※この作品はR-18です。

WATCH ME BURN   作:オリスケ

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第5話

 

 

 

 

 こうして、私と『ドクター』との日々が始まりました。

 顔も名前も知らない、ただ運悪く私の担当となったロドス・ターミナルのスタッフさんは、私のドクターとして、いまの私の最も特別な存在へと変わったのです。

 

 

 とはいえ、劇的に変わった訳ではありません。

 私──エイヤフィヤトラは、ロドス・ターミナルの隔離病棟にて死を待つ一人の末期感染者。ドクターはそこで働く、いち従業員。その関係は変わりません。

 ドクターは毎日の回診と感染者のケアに追われ、心と体をすり減らす日々を送り。私は病室で本を読み、鉱石病の発作的な痛みに苦悶の声を上げ、『死を待つ』というには長すぎる時を過ごします。

 そんな代わり映えのない日々の合間に、私はドクターとセックスをするようになりました。

 

 

 毎日の回診の際に、ドクターは気まぐれに、私の唇を吸うようになりました。彼の顔が近づき、艶めいた吐息が唇を撫でると、私の胸はようやく眠りから覚めたように高鳴ります。彼の舌が私の唇をそっと割り開いて差し込まれると、私はその熱くてねっとりとした柔肉を啜って、もっと奥の方へと誘います。

 激しく蠢く舌同士はきっと、とてもえっちな音がしているのでしょう。想像だけでも、背筋をぞくぞくとさせる背徳感がありました。

 キスをしながら、私はドクターの手を取り、自分の股へと誘います。彼は私の求めを断らず、その太くごつごつとした指で、そっとおまんこをなぞってくれます。

 最初の欲望任せの頃とは打って変わって、彼の手つきはとても優しいです。

 入口を指の腹で優しく擦り、ちりちりとした快感で私をゾクゾクとさせてくれます。そうして、おまんこの奥から溢れてきた愛液を丁寧に馴染ませて、差し入れた指で、敏感な肉ヒダをくちくちとマッサージするように刺激してくれます。

 昼の回診中は、誰に見られるとも分かりません。だから私は、彼におまんこをくちゅくちゅと愛撫される間、唇をぎゅっと引き結んで喘ぎ声を我慢するか、ドクターのキスで嬌声を吸い取ってもらっています。

 うまくいけば、ドクターは私が絶頂するまで愛撫を続けてくれますが、回診中に一人の患者に割ける時間は限られています。大抵は、あと少しでイけるという所でドクターの腕の通信機がバイブレーションを鳴らし、互いに昂ぶったままお預けになってしまうのでした。

 ドクターは手早く私の衣服を正すと、何事もなかったかのようにその行為を終了します。

 しかし、それで終わりにはなりません。

 去り際にドクターは、私のお腹に口づけをします。

 口づけの箇所は、おへその少し下。私の子宮のある所。

 まるで自分のものだと言い聞かせ、マーキングをするようなその口づけが、私と彼の間で決めた密会の約束でした。

 私はいつも通り本を読みながら、下腹部をきゅんと高鳴らせて、その時を待ち侘びます。

 昂ぶったままおあずけされるのは、胸が張り裂けるほど切なくなるものでしたが……今の私にとって、先の事を期待して過ごす事ができる時間は、これ以上ない娯楽でした。

 密会の時間は、いつも日が落ち、誰もが寝静まった深夜の事。

 人目を忍んで私の病室まで来たドクターは、私にそっと口づけし、ベッドに押し倒します。

 我慢するのは、そこでお終い。

 深夜の病室で私たちは、募ったフラストレーションの全てを性欲としてぶつけ合います。

 

 

 

 

 

 

 私たちのセックスは、控えめに言っても獣の交尾でした。

 ドクターは、人生の行き詰まりであるロドス・ターミナルで受けた苦悩の全てを、劣情として私に叩き付けてきます。

 私の小さな胸を貪るように揉み、固くなった乳首を唇で強く挟み込み、電撃のような快感を与えてきます。

 おまんこに指を突き入れて、潮を吹かせるまで手を止めません。

 私を犬のように四つん這いにさせて、固く張り詰めたおちんちんを根元まで突き入れます。

 おまんこが裂けてしまうような大きなおちんちん。張り詰めた亀頭も血管の浮いた竿も咥えると、私の小さなおまんこはギチギチになります。

 そんな挿れただけで精一杯な私のおまんこに、ドクターは力任せに腰を突き込み、抽送を繰り返すのです。

 出っ張ったカリ首に肉ヒダをぞるぞると引っかかれる、おまんこの内側がめくれ上がるような、強烈なセックス。どちゅ、どちゅ、という叩きつけるような衝撃が身体の内側で弾けて、柔らかな膣肉にびっしり張り巡らされた感覚神経が容赦なく擦られます。

 私はきっと、獣の遠吠えのようなすさまじい嬌声を張り上げているに違いありません。音が聞こえなくても、自分の喘ぎ声で喉がビリビリと震えているのが分かります。ドクターはそんな私を気遣う事をしないばかりか、顔を枕に押しつけて嬌声が外に漏れないようにし、さらに力強く抽送を繰り返します。

 

 

 ロドス・ターミナルの日々は、相当につらいのでしょう。ドクターの私を求める力強さにはいつも、もうどうにでもなれというような自暴自棄の気配を強く感じます。

 かくいう私も、そんな暴力と表現すべき乱暴なセックスで興奮しているのだから、文句の言いようがありません。

 でも、しょうがないのです。

 視覚も聴覚も失った私にとって、逞しいおちんちんでおまんこを激しく責め立てられるのは、果たしてどれほどの快感か。

 残り数ヶ月の命となった私にとって、その荒々しい欲望を叩き付けて産まれる快感の大渦が、果たしてどれほど生命力に満ち満ちた行いと映るか。

 ドクターが想像力を振り絞っても、きっと、その一欠片もイメージはできないでしょう。

 どんなに痛くても、苦しくても、頭がおかしくなるほど気持ちがよくても。それらは全て、自分の生を実感する、この上ない快楽なのです。

 

 

 私はあっという間に、ドクターとのセックスに夢中になりました。

 私は、がむしゃらに求められれば求められるほど興奮しました。貪るような彼の愛撫に、もっと求めて欲しいと昂ぶりました。

 そのために私の身体が壊されそうなほど激しく扱われても、何も思う事はありません。源石結晶に身体の外も内も犯されたこの身体が、まだ彼の欲望の受け皿として機能し、愛されている事実を、ただただ幸せと感じるばかりです。

 私は一心不乱に快楽を貪ります。獣のように喘いで、お腹の中をいっぱいに満たすおちんちんの力強さに、うっとりと陶酔します。

 私の痩せたお尻に打ち付けられる、力強い腰つきも。

 結局育つ事のなかった小さな胸を乱暴に揉みしだかれる痛みも。

 顎を手で掴まれて、乱暴に舌を啜られるのも。

 膣の奥まで突き込まれる、串刺しにされるような苦しさも。

 愛液でたっぷり濡れたおまんこの、敏感な柔肉をおちんちんでかき乱される、叫ばずにいられない猛烈な快感も。

 すべて、すべて、刹那的で、活き活きとしていて。

 どんなに振りほどこうとしても決して消えない、差し迫る死の恐怖を、その時だけは、忘れる事ができたのです。

 こうして私は、死の恐怖から逃れるために、身も心もぐちゃぐちゃになるような性と生の悦楽にどっぷりと浸っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で私は、ドクターを気持ちよくさせる事も大好きでした。

 私はしょっちゅう、自分からおねだりしてドクターのおちんちんを咥えさせてもらいました。

 ベッドの上に膝立ちになって、ドクターの固いおちんちんに、ねっぷりと舌を絡ませます。

 味覚、嗅覚、そして触覚──私に残された知る手段は、もうその三つだけ。

 ドクターのおちんちんをぱっくりと咥え込むと、その三つの感覚全てが、ドクターの、たくましい男の人の存在感に包まれます。

 ズボンの中で蒸れて汗ばんだ、少ししょっぱい味。頭の奥まで蕩けるような雄の匂い。這わせる舌で感じる。おちんちんの竿に走った血管。膨れた亀頭の、ぷにぷにとした柔らかさ。

 おちんちんを口いっぱいに頬張ると、まるで身も心もドクターに征服されているようで。ぞくぞくと痺れるような快感が全身に走って、私のおまんこがじんわりと濡れてしまいます。

 私は唇で竿を包み込んで、頬をすぼめて竿を啜ります。ふっくらした裏筋に舌を押し当てて、できるだけ唾液を絡めながら、喉の奥までおちんちんを誘います。

 かぽ、かぽ、じゅぷじゅぷ、じゅっぷ、じゅう、じゅるる、じゅずるるるる、ずじゅうううっ……音はもう聞こえないけれど、できるだけドクターに喜んで貰おうと、精一杯にいやらしい音を奏で、おちんちんを啜り上げます。

 唾液と一緒に亀頭をじゅずずずっと啜る度に、ドクターの腰は気持ちよさそうにかくかくと震えます。その反応が嬉しくて、私は彼の腰に抱き付くように手を回して、更にねっぷりとおちんちんを蕩かします。

 フェラチオの最中、ドクターは私の顔に手を回し、髪を撫でたり、頬を擦ったりしてくれます。その手つきはうっとりとしていて、私の口でたまらなく気持ち良くなってくれているのが伝わって。私は幸福感で胸がいっぱいになって、おちんちんを咥えたまま、ドクターの手に頬を擦り付けます。

 

 

 けれど、そんなうっとりとしたドクターの手つきは、射精が近づくと、たちまち獰猛なものに変わります。

 口の中にカウパーのしょっぱい味がして、ひくひくと危うく震えるようになると、頭を撫でてくれていた手は、私の両側頭の角をぎゅっと握り込みます。

 そうしてドクターは、私の角をハンドルのように使って、私の喉目がけて思い切り腰を突き出すのです。

 喉の肉をごりゅっと押し広げて、喉奥まで突き込まれるおちんちん。呼吸すらできなくなる私の鼻腔が、濃い雄の匂いに染め上げられます。

 そのままドクターは、私の角を使って、本気のセックスのように腰を叩き付けます。

 狭い喉奥におちんちんをねじ込まれる。「おぶっ」と呻き声をあげながら嘔吐く喉の蠕動すら、おちんちんを気持ちよくさせるための意味しか持ちません。大量の粘ついた唾液が潤滑剤になって、更に激しく、深い所までおちんちんが突き進んできます。

 そんな乱暴な、ただ私をオナニーのための道具として扱うようなひたむきな腰使いも、私をたまらなく興奮させるのです。

 ごりゅっと喉奥を広げられるたびに、私のおまんこはきゅんっと窄まって、愛液をぴゅうぴゅうとお漏らししてしまいます。

 鼻や唇に彼の陰毛が当たるまでぐっぽりと咥え込まされて、もはや呼吸もできなくなっても。私は唇をきゅうっとすぼめて、彼の破裂寸前のおちんちんをじゅるるるるっと啜り上げます。

 顎が外れるほど激しく、腰をぐぽぐぽと打ち付けられて。喉が壊れそうなくらいに口を開け広げ、沢山の唾液と唇で、じゅるじゅる、じゅぷ、ずじゅるるるぅっと啜り上げて。

 そうしてドクターは、溜めに溜めた劣情を、解き放ちます。

 根元まで突き込んで、口いっぱいに頬張らせたペニスを、どくんっどくんっと力一杯に脈打たせて、射精するのです。

 おちんちん全部がポンプになったように、大量の熱い白濁液が喉奥に流し込まれていきます。

 

 

 その瞬間、私がどれだけ興奮するか、想像できるでしょうか?

 口の中を思うがままに蹂躙され、酸欠で気絶寸前までになった私の朦朧とした脳に、精液の濃厚な味と匂いが叩き込まれるのです。

 私はドクターの精液を飲みながら絶頂します。

 角を掴まれ、口をおちんちんで蓋をされた状態で。半端に膝を持ち上げた、身体をおちんちんにだらりとぶらさげたような格好で。私は全身をびくんびくんと震わせて、おまんこから沢山の潮をぴゅうぴゅうと吹き出すのです。

 その、何もかもをドクターの色に染め上げられるようなフェラチオセックスが、私を包む絶望の全てを砕き割って塗り潰してしまうほど苦しくて、力強くて、大好きなのでした。

 

 

 最後まで出し終えた彼は、ようやく私の口から、太くて長いおちんちんをずろろぉ……と抜き取ります。

 彼のザーメンはいつもとっても濃くて、熱くて、苦みが喉に張り付きます。鼻の粘膜を焼かれ、脳まで淫猥に染め上げられるような、支配的な雄の匂い。

 そんな匂いに犯された私は、胸いっぱいに深呼吸をします。すぅぅーーーっと息を吸うと、精液の臭いが鼻孔を駆け抜けて、雌に染まった脳細胞が、火の点いた石綿みたいにぱちぱちと発火するのが分かります。ただの深呼吸ですらも、オナニーより強烈な快感になって、全身をぞくぞくと打ち振るわせるのです。

 私は、まるで極上のワインのテイスティングでもするように、すぅーーーー、ふぅーーーーと深く呼吸をしながら、ベッドにへたり込むドクターを手探りで見つけて、彼のおちんちんに顔を埋めます。

 お掃除フェラも大好きでした。私を気持ちよくさせてくれるドクターのおちんちんに感謝を伝えられるし、尿道に残った唾液混じりの精液をちゅるるっと啜るのは、スイーツの最後の一口のような趣きがあります。

 それに、柔らかくなったおちんちんを優しく咥えこんでいると、ドクターがそっと身を起こして、私の頭を撫でてくれます。

 その、劣情から解放されたドクターの労るような手つきが、私の胸を温かな充足感で満たしてくれるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私を雄の匂いで汚す事は、ドクターにとっても興奮するようでした。

 彼はしょっちゅう、私に精液をかける事をしました。口やおまんこを激しく擦り上げたペニスを引き抜いて、私を横倒しにし、私の顔やお腹に目がけて射精するのです。

 頬や額、まぶたに触れる精液は、火傷するほど熱くて、びっくりするほど大量です。まるでシャワーのように止めどなく吹き出すと、私の目に巻いた包帯に染みて、顔中をどろどろにしてしまいます。粘つく精液のとんでもなく濃い匂いに溺れて、しばらく呼吸もできない程です。

 ドクターは射精したばかりの、まだ固さの残るペニスをぐりぐりと押しつけて、濃厚な精液を私の鼻や唇に塗り込んでいきます。

 それは、駄獣が行うマーキングと同列の行為でした。ドクターは私の身体に執拗に精液を塗りたくる事で、私を自分の物と標榜する事に、性的快感を見出しているみたいでした。

 

 

 例えばある日、日中の定期検診の時。横たわって胸に聴診器を当てられていた私の口に、ドクターはズボンをまさぐり、唇におちんちんを押し当ててきました。

 差し出されたものを拒むという選択肢はありません。私はドクターのおちんちんの先端を口に含み、水晶玉を磨くように丁寧に舌を這わして刺激します。鼻先に感じる空気の流れと、口に含んだおちんちんの振動から、ドクターが激しく竿を扱いている事が察せられました。

 そしてドクターは、射精間際になったペニスを私の口から引き抜くと、仰向けの私に馬乗りになって、病院服のズボンの中におちんちんを差し入れました。

 下腹に竿を擦りつけて最後の刺激を享受して。私のパンツの中に、ありったけの精液を吐き出させたのです。

 私の股は、ドクターの精液でべっとりと汚されました。薄い病院服のズボンはたちまちびしょ濡れになりました。ドクターはそのまま、精液まみれのパンツを元通りに戻すと、何事もなかったかのように病室を後にしました。

 私はその日、下半身に精液をこびり付かせたまま、何時間も過ごす事になりました。

 隠しきれない、むっとする雄の匂いに鼻を焼かれて。べっとりとこびり付いた精液が、おまんこにじんわりと染みていくように感じられて。

 まるで、股間からじわじわと、ドクターのものにされていくようで。

 夜にドクターが愛しに来てくれるまで、私はおまんこに一切手を触れる事なく、五回も絶頂していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの逢瀬は、決して対等の物ではありませんでした。

 危険な末期感染者である私。私の発作に巻き込まれて焼死するリスクを背負い、命を天秤にかけながらケアを行うドクター。ドクターの疲労と精神疾患はとうに限界を迎えているにも関わらず、私の担当医という肩書が、彼をこの末期病棟ロドス・ターミナルに縛り付けている。

 結局ドクターは、私に『迷惑をかけられている』という大義名分の元、まるで道具のように私を使い、性欲のはけ口としていました。ドクターが私に向ける烈情には、私を命を脅かす存在とみなす恐れと、同時にそれを意のままに弄ぶ事に対する倒錯的な快感が混じっていました。

 

 

 その一方で、ドクターはやはり、心優しい人でした。

 激しい夜のまぐわいを行う一方で、平時の関係も、それまで以上に親密になりました。

 回診の時、ドクターは、『先輩』を演じていた時以上に私に構ってくれるようになりました。

 書籍を点字印刷して、天災の最新情報を追いかける作業は続けていましたが、ドクターはそれに関心を抱き、協力してくれるようになりました。彼は作業の空き時間にロドス本艦の蔵書を検索し、私が気に入りそうな論文や情報を見つけると、点字に印刷して読ませて貰えました。

 天災研究については門外漢であるドクターが選ぶ書籍は、言ってしまえば整合性のない雑然としたラインナップでしたが、だからこそ、目新しいものも多く、面白みがありました。

 夜の密会では、愛し合う以外にも、私の読んだ本について感想を語る時間もありました。ドクターは私を抱き、髪の毛を梳きながら、私が言葉を文字に打ち込んでいく所を、楽しげに眺めているようでした。

 

 

 ドクターが持って来てくれる情報の中で、特に私を高揚させたのは、ロドス本艦の航行記録でした。移動都市がテラのどのあたりに位置し、目的地はどこで、周囲の天候状況はどうかを週単位で記録したレポートです。

 私はそのレポートを読み解いて、失明した真っ白な視界の上に地図を描きます。

 ロドスがいま近くを通った場所には、以前に火山研究で探索をした事がある。併走している移動都市は知り合いのオペレーターの故郷で、どんな場所が綺麗で、伝統の料理は何か……そんな風に、ロドスの座標を辿って、昔の思い出に浸る事をしていました。

 ドクターは私の頭を撫で、髪を梳きながら、私がキーボードに打ちこむ思い出を、静かに読んでくれました。

 全てが奪われた真っ白な静寂の世界に、思い出の色と音を蘇らせる。そして、それを行う私の身体には、ドクターが触れてくれている。

 寄り添われながら行う記憶の色彩の再現は、まるで二人だけの眩い世界を新たに産み出すみたいでした。神話に語られる、ひとりの男性とひとりの女性から紡がれる世界の始まりのように、私たち二人の新たな物語がここから始まるようにすら思われたものです。

 鉱石病の激痛と薬の副反応で常に熱を籠もらせた朦朧とした状態でいながら、新たな物語の始まりなんて滑稽そのものですが。それでもその馬鹿げた妄想は、苦しみに喘いで死にたくないと泣き叫ぶより、よほど素晴らしい物でしたから。私は熱の籠もった頭で、ドクターの手のぬくもりを感じながら、脳内に浮かびあがる懐かしい色彩にぽーっと夢見心地に浸るのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『随分と、急な航路の変更ですね』

 

 

 ある日、ベッドに広げた点字の資料を読み解いた私は、キーボードにそう文字を打ちました。

 読んでいたのは、今日までの一ヶ月の航路を纏めたレポートです。そこには、天災の予兆を知り、航路を変更した事。その天災の進行速度が予想以上に早いため、地盤が緩くリスクの高いルートに変更した事が報告の形で記されていました。

 

 

 ──て、ん、さ、い、は、よ、そ、く、ふ、の、う、だ

 

 

 ドクターがそう手のひらに書き込むのに、私は頷きます。

 

 

『そうですね。移動都市に住んでいても、被害を受ける確率はゼロにはなりません。天災は速度も影響範囲も流動的で、進路を一〇〇パーセント予測することはできないんです』

 ──き、み、で、も、?

『はい、私でも』

 

 

 そう打ち込みながら、私はつい口が緩むのを感じました。君でもと念を押して聞かれるなんて、私が特別すごい人と見られているみたいで、くすぐったい気持ちにさせられたのです。

 

 

『そういえば、こんな話があるのをご存じですか?』

 

 

 私は、ごく普通に会話をするように、キーボードを叩いてドクターに話題を投げかけます。

 

 

『熟練した天災トランスポーターほど、天災を分析する事をやめるというのです』

 

 

 音のない真っ白な世界に、数秒の沈黙が降ります。鼻の根元がつんとするような感覚で、ドクターがほぅと関心を抱いた事が何となく伝わるから不思議です。

 

 

 ──そ、れ、な、ら、な、に、を、す、る、の、?

 

 

 話題を振って、それに応える。

 ただそれだけのやりとりなのに、どうしてこんなに、胸がこそばゆくなるのでしょう。

 私はスキップをするような気持ちで、一文字一文字、キーボードに文字を打ち込みます。

 

 

『彼らが言うには、天災は分析するのではなく、機嫌を伺うものだと言うのです』

『活性源石の渦の紋様を見て、遠くから音を聞いて、天災の気持ちを察するのだとか』

 

 

 ドクターが私の手を取り、手のひらの上で、指をとんとんと叩きます。

 言葉を考えるリズミカルな間を置いて、彼が文字を記します。

 

 

 ──そ、れ、じゃ、あ、ぶ、り、ー、だ、ー、だ

『はい、非科学的で、まるで牙獣を手懐けるみたいな言い草ですよね。私も最初にこれを聞いた時は、自分の研究を蔑ろにされたようで、少しむっとしてしまいました』

『でも……今ではこの気持ちが、少し分かるんです』

 

 

 ドクターが私の肩に手を置き、ぽんぽんと叩きました。そのまま続けて、という合図。私はキーボードを打ちます。

 

 

『天災研究の一環として、間近に天災を目撃した事が、何度かあります』

『唸りを上げながら空を満たす、不定形に渦巻き続ける、雷色の雲。降り注ぐ巨大な源石塊。世界全てを揺るがすような破壊の音』

『それに相対していると……まるで想像もできない偉大な存在が頭上を横切っているような。そういう、畏怖のような気持ちを抱く事があるのです』

『私達が命がけで逃げ惑うそれは、実はそういった大きな存在の、ただの足踏みなのではないか……なんて事を、考えていたものでした』

 

 

 ドクターは、私の肩に手を乗せたまま、しばらく黙っていました。

 もしかして、つまらない話をしてしまっただろうか? 私が不安でちょっと眉を下げたくらいで、彼は私の頭に手を置き、よしよしと撫でてきました。

 

 

 ──ろ、ま、ん、ち、っ、く、だ、ね

『あ。いま、子供扱いしましたね! ひどいです(; ;)』

 

 

 そうキーボードに打ち込んで、私は頬に置かれた彼の手に、頬ずりします。彼は笑っているだろうか。笑っていてくれたらいいな。この胸の、とくとくと高鳴る気持ちを、彼も感じてくれていたらいいな……そんな事を考えながら。

 ドクターは、しばらく私のじゃれ合いに付き合ってくれた後、私のキーボードを操作して文字を打ち込み、点字印刷した用紙を私の手に握らせました。長文の伝達を行う時は、この方法が一番便利で簡単です。

 

 

 ──ともかく、この移動都市に大規模な天災が迫っているわけだ。

 ──天災との距離に余裕がなく、悪路を進むことになるため、ロドス・ターミナルと本艦との連携は難しくなる。こういった場合、航路が安定している内に、ロドス本艦からの補給を増やし、最大限の備蓄を行う事が推奨されている。

 ──つまり、災害に備えての買いだめを行う訳なんだが。

 ──エイヤフィヤトラは、何か欲しいものはあるかい?

 

 

 読み終えた私の肩に、ドクターの手が回されます。親しみを感じる温かな手つきに、私の心がほぅと弛緩するのを感じます。

 どうやらドクターは、恋人の我が儘を聞いてくれるようです。私はちょっと悩んでから、弾む手つきでキーボードに文字を打ちました。

 

 

『それなら、毎晩の食後のおやつに、プリンが食べたいです。あのとろけるような甘みと、カスタードの香りは最高なのです』

 ──ま、い、に、ち、?

『はい、毎日欲しいです。だめですか?』

 

 

 困ったように手のひらに書かれた言葉に、ダメ押しにそう返した私は、ドクターの白衣をちょいちょいと抓みます。ドクターは優しいので、私のお願いを無碍に断ったりはしません。そう分かっているからこその、いじわるなおねだりです。 

 私の思惑は上手くいき、ドクターはしょうがないなぁと言うように私の頭を撫でてくれます。

 

 

 ──わ、か、っ、た、よ

 ──そ、の、か、わ、り、に、ひ、と、つ

 ──ぼ、く、の、ぷ、れ、ぜ、ん、と、も、う、け、と、っ、て

 

 

 手のひらに書かれた言葉に、私はきょとんとしてしまいます。

 プレゼント? お願いを聞いてもらう代わりに? 戸惑う私の手のひらに、更に文字が書かれていきます。

 きっとドクターは、私に触れながら、静かに興奮に息を荒げていた事でしょう。

 文字を読み取った時、私は思わず、きゅっと身体を竦ませました。

 

 

 ──い、い、?

 

 

 肩に回されていた手に、ぎゅっと力が籠められます。

 断る理由などありません。私はドクター以上にとくとくと高鳴る期待と興奮を自覚しながら、静かに首を縦に振ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドクターのプレゼントが届いたのは、それから二日後の事です。

 その日の夜の密会にて、ドクターは持ってきたソレを、最初に私の手に握らせました。

 それは親指くらいの大きさの、つるりとしたカプセル状のものでした。私がそれを手のひらで弄んでいると、それは突然にヴヴッと震えたので、びっくり取り落としてしまいます。

 ドクターは拾い上げたそれを、私の頬に押し当てました。ヴゥーーー……という振動が、骨を通して全身に伝わります。

 それがローターというアダルトグッズである事は、さすがに知っていました。でも、それを使った事はありませんでしたから……一体どれほどすごいものなのか、と、思わずごくりと喉を鳴らします。

 

 

 ドクターは私をベッドに寝かせると、拘束ベルトで両手を縛りました。さすがに不安になる私の頬に手を当て、優しく唇を吸って、落ち着かせてくれます。

 それから流れるように、両足にもベルト。私は両手を耳の近くに垂らし、両足を肩幅に広げた格好で固定されます。この状態では、自分で股を閉じる事ができません。

 ドクターの、指で摘まんだローターが、舐め回すように私の病院服の上を這って、私のおっぱいの上に当てられました。

 下着なんて着けておらず、纏っているのは病院服一枚きりです。その薄い布越しに、乳首をローターで圧迫されます。

 つるりとした固いもので乳首を押されるのは、何だかもどかしい──そんな私の思考は、ドクターがローターのスイッチを入れた瞬間に、粉々に吹き飛ばされました。

 ヴヴーーッという、肌に感じる激しい振動。

 その瞬間に、私の身体は跳ね上がりました。

 固定された手首が、ギシッと抵抗を伝えます。おそらく「お゙うっ」とか「ふぉっ」みたいな、上擦った声も漏らしていたでしょう。

 ドクターは私の反応に気を良くしたのか、ローターで更に私の乳首を刺激します。

 舐められたり、つねられたりするだけで、全身に快感がびりびり走ってイってしまう乳首。そんな敏感な所を、秒間何十回という振動で刺激されたらどうなるか。

 私は、自分でも信じられないくらいあっさりと、イってしまいました。閉じる事を禁じられた足がかくかくと震え、おまんこの間から、お汁がつぅと滴ってくるのを感じます。

 私の反応は、ドクターを面白がらせ、とてもとても興奮させました。

 私の身体の上を、ローターがつぅと滑っていき──胸を下って、おへそを通り、病院服のズボンの中に滑り込み──私のおまんこの所に、あてがわれます。

 乳首への強烈な刺激はおまんこまでも伝わって、私のクリトリスは既に、快感を期待してヒクヒクとうずいていました。ドクターは、そんな私の一番敏感な箇所にローターをあてがって、スイッチを押しました。

 真っ白に染まった私の視界に、雷が走ったみたいでした。私は四肢を拘束されたまま、ブリッジでもするみたいに腰を持ち上げます。けれどドクターは手のひら全体を使って、ローターを私のクリトリスから逃がしませんでした。

 ローターの振動が、快感の洪水となって私の中を駆け巡る。刺激が熱になって、クリトリスがじんじんじんじん、耐えがたいくらいに熱くなる。身体がおかしくなるような快感に、私の全身が、凍えるようにきゅうっと縮こまります。なんの準備もできていない頭に途方もない量の快感が流れ込んで、ばちん、ばちんと火花を散らすのが分かりました。

 どんな声を出していたかなんて、もう気を配る事すらできません。

 乳首以上にあっという間に、私は腰をぴんと反り返らせた格好で、思い切り絶頂しました。排尿のような虚脱感を感じたので、たぶん潮も吹いたのだと思います。病院服のズボンが、あっという間にじわぁと濡れていく感覚に、興奮と羞恥心で頭がどうにかなりそうでした。

 そんな暴力的な快感を与えるローターが──にゅるり、と、おまんこの中に入ってきました。

 ドクターのおちんちんよりもずっと小さいそれは、挿れられる事自体は苦しいものではありませんでした。入り込んできた異物におまんこが反応しているのが分かります。

 無意識に膣がきゅうきゅう窄まって、ローターを肉ヒダで包み込む。そのお肉は、快感神経が沢山走った、身体の中で一番敏感な性感帯なのです。

 ドクターは私の口を押さえて、ローターのスイッチを入れました。

 ローターの高速の振動が、おまんこをぐじゅぐじゅと掻き回してきました。

 それは沢山の小さな指に、肉ヒダ一枚一枚の溝を一斉になぞられるような刺激。

 吐き出した嬌声が、口を塞いだドクターの手をびりびりと震わせます。ドクターのもう片方の手は私のおまんこに覆い被さるように置かれて蓋をしています。

 両手両足を拘束され、快感から逃れる事を許されない私は、ただ赤ん坊のように全身にぎゅっと力を籠めて、ただただ与えられる快感に打ち震えるほかありませんでした。

 結局私は、一〇分間で、更に二回ほどイってしまいました。

 おまんこの中の、暴れ続けたローターの振動が、弱いものに変わります。それでも、イキつづけてささくれだった神経を刺激し続け、頭をじくじくと弄るような鈍い快感を与え続けます。

 口から離れたドクターの手には、私の粘ついた唾液が糸を引いていて、垂れたその糸が私の頬に当たりました。

 ドクターは、絶頂の余韻と与えられ続けるローターの刺激にがくがく震える私の身体を撫で回し、私のパンツを引き上げました。

 わざわざテープで固定までして、パンツでおまんこに蓋をしてしまいます。

 中に、振動するローターを残したまま。

 ぞっとしました。ドクターが私にしようとしている事が分かり、喉がひくっと上擦ります。

 頬に、ドクターの大きな手のひらが当てられました。

 

 

 ──が、ん、ば、れ、そ、う、?

 

 

 私ははぁ、はぁ、はぁ、はぁと荒い息を溢します。

 壊れてしまう予感がしました。

 たった十五分弱で、もう四回もイってしまったのです。

 おまんこの中でヴヴゥゥゥ……と震え続けるローターにおまんこの肉を刺激されて、脳細胞が線香花火みたいにぱちぱちと発火し続けています。

 こんなのを続けられたら、絶対におかしくなる。

 ドクターは、私をおかしくさせようとしている。

 頬に触れる彼の手の、内側のたぎるような熱で、彼の鬱屈とした性欲が、私を壊したがっている事を悟りました。

 そのドクターの感情は──私を壊したい、おかしくさせたいという欲望は──私にとって、あまりに蠱惑的に映って。

 気がつけば私は、恐怖に震えながら首を縦に振っていました。

 

 

 ──あ、り、が、と、う

 

 

 ドクターが私の唇を愛おしげに吸い、私の下腹、ローターを咥え込み、ひくひくと震えるおまんこの箇所を愛おしげに擦ります。

 そしてドクターは、ローターの振動を再び強くしました。

 私は何も見えず、何も聞こえない。

 私の世界は、真っ白な靄と、静寂に支配されています。

 五感のうち二つを失った私の脳は、必然的に残された感覚にリソースを総動員しています。

 触覚こそが、今の私の意識の大半。

 もはや私の意識は、おまんこの中で震え続けるローター以外を感じる事ができませんでした。

 何度も絶頂し、愛液でとろとろに濡れた肉ヒダの中を暴れ回るローター。敏感な箇所をジリジリと擦られて、弱いスポットをカリカリカリカリと引っかかれて、それが延々と続く。

 私はすぐに、またイきました。拘束された足をぎゅっと緊張させて、浮かした腰をかくかくと震わせました。ぴゅっと吹き出した愛液は、おまんこに蓋をするように履かされたパンツに全部吸い取られ、おまんこ全部がじんわりと熱くなりました。

 ドクターは、ローターの振動を緩めてはくれませんでした。暴れないよう私の身体を抑えたまま、激しい振動で膣肉をくちゅくちゅと刺激させ続けます。

 イったばかりのおまんこを刺激されるのは、とてもつらいです。神経が昂ぶり過ぎて痛いくらい。まるで火に炙られたみたいに身体が跳ね上がります。だけど私の四肢は固定されて、ドクターは止めてくれません。おまんこの中に入れ込まれたローターは私を虐め続けます。

 どう足掻いても逃げ場のない、快感の渦。敏感過ぎてつらいのに、ローターの激しく無慈悲な振動は、そのつらさの中から無理矢理に快感を見出させます。

 あっという間に、私はまたイかされました。今度の快感はもっと激しく、まるで筋肉痛の身体を無理矢理動かすような不気味な重さがありました。

 衰えないばちん、ばちん、という絶頂の刺激。それが全く抜けないうちに、ローターが更に快感を私に与えてきます。

 快感が下がらない。上り詰めた絶頂から降りられない。敏感な神経が刺激され、気持ちいいよりも更に上の、焦げ付くようなじりじりとした危うい快感に変わっていく。もっと別の、知らない所へ突き進んでいく。

 

 

 一体、これはいつ終わるのでしょうか?

 ドクターは、私をどこまで壊したいのでしょうか?

 何も分からないままに、私はイって、イって、イかされ続けました。

 数分おきに絶頂し、腰を反り返らせてパンツに愛液を滲ませます。

 ローターの震えは全く収まる事なく、私を快感の頂点から一切下ろしてくれません。

 イく度に、絶頂に感じていた『気持ちいい』という幸せな感情が薄れていきます。

 後に残るのは、ただただ、衝撃。

 気持ちよさなんて残っていないのに、おまんこは快感らしきものを享受して、私をイかせる。

 全身が激しく脈動させる絶頂は、全力疾走よりも激しく身も心も消耗させていく。

 私の余裕は、一気に摩滅していきます。それでもローターは止まりません。

 ドクターは私の肩を抑えつけたまま、石像になったみたいに微動だにしません。

 ぞっと、私はこわくなりました。

 身も心も削られて、別のものになっていく感覚。

 知らない所へ飛んでいくような、未知の恐ろしさ。

 絶頂で身体を激しく脈打たせる度に、まるで私の人間らしさが削られ、もっと原始的な、動物に変わっていくみたいで。

 私は必死に身を捩らせて、ドクターに呼びかけました。「もうやめてください」「きもちよくないです」「知らない感覚が押し寄せてきて怖いです」──自分で聞くことのできない、果たして正しく発音できているかも分からない声で、必死にそう呼びかけました。

 それでもドクターはローターを止めてくれません。懇願している最中に再び快感の濁流が押し寄せて、私の喉がひっくり返るような呻き声を漏らさせました。

 甘さなんて欠片も感じない、『敏感な箇所を刺激される』という、ひたすら鈍重な痛み。絶頂の度に、腰がびっくんと跳ねて、愛液がぷしゃっと吹き出して、脳に焼きごてを押されたような衝撃が走ります。

 あまりの刺激に叫ばずにはいられず、酸素不足の身体がかぁっと発熱しています。

 陸に打ち上げられた魚のように、口を大きく開け広げて、ぜぇぜぇと息を吸い込みます。このまま窒息して死ぬのではないか、とすら思いました。あるいはドクターは、私の死ぬところが見たいのではないか、とも。

 私の世界で、時間を計る手段はありません。

 真っ白な静寂に満ちた世界で、おまんこをじゅくじゅくじゅくじゅくとかき混ぜる暴力的な快感だけが、濁流のように渦巻くのです。

 終わることのない、意識全部を塗り潰して叩き割ってしまうような快楽の渦。

 私は必死にドクターの名前を呼びました。ドクター。ドクター。お願いします、もうやめてくださいドクター。怖い。気持ちよすぎて怖いですドクター。どうしてこんなひどいことをするんですか。あなたは本当に楽しんでいるんですか。どうしてこんなにつらい目に遭わせて、助けようとしてくれないんですか。あなたは本気で私を壊そうとしているんですか。嫌だ、何でもします。お口でもおまんこでもお尻でも使っていいからイかせるのを止めてください。イきたくない嫌ですつらい苦しい怖い怖い怖い怖いもうイきたくない。止めて。止めて。止めて。止めて。止めて。止めて。止めて。止めて──!

 

 

 

 

 

 

 果たして、何十回イった頃でしょうか。

 とうとう私の心は限界を迎え、快楽の前に屈服しました。

 もうやめて! 嫌だ。嫌、嫌ぁぁぁぁ! 頭の中が絶望で満たされて、身体が意識を外れて暴れ回り、革ベルトで拘束された四肢を力任せにがしゃがしゃと暴れさせます。

 開け広げられた喉からは、あ゙ーーーーーー! あ゙ぁーーーーーーーー!! という、とうとう発音すら諦めた、生まれたての赤ん坊のような絶叫を絶え間なく放っていました。振動を続けるローターで絶え間なく絶頂を繰り替えされ、もう絶頂している時とそうでない時の区別すら付けられなくなっていたのです。

 ばちんと音を立てて、脳が焼き切れていくのを感じます。快感が頭をぐちゃぐちゃにしてしまい、もう自分がヒトの形をしているかすら判然としませんでした。おまんこからは愛液が絶え間なく噴き出し、じたじたと悶えさせる私のお尻の下には、シーツで吸いきれなくなった愛液が大きな水たまりを作っています。

 そこに来てドクターの手が、私に触れました。狂人のように頭を振り回して泣き叫ぶ私の頬を撫で、がっくんがっくんと痙攣するお腹を愛おしげにさすります。その手つきは、心から私を愛している人の手つきでした。彼は顔を近づけると、吹き出した汗と撒き散らされた愛液の混じった汗でぐっしょりと濡れたおへそに唇を吸い付け、舌を這わせました。

 それは倒錯的な愛情でした。彼は、私を壊す事で、私を支配しているという充足感を得て、それを以て愛と見なしているのでした。

 このまま、体中の水分も意識も理性も心も魂も何もかも抜け出して、壊れきって死ぬのではないか──心の底からそう思ってしまうほどの、激烈という言葉で表現し尽くせない快楽責め。

 

 

 ローターの振動が収まったのは、とうとう声を出す元気すら失い、廃人のようになりかけた頃の事でした。

 ドクターの手によって、パンツが下ろされます。

 下腹をぐっと押されると、まるでパンパンの水風船のように、おまんこからしょわああ……と愛液が噴き出して、ローターがぽろりと転がり落ちていくのが分かりました。

 ようやく訪れた静寂が嬉しくて、嬉しくて嬉しくて嬉しくて、私はあらゆる体液でぐしゃぐしゃになった顔を更に歪めて、わんわんと泣きました。その頬にドクターの手が添えられて、唇を吸い付かれます。

 快楽責めでショートした頭にとって、唇を割り開いて入ってくるドクターの舌や唾液は、蜂蜜のように甘く感じられました。ドクターが私へ向ける愛情が、味として感じられるみたいでした。潮吹きでカラカラに乾いた身体が、ドクターの唾液と愛で潤っていくのは、涙が出るほど幸せに感じられました。

 そして、快感の余韻にかくかくと震える私の下腹に、熱く固いものが押し当てられます。

 ドクターのおちんちんは、どんな逢瀬の時よりも固く張り詰め、そそり立っていました。

 普通のセックスでさえ、私のおまんこを一杯に埋めて、私を息ができないほど喘がせ、おちんちんしか考えられなくさせてしまう、逞しい怒張。

 それを、イカされ続けてぐずぐずに蕩けたおまんこの中に突き込まれたら──果たして、どうなってしまうのでしょう。

 頬に添えられたドクターの手が、「いい?」と言外に聞いています。そう聞きながらドクターの腰は小刻みに動き、亀頭の先端で、物欲しげに私の下腹を押していました。

 

 

 私は返事の変わりに、四肢を拘束する革ベルトを、軽く引きました。

 ドクターはまず、私の両足を自由にしてくれました。私は、未だ収まらない快感の余韻に痺れる足で、ドクターの腰を抱きました。続いて自由になった両腕も、彼の背中に回し。自分の意志で彼の唇を啄んで、とろりと熱い舌を絡ませます。

 死ぬほど苦しい快楽責めを経た後でも、私の心には、一欠片の憎しみも生まれませんでした。

 ドクターが熱っぽく私を抱きしめ、押し倒し、おまんこの入口に亀頭をあてがいます。私のおまんこは、まるでゼリーのようにぷるぷるとして、何の抵抗感もなく亀頭を飲み込みます。

 私は愛情に満ちたキスを惜しみなくドクターに捧げながら、腰に回した足で挿入を促します。

 心が壊れるほどの恐ろしい絶叫を強いられた人のおちんちんを躊躇なくおまんこに誘って、どうか犯してくれと誘います。

 嫌だと思う気持ちは少しもありませんでした。

 なぜなら、もうじき死ぬ私には、もう彼の愛玩具以上の存在価値はなく。

 彼に愛して貰う以上に生を感じられるものなど、この世界のどこにも存在しないから。

 だから私は、快感にひりつく全身を使って、ドクターにおねだりします。お願いします。犯して下さい。痩せ細ったこの私の身体を愛して使い潰して下さい。未来なんて存在しない私に、苦しみを凌ぐための一時の愛をください。

 ドクターは、私のそんな懇願に、腰を一息に突きだして応えてくれました。

 真っ白な私の世界に襲いかかる、大きなペニスが膣に侵入してくる、ぬじゅるるる……という快感。スイッチを押すみたいに、快楽責めを解かれて弛緩していた脳に、再びバチンっと閃光が迸ります。

 私は挿入と同時にイきました。両足にぎゅっと力を籠めて、ドクターのおちんちんを根元まで飲み込んで、その状態でおまんこをきゅんきゅんと窄ませたのです。その動きは、ドクターに極上の快感を届けたようです。私を抱きしめる彼の腕に、ぎゅっと力が籠もりました。

 何度も何度も絶頂を繰り返して、私のおまんこはほぐれきっています。温かい愛液で満たされたぷにぷにの肉ヒダは、比喩ではなく溶けそうなほど熱く柔らかくなっています。

 そんなえっちな蜜でいっぱいの穴に、おちんちんを漬け込んで。がちがちに張り詰めた竿や亀頭の敏感な表面をおまんこのお肉がなめ回して、ゆったりふわとろ、きゅうきゅう締め付ける。それに、私は彼が腰を一往復するだけで絶頂して、おまんこを窄ませて、熱い愛液をぴゅうぴゅう吹き出しておちんちんをふやかしてしまうのです。

 きっと、世界で一番気持ちの良いおまんこに違いありません。

 そんなおまんこにおちんちんを根元まで抱きしめられたドクターは、もう辛抱たまらないとばかりに、私を思い切り強く抱きしめると、激しく腰を動かし始めました。

 小さなおまんこの穴を埋め尽くす、大きな逞しい怒張。ほぐれきってぷるぷるの肉ヒダが、抽送の度に高いカリ首にじゅるじゅると引っかかれます。

 その息ができなくなるほど苦しい、大きなおちんちんでおまんこを犯されるのは、無機質なローターの快感よりもよっぽど充足感に満ちた、幸せなえっちでした。

 快感に痺れるばかりだったおまんこが、逞しい男の人を感じて、生き物のようにうねるのを感じます。張り詰めた亀頭で奥の方をごつん、ごつんと小突かれるたびに弾ける快感の火花は、花火みたいに綺麗でロマンチックに感じられます。

 子宮口が降りてきておちんちんにちゅうちゅうとキスをして、はしたなく精液を求めていました。私も足をぎゅっと絡みつかせて、ドクターにおねだりします。もっと突いて、もっと犯して。とびきり気持ちよくしますから、私の理性を愛と快楽で浸して染め上げて下さい。そんな風に媚びきった私の雌穴に、ドクターは更に勢いよくおちんちんを突き込んでくれます。

 ドクターは私の頭をボールのように抱きかかえて、全身を使ってベッドに押さえつけると、どちゅどちゅと杭を打ち込むような激しい抽送を繰り返します。とろとろにほぐれきった私のおまんこは、どんな激しい挿入にも全く抵抗を示さず、腰が抜けるような極上の快楽をドクターに提供します。

 

 

 ──私の耳が、ビリビリと震えるのを感じました。

 それは私の頭を抱きしめたドクターが、何かを言う声の振動でした。

 私の名前を呼んでいるのだと……何も聞こえない耳でも、どうしてか確信できました。

 張り詰めたおちんちんを、ほぐれきったおまんこにねっとりと愛撫されて溶かされて。甘い甘いとろけるような刺激に精巣を刺激されて、精液がぎゅんぎゅんとこみ上げてくる。

私の小さな身体を征服して、道具のように扱って、その乱暴な行為を一切否定されない。

 

 

 快楽と性的倒錯。

 暴力とそれに走る己に対する申し訳なさ。

 それらの感情がごちゃまぜになった結果、化学反応のように激しく滾る、私を求めるというひたむきな情愛。

 その一心不乱さが、きっと、彼に私の名前を呼ばせているのです。エイヤフィヤトラ、エイヤフィヤトラ……エイヤフィヤトラ……エイヤフィヤトラ……!

 

 

 ああ、彼の声が聞けたのなら。

 快感に上擦った、切なさ一杯の今にも泣きそうな彼の、私の名前を呼ぶ声が聞けたなら。それはどれほど私の胸を幸福で満たしてくれるのでしょう。

 でも、今の私には──この人生の行き詰まりで、ただ死の恐怖を遠ざけるために愛玩具としての扱いを甘んじている私には──耳の傍をヒクつかせる、その細やかな振動だけても、勿体ないくらいで。

 私は両手両足を使い、ドクターに「もっと」と伝えます。

 裸体を絡めて汗を塗りたくるように身を寄せます。

 唾液でたっぷり濡れた舌で彼の耳を舐り、淫売のように彼を誘います。

 もっと犯して。

 もっと潰して。

 もっと貫いて。

 もっと壊して。

 

 

 

 

 

 

 私を求めて。どんな形でもいいから。

 

 

 

 

 

 

 ああ、これが私です。

 死ぬのが怖くて、顔も名前も知らない男性に股を開いて、けだもののように嬌声を上げる。

 もう赤ちゃんを授かる時間なんて残されていないにも関わらず、一切意味のない生殖行為の快楽に溺れる。

 かつてのロドスの皆さんが見たらどう思うでしょう。きっと、あまりに惨い最期の姿だと、私を哀れむに違いありません。

 ロドスのオペレーター、エイヤフィヤトラから比較した今の私は、さしずめ堕落と退廃を極めた、人生のどん底の落伍者でしょう。

 でも──でもしょうがないのです。

 どん底でも、生きていかなければいけないのです。

 もうじき死ぬ、その『もうじき』までを、耐えなければいけないのです。

 痛くてつらくて苦しくて泣き叫びたいんです。

 何も見えず、何も聞こえない。その凄まじい喪失から、ほんの少しでも目を背けたいのです。

 刻一刻と目減りしていく寿命を悟り、もう何も残す事ができないと考えただけで、気が狂いそうなのです。

 せめて幸せに生きたいと考えて、何がいけないのでしょう。

 こんな、身体中を源石に犯されて痩せ細った、死体一歩手前の私を、女性として愛してくれる──そんな誘惑を、どうして拒むことができるでしょう。

 人が餓えるように。虫が火に引き寄せられるように。溢れた水滴が重力に引かれて大地に落ちるように。

 絶望のどん底の私は、ほんの僅かな救いでも、手を伸ばさずにはいられないのです。

 

 

 ドクターのおちんちんが、おまんこの中で膨らむのを感じました。

 抽送が更に激しく、より必死なものへと変わります。

 私が彼の頬を舐めると、それで私の願いを察したドクターは、私の舌を咥え込み、熱く絡ませ合います。

 沸騰した脳は、もう何がどう気持ちいいかの判断もできません。

 ひょっとしたら、脱水と酸欠で、もうマトモな思考ではなかったのかもしれません。与えられ続けた快感で、とっくに気絶していたのかも。

 ただ、私はその瞬間、死を恐れず、絶望してはいませんでした。それだけで十分、私は幸せと言う事ができるのです。

 唇を押し付け合い、舌を絡ませ合い、おちんちんの根元から、煮え立つような情欲がぐらぐらとこみ上げてくる。

 舌を絡ませ合いながらの口の動きで、ドクターが静かに「いく」と囁いたのが伝わりました。

 だから私は、同じように「だして」と口を動かして、両足で彼の腰を抱き、私の一番奥へと誘います。

 そうして、互いの境目がなくなるくらいに、溶け合って、求め合って、絡まりあって。

 ドクターは腰を突き込み、子宮口にねじ込んだ亀頭の鈴口から、噴水のように大量の精液を、思いっきり吐き出したのでした。

 私の世界に、熱く活力に満ちた液体が流れ込んできます。どくん。どくん。どくん。どくん──びゅくん。びゅく。びゅるる、びゅるるる、びゅう~~~──

 私の子宮を一杯に満たし、体中に染み込んで雌に染め上げる特濃のザーメン。

 真白な静寂に満ちた私の世界が、もっと品の無い、雄臭い白濁に染まっていくのを感じます。

 その退廃的な蹂躙を全身で感じ入りながら、私は彼を抱きしめ、ちゅうちゅうと唇を吸い。絶頂の痙攣に全身をびくんびくんと震わせながら、残された命の時間を甘い甘い陶酔に消耗させるのでした。

 

 

 

 

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