※この作品はR-18です。

エロティックハザード 外伝異聞録   作:SimonRIO

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現実というのは洋菓子より甘くもなければ、酷く気持ち悪い味がするものだ――と、そう今の私なら迷わず答えられるのだろう。



依伝:FNC
Ten Years Ago


 

「またのご来店、お待ちしておりま〜す!」

 

1番人気のイチゴをふんだんに使ったショートケーキを4人分買っていった客に、私は普段から浮かばせ慣れた朗らかな営業スマイルを送った。

 

――このラクーンシティでも有数の洋菓子店で働いている看板娘こと"ベリー"……というのが"今の私"だ。

 

何故こんな言い方なのかと言うと……ぶっちゃけてしまえば、私の持っている記憶は"ベリーとしての記憶"と"前世のような記憶"が入り混じったようなものだからだ。

 

何せ、今の私の姿は"この世界"ではない未来の何処かで遊んでいた時のスマホアプリ"ドールズフロントライン"に登場していた三つ編みの食いしん坊っ子……FNCと殆ど同じ姿になっている。とはいえ肉体的には人間だし、戸籍的には19歳で今月には20歳を迎えるくらいではあるのだが。

それにしても、原作の時系列的には前作とも言える"ニューラルクラウド"で使われていた、チョコという名前になっていそうなものだったハズだが……どうやら、この世界の私はチョコよりもイチゴ派だったようだ。

 

そんな訳だったので、突然ハッと自分の意識が戻ってきた時には一度もやった事のなかった仕事をさせられては失敗……の繰り返しで1週間くらいは苦労した。

まぁ……こちらの身体が仕事を覚えていたお陰か、今では私の意識が戻る以前並みに仕事が出来るようにはなってきたが。

 

それでも……FNC特有の幼い外見に似つかわしくない、この胸と尻が発達したグラマラスな身体つきを目当てに来る男共の視線には、まだ少し嫌悪感で鳥肌が立ちそうにはなる。

 

「ベリー、今日も夜遅くまでお疲れさん。何だか最近は物騒なニュースが多くなっているみたいだから、夜道には気をつけて帰るんだよ」

 

「は〜い!店長さんも、いつも余り物のケーキやドーナツありがとうね!」

 

元となるFNCを意識した私服に着替え終え、私は店長さんにペコリと頭を下げて店を後にする。

 

私が働いている洋菓子店は、このラクーン発祥の大手製薬会社"アンブレラ"の衛生管理やら何やらの検査をクリアしている、所謂"お墨付き"な事もあってか割と繁盛している。

そんな理由もあって、普段から私が仕事を終える頃には既に殆どの店が閉店する程の時間帯になってしまっていた。

 

そして店長の言っていた通り、ここ最近は何かとラクーンシティ関連で妙な事ばかりが続いているのも確かだ。

 

「何だか、や〜な世の中になっちゃったね〜……」

 

アークレイ山中の心霊スポットに行けば行方不明になってしまうだとか、下水道でバカデカいワニみたいなのを見ただとか……そんな与太話のようなものではあるが。

私が世話になっていたアンブレラ出資の孤児院の方でも、最近は孤児が頻繁に入れ替わるだの何だのと聞くくらいなのだから、この街の住民は刺激に余程飢えているのだと思う。

 

そんな少し路地裏へ行けば危ないかもしれない街に転生もしくは憑依で来てしまった私としては、あまり事件とかには巻き込まれたくはないのだけれども。いくらFNCの見た目をしているとはいえ、銃を扱いきれるだけの知識も腕も無ければ、ダメ押しと言わんばかりに1990年代でスマホも無いのだから。

 

それにしても、どうも少し頭に引っかかる……私は"この世界"の事を、何となく知っているような感覚もあるのだ。

ラクーンシティという名前に聞き覚えがある気はするし、アークレイ山中から街の方で起こっているという詳細不明の殺人事件に対しても「なんだ、そんな事か」と心の何処かで考えてしまう私がいる。

 

「さて……とりあえずは何処か落ち着けそうな場所で、この美味しいケーキちゃん達を頂くとしましょうかね〜」

 

だが、そんなアヤフヤな事よりも今は貰ったスイーツを堪能するのが優先だ。

確か……この近辺なら、行きつけの"J's BAR"があったハズ。

 

◇◇◇

 

――それから数分後、J's BARにて

 

「やぁ、いらっしゃ……って、今度はベリーか」

 

「やっほーいウィルさん、また貰ったスイーツ持ってきたよ〜」

 

そうバーテンのウィルさんは文句を言いたげにしながらも、私が良く使っているカウンター席をクイと首で指し示す。

いかにもバーといった店ではあるが、こうしてスイーツの余りを貰った帰りには、深夜でも開いているここでコーヒーを頂きながら堪能するのが私の日課となっていた。

 

「はいよ、いつものを淹れたぞ。そんな可愛い見た目してブラックが飲めるとは、アンタも大した奴だよ」

 

「えへへ……毎度ありがとうございます」

 

本当ならバーで有名なワインやカルーアミルクで美味しく頂きたい所ではあるのだが……あいにく、まだ私の誕生日は来週末の先だ。

なので、それまでは大人しくコーヒーで大人の気分を味わっている。

 

果物の甘酸っぱさと濃厚な生クリームに舌鼓を打ちながらバーを見渡す。

サボり常習犯な警察やお調子者の駅員、新聞記者にバーで人気のウェイトレス……そして、モデルのように抜群なプロポーションでカルーアミルクを堪能する白髪ポニーテールの女性は、ここに入り浸っている者なら誰でも知っているような連中ばかりだ。

 

そんな中、ふとテレビに映った緊急速報のニュースを見る。その内容からすると、どうやらスタジアムの方で暴動が酷くなっているらしい。

何でも、1人の乱闘騒ぎから波及していったとか……にしても、スタジアムの外にまで広がっているのは流石に度が過ぎていると思うが。

 

……向こうの方でも、白髪ポニテの女性とサボり魔警官が今のニュースについて話している様子だ。

 

「ほーんと、たまには何にもありませんでした〜って平和なニュースが流れて欲しいもんだよ……」

 

そう独り言を呟いてカウンターに突っ伏そうとした時、新たな客が入ってきてカランカランとドアのベルが鳴った。

しかし、どうも様子がおかしい……その入ってきた客は凄く俯いていて、それに格好も全体的に酷く汚れているようだ。

 

すると、そんな中で白髪ポニテの女性が声をかけようとして、いきなりそいつを蹴り飛ばす。

 

「ヤバイヤツ!うわっ……ちょ、力強いんですけど!?」

 

すぐさま彼女はバーの扉を閉めたものの、今度は何人もの人物がドンドン!バンバン!と金具が軋む程に強い力で押し入ろうとしていた。

 

窓の外を見て分かったのは、その俯いている連中は全て目が白く濁っていて口元は血塗れだった。

あんな姿じゃあ、まるでゾンビみたいだ……!

 

「上だ、上に上がっていけ!隣のマンションに移れるハズだ!」

 

ガヤガヤとごった返していく店内でそんな一声を聞いた私は、すぐさまケーキもコーヒーも置いて階段を駆け上がる。

そして、後から上がってきた人達と協力して屋上から隣のマンションへ飛び移っていく最中、下の階で銃声が聞こえてきた。

 

どうやら、誰かが殿を務めてくれているらしい……お陰で、とりあえず暴徒……というかゾンビ達からの危機を脱する事は出来た。

それから私は散り散りに逃げていく人達に混じって大通りに抜け、何台も事故を起こしている道路の脇道から路地裏へと逃げ込んだ。

 

「はぁ、はぁ……っ!な、何なの……いきなり街がゾンビだらけとか、洒落にならない……!」

 

だが、その道中で何度となくゾンビに襲われて悲鳴を上げながら喰われていくのも見てきたが為に、薄情だと思っていた私の心は自分でも意外なくらいに疲弊していた。

 

こみ上げてくる吐き気を何とか抑えつつ、記憶を頼りに路地裏から電車の線路に出れる場所を目指して進んでいく。

こんな状況で電車が動いているかは甚だ疑問ではあるが、交通事故だらけで通れなくなっている大通りの惨状よりは希望がありそうだ……。

 

◇◇◇

 

「か、かなり歩いた……足むくんじゃいそうだよ〜」

 

それから十数分程ゾンビに警戒しながら進んでいった先で、私はようやく地下鉄"カイトブロス・レールウェイ"への入口を見つけて階段を降りていく。

 

すると、駅構内に降り立ったと同時に黒い影がいきなり目の前に現れて何かを横に振り抜いてきた。

 

――ヤバい、これ斧だ!!

 

「っ……あっぶなっ!!」

 

私が間一髪で屈んで回避すると、その青年は壁に突き刺さった消火斧を引き抜こうと踏ん張っていた。

すぐさま私は攻撃してきた相手に飛びかかって、その両手を掴んで床に押し倒す。

 

「ぐぁっ……!?」

 

見ると、私に斧を振るってきたそいつは黒いパーカーに身を包んだ、だいたい今どきな高校生くらいのアジア系っぽい長い銀髪の男子だった。

 

「ちょっと君!いきなり何するのさ!私は外のゾンビ共じゃないよ!」

 

「へっ?な、何だ……そうだったのかよ。それならそうと最初から言ってくれ……危うく殺人を犯す所だっただろ、あの化け物以外で」

 

そう言った青年は壁から斧を引っこ抜いてから、構内に転がっている首無しの死体を指差した。

暗がりで良く見えてなかったけど、なるほど……この子も私と同じく駅に逃げ込んできたという訳か。

 

「それで、ここには君1人だったの?他にも誰か駅にいるの?」

 

「いや、とりあえず今は俺1人だけだ……あっ、俺はラクーン大学に通ってる"ユウ・タカハシ"ってモンだ。まだ17だけど、これでも飛び級で入れたくらいには頭良いんだぜ!」

 

「へー、そうなんだ……」

 

そんな自慢げに話された所で、今の状況ではビックリも何もしないのだが。

人間、大きな騒ぎに巻き込まれていると他人の事に興味を持てなくなるとはいうが……なるほど、こういう事か。

 

「で、アンタは?」

 

「あっ、うん……私はベリー。ラクーンで有名な洋菓子店で働いてるって言えば、今どきな若者の君なら分かるでしょ?」

 

「まさか……あの大通り沿いにある、老舗チェーン店の!?うわっ、マジでラッキーだ〜俺……やっぱり、そういう所で働いてると余り物とか貰えたりするの!?」

 

「たまにはだけどね〜……まぁ、それも今回の騒ぎのせいで全部台無しって感じだけど」

 

そう言ってから、私はユウと共に苦笑いする。

本来ならば私だって、こんな危機的状況以外で彼と出会いたかったと思う程の好青年だ。

……それこそ、J's BARで未成年な彼をからかいながら酒を飲みたいくらいには。

 

「でも、私達だけじゃ電車は動かせないし……ユウ、こうなったら警察署の方に避難してみない?」

 

「いや、もう警察署もヤバい状況だ……さっきまで避難して警察の人達と一緒にゾンビ共を追っ払ってたんだけど、それでもダメだった……今じゃ奴らの巣窟になってるかも」

 

「う〜ん、そっか……」

 

まさかの悪い知らせに、私は思わず顔をしかめて腕を組んでしまう。それを見たユウは少し申し訳なさそうに俯いてしまった。

 

「仕方ない、それなら街の外まで線路を歩いていくしかないね。とりあえず外のゾンビ共に対抗出来るよう、分担して武器とかを調達しよう」

 

「OKだ、ベリー。それなら俺は線路側の方を調べてくる。それと、一応アンタにもコレを渡しておくよ」

 

そう言って、ユウはスポーツバッグから私に調理用ナイフを渡してくれた。いやまぁ、私の方が2つ歳上なんだけど……。

 

「うん、ありがとう……ユウの方こそ、気を付けて調べてよね。ここ、何だか嫌な空気を感じる……」

 

「あぁ、分かってるさ。ベリーさんも、もし死ぬとなった時はデカい悲鳴で知らせてくれよな」

 

銘柄が良さそうな代物だったので、きっと何処かの店から拝借した物なのだろうが……こんな状況だ、遠慮なく使わせてもらうとしよう。

 

◇◇◇

 

ユウと分かれた私は早速、構内に散乱していた物品から折り畳みナイフやハーブ類を回収し、彼が倒したゾンビの死体からもハンドガンを拝借する。

 

グロック17か……拳銃ですら使った事は一度も無かったけれど、この際なりふり構ってはいられない。

 

「よしよし、これで持てるだけの武器は手に入れた。次は、ユウが開けてくれてたっていう職員用スペースを調べていこうかな」

 

本人曰く、「鍵が掛かっていたから力技で開けてやったぜ☆」との事だったが……こんな緊急時でなければ確実に牢屋行きな案件だ。

……まぁ、そう言う私もゾンビと化した駅員の頭をブチ抜いたり、仮眠室や分電室を漁らせてもらったりしてはいるのだが。

 

そういえば、改札受付の方で精液やら何やら酷い匂いがしていたが……まさか、駅内に逃げる途中に見かけた光景で、女性がかなりの割合でゾンビ共に犯されていた事と関係があるのだろうか。

 

「何にせよ、あんなのに犯されたくはないかな……」

 

人生経験値こそ多いものの、私だって初めては誰にも捧げた事が無い。それがこんな事態でゾンビに奪われたとなったりしたら、と思うだけでもゾッとする。

 

もし可能であるなら、初めてはユウのような青少年に――って、何を考えてるんだか私は。

今はとにかく、分電室で電力を回復させるのが先決だ。幸い、拾ったファイルによれば電力さえ何とかなれば自動で電車は動いてくれるらしいし。

 

「えっと、分電盤を動かすにはパネルの数字の合計が10になるよう入れ替えて……よし、入った!」

 

ピピピッ!という音と共にランプが赤から緑に変わり、私はグッと小さくガッツポーズをする。

だが次の瞬間、いきなり強い衝撃と重さが背中に直撃してきた事で、思わず仰向けの体勢で転んでしまった。

 

「なっ……ぅ、嘘でしょ……!?」

 

その私を押し倒してきた奴がハサミムシを巨大化させたような怪物"シザーテイル"である事を知った私は、ピークに達した嫌悪感や恐怖から半ばパニックになりつつもハンドガンを相手に乱射する。

 

「この!離れろ!離れろ!離れ――あぐっ!?」

 

しかし、そんな必死の抵抗も虚しくハンドガンはカチカチと弾切れの音を鳴らし、それと同時にシザーテイルの牙が私の両胸を左右から挟むように噛み付いてきた。

 

「う、ぐ……ぁ、うぅ……っ♥」

 

ジク、ジク……♥と噛み付かれた所から胸全体に熱い何かが広がる感じがする……ひょっとすると、毒を流し込まれてるかも……!

 

そう考えていると、シザーテイルはハサミムシ特有なペンチのようになっている尻尾を持ち上げて、ズリュゥ♥と先端から赤黒く熱気を発する生殖器を露出させてきた。

 

――ヤバい、このままじゃ犯される!!こんな虫の化け物に!!

 

「ひっ!?いや、止めて……ヤダ、ヤダヤダヤダヤダヤダヤダぁぁ!!」

 

それが私の股間に当てられようとした時、突如として振り下ろされた斧によってシザーテイルの尻尾が腹部から切断される。

そして、暴れ狂う相手に斧を再び振り下ろしてトドメを刺した人物を見ると……。

 

「ふぅ……ギリギリセーフって感じだったみたいだな」

 

「ユウ!戻ってきてくれたの!?」

 

「あぁ、探索から戻ってきたらヤバそうな悲鳴が聞こえてきたもんだからさ。それで電車を動かすといえば、と直感で〜……ってな感じだ――って、ちょわっ!?ちょ……ベリー?」

 

「ごめん……少しだけ、こうさせていて……」

 

そんな自信満々で誇らしく笑うユウに私はさっきの事に対する安心感からか、ついつい彼に抱きついてしまっていた。

 




という訳で第3弾が始まっちまいました、テヘ☆(可愛くない)
今回は大きく時系列が遡って、ラクーンシティのバイオハザードを舞台にFNC似の子がエロ……エラい目に合う事となります〜。

ついでに本家様のキャラも一部ゲスト出演してたり……絡みはほぼありませんでしたがね〜。
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