胡蝶しのぶが鬼に襲われた家の生き残りの成人男性が持つマジカルチンポに堕ちて性奴隷になり、蝶屋敷が男のハーレム御殿となるお話 作:さすらいのヒモ
「入ってください」
「はい」
ススス、と音を立てずにふすまが開かれる。
奥から現れてきたのは、『藤色』の奇妙な髪と、『青みがかった』不可思議な瞳を持つ、そんな奇抜さを持ちながらも眉目秀麗としか表現ができる、顔立ちと体つきの整った成人男性であった。
年の頃はしのぶより少し上なのだが、表情が希薄で、さらにはどこか幼さを感じさせる、不思議な──『神秘的』という言葉さえ使いたくなるような男性である。
この成人男性こそが、信濃の山奥で暮らしてきて、鬼によって一族を皆殺しにされてしまった『雲坂三郎』だ。
山村は未だに迷信を信じるものも多い、その不気味な髪色と瞳の色を気味悪がられて『忌み子』として座敷牢で暮らしていたのだろうと初めはしのぶも推測していたのだが、実は、話を聞くと三郎の生い立ちは少々複雑なようである。
三郎は、『忌み子』や『鬼子』と嫌われて座敷牢に閉じ込められていたのではなく、『現人神』となるべく育てられるために畏れとともに座敷牢で生活をしていた『神の子』だというのだ。
三郎が生まれた家のルーツは、平安の時代から伝わる薬師の一族であり、古くから信濃の山奥でしか咲かない花々を原料として薬を、あるいは毒を作り、時の貴人や武将に売ることで財を成してきたのである。
その一族において藤色の髪と青い瞳は吉兆の証、そして、贄の条件だと、三郎はまるで他人事かのように淡々と語っていた。
そんな一族が作り出す薬と毒を、三郎は幼い頃から延々と飲み続けて暮らしていた。
時には死を覚悟するほどの苦しみさえ覚えていたが、そこに疑問を覚えることもないほどに閉塞的な空間、一族が崇める『薬神』と同一化されることを目的として育てられたのである。
「……三郎さん、脱いでください」
「はい」
彼はカナヲと同じだ。
その生い立ちから意思が薄弱で、命令をしなければ行動を取らない。
カナヲに彼の世話をすることで、カナヲが弱まった意思を取り戻す、あるいは前へと進むきっかけになればと思い、しのぶはカナヲに任務の妨げにならない程度の彼の世話を命じたのだが──それが、思いも寄らぬ方向へと事態を引き起こすとは、その時のしのぶは思考の端にさえ浮かばなかったのだ。
「っ……しょっ……!」
「ぅっ!?」
ぼろんっ、と。
しのぶの言葉に従って上衣と下衣を無頓着に脱ぎ捨てた『彼』は、当然、その体の中心にそびえ立つ男の象徴を見せつけてくる。
「っぅっぅ~~!」
しのぶは自身の頬に熱が集まることを嫌でも自覚してしまう。
別に、男根を見たことがないというわけではない。
鬼殺隊の剣士の頂点、『柱』の一人である『蟲柱・胡蝶しのぶ』は医学・薬学に秀でた才女である。
その彼女は剣士たちの体調管理や、四肢の欠損などによって戦場への復帰が難しい者に対する対応なども行っているため、当然、男性の体など幾度となく見てきた。
剣士たちの中には日本人離れした体躯を持つ、それこそしのぶの華奢な体が二つ入るのではと思うような大男への看護なども行った経験だってあるし、もっと言ってしまえば、悪意はなくともしのぶほどの美しい女性に看護をされることで雄としての昂りを覚えて、怒張をいきり立たせてしまった事態だって珍しくはなかった。
そんなしのぶでさえも、思わず息を呑んでしまうほどの威圧感を放っている。
はっきりと言ってしまえば、どこか淫靡な雰囲気を──西洋風に言えば、フェロモンを放っているために、『悪鬼滅殺』という『使命』に己を捧げたことで抑え込んでいたはずの、しのぶの中の『女』を揺さぶってくるのだ。
「それでは、雲坂さん。そ、そこで横になってください。後は、こちらで勝手に行いますので」
「わかりました、よろしくお願いします」
ゴロリ、と。
三郎はなんの疑問も持たず、その部屋に敷かれた布団の上に寝転がっていく。
男根はまだ硬さを保っておらずに、ぶらりと足の間を垂れ下がっているのだが、それでも男性器が小さい者の勃起状態よりも遥かに大きな巨根であった。
ごくり、と。
何度目かになるかもわからないが、しのぶはまた喉を鳴らした。
ドキドキと胸が高鳴り、キュンキュンと下腹部が疼き、ポッと頬に熱が集まっていくことを自覚する。
恐らく、この妖術じみた魅了の力は三郎の体臭に正体があるのだろうとしのぶは当たりをつけていた。
そのため鼻を防いでしまえば効果はあるだろうが、さすがにそれは座敷牢に閉じ込められた二十年近くを過ごしていたこの哀れな男性への非礼が過ぎる。
そのため、少々臭いの強いお香を炊いていたのだが──全く意味がない。
火照る体と暴走しそうになる頭を必死に理性で抑えつけて、しのぶは着衣のまま三郎の下半身へと向かって体を動かしていく。
「んぅ……そ、それでは、シゴきますね……」
「はい、よろしくお願いしま、くぅっ!?」
シコシコ、シコシコ、シコシコッ。
そのまま、剣を握るはずのしのぶの手が男根に伸ばされ、優しく握られながらゆっくりとシゴかれていくではないか。
手淫だ。
いや、そんなことは見ればわかるだろう。
疑問を抱くべきは、なぜ胡蝶しのぶほどの女が、雲坂三郎などという容姿端麗なれども誰とも知らぬ男の肉棒に手淫を行っているのかということだ。
それは、滑稽ながらも驚異的な事実が根底にある。
「どう、ですか……? 痛くはありませんか?」
「あぁっ……さ、最高、です。しのぶさんの手は、とても気持ちいい……!」
「そうですか……な、なるべく我慢はせずに、すぐに射精をしてください、ね」
信濃の山奥で暮らしながら摩訶不思議な生薬を口にして生きてきた、この『三郎の精液』には、とんでもない筋力増強と滋養強壮、ひいては集中力増加の効果を持っていることが判明したのだ。
それは、しのぶが知らぬ間にカナヲが三郎と男女の仲になったことから始まる。
それだけならばなんでもなく、むしろ姉として、師範として、二人の関係を祝福をしただろうが、その後のカナヲの剣士としての能力が眼を見張るほどの上昇を見せたのだ。
それこそ、特異体質である『恋柱・甘露寺蜜璃』に迫るほどの肉体能力と、柱と呼ばれる剣士にも匹敵する高い集中力を維持することが出来る。
修行による技量の伸びも著しく、元々優秀な剣士であったことを差し引いてもカナヲの向上は常軌を逸していると言っても良い。
少なくとも──『鬼を殺す毒』という画期的な発明を用いていないしのぶと比べれば、今のカナヲのほうが剣士としての腕前は上ではないかと感じてしまうほどの実力を得ていたのだ。
「カ、カナヲにも吐精したように、三郎さん、あなたの精液を私にも摂取させてもらいます。効果の程はカナヲが特別だったのか、それとも他の女性にも効果があるのか、場合によっては男性にも働きかけるのか……そういったことを、調べさせてもらいますので」
しのぶはまるで言い訳をするように、いや、事実、言い訳という一面もあるために、少々早口になりながら現在の目的を語っていく。
その最中にも決して手コキを止めることはなく、何も知らぬ者が見ればしのぶもまたこの手淫を楽しんでいるのではないかと思うような、おざなりさなど欠片もない、不慣れながらもしっかりとした手コキであった。
「あぁ……しのぶさん、とても気持ちいいです……」
ビキビキ、と。
その手コキに合わせて、しなびていた男根が固く勃起をしていく。
それは、天を突くような勃起だった。
雄だけが持つ力強さの象徴とも言える動作で、勃起はさらに強さを増していくことで天井に向かっていた男根がさらに反り返って、割れた腹筋に触れそうになるほどの興奮である。
「はぁ……はぁ……っ❤」
その勃起を目にしてしまい吐息が荒くなっていることを、しのぶは気づいているのだろうか。
『全集中の呼吸・常中』を身に着けているしのぶの呼吸が乱れていることなど、それこそ上位の鬼との戦闘以外に起こることはなかった。
その偉業を、三郎という男はチンポを握らせるだけで軽々と達成したのである。
「ふぅぅぅぅ~っ❤ ふぅぅっぅっ~❤」
(な、なんて熱さっ❤ まるで手が火傷してしまうような、まだ未熟だった頃に剣を振り続けていた時に覚えた痛みを思わせる熱さ❤ に、臭いもぉ……臭いも、激しくなるっ❤ 先走りの液が出ているからですか❤ くぅぅ~っ❤ なぜ、彼は妙に落ち着いているんですか❤ 私はこんなにも混乱してしまっているのに、腹立たしくすらあるっ……❤)
シコシコっ、シコシコっ、シコシコシコぉっ!
一方で、しのぶは手を動かす度にどんどんと性的な興奮を強めていってしまう。
手から伝わってくる体熱、刺激を受けることで漂う精臭、それがしのぶの中の女の本能を刺激し、この男の種で孕んでしまえと訴えかけてくるのだ。
性的に責め立てられているのは三郎ではなくしのぶであるかのような光景である。
それをしのぶもまたわかっているがゆえに腹立たしくて仕方がない。
まるで、自分がこの美しい男に媚びて精を乞うているかのように感じてしまい、姉の遺言から慈悲深い聖女のような振る舞いを心がけているものの、元々が勝ち気で強気なしのぶは額に青筋が浮かぶほどの理不尽な怒りを覚えてしまっていた。
「ふぅぅ~~っ! ぅうぅぅっ~~!」
「…………」
だから、唸り声を上げて、ただ性の衝動を治めるように『処女』らしい慣れない手付きでチンポを素早くシゴきあげているしのぶは気づけなかった。
三郎がどこか冷静な目でしのぶを観察しているということと、その目つきが普段の感情の薄いものとは異なり、どこかねっとりとした不気味な熱を帯びて値踏みをするようにジロジロと衣服に身を包んでいるしのぶの体を眺めていることに、しのぶは気づけなかったのである。
「早くっ、射精をしてくださいっ……! ま、まさか楽しんでいるわけでは……い、いえっ! すみません……あなたはそういう人では、ありませんでしたね」
自身の内側から湧き上がってくる性欲を上手く消化できずに、その性欲を起こした原因である三郎へと理不尽な怒りをぶつけそうになるが、そこでグッとこらえる程度の理性はまだ残されていた。
ただ、その瞬間に舌打ちを今にも漏らしそうな、眉をひそめていることにも気づけない程度には、しのぶの脳みそは性欲で霧がかかっているような状態ではあるのだが。
しのぶはそこに注視しないが、これもまた、三郎がこの蝶屋敷で大人しくしていたことも大きいだろう。
ある種の信頼を向けている三郎を前にして、しのぶは目を瞑って大きく呼吸を繰り返すことで昂ぶった意識を鎮めようとしていくのだった。
「ふぅぅぅぅ……すぅぅぅぅぅ、はぁぁぁぁ……! すみません、慣れないことで、少々動揺していたようです。あなたも、緊張しているんですか?」
「は、はい……しのぶさんみたいな綺麗な人に手でしてもらえると思うと、興奮しますが少し落ち着かなくて……すみません」
「いえ、こちらも気を利かすべきでしたね。カナヲを裏切るような形にもなるでしょうし、雲坂さんが普通に射精できないということも、考えておくべきでした」
しのぶは着衣のまま頭を下げる。
三郎は興奮もしている、それは勃起して固くなった男根からして間違いはない。
だが、興奮と同じぐらいの緊張をしているために射精にたどり着くことまでの時間がかかってしまうということだ。
しかも、しのぶの理解の中では恋人関係にあるカナヲとは別の女によって射精に導かれるということは、一種の裏切りとも言えるだろう。
それなのに、こっちの都合を優先してさっさと射精をしろというのは、あまりにも乱暴なやり取りだった。
だから、まずはその緊張や後ろめたさを超える興奮を与えてやらねばならぬと、聡明な頭脳を持つしのぶは当たり前のように考えたのである。
「そ、それでは……これで、どうでしょうか……」
ぽろり、と。
ぶるるんっ、と。
上衣を開けさせて、その胸を露出する。
いや、ただ露出するだけではない。
しのぶが戦闘のために特注で創り上げた『矯正下着』もまたはだけた状態の、まさしく生の乳房が三郎に見せつけられたのである。
「うおぉっ……!?」
思わず、三郎の喉から『素の声』が漏れた。
それほどにしのぶがまろびだした乳房は衝撃的なものだったのである。
大きい。
いや、普段の服越しの胸部から乳房が大きいことはわかりきっていたことだが、しかし、その普段の姿から想定できる想像上の乳房を遥かに超える大きな乳房だった。
そう、しのぶは剣士としての動きを阻害させないため、また、自身の『卑猥すぎるほどに大きな胸』を恥じたことで、その胸を『ぎゅぅぅぅっ!』という音が聞こえそうなほどに強く締め付ける矯正下着を普段遣いしていたのである。
その大きさは、しのぶの小さな顔よりもさらに大きいのではと見間違うほどの大きさだ。
どれだけ自立した立派な男であると気取っても、所詮は根っこの部分で母性を求める幼児性を残している人間が男というものである。
その大多数の男が捨てようとも捨てきれない幼児性を駆り立て、さらには大人だからこそ持つ性欲によって興奮を沸き立たせる、あまりにも魅力的な巨乳──いや、爆乳がしのぶの胸にはぶら下がっていたのだ。
しのぶが筋肉をつけるために採った栄養は、赤い肉とならずに白い肉となって乳房へとついた。
その結果がこの爆乳なのである。
「ぉぉお……こ、これは……! すごく、興奮しますっ……!」
「きゃっ、て、手の中でビクビクと激しく痙攣して……! そ、それでは……再び動かしますね」
シコシコっ、シコシコっ、シコシコっ。
ビクゥ、ビクビクッ、ピクンッ。
しのぶの手コキが再開されるが、そこから生じる興奮は先ほどまでの拙い手コキから生じる興奮とはまさしく雲泥の差があった。
先ほどの手コキは処女らしい拙さと乱暴さだけがあった、それこそ『胡蝶しのぶ』という最上級の美女による手コキであるという情報がなければ、いつまで経っても射精なんて出来ないようなものである。
だが、今の手コキは違う。
手コキ自体は確かに拙いものだが、しのぶが手を『シコシコっ❤』と動かせば、それにツラれるように露出した爆乳が『ぶるんっ❤ ぶるるんっ❤ むちむちぃ、ぶるるぅんっ❤』と卑猥に震えだすのだ。
そんな光景など三郎は見たことが、いや、想像すらもしたことがない。
カナヲというどこか儚さを携えた美少女との性交も三郎の雄の衝動を駆り立てるものだが、しかし、好みで言うならばそのカナヲとの真っ当な性交よりも、清廉潔白を形にしたような胡蝶しのぶが爆乳を卑猥に震わせながら行う手コキのほうが、雄としての本能を昂らせるのだ。
「ふぅぅぅっ、くぅぅっ!」
「……うふふ。どうやら、興奮してもらえたようですね。大丈夫ですよ、これは雲坂さんの精液を利用させてもらうだけの、性行為とはまた違うものなのですから。
我慢なんてせずに、さぁ────」
歯を食いしばって射精を堪えている三郎の姿を見たしのぶは余裕を取り戻したのか、いつものような優しげな、それでいて普段は絶対に見せないどこか色っぽさも含まれた笑みをしのぶは浮かべていく。
そのまま体を前へと倒していき、その露出された爆乳を三郎の胸板へと押し付けるようにして、その赤い唇を三郎の耳元へと持っていった。
そこで、その鈴が鳴る音のような美声で、三郎を誘うのである。
「───射精をしなさいっ❤」
「ぉぉぉっぉおおっっぉぉっ!?!?」
どびゅるるるっ! びゅるるるっ! どぴゅるるるぅぅっぅぅ!
「きゃっ!? こ、これが、射精……! なんて力強いっ……い、いえ、呆けている場合ではありませんね……!」
不意打ちのような色っぽい射精をしろという命令に、三郎は反射的に従ってしまう。
肉棒が激しく蠢動し、睾丸もまたものすごい勢いで収縮をしていく。
肉棒と睾丸の働きはすなわち射精の特徴であるために、その怒張の先端である鈴口から大量の精液が噴き出していき、三郎はそのパックリと割れた見事な腹筋に精液の水たまりを作ってしまったのだ。
その勢いはと問われれば、さしもの胡蝶しのぶも、まるで水盆をひっくり返したような激しさであるために虚を突かれて、本日二度目となる愛らしい悲鳴を短くはあるが出してしまったほどである。
だが、さすがは鬼殺隊が誇る最上位層の剣士、蟲柱だ。
すぐに己を取り戻し、しのぶはその美貌を三郎の腹部に近づけていき──。
「んちゅぅ❤ ちゅるるるっ❤ れろっ、れろれろぉぉぉ~……じゅるるるっ❤」
────なんと、音を立てて啜りだしたのである。
しのぶが乱心したわけではない。
これもまた、しのぶが三郎の体を研究して見つけた、カナヲの体を強靭に変えた精液の特徴なのだ。
まず一つに、この精液は定期的に摂取しなければ肉体の強度は落ちてしまう。
現に、カナヲと三郎に一週間ほどの性行為禁止令を発したところ、カナヲの集中力はもちろんのこと肉体における俊敏性や持久力が目に見て取れるほどに低下したのである。
そして、その次に、精液を摂取するのは射精をしてからすぐではないといけない。
特殊な瓶燗に保管をしてから一日が経ったものをカナヲに摂取させてみせたのだが、常温・低温・高温の全てにおいて肉体強化の力は消え失せてしまっていた。
以上のことから、しのぶも三郎の精液で肉体を強化するために射精した直後の精液に啜りついていったのである。
「ちゅるるうっぅ❤ ちゅぅぅ、ちゅるるるっ❤ んじゅるるるぅぅ❤」
────ただ、それにしては少々しのぶは熱中しすぎているように見える。
それを三郎は息を整えながら見下ろしていくが、そのどこか見下したような視線にしのぶは気付くこともない。
『順調』だった。
(カナヲを見て分かったことだけど、俺の精液には女を発情させる効果がある。中毒性まであると見た。なにせ、『しのぶさん』──いや、『しのぶ』がこんな無様な姿を晒しているんだからな)
雲坂三郎は、感情が希薄な被害者などではない。
神の子として育てられながらも、その過酷で不自由な生活によって、その神にも等しい美しさと逞しさとは対象的に、性根の曲がった人物なのだ。
三郎は自身の男根が普通のものとは大きく異なる、まるで妖術のような不可思議な『女殺し』であるということを知っている。
知識でだけではなく、実際に栗花落カナヲを堕落させることにも成功させているのだから間違いない。
その秘密は、三郎が幼い頃から摂取してきた、いや、させられてきたとある『幻の花』から生み出された生薬にあった。
(あの────『青い彼岸花』のまずい薬を飲み続けた成果か? なんでも、呼吸法を身に着けた剣士の肉体も強化出来るって話だが……まあ、どうでもいいことだ)
『青い彼岸花』
一年のうちに一日だけ、それも長くともわずか数刻ほどの日中の間しか咲くことのない、しかも、年によっては咲くことすらなく終わってしまうこともある『幻の花』と称されている花だ。
薬師であり、いわゆる『植物学者』でもあった三郎の一族でさえも限られた者が数年に一度しか見ることが出来ない神聖なる花の蜜を、三郎は乳離れしたその日に飲まされている。
藤の花咲き乱れる山々と、その山頂でひっそりと咲く青き彼岸花。
それは雲坂の一族の聖地であり聖花であり、その特徴を受け継ぐ『藤色の髪と青き瞳』の子供は神々の使いとされていたのだ。
三郎もまた、その迷信に巻き込まれてしまった。
神の子が『穢れ』を纏ってはいけないと生まれてから一生を座敷牢の中で過ごすこととなり、吐き出してしまいそうなほどの苦い薬と、意識を失いそうになるほどの毒を毎日毎日口にすることとなったのである。
恨み骨髄とはまさしくこのことであるが、しかし、教育とは恐ろしいもので三郎はその生活を当たり前のものとして受け止めてしまってもいた。
自分は一生このまま暮らすのだろう、と。
ただ生きている事自体が土着神への忠義の象徴であるがために生かされて、何も成さずに死ぬのであろう、と。
そう思っていた────そのはずなのに、一族を殺した『鬼』とその鬼をたやすく駆った『剣士』によって、三郎は自由を得た。
ならば、と三郎は思ったのだ。
(しのぶも、カナヲも、俺のものだ。途中で鬼なんて言うものに殺されては溜まったものじゃない。
鬼と戦わせないというのも、その鬼とやらにどこかで襲われる可能性が消えないことを思うと心配だからな……何よりも、ふふふ、俺では手も足も出ない、あの憎ったらしい大旦那に若旦那、へつらい上手の番頭だって殺した鬼を歯牙にもかけない女を侍らすというのも、優越感が凄まじいからな。
そうだ……何も出来ぬままあの小さな世界で死ぬ運命から逃れたのなら、俺は、俺は……俺の好きなように、醜さと穢れに満ちた人生を送ってやるさ)
自由を得たのならば、本当に自由に生きよう。
穢れと言って近づけなかったものを満喫しよう。
この神からも人からも遠い、醜いというのも憚れる穢らわしい獣欲を、あの自分を救ってくれた大恩ある剣士様にぶつける餓鬼に落ちよう。
あの美しく気高い美少女が、自分の足元で跪く姿を見てみよう。
そうと決めた雲坂三郎は、着々と毒牙を蝶屋敷の中で広げていった。
ここはもはや蝶々たちが蜜を吸うきらびやかな『花園』ではない。
美しき蝶々を絡め取る、『蜘蛛の巣』へと変わってしまったのである。