フリーレンとフェルンが精液をしぼり取ろうとするので、俺みたいな陰キャ大学生じゃ身がもたない件について 作:a-su
長めの物語ですが、どうぞ最後までお付き合いください。
イエス・キリストの生誕から二千と二十年後。
日本。近畿地方の田舎町。
「な、な、なん、なんだって?」
ジョウという名の青年は、つっかえながら聞き返した。自宅の居間にへたり込んだまま、フリーレンと名乗った女を見る。
フリーレンは
「聞こえなかったのかい? なら、もう一度最初から説明するよ」
澄んだ声だが淡々として抑揚がない。ジョウが師事する歴史学の教授とよく似た口調だ。対人関係への無関心さと、揺るぎのない知性を感じさせる。
「わたしはエルフだから人間のことがよくわからなくて、『人間を知る』ために旅をしてるんだ。その途中で、異世界である『ニホン』に迷いこんでしまってね」
エルフ。そうらしい。確かにそう見える。
なにしろフリーレンの耳は尖っていて、長い。ジョウがかけているメガネの幅と同じくらい、十五センチはありそうだ。
大学では「どうしようもない歴史オタ」と呼ばれているジョウだって、現代の若者だ。スマホでゲームくらいする。エルフという種族は耳が長くて、長命で、そして架空の存在ということくらい知っている。
いまジョウは、自分の正気を疑っていた。目の前でとうとうと話す「エルフ」の存在もそうだが、何より────
「そして『元の世界に帰るためには、ゴドクラ=ジョウの精液が必要不可欠』という事実を知ったんだよ」
「なんでやねん」
思わずツッコんだジョウの目前で、フリーレンがぺこりと頭を下げる。
「頼むよ。わたしに精液を提供してほしい」
この自称エルフは、ついさっき虚空からとつぜん現れた。そしてジョウを見るなり、「お前の精液が必要不可欠みたいだ」と言いだしたのだ。
(うん、夢だなコレ。夢だ。昨日オナニーしなかったから、こんな都合のいい夢を見るんだ)
───この日から五十年後。老人となった
長く連れ添った“妻”とお茶を飲みながら、あの時の自分はまだまだ正気だったな、と。
フリーレンとフェルンが精液をしぼり取ろうとするので、俺みたいな陰キャ大学生じゃ身がもたない件について
自宅の庭で、ジョウはスマホを耳に当てていた。
「それで、おばあちゃんの容態は?」
『どうって事ないよぉ。骨は折れてないし』
「よかった」
母の明るい声に、ほっと胸を撫で下ろす。実家の祖母が転んで病院に運ばれたというメッセージに、肝を冷やしていたのだ。
『お見舞いに来てよ?』
「そりゃ行くよ」
『マスクある?』
「うん」
『おばあちゃん、あんたが大好きなんだから』
「知ってるって」
『今朝も「生きてるうちにジョウちゃんのお嫁さんが見たいわぁ」って』
またそれか、とジョウは鼻を鳴らす。可愛がってくれる祖母の願いは叶えてやりたいが、今のところアテはない。
ジョウの予定帳は講義とゼミ、バイト、それから趣味の
「モテないオタクで悪うございました」
『それからね』
「なに?」
『その、「結婚式でお爺ちゃんの着物を着て欲しい」って』
ジョウは空を見上げた。五月の空は、分厚い雲に覆われて薄暗い。
祖父の着物は
『あのねジョウ、お父さんの知り合いが』
「ごめん、切るわ」
ジョウは返事を待たずに、さっさと通話を打ち切った。雑草が生い茂る庭から縁側に上がり、居間に戻る。
ちょうどフリーレンが、ジョウのコレクションを物色しているところだった。
「なに勝手に開けてんだ!」
「おおっと」
残念ながら夢でも幻でもなかったフリーレンは、畳に置いた木箱から古文書を取り出していた。怒鳴り声を聞いて、居住まいを正す。
「悪かったよ。わたしも魔導書の収集が趣味なものだから、古そうな書を見るとつい」
もっとも、大して悪びれてもいない。しれっとした顔で古文書を戻し、木箱のふたを閉じて脇に置く。
(分かるだろ俺。頭のおかしいコスプレイヤーか、さもなきゃペテン師の外人だ)
そう自分に言い聞かせながらも、ジョウはついつい質問してしまう。
「魔導書?」
「魔法の本だよ」
「それぐらい分かる。そういう事は聞いてない」
「ジョウ、もう少し書の手入れをすべきだよ」
「聞けよ人の話を」
古文書は、ジョウが趣味で集めたものだ。戦国から江戸時代にかけて、この地方で記されたものが多い。だがほとんどは二束三文のつまらないものだ。手入れもされず、整理もされず、誰にも必要とされていなかった。
「この家もだ。まるで忘れられた古木じゃない」
「そりゃ、百三十年前の木造だから」
「そこそこ新しいじゃん」
「いや明治時代のだぞ」
造りこそしっかりした家だが、あちこち劣化している。すき間風もひどいし、壁の痛みも激しい。
フリーレンが立ちあがり、ジョウの横を抜けて縁側に近寄った。
「自然がいっぱいだ」
「ほっといてくれ」
縁側から見渡せる庭は荒れ放題だ。生い茂る雑草の合間から、ジョウがエサをやっている野良ネコたちが顔を出していた。
「ふふ」
振り返ったフリーレンが口角を上げた。笑顔とも、哀れみとも取れる曖昧な表情をしている。
「笑ってんのか、それ」
「そうだよ、人間には分かりづらいだろうけど。わたしはエルフだから、喜怒哀楽の感情表現が乏しく見えるみたいだね」
魔導書。
エルフ。
喜怒哀楽の感情表現が乏しい。
「わたしの世界でもニホンでも、人間の感性はあまり変わらない。面白いね」
わたしの世界。
ニホン。
「一つも面白くない」
ジョウは、靴下を畳にこすりつけながらフリーレンをにらむ。
「異世界だ魔法だって、そんなものはない」
「あるよ」
「ない。常識だ」
「それはこの世界の常識じゃない?」
「何がこの世界だよ。さっきから日本語しゃべってるだろうが」
怒気をはらんだ声にも、フリーレンの表情は変わらない。むしろ自慢げな声音で、言葉を継ぐ。
「それは、『言葉が通じるようになる魔法』のなせる業だよ」
ジョウは頭をかきむしった。
きのう共同浴場に行かなかったせいか、フケが出て色あせた畳に落ちる。
掃除が面倒くさいなと思ったところで、ジョウは気づいた。
「お前、靴!」
「え?」
フリーレンはブーツのままで畳に立っていた。
よく見ればあちこちに足跡が残っている。
「脱げよ!」
「どうして?」
「き・た・な・い、だろうが!」
「あちゃー。文化摩擦かぁ」
「そういうのいいから! 靴脱いで掃除しろ!」
ジョウは、フリーレンのブーツを脱がせにかかる。留め具を強引に外し、紐をほどく。
フリーレンは、あんがい素直に従った。ブーツからタイツに包まれた足を抜く。
「うっ」
「ちょっと、嗅がないでよ」
「嗅いでねえって」
「鼻、動いてるよ」
「いや、だって」
ぷうんと、紅茶のような匂いがするのだ。アッサム茶葉を使ったブレックファスト・ブレンドのように香ばしく、それでいてフレッシュな匂い。
「なんだ、これ」
「魔法だよ」
顔を上げると、フリーレンがジョウを見下ろしていた。なんとも感情の読めない目つきで、静かにこちらを観察している。
「ブーツをいい匂いにする魔法だ」
「なんだそれ。その──くだらない、魔法は」
ジョウは鼻で笑おうとした。だが上手くいかない。
フリーレンの足は、本当にいい匂いだったのだ。ジョウの現実感や常識を、吹き飛ばすほどに。
「くだらないか。やっぱり感性が近いね」
「あっ」
ジョウは目を見張った。
なぜって、フリーレンが手を掲げると、虚空から現れた杖がその手に収まったのだ。
「もう一つ、くだらない魔法を見せてあげようか。そうだな。『汚れが花に変わる魔法』なんて、どうだろう?」
杖が振られると、しゅわしゅわと音を立てて畳の色が変わっていく。やがて茶色い汚れは消え去り、代わりに可憐な花々が咲いていた。
「うそだろ」
古びた畳に、花が咲いている。
ふふん、と胸を張るフリーレンの前で、ジョウは思わず口元を押さえた。
「すげえ。まるで魔法だ」
「まるで、じゃあないでしょ」
「ああ──そうか。魔法なんだ」
ジョウは首を縦に振る。
(異世界人で、エルフで、魔法使いなんだ)
そういう認識が、ストンと心に落ちてきた。
(異世界って、どんな所なんだろう。どんな歴史があるんだろう)
魔法はどういう原理なんだろう。魔王や勇者はいるんだろうか。 異世界の風俗習慣は、ジョウの知るものとどう違うだろうか。
行ってみたいとジョウは思った。狭くて苦しい今から逃げて、見たこともない世界に行ってみたいと。
「やっと信じてくれたか」
フリーレンが笑う。先ほどのようにあいまいな表情ではなく、目を細めて大きく口角を上げ、自慢げに笑っている。
ジョウはふと口にした。
「お前、笑うと可愛いな」
「かわいい?」
フリーレンは、長いまつげをパチリと瞬かせた。まるで訊いたこともない言語を耳にしたような、不思議そうな表情だ。
「小さくて、繊細で、きれいだ」
「……………………?」
沈黙するフリーレンを例えるなら、鑑賞物になる種類の岩石だろうか。エーゲ海の白く輝く
「変なことを言うんだね」
「そうか?」
「そうだよ。そんな風に褒めてきたのは、ジョウが初めてだ」
異世界には、見る目のない男しかいなかったらしい──そんな風に思いながら、ジョウはフリーレンの指をまじまじと見つめてしまう。
(指、たおやかだな)
さて。
美しい女から精液をくれと言われて、性行為を期待しない男がいるだろうか。細くてしなやかな指でペニスを刺激され、そして射精に導かれたいと、期待しない男がいるだろうか。
(あ、やべ)
少なくともジョウは、フリーレンから精液を搾り取られる光景を思い描いてしまっている。ズボンを脱がされ、フリーレンのひんやりとした手でペニスをしごかれるところを。
フリーレンが、ちょこんと首を傾げる。
「よく分からないけれど、ジョウの精液をもらえるって事でいいのかな?」
ジョウは、ふたたび首を縦に振った。
◆◆◆
「いってえぇえぇ!」
「早く出して」
フリーレンの手が、せんべい布団に横たわるジョウのペニスをしごいている。性的快感を得られる動きとは真逆の、強い力と素早い動きだ。
「早く」
「いてえって、ちょっと待て! いてえ!」
じたばたと暴れると、さすがにフリーレンは手を止めた。
「お前な、この、下手くそ!」
「なんだよ、その態度」
フリーレンが顔をゆがめる。まるで痛いのは自分だとでも言いたげだ。
「おい、おい、触ったことないのか、男のぉ」
「あるよそれぐらい、失礼な。これでも集落じゃあ、羊の種付けを管理していた事もあるんだ」
「ひつじ!?」
美少女エルフがフフンと胸を張る。どうやら動物のオスと人間の男を一緒くたに考えているらしい。
ジョウのペニスが、へにゃへにゃと力なく
「なあ、お前、長く生きてるんだよな」
「そうだよ。千年以上生きてる」
「千? なら、子供は? 何人産んだんだ」
「は? 子供なんかいないよ」
「じゃあ、その、今までセックスとか、まさか」
「セックス? ああ、交尾のことか。うん。わたしは交尾したことないよ」
ジョウの中で、エルフという種族に対するイメージが音をたてて崩れていった。
「子供って、どうやってできるか知ってるか?」
「知ってるよ。交尾して、オスがメスの肛門に入れて射精すると、メスのおなかの中で卵が割れるんでしょ」
「絶妙に間違ってるよチクショウ!」
ジョウはフリーレンを突き飛ばして布団から転がり出た。股間を抑え、畳の上でうずくまる。
「お婿にいけない」
「なにしてるんだい?」
「千年も生きてて処女のババアにガシマン、じゃない、ゴリチンされて、大事なところが千切れそうなんだよ!」
フリーレンが再び手を伸ばしてくる。
ジョウは股間をサッとガードした。
「なんかごめん」
「一ミリも申し訳なくなさそうな顔して言うな」
「あの、精液は」
「出るか!」
「むう」
フリーレンは、しゅんとした顔を作ってみせた。ただ、見るからに不服そうだ。
「やめだ、やめ。俺が自分で紙コップにでも出して、それ渡してやるから」
ジョウの性欲は吹っ飛んでいた。千年の恋も冷めるというやつだ。股間の痛みに顔をしかめながら、部屋着のズボンを上げようとする。
「良くない、ダメだ。わたしの手でジョウを射精させないと。精液、出してもらわないと」
フリーレンは畳の上で正座すると、ぺこり、と頭を下げた。
「改めてお願いする。精液を出して欲しい」
「だから自分でするって」
「お願いだ。わたしの手で」
「意地張るなよ」
「そうはいかない。このままじゃあ、わたしの気が済まないんだ。処女ババアだとかバカにされて、すっごくムカついた。わたしの手で、ジョウを射精させてみせる」
フリーレンはもう一度頭を下げた。言葉だけ聞けば淫乱にも変態にも聞こえるが、なんの邪念も感じさせない。そんなワケはないが、ジョウのことを思って一生懸命なようにさえ見えた。
(なんだこの可愛い生き物)
知的なのに、無知で無垢。神秘的なのに、意地や見栄に囚われている。
不思議なギャップを醸し出すフリーレンに、ジョウはとうとう降参した。ズボンを直し、こちらも正座して頭を下げる。
「ごめん、処女ババアは言い過ぎた」
フリーレンが顔を上げる。長いまつげをパチパチさせて、緑の瞳でジョウを見つめてきた。
その仕草が可愛くて……白い髪や肌が、まるで足跡をつける前の新雪に見えて、ジョウの胸がうずく。
「……じゃあ、もう一度やってもらうか」
「ありがとう、ジョウ」
「その前に、教材を見てもらうけど、いいか?」
「教材?」
「人間の女が、男を射精させるところ」
◆◆◆
テレビ画面の中では、AV女優が男のアレをしごいている。チャプターのタイトルは、『お姉ちゃんの優しいハンドマッサージ。好きなだけメガネにかけていいよ♪』だ。
「なるほど。うわー。ほう。なるほど」
フリーレンは、ジョウの隣で画面をのぞき込んでいる。まるで新しいおもちゃをもらった子供のようだ。しきりに感心しながら大きな目をぐりぐりと動かして、人間たちの性行為を学習している。
「この世界の魔法も面白いね」
「魔法じゃなくて科学な」
実家から持ってきた小さなテレビと、粗大ゴミだったDVDプレイヤーとが、まさかエルフに性行為を教える教材になるとは。
「ジョウ」
「ん?」
「ちょっと失礼」
「うわっ」
やおら手を伸ばされ、苦痛の記憶がよみがえる。だが、錯覚は一瞬だった。
「こう? これくらいかな」
フリーレンの指が、ジョウの脚を撫でている。穏やかなリズムで、ズボンの上から繰り返し撫でてきた。
「こうすると人間は射精に近づくんでしょ」
「えっ、あっ、うん」
ジョウは素直に頷いた。確かに、気持ちいいと言えば気持ちいい。
そう言えばAV女優も、男優の太ももを撫でてあげていた。本格的な行為に入る前の、ウォーミングアップだったはずだ。
「痛くないかな」
「うん」
フリーレンはジョウの太ももを撫でさすりながら、少しずつ少しずつ、指先に力を込めていった。
指が筋肉を押し、筋に沿ってスライドするたびに、くすぐったいような感覚が走る。心地よいマッサージに、ジョウの体がポカポカし始めた。
「上手いな」
「ずっと旅を続けてきたから。野宿も多かったし、よく仲間とお互いにマッサージし合ったよ」
ふうん、と相づちをうったジョウは、まじまじとフリーレンを見下ろす。
(こいつこんなにちっちゃいのか)
体温を感じる距離にいると、改めてフリーレンの小ささが分かった。小さな足、細い手首、華奢な肩、艶めく長い髪。フリーレンは小柄で華奢で、なのに美しい。
「頭、撫でないでよね」
「え? ああ」
「よし────うん、大きくなってきたね」
いま画面で流れているのは、ジョウにとって見飽きたAVだ。ただ見るだけでは勃起できない。
だけど、今は隣にフリーレンが座っている。そしてジョウの体をマッサージして、心地いい快感を与えてくれる。
だから血が集まる。下半身を丁寧にもみほぐされた事で、ジョウのペニスは勃起し始めていた。
「脱がすよ。いい?」
「いやに丁寧だな」
「さっき乱暴にするなって言ってたじゃん」
「あ、うん。ごめん」
ジョウが謝ると、フリーレンは緑の瞳を瞬かせた。そしてふと微笑む。
「謝らなくていいよ。わたしもジョウに酷いことをしたみたいだから」
フリーレンはジョウの前に移動し、ズボンとトランクスを太ももの半ばまで下ろす。そして露出したペニスをまじまじと見つめると、「おおー」と感心するような声をもらした。
「これが人間の、男性の生殖器かあ」
「さっき見ただろ」
「チラ見と観察は違うよ」
「おい、指で測るな」
「長さ十五センチ、太さ三センチ」
「プライバシーを要求する」
「猿よりは大きいけど、馬よりは小さい」
「デリカシーって言葉知ってる?」
「これはなかなか、興味深いな。どれ」
フリーレンは指先を伸ばし、ちょんちょんとジョウのペニスをつついてきた。くすぐったいような刺激だが、勃起しかけにはちょうどいい快感だ。
ペニスの先端で
「これは精液?」
「いや、滑りをよくするための液」
「ふうん。滑り、ねえ」
フリーレンは興味深そうに顔を近づけると、鼻をスンスンさせて匂いを嗅いだ。鈴口から数センチの距離で、小顔の割に高い鼻筋をひくひくさせる。
びきっ、びきびきっ……!
「うわあ」
「うわあって言うな」
ペニスが一回りは膨れ上がった。長さも太さも、はっきり分かるほど増している。早鐘を打った心臓から海綿体へ血流が次々と流れ込んで、サオ部分は木のように、亀頭は毒キノコのように変じていた。
「なんで大きくなったの」
「お前の顔が近いから」
「顔となんの関係が」
「か、かわいいから」
「またそれ? 変なの」
フリーレンは、ペニスに顔を近づけたままジョウを見上げた。
真っ赤に充血した亀頭のそばに、愛らしいエルフの小顔がある。未使用ながらもオゾましい肉の矢じり、オスのピンクがエルフの白とえげつないコントラストを描き出していた。
「わたしの一体どこが────」
「肌がきれいだ。白くて」
フリーレンの肌は生白く、なめらかな頬の輪郭には産毛さえ生えていない。それでいて血の赤や静脈の青が透けることもなく、薄桃色の唇だけが色濃い。
「髪も」
二つに結んだ白い髪が、破れた障子から差し込む陽光を受けてきらめいた。染料で染めた不自然な色合いではなく、芯から透き通るような白さだ。
「目も」
小さな顔には大きすぎるほど大きな目。そこに収まった瞳と光彩は、古代エジプトで「緑の火」と呼ばれたエメラルドを思わせる透き通った緑。
「耳も」
エルフの特徴である尖った耳は、この小さな顔と細い首によく似合っている。耳たぶは人間のそれと比べれば薄くて小さい。桜色をした表面に、きらめく
「あ……フリーレン」
「なに」
ジョウは気づいた。
耳たぶの表面に、ほんのりと赤みが差している。エルフの白い肌に咲いた、一輪の花のよう。
(綺麗だ)
フリーレンも、この接触になんらかの興奮を覚えている。ほっそりした体の中で、きっと心臓を脈打たせている。
そう確信したジョウは、フリーレンの耳たぶにそっと手を伸ばした。指の腹で触れると、やはりそこは熱く火照っている。
「ちょっと、なに」
「熱いぞ」
「あつい……けど、これは」
何か言おうとするフリーレンの目前で、ペニスがさらに反り返った。ジョウの腹にくっつきそうなほど屹立して、パンパンになって、ドクンドクンと脈を打つ。
「あ……っ」
フリーレンが、大きく目を見開いた。ひらいた唇の中からわずかな吐息を漏らし、ペニスから目を離せないまま固まっている。ジョウの目前で小さなお尻を畳にペタンとつけ、重々しく反り返るオス肉をエメラルドの瞳で凝視している。
「ぁ………………」
「さ、触れっ」
ジョウは命令した。
自分でも情けなくなるほど上ずった声が出た。命令しているのに、懇願しているような声だ。
「触れよ、フリーレン」
「さわる……」
フリーレンの右手が、おずおずと伸びてくる。親指でさえ、ジョウの小指よりも細いかもしれない。そんな
「うっ」
「ごめん、痛かった?」
「いや違う。違くて……その……」
(気持ち良すぎる)
親指の腹が裏筋に、人差し指の関節が亀頭と竿の段差に当てられている。残りは幹の部分だ。
ほんのわずかな圧迫感から、ジンジンと快感が染み出してきていた。カチカチになった肉棒に絡む細い指の表面から、ゾクゾク感が忍び込んでくる。
「ここは……痛くない?」
フリーレンの親指が亀頭に触れ、触れるか触れないかのタッチで表面をすべる。指先の内側、指紋のある部分で、ゆっくり、輪郭を確かめるように亀頭を撫でていく。
くすぐったさの奥でぞくっとする快感が走り、ペニスがビクついた。
「射精しそう?」
「まだ」
ウソだ。見栄だ。
フリーレンの指先から鮮やかで強烈な快感が流し込まれ、ジョウはあっという間に追い立てられている。
なのに、フリーレンの指が止まった。
「どんな感覚なのかな」
「いや……その」
「ん?」
フリーレンが小さく首をかしげる。緑の瞳に見つめられ、ジョウは唇を開いた。
「気持ち……いい」
「どこが気持ちいいの」
「お、お前の指が……触ってるとこが」
「ここ?」
フリーレンの小さな爪先が尿道の小さな割れ目をなぞると、ぞわっとした快感が広がった。カウパー液の分泌がさらに増え、尿道口から垂れた透明な液体が幹をつたう。
そのしずくを指の腹で塗り広げながら、フリーレンはさらに唇を開く。
「気持ちよさと射精に、関係は、ある?」
「うう、気持ちよさが、射精のトリガーで、うう、てっぺんまでイくと、反射的に、出ちまう」
「つまり、快楽が頂点に達すると、精液が、うん。じゃあ、わたしがジョウを気持ちよくしてあげないと、だね」
フリーレンの長い耳にはほんのりと朱が差し、額には汗がにじみ出ている。白髪がひとすじ頬に張り付いて、フリーレンが木や石ではないことを──つまりは、肉体と心を持った生身のオンナであることを──強く実感させる。
なんかヤバい────ジョウはそう思った。自分はいま、何か得体の知れない衝動に引っ張られて、どんどん深みへと引きずり込まれている。取り返しの付かない何かを、このエルフの美少女に見いだして────だが、もう遅い。
「フリーレン」
「なに」
「お前、なんか、エロいな」
「えろい?」
フリーレンは目をしばたたかせた。長いまつげも白なので、まるで鳥の羽がはばたくようだ。
「エロいって、なに」
「性的な魅力がある、って事だ」
「性的魅力?」
フリーレンは混乱したように目を泳がせながら、何度も「性的魅力」とつぶやく。
「よくわからないけど、ジョウが、わたしを見て気持ちよさを感じるなら、いいのかな。それで」
「ああ、それで」
「じゃあ……どうすればいい?」
「上下に、シゴいて……」
フリーレンは両手でペニスを握ると、ゆっくりとしごき始めた。白魚のような指が醜いオス肉に絡みつき、裏筋をこすりながら上下する。
細い指の輪がカリ首に引っかかると、自分でも驚くくらいの勢いでカウパーが漏れ出た。
「うぁっ、あっ」
フリーレンが手を上下させるたび、プクプクに張った亀頭が刺激されてカウパー液が押し出される。それが潤滑油となって、白い手の上下動をより滑らかなものにし、また肉棒からのシビれる快感を生み出すという循環ができあがった。
「あっ……ぐっ……」
「気持ちいい?」
しこ、しこ、しこ、しこ……
フリーレンが上目づかいで問いかけてきた。もちろん小っちゃな手でチンポしごきながらだ。
その仕草は反則級に愛らしく、ジョウは「うぁっ」と声を漏らしてしまう。
「フリーレンっ」
「もっと気持ちよくなって。いくよ」
「うっ、ぐぅっ」
しこしこっ、しこしこっ
フリーレンの手に力がこもり、ペニスをしごく速度が上昇した。ぬちょぬちょと粘液質な音が高まり、熱と快感が指数関数的に上昇していく。
フリーレンの指はしなやかで細く、つるつるしていてやわらかい。その指先が亀頭を包み込み、カウパーと手汗を潤滑液にして、湿っぽい音を立てながら上下している。
「こうでいい? ジョウ、こうでいいのかな?」
「うん、うんっ」
そこには何のテクニックもない。ただジョウの高まりをよく観察して、一番反応のいい強さと速さでしごいているだけだ。ただただジョウの精液を必要として、そして、ジョウのことを考えてくれているだけ。
(あー、ダメだこれ)
ジョウは内心で白旗を揚げた。これ以上は耐えられない。
「フリーレン」
「ん」
「出そう」
「……うん」
フリーレンは手を休めずに、じっとジョウを見つめた。
手の動きは一定だが、優しく丁寧で休みもしないし離れもしない。リズミカルな上下動を繰り返してカウパー液を泡立てながら、親指と人差し指の輪っかでカリ愛撫を繰り返す。
「出そうなの、精液」
「ああ」
「このまま手の中に出す?」
「ああ……ッ!」
童貞大学生のガチ勃起チンポから分泌された体液が、フリーレンの小さな手をぐしょぐしょに汚していた。二人しかいない古民家の居間をぐじゅっぐじゅっと淫らな音で満たし、処女エルフの初めて手コキを滑らかにしてから、茶けた畳の上に落下していく。
「気持ちいい?」
「最高だっ」
「よかった。じゃあ……射精して」
フリーレンは右手でしごきながら、左の手のひらを亀頭にかぶせてきた。柔らかい手のひらをパンパンの亀頭に密着させ、軽く圧迫する。繁殖欲の頂点を示す白い粘液の噴出を押さえ込み、一滴たりとも逃さないように──
「ジョウの精液を、ちょうだい」
どくん、とペニスが跳ねた。睾丸のなかで煮詰まったスペルマが、尿道口から一気に噴き出す。フリーレンの優しく丁寧な愛撫を欲望する体液が、フリーレンの小さな手によってシゴき出され、今まで体験したことのない勢いで次々ドピュっていく。
「うぁっ、うあアっ」
熱い液体は、速度と圧力をもって柔らかい手のひらへ叩きつけられた。密閉しようとするフリーレンの意思に反し、出口へと殺到するスペルマが、指と指の間からぶびゅっ、びゅくっと噴き出す。
「きゃっ」
「あっ、ああっ、出てる……っ」
指の間をすり抜けた飛沫がフリーレンの頬に飛んで、小さな悲鳴を上げさせた。白い頬に黄ばんだ粘液がまとわりつき、フリーレンの小さくまとまった美貌を汚していく。
(フリーレンの手と顔にぶっかけてる……)
ジョウは絶頂の快感に身をよじらせながら、最後の最後まで精液を吐き出しつづけた。
やがて、フリーレンの手のひらが離れる。軽くサオ部分をしごきながら、緩慢に、白い粘液をベトつかせながら離れていく。
「ジョウは健康だね」
どろりとした半固形の粘液が、フリーレンの左手を汚し尽くしていた。手のひらからあふれて、手首や袖まで達している。指と指の間には、やや粘度の低い液がアーチ状に垂れ下がっていた。
「これが精液」
「ああ……そうだ」
「ありがとう。これで、帰ることができる」
フリーレンの全身が、ぼんやりと光りだす。
「そんな」
もう帰ってしまうのだろうか。ひとときの夢は終わって、ジョウだけが狭くて小さな現実へ残されるのだろうか。
「さよなら、ジョウ」
「フリーレンっ」
「あ……」
胸が詰まったジョウは、思わずフリーレンを抱きしめてしまった。小柄なエルフの体が腕の中にすっぽりと収まり、体温と肌触りと鼓動、ついでに精液のナマ臭い匂いを感じる。
「ああ、フリーレン、俺もっ」
その時だった。ジョウの精液が、光を放って破裂したのは。
「は?」
「あれ、おかしいな」
ジョウは呆気にとられた。フリーレンもだ。二人してぽかんと口を開け、宙に消えていく虹色の精液を見つめる。
二人が向ける視線の先、何もない空間に亀裂が走った。パリン、パリンとガラスのように「割れて」いく。そして──
「フリーレンさまっ!」
「うおっ!?」
ジョウは素っ頓狂な声を上げた。空間の裂け目から、一人の少女が飛び出してきたからだ。
長い髪が宙を舞った。およそ日本家屋には似つかわしくない、アニメキャラみたいな紫のストレートヘア。
「フェルン。追ってきてくれたんだね」
「フリーレン様っ、ああ、ご無事、で、……?」
紫の少女は、唖然としながらフリーレンを凝視している。いや正確には、ペニス丸出しの見知らぬ男に抱きしめられて体液で汚された、レイプ寸前に見えなくもないフリーレンを、だろうが。
(続く)
ここまで読んでいただきありがとうございました。お気に入り・感想・評価など、いつもありがとうございます。更新の励みにしております。
次回は、エッチなビデオを見たフェルンが発情してしまうお話です。お楽しみに。