たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 避難所 作:いらえ丸
よろしくお願いします。
式が終わった後、各方面に挨拶して回った俺達はラグジュアリーなホテルで宿泊である。
初夜は気を利かされて二人っきりだ。妻の半数は俺が花嫁を壊さないか心配しているようだったが、流石に信用してほしいところ。けどお互いチャージにチャージを重ねた後の夜なので、俺のブレーキはキツめにチューンしておくべきだろう。
ちなみに、クニュフ当人は「初めては皆に罵倒されながらしたいのニャ!」とか言ってたが、ルクスリリアに「処女がイキッてるだけッスね~」とあしらわれていた。
んでもって、である。
ホテルの浴場で身を清めてから、俺は改めて寝間着ではなく花婿衣装を身に纏った。
扉の先、寝室にはクニュフが一人。夜、夫婦、何も起きないはずがなく……。
「入って、どうぞ~♡」
ノックの後に入室すると、ベッドの上には緊縛された猫耳美少女花嫁の姿があった。
何結びって言うんだろう。幸いにも、幸いにか? ともかく俺は緊縛界隈の知識に疎く、今現在クニュフが身動ぎ一つできない状況である事だけが分かった。苦しくないのだろうか。
「はぁ、はぁ♡ パパ、いらっしゃい♡ もう準備できてるから♡ このまま発情期のネコみたいに乱暴にしてもいいんだよぉ♡ くぅ~♡」
見れば、ウェディングドレスを締め上げているのはプレゼント箱で使われてそうな真っ赤なリボンだった。純白の花嫁衣裳も相まって、それこそ花嫁自身が贈呈品とでも言わんばかり。
なんだろう、そういう感情より先に変な笑いが出る。クニュフ的にはムード満点なのかもしれないが、俺のドキドキは明後日の方向に行ってしまった。
「自分でやったの?」
「自分でやったの♡」
あ、そっかぁ。
我慢のし過ぎで様子が変になっちゃったのか、あるいは迷宮の狂気で被虐癖が倍増したのか。いや、クソ未来は迷宮外でも瘴気が濃かったらしいし、耐性付きだろうからこれがノーマルなんだろうな。
「あ~ん♡ これ一人で結ぶの大変だったのにぃ~♡」
「酷いパパでごめんな」
ともかく、クニュフ渾身のプレゼント結びは解かせてもらう事にした。
初夜の希望を叶えてあげたいのはやまやまだが、今のクニュフからはクニュフらしい遠慮が見受けられたのだ。キツく結んでるように見えたリボンがあっさり解けたあたり、彼女の内心は推して知るべし。ルクスリリアの所見は真実だったのだろう。
そのまま、ベッドに座った俺は花嫁クニュフを後ろ抱きにした。オートで動いてるっぽい尻尾が俺の身体をまさぐっている。見上げてくるピンクの瞳には、隠しようもない発情の色があった。興奮してるのはその通りなのだ。
「やっぱりパパは初手緊縛はダメだった? 極力双方の癖にマッチするようソフトな縛り方してみたんだけど」
「それが嫌な訳じゃないんだけどさ。ただ、クニュフのことが大切だから。その前に、ちょっと話そうと思って」
「どゆこと~?」
別に、彼女の性癖に付き合うのが嫌な訳じゃあない。俺の方からロマンチックを強要している訳でもない。初手緊縛プレイも、見ようによっては刺激的でファンタスティックだろう。
ただ、その前にクニュフの誤解を解く必要があると思ったのだ。
「こういう事はな、ただ気持ちいいからするって訳じゃないんだよ」
「え? 交尾って眠いから寝るのとかお腹空いたから食べるのと同じじゃないの?」
やはり、彼女の知識と認識には偏りがあった。
今から行うのは、夫婦の営みなのだ。種の存続や欲求の発散のみを目的とした行為ではない。
だが、長い間終末世界で戦い続けていたクニュフには、まだそういう見識はなかったようだ。
「そ、そうだったんだ。いやそれもそうだよね。パパやママが、ただ快楽目的の為だけにしてる訳ないもんね……」
「いやそういう側面があるのも事実だぞ」
「え~、どっち~?」
「物事は多面的って、クニュフが言ってたろ」
その旨、頭を撫でながら教えると、賢い彼女はすぐに理解してくれた。
けれどもだ。下の欲求に忠実な時ってのは知能が著しく低下する。そのへん男は顕著だが、猫又少女だってそうだろう。我慢に我慢を重ねたうえでの発情期真っ盛りなクニュフなど何をかいわんや。
だから、まず身体に教えるのだ。
「俺はクニュフを大切にしたいから、そうする。その上で、クニュフのやりたい事も全部しよう。遠慮しなくていいんだぞ」
「遠慮……そうだね、うん。じゃ、じゃあ……エリーゼちゃんがしてるみたいな、すっごく長くてねちっこいチューとかも……していいの?」
「ああ」
「お互いの色んなとこ、舐め合ってもいいの?」
「ああ」
「お腹がパンパンになるまで、パパが呆れるくらい……抱いてくれる?」
「呆れる訳ないだろ」
「にゃは♡」
後ろ抱きの姿勢から、優しく押し倒す。
ぱさりと、紫の髪が広がる。鮮やかなピンクのインナーカラーは月光の下だと妖艶に映った。煌々と、桃色の瞳が輝いている。
花嫁衣裳から伸びる生足は、控えめに言ってドエッチだった。
「にゃは♡ パパ、やっとあたしをケダモノみたいな目で見てくれたね♡ そういう顔のパパも見たかったの♡」
「俺も、クニュフのそういう表情見れてうれしいよ」
ユノサキで出会った時から、俺は俺とクニュフの間に血の繋がりがない事には気づいていた。
けれど、彼女は娘として扱ってほしがっていたから、そうしていたのだ。魂から湧き上がるドキドキを強制的にシャットアウトしていたのである。
要するに、同じなのだ。クニュフ同様、俺も我慢していた訳で。
「ん、ちゅ……♡」
目を合わせ、やがて唇を重ねる。
一生思い出に残るように、優しく。
「ぢゅる♡ れろ♡ んむ、ちゅう♡ れろぉ~♡ ぢゅぷ、れりゅれゅ♡ んちゅぅ……はぁ♡ んむ♡」
そんな、軽いキスをした直後だった。
唇にザラついたモノが触れ、上下の唇をこじ開けるように境目を舐めてきた。離さないとばかりに、俺の頭にか細い手が回されている。
お誘いを受けるように口を開けば、にゅるにゅるとクニュフの舌が侵入してくる。勢いのまま歯を舐め、唇の裏側を舐め、番いはどこだと舌で舌を探している。何の遠慮も躊躇いもない動きで、同じくらいテクがなかった。
童貞のように、相手の事を考えず貪っているのだ。だが、それでいい。
「んぅ……ぷはぁ♡ あたしのファーストキス♡ パパにあげちゃった♡」
唇を離すと、彼女の顔はさっきよりも上気していた。
後頭部に添えられていた手が首に下り、胸をまさぐりはじめる。クニュフの長い両足が、獲物を確保するように俺の胴を挟み込んだ。
すりすりと身体を擦りつけてくる。お互い、もう服の一部はべちゃべちゃに濡れていた。
「パパこそ遠慮しないでね♡ 猫又族はそういうのに強い種族なんだ♡ 勿論、あたしも例外じゃない♡」
魔族の生態が書かれた本に曰く、猫又族は本能的に強いオスを求めるそうだ。
弱小種族故、愛玩用として庇護者に守ってもらう為の生存術である。だからこそ、どんな強いオスのどんなプレイにも適応できる身体をしているらしい。だからモテるし、だから迫害されていたという。
「道具みたいに雑に使われたいっていうのは半分が本当♡ 愛玩用として扱われたいって気持ちも半分本当♡ 雑に扱われたいんじゃなくて、思い切り大事にされたいの♡ ただ……」
ゆっくりと、腕と足が解かれる。
花嫁姿の猫又が、全てを受け入れるような体勢で脱力している。
ベッドの上、猫又族としてのクニュフが蠱惑的に微笑んでいた。
「パパ専用の、ママと娘と娼婦になりたいんだニャン♡」
………………。
…………。
……。
やっぱ、めちゃくちゃにする事にした。
「あん♡ 今、視線だけでゾクッとしたよパパ♡ さすがパパ♡ カッコいい♡」
俺はルクスリリアと純淫魔契約を結んで半ば淫魔になっている上、イリハに習った房中術をマスターしている。
やろうと思えば、こういう事だってできるのだ。
「あ♡ んぐぅぅぅ♡ パパの手、凄く気持ちい♡ んぁ♡ あっ♡ 好き♡ あたしパパの手ぇ好きぃ♡」
ふにふにとクニュフのネコ耳を弄ってやれば、クニュフは負けて俺が勝った。開幕十割である。
レノの時やシャーロットの時、俺は可能な限り手加減していた。ルクスリリアやエリーゼの時と同じ轍は踏まないように、自制していたのだ。
けれど今回は加減しない。けれども雑には扱わない。丁寧丁寧に、大事に大切にわからせるのだ。夫婦の愛を。
「はっ♡ はぁ♡ ちょっ♡ あたしからもさわ……んひぃ♡」
右手で耳をふにふにしながら左手で頬を撫で、親指で唇をなぞる。それだけでホームラン。一回表で九点入った。
手だけではない。身体が触れている全ての箇所から、俺とクニュフの魔力が混じっていくのが分かる。淫魔特性を有する魔力を流し込み、氣を調律し、彼女の内勁と俺の内勁を繋ぐ。
コネクト完了。手綱を握ったのだ。あとはもう、彼女の希望通り俺の思うがままである。
「ぐぁ♡ あぁ、ぐぅんまぉぉぉ……♡ だめ♡ 可愛くない声出ちゃう♡ それ♡ 尻尾の付け根トントンするの禁止ぃ♡」
ここからが本番……いや本番前の仕上げである。
クニュフを四つん這いにして、尻尾の周辺と付け根を撫でてやる。グーラやイリハもそうなのだが、獣系の種族は尻尾の付け根を触られるのが好きなのだ。魔力込みだと効果抜群である。
道具扱いしたくはないが、今のクニュフは楽器だった。異世界に舞い降りたスローハンドとは俺の事である。
「ねぇ♡ そろそろいいでしょ♡ パパ♡ あたしにもパパのちょうだい♡ ひゃあ♡ んぎぃいいい♡」
余裕ありそうだったので演奏継続。
せっかく尻尾が三本あるのだから、両手と口で楽しませてもらった。荒ぶる尻尾、俺に朝が降る。顔が濡れて力が湧いてきた。
「んく、んく……はぁ♡ 魔族は汗かかないのに♡ もう喉カラカラ♡」
ややもあり、くったりしてしまった彼女を抱いて一休み。ベッドの端の乾いた所に移動して、ゆっくりと水分補給。工口漫画の定点カメラ描写でよくある休憩コマだ。
冷たい水にレモンの果汁が入ったものだ。とても美味しい。
「ほうふぁあ? いっはいれんひゅう♡ ひらんらよ♡ んぢゅ……ぷぁ♡ にゃはは♡ 昔から見て覚えるの得意なの♡ はぁ、んむ♡」
再開である。今度はクニュフからしたいというのでお任せする事にした。
先述の通り、俺は純淫魔契約者であり房中術のグランドマスターだ。なので、やろうと思えば舐めさせるだけで相手を頂きに誘う事だってできる。
「はぁ♡ はぁ♡ パパの方こそ限界なんじゃない? ほ~ら♡ ここにパパの事が大好きな、パパの為のネコちゃんがいますよ~♡」
ペロペロして我慢できなくなったクニュフが挑発的に尻を振ってきた。
シミ一つない綺麗な背で三つの尻尾がピンピンに勃ち上がっている。そろそろ栓をせねば決壊してしまいそうだった。
「おぐ♡ おご♡ まぉおおおおおお♡」
なので、そのようにした。
クニュフは何度も敗北しているが、俺はまだである。お互い我慢しまくったモノは、同時に解放すると決めている。
夫婦の営みを教えるつもりが、気づけば俺はクニュフの術中に嵌っていた。でも、まぁいいかと思った。俺とクニュフは今、紛れもなく獣だった。
「いいよパパ♡ 猫又は発情期でも
次の瞬間、俺の背筋に得も言われぬ背徳感が迸り、娘と共に時の果てへと至った。
ちょっとこれは尋常ではない。二人してビクビクと痙攣し、繋がったまま動けなくなってしまった。それはお互い様で、何分同じ姿勢を維持していたか分からなかった。
引き抜こうとした時、クニュフからの求めがあまりにも強かったので離れられずにもう一回。今度は獣ではなく夫婦の共同作業として行った。
暫く後、俺はベッド全体に【清潔】をかけた。今夜はまだまだ使う予定なので。
「そ、それ♡ あたしの為に用意してくれたの? 素敵♡ あぁ、はぁ~……♡」
一休みした後、俺はクニュフに見えるよう収納魔法から鎖付きの首輪を出した。
使うのはもう少し先の予定だったが、賢い彼女なら既に営みの意味を理解している事だろう。案の定、クニュフさん大喜びである。想像しただけで記録を更新していた。
「はぁ♡ はぁ♡ 世界一愛してるニャ♡ パパ♡」
その夜、ホテルの寝室に猫の鳴き声が絶える事はなかった。
勿論、防音魔法は張ってある。
翌朝である。
本日も快晴なり。寝室には眩い朝日が差し込んで、外は最高に晴れやかだった。
「にゃはは~。結局一睡もしなかったね。あたし達~」
そんな中、俺達は淫靡の泉に浸かりきっていた。
お互い迷宮に潜りまくった戦士故、体力面は全然平気。けど、やっぱりちょっと怠けたかった。皆と朝ごはん食べたいし。
「あたしの予想とか全部ぶち抜いて、ホント凄かった~♡ なんというか、一晩でパパの女にされちゃった感じニャ~♡」
ようやっと、父と娘は夫婦になったのだ。
今、腕に収まっている女の子は、終末世界で心身をすり減らして戦っていたという。救ってもらったのは俺だ。守護らねばと、そう強く心に留め置いた。
これまで彼女が一人で背負ってきた、英雄達の意志を継いで。
「これで皆と一緒できるね♡ 妄想だけはめちゃめちゃしてきたから♡ 今から楽しみだニャ~♡」
一方、元娘の新妻はさっそく元母達との合同プレイに思いを馳せていた。
未来から現れた英雄クニュフ、とんだスケベ猫である。しかしその性欲誉れ高い。ヒーローはHとEROで出来ているのだ。
世界が平和でありますように。
心の底から、そう思うのであった。