巨大なウツボカズラの怪物に変異したアルフレッドは再び体内に自身の身体を隠し、下方から触手のような蔦を竪穴通路全体に張り巡らせていく。
やっぱりというか、所長室に繋がる階段も塞がれた……こうなったらコイツを倒して蔦を枯れさせるしか、ここを切り抜ける方法は無さそうだね。
『サヤ、これだけ大きな相手……どう対処する?』
そうテイラーは少し焦った様子を見せつつも、ウルフィーを左腕で優しく抱き上げて、私の娘の安全を確保してくれた。
「あまり確証は無いけど……まずは本体が入ってる、あのウツボカズラに攻撃してみる!」
『まぁ、そうだろうな。それなら、このロケットランチャーで……!』
アルフレッドが鞭のように蔦を振るってくる中、私はG11で蔦を撃ち落としてテイラーの攻撃チャンスを作る。
「ちぃっ……チマチマチマチマと、ちょこざいな!」
「今だ、テイラー!デカい花火をブチ込んでやれ!」
『よし、食らえ!』
だが、彼のロケットランチャーから放たれた4発の直撃を受けて周囲の蔦が吹き飛ぶも、ウツボカズラ自体にはダメージが通っていないようだった。
『くっ……やはり直撃に耐えるか、あれは!』
すると、すぐさまテイラーを捕まえようと、蔦が素早く彼の足元に向けて動いてくる。
「テイラー、危ない!――わわっ!」
『しまった、サヤ!!』
その一瞬で彼を突き飛ばして庇った途端、私の両足に蔦が巻き付いてウツボカズラの目の前まで引っ張り上げられてしまった。
だけど……今度はG11を手放していないぞ!それに尻尾もフリーだって事も忘れるな!
「はははは!さぁ、どう調理して――ぐわっ!?」
「その汚い%@$(ピー音)から放しやがれ!この*%○□(ピー音)野郎!!」
「くそっ……なんて下品な言葉を使う女だ!品性を疑うぞ!」
おーおー品性ですかコノヤロー!それなら先に自分の姿を見てから言ってくださいますかねぇ!見た目ウツボカズラみたいとは言ったけど、実際はギーガーさん大歓喜な変態デザインしてっからな!このクソシスコンアルフレッド!!
「ぐぇっ!……な、何とか抜けられた」
『サヤ、無事か!?さっきの尻尾と銃撃の時に言った事は、その……奴に効く、何かの呪文か?』
「いや……知らない方が良いよ、テイラーの為にも」
知ったらきっと後悔する……粗チンだのヤリチンだのは前の彼氏に散々言った事はあったけど、ここまで男を汚く罵ったのなんて初めてだし。だって、モノローグでピー音になるくらいだぞ。
というか、少し強く尻尾振るっただけで蔦をバラバラに出来るとか、なんて力してるんだか......。
「ええい、このネズミ共が.........いつまでもチョロチョロ逃げ回れると思うな!」
何はともあれ、捕まえたと思ったら逆に反撃されたり罵倒されたからか、アルフレッドの方は壁に張り付けていた蔦までも暴れさせ始めた。
「ヤバ、今ので怒らせちゃったみたいだ……」
『だが、あれだけの巨体……あれを支えていた蔦すらも攻撃に使い始めたなら、今こそ奴を倒すチャンスかもしれんぞ』
「ほーん……つまり、"そういう事"だね。テイラー、アンタやっぱり最高のタイラントだよ」
その彼の真意を語らずとも理解し、私達は互いに頷いてから一気に通路の左右バラバラで逃げる。
「や〜い、エセ変態貴族!私はこっちだよ!」
『ネズミと侮るならは、すぐ俺達を叩き潰してみろ!』
そう2人で逃げながらアルフレッドを挑発してやると、予想通りに彼は食いついて激昂した声を上げてきた。
「この害獣共……そこまで死にたいのなら望み通りにしてやる!!」
そして、アルフレッドが最低限ウツボカズラを支える蔦だけを残して他の全てを振り上げた瞬間――私は自分が出せうる限りの全力で叫ぶ。
「そこの2本!撃て、テイラー!!」
『了解だ!今度は……外さん!!』
「なっ!?しまっ――」
それにアルフレッドが気付いて蔦を防御に回そうとした時にはもう遅く、下方へ逃げたテイラーが発射した2発のロケット弾はウツボカズラをギリギリ支えていた蔦を爆破した。
「う、ぐぉぉぉぁぁぁあ!!」
その瞬間、ガクンとウツボカズラはバランスを崩し、自らの自重で一気に下へと落ち始める。
『サヤ、やったか!?』
「いや、まだだ!」
アイツ……それでも天井に張り巡らせた蔦の1本で何とか持ちこたえるなんて!アレクシアを目覚めさせてアッサリ逝ったゲーム本編以上に、どこまでも往生際が悪い奴だな!
だけど、今ので蓋が開いて中の本体が丸見えになってる!それも、私の目の前でな!
「はぁ、はぁ……!私が、終わる……?こんな所で、こんな所でぇぇぇ――がっ!?」
「……うるさいよ」
私は必死にもがいて腕をバタバタさせるアルフレッドの頭を撃ち抜き、今度こそ完全に奴が竪穴の下へ落ちていくのを見届けていく。
「じゃあね、クソ貴族……復讐なら、あの世へ先に逝ったアンブレラの連中でやってろ」
奴に最後の言葉を手向けてやった後、テイラーがタイラント特有の身体能力で私の所に戻ってきた。
『とりあえず、これで終わったな……』
すると、そう言ったと同時に基地の自爆シーケンス放送が鳴り響いてくる。どうやら、アレクシアが向かったレッドフィールドさん兄妹の方も終わったみたいだな。
「急ごう!このままじゃ私達も巻き添えになる!」
『分かった!後は階段を塞いでいる蔦を……よし!』
◇◇◇
――それからの話。
何とか私達は南極基地が爆発する前に潜水艦で無事脱出する事に成功し、それから3日くらい漂流していた所をクリスさんと協力関係にある反アンブレラ組織に拾われた。
それからは組織に私の事やらテイラーの事やら色々聞かれて大変だったけど、それでも彼らは私達が敵ではない事を信じてくれた。
そして、彼らが用意してくれた極東の田舎町に移り住んでから早10ヶ月後.........。
「サヤ、戻ったぞ。喜べ、今日の漁は何時にも増して良い成果だった」
「おかえり、テイラー。あっ、こらウルフィー!帰っていきなりパパに飛びつかないの!」
私達が現地の言語に四苦八苦しながら平穏に暮らす中、世界の各地ではアンブレラが悪事を行っていた様々な証拠のニュースが流れるようになっていた。
.........シーナ島、スペンサーレイン号の事件といったような事が。
だが今の私達は、既にアンブレラを倒す以上に自分達の生活の方が大事になっていた。何故なら――
「そういえば、お腹の子の方は大丈夫なのか?」
そう、私の子宮には新たな生命が宿っていたからだ。医者の診断によると、お腹の子は女の子で後3週間程で産まれると言う。
「うん、順調に育ってるって。それにしても、あの時のが見事に命中するとはね〜.........ちゃんと責任取ってよね、パ・パ♡」
「元はと言えば、サヤが無理やり.........だがまぁ、俺もお前を好いた身だ。この命が果てるまで、ずっと共にいる覚悟はしているつもりだ」
「ほ〜ん?ココをそんなにして言うセリフかな〜?」
そう言って私は結んだサイドテールを揺らし、彼の股間に張るテントの頂点を軽く人差し指で弾いてやった。
抗ウィルス薬を投与して感染性が消えたとはいえ、どうやら私とテイラーに残ったL-ウィルスはいまだに悪さをしているらしい。
「くっ.........せめて、子供の見ていない所で.........」
「はいはい、分かってますよ〜.........じゃあ今夜、ウルフィーが寝た後に、ね♡」
私はウルフィーに見えないよう、右手と人差し指で丸を作ってシコシコ♥と彼に小さく舌を出して見せる。
きっと、これからもまだまだ家族は増えそうだ.........♥
そんな訳で"第1部"の最終回でした♥
ええ……すまんね、既に"第2部"の執筆は始まっていますのだよ……なので、これからも私の気力が続く限り、まだまだ付き合ってもらう事になりますよ……♠(ヒソカ並み感)