※この作品はR-18です。

ふたりはふたなり   作:太陽一成

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あらすじ
アジトを爆破し行方をくらませていたふたなりの魔人リルケ。その行方を調査していたセルヴァンとユイから、リルケの居場所が分かったとの報告が入る。もうリルケを守る盾はない。すべてを終わらせるため、最後の戦いが始まるのであった。





最終決戦(前編)

~王都 騎士団長の間~

「報告します。リルケの居場所が判明しました。」

セルヴァンの報告がセレナ団長の元に届いた。その顔つきはとても厳しいものだった。

 

「わかった、それでどこにいるのだ?!」

「はい、王都から結構離れた場所になりますが、王都東方のウッドパークです。第4騎士団の調査員に監視を任せています。」

「ふっそうか……よし我々も動くぞ!」

「ハッ!!!」

 

一時間後、セレナの招集により、ボクト、ククル、イルリア、ユイの4人も集合。リルケ戦闘部隊の7人が集結した。

 

「我々はこれよりウッドパークへ向かう。そこへ向かうだけでも数日間かかるが、そこでリルケと直接戦うことは間違いないだろう。」

 

「いやでも、リルケ博士がまたチサちゃんみたいな魔物を作ったりしてる可能性は?」

ククルの疑問にセレナが答える。

 

「それはない。スキュラの材料であるスキュラリアの木は持ち去ったようだが、それを加工する工場は自分で爆破した。」

それを聞き一同は安心するがそれでも気になることが……。

「あのぉ~、もし仮に私たちの攻撃が通用しなかったらどうすればいいでしょうか?」

今度はイルリアからの質問だ。

 

「うむ……その場合は……その時考えるしかないな……。奴は常識が通用しない女だ。気を引き締めることだ。」

7人は馬に乗り出発した。向かう場所は王都東方の山奥。そこは木々に囲まれており人の出入りがないような場所だった。しかしその場所こそがリルケの住処なのだ! 7人は慎重に進んでいく。途中で何度か休憩を挟み、2日目の夜を迎えたときだった。

 

「さあ、私の特製シチューです。いい肉が狩れたので具沢山ですよ。」

「おお!サシャさんの料理!私大好きなんです!」

「流石私のサシャ!」

サシャの極上の料理と共に夜を過ごす一同、もう明日にはウッドパークへ到着するのか…そう。あまりにも順調すぎる。最後の戦いに挑むというのに敵の気配が全くないのだ。まるで嵐の前の静けさかの如く。しかしこの時、7人は全く気付いていなかった。敵はまだいることに……そしてその夜のことだった。ユイが見張り番をしていた時。遠くの森の奥に明かりが見えてきたではないか。しかもその光はだんだんこちらへと向かってくる。

 

「…ボクトくん。見えました?」

「はい。他の人たちも起こしますか?」

「いや、待ってください。」

すると突然、その明かりは消えた。一体なんなのか。

「なんだ今の……」

その日は何もなく過ぎた次の日のこと、ついに7人一行はウッドパークへ到着した。そこには大きな城がありいかにも怪しげな雰囲気を放っていた。

 

「ここがウッドパークだ。王都より小規模ではあるが城や城下町もある。ここにリルケが潜伏しているとの情報がある。」

 

「なるほど…ではまずは情報集めですか?」

「いえいえ違いますよー!」

突如ユイが声を上げる。

 

「お風呂ですよお風呂!3日間もお風呂に入ってないなんて私耐えられません!今すぐにでも浴場へ!」

…ただのお風呂好きか?そう思っていたら意外と賛同の声が多い。

「ユイがそういうなら私も。戦いの前に身を清めていきたいから。サシャもそうだろう?」

「ええ。セレナ様のご意向のままに。」

 

結果、女性陣4人が入浴のために別行動するということになってしまった。男衆3人で情報収集をすることにしたのだが、

「あのー俺たちはどうするんすか?」

当然の意見である。

 

だがここで、ボクトはあることに気づく。

「あれ?イルリアは?」

先程から見当たらないのだ。ククルがそれに答える。

 

「ああ、あいつも風呂だってさ。」

「女性はよくわからない…」

 

~ウッドパーク大衆浴場~

 

女性陣4人がやってきたのはウッドパークの住人やここへやってきた旅人のための浴場施設だ。

 

「すまない。女4人、よろしく頼む。」

「ああそういうのは結構です。奥へお進みください。」

…?不思議に思いながらも中に入るセレナ一行。するとそこにいるのは大勢の男性たちであった。彼らは全員裸。つまりここは混浴であるのだ。

 

「旅人の皆さんいらっしゃい!」

「「「おう!」」」

元気に返事をしたのは男たち。セレナ達は戦慄する

 

「ちょっと!混浴なんて嫌ですから!別のところ行きましょうよ!」

ユイは必死に抗議するが、この場で異質なのは彼女たちだけなのだ。

「いや、俺は全然構わないっすけども?」

「俺もだな!」

「僕もいい。」

男たちは誰一人として反対しない。

 

「団長!今の私たちの事情を分かっていますよね!?王都じゃないからって、大事にされるのも困りますから!」

 

セレナ達女性陣4人は今ふたなり化しているため全員股間にチ〇ポが付いている。これがばれればろくなことにならない。それくらいの分別はつく。

 

「わかっている。だからこそ我々も対策をしているんだろ。大丈夫だ問題ない。」

 

そう言われてしまうとユイも強く言えない……。

 

「わぁ!広い!」

「うん……そうだね。」

テンションが低い2人を余所にサシャが口を開く。

「ほら、早く体を洗って、湯船につかりましょうよ!」

「本当に大丈夫なのかなあ」

 

セレナが出した条件は”下だけでも服はつけたままにさせてくれ”というものだった。男たちもおっぱいが見えるなら上等!と納得した。

 

4人が履いているのは特別な下着。股間を押さえ込んでチ〇ポがあることを目立たなくするふたなり専用特製パンツだ。ちなみにこれはセレナの考案によるものである。これを履くことによってなんとかふたなりであることはばれないようになった。

 

「ふぅ〜気持ちいい……温泉ってなんでこんな癒されちゃうのかしら……」

「同感です。疲れが溶けてなくなりそうですね。」

くつろぐユイとイルリアの元に男たちがやってくる。

 

「こんな美女と混浴できるなんて、まさに奇跡だよ!」

「ほんと最高だなお前!この子達そうだしあの子らも可愛い!」

「まじかよ……夢みたいだ……」

興奮を隠しきれない彼らだったが次の瞬間、驚愕することが起こる。突然ユイが立ち上がり

「…もう出ます!」

と言って出口へ向かっていく。だが当然男たちは止める。

 

「待ってくれよ!俺たちはまだ満足してないぜ?」

そう言ってユイの手を掴むと、

「ちょっと離し、痛っ!なんか痛い!」

「そんな強く握ってないんだけど!?」

 

「いや違うんですこれは…!」

すると突如男たちは驚愕する。イルリアとセレナも立ち上がる。

 

彼らの目にはユイの股間の膨らみが映っていた。つまり彼女は……。

 

「お前男だったのか!!」

「ちが、違う!」

「じゃあお前はなんなんだ!?答えろぉおお!」

男たちにセレナが答える。

「私たちは、ふたなりだ。見るかい?」

 

サシャも立ち上がって股間のそれを男衆に見せつける。当然大騒ぎである。

「この下着は股間を強く抑えているからね。うっかり勃起すると痛いんだよ。ほら、脱ごう。」

「いや…ですけど。しょうがないです…」

 

ユイが下着を脱ぐと、隠れていたチ〇ポがあらわとなる。そしてその大きさにも驚かされたのであった……。

 

数秒ほどの沈黙が流れた後ようやく男衆は状況を理解したようであり

「すみませんでしたああああああ!!!」

謝罪の声を上げるのである。

「いや…こちらこそ申し訳ありません。」

謝るしかなかった4人であった。

 

~~~

「あなた王都の騎士団長なんすか!どうりで気品があると思ったんすよ!」

「ふふ…こんなふたなりでよければ王都にもぜひ寄ってきて欲しいな。」

 

ふたなりであることがばれたので下着を脱いで全裸になった4人は男たちと意気投合した。

「そういえばさっき聞き忘れたんすけれども、なんで混浴を断ろうとしたんで?」

「それは、恥ずかしかったからですよ!こんな大きなのがついてたらみんな引くでしょう!?」

しかしセレナは平然としていた。

 

「何を恥ずかしがる?ふたなりは人間の性別を超越した存在なんだよ。」

「何ですかその価値観!?」

だがセレナの言葉に男たちも同調する。

 

「確かに団長のおちんちんは立派だ。俺のなんかとは比べ物にならないほどにな!」

 

ふたなりは人間を超える存在、ふたなりこそが至高というセレナの思考を当たり前だと信じ込んでいる彼らはこの異常な空間を受け入れつつあった。

「団長!俺らとセックスしてください!」

「僕もお願いします!」

ユイたちは困惑しつつも拒否することもできず……。

 

(これ絶対変なことになってますよね……もうこんなところ退散しますか。)

「もう上がりましょう団長!早くみんなのところへ…ええ!?」

ユイが見たのは驚きの光景だった。

 

「うわぁあ!すごぉお!」

「はぁはぁはあはあ!」

そこには自らの男性器を扱いながらオナニーをしているセレナを見る男が10人ほどいた。

 

「これが……ふたなりの自慰だ。君たちも覚えておいてくれ!イくううう!!」

セレナは男たちに向かって豪快に射精した。その量は凄まじくまるで水鉄砲でも使っているかのような勢だった。

「あぁ〜気持ちよかったよ……」

そう言い残すと4人は逃げるように浴場を後にした。

 

「結局射精しましたね……」

「本当ですよ、もう!あの人の性欲どうにかならないんですか!?」

イルリアとユイは愚痴を言い合いながら3人のいる場所へと向かっていった。

 

「おかえり。気持ちよかった?」

「ああ!」

「ああ…うん」

「?」

反応が違い過ぎるメンバーをよそに話は進む。

 

「お前たちが入浴中にリルケの情報を仕入れておいた。奴がいるのはウッドパーク城らしいぞ。」

「助かる。それなら私は今から、ここの王と面会をして来ようと思う。セルヴァン、一緒に来てくれ。」

「承知した。」

 

~ウッドパーク城~

 

セレナとセルヴァンは王城へやってきた。もちろん門番から止められたが「私と彼となら話ができるだろう?」と言っただけで中に入れてもらえるのであった。

城の敷地内に入った二人はそのまま城内に入るのではなく中庭へと向かった。そこでしばらく待つことになったのだが、じきに男が一人やってきた。

 

「王都よりはるばるお越しいただきありがとうございます。私がウッドパークの王、シリウスです。」

若い好青年のように見える。

 

「王都の騎士団長のセレナだ。よろしく頼む。」

挨拶を交わす二人。

「それで……どのような用件でこちらへいらっしゃったのでしょうか?何か王都で困り事でも起きたのですか?」

 

「そうだな、少し相談に乗って欲しいことがある。ふたなりの魔人リルケについてなのだ……。」

「…そのような女は知りませんね。」

一瞬表情が変わるがすぐに作り笑顔に戻す男。

「じゃああんたに関係ないことだよ。それよりも本題に入ろうじゃないか……なぁ王様?」

口調が変わったセレナは殺気を放ち、剣を抜いた。

 

しかし、それに動じることなくシリウスは答える。

「いいでしょう。あなたの実力は騎士団長に相応しいものか、見極めさせてもらいます。」

腰の鞘から細身の刀身を引き抜く。どうやら一対一の戦闘になるようだ。

 

先に動いたのはセレナの方だった。

「ほう……なかなか早いな……」

「ふんっ!」

振り下ろされた刀身を難なくかわすシリウス、すぐさま反撃をセレナに放つ。その速さと重さは明らかに人間を超えていた。

「ぐあっ!」

セレナは肩を押さえる。鎧が砕かれ、傷ついている。

「なるほど、やはりこの程度か。この程度の力で国の平和を保とうなどと笑わせてくれる!」

息つく暇もなく追撃を繰り出すシリウス。その剣技は後ろで見ていたセルヴァンも魅了するほどだった。

「これは……すごい!あの男は相当な使い手だな。」

セルヴァンは戦いを見守っていたがセレナの方が押されているように見えた。だがその時、シリウスの動きが止まるのである!

「!?なんだ!?」

「はああああ!!」

「ぬうぅ!」

セレナの放った斬撃は、その身にまとっていたマントに受け止められ、衝撃を全て吸収されてしまった。

「くくく……はははは!このマントに切れ込みを入れるとは面白い!」

セレナは距離を離して様子を見るが、シリウスはただ笑うばかりだ。そしてその笑いが止まった直後、先ほどのスピードを超えた一撃を放たんとする!その構えを見てセルヴァンが叫んだ。

「団長危ない!避けろ!」

「早い…!」

ズパン! セルヴァンの声に反応し、剣で受け止めようとしたものの受け止めきれず、セレナの右太腿に傷がつく。

「痛って…」

だがそれと同時にシリウスの持つレイピアにも深い刃こぼれができてしまった。

 

「ふむ、ならばこれでどうだ!」

再びセレナに向かい突進を仕掛ける!そしてまた、レイピアによる刺突を繰り出そうとする……はずだった。だが次の瞬間!セレナの姿を見失った。

「……なに?いないだと?」

周りを確認するがその隙を逃すはずもない。背後に現れたかと思うと、首に剣を突き立てた。

「私の勝ちだ。」

そう言って離れようとしたが、シリウスの腕が自分の腕をつかんでいて動けない。しかも物凄い力で。まるで巨大な岩石のような握力に驚く。

「貴様……何者だ?」

その問いにはこう答えるしかない。

 

「私は国王ではない。私は王を守るもの。国王に会おうとするお前たちがそれに足るかを試させてもらった。」

「だろうね。あなたが国王であると思えなかった。」

「そういうことか……。それで、結果はどうなった?」

「残念ながら合格ラインは達していない。よって私はここから退くことにする。さらば。」

すると、掴んでいたはずの腕の感覚がなくなりシリウスの前から消え去った。

「消えた?なんだ今のは……。まさか転移魔法でも使えるというのか……?」

セルヴァンは考え込むのであった……。

 

「しかし、何も情報をくれなかったな。あのシリウスという男。」

「いや、情報は得られたよ。少なくとも王城の人間はリルケのことを知っている。」

 

「それはどういう理由だ?」

「国王直属の騎士であるシリウスという男。あいつはリルケを”そんな女”と言った。私は女だと言っていないのに。」

「ああ!?」

確かにそうだ。

「ということは王城の中にリルケの情報が眠っているということだろう。なら話は早い。セルヴァン、私と一緒に行かないか?」

「……私なんかがお役に立てるとは思いませんが。」

セルヴァンは不安を口にした。しかし、セレナは言った。

 

「私とシリウスの戦いを見ていたお前が適任なんだ。頼む。お前しかいないんだ。お前は強い。隊長としてここで退くわけにはいかないだろ。」

セルヴァンは少し考えたあと口を開いた。

「…わかった。行こう!」

こうして二人は、リルケを探すために王城内へ出発するのであった……。

 

 

~ウッドパーク王城内~

 

「勝手に入っていいのだろうか。シリウスは私たちは不合格だと言っていたが…」

「門番がいいと言ったんだ。自由に散策させてもらおう。」

二人は王城内に忍び込み、そのまま奥へと進んでいく。そしてついに謁見の間までやってきた。しかしそこには、誰もいなかった。どうやら無人らしい。だが部屋に入った時、セルヴァンは気づいた。床の真ん中が四角く開いていることを。

 

「これは…隠し部屋!?」

「どうやら、私たちはこの国の秘密を知ってしまったらしいな。どうする?」

セルヴァンの顔を見てセレナは問いかける。

「ここまできたらもう進むしかあるまい。行くぞ!」

セレナは先に階段を降りる。それに続き、恐る恐る降りてみた。そこに広がっていたのは、地下通路だった。そして通路を進んでいくと、その奥にある広い部屋にたどり着く。そこにいたのはシリウスと…

 

「リルケ!?」

リルケだ。ずっと探していたふたなりの魔人リルケがいた。その顔を見た瞬間怒りがこみ上げる。何故こいつはこんなにも私たちを苦しめる必要がある?何が楽しい?セルヴァンが剣を構えようとしたその時。突然シリウスの声が響いた。

「ほう、侵入者はこいつらか……?まあいい、今殺す。」

「…!貴様、裏切るのか!それでも国を守る騎士か!」

だが次の言葉でセルヴァンの言葉を止めた。

「勘違いするな。俺は最初から国に忠誠を誓ったわけではない。俺の目的のために行動しているだけだ。お前らが死のうが生きようが関係ないのだ。」

「騎士の恥さらしめ…!」

 

シリウスが剣を抜く。セルヴァン、セレナも武器を取り構える。一触即発の臨戦態勢だ。最初に動いたのはもちろん、シリウスの方だ。一直線に突っ込んでくる!

だが次の攻撃で状況が変わることになる! セレナの放った斬撃をギリギリ避けたシリウスが着地しようとした場所へセルヴァンが突っ込み剣同士が激突!さらに次の瞬間、今度はその二人の間にシリウスが挟まる形になる。そしてまた衝突!!2対1の激しい攻防が続く。

だが次第にセレナの動きが悪くなっていく。どうやら先程の戦闘による疲れが残っていたようだ。それに焦ったのがシリウスだ。明らかに隙を見せるセレナに向かって剣を繰り出そうとしたその隙に……後ろから来たセルヴァンが現れていた!

一瞬戸惑ったがすぐに反応する。前後からの挟撃!セルヴァンとセレナはほぼ同時に剣を繰り出していたが……わずかにセレナの方が早かった。

僅かな攻撃のラグを見切ったシリウスは正面のセレナの剣をはじく。直後、セルヴァンがシリウスへと斬りかかる。しかし……間に合わない!シリウスに防御される。二人の攻撃は完全に見切られている。

 

「強い…!こんな人間が存在したとは…!」

「まだ若いな。これが実戦経験の差だ。さあ、死ぬがいい!」

再びシリウスが突進してきたその瞬間。

 

セルヴァンが前に立ち、攻撃を受け止める。ギギギ…

「まだ戦うつもりか?」

しかし答えない……。セルヴァンは左手をかざす。すると突然セルヴァンの体に変化が起こる。腕の血管から血液のようなものが流れ出る。そしてそれが空中に浮かぶ。それは赤い玉だった。その赤の玉は少しずつ変形していく。

「……なんだ?いや。これは…剣!?」

「これが私の奥義。紅き血の刃(ジークフリート)!!」

「馬鹿め……!そんなもの、効かぬ!」

しかし……シリウスは気づいていたはずだ。彼の奥の手はこれだけではないことに。そう。あの奥義は……まだ始まったばかりなのだ。突如現れた赤い光の剣が、シリウスに襲いかかる!

 

「かあっ!」

剣から閃光が迸り、シリウスに襲い掛かる!

「なっ!?」

間一髪でかわすシリウス。しかしその背後の壁には大きな穴が開いていた。

「これは……」

シリウスが初めて余裕のない表情をする。

「今のを避けたか……。ならば次はこれでどうだ…!」

「なんだと……?」

そして次にシリウスの前に現れたのは……

 

バチッ!バチバチッ!何本もの閃光が迸る!シリウスもそれをかわすが、その先で待ち構えていたセルヴァンの横薙ぎが直撃する。

 

「うおおおおお!」

ブン!シリウスを壁へと投げ飛ばした。壁に激突したシリウスは軽傷では済まない。かなりのダメージを負ったようだ。

 

しかしそこで終わらなかった。今度は上から降りてくるセレナ。彼女はなんと……空中にいたのだ。そしてそのまま剣を振り下ろす!!シリウスを床へと叩きつけた!

「ぐはあああ!!!」

「どうだ!」

だがその時、シリウスの顔が歪む……

 

「クク……ハハッ……ハーッハッハ!」

笑い声と共に立ち上がったその顔が優しい顔から変化する。

「何……!?」

「まさか……あれでも倒れないか!」

「面白い……ならもっと楽しませろ!」

三人がまた激しい打ち合いを開始する……!セルヴァンは冷静だった。この勝負が決するのは時間の問題。シリウスが動けなくなったその時が決着の時…… しかし、予想外に体力を使ったセルヴァンが追い詰められていく……。セレナは先程の戦いの疲れが残っている。

 

(あと一手足りない…!こいつを倒すには…!)

(何か…何かないか!?)

その時だった。シリウスが叫んだ。

 

「死ねえええ!」

セルヴァンに向かって突っ込む!セルヴァンもそれに答える!だが、セルヴァンの攻撃が届くより先にシリウスの斬撃の方が早い…… その剣がセルヴァンに迫った時……

「終わりだ。」

突如、セレナが魔法を唱える。

「光の刃よ、落ちろ。」

セレナの手から現れたのは光輝く剣……その剣が落ち、シリウスの腹を貫いた……!ドサッ!!地面に倒れるシリウス。もう返事はなかった。

 

「…終わったのか?」

セルヴァンも息絶えだえだ。

「ああ……そのようだ。私達の勝利だ。」

セレナの勝利宣言により、この戦いは決着を迎えたが…

 

「あ、ようやく終わった?もうさっきから退屈だったわよ~」

リルケが背を伸ばしながらこちらへやってきた。

 

「次はお前の番だ。もう逃げられると思うな!」

セレナは剣を構えながら近づく。すると……

 

「いやー悪いわねお嬢さん方。実はあたし、用事ができちゃったので、今回はこれくらいにしてもらえる?」

「ふざけたことを言うな!!」

「まぁまぁ、だってあなたたちが欲しいのってこれでしょ?」

部屋の奥にある扉が開くと、そこにあったのはリルケのアジトから持ち去られたスキュラリアの木だった。

「なに!?なぜそれを!」

驚く二人。

「だから代わりにあげるわ♪それじゃバイバーイ!」

そのまま去っていく。慌てて追いかけるセレナだが、すでに遅く、壁をすり抜ける魔法で逃げていった。

「ちっ……」

舌打ちしながら剣を納める。

「しかし、こうもあっさりスキュラリアの木を渡してくるとは…気が変わったのか?」

「わからない…だが奴は今城下町に出たはずだ。すぐに追いかけなければ!」

二人は城を脱出した。

 

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