セレナたちは光の女神ルミナを復活させるため、アルディラ大陸の各地に存在する魔王軍の四天王『四魔将』を倒す旅を始める。
~~~第2部 南の海編~~~
『オケアノス海 海岸 砂浜』
私たちは、セントリアからはるか南にあるアルディラ大陸の端っこ、『オケアノス海』にやってきた。
ここは広大な砂浜が広がるエリアであり、魚などが豊富に採れる。
『四魔将』のひとりである、『月の魔女』と呼ばれる存在がここにいるという情報を頼りにセレナ達7人はやってきたのだった…
セレナ「しかし広いな……」
広大な砂浜に目を奪われる。
ミラ「あんたの国にはこういうのはなかったの?」
セレナ「私たちがいた王都は内陸だからな。湖程度はあっても広大な海というのはここに来るために船に乗った時くらいしか見たことがない。」
ミラ「そういえばあんたたちは別の大陸から来たとか言ってたかしら……まあいいわ。こんなところで立ち話も何だし、さっさと宿を探さない?海の幸も楽しみたいし。ほら!行きましょう!」
ミラに連れられ7人は宿屋へ向かい、昼食をとることにした。
~~~海辺の宿屋~~~
ミラ「いやー今日は美味しい昼食にありつけたわね。あのイカとタコがいっぱい乗ってるパスタ、絶品だったわ。」
アリサ「はい。新鮮な素材を活かした味付けは実に素晴らしいものでございましたね。」
ソフィア「お昼ご飯が美味しかったおかげでやる気が出てきましたよ!この調子でガンガン進んで行きましょう☆」
チサ「おー!なんだか楽しそうだね!」
ミラ「そうこなくっちゃ♪」
アリサ「それではまずはこの港町で聞き込み調査をいたしますかな?」
ソフィア「それではレッツ・ゴーですよ☆」
7人は分かれて港町で聞き込みをすることにした。
***
チサ&アリサ&アルマ→情報収集。
レオン→武器防具屋の店主に話しを聞く(?)
ソフィア&ミラ&セレナ→町を見て回る。
~~~セレナ視点~~~
ソフィア「すみません。この町で最近何か事件のようなものが起きたりしましたか?」
店の主人「ああ、なんか変なお化けが暴れて女の子をさらったらしいんだ。」
セレナ「それはどんな見た目だった?」
店の主人「黒い羽根が生えた人だそうだ。でもなんだろう……その子がさらわれてからその化物が現れなくなったそうなんだよ……。」
ソフィア「えぇ!?行方が分からなくなっちゃったんですか?一体どこへ行ってしまったんでしょう?」
主人の言葉を聞き、セレナは考えるような仕草をした。
セレナ「もしかしたら…いや…まだ確信がないな。だが……一応警戒しておいたほうがいいかもしれないな。情報提供ありがとう。」
セレナたちはすぐに移動した。次にセレナは、漁師に話を聞くことにした。
セレナ「すまない。少しいいだろうか。月の魔女というものを知っているか?」
漁師の男「知ってるも何も今じゃ有名人だよ。なんでもこの海のヌシを使役するすごい魔女なんだとさ。」
セレナ「なるほど。それで……その人の容姿とか特徴を聞いてもいいか?」
漁師の男「ああ。確か銀色の髪の女性だったと思うぜ。」
セレナ「そうなのか……ん?銀色?まさかな……」
ミラ「何?思い当たる節でもあるの?」
セレナ「ああ。もしかしたら、その月の魔女の正体を知っているかもしれない。一度みんなと相談した方がいいかもしれない。」
~~~宿屋にて~~~
セレナたちは宿に戻り作戦会議を始めた。
セレナ「結論から言うと、月の魔女の正体はサキュバス、「オリビア」だと思う。彼女はアルマの知り合いだと言っていた。アルマに聞いてみれば何か分かるはずだ。それにアルマが言っていたようにサキュバスは『満月の夜に現れる』のだ。オリビアが月の魔女であることは明白であるといえる。」
チサ「ちょっと待ってよ!それじゃあアルマさんって…」
するとアルマが立ち上がった。
アルマ「黙っていてごめんなさい。セレナの言う通り、私はサキュバスです。でもあなたたちと過ごした時間はとても楽しかったし、今でもあの日々が恋しいと思っています。」
ミラ「そっか……あんたはサキュバスだけど、私達はアルマのことを信用していたから全然問題ないわよ!ねぇみんな?」
ソフィア「はい!むしろこんなに美人で素敵な女性と旅ができるなんて夢のようじゃないですか♪」
アリサ「ふふっ。アルマ様がサキュバスだとわかったところで特に変わりありませんしね。」
チサ「うんうん。アルマさんはずっとお姉ちゃんだし!」
セレナは微笑みながらアルマに言った。
セレナ「良かったな。アルマ。これからも一緒にいていいから安心してくれ。」
アルマは目に涙を浮かべた。
アルマ「うぅ……ぐすっ……あり……がとう……皆……」
アルマは泣き出した。チサが優しくアルマを抱きしめる。
レオン「ところで、次に満月になるのっていつ?」
ソフィア「えーっと…今の月の状態を見るに、3日後くらいですかね☆」
ミラ「まぁ戦いはまだ始まったばかりだし余裕はあるでしょ。」
セレナ「確かにな。よし、とりあえず準備をしておこうか。」
決戦まで、あと3日…
~次の日の夜明け頃~
海沿いの村にて……
村人「おい、見ろよ!昨日まで誰もいなかった場所に小船が止まっているぞ!」
一人の男が声をあげた。すると続々と村の人たちが集まり始めた。そして船の上には美しい少女の後ろ姿があった。
少女「…………」
村人「女の子…?何でこんなところにいやがるんだ?」
次の瞬間、船の上から少女が消えたと思ったらいつの間にか一番前の男の眼前にいた。男は一瞬驚いたもののニヤリとした。男には見えていたからだ。この距離なら避けられると……。だがそれは甘かった。気づいた時にはすでに遅く、首筋に衝撃が走りそのまま気を失ってしまった……そして少女はまた姿を消した。少女の通った後には気絶した男たちだけが残った…
~~~
セレナたちはというと、水着に着替えて海を満喫していた。
ソフィア「水かけちゃいますよ~!それー!」
バシャーン
レオン「うああああ!目に水がああああああああ!ソフィアやめてくれぇ!!」
アリサ「ふふっ。ではわたくしからも」
ブシャァッ
レオン「うおおぉ!?鼻の中に水が入って痛い!ちょっ!待って!」
ソフィア「あははは」
バッシャーン
セレナとチサとアルマの三人はビーチパラソルの下で談笑していた。
セレナ「ははは。彼らは仲良しだな。」
チサ「本当にね。私もふたなりじゃなかったら水着に着替えてあそこに混ざれるのに…」
それは私も同じだ。ふたなりである以上女性用の水着を着ることはできない。この海岸にはほかにも何人か人がいる以上、正体をむやみにさらすわけにはいかない。
チサ「それにしてもさすがは別大陸。私達の世界の湖と全然違うね。なんか透き通っていてキレイ。泳げないことが悔やまれるよ」
セレナ「ははは。そうだな。」
するとアルマが声をかけてくる。
アルマ「まだ人間はいいですよ。サキュバスに強い日差しはきついですって…ただでさえ普段はフードと長いローブで日光対策をしてるってのに…」
セレナ「吸血鬼のようなものか?」
アルマ「そんな感じです。日光に当たると皮膚が焼ける感覚があるんですよねぇ……死にはしないんですけど、普通につらいです。」
チサ「へぇ……そういえばサキュバスって夜とか洞窟内でしか出ないもんね。昼間屋外でサキュバスを見たことないな。やっぱり日中だと力が出せないとかあるのかな?」
アルマ「はい。まぁその辺も個体ごとに差があるとは思いますが……私はあんまり好きじゃないです……太陽の光は」
チサとセレナは少し悲しげな表情を浮かべた。そこにミラがやってきた。
ミラ「あんたたち、せっかくの海だってのに3人で座ってるだけ?アルマに関してはローブとフードで全身包んでだれかわかんないし。」
アルマ「仕方ないでしょう。日差しを浴びたくないんですから」
ミラ「あっそ……ところでみんな。あれ見て!」
チサ「どうしたの?」
ミラの指さす方向を見ると、そこには一人の少女がいた。
ミラ「あいつ何してんのかしら。あんな格好だしきっと変質者よ!ちょっと捕まえてくる!」
ミラが勢いよく駆け出し少女に近づいた。
ミラ「おーいアンタ!こんなところで何を…」
次の瞬間少女は不敵な笑みを浮かべるとミラの目の前から姿を消した。
ミラ「え…?」
気がつくと少女はミラの背後にいた。そして少女はミラの背中に手を当て、電撃の魔法を唱えた!
ミラ「ぐっ!?きゃあああ!!!!」
ミラはあまりの痛みに耐え切れず膝をつき倒れた。
セレナ「ミラ!!おいお前!何者だ!!」
セレナが剣を抜き構えるが少女が不敵に笑うと今度はセレナとチサの前に姿を現した。
セレナ「なっ……」
二人は身動きが取れなかった。魔法で手足を固定されていたからだ。少女はそのまま二人にも魔法を放った!
セレナ「うあああああああ!!!」
チサ「いやああああ!」
二人の体が宙に浮き上がった。
ミラ「う……あ……」
三人は地面に倒れていた。
セレナ「くそ……動けない……」
ソフィア「どうしました!?」
海で遊んでいたソフィアたちも集合し、謎の少女を取り囲む。
セレナ「油断するな!こいつは強いぞ!」
アルマ「はい!みなさん下がってください!」
アルマは杖を構えると魔法陣を展開しそこから無数の黒い手を出した。
アルマ「行けッ!!墓穴の手(ボーンハンド)!!」
しかしアルマの攻撃も当たらなければ意味はない……。アルマが手を繰り出すと同時に相手の少女の姿が消えたのだ。
アルマ「消えました!?一体どこに……」
アルマが周りを見渡すと、いつの間にか自分の背後を取られていることに気がついた。
少女「アルマ…出来損ないのあなたには消えてもらうわ…。」
少女の手には短剣が握られていた。それでアルマの心臓を背後から貫こうとしたその時!
レオン「やめろおおおおお!!」
少女の持っていたナイフはレオンの剣によって弾き飛ばされた。
アルマ「助かりました!レオン!」
レオン「早く離れてて!」
レオンは少女を睨みつける。
少女「はあ…仕方ないわ。今回は引き上げね。」
そう言って少女は浜辺から去っていこうとした。
ソフィア「待ってください!あなたは…!」
次の瞬間、そこに少女の姿はなかった。
レオン「逃げられたか……でも今のやつって……」
アルマ「はい。恐らく魔王軍の関係者かと……。この私も気配を感じることができませんでした。」
レオン「とりあえずこの3人を回復させよう……」
アリサによって回復されセレナたちは元の状態に戻った。セレナは悔しげに拳を握りしめ、アルマがセレナの肩にそっと手を置いた。
***
その夜、セレナたちは宿で夕食を食べていた。メニューには魚の活き造りが並んでいる……。チサはこの料理を見て興奮していた。
チサ「うわぁ!やっぱりここのお食事も美味しいですね☆」
チサは満面の笑みだ。しかし一方でミラはあまり食べていなかった。それを見たチサは首を傾げた。
チサ「あれれ……、お料理全然進んでませんけど……。食欲無いんですか?」
ミラ「あんたよく平気ね。料理がピクピク動いてるのよ!?食欲がわくわけないでしょうが!」
ソフィア「え~ミラちゃんも食べましょうよ~」
ミラ「ソフィアも食べるな!食べさせるな!」
ソフィア「いいから早く食べてくださいよ!これ私のオススメです。はい、あーん♡」
ソフィアがミラの口に無理矢理料理を入れた。
ミラ「むぐっ…!」
ソフィア「ミラちゃんおいしいですか?」
ミラ「ぺっぺっ!!おいしくないって言ってるでしょ!?」
ソフィア「それは残念です。もっと食べさせてあげたいところなのですが……」
ミラ「これ以上は勘弁してよ……」
その時だった。外で大きな爆発音が響く。ドオオオオオオオオンという音と共に地面が揺れる感覚を覚えた一同。慌てて外へ出ると街の中心から黒煙が立ち昇っていた。その方向を向くと同時に何かが落ちてきたような影を見つけることができた。セレナはすぐに駆け出す。
チサ「何が起きたんでしょう?」
アルマ「月の魔女?でも満月は数日先のはずじゃ…!それにあの魔力、普通の人間じゃない!」
アルマの言葉を聞いてチサも異変に気付いたようだ。
ミラ「あたしたちも行くわよ!」
チサ「はい!」