※この作品はR-18です。

エロティックハザード 外伝異聞録   作:SimonRIO

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Injury

 

それから私とギークは、現場の確保の為に残ったジョッシュ達デルタチームと別れ、バケモノになった市民や野良犬の死体の山を抜けながら鉱山内へと向かう。

 

「それにしても……あの本部から来たクリスさんって人、シェバさんの2人だけで良くこれだけの数を倒せたな……」

 

「あの人はB.S.A.A.創設時から居た、最古参の対生物兵器のスペシャリストだからね〜……なんでもT-Veronicaに関わる事件以降、ずっと身体を鍛えてたって聞くし」

 

「な、何だか会うのが怖いというか、待ち遠しいというか……」

 

「それ、本人の前じゃ絶対に言わないようにね……」

 

だって今のクリスさん、本当に強いから。下手すりゃ特撮ヒーローのアクションよろしく、頭上まで持ち上げられてポーンって投げられかねないから。

 

「さて、ここから洞窟だけど……よし、こっちに使える投光器が残ってた。暗いから、足元に気を付けて」

 

「は〜い、了解だよ。そっちこそ、コウモリとかでビックリして投光器を壊さないでよ〜?」

 

「うっ、善処します……」

 

あ、ギークったらガチガチに身体が強ばってる。

これは私が代わりに持つべきだったかな……?

 

◇◇◇

 

――とまぁ、こんな風には書いたけど。実際は洞窟内でも敵は殆ど倒されていたから、ちょっとした仕掛け扉以外はスンナリと抜けられる事が出来た訳でした……。

 

「ふぅ、ようやく洞窟から出られる……長かったな……」

 

「たった10分そこらでしょ?ギークって案外、暗い所が苦手だったんだね〜……さっきもウワァァァ!ってヤモリ程度で情けない声出しちゃってさ〜」

 

「う、うるさいな!俺はゴキブリとか、そういう暗い所に住んでるような動物が苦手なんだよ!」

 

「はいは〜い、素直に教えてくれてありがとうね。素直が一番、成長するって言うし〜……ふふふ」

 

「お前、絶対に後で何かするつもりだろ……」

 

いやいや、そんな警戒しなくても……私、何もシマセンヨ?ただ、意外とギーク君は可愛い所があるな〜と思っただけで……。

 

「それは兎も角……さっきジョッシュさんからデルタチームも確保を終えて、これから先行した2人と合流するって連絡があったからな。流石にこれ以上遅刻したら、俺もメーズィさんも大目玉を食らっちまうぞ」

 

「うん、確かにね……もう日も暮れかけてるし。だけど、この辺りの荒れようは少し妙じゃない?」

 

そう言って、私は何か大きな生物が大暴れしたような跡を指差した。見た限りだと、かなり手榴弾とか爆発物が使われたような感じだけど……何だろう、"こういうケースは前にもあったよな?"って私の脳内が警鐘を鳴らしている気がする。

 

――すると、その瞬間に私は何かが一気に迫ってくるような感覚をレーダーのように感じ取る。

 

「ギーク、屈んで!崖から何かヤバいのが来る!」

 

「えっ、それはどういう――なっ!?」

 

ギークが不思議そうな顔を浮かべた途端、私が指差していた方角の崖下からバッ!と巨大なコウモリのような影が飛び上がって目の前に着地してきた。

 

「何だ、コイツは!?こんなB.O.W.は初めて見るぞ!」

 

……私達の前に降り立ってきたのはコウモリの上半身と昆虫のような下半身を持った、どう見てもB.O.W.だと分かる異様な怪物だった。

そして、そいつの名前が「ポポカリム」である事も"前世の記憶"で私は覚えていた。

 

「ギーク、感知式爆弾だ!あの爆破跡、きっとクリスさん達がコイツと戦った時のだったんだよ!」

 

「何だって!?でも、言われてみれば……確かにコイツ、かなりボロボロになっているな」

 

「私が奴の囮になる!だから、その隙にギークは地雷を設置して!」

 

そう叫びながら奴に向かって駆け出そうとした時、おもむろにギークが私へ何かの銃を投げ渡してくる。

 

受け取ってみると、そのドットサイトが付いた銃は――

 

「これは……UMP、9!?」

 

「さっきの建設事務所でスナイパーライフルと一緒に見つけた!こんな奴を相手するんだから、少しでも火力はあった方が良いだろ!」

 

「ありがとう!それなら、後は任せたよ!」

 

ギークに感謝のサムズアップを送って、私は再びポポカリムへ向けて走り出す。

あのプラーガによる情欲を慰めて以降、脚が羽根より軽くなって走りやすい……このスピードなら、弱っているアイツの脇を簡単に取れる!

 

「こっちだコウモリ虫野郎!捕まえられるもんなら捕まえてみなよ!」

 

よし……今の攻撃で相手は食いついた!振り返りざまに翼爪で引っ掻いてきたけど、それでも余裕で避けられる!

 

私はポポカリムの攻撃を沈みかけの太陽を背にして大ジャンプで飛び上がって回避し、その逆光に怯んだ隙を突いて奴の顔面に取り付く。

そして、そのまま腰だめでUMP9の銃口を奴の左目に押し付け、思いっきりトリガーを強く引いた。

 

「おらおらおら!至近距離から受ける9mmの味はどうだ――うわわっ!?」

 

奴の左目が風穴だらけのズタズタになった、その瞬間。ふと奴から子供のような声が脳内に響いてきた事で集中力が逸れてしまい、それと同時に首を激しく振られた勢いで地面に振り落とされてしまう。

 

それにしても……「どうしてこんなことするの?」「ぼく、ごしゅじんさまをまもってるだけなのに」、か……こんな声が聞こえるようになったのも、私にプラーガが取り付いた影響なの?

ポポカリムはプラーガを応用した遺伝子技術で生まれたB.O.W.だったハズだし……無関係という事は無さそうだ。

 

「大丈夫か、メーズィさん!」

 

すると、そこへギークが駆け寄ってきて私に肩を貸して立ち上がらせてくれた。

 

「うん、ちょっと油断しただけ……ところで、そっちの方は?」

 

「もう設置してきた!君がウッディみたいに派手な大立ち回りをしてくれたから、誘導してくれれば間違いなく踏ませる事が出来るぞ!」

 

「わお、それは助かったよ〜……というか、ギークってディズニーとか観るんだ?」

 

あ、プイッてそっぽ向いて黙っちゃった。私からしたら、別に隠すような趣味じゃないと思うんだけどな〜……。

 

「まぁ、それはさておき……何処に爆弾を設置したの?私、また囮になって誘き寄せてくるからさ」

 

「そこの小高くなっている場所の坂道辺りに設置した。くれぐれも、間違って奴と一緒に爆発しないでくれよ?」

 

「OK!もし本当にやらかしたら、その瞬間はバッチリカメラに押さえといてよ!」

 

背中からスナイパーライフルを引っ張り出したギークと別れ、再び私は兎やバッタが跳ねるが如くのスピードでポポカリムの注意を引きつける。

 

……どうやら、さっきので相当キレてるみたいだ。何せ、私が目の前に躍り出ただけでも威嚇するような鳴き声を上げて息を荒らげているし。

 

「さぁ、追いかけっこの再開だ!」

 

その私の挑発に応えるように、怒り狂ったポポカリムは翼を羽ばたかせて空へ飛ぼうとする。しかし、先の戦闘で翼膜酷く傷付いていた為か、私に飛びかかろうとした瞬間に翼が変な方向へ折れ曲がって墜落してしまった。

 

しかも、顔面から転げていく先にはギークの仕掛けた感知式爆弾が……。

 

――その後はどうなったか、もはや言うまでもなかっただろう。爆発で頭を丸ごと失ったポポカリムは、首から黄色い血液をダバダバ垂らしながら倒れ伏す。

 

「な、何とか終わったみたいだな……だけど、まさか奴が自滅するなんてな」

 

「"ぜったいにとおさない!"って無理に飛ぼうとするから……」

 

「え?」

 

「ううん……こっちの話だから気にしないで」

 

気付くと私はギークと共に、奴の死体に向けて十字を切っていた。

たとえ生物兵器であろうと、彼らにも自らの意思がある……そんな事を思うと、何故だか無性にやるせない気持ちになってしまった。

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