通り、機動部隊は苦戦を強いられている。
不良グループの抵抗が相当に激しいようだ。
「連中、違法にカスタマイズされた火器の密輸と売買をしてたらしい。
どうやら商品を使って抵抗してるらしいな」
ヴァルキューレ側の機動部隊も、相手の火力に苦戦し、攻めあぐねているようだった。
火薬マシマシのグレネード弾がドカンドカンと鳴り響く。
「対して、ヴァルキューレ警察学校の正式採用されている銃器類は他の学園と比べても一世代遅れています」
ユキノがそっと男の解説に付け足した。
「昨今、公安局の検挙率低下から予算の削減がされていると聞きましたが、こんな影響が出ているとはッ……」
「おいお前ら、いつまで無様を晒してるつもりだ!!
この仕事が終わったら、カヤ防衛室長がドーナツ奢ってくれるってさ!!」
「はいぃ!?」
男の勝手な発言に、カヤは目を見開いて男を見やった。
「え、嘘、マジですか、カヤ防衛室長!?」
「フレンチクルーラーやオールドファッションだけじゃなくて、限定ドーナツやパイ系もですか!?」
「ひとつじゃなくて、三つぐらい頼んでも良いですか!?」
「三つか? 甘いの三つ欲しいのか? このいやしんぼめ!!
――遠慮せず、好きなだけ食え!!」
「総員突撃!!」
士気を回復した機動部隊が、不良グループの占拠する建物に突撃していった。
「あの、軽く三十人くらいいるんですけど……」
「精々高級ステーキ一枚食うぐらいだろう。どうせ政治工作ぐらいにしか使い道のない役員報酬だろ、部下を労ってやれ」
「これって、賄賂になりませんよね……」
全てを諦めたカヤが遠い目になった。
「ボス、オトギの配置が完了しました」
「よし、さりげなーく手助けしてやれ」
男の指示に、ユキノは無線で連絡を取った。
直後、オトギの援護射撃が始まった。
突入による激しい戦闘で、誰もそれに気づいていない。
「ほら、声を出せ!! 味方を鼓舞しろ!!」
「か、勝ったらドーナツですよ、ドーナツ!!
私が身銭を切るんですから、ちゃんと勝ってください!!」
男がカヤの背中を叩くと、彼女は精一杯声を張り上げた。
程なくして、勝敗は決した。
負傷者多数だが、機動部隊が勝利を収めたのだ。
「救護隊と犯人の搬送を!!」
「隊長、近くのドーナツ店を抑えました。貸し切りです!!」
「よくやった!! 倒れた仲間の分も食べるぞ!!」
わいわいとヴァルキューレ生たちは仕事を終えるとはしゃぎ始めた。
「貸し切り……それっていったいどれだけ掛かるんですか?」
「知らん」
結局最高級ステーキ三枚分くらいは掛かった。
「ちょっと待ってください、今の明らかにスピード違反ですよね!! メーターにもそう表示されてます!!」
「ですが、法定速度より五キロ程度ですし……」
「規則は規則でしょう!!」
カヤ一行は、今度は交通局のスピード違反の取り締まりの現場に来ていた。
「全く、交通室は一体どういう指導をしているのですか!!」
「まあ、私達は生活安全局で、手伝いに来てるだけなので……」
カヤに詰め寄られ、キリノは縮こまっていた。
「まあまあ、スピード違反の罰金がうちのドル箱なのはわかるけどさ、悪質なスピード違反でもない限りちょっとは寛容にならないと。
ここを通る車全部にキップを張ることになるしさ」
「それがあなた達の仕事でしょう!!」
二人をとりなそうとするフブキだったが、カヤの怒りを買うだけだった。
「この件は交通室に抗議しますからね!!」
「……何にも分かってないんだね」
「何が言いたいんですか!!」
「いやぁ、何も?」
カヤに怒鳴られても、フブキはおどけるだけだった。
「あッ、今の車、速度三十キロオーバーです!!」
「はいはい、こちらフブキ。今の車止めてちょーだい」
スピードメーターを持っているキリノの声を受け、フブキが無線で道の先で待機している仲間に連絡する。
「何なんですか、この態度は!!」
「“……”」
先生は怒り心頭のカヤをそっと後ろから見ていた。
「どうだ、現場を直接見た感想は」
夕方、カヤを寮に送り届ける道中、車を運転する男が後部座席のカヤに言った。
「あなたの言う通りでした。現場を直接見ないと分からないことだらけでした」
カヤは苛立ちを隠せない様子で、窓の外を睨んでいた。
「ヴァルキューレ警察学校が何ゆえにここまで市民や犯罪者から低く見られているのか、よくわかりました。
SRTを閉鎖するよりも先に、ヴァルキューレを閉鎖すべきでした。彼女達の代わりを用意し、早急に代替組織の立ち上げを議会に提案するべきでしょうね」
なるほど、と男はカヤに何も言わなかった。
ただニヤニヤと笑みを浮かべるだけだった。
「“カヤはさ、防衛室のトップとして何をするべきだと思っているの?”」
助手席の先生がカヤに問うた。
「それは勿論、優れた規則と厳格な治世によって、市民たちの安全が完全に保障された世界を作り上げることですよ」
「“うん、それはきっと素晴らしいことだと思うよ。でも君はまだ、現場のほんの少ししか知らない。
キリノはあれでも市民には信頼されている警官だし、フブキも冷めてるけどちゃんとしたお巡りさんだ”」
「先生、何が言いたいのですか?」
「“切り捨てるより、見守ることを考えた方が良いと思うんだ。
この世で最も時間とコストが必要なのは、人員の育成だからね”」
「……」
先生の言葉に、カヤはすぐに反論できなかった。
彼女だってそれぐらいはわかっている。
戦闘機で最も高価なパーツは、パイロットであると。それぐらい知っていなければ防衛室のトップなんてできない。
「“悪い所だけでなく、良い所も見てあげるべきだよ。
そして長所に応じて仕事を割り振りするのが、優れた上司なんだと思うよ”」
「まあ、どんな馬鹿にも使える仕事を与えるのが、上司の仕事みたいなもんだからな」
先生の言葉に、男が追従する。
「……ええ、首を切っても失業者が増えるだけですからね」
以前、男はカヤに助言していた。
リンを失脚させるより、跪かせろ、と。
排除するより、部下にして扱き使った方が上手く行くのだと。
最大派閥の主であるリンと友人のように接し、理解者のような顔をして、無害を装い、いずれひれ伏させるのだ。
だからカヤは我慢して、その意見を呑み込んだ。
まだその時ではない、そう思うことにした。
そして、SRT部始動当日。
「ふう、挽きたてのコーヒーの味は別格ですね」
カヤが今日も日課のコーヒーを楽しんでいると。
彼女のスマホに、男から着信が入った。
「はい、もしもし私ですが」
『ああ、俺だ。すぐに子ウサギ公園前まで来てくれ』
「急に何ですか」
『まだあまり騒ぎになってないが、元SRT生が子ウサギ公園を占拠し、要塞陣地を構築したみたいだ』
「な、なんですって!!」
今日はSRT部始動当日。
それに対する当てつけのような反逆。
カヤの全身がブルブルと震えるのも当然だった。
『今なら目立てる!! 公安局とマスゴミが来るだろうから、早くこっちに来い!!』
「……分かりました」
超人の威光を示すのも簡単ではないな、と思いながらカヤは黒いケープを羽織ってから、全ての雑事を次長に投げ、連邦生徒会から出発することにしたのだった。
昨日も吐いたけど、やることが無いので執筆しました。病人あるあるですね。
それにしても、次回にようやく兎ちゃん達を出せそうです。
原作四章冒頭にまでようやく漕ぎ付けました!!
兎ちゃん達の運命は、うん、まあ、合掌。
ではまた、次回!!