リルケのアジトでの一件を終え、王都に帰還した一行。来るべき時へ備え、各自休息を取ることとした。これはその一部の記録である…
ケース1:3人の騎士見習い
「ふっ!やっ!」
ボクトは一人訓練場で剣の素振りをしている。騎士は普段から鍛錬を怠らない。いつでも戦いに備えられるように準備は必須だ。
「おっす。ボクト、俺も来たぜ。」
やってきたのは親友のククルだ。入団した時から戦場をともに生きてきた仲間でもある。ククルもまた剣の腕には自信があった。
「お疲れ。なんか用かな?」
「なーんかさ、最近退屈してんだよな〜騎士団内って。」
(こいつ絶対嘘じゃん。暇潰したくて来ただろ。)
「でも確かに、リルケの一件は団長から外に漏らすなって口止めされてるし、騎士団の中ではあの双子悪魔が攻めてきたとき以来平和ってことになってるよね。」
ボクトも適当に返す。
「そ・れ・よ・り・もさぁ〜」
ククルは急に身を寄せ、顔を近づけ、耳元で囁いてくる。
(お前らどうなんだよ?)
「どうって?」
ククルはニヤニヤしながら言う。
「わからないか?セッ〇スだよ!セッ〇ス!」
ククルの声が響く。その言葉の意味が理解できたのか赤面する。
「え!?それってどういう……。」
「なんだ?意外か?そういう話、男同士だと普通にするもんだろ。」
実はボクトには好きな人がいる。セレナ団長の付き人のサシャさんだ。包容力のある年上の女性が好きなボクトはサシャさんがどストライクなのであった。
「まあ…確かにそういうことをしたいというか…いいなあって思う人はいるけど…」
「おい誰だよ、誰だよ!誰にも言わないから教えてくれって!」
ククルは興味津々だ。ボクトの秘密を知るチャンスかもしれないと思っている。だが……(言っちゃうわけないでしょ、ばーか!)
そう心の中で毒づくボクトだった。するとその時。
「何を話しているんですか?あなたたち。」
聞き覚えのある声。声のする方を見ると、そこにいたのはイルリアであった。
魔法使いのイルリア。ボクトたちと同期のなかよし3人組がそろった。
「訓練場は雑談する場所じゃないですよ。お話は外でしてくれますか?」
「ごめんなさい……。気をつけます……(汗)」
ボクトは謝る。
しかしククルは反省していないようで
「まあいいじゃねえかちょっとぐらい。それよりイルリアも聞いたことあるだろ?俺たちの噂を。」
「何?全然知りませんよ?そんなの。」
無垢な表情で言い切るイルリア。この様子では本当に何も知らなさそうだ。
「あれぇ?ほんとか?なら仕方ないか〜。じゃあまぁ頑張れボクト〜♪」
「なんの話?」
キョトンとするイルリア。かわいい……。
「全くあのアホは…謎だけ残して消えるんじゃない!」
「まあまあ、ククルはいたずら好きなところもあるから。」
「それで?噂って?」
「僕たち第4騎士団が功績を上げたってことで、セルヴァン隊長が勲章を受け取るって。それもあって僕たちの評判も結構上がってきたみたい。」
「へえ、捨て駒なんて言われてたのが噓みたいですね。」
(実際、捨て駒同然だったもんな〜)
ボクトはその言葉を胸にしまったままにした。
「これからもっとがんばらないと!」
(私だって負けないんだから。あんな間抜け男に置いて行かれてたまるものですか!)
イルリアも密かにやる気になっていたのである。
その頃……
「へっくしょん!!!絶対イルリアのやつがなんか俺の悪口言ってるんじゃ…」
「そういえばどうなってるの?あの捕獲した双子悪魔は。」
今から数週間前の話になるが、王都に攻めてきたリルケの下部である双子悪魔を拘束し王宮地下の牢獄に閉じ込めている。
「今は反抗の意思はなく、おとなしくしてますよ。」
あの日以来暴れるようなこともなく、今のところ特に問題は起きていないとのことだ。イルリアは少し安堵した。もしまた暴れ出したりでもしたら大変なことになる。
「じゃあ私も帰りますね。」
イルリアが訓練場から帰ろうとするとき、僕とは気が付いてしまった。とても…いらないことに。
「そういえばイルリアは何しに来たの?訓練しに来たと思ったら何もせず帰るなんて…」
「ああ…それは…そう!あなたたちとちょっとお話を…」
「雑談する場所じゃないって言ってたのに?」
ボクトの疑念はどんどん深まっていく。
(これは絶対嘘をついてるな……)
「違うの……今日は特に予定もないからボクトに稽古でもつけようかなと……思って」
焦るイルリア。その目は泳いでいる。
「そっか。ありがとう。嬉しいよ。でも僕は気が付いちゃった。イルリアの…股間を見てるとね。」
「えっ!?」
そこにはローブにくっきりと浮かぶ、チ〇ポの形があった。イルリアは今、リルケによってふたなりにされている状態である。それがびんびんに勃起していたのだ。しかも……
「ああっ!見ないで……こんなところ誰かに見られるなんて!」
さらにイルリアは興奮してしまったのか、ローブの中に隠されたパンツからは先走り液が出ているようである。
「僕の推理だと、イルリアが求めていたのはトイレだろう。何しろリルケの一件は極秘。ふたなりになっていることも秘密じゃないといけない。そこで困るのが性処理だ。セレナ団長も苦労してるみたいだし。イルリアは一般騎士だから個室がない。そうなるとひとりになれる場所は結構限られる。」
「うう…推理しないで…恥ずかしいから…」
赤面するイルリアに構わず続ける。
「外でオナニーするのはまずイルリアのプライドが許さない。だとしたらトイレ?でも女子トイレでオナニーなんてしたら確実に周りに怪しまれる。ならば場所は一つ。”事情を知っている僕らだけがいる場所”それしかない。だからここに来たんだよね?イルリア。」
「…そうですよ。」
どうやら当たっているようだ。しかしここで予想もしない事態が起こった。なんとボクトはおもむろにズボンを脱ぎ、そしてギンギンになった自分のモノを取り出したのである。
「え?ちょっと?ボクト?」
驚くイルリアにボクトは答えた。
「大丈夫、誰にも見られないよ。セルヴァン団長とも話して、今の時間は僕たちだけの貸し切りにしてる。イルリアだけ気持ちよくなるなんてずるいからね。僕も混ぜてよ。」
ボクトはゆっくりと近づくと、彼女の目の前にあるイチモツを掴んだ。
クチュクチュ……。淫靡な音を立てる。イルリアは自分の秘部をいじりたい欲望を抑え込みつつボクトのもの手でシゴいていた。
「どう?」
「気持ちいい…」
お互いが相手の肉棒をしごく状態が続く…だがボクトの方が早く限界に達した。ドピュルル……。勢い良く出た白濁液は、すべてイルリアのローブに向かって放たれてしまった。ボクトも賢者タイムに入ったようで、しばらくボーッとしている様子だった。しかしすぐに復活してしまうのだが……
(もう……我慢できない……!!)
「イルリア!ちょっとおま〇こを借りてもいい!?」
イルリアにはこの言葉の意味がわからなかった。
「え?お、おま……」
聞き返すまもなく押し倒され、一気に挿入される……!!!ズブッ!!
「ああー!!」
「んふぅ……」
挿入しただけで2人は果てそうになってしまった。
「ちょっ!バカなんですか!?いきなり押し倒して挿入れて!あっ♡しかもおま〇こ借りるって…返してくれるんでしょうね!あん♡」
そんな言葉など耳に入ってないかのように激しく動く…… パンパンパン!!
「ダメだってば!抜いてぇ!」
しかしイルリアの顔は完全にメスのものになっている。イルリアのおなかの中で暴れている、彼の剛直を逃さまいとギュウギュゥ締め付ける。
「なんか今ぞわぞわってした!おちん〇んからせりあがってくるようなあ!」
するとイルリアの中に大量の精子が出たようだ。
「ああああああ!!!」
「私も出るぅうううううう」
ドビュビュッと熱いものが出る感覚は、ふたなり化したイルリアにもわかるほどだった。(私……本当に妊娠してしまいそう……)
「信じられない!ほんと、私じゃなかったら縁切られますよ!?」
「ごめん…」
ボクトは謝りながら証拠隠滅のために精子を掃除している。
「まったくもう…そんなんじゃ、一生サシャさんとセッ〇スなんて出来ないですよ?」
「気を付けるよ…って、え?サシャさんのことを何で…」
「好きなんでしょ?私、知ってますよ?」
「ええええええ!?誰にも言ってないのに!?なんで!?」
「秘密♡これはあなたへの弱みとして握っておきますから。」
騎士たちの一風変わった日常は今日も平常運転のようだ…
=====
ケース2:隊長に恋人?
ここは騎士団専用の食堂。騎士団はここを格安で利用できる待遇がある。ちなみにサシャが普段働いているのもここである。第4騎士団隊長のセルヴァンも普段からここの食堂を利用している。
「しかし、隊長は強面で近寄りにくいよなあ…」
「俺も先日、『そんな戦い方では生き残れないぞ!』って怒鳴られた。」
「ひー、おっかねえ。」
隊員たちは小声でセルヴァンについて語っている。そんな中…… カラン♪……
「こんにちは。」
入ってきた人物はユイ副隊長だった。しかし様子がおかしい……目がうつろになり顔も真っ赤だ。そして彼女はそのままトイレに直行し、オナニーを始めてしまった。
「ん♡イく♡」
外にも少し聞こえる声量でユイの喘ぎ声が食堂に流れる。
「ユイ副隊長のやつめ…!あいつがいると食欲が失せる!」
セルヴァンは愚痴をこぼした。
「しかし隊長。女性に対してそれはさすがにまずいですよ……」
「うむ……」
(ユイめ……!)
セルヴァンがイライラしている時、後ろの方から誰かが来たようだった。振り返るとエプロン姿のサシャさんがいた。
「セルヴァン隊長、あなたあての手紙を預かっていたんです。どうぞ。」
「ああ、すまないな。」
手紙を開くと、その内容は驚きのものだった。
『この内容は他の人には伝えないでください。もし私のお願いを聞き入れてくださるなら今夜0時に、私がいつも仕事をしている執務室に来てください。』
差出人の名前は……エリーゼ?しかし内容を見て察したセルヴァンは、怒りを通り越して呆れてしまった。
「そんな人間は知らんな。ただのいたずらだろう。サシャ、これを捨てておいてくれ。」
「いやいや~隊長ってば、イタズラはないでしょう?」
声をかけてきたのはユイ副隊長だった。
「ことはすんだのか?」
「ええ、それは。それよりその手紙。いたずらで済ませるのは早いでしょ。だってそれ、本物の王宮の職員からの手紙ですもん。」
この手紙が本物?セルヴァンは疑念を隠せない。
(こいつは一体何を考えている……!?)
「なあ……。私は本当に行かないといけないのだろうか……?というよりそもそもこの女性は誰なんだ!?」
(はぁ~……ほんと隊長って鈍感よね……)
「いいから、行ってきてください!」
ユイに念を押されたセルヴァンはその日の夜、しぶしぶ執務室へ向かうのであった。
~王宮執務室~
王宮職員が勤務する仕事部屋だ。そこへ一人セルヴァンはやってきた。
コンコン
「失礼する。第4騎士団隊長のセルヴァンだ。」
しばらくすると女性の声が聞こえてくる。
「どうぞお入りください。」
セルヴァンは扉を開け、室内へ入る。中には机に座って何かをしている女性が座っているようだ。
(こいつか……!)
「あなたが私を呼び出したエリーゼ女史か。こんな夜更けに私を呼び出した訳を教えてもらいたいのだが。」
セルヴァンは威圧するように聞いた。しかし当人は余裕そうな顔をしている。
「理由は手紙に書いたでしょう?私が求めているのはあなたなんです。」
「何が言いたい。」
女は立ち上がる。身長は160センチほどだが非常にスタイルのよい身体をしていた。髪は長くウェーブをかけた黒茶色だ。顔は非常に美しく目鼻立ちも整っており化粧をしなくても十分美人といえる顔だった。胸もそこそこ大きいほうだ。
「私はあなたと二人きりになれる瞬間を…ずっと待っていたんです。」
すると女性は予想もしない言葉をセルヴァンに放つ。
「私と結婚してくれないかしら。隊長さん。」
「断る!!」
即答だった。そしてセルヴァンは続けて言った。
「お前の目的は一体なんだ。なぜ急に結婚を申し込んでくるんだ。意味が分からないぞ。第一、初対面の男と結婚するやつがいるわけがないじゃないか!」
「じゃあ!結婚を前提にしたお付き合いからでも!」
「いや……それもおかしいと思うぞ……」
そう言うセルヴァンの顔をじっと見つめていた女性だったが
「はあ……仕方ありませんね。」
と言って諦めてくれたようだ。しかし……彼女はこう続けたのだ。
「今日のところはこれで我慢しますから……」
女性は懐に手を入れる。
「っ!?武器か!?」
セルヴァンもあわてて身構える。次の彼女の動き次第で攻撃をするつもりだった。しかしその手に持っていたものは、一枚の写真だった。それを見せられた瞬間セルヴァンの思考は停止した……。そこに映っていたのはセルヴァンとユイだった。
「これは、あなたと……副隊長のようですね。二人とも幸せそうな顔。すこし妬いてしまいます。でも、私はあなたを諦められなかった。」
セルヴァンが黙ったのを確認してからエリーゼは次の話を始めた。
「だからこうして、強硬手段をとることにしましたの。ふふ……」
(どうすれば、この状況を抜け出せるか……。考えろ!)
セルヴァンが思案しているときだった。女性の手が動いた!
「セルヴァン隊長は誰にも渡さない。そうあなたにもね!」
後ろを見ると、そこにいたのはユイ副隊長だった。
「ユイ!?なぜここに!?」
すると、ユイは口を開く。
「すいません隊長……行ってきてといった手前、やっぱり事の顛末が気になりまして…それでこっそり後をつけていたんです、ごめんなさい……。それにしてもあなた、隊長に求婚だなんて、嘘もたいがいにしてくださいよ?」
「嘘なんかじゃありません!私の愛は本物なんです!」
「それは違うでしょ!!あんたみたいな女に誰が騙されるものですか!!」
二人は激しく口論をする……。
「おいやめないか二人とも。まずはこの場を収めることが先決だ。」
「そうだ隊長!この女の口を封じましょう!大丈夫です、今の私にはでっかいチ…」
「それ以上は言うな!」
「……はい?」
ユイは疑問を持ったが、すぐに冷静になったようで話を元に戻した。
「エリーゼさんも、その手を納めてください!」
しかし相手はなかなか応じないようだ。
「いいえ……。まだよ。まだ話は終わっていないの……この男は絶対に渡さないわ……!!!」
「この人何を言ってるの?私にはさっぱり…」
「とぼけないで!あなたが隊長と手紙を出し合う恋人同士だから…私は…!」
エリーゼの必死の形相を見てユイは呆れ顔だ。
「え?私別にこの人と付き合ってないですけど。」
ユイがそういうと、エリーゼの顔は困惑に包まれる。
「そんなはずはないわ……だって手紙を出しあうってことはもう既に交際をしてることじゃない……!」
するとユイは答える。
「あのねえ、よく考えてみて欲しいんだけど、騎士団の隊長と副隊長ですよ?手紙の交換って言ったら、仕事のことに決まってるじゃないですか。あなた、何か勘違いしてますよ?」ユイの言葉を聞きながらその場に佇むセルヴァン。
「私は……何に巻きこまれていたんだ……。」
しばらくセルヴァンは放心状態だったとか……。その後、セルヴァンたちは改めて今回の事件の原因を話し合ったのだった……。
エリーゼは王都の手紙を扱う郵便局担当の執務官であった。毎日にポスト入れられる手紙を仕分け、配達を促している。しかしその中でエリーゼは気が付いた。ユイが毎日のようにセルヴァン隊長へ手紙を送っていることに。もちろんこれは恋文ではなく行方不明になったリルケの情報をセルヴァンに渡しているだけであったが、エリーゼはユイがセルヴァンと恋仲であると勘違い。嫉妬心でこのような行為に及んだという。
「それにしてもセルヴァンさんを好きになるなんて……変わってますね、あなた……」とユイに言われて赤面するエリーゼであった。
「本当にすみませんでした……。」
そう謝ると、ユイは言った。
「まあ反省してるなら許してあげなくもないですけどね。それと今後はこんなことしないこと。」
そして最後にこうつけ加えた。
「今度はこんなやり方じゃなくて、ちゃんと告白してくださいね。応援していますから。」
こうしてエリーゼの誤解事件は解決を迎えた。セルヴァンに恋人が出来るのもそう遠くない話なのだが、それはまた別の話である。
ケース3:団長の休日
王宮騎士団長室に静かにはさみの音が聞こえる。チョキンチョキン…バサッ
「終わりましたよ。髪も短くなってさっぱりしましたね。」
「ありがとう。サシャしゃ…んーやっぱり言いにくい。」
「サシャでいいですよ。チサ。」
セレナ団長の妹、チサの髪を、セレナの提案で短くしていたところだった。
「短くなっても可愛い髪型ですよ。」
「本当!?」
鏡を見たあとに、セレナに笑顔を向けるのだった。
「セレナ、今日は何をするの?もしかして妹と一緒にお出掛け?ふっ。」
「何が可笑しい?」
実は今日は珍しくセレナは休暇を取っていて外出をするのだ。しかも妹を連れてのお出かけだとか……。
「今まであなたの休みと言えば、一人で訓練とか可愛くないものばかりだったから。ちょっと新鮮で。」
「可愛くないふたなりで悪かったな。」
そういいつつセレナも妹の頭を撫でている。二人はとても仲良くなった様子だった。
「お姉ちゃん、どこにいくの?」
と聞くと、どうやら繫華街に行くらしい……。サシャに見送られ、二人は王宮を後にした。
~王都城下町 繫華街~
「うわああ!すっごい賑わい!」
「だろう?活気がいい日を選んでおいてよかった。」
ここは王都の商人たちが店を構える地区。定期的に開催されるバザーの日は王都の住人が掘り出し物を求めてここへ集結する。今日も市場ではたくさんの品物が売られていた。その横を通り過ぎながら、様々な店を覗いていた。そこでチサが目を引かれたのは服屋であった。
「そこは服屋だが…何か欲しいのか?」
セレナは聞いたが、答えは意外なものであった。
「あのね……このお店で売っているスカート、どれもヒラヒラーっていう種類ばっかりだから買っても着られないの。でも私……もっとフリルがついた女の子用の服を着てみたいなあって思って。」
ふたなりの悩みともいえることだが、スカートを履くと勃起したとき股間が浮いてしまうのだ。私は体の事情を皆に知ってもらっているからいいが、チサは体のことは秘密にしたいから困るだろう。だから私の妹にもちゃんと服を用意しよう。そう決めたのであった。しかし……ここで問題が一つあった……。
(お金……全然足りない……!!)
財布には3000Gしか入っていなかった。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「いや…なんでもないよ。」
(しまった!もっとお金用意しておくんだった!)
今さら悔やんでも遅いため、とにかくこの問題を解決しなければ……!と焦ったその時、一つの声にセレナは呼び止められるのだった。
「あなたたち可愛いですね。僕とお友達になってくれません?」
そこにはいかにも軽そうな男が二人立っていた。
(ナンパというやつか?騎士団長の私を知らないのを見ると、商品を求めて王都の外から来た人間だろうか。)
こういう輩は相手にすると厄介な相手になるため、
「行こう、チサ。」
と言って歩き出したがしつこく付いてくる男たち……。
「ちょっと待ちなよ。俺たちと楽しいところへ行かないかい?奢ってあげるからさぁ。」
その言葉に足が止まる。
「じゃあ、一つ買ってほしいものがあるんだが…いいか?」
「おう!何でも言ってくれよ!」
「チサ、ちょっと待っててね。」
セレナは男たちから金を借り、チサが欲しがっていた服を買った。これで少しは解決できるといいのだが……と思いながらも妹の元へ戻ってきた。そのときチサの顔はとても喜んでいたのだった。その様子を見た瞬間、心臓の鼓動が速くなった気がしたが……気のせいだと思い込みたかったのであった……。
「チサ。あなたは先に帰っててくれる?私はまだここでやることがあるから…」
「分かった!バイバイ!お姉ちゃん!」
意気揚々で歩いていくチサを後ろで見送るとセレナたちも目的地に向かった。
「さてさてさあさあ!次はどこへ行きますかね~?」
(はあ…くだらない。隙を見て私もこいつらから離れるとするか。)
しかし、そのタイミングはなかなか見つからない。そんなとき、男は言った。
「ねえ、あそこの街角にある店、行ってみたくない?」
セレナが男の指差す方を見る。すると一軒の小さな店があるのを見つけた。
「あれはなんだ?」
セレナがその店に近づくと、この店がとんでもないものだとわかった。店の外の看板には【あなたの理想の異性を見つけましょう☆】と書かれた看板があった。しかも、その看板の前には一人の女性が立っており、その手を握っていた男性が一人……。つまりカップル成立イベントのようなことをしていたのだ!
(こいつら…!この私とカップルにでもなる気か!?)
不快感が押し寄せてくるが、男たちは止まらない。しぶしぶ入店することにした。
「ようこそ~!」
中に入ると受付のお姉さんらしき人が出迎えてくれた。
(そういえば…私は恋愛というものをしたことがないなあ。それに私はふたなり。男と女どっちを愛するべきなのかもいまだによくわかっていない。)
考え込んでいる間にお姉さんの話が進んでいき、いよいよ二人の相性を診断することになった。
「ではこちらの部屋へどうぞ!」
お姉さんが示した扉を開けると小さな部屋に出た。その部屋には椅子が二脚だけある質素な部屋だ。
「この部屋は完全防音なので何をやっても外にはバレません。そう、ナニをやってもね♡」「おい!ちょっと!」
「それではごゆっくり~」
店員は行ってしまった。部屋に男と女が二人きり。これは…まずい!
「ふふふ…こんな美人はうちの地域ではめったに手に入らない。わざわざ王都に来て正解だったなあ…!」
男は目が血走っている。私の体を見て正気を保てていないのか?とにかく危険である!セレナは逃げ出そうとした。しかし……扉の前で鍵をかけられてしまっていた!
「しまった!」
「ふっははははは!逃さないぜぇ?もう俺の女になるしか選択肢はないんだよ!」
(このままでは本当に危ない……。でも、どうしたら…!)
「さあ何から始める?キスか?それとも本番から行くか?俺はどっちでも大歓迎だぜ?」
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になりかけた。だがなんとか持ち堪えたセレナは言い返した。
「ふん……馬鹿かお前は?私みたいなふたなりがそんな簡単に犯されてたまるか!」
その言葉に男は困惑するしかない。
「ふた…?何言ってんだ?お前。」
「ふっふっふ。こういう事だ!」
セレナはおもむろに下を脱ぐと、自慢の巨根を男に見せつけた!
「これがふたなりだ!さあ恐れおののけ!」
しかしその言葉にも反応せず、ただ唖然としているだけのようだ。
「……ん?やけに反応が薄いような…」
「いや…驚きすぎて逆に言葉が出ないわ。ええ…あんた何者なんだよ…正直引いた。」
困惑する男。しかしそんな様子をセレナが気に止める余裕はなかった……。
「え……そ……そうなのか……じゃあやっぱ本番からだよね?」
「え……?」
男は戸惑うしかなかった……。
「いやだって…するんだろ?」
「いやいやいや!なんで得体の知れないチンコ付き女とやらなきゃならないんだよ!俺は勘弁だぜ!?」
男がそういうと、セレナはまた絶望の顔を浮かべるのだった。そしてしばらく静寂が流れたあと、男は静かに立ち上がり、そのまま何も言わずに帰ろうとする。
「待ってくれ!どこへ行くんだ!」
セレナの声を無視し男は店を出る。外に出るともう一人の男が待っていた。
「どうよ。その女とやるのは気持ちよかったか?」
「気持ちいいというか…なんか気分が悪い。」
「なんで!?」
連れの男はさらに驚いた顔になる。ともかくとして、男たちはセレナを解放してどこかへ行ってしまった。しかしセレナの心はちょっぴり傷ついた。
空が赤い。もう夕暮れ時のようだ。
(はぁ〜。くだらない時間を過ごしたなあ……早く王宮に帰ろう。)
セレナは王宮へ帰宅した。そこで待っていたのは妹のチサだった。
「おかえりなさい!お姉ちゃん!」
「ああただいまチサ。」
(私がどんな未来を歩むのかわからないが、一つ言えることがある。守るべき人を守るために生きると。)
そう心に誓うセレナであった。