ある日突如として世界から光が消滅した。
それは太陽であり、炎であり、雷であり、そして人々の希望でもあった。
そしてそれに呼応するかの様に空の上、地の底、海の中から異形の化け物たちが這い出し地上を埋めつくしていった。
これは世界に光を取り戻す物語である。
ベッドから身体を起こし伸びを1つして固まった身体を解す。
妙な夢を見たなという感想しか浮かばない。
周りは薄暗く、5メートル先も見通せない程暗い世界を巡る夢。
吐き気を催す様な様々な生物を繋げて造ったとしか思えない生き物や、何倍もある巨大な化け物たちから何度も殺されては逆に殺す事を繰り返す夢。
準備を進め会社に向かおうと扉を潜った瞬間世界が切り替わったかの様に目の前に広がる景色は廃墟。
いつも目にする道路も家も無い、有るのは瓦礫と闇だけ。
朝見た夢の様な光景に慌てて後ろを振り返るも壁が聳え立つだけ。
全身に緊張が走り冷や汗が出てくる。
先が見えない闇の中を手探りで前に進んでいく、ある程度前に進むと目が慣れてきたのか人が居るのが分かった。
その人は地べたにお尻をつけ壁に寄りかかっている。
真っ暗闇の世界の中で初めて見つけた人間に駆け寄った。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げてしまったのだった。
日常ではまず見ることがない人の死体、こみ上げるものが有り反射的に吐き出してしまっていた。
口の中が気持ち悪く、不愉快な臭いが辺りに漂い始める。
胃の中のモノを出しきったにも関わらずそれでもなおえずいてしまう。
それ程に異様な光景、それなのに何故かまたその死体に目を向けてしまう。
すると幾つかのおかしな点に気が付いた。
服はゲーム等で見かけるレザーアーマーと呼ばれる物であり、致命傷と成ったであろう傷は鋭利な物で切り裂かれているのだ。
それだけならコスプレイヤーが何らかの事件に巻き込まれただけだと理解出来る、だが肩口から胸元にかけて3本の傷痕が刻まれているのだ。
刃物よりも太く深く肉を抉り取られた様なその傷口な途方もない恐怖心を煽ってくる。
こんな傷を付ける様な生き物が近くに居るという絶望感。
途端に吐き気が戻りまたも吐き出してしまっていた。
先程ので全部吐き出していたのか今度は粘っこい透明な液体が喉を焼きながら口から出ていく。
何度もえずく、歯の根が合わずガチガチと音を発て身体はブルブルと震えてしまう。
それ程に今目の前にある光景はこれ迄の常識とは外れている。
それでもこの場にいつまでも踞る訳にも行かず先程までよりもより慎重に歩みを進めて行く。
すると先程の死体の持ち物だったのか1本の剣が落ちていた。
手に取ってみるとズッシリとした重さが腕にかかる。
人を容易く殺せる生き物相手にこんなのが何の役に立つのか分からないが何も無いよりもマシだろうと思い両手にで確りと持ってジリジリと進んで行く。
すると今度は木をつなぎ合わせて造られた盾を見つけた。
固定出来る様に成っているバンドに腕を固定し、周りを警戒しながら進んで行くと大きな扉にたどり着いた。
此処まで一本道だったため脇道なども無かった、フッと息を吐いて力を込めるとギギギッと軋んだ音を発しながらゆっくりと開いて行く。
扉を開くと奥に居た大型犬よりも2~3倍の大きさを誇る犬に切り裂かれた。
傷口が熱を持ったかの様に熱く、流れ出る血と尿が身体を濡らして行く。
そしてその犬が噛みつこうと口を大きく開いたところで意識を手放した。