※この作品はR-18です。

湊友希那と変態シリーズ。   作:美肉。

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湊友希那とティータイムを楽しむ変態小説。



湊友希那ティータイム。

「ママ帰ってきた!」

 玄関扉の開閉音に反応して彼は額を持ち上げた。両手で持った雑誌をダイニングテーブルに置き、椅子から立ち上がると玄関へ駆け出した。

 それは、飼い主が帰宅した際の飼い犬とそっくりだった。というより同じだった。彼は妻――湊友希那に精神的に飼育されている。彼の脳裡には、友希那のことだけを思考し、友希那の体臭や物音、気配、熱気にだけ反応する特別な領域が存在している。その領域とは脳の約九十パーセントを占めており、彼にとって『友希那=人生』であり『己=友希那』だった。

 彼はばたばたと進んだ。リビングを出て廊下を歩いた。玄関口が視え、そこに愛しい人が居る。外出用の灰色のコートを着衣した友希那は靴を脱いでいる最中だった。

 彼にとって、友希那の帰宅とは枯れ朽ちた砂漠に落ちるひと粒の流水そのものだった。

「おかえりなさいっ」

 彼は歩行速度を落として友希那と対面した。

「ただいま」友希那は三和土に上がって答えた。「ごめんなさい、少し、遅くなってしまったわね」

「ううん。いいんだよ」

 彼は優しく答えながら右手を友希那へ差し出した。友希那はコートを脱ぎ、「ありがとう」と小さく会釈して彼に預けた。彼はコートを左腕にかけ、そのまま二人は廊下をゆったりと歩いた。

「今日、どうだった?」

「どうって、いつも通りよ」

 彼が訊ねると友希那は平然と答えた。

「歌った?」

「ええ」友希那はそれでもも冷静な顔つきだった。「もちろん」

「へへ、楽しみだなぁ……」

 彼はリビング出入り口扉を開き、室内隅に設置されたコート掛けからハンガーを取った。コートを引っ掛け、コート掛けに戻すようにしまってから、ゴクリ、と喉元を引き締めた。

「そ、それでさ、あの、友希那……」

 洗いうがいを済ませ、リビングに入ってきた友希那に向かって彼は呟いた。上擦った語気だった。

 実のところ彼は緊張していた。自身の脳裡に浮かぶ思惑を友希那に共有し、友希那に『お願い』することに躊躇さえ感じていた。それは、彼が持つ思惑が友希那に拒否、否定されてしまう可能性を含んでいるからだった。思惑を友希那に共有することとはイチかバチかの賭けであり、これが成就するのかどうか彼にもわからなかった。

 しかし、だからこそだった。だからこそ口に出し、友希那に選定してもらおうと彼は思っていた。

「あの、その……」

「何?」

 いつの間にか友希那が近づいていた。彼はいそいそとダイニングテーブルに向かい、放置した雑誌を持って友希那に提示した。開いたのはとある一ページだった。友希那が帰宅し、彼が閲覧を中断するその直前まで読み込んでいたページだった。

「これ……」

 友希那は彼に近づき、彼が提示する雑誌に視線を落とした。そこには、流行りのアフタヌーンティーの特集が掲載されていた。友希那はその見開き一ページをひと通り眺めた後、彼に向かって視線を持ち上げた。

「これが、どうかしたの?」

「あのぉ、そのっ」彼は喉元を力み、友希那のことを強くみつめた。「ティータイムしよ、ママ!」

 震えた声がリビング室内に響き渡った。

 

 友希那帰宅後、彼は友希那に思惑の全容を共有した。

 それは彼にとって少し恥ずかしいことだった。おねしょをした時、その濡れた布団を外に干し、通りかかる人々にチラチラ視られてしまうことと同じくらい恥ずかしかった。しかし同時に悦ばしかった。なんだか、楽しい。甘美な心地さえ意識する。つまり彼にとって自らの性癖を共有し、真面目に考慮してもらうこととは愉快なことであり、そこに伴う羞恥心も、そういう娯楽の類のことだった。

「ほ、本当にするの……?」彼からの説明をひと通り受けた友希那は動揺していた。「そんな、変態みたいなことを……」

「する」

 彼は静謐に答えた。それは淀みのない語気だった。彼の中で、それを行いたいという意思が揺らぐことはなかった。たとえ友希那から変態認定をされたとしても、別に彼は精神的に傷付かなかった。むしろ変態という言葉は、そういう褒美として彼の精神的支柱となり、それを行いたい、どうしても成し遂げたい、という意思の強さを担った。

 友希那はスゥーッと息を吸い、ハァ……、と大きく吐いた。動揺と同時に少し呆れた感覚も混ざっている様子だった。

「い、いいかな? やっても、いいかな?」

 不安になった彼は確認するように友希那に訊ねた。

「ええ」友希那はぽつりと呟いた。「いいわよ。付き合ってあげる」

 

 彼は友希那と正式な婚姻関係にあり、また、二人きりで住んでいた。

 婚姻関係というのはもちろん二人の気持ちのことでもあったが、同時に書類上のこと、法的な意味のことでもあった。婚姻届けを提出した。二人はただ精神的に夫婦というだけではなく、世間的にしっかり認められた夫婦ということだった。彼はそれがなんだか嬉しかった。他の誰がどんな文句を垂れたとしても、友希那という女性の夫として認められているという事実が嬉しかった。この世のあらゆる書類での手続きで、妻の名前を記載することを要求された際、堂々と友希那の名前を記入できることが本当に幸福だと思っていた。

 彼が友希那と住んでいる家は一軒家だった。

 比較的モダンな外装で二階建てだった。一階にはリビングの他に浴室へ便所といった、基本的な生活に必須の部屋の他に倉庫もあった。二階には二人の部屋があった。といっても二人でひとつの部屋を共有しているのではなく、一人につきひと部屋といった具合に分かれていた。それは友希那の申し出であり彼の思想だった。

 どれだけ愛し合っていたとしても、個人的な空間とそこで過ごす個人の時間は必須であり、そのためには部屋は分けるべきだった。

 

 現在、二人はリビングに居た。

 リビングにはダイニングテーブルの他にソファーも設置されていた。二人どころか、四人くらいなら横に並んで座れる程度に大きい、白色のものだった。ソファーの前には黒色の背の低いテーブルが設置されており、テーブルの向こう側には大型の薄いテレビが設置されていた。

 彼はソファーに座っていた。左隣に友希那が居た。テーブルの上にはまず白色のポットがひとつに、白色のカップが二つ置かれていた。さらに同色の小さな皿がそれぞれ置かれ、皿の上には銀色の小さなフォークと、それからショートケーキが乗っていた。

 カップから薄い白色の湯気が昇っている。全ては彼と、それから友希那のために用意されたティーセットだった。ショートケーキは彼が選んだそれなりに値の張る一品で、橙色の紅茶はすでに注がれた後だった。

「それで」ひと通り用意を終えた後、友希那は彼に鼻先を向けた。白色の長袖の上に、黒いキャミソール型のワンピースを着ていた。「最初は何からすればいいのかしら」

「じゃあ、ケーキから……」

 彼はぎこちない語気で答えた。長いジーンズに白色の長袖シャツという姿だった。

「わかったわ」

 と答える友希那は左手のみを動かしてフォークを手にとった。その瞬間に彼は呻いた。「ううっ」という、まるで腹に打撃を受けたような声を漏らした。友希那は変わらなぬ態度だった。慣れた手つきでフォークを持ち、ショートケーキ先端部分を削るようにひとつ取ると、彼を視た。具体的には、今まさに右手で掌握している彼の陰茎を確認した。

「不思議な感覚だわ。こんなこと……」

 友希那は手の中の彼の竿を視て呟いた。険しい語気だった。

 今、彼の勃起した陰茎は露出している。ズボンのチャックを下げ、パンツの隙間から伸ばす陰茎は上向いているのだが、その全容を友希那の右手が握り込んでいる。彼はソファーの上で脱力ししながら友希那の素手の柔らかさを体験し、それで呻いていた。友希那の手の中は温かかった。それでいて五指が自由に優しく常に蠢くのだった。細く、柔らかい五つの指先が自由気ままに動いているため、彼はその快感を予想したり構えることなど不可能だった。

「うう、友希那っ……」

 つまり、負けていた。友希那は慣れた手つきで彼の竿を持ち、飼い慣らすようにしごいている。彼という男の陰茎の、その弱点部分をすっかり熟知し、そのうえで十分に焦らしたり、逆に勢いよく撫でてくれる。快感から逃れることはできず、彼は、ソファーの上で腰を震わせるとととなった。

「ちょっと、暴れないでちょうだい」

 友希那が強く囁いた。彼としてはそんなことほぼ不可能だった。ティータイムという清らかな時間の最中に、勃起した陰茎を露出している。またそれだけではなく、その勃起を許してもらうように友希那に握ってもらっている。羞恥と背徳感が同時に押し寄せ、彼は身悶えするほど強い刺激にもはや打ちのめされていた。

 そんな彼に友希那は強く叱咤激励した。

「耐えるのよ。ティータイムは、これからなのだから」

 それは歌姫を彷彿とさせる語気だった。ライブの最中、メンバーや観客に向かって号令をする友希那の様子と、今、男の竿を握って尻に敷く友希那の様子は少し似ていた。

「う、うんっ……」彼は腰に力を入れながら答えた。股間の位置で友希那の小さな右手が上下している。「友希那、ケーキ……」

「ええ。わかっているわ」

 それから友希那はフォークを持ち上げた。フォークの上には削り取ったケーキがちょこんと乗っている。友希那はフォークを口元に乗せ、それからまた彼のことを視た。

「ところで、今日のあなたは『ふぅ』と『はぁ』の、どちらがいいのかしら」

「えっと、んと……」彼は素早く思考した。「じゃあ、『はぁ』がいいっ!」

「『はぁ』ね」友希那は確認するように彼を視た。「わかったわ」

 了承した友希那はフォークを口に寄せて開口した。十分な潤いを持つ唇はニュパッ……、と音を立てながら開き、友希那はそれから喉を張った。「はあぁ……」という湿った音が鳴った。喉の奥から唸る低い音だった。それは友希那が吐息を優しく放出している際の音だった。口腔内部に溜まったにおいや熱そのものが流れ、ショートケーキを穏やかに包んでいた。

 その吐息でのコーティング作業は五秒ほど続いた。

「はい、あーん」

 友希那は口を閉じ、ショートケーキの乗ったフォークを彼に差し出した。また、この際どういうわけか友希那は彼の竿を握る右手を少し力ませた。男としての急所を掌握された彼は、スイッチを入力されたかのように自然に開口し、友希那が向けてくるショートケーキを食べた。その様子は、ケージの外から差し出された餌を食らう小動物に似ていた。

 彼が最初に口元で感じたのは熱気だった。

 それは友希那の口の中の熱だった。つい先ほど、友希那が眼前で塗布した吐息に乗る熱を真っ先に意識し、彼はショートケーキを咀嚼した。生クリームの甘ったるい味がする。次いで、舌先にスポンジの柔らかな質感が触れた。彼はそのショートケーキの味の中から友希那の味を探した。吐息と共に付与されたはずの友希那の香ばしい味を探し出し、ショートケーキと共に味わった。

「美味しいかしら」

 彼がショートケーキを嚥下すると友希那はすかさず彼の目を覗き込んだ。

「おいしい。もうひとつちょうだい」

 感想どころか注文まですると、友希那は何もいわずにフォークをショートケーキに差し込んだ。細やかな所作でショートケーキを削り取り、左手を持ち上げて彼を視た。

「それじゃあ次は……」

 友希那はショートケーキを視た。また開口し、フォークを口の中に入れた。それは大型の船が入港するような動きで、友希那は口を閉じた。すぐに咀嚼するように思われたがそうならなかった。むしろ逆で、友希那は口の中にフォークを留めた。ショートケーキがフォークから落下したり、歯列や、舌先に触れないよう気を配っているようだった。

 それは『温め作業』だった。

 フォークに乗せたショートケーキをフォークごと口に入れて唇を閉じる。これで口腔内部は完全な密室となり、口腔内部に漂う濃厚な熱気や立ち込める口臭が、ショートケーキにゆったりと付着する。先ほどの、あの吐息を塗り付ける作業より時間はかかるが、その分、ショートケーキに強く友希那の痕跡が付与される。それは、彼にとって何より重要なことだった。また、彼にとって何より嬉しいご馳走だった。ただ吐息を付与するだけではない、友希那が一度口に含んだという事実が、ショートケーキの甘い味をさらに奥深いものに仕上げているのだった。

 普通に友希那がショートケーキを咀嚼し、口移しをするという手段も確かにあった。

 しかし、単純なキスと同じ要領でショートケーキを食べさせてもらうより、こちらのほうが何か倒錯に富んでいる。吐息を噴いて温めることもそうだが、食器を使って食べさせてくれるという部分が、なんだか唆る。赤ちゃん扱いを受けているような心地になって、ようやく安心することができる。そのため彼は、友希那の「口移しじゃあ駄目なのかしら……」という疑問を振り切ってまで、このやり方を友希那に求めていた。

 友希那が口を慎重に開けた。それは口の中、フォークの上に乗るショートケーキが崩れないように気を配った遅い動作だった。彼はその口腔内部の奥を視ていた。口の中にはフォークがあり、フォークの上にはショートケーキが乗っている。ショートケーキは、友希那が口を閉じた時と変わらない様相でそこにあった。

「私の口の中で温められたショートケーキ。クリームの部分が少し溶けてしまっているけれど、あなたはこれがいいのよね」

 友希那は口の中からフォークを取り出し、彼に向かって差し出した。

「はい、あーんして……」

 彼は開口した。この時も、友希那は右手で彼の竿を少しぎゅっと握っていた。友希那は、そうしないと彼が口を上手く開けないと思い込んでいるようだった。フォークが進み、彼はショートケーキをひと口で口に含んだ。舌先に甘い味が触れる。友希那は彼が食べやすいように緩く動き、間もなくフォークだけが、彼の口から抜けていった。

 彼は完全に両手のどちらも使用せず、友希那からショートケーキを与えられていた。

 彼は口の中に残ったショートケーキを咀嚼した。優しい甘い味がする。それは生クリームだが、先ほど食べたものより湿っていた。友希那の口の味というか、湿度の味だった。口の中で十分に温められたショートケーキには友希那の唾液や風味がよく染みている。彼はその甘さも、湿度も気配も舌先で味わった。かき混ぜるように堪能し、それからゴクリと嚥下した。

「おいしい……」

「よかったわ」

 彼が感想を述べると友希那はすかさず返答した。左手ではフォークを皿に置き、右手では彼のものを撫でている。

 二度のショートケーキによって彼の陰茎はより力強い勃起に至っており、友希那は、獰猛な動物をあやすようにゆったりとしごいていた。

 右手の手つきをそのままに、友希那は次に紅茶の注がれたカップを手に取った。彼は紅茶に詳しくなかった。逆に友希那は紅茶に関してそれなりに知識を持っており、今回のティータイムの際も、紅茶は友希那が選んでいた。

「ふふ……」その橙色を確認し、さらに友希那は彼のことを視た。「よく聴いているのよ」

 友希那は彼の陰茎をしごいたまま、カップを口につけてクイと持ち上げた。なめらかな動作で紅茶が流れ、友希那は少しするとカップを下ろした。カップの中に紅茶はもう入っていなかった。友希那が無理をして全て一気に飲んだのではない、最初から、友希那が十分に余裕を持って全て口に含める程度しか注がれていなかった。

「んふんよ」

 おそらく「いくわよ」と友希那は号令し、それから、紅茶を含んだ頬を勢いよく動かした。膨らんだ頬肉が揺れ、ぐちゅぐちゅぐちゅ、と奥から連続で音が鳴った。それは閉じ切られた口腔内部で紅茶が飛沫を上げ、粘膜に垂れる唾液と混ざり合う音だった。彼は待った。友希那が、十分に自分の唾液と紅茶を混ぜ合わせるまで待機した。友希那の頬肉の動きは加速し、ごしゃごしゃごしゃ、とやがて奇妙な粒立った音がした。それはもはや洗浄だった。友希那の唾液という特異な素材を使用し、紅茶を新しい飲み物へ変化させている。友希那の体内で温められた唾液と、清らかな紅茶は完璧な純度で混ざり合い、さらに友希那の口の中の熱、口の中のにおいが紅茶に新しく付与される。友希那は頬肉の動きを止めた。カップを持ち上げ、唇をふちの部分に付けた。次の瞬間、ちろちろ、という優しい音が鳴った。友希那の口から紅茶が噴き戻され、カップの中に注がれていった。友希那はカップから口を離した。口とカップのふち部分に、唾液の糸が引いていた。透明なそれは緩やかな弧をえがいて垂れ、やがて溶けるように消えた。

「完成したわ」

 なんとも下品な動作だったが友希那は平然と完了報告をした。右手で彼の竿を握り締めたまま、それから友希那はカップを彼に向けた。彼は口を半開きにした。カップのふち部分、先ほどまで友希那が、唾液の糸が引いてしまうほど口を念入りに触れさせていた箇所が迫った。彼はカップの中を視た。

「気泡ができているわ。これは卑猥というより、少し下品ね……」

 友希那が冷静に解説した。

「けれど、あなたはこれで十分興奮しているみたいね」

「わ、わかるものなの……?」

「当然よ」

 友希那はそこだけはっきりと明言した。右手の掌握が引き締まり、彼はまた呻き声を上げた。

「ふふっ。わかりやすい人ね……」

「うう、友希那ぁ」

「ええ、わかっているわ。ほら、はやく飲んで」

 友希那は彼にカップを差し出した。彼はそのふち部分を改めて視た。友希那が口を触れさせた部分だった。よく視ると、他の箇所とは異なる光沢を帯びている。それはきっと友希那のリップだった。友希那が、自らの唇を際立たせるために塗り込んだリップがふち部分に移り、独得なてかり具合を放っていた。

「ほら――」

「いただきますっ」

 友希那にすすめられるようにして彼はカップに口を乗せた。すぐに友希那が様子を視ながらカップを傾けてくれる。注がれた紅茶が斜めになり、彼は口を開いた。隙間のようなその箇所に紅茶が触れ、淀みなく流れ込んでくる。ぬるかった。淹れたばかりの紅茶特有の熱気はなく、代わりに友希那の口の中の熱があった。彼は紅茶を吸い込むように勢いよく飲んだ。全て口の中に入ると友希那がカップを下ろしてくれた。彼の頬は少し膨れていた。口の中に紅茶がある。彼は友希那がそうしたように頬肉を揺らした。口の中、頬肉や歯列、歯茎に至る全ての箇所に、友希那の唾液が混入した紅茶を塗り込むように巡らせ、それから一気に嚥下した。

「美味しいかしら」

 友希那はまたすぐに訊ねた。

「とっても」

 彼はにやけながら答えた。その股間を友希那が握っている。

「友希那、もう……」

「ええ」

 友希那はカップをソーサーに置き、彼の至近距離まで迫った。右手で竿を握っていたが左手に持ち替え、右手は受け皿のように添えた。

「そろそろ、出てしまいそうなのね」

 射精が近づくと彼は性格が少し変わるのだった。なさけない友希那を恋い焦がれる男児から、性を求めるだけの獣に変容する。

「お願い、友希那」

 ティータイム開始時点から竿を握っていた友希那は、彼の性欲の高ぶりについても理解を示していた。友希那は左手を素早く動かした。搾り取るような執拗な動きだった。彼は呻きながら頷き、股間の行く末を友希那に預けた。太腿が強張り、両足の指先をきゅっと力んだ。四肢の末端がじんじんと燃え上がり、その熱が一斉に股間という一箇所に凝縮されてゆく心地がある。引っこ抜かれる。友希那によって精が搾り上げられ、絶頂に至ってしまう。彼は我慢などしなかった。友希那の分泌物がべっとり付着した、ショートケーキと紅茶によって性欲は限界まで濃度を上げ、友希那がそれをさらに導いてくれる。彼は腰を前方向に突き出した。そして呻きながら、最大級の精液を解き放った。

「イくっ!」

 友希那の素手の中で陰茎は震え、先端から、白く濁ったものが飛び出した。吐き出した、彼としてはそのような感覚だった。重たい粘液は友希那の右手に付着し、左手は彼が出し尽くすまで緩く動き続けてくれている。彼はどろどろと射精し続けた。いくつか濃厚なものを発射させ、友希那の右手を濡らした。受け皿として機能するその右手は、彼の分泌物をしっかり保持していた。

 彼が射精を終えると、友希那はさっそく右手を自分のカップの上に移動させた。素手を斜めにすると精液が垂れ、指先から紅茶の中へとろりと落下した。友希那は右手でカップを摘み上げた。この際、射精によってすっかり消耗した彼の竿のことを、左手は常に握っていた。筒のように構える素手の中に縮んだ竿はすっぽり収まっており、余った精液によってぬちぬちと揉み込まれていた。

「いただくわ」

 精液入りの紅茶を、友希那は音を立てて飲み干した。

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