音楽家・湊友希那は帰宅途中だった。
今日は音楽事務所でミーティングがあった。バンドメンバーや音楽関係者の多くの人たちと議論を交わし、次に行うライブについていくつか決定した。ミーティング終了後すぐに帰路についた。途中までバンドのメンバーと一緒だったが今は一人だった。
友希那は公園の前を通過した。それは友希那もよく知る近所の公園だった。ここを越えるともう数分で自宅に到着するはずだった。帰宅したら何をしようか、と友希那は考えた。もちろん歌の練習はするがそれは午後からの予定だった。それまで少し休憩するのも悪くないと友希那は考えていた。
公園が視界から完全に消える間際、友希那は身体に衝撃を受けた。それは大きなものではなかった。足元、というより下半身が少し揺れる程度だった。友希那は驚きつつ、表情は変えぬまま下を視た。少年が居た。黒色の短パンに空色の半袖シャツを着た少年は、快活な恰好だったがその表情は緩んでいた。友希那に激突した後、友希那から離れることなく臀部に両腕を廻して股間を押し付けていた。
「あなた……」
友希那は少年の表情と、服越しに主張してくる少年の勃起した陰茎を視ていた。
男性の性欲の面倒をみることは女性として当たり前のことだった。
男性は自身の中に性欲が溜まり、もはや我慢不可能の領域まで達すると周囲の女性の中から好みの相手を選び、抱き着いたり強引に襲うことでいつでも性交することができた。そこに言葉は必要なかった。了承を得ることも不要だった。選ばれた女性は、男性が真の性的満足感に浸るまでいくらでも付き合うことが当然だった。それは国が定めた法律だとか世界の常識というものではなかった。人間であるのなら誰でも最初から備わっている意識であり、いうならば本能だった。そしてもちろん友希那にもその本能は備わっていた。友希那はプロの音楽家として活動しているが、求められれば即座に『プロ音楽家』から『女性』へ転身し、男性が求めるあらゆる需要に対応すべきだった。
少年と手を繋ぎながら友希那は公園に入った。
ベンチに座りましょう、と友希那は少年の一歩前を歩いていた。友希那は少年の股間をちらりと視た。股間はもっこり突き出ていた。それは下着の中に格納された陰茎が屹立している何よりの証拠だった。友希那は固唾を飲んだ。ついにこの時がきてしまった、と改めて仰々しく構えた。
「隣、私も座るわ」
断りながら友希那は少年の右隣りに腰を下ろした。すぐにまた少年の股間を視た。少年はおとなしそうに着席したが、その下半身は猛烈なまでに突出してズボンが上方向に歪んでいた。友希那はそこに右手を差し出した。ベンチに座ったままだった。友希那は肩幅を少年の方向に寄せ、ズボンの上から陰茎に触れた。めいっぱいに広げた五指が、その盛り上がった箇所に触れると少年は腰を弾ませた。それは反射的な動きに思えた。限界まで勃起している少年は、たった少しの刺激にさえ敏感のようだった。
友希那は人差し指の腹で陰茎の一か所を擦った。そこは陰茎の頂点部分と思われる箇所だった。友希那の予想は正しかった。細い指が触れ、そのまま左右に擦れる度に少年はビクリ、ビクリと震えていた。友希那はそれを眺めながら慎重に、今度は親指の腹を頂点部分に乗せて擦った。それは強く勃起した陰茎をあやすような手つきだった。指を押し込むようにし、擦るというより撫でるような動作だった。
「ど、どうかしら……」
陰茎を擦りながら友希那は少年の表情を窺った。視線を上げて少年を視ると、同時に耳にかけた左側の長髪がいくつかするりとほどけていった。少年の荒々しい鼻呼吸が聞こえた。友希那はベンチに座ったままだった。しかしその肩幅は、隣に座る少年に急接近しており二人の頬は密接だった。少年は無垢な顔つきだったが口元が緩んでいた。頬は高揚し、いつの間にか大股を開いていた。友希那の右手はその上を巡っていた。五指は強く上向く股間の形に寄り添いつつ、稀に指先でくすぐったり撫でた。友希那が動く度に少年の表情は溶けていった。瞳の中の潤いがとろとろに弱り、勃起がさらに引き締まっていた。
「それじゃあ、あなたのおちんちん、私が出してあげるわ」
頃合いだ、と友希那は確信していた。それは女性としての勘のようなものだった。友希那は少年のズボンから一度手を離し、チャックを摘まんで引き下げた。ジィーという音と共にズボンが開き、内側から白色が覗いた。少年が着衣するブリーフ型のパンツだった。友希那はズボンの中に右手を突っ込んだ。すぐに指先にじんわりとした熱が触れた。少年の股間が持つ雄の熱が、寒々しい友希那の細い指先に染み渡っているようだった。友希那は少年のブリーフパンツを優しくめくった。ブリーフパンツには、その前方に陰茎を一時的に露出するための穴のような構造があった。友希那はそれを指先で器用にずらし、陰茎が通り抜けられる程度に広げた。
「おちんちん、出てきて……」
囁き声に呼応するように、友希那に向かって大きなものが跳ね返った。ブルンと大胆に弾む挙動を前に友希那は短いを悲鳴を上げた。少年の陰茎がついに露出した。その肉棒は逞しく発達していた。まだ成長途中の少年の身体からは考えられないほど巨大な様相だった。
竿部分は反り返りながら上向き、時おりびくびくと震えていた。亀頭部分は熱烈に肥えており、頂点の鈴口部分からはすでに透明な粘液が垂れていた。それはカウパー汁だった。性的興奮に至った男性が、精液の前に分泌する独特な粘液だった。しかし友希那にはそれが、腹を空かせて獲物を狙う肉食動物の我慢ならない唾液に視えて仕方がなかった。
「す、すごいわ……」
脈打つ陰茎を前に友希那は固唾を下した。陰茎は鼓動のように一定間隔で震え続けていた。何か友希那にみせつけているような鷹揚な態度だった。はやく友希那に握ってほしいようだった。友希那は唐突に極度の緊張に苛まれた。顔の皮膚が急速にカッと熱くなり、脳の奥の芯のような部分が引き締まった。いよいよ本物の陰茎が相手だった。そしてそれは友希那が生まれてはじめて経験する奉仕だった。
友希那は今までたった一人とも性的行為に及んだことがなかった。
友希那は今まで男性器を握ったことなどなかった。そうして雄の欲望の行方を預かり、その責任を持つことなどなかった。友希那がしてきたこといえば音楽だけだった。あの燦然とするステージに立ち、大勢と一体化するようなライブをしていただけだった。それが悪い活動だと友希那は思わなかった。当然無意味だと思わなかった。しかし周りを視てみると、バンドメンバーは全員が音楽を行いつつしっかり男性を相手していた。身体のあらゆる部位を男性に捧げ、精神的なところでも男性を尊重していた。友希那が握ってきたものとはマイクだけだった。
「そ、それじゃあ、いくわよ……」
ぎこちない声と共に友希那は右手を持ち上げた。おずおずとした所作で、間もなく少年の陰茎を包んだ。途端に五指に熱が流れ込んできた。何かこんもり重たく、それでいて粘っこい熱気だった。確かに動物的な熱だったが、人間の身体のどの部分で感じることができない陰茎特有の熱気だった。
友希那は指の位置をそれらしく決定すると素手を引き締めた。五指と陰茎がぴったり触れ合い、そこではじめて陰茎とは意外とつるつるしていることを知った。友希那は右手を動かしはじめた。五指で造った筒の中を陰茎が行ったり来たり往復しはじめた。分泌されているカウパー汁が指に絡み付き、間もなく湿った音が響いた。
友希那の周囲の女性たちも、このように男性に当たり前に奉仕していた。
よく知るバンドメンバーだって奉仕していた。たとえばリサはその社交的な性格を使って何人もの中年男性の『相手』をしているようだった。燐子にはあれほど恵まれた大きな乳房があり男性ウケはよかった。紗夜は真面目で堅実な性格が、虐められたい願望を持つ男性に求められた。あこに関しては胸も大きなものではなく、どこか幼げな印象だがそれがむしろ『そういう趣味』の男性にとって高い需要となっているようだった。
自分はどうだろう、と友希那は思った。まず胸はなかった。燐子になど到底敵わない大きさだった。それどころかあこといい勝負だった。それなら幼女として需要があるかと思われたが、友希那の背丈は別に幼女と視られるほど低くはなかった。リサのように快活に、自分から進んで男性に接触することも不慣れだった。紗夜はよく『SMプレイ』なるものを行っていると聞いたが、そのテの複雑でマニアックな知識に友希那は明るくなかった。友希那は未経験だった。無知であり無能だった。友希那は女性としてまだなんの性的技能も獲得していなかった。それはいい換えれば『新品』ということだった。しかし世の中の男性全てが、性的発達の乏しい女性を求めているわけではなかった。むしろこのテの、即座に性的快感に浸りたいという男性の本能にとって性的技能の乏しさとは鬱陶しさでしかなかった。
一切の性的経験のない友希那とは男性から視て需要などどこにもなかったが、それが男性を拒否する理由になるわけがなかった。
友希那はやらなければならなかった。友希那は、自分が音楽を行うことをひとつの宿命であり運命だと確信していたが女性としての役割のほうが重要だった。それは生き物としての使命だった。女性として生まれたのなら男性の相手をすることが当然であり、いちいち怯えたり理由をつけて遠ざけるなどありえなかった。それに怯えているのはむしろ少年のほうだった。今、少年はひどく心細いと感じているはずだった。己の中で、濃厚な性欲だけが膨張しもうわからなくなっているはずだった。限界なので少年は友希那のことを選んでいた。数多の女性を自由に選択することができるということは、数多の女性を『性的価値ナシ』として見捨てることができるということだった。そんな取捨選択の中で少年は友希那を選んでいた。少年の中で友希那とは、女性として『アリ』ということだった。そして溢れ出る性欲をどうにか発散させてほしいと縋っていた。もはや劣等感などどうでもよかった。女とそんな願いを、ただ未経験だからという理由で拒否することなど友希那には許されていなかった。
「あの、どうかしら……」手淫を続ける中で友希那は少年に訊ねた。額を持ち上げると長髪が揺れ、毛先は肩や胸元を通過し自由になった。「私の手、気持ちいいのかしら……」
友希那は口では戸惑いつつも、その手つきにはもう躊躇がなかった。素手を動かせば動かすほど、少年はカウパー汁を放出しそれらは友希那の右手に付着した。友希那はカウパー汁を潤滑油のように活用して手淫を盛り上げていた。肉棒をしごくというより、揉み込むような手つきで全体に尽くしていた。やがて少年の腰の部分が逼迫していった。それは射精直前の男性が必ず現す態度だった。最大限まで竿が奉仕され、睾丸で十分な精液が蓄えられると本格的に我慢が不可能となり放出しようと働きはじめるのだった。
「で、出るのね……」
友希那は少年の顔をみつめていた。少年のシモの挙動が右手に鮮明に触れていた。友希那は右手の動き加速させ、その表情をじっと観察した。少年は前のめりに揺れ動き、間もなく友希那の肩に手を置いた。うううっ、という呻き声と共に身体が硬直し、ただ友希那の右手の中の陰茎だけが温かいものを排泄した。
若々しい射精は二度、三度と続いた。その度に陰茎は大きくうねった。友希那は陰茎の動きを尊重しつつ、少年が射精を完全に終えるまで右手の運動を続けた。射精の勢いは回数を重ねるごとに弱まり、四度目以降は友希那の右手の動きに合わせて少量を漏らすだけだった。
やがて射精が完全に停止すると友希那は陰茎から手を離した。右手は少年が排泄したものでべっとり汚れていた。肌が確認できなくなるほどぬめめっていた。友希那はベンチの前方を視た。一メートルほど遠い位置にまで、少年が放った精液が飛沫として点在していた。すると右手が掴まれた。目を向けると少年だった。友希那の右手を掴んだ少年は、その手のひらに陰茎の先端を押し付けた。亀頭や鈴口に垂れ出た精液を友希那の素肌で拭っているようだった。
友希那はもちろん抵抗しなかった。一度でも射精が完了するとその女性は男性の『所持品』となり、後はもう何をしてもよかった。友希那は何気なく少年の陰茎を観察していた。少年の陰茎はまだ勃起し続けていた。一度射精した後だというのに、その大きさは最初に友希那がブリーフパンツから取り出した際と少しも変化していなかった。
「そんな……」
友希那は狼狽えた。絶句するほど驚愕していた。少年の性欲は凄まじかった。少年の勃起維持力は強烈だった。そのありえないほど恵まれた雄を前に、友希那はもはや素手などでは対処しきれないことを知った。そうだ、と何か納得していた。
友希那はベンチからするりと降り、少年の股の間に入りこんで跪いた。眼前に陰茎が聳えていた。友希那の唇や舌先や喉を待ちかねているかのように上擦っていた。友希那はゴクリと固唾を下した。口腔粘膜は唾液の熱で十分に満ちていた。友希那は献上するかのように口を開いた。