フリーレンとフェルンが精液をしぼり取ろうとするので、俺みたいな陰キャ大学生じゃ身がもたない件について 作:a-su
結婚から二十年と少しがたった頃。年を重ねたジョウは、体の衰えを感じていた。ひょんな事から、しばらくご無沙汰だったフリーレンと、お互いを焦らし合うスローセックスに挑戦する。そのかいあって、めきめきと精力を回復するジョウだったが……。
イエス・キリストの生誕から二千と四十二年後。
日本。近畿地方の田舎町、
九月十五日、敬老の日。
「わたしって、ひよこババアかな」
「……なに? なんだって?」
ジョウという名の中年男は、仕事の手を止めて聞き返した。
彼の妻──フリーレンは、社長室のソファにちょこんと腰掛けている。社長夫人らしい薄青の和服姿で、白い髪はポニーテールに結わえていた。右手に「
なんだ空耳か、とジョウは思った。四十を過ぎたせいか、それとも「運命の人と子供を作る魔法」の悪影響か、最近どうも聞き違えが多い。
「わたし、ひよこババアかな」
「真面目な顔でボケんなや」
空耳でも聞き違いでもなかったらしい。ジョウはツッコミを入れてから、メガネを直してネクタイを緩めた。
準和風にデザインしてもらった社長室は、深呼吸で気を静めるのにちょうどいい空間だ。和窓の障子紙が秋の日光を室内に散らしている。
「ちょっと休む?」
「そうだな。お茶飲むか?」
「うん。濃いめで頼むよ社長」
「はいはい専務」
革張りの椅子から立ち上がって、壁際の棚に備え付けた煎茶セットを広げていく。ジョウは茶舗の社長として、手ずから入れた煎茶で来客をもてなすことが多い。もちろん妻とのひとときにも、この設備を重宝していた。
「誰だ、お前にババアとか言った子は」
一番上の子供はもう成人しているが、八人の兄弟姉妹の中には思春期の子もいる。母親であるフリーレンをババア呼ばわりすることも、まあ有り得なくはない。
(小遣いを減らすか、お年玉を減らすか……もう尻を叩く年でもないしなあ)
「子供たちは誰も言っていないよ」
「……会社の連中か?」
フリーレンは異世界から来たエルフで、地球人の感覚だとほぼ不老だ。それと知らぬ相手には魔法で年齢を偽っているらしいが──だからと言って、社員たちからババアなどと陰口を叩かれているのなら見過ごせない。
(クビ……いやいや。組合が怒るか。○○君にシメてもらって……)
「ジョウが心配していることとは違うよ。聞いているのは『わたしがひよこババアか』ってこと」
電気ポットがピーッと沸騰を告げる。
「もういい。ワケが分からん。ヘイSiri」
『はい、なんでしょう』
机のスマホが反応して、AIアシスタントの応答を返してきた。
「あいつ何言ってるんだ?」
『奥様がおっしゃっている「ひよこババア」とは、「ロリババア」の言い換えだと考えられます』
「ひよこ……ロリ……ロリータか?」
『はい、二〇二〇年代に盛んだったクレジットカード会社の表現規制から、創作物を守るための隠語です。ピクシブ百科事典によれば……』
「あのサイトまだあるのか」
『ピクシブは設立三十周年を過ぎた優良企業です。そしてロリババアとは「見た目は少女のようであるが、実年齢がずっと上であるキャラクターのこと。または老女のような振る舞いをする少女キャラクター」を意味する俗語です』
ジョウは煎茶を注いだ湯呑みを差し出しながら、和服姿のフリーレンをしげしげと観察した。
見た目はまごうこと無き少女だ。背は低めだし、身体の線もほっそりしている。一方で実年齢は千を越えているし、振る舞いにも老成したものを感じさせた。
「定義には当てはまるでしょ」
「当てはまるからなんだ。俺の嫁さんがロリータなわけあるか」
お茶を受け取った妻の言葉を、ジョウは強めに否定した。ソファの隣へ、肩を寄せて座る。
なぜ「ひよこババア」「ロリババア」なる言葉に興味を持ったのかは疑問だが、今は否定するほうが先決だった。
「あのな」
「これ地球の文化について講釈される流れかな」
「黙って聞け」
「うん。ふー、ふー、んく」
フリーレンが茶を口に含む。冷ますための吐息に乗って、甘くさわやかな香りが届いた。
ジョウは自分も茶で唇を湿しながら、言葉を選ぶ。ややセンシティブな話題だからだ。
「ロリータってのは……小説に出てくる、可哀想な女の子の名前なんだ。十四歳なのに、中年の義父から求愛されて、拒絶して逃げ出して……好きになった若い男と結婚するんだけど、お産で死んでしまう」
正直言えば、若い頃にはフリーレンを「ロリ」だと思ったこともある。セックスの最中は特にそうだった。小さな身体を抱きながら「俺ってロリコンだったのかな」という背徳感に浸ったこともある。
けれども中年となった今のジョウは「ロリータ」への忌避感を持っていた。もし小説のようにフリーレンが自分を捨て、若い男の子供を産もうとしたら? ……考えるだけで苦痛だ。
「お前はロリータじゃない。俺の嫁さんだ」
「ん……」
妻の手を取り、細い指に自分のそれを絡めていく。結婚指輪をはめた指をとり、先端を撫で、関節をコリコリつまみ、根元を圧迫して温めていく。
「かわいいよ。自慢のパートナーだ」
「……ふぅん」
「お前はロリータでもババアでもない。大体さ、俺たちが爺さん婆さんになるのは来年の話で」
言い切る前に、パッと手を振り払われる。
「問題はそれだよ」
フリーレンは石のように表情を固め、ジョウから目をそらしていた。
「小説の話はどうでもいい。孫が産まれるからって、ジョウがわたしを
心なしかムスッとしている妻の横顔に、ジョウは黙り込んだ。
半年前、二人の長女が恋人の子を妊娠した──まだ未婚の学生なのに! ──それからは親としてやる事に忙殺されて、フリーレンもフェルンも抱かないまま時を過ごしていたのだ。
「今も、指を触るだけで誤魔化そうとした」
「いや、それは」
「昔だったらソファに押し倒してくれてたのに」
フリーレンはジョウのジャケットをまくり、シャツの上から中年男の腹を撫で回した。
「おい……まだ昼だぞ」
「あんまりお肉がついてないね」
「そ、そうか?」
「そうだよ。お義父さんのタイコ腹に比べれば」
「引退した人と比べられてもな」
「ジョウは頑張ってるってこと。お酒は付き合いだけ、食事は節制して運動して、かっこいい身体と健康を保ってる。わたしとフェルンのために」
ジョウはかつて「二人の妻に十人ずつ子供を産ませる」と思い、フリーレンとの間に八人、フェルンとの間に九人の子供を作った。お盛んな事だとよく言われる。
ただ、自分だけが努力したわけではない。
「褒めすぎだろ。全部お前たちのおかげだ」
妻たちは「運命の人と子供を作る魔法」で衰弱するジョウを座視しなかった。数多くの魔法や薬草で夫の健康を保とうとしてくれたのだ。
「そんなことはないよ」
「あるって」
「ないってば。ぜんぶジョウの努力」
「そこまで言うか……?」
「ジョウは素敵だよ。貫禄がある。あの粗末な家にいた時は頼りなかったのに、今はかっこいい」
フリーレンはジョウの膝に横座りして、首に腕を回してきた。頰と頰をくっつけ、ジョウの脇腹や胸、のど、首筋を愛撫していく。
「そ、そうか?」
「そうだよ──んっ」
エルフ妻が唇を重ね、そのままチュッと音を立てた。戸惑うジョウの嗅覚に甘くさわやかな茶の香りを残しつつ、離れていく。
薄青い和服の首元がほんの少し乱れている。白すぎる肌と鎖骨の窪みとが、中年男を誘うように覗いていた。
「わたしの夫はかっこいい人だから」
「ごめん」
「なんで謝るの?」
「だって、せっかくお前が誘ってくれてるのに」
「わたしがババアだから、気分になれない?」
「違うって……ごめん」
「謝らないでよ」
「違うんだ、ほんと」
ジョウにも情欲の火が灯っている。だが少し、ほんの少ししか熱を感じない。火と自分との間に薄い壁があるような気分だ。
「もしかして。あの子の言葉を気にしてる?」
「え……まあ……」
「その反応。やっぱり」
「ああ……そうなのかな」
心に突き刺さっている言葉がある。二人の長女が、学生妊娠を知って怒るジョウに言い放った言葉だ。
「パパもデキ婚でしょ、だったっけ?」
「娘の口まねするな」
「それも二人いっぺんに……とも言ってたかな」
「やめろぉ」
「未成年だったフェルンママを強引に……」
「それは言ってなかっただろ!?」
「ふふん」
言葉にされて、ジョウは自覚した。愛娘から若き日の乱れた有様を糾弾されたせいで、妻との性生活にブレーキをかけていたらしい。
「ねえ、あと二人は産ませてくれる約束でしょ」
「いや、でもな……」
とは言え、そろそろセックスを控えようと思うこと自体は、何もおかしくないはずだ。もう四十を過ぎて、仕事だって忙しい。夕方になると全身気だるくて腰も痛む。朝目覚めて、勃起していることのほうが珍しい。
なにせ孫までできたのだから、もう……。
『お二人にご提案があるのですが』
「おい聞き耳を立てるなスマホ」
「いいよSiri。なに?」
『お二人の会話を分析した結果、よりよい性生活に関する提案が、一件、あります』
喋っているのはスマホのAIだ。若い頃とは変わった物の代表格で、えらく多弁かつ能動的になった。役には立つが、ジョウのような中年にはどうにも胡散臭く感じられる。
「ねえ、聞いてみようよ」
「夫婦生活でAIに頼るのか?」
「いいじゃん、便利な魔法なんだから」
「科学だって」
『はい、私は科学の産物です』
「だろ?」
『そして人間の良きパートナーです』
「自分で言うなやホンマ」
『二人の関係をより深く、豊かにするお手伝いをさせて下さい。例えば、情欲をじっくりと高めるスローセックスについて、具体的な方法と多大なるメリットをご説明することができます』
ジョウはフリーレンと顔を見合わせる。
「スローセックス……」
「ねえ、どういう交尾なんだろうね」
エメラルドの瞳が好奇心に輝くのを見て、ジョウはため息をついた。
◆◆◆
『初日はお互いに全裸となり、じっくりと身体を観察しながら全裸でのコミュニケーションを取りましょう。双方で身体の良いところを褒め合うと、さらに良し。軽いキスやスキンシップも構いませんが、性器や性感帯への愛撫は禁止です』
敬老の日の夜、ジョウの寝室。畳の上に布団を敷いて、二人は向き合って座った。
「何を偉そうに」
「ジョウ、リラックスして。せっかくアロマも炊いたんだから」
もちろん裸だ。ジョウは正座して、フリーレンはちょこんと女の子座りしている。白い髪を二つ結びにしている姿は、まだ恋人でさえなかった日々のもどかしい夜を思い出させた。
「懐かしいな、その髪型」
「つい三年前もしてたけど」
「お前はホントに変わらないな」
「そう?」
「非現実的なくらいきれいで……昔のままだ」
両方の手を伸ばし、頬に触れる。それから肉体の稜線を確かめるように、首筋へ、肩へ、二の腕をたどって、太ももに置かれた手を優しく包む。
「エーゲ海の神殿みたいで……いつまでもキレイだ。お前ほど美しい女を、俺は見たことがない」
フリーレンはくすぐったそうに笑った。
「乗り気じゃ無かったのに、よく喋るね」
「本心だからな」
「今の例え方、昔にも聞いた気がする」
「気持ちが変わらないからだよ」
「そう。わたしはロリ?」
「違う。でも、小さくて可愛い」
服を脱いで体温を感じると、小さいという印象が強くなる。起伏はなだらかだが貧しさはなく、ほのかな柔らかさを感じさせた。
「肩は華奢で、手首は細くて……でも、しっかり重くて温かい。お前は美しいよ」
それらの印象は、初めて会った時に思ったことそのままだった。かつては心の中で思うしかなかったことが、今は言葉となってスラスラと出てくる。
その事実はジョウがフリーレンの裸体に慣れてしまった証左でもあるし……またフリーレンの容姿が昔のままであることも意味していた。ジョウの子供を八人も産んでいるのに、清らかなままなのだ。
「ジョウも成長したね」
「年食ったんだよ。白髪も出てきた」
「そうかもね。手がかさついて、皮膚が厚くなって……でも、背筋はピンと伸びてて……社員たちからも、子供たちからも、フェルンからも頼られてる」
フリーレンも、止せよと言いたくなるほどに褒めちぎってきた。片手でジョウの手を握り、指を愛撫してくる。もう片方の手は手の甲を、手首を、二の腕を、つるつるとして柔らかい指で撫で回してくる。
「キスしていいのかな」
「ああ……唇以外ならいいらしい」
「ケチ」
「俺に言うなよ。スローセックスしたいのはお前だろ」
徐々に顔を近づける。吐息がまだ常温なせいか、唇と吐息の境界線を曖昧に感じた。
「キスしたくないの?」
「……したい」
ちゅっ。
ちゅぅっ。
ジョウは妻の頬にキスして、フリーレンは夫の耳に口づける。
「物足りないね」
「ああ」
ちゅっ、ちゅぅっ。
ぷちゅ、ちゅく、ちゅるっ。
唇や性感帯を避けて様々な場所にキスする。顔だけでなく首筋や肩、指の先にも。
フリーレンはくすぐったそうに身もだえするが、キスをやめさせようとはしない。白い裸体をくねらせて、中年男に甘えてくる。
「なにか喋って」
「なんかって……なにを?」
「なんでもいいよ。仕事の話でも、子供たちの話でも……ふーっ」
盛り上げようとしているらしい。フリーレンはふーっと顔に息を吹きかけたり、あむっと耳を甘噛みしたり、ちゅぷっと頰にキスしたり……長い耳をひくつかせながら、我が子の父親にコミュニケーションを求めた。
「そういえば
(二十年前の俺が今のフリーレンを見たら、別人じゃないかと思うだろうな)
──どれくらい時間がたったろうか。ボーン、ボーンと、古風な壁掛け時計が就寝の時間を伝えてきた。秒針がコチコチと動いて、スローセックス初日の終了を告げている。
「今日はここまでにしとくか」
「うん。あっという間だったね」
「そうか?」
「そうだよ。ジョウは?」
「俺も……そう感じた」
二人で布団を被ると、フリーレンの甘い香りがジョウの鼻孔をくすぐった。溶けていく牛脂のような、かぐわしい匂いだ。
……その中に自分自身の加齢臭が混じっているのは、否定できない事実だった。
◆◆◆
翌日、スローセックス二日目。
寝室の小さなテレビが、夜の恋愛ドラマを映している。
「こういうの、久しぶりに見るな」
「そうだね」
「お前はテレビあんまりだし」
「NHKは好きだよ、旅とか歴史とか」
「俺もだ」
二人はすでに布団の上だった。あぐらをかいたジョウがフリーレンを膝に座らせ、後ろから抱きしめている。くっついているのは、太もも、お尻、肩周り……それに、フリーレンのうなじ。脚をすりすりと擦り合わせて、つるつるの素足を愛撫する。
「寒くないか?」
「温かいよ」
「暖房つけてもいいけど」
「ジョウがいればそれでいい」
フリーレンは体から力を抜き、ジョウに身を任せている。肌の温かさをジョウと共有しながら、時折り男の腕を撫でていた。
「ジョウの腕」
「ん?」
「昔より太いね」
「子供が十七人もいたらそうなる」
「みんなジョウに抱っこされるのが大好きだよ」
「お前は?」
「私も好き」
ジョウは頬に笑いのシワを作った。
「長生きしてるくせに、子供みたいだな」
「ん……人妻で、母親だけど……?」
「ほら、この肌とかもさ」
手を滑らせ、フリーレンの足をくるぶしから太ももまで撫でた。指の下に肌の滑らかさと筋肉の震えを感じる。
「んっ……」
「すべすべだ。こんな手触りの茶碗があったら、一億は下らないだろうな」
フリーレンは後頭部をジョウの胸こすりつける。
「ねえ、今日は……」
「うん」
「キスしてもいいんだよね。深いのでも」
「いや、それは止めとこう」
「なんで」
「お前、たまにキスだけでイくから」
「言わないでよ、ばか」
二人は布団の上に転がった。フリーレンが上になって抱き合い、額と額とをくっつける。視界をエルフ妻の美貌でいっぱいにして、ジョウは小さな体の柔らかさを受け止めた。
フリーレンが唇を突き出す。
ちゅっ。
リップ音が鳴ると、エルフ妻はすぐに唇を離した。一瞬の柔らかさと温かさだけを残していく。
そしてもう一度、今度は確かな重みを伴って唇を重ねてきた。そして離れない。額と唇でくっついたまま、吐息をジョウの顔に浴びせてくる。
「じょう……」
「……ふりーれん」
静寂の中をたゆたう。聞こえるのは時計のコチコチという音だけだ。風呂上がりの香りに包まれながら唇を押し付けあい、互いの形を確かめる。
「はぁ……」
少し顔を離し、瞳を潤ませたフリーレンと見つめ合う。言葉なき満足感をにじませた妻に、ジョウは思わず微笑みを返した。
次の瞬間、フリーレンの唇がこちらを探り始める。右の口角から左の頬へとちょんちょんキスを跳ねさせる。左についたらまた右にと、往復しながら温かみの痕を残していく。
(かわいい)
感動が伝わったのか、フリーレンはにんまりと笑った。むふー、という吐息を浴びせてくる。
「む、ふふ」
今度は上下。かすかに笑いながら、下唇、上唇、また下唇と、少し強めにキスしてきた。まるで蜜を集める蜂のように吸ってくる。舌先も少し出して、どうやらディープキスに持ち込もうとしているらしい。
「それは無し」
「ジョウのばか」
ジョウが唇をキュッと結ぶと、フリーレンは不満げな表情であごにキスしてきた。のどに、鎖骨に、そのまた下に……と口づけを降ろしていく。唾液を多めに含ませた唇で、下半身を目指すようだ。
「直にはダメだぞ」
「分かってる……ちゅ」
「うっ」
フリーレンの唇が恥骨に届き、ジョウは背筋を震わせた。ぴりっと走った電流にペニスを跳ねさせる。
「勃ってる」
「そりゃな」
「昨日よりおっきい……ん、んちゅ、んん」
フリーレンはジョウの陰毛を口に含んだ。鼠径部を指先でマッサージしつつ、軽く引っ張っる。
「そんなところ、よせよ」
「んふー。ちゅるるっ」
聞くつもりはないようだ。眼前で揺れるペニスに目を細めながら、陰毛を舌でくちゅくちゅと弄ぶ。
フリーレンの唾液が毛を伝って鼠径部を濡らす……その熱がじんわりと染みこんで、下半身を温めていく。
「フリーレン……なんか、すごいぞ」
ジョウは目を閉じ、鳥肌が立つような刺激を味わった。直接触られていないのに、こんなにも……そう思うほどイヤらしい感覚が、下半身に満ちていく。
びぃんっ。
「わっ」
「うぉっ……」
ジョウのペニスが反り返り、腹を叩いた。みちみちと血液であふれている。フリーレンとフェルンの体液で染められたドス黒い肉の木は、先端から透明な汁をこぼしている。
「ん、くっ」
ジョウは、フリーレンが喉を鳴らす音……そしてモジつく下半身からのかすかな水音を確かに聞き取った。
「お前も濡れてるな」
「うん。すごいね、スローセックス……ふーっ」
エルフ妻は玉袋に吐息を吹きかけた。長い耳をうっすらと朱に染めている。
「やめろって……襲いたくなる」
「私はいいよ。いつでも」
「ダメだろ、本番は明後日なんだから」
「しなきゃ良かったかも、スローセックス」
「今さら。ほら、寝転がれ。次は俺が舐めてやる」
横たわった妻のひざにキスしながら、ジョウは胸をわくわくさせていた。これほどペニスが満ち満ちている感覚は久しぶりだ。
(立場が逆転しちゃったな)
いつの間にか自分の方がスローセックスに乗り気になっている。対するフリーレンは不満たらたらのセックスしたそうな顔なので、男としては胸がすくような気持ちだ。
とは言え、今日のところは性器に触れられない。ジョウは、フリーレンのなよやかな脚を徹底的に愛撫してやろうと決めた。
◆◆◆
翌日の勤務中、ジョウは重役たちが胡乱な目で見るほど浮き立っていた。
その原因は、今朝、しっかり朝勃ちしていたからだろう。昨夜のスローセックスが奏功したらしい。
『私の提案にご満足いただけて何よりです』
「何で分かるんだよ怖っ」
『マイクで声を拾い、ジャイロで歩数を……』
「いや説明しなくていい。まあ、そうだよ」
スマホごときに言い当てられるのは業腹だが、ジョウは鷹揚に頷いた。
AIが何を言おうと大した問題ではない。それよりも、フリーレンが朝勃ちに気づき「すごいね」と声を湿らせたことや、何かをこらえるように下唇を噛んだことが、ジョウの気分を高揚させていた。
夜が楽しみだ。
◆◆◆
スローセックス三日目。
「出会った頃の俺に、今のお前を見せたらさ」
「うん」
「夢中になって、他の全部が手につかなくなってただろうなって」
ジョウはときめいていた。二十年で何度肌を重ねたか分からない妻の裸体に、出会った時のような新鮮さと感動を覚えている。
「ねえ、さむい」
「暖房は効いてるだろ」
事実、横たわるフリーレンの裸身は汗でしっとりと湿っていた。肌も赤みを帯びて、生身の色を浮かべている。
それでも、フリーレンは両手を伸ばし、抱擁を求めてきた。
「あっためて」
「うん」
布団に横たわり、抱き合って、首や肩周りに唇を当てる。キスマークを残すほどではなく、軽く吸い付くだけだ。
フリーレンの体温が上がる。柔らかくてなめらかな肢体が、ジョウと触れ合っている部分から熱を帯びてくる。
「ん……ふぅ……」
吐息に甘い色が混じる。
「かわいいな……昨日より、一昨日よりずっと」
首元に顔を埋めて、深呼吸する。シャンプーやボディソープの香りに混じって、フリーレン自身の甘い香りが肺を満たした。
「ほんとう?」
エルフ妻は夫の薄くなった髪をかき乱し、顔をあげさせた。エメラルドの瞳はまだ穏やかにしたままで、セックスがまだ序の口だと伝えている。
「ああ……すごく……ずっと」
答えながらキスをして、ちゅっ、ちゅと啄む。そこに温かみがあるのを確認してから、唇を強めに押しつけた。
「ん……」
「舌、出せ」
上唇と下唇を交互に吸ってから舌を誘うと、顔を背けられた。
「ダメって言ったじゃない」
「なあ……口開けてくれよ」
頰や耳たぶを舐めて、再度のキスを誘う。ほんのり暖かい肌をしっかりと抱きながら、ジョウは唇の割れ目を舌先でなぞる。
「だめ……ん、ん……」
「どうして?」
「私のどこがかわいいか、ちゃんと言葉にして」
「かわいいよ。全部だ、全部が……」
「ねえ、具体的に」
「白い髪とか、つるつるの肌とか……」
「うん」
「瞳も、綺麗だ。緑がかった宝石みたいな……」
「ん、うん……もっと」
フリーレンはおでこを押しつけながら、瞳を少女みたいにキラキラさせて、言葉を求めた。
「あと、唇も。小さくて柔らかいのが可愛い。キスする時、すごくドキドキするし……」
「ふふ……もう」
「それに、さ」
「なあに?」
フリーレンが唇を薄く開く。エメラルドの瞳を喜びと羞恥に潤ませ、唇を小さく尖らせてジョウを誘っていた。
「俺のことをすごく好きなところとか……」
「ん、好き……んん」
ジョウは妻の唇を優しくついばむ。フリーレンもそれに応えて、唇の柔らかさを押しつけてくる。
「あとな……ここ」
フリーレンの胸をそっと撫でる。乳房と言うにはささやかで、十分な母乳を出すことは叶わなかった脂肪の隆起。乳首への刺激を避けながら、ふわりとした感触を掌全体で楽しむ。
「んぁぁ、ぁー……」
「お前のおっぱいも、好き……」
「はっ、はァー……」
乳首に触れるか触れないかギリギリの場所を指先で愛撫する。
フリーレンは髪を乱しながら、甘い吐息をジョウに吹きかけた。
「……はぁぁ、ぁ」
「好きだ」
唇をついばみながら囁く。フリーレンは熱に浮かされたように頷き、ジョウのうなじをすりすりと撫でてくる。
「……っふ……」
唇の内側を軽く吸い、舌を差し込む。フリーレンも舌を伸ばしてきて、互いの舌先を擦り合わせる。
ちゅぷ……れろぉ、くちゅっ。
ぴちゃ、ちゅるっ。
ぬる、ぴちゃ。ぬる、ぬる、ぴちゃ。
「ふぉ、んん……んー……」
舌だけが別の生き物じみて交わる……そうなってくると、人間でもエルフでも、思い合う男女の願いはひとつだ。
もっと、もっと、ただそれだけ。
お互いの背に腕を回し、脚を絡ませて、蛇のようにぬたぬたと体をこすりつけ合う。言うなれば肌と肌とのキスだ。エルフの肌がぴったりと吸い付き、こりこりの乳首が胸板を刺激してくる。
「ああっ、気持ちいい……!」
フリーレンは感極まったような声を上げた。スローセックスを始めて三日目、たったそれだけで、千年生きているエルフが夫の肌を求めて燃えている。
「おおっ、フリーレン……!」
もちろんジョウもだ。こすれ合う肌から快美感が忍び寄り、フリーレンの腹にくっついたペニスから電流がピリピリと流れている。
二人はそのまま絡み合い続けた。お互いの髪をかき乱し、頬をくっつけ、呼吸の音を相手の耳に送り込みながら、全身をこすり合わせる。脚はしっかりとクロスさせて……太ももで、相手の大事なところをぐりぐりと圧迫していた。
「はー、はー、ジョウ、ジョウっ」
やがて二人の汗が結ばれ、一つの玉となり、肌と肌の間でニチニチと音を立て始めた頃、ジョウとフリーレンは肉体の手綱を取り戻した。理性を総動員して動きを止める。今日はまだ、絶頂してしまうわけにはいかないからだ。
「はー……はー……ああ、ジョウ……」
「おう……はぁ、はぁ……」
言葉少なに見つめ合う。ジョウの太ももには、妻の陰部から染み出した液体の量と熱、粘度がはっきりと伝わっていた。きっとフリーレンの太ももにも、四十男とは思えないほどの固さと熱さ、血液の流れまでが伝わっているに違いない。
「ねえ、アソコ、見たい」
「俺も」
それでも好奇心は止められない。二人はジョウが下、フリーレンが上となってシックスナインの体勢をとった。
「わぁ……!」
「おっ……!」
夫婦とは呼吸まで似てくるものなのだろうか。同時に感嘆の声を上げ、思わず顔を近づけて観察してしまう。
ジョウの目前には、フリーレンの性器が広がっていた。小さなお尻の間で、肉でできた欲望のほころびが口を開いている。八人も子どもを産んでいるだけあって陰唇は黒ずんでいるが、しかし、内部の色は出会った頃とほとんど変わりがない。
鼻で空気を吸うと、ボディソープの香りに混じって、インドの紅茶に似た刺激的な匂いがした。
「ジョ、ジョウ……すごくおおきい……こんな、こんなたくましかったなんて……」
フリーレンのかすかな吐息が、ペニスのカリ首辺りを撫でている。ジョウと同じように、性器を見た喜びで胸をいっぱいにしているのだ。
女としての興奮を示すかのように、目の前にある秘裂から、新しい潤滑液がじわりと染み出した。フリーレンの深い呼吸に合わせて、ヴァギナの内部が姿を見せる。
「はぁぁ……ジョウ、ジョウの……ちんぽ……先の方から、おつゆが……」
膣口の片側に、処女の傷跡が残っていた。二十年前に初めて交わった時のものだ。ジョウにとっては青臭い罪の証であり、一生の誇りとなった男の勲章である。
その傷に、ジョウはそっと舌を這わせた。
「あ!」
鋭く甲高い声を上げ、フリーレンがのけ反る。ヴァギナがひくんと収縮して、ジョウの顔にうすしお味の蜜液を、ひとたらし。
「うまっ。感じすぎだろ、まさかイッたか?」
「ううっ、うーっ、イッてない」
「どんだけ期待してたんだ。ん?」
「そ、そっちこそぉ。ん、ちゅぅぅうっ……」
「うおあっ」
ペニスの先端から玉袋にかけて、ひどく甘い電流が走った。湿ったリップ音から察するに、フリーレンにチンポキスを仕掛けられているらしい。ちゅううっ、ちゅううっと吸い付かれるたび、睾丸と周りの筋肉が縮み上がる。
「ちゅうっ、どう? ちゅううっ、ねえどう?」
「ヤ、ヤバ、加減しろっ、出ちゃうだろっ」
フリーレンのチンポキスは、さすがジョウの勘所を捉えたものだった。いやらしい電流でキンタマが縮み上がった後、リラックスに入ろうとする瞬間に鈴口に吸い付き吸い立てるのだ。高止まりする快楽に、袋の中がグツグツ煮えていく。
お返しをしなければ。
「ふふっ、出しちゃダメだよ、ガマン──あひゅぅつ、はふぅつ、だめっ、それだめっ、クリッ、クッ、クリトリスに、キス、ダメっ」
エルフのクリトリスは皮膚の下に隠れた器官で、体外に出てくることはない。とは言え内部のつくりは人間と同じらしいから、しつこくなめ回せば鮮烈な快感を引き出せる。
フリーレンのお尻がかく、かくと揺れた。
「い、い、イ、イくからっ、イ、イっ」
「はいお終い」
軽くキスしてクンニを止めると、フリーレンは「え、あ、うー……」と声を上げた。
「なんで……?」
「スローセックスだからな」
太もものあたりをバシバシとはたかれる。無言のままで、さみしさと欲求不満をジョウにぶつけているのだ。
「~~~っ」
「叩くなって、俺だってイカせてやりたいのをガマンしてんだから……」
まだ、性的絶頂に達することはできない。どんなに歯痒くとも寸止めするのがスローセックスのルールだ。
お詫びの印に、れろれろとソフトに舌を這わせてやる。ピンクの粘膜をペロッとして、股間全体をぐるーりぐるーりと、文字通りなめ回す。
フリーレンもそうした。はふぅぅ、とため息をついてから、亀頭は避けてサオや根元にキスを繰り返す。
「ちゅ、もう、ちゅ、もう、ふぅぅ、もう……」
「ヒクついてるな……エロくて、きれいだよ」
「ちゅ、ん、コレも、すごく硬くてかっこいいよ……んちゅ、匂いもすごくて、バキバキで、んれ、れぇ、早く欲しい、死ぬほど突かれたい……」
やがて二人はシックスナインを解き、抱き合って布団をかぶった。互いの身体を撫で回しながら、軽いキスを繰り返す。
「ねえ……舌、ペロペロしたい……」
「ダメだって……収まりつかなくなるだろ」
「ワンって鳴いてもダメ?」
「そういうプレイはまた今度」
「じゃあ、ニャン……」
「猫でもだめ」
「ケチ……明日までなんて待ちきれないよぉ」
ジョウは少し笑う。千年を生きるフリーレンからたった一日が辛いとか、待ちきれないとか、そんな言葉が聞けるのは自分だけなのだ。
「ねぇ……ねぇってばぁ……」
フリーレンが唇をちろちろと舐めてくるが、ジョウは目を閉じた。
……眠れる気は全くしない。寸止めにされたペニスがお前はバカか? とでも言いたげに、布団を押し上げている。早くフリーレンと「ファック」をしろ、欲望を満たしてスッキリしろ、と訴えかける。
「ねぇ……ジョウ……」
フリーレンは不満げだ。自分の性器を夫に擦り付けながら猫のように鳴く。その声と仕草が、またジョウの劣情をかきたてる。
それでも休息をとっておかなければ。何しろ明日は、いよいよ、フリーレンと「セックス」をするのだから。妻のミニマムな尻を撫でてあやしながら、ジョウは懸命に、睡魔の到来を待った。
◆◆◆
翌日の夕方。みなが帰り支度を始めたオフィス。
社長? といぶかしげな声をかけられて、ジョウは我を取り戻した。……いつの間にか、窓の白いカーテンを抱きしめていたようだ。
「えっ、あっ、うん、なんだ?」
声をかけてきた社員に背中を向けたまま、業務の指示を出す。社員はいぶかしげに返事を返して、デスクに戻っていった。
ジョウは、どうやって立ち去ったものかと頭を悩ませる。なぜなら、スーツの下半身にテントができていて、まるで収まる気配を見せないからだ。先端が濡れてトランクスを汚している感触まである。
(……なんてこった。中学生じゃあるまいし)
今夜はいよいよ、フリーレンとの本番セックスである。そのせいなのか、ジョウには、ただの白いカーテンが最愛の妻に見えてしまったのだ。
しかし、いい年をしたジョウがこんな有様ならば──永遠の若さを持つフリーレンは、一体どうなっているのだろうか。
◆◆◆
スローセックス四日目。
寝室に入った瞬間、ジョウはフリーレンの裸身を目撃した。
「うぉっ……」
「……」
間接照明の光に、エルフ妻の小柄な姿が浮かびあがる。髪も解いて、一糸まとわぬ姿だった。髪がしっとりと濡れている。どうやら、きちんとドライヤーをしていないらしい。
「フ、フリーレ……」
「脱いで。早く」
抑揚のない声に、有無を言わせない凄みを込めている。お腹の前で組んだ指先を小刻みに震わせていた。
ジョウが服を脱ぎ始めると、フリーレンは「フゥ゛ーッ」とうなった。親指で他の指を次々と押さえつけては離す。カウントダウンをするように、一本、また一本。やがてペニスが露出すると、エメラルドの瞳が薄暗がりの中でぎらりと光った。
ジョウもうなる。
「フリーレ゛ン゛ッ゛……!」
妻の秘部に液体が垂れて、照明を反射している……それを視認して、男根がビクンと跳ねた。小さなしずくを飛ばし、みちみちと充血して、いつでも女体への侵入を果たせる硬度を帯びる。
「……最初は、キスからだよね?」
「ああ、最初はキスだ」
言葉を交わしながら、体を寄せ合う。パートナーと両手をつないで、揉むようにこねる。
「それから、お互いに体をまさぐって……」
「じっくり、ゆったり……激しくせずに」
いちいち言葉にするのは……無理だという確信があるからだ。もう我慢できないから、一応努力はしてみましたよという言い訳をしている。
「そうしたら……」
「いよいよ……」
言葉が切れた。時計の音が部屋に響く。
「ちゅぅぅぅ」
唇を重ねた。フリーレンは腕を夫の首に回し、力をこめて体を押しつける。ジョウは妻の背をかき抱き、包み込むように引き寄せる。
(こんなの、四十過ぎたオヤジがするキスじゃあないよな。こんな、テクもなんにもなしに、ただ唇を押し当てて、深く、強く、押し付けて……)
もうすぐ孫だって産まれるのに、本気の口づけをしている。二十歳くらいの、セックスを知ったばかりの……初めてフリーレンを抱いたあの頃と同じ、不器用な口づけ。
しかし今この瞬間に、最も相応しいキスだった。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、くちゅっくちゅ、ぴちゃっぴちゃ、んく、ごくん、ちゅ、ちゅ、ちゅぷ、ぴちゃぴちゃ……。
重ねた唇の中で、見つめ合う目の中で、恋を思い出した脳の中で、ぬめる音がする。あのフリーレンが唇を唾液で濡らし、目はとろんとゆるめて、砂糖菓子みたいに甘ったるく喘いでいる。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、んふぅ、ふぅぅっ」
息継ぎのときに、ジョウは尋ねた。
「キスだけでいいのか?」
「はぁー…………そんなワケないっ……」
酸素を補給したエルフ妻は、また腕に力を込めた。唇が重なると、何度も何度も、角度を変えては、むちゅ、むちゅと押しつけてくる。しがみつく体に熱を帯びさせて、肌もぐんぐんと火照った色合いに染めていく。
「あむ……んふ、んっ、んっ」
「ぷぁ……ナマで、いいな?」
「ナマがいい。子供、九人目、産んでもいい?」
「産んでくれ」
「今までみたいに、私と育ててくれる?」
「ああ。嬉しいか?」
「嬉しい。だから、ナマでする。ジョウと交尾する……いっぱいするっ」
ふたり、よたよたと布団に向かって進む。しつこくキスを続けながら、フリーレンはジョウの逞しさを、ジョウはフリーレンの変わらない美しさを賞賛し、愛の言葉を投げかけた。
そのまま布団に横たわる。
「あふぅ……」
枕をクッション代わりにして身を預けるエルフ妻。その脚を開いて間に割り込み、ジョウは男根の先端で秘裂をつついた。粘膜のへこみが亀頭に吸い付いてきて、
「あぁぁ……」
フリーレンは嘆声を漏らして腰を震わせた。てらてらと光る亀頭を押し当てられただけで、浅ましい愛液を垂れ流し、早くハメてとねだっている。
「よだれダラダラだぞっ」
「だってぇ……おなか、カラッポで……早く、ジョウを食べたくてぇ……」
「俺だって、お前を食っちまいたいよ!」
ジョウは叫んで、「ああっ……」と喘ぐ妻の性器に、男根をぐりゅんと押し込んだ。
「あっあっあーっ……」
「息、吐いてろっ……!」
「ふぅーっ……きたっ……ふぅーっ……きだぁっ……!!」
フリーレンは最後の力を抜き、夫婦の布団でペニスを飲み込んでいく。すっかりほぐれきった秘裂は柔らかくぬかるんでいて、根元から先っぽまでをにゅるぅりと舐め上げる。
「おーっ……ふーっ……ふぅぅ~~……」
「お……おぉ……!」
ヴァギナの中ほどで、ジョウは腰を突き入れた体勢のまま固まった。硬直し、生殖の空虚を満たされて歓喜する膣壁のうねりに耐える。
フリーレンはといえば、布団のシーツをかきむしり、足指をきゅうっと丸めていた。まだ膣奥まで到達していないのに、ジョウの男根を包んでいるだけでオーガズムに達しかけているようだった。
「おふっ、ふぅっ、ふぅーっ……」
「すげぇ……とろっとろに溶けてる……!」
「あぅ……あぅぅっ……あっ」
フリーレンがか細い声を漏らすたび、十分に潤った膣ヒダがペニスにまとわりつく。ヴァギナ全体がかっかと燃えていて、しかも、にゅるりにゅるりとうごめくのだ。ペニスの先端をねっとりと舐め上げ、亀頭や裏スジにぬめった粒々を絡みつかせる。
男根が根元から溶けていくような錯覚に、ジョウは歯を食いしばった。よく知った、八人も子供を産ませたエルフのおまんこ……その穴が、まさかこれほどの気持ちよさを秘めていたとは。
「キ、キ、キスしてっ」
「あ、うあ、うう」
「もう、もう、イキそうだからっ」
真っ赤に火照った顔で妻がねだる。
「キスっ、して、お願……あふっ」
ジョウはフリーレンの舌を吸い出すようにした。舌先に舌先を擦りつけ、ざらつく表面をなすり合わせて愛撫する。舌遊びに、妻は腰をくねらせて悦び、小柄な体を布団の上でのたうたせた。
びくんっ!
「うーっ! んうぅっ……!」
限界に達したのか、キスされたまま、エルフ妻が布団をかきむしる。膣内がきゅぅぅぅっと締まって……かと思えば、うねくるようにして甘えてきた。
「おふゅぅっ……ぷぅ……ふーっ、うー……」
男根を飲み込んだままで、オーガズムに達したばかりの体を震わせる。半開きの唇から卑しい欲で湿りきった吐息をこぼして、両腕を夫の首筋へ巻き付かせ、脚で腰を捕まえて、膣壁全体でペニスを締め上げる。
「んふぅっ……んぅー……」
「お……おおっ」
ジョウの脳がスパークした。一瞬遅れて、びゅくっと精液が迸る。エルフ妻の膣内に子種を流し込んでいた。
「あ゛っ! あ゛ーっ! あ゛ー……」
「うぉ、おっ……お、ぉ……っ」
フリーレンは両脚でジョウの腰をがっしりと挟んでいた。絶頂痙攣に合わせてひくつく膣ヒダが、男根の先端に「ちゅっ、ちゅっ」とキスしてくる。逃すまいと絡みついて離れない膣内は、射精の最中でさえ気持ちいい。
「あ゛ー……」
フリーレンのうめき声と、時計のコチコチという音。それだけがジョウの聴覚を支配した。視界は白一色で、舌と鼻はフリーレンの唾液だけを感じている。触覚は……触覚は溶けていた。溶けて、フリーレンと一つになってしまっている。
「お……」
ジョウはよだれを垂らして、放心していた。射精が落ち着いても、脳の痺れるような感覚が残っている……濡れた唇が柔らかくて気持ちいい。腰に絡むエルフ妻の脚は心地いい。下半身に活力がみなぎり、勃起は一向に萎える気配がない。
(これが……スローセックスか)
「ふーっ、ふーっ……ふぅぅ……」
フリーレンはジョウの唇を吸いながら、長い長い絶頂を味わっていた。体が勝手に痙攣し、膣がぐねり、男根にしゃぶりつく。
「ん゛ー……う゛ー……うぅぅー……」
やがて、ようやく、フリーレンは唇を離した。布団にぐったりと身を預けて、夫の顔を眺める……その目はうつろで、表情筋がゆるんでいる。
「はぁーっ……あ゛ー……」
「す、すごいな」
かすれた声で妻をねぎらい、小さな顔に貼り付いた髪をよけてやる。フリーレンは、その指にじんわり熱い吐息を吐きかけた。
「ぷぁっ、はぁぁ……ああぁ……」
「気持ちよかったか?」
「……ん。すっごかった……はぁーっ……」
「こんなに気持ちよくなっちまうなんて」
「うん、うーっ……」
フリーレンは左に顔を背け、腕で隠した。少し息を整えてから、また口を開く。
「……スローセックスってすごいね」
「ああ。すごかったな」
「私、すごく変だったよね?」
「いや? 」
「ロリババアがあんなに乱れて、引いてない?」
「だからロリでもババアでも、ロリータでもないって。俺の、最高の嫁さんだよ」
フリーレンは、「んふ」と鼻で笑った。正面を向いて、紅く充血した唇を開く。
「ジョウも、中年でもおじさんでもない。わたしの、最高の夫。ふたつの世界で、最高の男性」
「……ありがとう。俺を選んでくれて」
「こちらこそ、ありがとう」
ふたりはそろって笑った。それからまた唇を重ねる。
「んふ……あふっ……」
一度絶頂したからか、フリーレンは悠々と舌を使い始めた。ジョウの舌と自分の舌を絡め、くちゅり、ぬちゃりと唾液を混ぜる。ちゅるちゅると音を立ててすすり、こくんと飲み込み、上あごの裏側をぬらぬらと舐め回す。
「んふっ……ふぅ……」
このエルフ妻に、こんなねちっこいキスを教えたのは誰だろう。ジョウだ。どんなキスも、セックスも、変態行為も、全て全てジョウが教え込んだ。
フリーレンはキスが好きで、ペニスをしゃぶりたがり、精液をしぼり取るのが趣味で、中出しセックスが大好きで……それら全ての行為に「ジョウとなら」という注釈がつく。
それを思うとたまらなくなって、男の象徴がめきめきと勃起する。
「あふっ……」
フリーレンが唇を離した。ふたりの舌先をねっとりとつないだ唾液の橋が、布団に落ちる。
「……そろそろ、いくぞ?」
「はぁっ……あぅー……うん。来てぇ」
フリーレンがコクコクとうなずく。両足を小脇に抱え込んでやると、自らもミニマムなおしりを浮かせて交合の角度を調整した。ジョウの亀頭が最も愉快な……自分のヴァギナが最も快美になれて、そして、放出された精子がたやすく子宮へ届く角度に。
「はーっ……うぅぅー……」
妻の息遣いが荒い。目の中で、情欲の炎がゆらゆら揺れている。これから大好きなペニスで気持ちよくしてもらえるという期待感と興奮が、ジョウにも伝わってくる。
フリーレンはシーツを握りしめて目をつむった。そのまま腰を揺すって挿入を促す。切なくてもどかしい時間だった。
にゅるっ……。にゅるっ……。
「あっ……」「うぉっ……!」
抜き差しはシンプルに、だけれど、力強く。とろとろにぬかるんだエルフ肉の中で、若き血潮を取り戻した逸物が前後する。
フリーレンは布団にしがみつき、目をつぶって「ふーっ! ふーっ!」と息を荒らげる。その腰も、ジョウの動きに合わせてくねり始める……。
「あふっ、あっ、あぅ」
ぬちっ……にゅるっ……にゅるっ……。
「はぁっ、はぁっ、はっ」
ずちゅっ……ずちゅぅっ……ずちゅぅぅっ……!
「す……ご……しんじゃう、しんじゃぅ……あうぅーっ……」
たくましく張り出した亀頭のエラが膣口を刺激すると、甘酸っぱい湯気がフリーレンの秘裂からたなびいた。
「あふっ……うぅぅーっ……」
ずちゅっ、ずちゅっ、ぬちっ、にゅるっ!
「あっ、あっ、あっ」
シンプルに、リズミカルに、激しく。
メイクラブからファックを越えて、セックスへ。
一往復するたびに脳裏で閃光が走り、嬌声を聞くたびに心がふわっと舞い上がる。
つまり───最高に気持ちいい。
「どうだ、ほら、奥に当たってんだろ、ほらっ」
「うぁっ、あぅ、あっ」
フリーレンは布団をたぐり寄せて口に押し込み、声をくぐもらせた。それでもなお、喉から漏れる声はジョウの耳まで届いてくる。
「んふっ……ふーっ……」
「声聞かせろ、なっ、なっ、なあっ」
「んふっ、ふーっ……あぅーっ……うぁっ、あっ、あぅー……!」
フリーレンはいやいやと首を振る。布団を噛んで声を抑えながら、それでもなお、ジョウのペニスに膣ヒダを絡みつかせて快楽を訴えてくる。
「ほら、我慢するな!」
ぷりぷりに充血した子宮口へ亀頭をはめ込み、ゆったりと円を描く。妻は小さな体を仰け反らせ、がくがくと腰を突き上げた。
「はぁあ、はぁあ、もぉいく、イク……、いきそう、いっちゃう……」
「いいぞ、いけっ……!」
「お……おっ、おぉっ!」
膣ヒダがうねって子種を搾りにかかり、ペニスの先っぽがきゅっと締め付けられる。フリーレンは絶頂してなお腰を揺すり、深い快楽の泥の中でジョウを楽しませてくれる。
「あっ、あぅっ! お゛っ、あぉっ!」
「俺も……イクぞっ!」
「だめぇ……、まだだめ……いま出されたら死んじゃう……、気持ちよすぎて死ぬからぁ……、いや、だしちゃいや、ああっだめ、ゆるして、ああん、幸せすぎて死んじゃうぅ……、あっ、あ゛ーっ……!」
フリーレンは甘ったるくすすり泣きながら嫌がってみせる。だけれど、ジョウが体を倒せばすぐにしがみついてくるのだ。中年男の体臭をうっとりと嗅ぎながら、か細い両腕を首に回し、首筋にキスマークまでつけてくれるのだ!
「あークソ、イクぞっ! 孫より年下の子供産ませてやる!」
嫌がられれば、嫌がられるほどにペニスが膨張してくる。射精本能を高めるのは安心感ではなく危機感、このままでは死んでも死に切れぬという焦りだ。孕ませない限り、死んでたまるかという意地だ。
「だめ、だめだめ、死ぬ、んちゅぅぅぅ~、死ぬ、ジョウと死ぬ、もぉ死にたい、死んでッ、一緒に死んでっ、あ゛ーっ、一緒に、一緒に、死ぬぅ~っ」
びゅく、びゅるっ!
ジョウは低く呻き、生殖器を根元までみっしりと埋め込んで、繁殖の相性が最高に優れたエルフの子宮に、精液を放出する。
びゅくっ、どくっ……どぷぷっ!
「はうぅぅ~……!」
フリーレンの体が歓喜に打ち震える。口の端に泡まで浮かべ、膣内射精の快楽に耽溺している。
「ああ、ああっ、あぁあっ……! 妊娠させてっ……! 何人でも、いつまでも産むから……わたしに、家族をちょうだい……!」
びゅっ、びゅっ……びゅー……びゅっ……。
ペニスは膨らんでは爆ぜ、ドロドロに濃厚な精液を子宮へ注ぎ込む。フリーレンの膣ヒダは射精を続けるペニスを優しく舐め回し、最後の最後まで精液をしぼり取る。
二人は、何度も何度も襲い来るすばらしい電流の中で、愛情と生命力を混ぜ合わせた。
◆◆◆
「……電話、鳴ってるよ」
「おう……あいてて……」
腰が痛い。部屋の中が生臭い。いったい何度射精したのか、もはや覚えていない。
フリーレンに促されるままスマホを取ると、女の声が聞こえてきた。
『夕べはお楽しみでしたね旦那様』
「げっ、フェルン」
国際空港のアナウンスが聞こえる。重役としてヨーロッパまで営業に出かけていた、もう一人の妻であるフェルンからの電話だった。
『出張中の私を差し置いて、フリーレン様としっぽりいちゃついていた旦那様に……』
「だ、旦那様に?」
『フェルンさん激おこです』
「言葉づかいが軽い……」
『ええ、もう二十年も夫婦をしているので』
「なのに抑揚がない……」
『ええ、今すごくムラついているので』
「ムラついて……なんで?」
『夕べ、フリーレン様が電話でノロけていましたので』
じろりと睨むと、フリーレンは「むふー」と笑った。
『旦那様』
「はいっ」
『あなたと結婚して、一つだけイヤだったことがあります。なんだか分かりますか?』
「え、えっと……」
『子供を産んでばかりで、お酒の味を覚えるヒマがなかったことです。せっかくヨーロッパにきたのですから、いいワインを買って帰ろうと思っていたんですけど』
「で、ですけど?」
『あなたと一緒に飲みたかったんですけれど』
「で、ですけれど?」
『それは、次の子育てが終わってからになりそうです』
「えっ」
『スローセックス、私ともしていただきますからね』
ズバッと言い切り、フェルンはそのまま電話を切ってしまう。
「おーい……」
呼びかけても返事は無い。ジョウは諦めて、スマホを投げ出した。
三十後半になって美魔女などと呼ばれ始めているフェルンと、スローセックス? 考えるだけで、射精しすぎたペニスが勃つ。ずっきんずっきん痛み出す。
それからフリーレンへ向き直る。妻はにやにやと笑っていた。いつも無表情なくせに、大好きなものを増やせそうなときは、こうなのだ。
「あー……フリーレンさん?」
「んふふ」
「なんだよぉ」
「フェルンにだけ十人目を産ませるつもり?」
「むぐ……」
「来年も期待してるからね、パパ」
まだ小さなお腹を撫で回し、フリーレンは幸せそうに微笑んだ。
(了)
いつも本作を読んでいただき、ありがとうございます。おかげさまで本作も年間ランキング4位、完結累計ランキング20位と、どうも身の丈に合わない記録となりました。改めて、読者の皆さんに感謝いたします。
今回は、初めての投稿から一年が過ぎましたので、記念にフリーレン様とのいちゃいちゃを書かせていただきました。お楽しみいただけたなら幸いです。
今年も一年、ありがとうございました。クリスマスには五等分の花嫁の短編を予定しています。ブルアカの方はお休みが続いておりますが、四月までにはなんとか完結させたいなと思っております。今後とも、よろしくお願い致します。
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