※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝劇 ~ゴーストハーレム~   作:ポチ&タマ

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 沢山の評価ありがとうございます! 同士が多くて嬉しい

 ※一部グロ表現があります。



第12夜 探索パート

 髪の長い女の霊こと恋歌が痴女だったことが発覚し、一戦交え終えて。

 この屋敷に来てから、これで七人の女をゲットしたことになるが、まさか熱愛ラブコールを受けるとは思わなんだ。

 これまでは俺の勢いに呑まれて押し倒され、マジカルチ〇ポによる即落ち二コマという展開だが、自分から誘ってきた奴は初めてだった。

 まあ、押し倒される側も全然イケるけどな! 逆レイプ大好きでござる!

 

「結構フィルムたまってきたね。数えたら百枚超えてたよ」

 

「おー、いい感じで撮れてるな。この調子でカメラマンよろしくな」

 

「んもう。カメラマンになるつもりで着いてきたんじゃないのにー」

 

「とか言いながら、なんだかんだ楽しんでるだろ? 撮影してるとき、メッチャ活き活きしてるぞ」

 

「え、本当? やだ、恥ずかしい……」

 

「よし。もうこの辺りに用はないから、地下に向かうとするか」

 

「うん。……ねぇ、その地下に何があるの? お兄ちゃんは識ってるんだよね? 未来視が出来るんだし」

 

「あー、まあ実物を見た方が早いし、行けばわかるさ」

 

「またそうやってはぐらかす。お兄ちゃんって時々意地悪だよね」

 

「好きな子はイジメたくなるタイプなのよ俺って」

 

「す、好きって……もう、こんな時ばかりホント、ずるいんだから……」

 

 顔を赤らめてモジモジする深紅ちゃん。何度も肌を重ね、今ではエロカメラマンのようなことをさせられているというのに、たまに不意打ちすると初心な反応を見せてくれる。

 こういうところは深雪さんの子だなと思う。もしかしたら八重さんも同じような気質なのかもしれないな。

 弔いの間まで戻り、もう一方の開けていない扉の方へと進むと、荒れ果てた部屋に出た。

 部屋の中央には小さな柱や木板などの残骸がある。その奥には氷室家と思われる家紋が大々的に描かれた両扉があった。

 これも何かしらの仕掛けが施されており、逆五角形の位置に四つの駒と駒と同じ文様が描かれている。恐らくそれぞれの駒を同じ文様の場所に動かすのだろう。四つしかないため、あと一つ屋敷のどこかにあるのだろうが、一々探すのも面倒だ。

 いつものように仕掛け諸共、扉を両断することで無理やり解錠。扉の先は渡り廊下となっている。

 道沿いに進んでいると──。

 

「……っ! お兄ちゃん、何か来るよ!」

 

 深紅ちゃんの言う通り、進行方向から小さな何かがこちらに向かって来ているのが分かった。

 等間隔に設置されている蠟燭の火がその存在を浮き彫りにする。

 女の生首だった。

 

「きゃあああああ!」

 

 火の玉のようにゆらゆらと蛇行しながら近づいてくる生首は深紅ちゃんの悲鳴を聞くと、ニタァと口角を上げた。

 

「なに笑ろてんねん」

 

『──!?』

 

 深紅ちゃんの反応は正しい。今まで出会ってきた幽霊の中でも中々ホラー的な霊だし。唯一ホラー的な幽霊と言ったら首が折れた女の霊こと幸子だけだろう。そりゃ普通の女の子なら生首なんて見たら悲鳴の一つは上げるわな。

 それをコイツは、深紅ちゃんの純粋な反応を見て楽しんだんだ。首だけの分際で愉悦を得やがって!

 

『──っ!』

 

 つい頭に来てしまい、ガシッと顔を鷲掴みにしたのだが、生首は俺の手から逃げようと必死に抵抗している。腕に不可視の力が掛かり骨を折ろうとしてくるが、そんなものでどうこう出来るほど柔ではない。ていうか、やはり念力で浮いてたんだな。

 

「ん?」

 

 脱出できないことを悟ったのか、俺を睨みつけてくる生首。両手でその頭を持ち、色んな角度から眺めてみる。

 コイツは……オナホとして使えるんじゃないか?

 そんな悪魔のような閃きが俺の脳裏をよぎった。

 

「……ふむ」

 

『──!?』

 

「お兄ちゃん? どうしてオチ〇ポ出すの?」

 

 片手で生首の頭を掴んだまま、もう片方の手でズボンのチャックを下ろし、すでに臨戦態勢に入っているマジカルチ〇ポを取り出す。

 眼前で力強く勃起したチ〇コの存在に生首は目を見開き、深紅ちゃんが小さく首を傾げた。

 どうして? 俺のことをよく知っている深紅ちゃんにしては珍しい反応だね。

 

「それはね、深紅ちゃん……」

 

 首の方からチ〇コを挿入!

 

「新しいオナホを使うからだよ」

 

『~~~~っ!』

 

 食道の壁をゴリゴリと擦り上げながら咽頭を超え、先端が生首の口からこんにちはをした。

 

 

 

 1

 

 

 

 生首オナホこと頚子とオナホプレイしながら深紅ちゃんに射精するという、アブノーマルな世界に新たな星を見出してから。

 いつものように頚子をお札に仕舞い、渡り廊下を歩く。

 出口は入口と同じ両扉で、そこにも仕掛けが。

 例の如くバッサリと行き、扉を開くと何やら風景がガラリと変わった。

 未来知識によると【鬼の口】という場所らしい。四角形の大穴が三断層で開いており、最深部には儀式に使うと思われる妙なオブジェクトと、その正面に巨大な門。

 

「しっかり掴まっててな」

 

 深紅ちゃんをお姫様抱っこした俺は上層から一気に飛び降りた。

 もちろん一戸建て程度の高さから飛び降りた程度ではなんともない。難なく着地し、深紅ちゃんを降ろす。

 

「すごいおっきい門……それに、なんだか禍々しい……」

 

「その勘、正解。ここから先は怨念の力が一気に増すからな。ある意味この門が境界線だ」

 

 門の横には何かを掛けるような場所があり、小さな穴が二つ空いている。

 本来は目隠しの儀式で使用する面をここに飾ることで、扉が開く仕組みなのだろう。

 丁度良い。そろそろ深紅ちゃんにも氷室家が代々行ってきた儀式と、それが招いた悲劇を説明することにしよう。

 

「深紅ちゃんにはまだ、この家──氷室家や儀式の話とかしてなかったよな。少し、話しておくか」

 

 この世界には【黄泉】の世界につながる場所がいくつか存在する。黄泉っていうのは、いわゆる冥界──死者の世界である【あの世】のことだ。

 ここ氷室家にもその黄泉の世界に繋がる場所があってな、それがこの地下の先にあるんだ。氷室家に限らず大抵は何らかの方法で封印している。

 氷室家は黄泉と繋がる門、【黄泉の門】を封じるため、裂き縄の儀っていう儀式を行うことで一定期間、門の封印に成功していた。封印が弱まる度に儀式を行い、近年までなんとか門を封じていたんだ。

 

「裂き縄の儀式……それって、確か霧絵さんの時に……」

 

 あぁ、霧絵と出会ったときにその辺の単語を口にしたっけ。霧絵はこの裂き縄の儀に選ばれた巫女で通称、縄の巫女とも呼ばれるんだ。

 そして、肝心の儀式の内容だけどな。ぶっちゃけ生贄だよ。それもメッチャ質の悪い。

 

「生贄……?」

 

 そう。しかも裂き縄の儀を行う前に前提となる儀式があってな、それが目隠し鬼の義。

 

「目隠し鬼の儀……目隠し鬼……真奈美さん?」

 

 察しがいいな。目隠し鬼の儀式は七歳になる氷室家の少女を集めて行われるんだ。簡単に言えば鬼ごっこだよ。自分と相手の人生を賭けたな。

 鬼役の子は、杭のついた仮面を被らされるんだ。仮面を被ると杭は自然と両目を潰し、視力を失う。そうして目隠し鬼になった子が他の女の子たちを捕まえて行くんだ。

 んで、最初に捕まった子は次の目隠し鬼に、最後に捕まった子が縄の巫女となる。

 

「そんな、酷い……」

 

 まだまだこんなもんじゃないぞー。

 捕まった縄の巫女が、裂き縄の義式を行うんだけど。これもえげつなくてな。

 この世に未練を残すと儀式が失敗するという言い伝えがあるから、縄の巫女になった女の子は儀式が行われるまでの十年間、幽閉されるんだよ。

 隔絶することで現世への未練を絶ち、十七歳を迎える日に儀式が執り行われる。

 縄の巫女の手足と首、五か所に縄を括って、それを強く引っ張り、五肢を引きちぎるんだ。そうして出来上がるのが、巫女の血を吸った縄だ。

 現世に未練を残さなくなると、魂は透き通った色をするんだけど、恐らくその魂を宿した縄でないと封印できないんだろうな。

 

「ひどい……それじゃあ、霧絵さんは犠牲になった縄の……」

 

「そう、最後の縄の巫女だ」

 

「最後?」

 

「失敗したんだよ。霧絵は現世に未練を残したんだ」

 

 基本的に座敷牢で生活していた霧絵だが、決められた日に限って牢から中庭に出ることが許されていた。その頃、丁度氷室家に客人としてやって来ていた男性と知り合い、淡い恋心を抱いたんだ。

 だが、そのことは氷室家当主や宮司たちもわかっていた。このままでは未練を残し儀式は失敗してしまうと思った彼らは、その男性を殺害してしまう。もちろん、霧絵には内緒でな。本人には用事が出来て故郷に帰ったと捏造して伝えたらしい。

 だけど、霧絵はうっすらと感づいてしまった。霧絵は仮に恋仲になったとしても、これが運命だと受け入れる気でいたのに。

 自分の運命に想い人を巻き込んでしまったという罪悪感から心が乱れ、現世への未練を断ち切ることができないまま儀式が行われた。

 その結果、封印に失敗して門は開門。あの世の瘴気が氷室家全域に行き渡り、ほとんどの人がその時点で死亡。霊力が強い当主や神官たちは辛うじて即死を免れたが、狂気に侵された当主により生き残りも惨殺。

 そして、霧絵も怨霊と化してしまい、自分が受けた苦しみを味わわせようと屋敷を訪れた人間の五肢を引き千切って惨殺するようになる。

 こうして死んだ人々は浮遊霊や怨霊となった後も、今に至るまで氷室邸の呪縛に苦しみ続けているというわけだ。

 

「…………」

 

「ひどい話だろ。こんな儀式、続く訳ないだろうに」

 

「うん……。私も霧絵さんと同じ立場だったら、絶対未練残すと思う……。もっとお兄ちゃんと生きたいって。運命だからって自分を納得させることなんて、できないよぉ……」

 

 そう言って俺に抱きつき、嗚咽を漏らす深紅ちゃん。俺も彼女の立場なら、きっと未練を断つことなんて出来ないだろう。

 霧絵を封じた札を軽く撫でる。

 想い人を自分が殺してしまったなんて罪悪感を抱いて、本当に優しくて芯の強い女だと改めて感じた。

 そんな良い女を手に入れることが出来たんだ。生前の分に利子つけて、今度は俺が幸せにしてみせる……!

 

「ご、ごめんねお兄ちゃん。服汚れちゃった」

 

「なに、このくらい気にするな。落ち着いたか?」

 

「うん。後でいっぱい、霧絵さんとお話しする」

 

「それはいいな。生前はこんな目に遭い、怨霊生活も長く続いたから、人との触れ合いにも飢えてるだろう。目一杯相手してあげな」

 

「うん……。それじゃあ、その黄泉の門がこの先に?」

 

「そういうこと。なに、心配するな。対策は万全だ」

 

 心配そうな目を向けてくる深紅ちゃんの頭をくしゃりと撫でた俺は、彼女に「俺の背後から一歩も出るなよ」と告げて門の前に。

 背にくっつくほどの距離でぴったりと着いてきているのを確認した俺は、今日何度目かになる強硬手段を用いた。

 納刀状態の雪影を滑らせ、一閃。銀閃が空中を奔り、次の瞬間固く閉ざされていた門が細切れとなった。

 そして、門の奥から次々と無数の手が伸びてくる! さっきから感じていた気配はこれか!

 

「シイイイイイイイィィィィ……!」

 

 制空圏を発動させ、領域に入ってくる腕を次々と切り捨てていく。この手は霧絵に取りついていたそれと同じタイプか。

 十秒ほど斬り続けることようやく、腕は徐々に本数を減らしていき。やがて、最後の一本を斬り落としたところで腕ラッシュは終わった。

 安全を確認してから深紅ちゃんにもう大丈夫だと告げる。

 

「って、深紅ちゃん何してんの?」

 

 ぴったりと背中にくっついていた深紅ちゃんは、いつの間にか二歩ほど離れた距離にいた。手には射影機があり、撮影ポーズをとっている。

 カメラを下げた深紅ちゃんは照れたように頬を赤らめながら言う。

 

「えへへ、お兄ちゃんが戦ってるところ撮ったことなかったなって思って。つい」

 

「……やっぱキミ、主人公だわ」

 

 このクソ度胸があるからこそ、原作において主人公できていたのだと、よく分かったわ……。

 

 

 

 2

 

 

 

 門を抜けた先は洞窟となっており、鳥居が等間隔で建てられていた。穴の大きさは大人が三人横に並べる広さで、高さは約三メートルほど。落石で道が出来ている。

 脇道の一角には宗像良蔵氏と思われる遺体が横たわっており、その手には割れた御神境の欠片が。いらないから放っておくことにしよう。

 

「いいの?」

 

「必要ないからな。宗方氏の弔いはすべてが終わった後にするよ」

 

 道沿いに進んでいくと、三人の幽霊の登場だ。見たところ雑魚の上に男連中でもある。

 こんなところで時間を使っても仕方ないのでサクッと除霊(物理)しようとしたところ、深紅ちゃんに待ったを掛けられた。

 

「私にやらせて。ただ守られるなんて嫌」

 

 幽霊にダメージを与えることができる三七式フィルムをセットした深紅ちゃん。目を見る限り決意は固いようだ。

 まあ、相手は雑魚だし。危なくなったら介入すればいいか。この先、深紅ちゃんも戦わざるを得ない状況が来るかもしれないし。

 

「危なくなったら入るからな」

 

「うん! ありがとうお兄ちゃん」

 

 深紅ちゃんが射影機を使って戦うのはこれが二度目となるが、意外や意外。俺の出る幕はなさそうだ。

 

「……ここ!」

 

『アアアァァアァァァァ……!』

 

 細かく場所を変えることで挟み撃ちなどのリスクを減らし、さらには相手が密集するように線を取っている。三対一という不利をよく理解しているな。

 近くまで迫って来た幽霊にゼロ距離ショットを浴びせ、再び立ち位置を変える。足元にもしっかりと気を配っており、足を狙う幽霊からの攻撃にも飛び退いて対応している。

 いつでも雪影を抜けるように臨戦態勢で戦いを見守っていた俺だが、すぐに鍔から親指を離す嵌めになったのだった。

 

「どうお兄ちゃん。ちゃんと上手く戦えたかな」

 

「あぁ、バッチリだ。正直驚いたよ」

 

「えへへ……これからはお兄ちゃんの相棒として私も頑張るね」

 

 嬉しそうにカメラを構えながら笑顔でそう言う深紅ちゃん。

 うーん、そうきたかー! これはちょっと困ったぞー!

 仕事の面の相棒枠はすでに黒澤怜さんという女性で埋まってるんだが。深紅ちゃんは怜とも顔見知りだし、今度改めて話し合うか。

 

「その話はまた今度しような」

 

 とりあえず、現時点では保留ということで!

 進んでいくにつれて壊れた鳥居が散見するようになり地響きが起こる。どうやら順調に目標地点に近づいているようだ。

 奥まで進むが、道が塞がっていた。天井が崩れてしまったようだ。落石の隙間から通路の先が見える。無理に砂利を退かしたら落盤するかもしれない。

 

「このくらいの穴なら行けるか」

 

 無地の札を一枚取り出し、そこに飛雷神の術に使用するマーキング用の記号を書く。

 それを細長く丸めて筒状にしたら、右手で持ち。それを口元に翳す。

 プッと勢いよく吐き出した酸素はまるで吹き矢のように札を飛ばし、見事向こう側へ!

 後は、札に描いたマーキングの元へ跳べば、壁抜き成功だぜ!

 

「お兄ちゃんだから出来る芸当だよねコレ……」

 

 当然。なにせナルトの世界の術だからな。

 

「……あれ? でも、久世神社の神様も同じような力を持ってるってお母さんが言ってたような」

 

「久世神社?」

 

「あ、ううん。何でもないの」

 

 一瞬怪訝そうな顔を浮かべた深紅ちゃんだが、慌てて首を振るう。

 久世というと俺が通っている大学が久世市にあり、原作零の第三作【刺青の聲】の舞台でもある。【刺青の聲】に向けてガッツリ介入するため、久世大学に入学したのだし。

 もしかしたら未来の俺が何かしたのかもしれないな。どんな未来を進んでいるのかは、まだ情報が届いていないから分からないけど。

 まあいい。今は目の前のことに集中だ。

 

「道が分かれてる……」

 

 深紅ちゃんの言う通り左右に道が続いており、右手側からは強い瘴気を感じる。恐らく右側が【黄泉の門】に通じる道だろう。

 

「ということは、こっちだな」

 

 深紅ちゃんの手を握った俺は制空圏を張りながら、左手側の道を進む。終盤も終盤だし、タイミング的にそろそろ神官の霊とか出てきてもおかしくないだろう。

 氷室家当主と霧絵の他に地味に厄介なのが、神官の霊だ。こいつは裂き縄の儀を執り行う神官たちで、狂った当主の手によって斬首された霊であり、四人もいる。未来知識によると、四人が一塊になったケースはないようだが、ランダムエンカウントになった今では用心するに越したことはない。

 扉を開けると連なった鳥居と、天井から垂れた数々の縄が出迎えた。目視できる範囲に幽霊は居ない。

 警戒しながら歩を進める。結局、この場には神官の霊は居なかったが、代わりに僧が居た。門番をするかのように扉の前で佇んでいたのだ。

 確かこの人、悪霊をどうにかするためにやって来た行者だけど、呪いでやられてしまったんだったか。まさに手本のような、木乃伊取りが木乃伊になるだ。

 左手に数珠を巻いた僧の霊は、頭に被っている笠を少しだけ上げる。その視線が俺へと向き、次いで深紅ちゃんへ。

 そして、僧は深紅ちゃんに視線を向けたまま近づいてきた! 僧の狙いは深紅ちゃんか!

 

『観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是 舎利子──』

 

「幽霊のくせに般若心経唱えてるんじゃない!」

 

 いつものように雪影で斬り捨てようと思ったその時だった。ふとした妙案が浮かんだのは。

 

「深紅ちゃん、ちょっとストップ!」

 

「えっ?」

 

 カメラを構えて援護しようとしてくれていた深紅ちゃんにストップを掛け、一端行動不能にするため【神術・時間停止】──ぶっちゃけザ・ワー〇ドで時間を止める。

 タイムリミットは五秒、インターバルに十秒必要だが、五秒もあれば十分だろう。

 腕を伸ばした状態で静止した僧に近づいた俺は、奴の胸元に手を添えて霊核をハックし、強い想いを送るイメージで霊力を注ぎ込んだ。

 

「……よし、成功!」

 

 幽霊であるため半透明の肉体だった僧だが、今俺の手には生身に触れた感覚があり、向こう側が透けて見えていた肉体は鮮明な色を宿していた。

 霊核から生前の肉体の情報を読み込み、その情報を元に【神術・空間支配】で一から体を構築する。

 事実上の死者蘇生の完成だ!

 

「──ハッ! 拙僧は一体……」

 

「あっ、もう要は済んだので。お疲れ様でした」

 

「……お兄ちゃん? どうしたの、何も見えないよ?」

 

 止まっていた時間が動き出し僧が正気に戻る、のを見て素早く雪影を振るう。幽霊には慣れただろうが、流石に人間が死ぬ瞬間の免疫はないはず。

 深紅ちゃんに気づかれないように手で彼女の目を隠した上で、僧の首を刎ねた。顔を見ればキョトンとしていることから、痛みを感じる間はなかったと思う。

 死者蘇生の貴重な実験台になってくれた霊だ。このまま放置したら怨霊化するし、ちゃんとあの世へ送ってあげよう。

 準星氏を送った時の簡易バージョンで救急如律令した後、死体は【黒の世界】に送っておく。

 

「お兄ちゃん?」

 

「あぁ、ごめんごめん。ちょっと僧の顔が厳つくてな。深紅ちゃんが怖がると思ったから」

 

「もう。そのくらいのことじゃもう怖がらないよ」

 

 可愛く頬を膨らませる深紅ちゃん。

 どうやら勘づかれていないようだ。証拠隠滅ヨシ!

 

「……さて、最後の一人はこの先にいるはずだけど」

 

 改めて、僧が門番のように守っていた扉に向き直る。

 ランダムエンカウントで別のところに居ないでくれよ、と心の中で拝みながら扉を開いた。




 ヒロイン枠じゃないのに、ちゃっかり頚子をお持ち帰り。
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