たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 避難所 作:いらえ丸
例によって「これホントにR18か?」って感じですが、ご容赦ください。
よろしくお願いします。
発情期になると、獣系ロリは匂いフェチになるらしい。
少なくとも、イリハとグーラはそうだった。
この世界において、獣系人類の発情期とは受精・着床・妊娠が可能になった状態の事を指す。
発情期の最中は、その人にとって好ましい雄の匂いを甘美に感じるようになるそうだ。
かくいうユゥリンは年頃の麒麟族であり、つまりは瑞獣系の希少獣人で、当然として発情期が存在する。
ルクスリリア曰く、そんな彼女が発情期に入ったというのだ。
そんな彼女は、現在……。
「くんくんくんくん♡ すぅ~、はぁ~♡ ふがふが♡ んぉおおおお♡」
俺の股間の匂いを嗅いでいた。
二人きりの寝室に、黒髪ツインテ陰キャロリの荒い吐息が反響する。聳え立つ灯台を眼前にしたその顔は、大好物のスイーツを前にした甘党女子……などでは断じてなく、さながら推しの使用済みタオルを入手した強火オタク君のようだった。
どうみても発情期です。本当にありがとうございました。
「はぁ~、くっさ♡ 汗みたいな匂い♡ くんくん♡ でも良い匂い♡ ん~♡」
彼女の大きな瞳に、外気に晒されたロンゴミニアドが映っている。図らずも見せ槍の状況になっていた。
至近距離で見られてる都合上、彼女の吐息が直に当たって温かい。しらたば三すくみで負けた我が槍に攻防のバフが入ってしまう。終いにゃバーサクからの参加不可で「母やくたすケにきで」エンドになってしまうかもしれない。
いかんのか? いかんでしょ。
「ユゥリン?」
「あ、すいませんすいません! ちょっと匂いにやられてました! すぅ~、よし……!」
申し訳ないがリアルでバッドエンドはNGだ。狂戦士化する前に声をかけると、黒髪の彼女はのけぞるように股間から顔を離した。
ベッドに座る俺と床に座るユゥリンが対面している構図である。それこそ今からおっ始めるのかって感じだが、それは半分当たりで半分ハズレ。今から、嵐極拳の鍛錬をするのである。
ホウレンソウの結果、俺とユゥリンは“内勁繋ぎ”なる鍛錬を行う事となった。これにより、勁鱗を習得しようというのである。
「い、今一度説明しますね」
ユゥリン曰く、ざっくり言えば内勁繋ぎは物理的に繋がりながら行う発勁合わせの応用トレーニングらしい。
内勁とはつまり、体内を巡る氣みたいなものである。繋がっている間に嵐極拳の達者が未熟者の内勁に干渉し、発勁の反復を通じて勁鱗の習得に導くという。
房中術と何が違うのかと思ったものだが、イリハが言うにはお粥とおじやくらい違うらしい。とにかく、実践せねば理解はできぬ。
「……なので、その為にはイシグロさんのモノに大きくなってもらわないと、いけないんですが」
二人の視線が下方に向かう。
黄金バナナだ。ココナッツも添えて栄養バランスも良い。
「ごめん……」
「い、いえいえいえ! これってつまり、そういう風に見てくれてるって意味なんですよね? なら、むしろ嬉しいっていうか……ふへへ♡」
言って、彼女はにっちゃりとスケベな笑みを浮かべた。
「えっと……その前に、内勁繋ぎには必要のない行為なんですが」
「ん?」
かと思えば、スケベ顔のままもじもじとしおらしい仕草。
「その、イシグロさんがお嫌でなければ……チューとかしてもらえませんか? 好きな人とチューチューするの、ずっと憧れてて……」
発情チン嗅ぎからの寒暖差が凄い。けど、顔を赤らめるユゥリンは最高に可愛かったので、棒ではなくて心にヒット。勿論、オッケーである。
「いいよ。しようか」
「ホントですか!? や、やった……!」
そんな訳で、隣に座るよう促す。
陰キャらしくロリ一人分の距離を空けて座った彼女には、此方から接近を試みる。すると彼女はキュッっと肩をすぼめて守りの構え。
「こ、ここから、どうすれば良いんでしょうか? 例によってこういうの初めてで……ひぅ!?」
言葉の途中、彼女の小さな肩を抱く。
そのままマッサージをするように身体に触れていき、掌で以て華奢な身体を堪能した。対するユゥリンはもぞもぞと身を捩りつつ次第に発情期の興奮が再燃してきたようで、やがて体重を預けてはもどかしそうな声を漏らしていた。
サラリとした髪を撫で、顎に触れて此方を向かせる。大きな青目を見つめると、彼女はゆっくり瞼を閉じた。
「ん、ちゅ……♡」
触れるだけのキス。
小さく窄められた唇は、緊張故か強張っていた。
離れると、すぐ目の前に春空の如き青が広がった。
「こ、これがキス? 意外とあっさりしてるんですね……」
と、若干不満そうというか物足りなさそうなお顔である。
前世、念願の童貞卒業をした友人が「そんなに良いもんではなかった」とレビューしてたのを思い出す。数か月後、彼はサバゲーにドハマリしてミリオタになっていた。
「もっとこう、キスってお互いの口を貪るというか、ベロンベロンするものと思ってました」
なんて事を思い出していると、ユゥリンの可憐な唇から驚愕の発言が飛び出てきた。
チラチラと俺の方を見てくる瞳は、例によって物欲しそうだ。
「そういうのもある」
「したいです!」
促す前に、彼女はペッと舌を伸ばしてきた。急かすように長い舌が上下に揺れている。
「れろぉ~♡」
べったりと、舌同士でハイタッチを行う。舌苔が擦れた瞬間、彼女は嬉しそうに目を細めた。
ユゥリンの初ベロチューは、恐ろしくはしたないものだった。
「れろれろ♡ はぁむ、じゅぷ♡ むぢゅ♡ れりゅ♡ ぢゅろ♡ れろぉ~♡」
次いでユゥリンの舌が俺の口内に侵入してきて、傍若無人に暴れ始めた。
彼女の舌は長く、獣人らしくザラザラしている。歯茎、舌裏、此方の都合を無視して貪っている。
「ぷは♡ こ、これ最高♡ すごい幸せ♡ もう一回、あむ♡ ぢゅぅうううう♡」
息継ぎもそこそこに、彼女はキスを再開した。キスというよりエネルギー吸収。レベルドレインでもされてるような気分だった。
でも、嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、今じゃない。俺は彼女の肩をタップした。
「じゅるるるる♡ ちゅう……ぷはぁ♡ はぁ、はぁ、夢が叶いました♡ ありがとうございます、イシグロさん♡」
危ういところで離れると、彼女は心底満ち足りたような笑顔を浮かべた。
とにかく、鍛錬をしなければ。
「え~っとぉ、内勁繋ぎですね。まずは、ワタシがイシグロさんの身体を把握する必要があるので、うつ伏せになってもらえますか?」
「わかった」
言われた通りにうつ伏せになる。マッサージでも受けるような体勢だ。
「おほ♡ 背筋すご♡ で、では失礼しますねぇ……」
すると、彼女は俺の腰に尻を乗せた。
「そ、それじゃあ、触っていきますので、発勁を使ってくれますか?」
ペタペタと、意外と大胆な手付きで触れられる。
発勁の使用に集中していると、否が応にも何処がどう触られているかを意識させられる。
「うおっ背中でっか♡ はぁはぁ、れろぉ」
「ひへっ……!?」
そうこうしていると、手とは異なる感触。舌で舐められたのだ。
ペロペロちゅぱちゅぱと、背中全体を舐めしゃぶられる。じゅぶぶと派手な吸引音が鳴ってるあたり、今の俺の背中には大量のキスマークが出来てる事だろう。
さっきから発勁を使っていたのに、彼女は舌でも発勁できるらしく普通に中和されていた。極めるとはそういう事か。
「肩甲骨、動かしてみてください♡ ゴリゴリしてる♡ 背骨も太い……♡ お尻引き締まってる♡ あぁ、筋肉むちむち♡ エッチ過ぎでしょこれ♡ 犯罪♡ 犯罪です♡」
背中にしゃぶりついたり足を抱いてはスリスリしたり、彼女は俺の身体を玩具にしていた。
発情期の波に乗りつつ、彼女は発勁を使用し続けていた。対する俺も負けじと接触部位に発勁をするが、気持ち良さのせいで時折途切れてしまう。
「はぁ、はぁ、ありがとうございます。次は仰向けになって下さい」
それでも内勁繋ぎは忘れていないようで、トレーニングが進行していく。
言われた通り仰向けになると、ユゥリンはちょうど下腹部に腰を下ろした。ぐんにゃりと歪んだ双眸と、ふにゃっと緩んだ口は如何にも発情陰キャといったところ。
嫌いじゃない、むしろ良い。陽には陽、陰には陰の良さがあって、俺は全てを美味いと感じる事ができるのだ。
「前も失礼しますね♡ その前に、もう一回キス♡ はぁ~んむ♡」
三分間のベロチューである。その後、彼女の身体把握という名目の愛撫は頬や首にシフトしていっき、どういう感情か恍惚とした笑みで男の乳首を吸ったりしていた。
その間も彼女は俺の身体に手を這わせ、絶えず発勁スキャンをしていった。俺も俺でユゥリンの発勁に合わせ続ける。
「はぁ♡ すっごい匂い♡ さっきよりずっと濃い♡ 舐めるのは……ダメだよね流石に♡ でも先っちょだけなら……♡」
先程までとは異なり、今の聖槍は人恋しくて涙を流していた。頬擦りせんばかりに顔を近づけた彼女は鼻をぴすぴすして匂いを堪能している。
「はぁ、はぁ……では、そろそろ繋がりましょうか♡」
「大丈夫?」
「大丈夫です。思った通りに身体を使いこなすのが武術の本質なので……あれ?」
狙いを定めて試みるも、なかなかどうして発勁ネットワークにサインインできない。
発情と興奮で苛ついてきたか、結構勢いよく接続しようとしていた。一応、準備は整ってるようだが……。
「おお゛っ♡」
ややあってラッキーヒットが決まると、華奢な喉奥から野太い声が発された。
今の、急所に当たったぞ。ちょっと心配になっていると、痛みに耐えていた顔は一転、例のにちゃ顔スマイルを浮かべた。
「ふへへ、想定より痛くないです♡ 普段から組手で骨折とかしてるからですかねぇ♡ おっ、おぐ゛♡ ごめんなさい♡ 今のは別に痛くて出た呻きじゃなくて♡ んぐぁ♡」
そう言う彼女は、何かを誤魔化すように早口になっていた。
実のところ、痛くないのは仕様である。純淫魔契約者の能力で、苦痛がないように調整した結果だ。
「では……今からイシグロさんをワタシの勁鱗で覆います。発勁を使わず、そのままでお願いしますね♡」
恋人のように両手を繋ぎ、目と目を合わせて分かり合う。
暫くすると、接続部から頸椎にかけて静電気みたいなシビレ感が迸り、それが全身を覆ったのが分かった。
勁鱗である。それも何度も失敗している自前のソレではなく、ユゥリン固有の氣と魔力にピッタリ包まれているのだ。
「ふぅ、ふぅ……い、イシグロさんの内勁に触れますね♡ おへその下に意識を集中させてください♡ いきますよ……♡」
次の瞬間、全身を包んでいた静電気が恥骨を通って下腹の奥に達した気がした。すると、ちょうどヘソと恥骨の間に優しい圧迫感。
確かに、流れる氣にアプローチする房中術とは違う。例えるなら、ちょうど良い箇所を指圧されたかのような鈍い快感だ。
「包みましたよ♡ わかりますか? それでは、発勁合わせの要領でワタシの身体を覆い返してください♡」
そう言われても、人生初の快感のせいで発勁に集中できない。
しかし、彼女が頑張っているのだ。ここでへこたれる訳にはいかない。グッと、俺は文字通り腹に力を入れた。
「くぅ、うぉおおお……!」
「おほっ♡ 返ってきましたぁ♡」
ユゥリンが通った経路に氣を流し、魔力で覆って発勁と成し中和する。下腹部から表皮にかけて、ユゥリンと俺の境界線が無くなっていく。
これが、内勁、なるほど、勁鱗の発動はこういうプロセスを辿っていたのか。
今、理解できた。
「そのままワタシまでどうぞ♡ 行けるところまで♡」
俺を包んでいた勁鱗を中和し、そのまま接続部を経由して彼女の全身を覆っていく。
しかし、彼女の表皮を覆ったところで、それは内部に侵入できずに綻んでしまった。
「ごめん、失敗した」
「大丈夫です♡ 成功するまで繰り返すので♡ それじゃもう一回♡ はい、ぴゅ~♡」
俺の全身が勁鱗で覆われて、やがて下腹部の奥に到達した。あまりにも練度が違い過ぎる。
それからは、何度も何度も同じ事を繰り返した。その度に彼女の身体を覆える範囲が広くなり、亀の歩みで発勁の本質に近づいて行った。
「ふへへ♡ こんなに楽しい鍛錬、初めてです♡ イシグロさん♡ ちゅっ♡」
集中力が無くなる度に、数分間の休憩を挟む。
キスをしたり、お話したり。身体だけでなく心の距離も縮めていった。
再挑戦し、失敗しては慰められた。自身の不甲斐なさに涙が出そうになり、俺はそれでもと奮起した。
そして、クーシェンに朝が来た頃……。
「免許皆伝です♡ やり遂げましたね、イシグロさん♡」
俺は嵐極拳奥義・勁鱗を習得した。
「師匠……いえ、ユゥリン老師! ありがとうございます!」
「あ、老師呼びはちょっと……」
そうか、そうだったのか。
氣とは、発勁とは、嵐極拳とは……!
「あ、やば……」
「え? んぉ゛♡ おご゛ぉ~♡」
それはそれとして、我慢の限界も訪れた。
気付けば、俺は彼女を抱きしめていた。彼女も俺を抱きしめ返してくれた。
二人の間に、無粋な膜は無かった。
武帝祭、参加締切当日。朝の寝室にて。
俺は嵐極拳の奥義を習得した。
そして、新たなる技を開眼した。
完成したんだよ……炉利式制圧術が。