※この作品はR-18です。

フリーレンとフェルンが精液をしぼり取ろうとするので、俺みたいな陰キャ大学生じゃ身がもたない件について   作:a-su

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最終話 異世界エルフと美少女魔法使いとの新婚旅行

 イエス・キリストの生誕から二千と二十年後。

 日本。近畿地方の田舎町、茶倉(ちゃくら)

 

 十二月の二十五日は、大安吉日(たいあんきちじつ)にして晴れだった。冬にしては気温も比較的高い。

 

「ジョウちゃんの結婚式に、絶好のお日和ねえ」

 

 祖母は車椅子から空を見上げ、喜色満面である。

 一方の()()(くら)ジョウは、後ろから車椅子を押しながら、そっと奥歯を噛みしめていた。

 

 ◆◆◆

 

 心地よい風が、茶倉の伝統ある神社の拝殿(はいでん)に流れ込んでいる。そして神職の祝詞(のりと)もまた、ジョウの耳に心地よく響く。

 

「──大御神(おおみかみ)をはじめ、茶倉に(まし)ます神々のもとへ、御堂倉の嫡子(ちゃくし)ジョウ、遠けきより()うでたまひし女フリーレン、女フェルンの三人、祝詞(のりと)奏上(そうじょう)()(まゐ)らせたまへと(かしこ)みて申す……」

 

 ジョウは家紋付きの(はかま)で、フリーレンとフェルンは(しろ)無垢(むく)の花嫁姿。頭を垂れる三人の後ろには、ジョウの祖母、両親、妹、その他の親族たちが正装で並んでいた。

 今日この日、ジョウとフリーレン、そしてフェルンは新たな家族となるのだ。

 

(いにしえ)より茶を(はぐく)み、神とともに歩みし茶倉の里にて、人と精霊の(こん)をもって、互ひの魂を結ばんと誓ふことを、御前(おんまえ)奏上(そうじょう)す……」

 

 もちろん、難しいことの多い結婚だ。フリーレンとフェルンは日本の戸籍を持っていないし、一夫一妻という法の定めからも外れている。

 実際、街にあるチャペルからは挙式を断られた。これからも、そんな困難が幾度となくジョウたちを悩ますだろう。

 

「ジョウ、フリーレン、フェルン、三人一心に生み成す子らが茶倉に芽吹き、ともに末永く栄えんことを、重ねて祈念(きねん)(たてま)つる……」

 

 それでも、茶倉の歴史がジョウたちを祝福してくれた。古文書が、昔はこうした形態の嫁取りはよくあった、と説得する根拠になってくれたのだ。

 ジョウは、今日この日ほど茶倉に生まれたことを感謝した日はない。しかし同時に───。

 

(胃が痛い)

 

 責任の重さに、ジョウは何度となく奥歯を嚙みしめていた。

 大学は卒業させてもらえる事になったが、もう学生気分ではいられないだろう。茶倉の製茶産業を一手に担う御堂倉家の跡取りとして、身を粉にして働かねばならない。

 

(俺に、できるんだろうか)

 

 歴史を受け継ぎ、受け継がせるために、茶倉を守る。子や孫の代にまで茶倉を存続させるために、新しい風を起こし続ける。フリーレンとフェルンと、生まれてくる我が子とが生きていく()()()()を守らねば。

 

「では、三三九度の盃を……」

 

 祖母がしてくれたように───そう思いながら、ジョウはまた奥歯を噛みしめた。

 

 ◆◆◆

 

 誓いを交わした後の披露宴は、祖母の体調を考えて、実家が営む茶舗(ちゃほ)でのお茶会となった。

 

 様々な人々が訪れた。茶倉の有力者たちに、トンネル向こうの街から訪れた議員と秘書、大学の教授にわずかな学友。バイト先のリーダーや古物商のじいさん、それから物見遊山の観光客たちまで。

 

 ジョウは亡き祖父から受け継いだ仕事着を身にまとい、自慢の茶葉で入れたお茶を振る舞った。フリーレンとフェルンも、動きやすい和服に着替えて挨拶に回る。フリーレンは自然体で、フェルンは緊張でガチガチになりながら。

 

 その姿を見た祖母は感涙にむせび、二人がいかに素晴らしい嫁かを吹聴して回る。車椅子で縦横無尽に動き回り、訪問客たちに「元気な婆さんだ」「トシを考えろ」と苦笑されながらも、祖母はひたすらに「幸せだ」と繰り返した。

 

 ◆◆◆

 

 やがて夜は更け───。

 

「お兄ちゃんのバカ」

「面目ない」

 

 酔って足下がおぼつかないジョウに、妹のルリが肩を貸してくれていた。もう、と口をとがらせながら、実家の玄関先でへたりこんだジョウを小さな体で支え、どうにか家の中まで入れてくれる。

 

(あー。フリーレンとフェルンを連れていかなくて正解だった)

 

 温泉旅館を貸し切って行われた二次会で、ジョウはさんざんに酒を飲まされていた。昭和生まれの爺さん連中に「よろしくお願い致します」と酒を注ぎに行っては、『美人の嫁が二人とはけしからん。飲め!』と何度も飲まされたのである。

 

 最も、ジョウの側にも、深酒の原因が無いではなかった。

 

「緊張してたからって飲み過ぎ」

「ほっとけ……結婚って、思ってたより……」

 

 ジョウはどうにか自力で立とうとしたが、ふにゃふにゃと腰が立たない。壁に背をもたれさせて、どうにか姿勢を安定させる。

 そんな兄を、妹が叱った。

 

「御堂倉の跡継ぎなんだから、もっとしっかりして。ほら、さっさと水飲んで!」

 

 水が入ったコップを差し出しながら、まだ中学生の妹は甲斐甲斐しく面倒を見てくれる。

 

「なあ、ルリ」

「なに」

「認めてくれるのか」

「ふん」

 

 ルリは、靴下をはいた足でジョウの足をげしげしと蹴ってきた。

 

「お、おい」

「ばーか」

 

 そして冷たい目と口調のまま、

 

「認めないんだから」

「そうかよ」

「会社も家も、いつかルリが奪ってやる」

「やれるもんなら──」

「でもさ」

「最後まで言わせろ。なんだよ」

「“お姉ちゃん”たちを泣かせちゃダメだよ」

「なあ、矛盾って言葉知ってるか?」

「うるさい、バカ兄貴」

 

 ルリが、ジョウの髪をくしゃくしゃと撫で回した。もう寝ろ! とピシャリ一言、さっさと台所の方に引っ込んでしまう。

 ジョウは壁に背を預けたまま、しばらく妹の小さな背中を見つめていた。

 

 ◆◆◆

 

 そのうちに、壁の時計から出てきたハトがポッポーと時を告げる。日付が変わり、十二月二十六日がやって来た。

 イエス・キリストの生誕から、二千と二十一年後が始まったのである。

 

「よし」

 

 ジョウは気合いを入れ直し、立ちあがった。

 

 ◆◇◆◇◆

 

 結婚式から数日経ったある日。とある高級旅館の客室。フリーレンとフェルン、そしてジョウは浴衣姿でそこにいた。

 

「お肉が食べたいです」

「あとで(くま)()(うし)のステーキが出るらしいぞ」

「ジョウ、お鍋に入ってるのは何て魚?」

「クエ。今が旬だぞ、身もスープも最高だ」

 

 新婚旅行である。妊娠の安定期に入り、二人が自由に動けるうちにと、日本の和歌山県にある(なん)()白浜(しらはま)にやって来たのだ。

 

「旦那様、お酒はいかがですか」

「……少しだけもらおうかな?」

 

 とは言え妊婦には違いないから、日程は二泊三日と短めだ。

 それなら雪の降らない近場で、太平洋の美味な海鮮と歴史の長い和牛、日本三古泉に数えられる白浜温泉、そして動物園のパンダを愛でるくらいで丁度いい───とは、祖母の弁だ。

 

「ジョウ」

「ん?」

「したい」

 

 ジョウがお猪口(ちょこ)を干すや否や、フリーレンがしなだれかかって来た。指を絡めながら、胸に顔を埋めてくる。

 しっとり濡れた緑の目。浴衣が乱れて、白い太股がちらりとのぞく。

 

「おいおい、食事中に」

「ステーキが運ばれてくるまでの間。ね」

 

 日本酒の香りが抜けるより先に、ほのかなフェロモンがジョウの鼻先をくすぐった。

 

「濡れちゃった?」

「言わないでよ」

「ご無沙汰だもんな」

「うん」

 

 なにしろ急なデキちゃった婚で、フリーレンもフェルンも戸籍のない異世界人だ。結婚準備は目の回るような忙しさだった。妊娠初期の不安定な体調も相まって、ここ一ヶ月は性的な接触を控えざるを得ず───。

 

「一ヶ月も我慢したから、もう、その」

 

 フリーレンが、もどかしげに太腿を擦りあわせる。自分から浴衣の胸元を緩め、うっすら汗ばんだ素肌をちらりと覗かせてきた。

 

「あの、お鍋が煮えてます」

 

 一方のフェルンは、菜ばしでクエの白い切り身を取り分けていた。お椀にポン酢を注いだり小口ネギを散らしたり、かいがいしく新妻業に勤しんでいる。

 

「ジョウ」

「うーん」

 

 ジョウは、実のところ乗り気ではなかった。結婚式の疲れがまだ残っているのか、それとも酒が回ってきたせいか。それに、いつ仲居が部屋に来るかも心配だ。

 すりすりと体をこすりつけてくるフリーレンの頭を撫でながら、低い声で釘を刺す。

 

「キスだけだぞ」

「うん」

 

 フリーレンは、ジョウの首に腕を回してきた。逃がさないと言わんばかりだ。

 

「ん───はむ、ちゅ……ん、ふ」

「もう、二人とも」

 

 やがてフリーレンのキスが本気モードに入と、フェルンが鍋の火を切って立ち上がった。音もなく師の隣に座ると、師弟で顔をすり合わせるようにしてキスに加わる。

 

「ん、んん、ちゅ」

「旦那様、フリーレン様……ん、んぐ」

 

 フェルンの舌先が、ジョウの口角をなめ回す。

 フリーレンの舌が男の口腔から抜け出し、フェルンと呼吸を合わせてジョウの唇を愛撫する。

 最高の新婚花嫁ふたりによる、濃厚な舌愛撫。

 

(息、あっつ)

 

 なのに、ジョウは受け身で応じていた。

 花嫁たちが新婚旅行で高ぶっているんだろうとは理解しつつ、なぜか乗り気になれない。嬉しさと戸惑いが半ばする、自分の心持ちが理解できなかった。

 

(疲れてるからかな)

 

 フリーレンとフェルンをお嫁さんにできた喜び半分、これからの夫婦生活に対する不安半分──なのだろうか。

 やがて仲居が追加料理を持ってくるまで、どこかすれ違った新婚夫婦の交歓が続けられた。

 

 ◆◆◆

 

「きて」

 

 豪勢な夕食を食べ終わると、フリーレンは、言葉少なにジョウを誘った。ぐいぐいと腕を引っ張り、布団に引きずり込もうとする。

 

「こら」

 

 ジョウは軽くたしなめ、布団から這い出ようとした。

 

「いや」

 

 だがフリーレンはそれを許さない。夫の体に手足を絡めて、絶対に離さないとばかりにしがみついた。色っぽく潤んだ瞳で見つめながら、口元をとがらせる。

 

「わたしに誘わせるなんて、プレイのつもり?」

「そうじゃないけど、ちょっと疲れてて」

「ひどい。こっちだけイヤらしいみたいじゃん」

 

 丸っこい眉毛を逆立てて、フリーレンは夫の股間を撫でさすった。浴衣を割り、浮き上がったカタチをトランクスの上からなぞる。

 

「もうこんなにして」

「それは……まあ」

 

 ジョウは不能になったわけではない。浴衣姿のフリーレンを魅力的だと思っていて、下半身を反応させている。ただ、頭の中の回路がどこか歯抜けになっているような、奇妙な気分なのだ。

 

「ねぇ交尾、交尾しよ? 子作りしよ?」

「もう妊娠してるだろ」

「二人目できるかも知れないじゃん」

「できるか」

「止しましょう、フリーレン様」

 

 ふすまや窓を閉めていたフェルンが、そっと声をかけてくる。

 

「もっとのんびりしませんか」

「フェルンばっかりいい子ぶって」

「旦那様とは初めての旅ですから、楽しむための体力を残しておきたいんです。それに」

 

 フェルンがジョウに目配せする。

 

「旦那様もお疲れでしょうから」

「うん」

「今夜はゆっくりしていただきましょう。ね?」

「むー」

 

 フリーレンは不満げに頬を膨らませた。どこかフェルンを思わせる、子供っぽい仕草だ。

 だが、二対一を押し切るのは気が引けたのだろうか。ジョウの頬にキスすると、自分の布団に潜ってしまった。

 

「おやすみ」

「ああ」

 

 ジョウは大浴場に行かず、部屋でシャワーだけを済ませた。フェルンが甲斐甲斐しく体をふいてくれる。

 

「マッサージしますね」

「うん、いつもありがとう」

「どういたしまして」

 

 布団の上でジョウの背に乗り、背中をさするように揉みほぐす。フェルンいわく、彼女の母親が父親によくやっていたらしい。

 

「悪いな、フェルンだって疲れてるのに」

「妻ですから」

「もっと恥ずかしそうに言え──あだだっ」

 

 フェルンは全体重を指先に集め、ジョウのツボをギューッと押した。

 

「茶化すと怒りますよ」

 

 そうして、横たわるジョウの耳元に口を近づけ、そっとささやく。

 

「私もガマンしているんですから……」

「ごめん」

「謝らなくてもいいです」

「そうか?」

「はい。私はあなたを支える妻で……」

 

 ジョウの耳たぶを、フェルンの舌先がゆっくりとなぞる。先端はじっとりと濡れていた。

 

「……あなたの赤ちゃんの、お母さんですから」

「ん……ゆっくり休んで、明日を楽しもう」

「はい、お父さん」

 

 そんな二人のそばで、フリーレンの布団がもぞもぞと動いている。

 

 ◆◆◆

 

 翌日。

 フェルンが選んでくれた観光コースは、定番中の定番だった。白良浜や千畳敷で太平洋を見て、とれとれ市場でマグロに舌鼓を打つ。午後はアドベンチャーワールドでパンダに手を振って、サファリバスで動物たちを眺めるコースだ。

 

「あれは何て動物だろう」

「フリーレン様、あれはキリンというらしいですよっ」

 

 妻たちは、最後尾の席ではしゃいでいた。太平洋もマグロも、地球の動物たちも、異世界と茶倉しか知らない彼女らには珍しいのだろう。「地球のカメはのんびり屋さんですね」とか、「ゾウなのに耳がある」とか、ずいぶん楽しんでいるようだ。

 

「ほら、ジョウ」

「ん?」

「写真撮って」

 

 コートを着込んだ温かい格好のフリーレンが、スマホを手渡してくる。今朝はだいぶ不機嫌で布団から出ようとしなかったのだが、フェルンに「私たち、母親になるんですから」「子供のお手本にならないと」と叱られたのが効いたらしい。

 

 ジョウは新米亭主としてご機嫌とりに励む覚悟だったのだが、どうも拍子抜けした気分だ。

 

「ほら、早く早く」

「はいはい」

 

 スマホを構えるジョウの前で、フリーレンがうっすらと笑顔を浮かべていた。

 改めて、美しい女だと思う。冬の陽に透ける白髪も、緑に輝く瞳も見慣れたものだ。だけど見るたびに、ジョウは心を奪われそうになる。

 

「綺麗だ」

「ん……」

 

 パシャリ。

 

 率直な賛辞に目を細めるフリーレンの姿が、スマホのカメラに切り取られた。

 写真を確認することなくスマホを仕舞い、フリーレンはジョウの手を握る。視線は合わせてこない。

 

「今朝はごめんね」

「え?」

「わたし、ワガママだった?」

 

 はいともいいえとも言えず、ジョウは口をつぐむ。その代わりに、フリーレンと繋いだ手を自分の頬に寄せた。フェルンが見ているが、今はフリーレンの機嫌取りが最優先だ。

 

「わたし、おかしいかな。人間のお嫁さんだったら、あんな事は言わない?」

 

 にぎにぎと、フリーレンはジョウの手の甲を撫でさすった。窓に目を向けたまま、ジョウの手の甲に爪を立てる。

 サファリバスが停車した。窓の外では、二頭のライオンが仲睦まじくじゃれ合っている。アナウンスによれば夫婦らしい。

 

「教えて、わたしの旦那様」

 

 ジョウは、フリーレンの手を握り返した。妻が何かを知りたい()()()()()()事くらいは、分かるつもりだ。

 

「おかしくない、と思う」

「うん。ありがとう」

「夫婦なんだから、わがままくらい当たり前だ」

「ジョウはわがまま言わないけどね」

「そうか?」

「そう。最近は、すごくガマンしてる」

「分かるんだな」

「それも、そう。わたしはエルフだけど、ジョウのことなら少しは分かる。……お嫁さんだから」

 

 フリーレンの指が、ジョウの指の間に滑り込んでくる。まるで夫婦の絆を確かめるように、何度も絡み合う指先。関節と間接の凹凸がこすれあうたびに、甘い痺れが指先からジョウの全身に這い回った。

 

「長生きできないのが怖い?」

 

 ジョウとフリーレンを結びつけた、「運命の人と子供を作る魔法」。その影響で、ジョウは生命力の消耗が激しい。フリーレンが気にするのは、やはりその事だろう。

 だがジョウは、ゆっくり首を振った。

 

「寿命を気にしてるんじゃない」

「じゃあ、なに?」

 

 バスの中で他の乗客もいるというのに、フリーレンは大胆に行動した。しなだれかかるように体を寄せてくる。

 そうしながら、こちらの手を自分のお腹にもっていった。少しだけ膨らんだ腹の中に、フリーレンはジョウの子を宿しているのだ。

 

「この子の前で、ウソはつかないでね」

「ああ」

 

 我が子が宿ったお腹を撫でる。そうしていると不思議なもので、どこか歯抜けになっていた頭の回路が繫がれていく気がした。問題がプレッシャーや疲労なんかではなかったことに、今さらのように気がつく。

 フリーレンは、まだ視線を合わせてこない。

 

「何が辛いの」

「俺の旅って、きっとこれが最後だから」

「旅が?」

「この旅で、お前たちと一緒に地球の観光名所を見て、思い出を作って。それが終わったら、もう俺は旅行に行く暇なんかなくなるんだ」

 

 かつてジョウは、古文書を集めて過去に思いを馳せ、歴史の中に遊ぶのが好きだった。いつか日本中を巡りたいと思っていたし、フリーレンが現れてからは、異世界への旅すら夢想するようになった。

 

 だがそれも、もう終わる。フリーレンとフェルンをものにしようと、ジョウは家を継いだ。そして二人を妊娠させた以上、ジョウの人生は定まった。身を粉にして、()()()()と彼女たちのために働くのだ。

 

「わたしとフェルンじゃ、代わりになれない?」

「駄目だよ。お前たちの存在は、大きすぎて……俺の心に空いた、ちっぽけな穴にはハマらないんだ。大は小を兼ねたりしない。代わりにはならない」

 

 それが辛い。

 自分の夢が小さすぎると、そんな程度のものだと気づいてしまったのが辛い。

 歴史が好きだったのは単なる逃避で、フリーレンとフェルンのためなら目を背けてガマンできてしまう程度のものだったと気づいたのが辛い。

 

「ジョウ、今からわがままを言うよ」

「うん」

「子供が生まれたら、わたしは旅に出る。この世界に魔法がないか、それを確かめたい」

 

 フリーレンが、ようやく視線を向けてきた。緑の瞳には一滴の涙も無く、目がくらむほどの輝きに満ち満ちている。

 そこに、ジョウは「格の違い」とでも表現すべき差を感じ取った。

 

 フリーレンは、まるで物語の主人公だ。

 彼女が歩む物語の中で、ジョウは端役に過ぎない。回想シーンの中、ほんの一場面だけで語られるワンオブゼム、その他大勢の一人だ。

 ───知ったこっちゃない。

 

「一緒に来て。地球をあちこち見て回ろう?」

「だめだ」

「わたしは一人でも行くよ」

「行かせない。俺のそばにいろ」

「束縛するつもり? どうやって?」

 

 ジョウは体を乗り出して、フリーレンの小さな体を窓の方に押しつけた。

 ちょうどサファリのライオン夫婦が、交尾を始めたところだ。バスの乗客たちがどよめき、ガイドさんが大げさなリアクションで煽り立てる。

 いいタイミングだ。

 

「こうやって……」

 

 フリーレンの耳を、指の腹で撫でた。下側の根元をくすぐり、とがった形に沿って上へ上へと……耳のラインをフェザータッチで愛撫していく。上端に達すれば、今度は吐息を吹きかけながら、クリトリスを愛するがごときタッチでしごいた。

 

「あっ」

 

 フリーレンの背筋が、ビクンと震える。

 

「子供が生まれたら、すぐに二人目を仕込んでやる。その次は三人目。四人……五人、六人。俺が死ぬまでに、十人は産んでもらうぞ」

 

「あ……あ……」

 

「旅なんかさせない。ずっと大きなお腹を抱えて、俺とえっちな思い出作りだ。交尾しまくるぞ」

 

「うぁ……」

 

 フリーレンは身をよじりながら、か細い悲鳴を上げた。その瞳に宿るのは恐怖と、それを上回る欲情の炎である。

 

「十人産むまで、生きててくれるんだ」

「約束だぞ。俺を一人にしたら許さないからな」

「うん、うん。いいよ、十人産むまで、ジョウと一緒にいる」

 

 フリーレンは、ジョウの首の後ろに手を回し、自分の方に引き寄せた。

 ぴちゃぴちゃと唾液のからむ音が、バスのエンジン音にかき消される。

 

 ずっと黙っていたフェルンが、しきりにスマホをいじり始めた。

 ジョウとフリーレンのスマホが、LINEのメッセージ受信を伝えて震える。

 

『もう宿に帰りましょう』

『二人だけでイチャイチャして、ずるいです』

『私も十人産みますから』

『私も十人産みますから。いいですね?』

 

「はは」

「えへへ」

「もう」

 

 夫婦で微笑みあうと、二人は再び唇を合わせた。

 交尾を続けるライオンたちの元に、もう一匹のメスライオンが乱入してきた。ライオンたちのハーレムが、もつれ合いながら乱交を始める。

 

 ◆◆◆

 

 露天風呂の湯が、冬の空気に白い湯気を立ち上らせていく。客室に付属する、専用の露天風呂だ。ひのき造りで、白浜温泉の新鮮な湯が常になみなみと注がれている。

 

「いいね、気持ちいい」

「素敵です。来てよかった」

「「ねー」」

 

 湯船の中で、フリーレンとフェルンが声を合わせた。髪を解いたフリーレンは右から、髪をまとめたフェルンは左から、ジョウにしなだれかかっている。二人して、ジョウの腕に胸を押し付けていた。

 

 フェルンのたわわな果肉がむにゅりと形を歪め、フリーレンのささやかな丘陵と薄い産毛の感触が二の腕をくすぐる。

 

「フェルン、そのおっぱいなに?」

「何って、おっぱいですけど……きゃっ」

 

 フリーレンは、水面からこぼれ出たフェルンの胸を、右手でわしづかみにした。指の間からはみ出る柔肉が、グミを思わせる弾力を持つ。

 

「うわ柔らかい」

「ちょっとフリーレン様?」

「腹が立つね」

「十年も一緒にいて、今さら嫉妬しないでください」

 

 二人とも声を荒げるタイプではないから、言い争う時でさえ物静かだ。それがまた、温泉の中で心地よさを演出してくれる。

 よく温もった肌と静かな嫉妬に包まれながら、ジョウは夢見心地に目を閉じた。

 

「赤ちゃんできてから、ますますおっぱい大きくなったよね」

 

「あの、フリーレン様。ご自分が大きくならなかったからって、八つ当たりしないで下さい」

 

 フェルンはそう言うが、実はフリーレンのふくらみも大きさを増している。何度も何度も揉んだジョウには感触の変化が分かる。妻たちの肉体に、自分の精子が確かな影響を与えている───もう、なんというか、男として最高の幸せだった。

 

 その感触を同時に味わってみたい。ジョウは二人に合図して、湯船の中で立ち上がった。

 

「わ」

「う、わぁ」

 

 妻たちが目を見張る。湯の中から現れた男根は湯気を割き、禁欲期間の憂さを晴らさんと天を衝く。

 

「はぁ、すごい……」

「たくましくて、素敵です」

 

 フリーレンとフェルンが、湯船から上がったジョウの股間に顔を寄せる。その距離では肉茎の先端が二人の鼻にくっつきそうなのだが、気にする様子もない。

 

「もっとイヤらしく言ってみろ」

 

 最愛の妻たちがそんなだから、ジョウだって調子に乗る。肉欲いっぱいの棒をびんびん跳ねさせながら、もっと淫靡な言葉を要求してしまう。

 

 まずフリーレンが、ためらいがちに口を開いた。

 

「お……おちんぽ」

「普通だな。最近、スマホで調べてるだろ?」

「う……」

 

 ジョウにスマホを与えられたフリーレンは、ネットの恩恵に十分あずかっている。もともと好奇心の強い女性だから、性知識も積極的に吸収しているはずだ。

 実家のWi-Fiで何を調べているのか、夫として把握しておく権利がジョウにはある。

 

(なんてな)

 

 シュンとするフリーレンの代わりに、フェルンが言葉をつないだ。

 

「おちんぽ様、ですか」

「もう一声」

 

 さらに要求すると、もうすぐ高校を卒業するかなという年頃の妊婦妻が、楽しげに口元を歪める。抑揚のない声ですらすらと、卑猥なセリフを口にした。

 

「イヤらしくて、女の子をたくさん泣かせてくれるカッコいいデカちんぽ様……とか、どうでしょうか」

 

「フェルン?」

「どこで覚えたんだよ」

「ふふ。ちんこ、生ちん、包茎の童貞ちんぽ」

「名誉毀損だ」

 

 ジョウの男根はしっかりと皮がむけて、カリの段差もしっかりとしている。包茎? 失礼な。

 

「大体、誰が童貞だよ。お前たちを妊娠させたのはどこの誰だ?」

 

「じゃあ……アイスキャンデー。私を妊娠させてくれた、暴れん坊のアイスキャンデー」

 

 フェルンは湯の中で膝立ちになり、突き出た先端に唇をつけた。そのまま舌先でチロリと舐め上げ、裏スジをなぞり上げる。赤い舌は亀頭を巡り、カリの段差を這う。

 

「それだ」

 

 ジョウは満足げにうなずくと、右手でフェルンの頭をなでてやった。愛玩動物によくできましたと褒美をやる気分である。

 撫でられるフェルンは、真夏にアイスキャンデーをもらった子供みたいな、満面の笑顔だ。

 

「フェルンはいい子だな」

「ありがとうございます」

 

 ジョウはフェルンの顎をつまむように持ちあげ、その唇に男根を触れさせた。ぷにっとした感触が先端に触れ、そのまま押し開いていく。

 

「あむ」

 

 フェルンの唇が開き、亀頭が飲み込まれた。ねっとりと温かい口腔粘膜が亀頭を包み込み、舌が竿に絡みつく。じゅるりじゅるりと唾液をまぶす音を立て、フェルンは男根に奉仕する。

 

「んっ……んぐっ」

 

 やがてフェルンが口を離すと、口内奉仕の証として銀色の橋がかかった。唾液と我慢汁が入り混じった橋だ。フェルンは口の中に溜まった粘液をごくりと飲み干すと、愛おしそうに指でツーとなぞる。

 

「あは……旦那様の弱いところ、ドス黒くて、カチカチで……すごい、かっこいい」

 

「フェルン、代わって」

 

 フェルンがいったん離れるとと、今度はフリーレンが亀頭にキスした。そのまま唇でカリの段差をなぞり、裏スジに舌を這わせる。恥ずかしさと興奮をないまぜにした表情で、バッキバキのペニスに小さな顔をくっつけて頬ずりした。

 

「おちんぽ様……わたしを妊娠させてくれたジョウの、もっこりちんぽ様」

 

 フリーレンは媚びるような上目遣いでジョウを見上げた。だがその瞳の奥にある情欲の炎は、むしろ燃え盛る一方だ。

 

「っ……声が小さい」

 

「……もっ……もっこりちんぽ様っ。ビンビンのガチガチで、わたしのことをいっぱい気持ちよくしてくれる、ちんぽ様ぁっ」

 

 フリーレンの淫語。ジョウとは比較にならないくらい優れた頭脳を持つフリーレンが、淫らな語彙で夫の生殖器に媚びている。

 

 その事実に、ペニスが跳ねて腹を打った。キンタマが持ち上がって、先っぽからガマン汁を垂れ流す。

 

 フリーレンは「んふー」と鼻の穴を膨らませると、亀頭にキスの雨を降らせた。

 

「ちんぽっ、ちんぽ様っ、おちんぽっ、ちんぽちんぽっ」

 

「もっとだ。もっと言え」

 

「ちんぽ、おちんぽ、おちんぽ様っ。フリーレンのおまんこをいっぱい気持ちよくしてくれる、ちんぽ様ぁっ」

 

 フリーレンの卑猥なセリフに満足したジョウは、両手で妻たちの頭をなでてやった。それでも物足りなくて、両手でそれぞれの顔をペニスへ引き寄せる。

 

 フリーレンとフェルンは、ためらいもなく先端に口付けし、ピチャピチャと舐め回し始めた。

 

 竿と亀頭を二人で分け合って舐め回す光景に、ジョウは征服欲を満たされる。美しい妻二人がペニスの奪い合いをする光景に、ゾクゾクと興奮してしまう。

 

「あっ……んっ」

 

 フリーレンは舌先を尖らせて、尿道口を舐め上げる。少しのガマン汁が漏れていたらしく、フリーレンは嬉しげにそれを舐め取った。そしてまた舌先を尿道口にくっつけると、小刻みに舌を動かして刺激する。

 

「ちゅっ……んんっ」

 

 フェルンは唇をすぼめて竿を吸い上げた。その状態で頭を左右に揺すると、ねっとり唾液がアイスキャンデーの真ん中をピカピカに磨き上げる。

 

「旦那様……私の舌使い、どうですか?」

 

「ん……ちゅぱっ……わたしのも、見てよ」

 

「べろぉ……んちゅ、れろっ」

 

「れろ、れぇ……れるっ」

 

 二枚の舌が、ジョウのカリ首を優しくさわさわする。竿に浮き上がる血管が脈打つと、今度は二本の舌が左右から亀頭を包み込む。モミモミとマッサージする動きで、亀頭に溜まったガマン汁を搾り取っていく。

 

「二人とも、胸で挟んで……」

「いいよ」

「でも、条件があります」

「ジョウもイヤらしいこと言って」

「私たちを言葉で責めて、いやらしいことをして」

 

 見ているだけで射精してしまいそうな、スケベな顔だった。口を半開きにして、腰をくねらせ息を乱し、ジョウを支配せんと扇情的な視線を投げかけてくる。

 

「っ……お、おっぱいマンコで挟めっ」

「「もっと」」

 

 声をそろえて要求されると、ジョウはもう頭が真っ白になりそうだった。脳内麻薬がドバドバ分泌され、頭がクラクラして回らない。脳みそ溶けるとかバカになるとか、こういうことを言うんだと思った。

 

「おちんぽ様専用おっぱいマンコで、挟めっ」

 

「「もっと」」

 

「フェルンのド淫乱なデカパイと、フリーレンの敏感ドスケベおっぱいで、俺のちんぽをパイズリしろっ。俺の精液ででかくしてやったんだぞっ、感謝の気持ちで俺のちんぽを奉仕するんだっ」

 

「「はぁい」」

 

 フリーレンはささやかな胸を寄せ集めて、フェルンは豊満な胸をたぷたぷ揺らして、ジョウの股間をうずめていく。

 

「んっ……んふっ、あは……」

「ん……んっ、あっ……」

 

 フリーレンのおっぱいが圧迫し、フェルンのおっぱいが包み込む。大小のバストがペニスを分け合い、もっこりと左右から押し合った。

 

「もっと強く」

「こう?」

 

 フリーレンがおっぱいで圧力を加えると、それに合わせてフェルンがおっぱいを押し潰す。二人の谷間はチンコを上下にスライドし、柔らかい摩擦を生み出す。亀頭の先端が乳首にこすれるたび、二人の女体がピクンと震えた。

 

「あ……んふっ」

 

 フリーレンの吐息に熱がこもる。興奮しているのが丸わかりの、甘い吐息だ。

 フェルンも頬を紅潮させ、豊満な胸を両腕で持ち上げる。自らおっぱいの谷間を開き、より深い谷間を作ろうとする。

 

「ん……んっ」

「あっ……あは」

 

 二人のバストが押し合いへし合いして、左右から竿に奉仕する。その状態でフリーレンとフェルンが同時に腰を前後させると、カリ首と裏スジに乳首の刺激が加わってたまらない快感が生まれた。

 

「や……ば、おれ、おれ、もうっ」

 

 新婚旅行、温泉旅館、二人の妻、専用露天風呂、ダブル妊婦による愛情たっぷりのパイズリ奉仕。

 ジョウの顔がゆるむ。頭の中がおっぱいの事だけになって、マヌケな顔になる。

 

「イきそう?」

 

 フリーレンが聞く。

 

「いくの? いくなら、ちゃんと言いなさい」

 

 フェルンも聞いてくる。

 

「い……く」

 

 ジョウの返事と同時に、二人の動きがさらに激しくなった。左右からおっぱいを押し潰し、温泉のぬめりに任せてジョウを愛撫する。

 

 ペニスから伝わってくる痛気持ちよさと、二人の鼓動が、ジョウを多幸感で一杯にしてくれる。

 フリーレンとフェルンが愛してくれている実感が、ジョウを骨抜きにする。

 ふわふわの乳肉とこりこりの乳首、すべすべの乳肌が、ジョウを最後の一押しに誘った。

 

「いくぞっ、出すぞっ、でるッ」

「あっ、あっ」

「ひやぁんっ」

 

 どくっ、どくっとペニスが跳ねて、大量の精液が噴き出した。フリーレンとフェルンの谷間から飛び出した白濁液は、二人の顔を直撃する。

 

「うお、うおっ」

「すご、いっぱい」

「すごい、すごい……」

 

 まるでクジラの潮吹きだ。男の象徴から、ウェットオーガズムの証が噴出する。

 

 ジョウは歯を食いしばり、天を仰いだ。放出の勢いが止まらない。幸せイキが止まらない。

 ここはパラダイスだ。最愛のお嫁さんたちが、妊娠パイでずりずりイカせて子作りミルクおもらしさせてくれる、天国だ。

 

「ふっ、ふっ、ふぅっ……」

 

 長い射精が終わり、ジョウはぐったりと脱力した。全身から力が抜けて、湯の中に尻餅をついてしまう。

 

「んふふ、いっぱい出たね」

 

 フリーレンがほほ笑んで、ジョウの頬にキスをした。

 フェルンが顔を寄せてきて、唇に触れるだけのキスをする。

 

「お疲れ様です……ちゅっ」

 

 甘い言葉をささやいてから、二人はあらためて頬にキスしてくれた。

 

「ああ、二人とも……ありがとう」

 

 フリーレンとフェルンは顔を見合わせ、くすくす笑った。

 

「何が?」

「何がですか?」

「いや……」

 

 感謝の気持ちがあふれて、うまく言葉にできない。だからジョウは、行動で示した。フリーレンのお腹をなでて、フェルンのお腹をなでる。

 優しく愛撫してやれば、新妻たちは恍惚の表情で体を震わせた。

 

「部屋に……戻ろう」

「うん、そうしよ」

「いいですね。そろそろノボせそうですし」

 

 三人は湯から上がると、体を拭くのもほどほどに浴衣に袖を通した。火照った体に浴衣が気持ちいい。

 フリーレンとフェルンは髪を乾かすのもそこそこに、ジョウの腕を取って部屋まで引っ張っていく。

 

「お布団だよね?」

「三人一緒ですよ? 分かってますよね?」

「ああ、分かってる。分かってるよ」

 

 ジョウは二人をなだめながら、お尻を両手でぐにぐにと揉みつつ、まだぬるま湯につかっているような頼りない足取りで、部屋へと戻った。

 

 ◆◆◆

 

 それから、二年が経った。

 

 ◆◆◆

 

 イエス・キリストの生誕から二千と二十三年後。

 日本、近畿地方の田舎町、茶倉。

 

 御堂倉ジョウは大学を卒業し、茶舗の跡取りとして多忙な日々を送っていた。

 店舗の運営管理、生産者との交渉や契約、販売戦略の立案。地域行事への出席や取りまとめ、教育や観光での行政との連携、冠婚葬祭に政治に、とにかく色々だ。

 

 だがジョウは、忙しさの中に充実感を見出していた。

 

 それは妻たちの献身によるところが大きい。魔法の力で言葉の壁をものともしない彼女らは、Webを通じて世界中の顧客やバイヤーと直接商売をしている。そこで得られる収益や、さらには御堂倉の茶舗自体への信用を還元してくれているのだ。

 

 だから、家族の和を───特に夜の───をどうやって保つかは、とても重要な悩みだった。

 

「はむ……ん……」

 

 ある日の深夜、短い眠りから目覚めたジョウの下半身に違和感があった。ねっとりと、絡みつくような感触がある。それと、何かをなめ回し、すするような湿った音。

 

「んむ……ん」

 

 寝ぼけ眼をこすりながら、ジョウは布団をめくった。

 フリーレンが、ジョウの亀頭に吸い付いていた。その傍らではフェルンが、ジョウの太ももに乳房をこすりつけながら陰嚢をなで回している。

 

「ふぉ……?」

「おふぁよ」

 

 フリーレンは肉の矢じりに吸い付いたまま、器用にウィンクしてみせた。布団の中でごそごそと動くたび、パジャマをしどけなくはだけさせていく。下は何も着けていないらしい。

 

 フェルンも負けじと、乳房を押しつけてくる。こりっこりの乳首でジョウの肉幹をくすぐりながら、フリーレンの反対側から亀頭にぶちゅっと吸い付いた。

 

「むちゅ、ずっ、ずぞぞぞ」

「ふっ、ふっ……れろれろ」

 

 フリーレンとフェルンは、競い合うようにねぶり上げた。とろんとした瞳で夫を見つめ、熱心に舌を動かす。裏筋から尿道にかけて舌先でちろちろとなぶり、四本の手で男の毛深い下半身にフェザータッチを繰り返す。

 

「ん、れろれろ」

「ずずず……ちゅるっ」

「ふぁむ……んあむ」

 

 フェルンが口を大きく開き、フリーレンの唾液にまみれた亀頭を頬張った。小さな口いっぱいに肉の棒を頬張り、のどの奥を締め上げる。

 フリーレンも負けじと肉筒に吸い付きながら陰嚢をもみほぐし、ジョウの射精感を煽ってくる。

 

「ふぁ、ふぁん、はぁん」

「れろ……れろ……」

「ぅお……なあ、子供たちは?」

 

 彼女らとの間に、ジョウは四人の子供を設けていた。フリーレンが女の子を二人、フェルンが男の子を二人。

 見事すぎる産み分けに、祖母と母は手を叩いて喜んだものだ。

 

 フリーレンがサオから唇を離すと、つうっ……と唾液の糸が引いた。フェルンもジョウの剛直を吐き出すと、こってりと唾液を乗せた唇でぶちゅっと亀頭に口づける。

 

「ぁは……寝かしつけてきたよ」

「お義母さまにお願いして、んふ……ぐっすり」

「そうか、ならいいや」

 

 子供たちが寝ているなら遠慮はいらない。ジョウはペニスを支え、軽く振って、妻たちのほっぺたにペチンペチンと当てた。

 

「あん、おちんぽ、かたぁ」

「ンふ、困ったお父さんです」

「ほら、しゃぶれ。三人目が欲しいんだろ、いやらしく舐めて、俺をその気にさせてみろ」

 

 ジョウが命じると、フリーレンとフェルンは再び肉幹に舌を這わせた。亀頭の裏を舐め上げ、カリ首の溝をちろちろとくすぐってくる。フリーレンは鈴口を舌先でつつき、フェルンは尿道の切れ込みをチロチロとなめる。

 

「ん……れろ……」

「あむ……ちゅるっ……」

 

 妻たちの子宮は、いま空だ。だから三人目を安全に仕込むために、体調を考えてしばらく禁欲してもらっていた。

 

「ジョウ、好き」

「旦那様が大好き」

 

 そのお預けがよほど堪らなかったのだろう。フリーレンとフェルンの奉仕は、いつにもまして熱心だ。

 

「ずぞぞ……ぷはっ」

「れろれろ……んふっ……」

 

 競い合うように亀頭に吸い付き、代わる代わる喉の奥まで頬張る。

 

「赤ちゃんちょうだい」

「赤ちゃん欲しいです」

 

 亀頭に舌を這わせながら、妻たちは熱っぽい目線でジョウを見つめてきた。

 

「ジョウが好き。だから精液をちょうだい」

「旦那様が好き。だから精液を下さい」

 

「ああ、精液やるよ。約束だもんな、お前らに十人ずつ産ませるって」

 

 ジョウは、フリーレンとフェルンの頭を撫でた。

 二人は幸せそうに目を細めながら、熱心にペニスへ舌を這わせる。

 

「フリーレン、フェルン。もっと激しくしゃぶれ。俺の嫁さんとして、恥ずかしくないテクニックでしゃぶるんだ」

 

「ふぁい……」

「あい……」

 

 二人は熱い吐息を漏らしながら奉仕に励んだ。

 唾液でぬらぬら光る男根が、二人の鼻先に何度もぶつかり、いやらしい水音を立てる。

 

 そのうちフリーレンの脚が、ジョウの脚にねっとりまとわりつき、フェルンの腰が踊って布団からはみ出す。

 徐々に理性を手放していく二人の、刺激的な姿───それをジョウはじっくりと堪能し、やがて二人を交互に抱き、精液を子宮に吐き出した。

 

 目まいのような頭痛を、無視しながら。

 

 ◆◆◆

 

 ジョウは人間だから、エルフのことがよく分からない。それでもフリーレンに、ずっと好きでいてほしい。

 

 ジョウは地球人だから、魔法のことがよく分からない。それでもフェルンに、ずっと好きでいてほしい。

 

 二人の愛は本物だと、ジョウは信じている。だから多忙な日々を愛することが出来たし、何だって頑張れた。

 

 女性としての力や魔法の力、知性や優しさを捧げてくれるフリーレンとフェルンのために、ジョウは生きていく。

 彼女らとの間に生まれた、これから生まれてくる子供たちのために、ジョウは生きていく。

 

 たとえ短い命に終わるとしても、精一杯生きて、まばゆい閃光のように、愛する人たちの心に焼き付いて───。

 

(フリーレンとフェルンが精液をしぼり取ろうとするので、俺みたいな陰キャ大学生じゃ身がもたない件について 了)

(後日談に続く)




 御堂倉ジョウの物語は、これにてお終いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
 一ヶ月も投稿間隔を空けてしまい、申し訳ありません。この世界を閉じてしまうのが寂しくて筆が進まず、俗に言うスランプに陥っておりました。重ねてお詫びいたします。

 この小説は令和五年十二月二十二日から令和六年四月二十日にかけての約四ヶ月間、小説投稿サイト ハーメルン様に投稿させていただきました。投稿の場を提供いただきました管理者の皆様方に、心より御礼申し上げます。

 また、読んでいただいた読者の皆様に改めて感謝申し上げます。つたない作品ではありましたが、葬送のフリーレンという大人気作品に下駄をはかせていただき、累計ランキングにも載ることができました。多くの方にお楽しみいただけたなら、これに勝る喜びはありません。
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