りめんばぁ♡ぱぁるはぁばぁ 日米ハーフ美幼女は棟梁の娘 作:馬門戒明/輪島ライ
俺は高卒の大工なので女子大生、それも名門の東京音大に通う長身の美女が出会ってくれた時は割と本気でデート詐欺を疑ったが、五十鈴さんは割と庶民の生まれなので俺ぐらいの男の方が付き合いやすいようだった。
五十鈴さんは東京音大でピアノを専攻しているが自分の腕前ではプロのピアニストにはなれないと悟っているらしく、将来は東京音大卒業生の看板を活かして有名な私立中高一貫校の音楽の先生になりたいという。
ノボル君が万が一工事中に怪我しても私が教師やってれば支えてあげられるから、と以前何気なく言ってくれた五十鈴さんに俺は心が温かくなる感じがして、今日は土曜日の昼過ぎに五十鈴さんを棟梁の自宅に招いていた。
「入って、どうぞ」
「わあっ、ここがノボル君がいつもお世話になってる棟梁さんのお
お洒落な丸眼鏡をかけた五十鈴さんは2階建ての家の広い玄関をくぐると美しい木造建築に目を奪われ、芸術の世界で生きている人にはこの家の美しさも自然と分かるのだろうかと思った。
なぜ俺の自宅マンションではなくここに五十鈴さんを招いたかというと五十鈴さんが俺の第二の実家を見てみたいと言ったからで、事前に棟梁に相談するとちょうど工務店の寄り合いで出かけているので好きにくつろいでくれていいと言ってくれた。
今日はえりなも夕方まで塾に行っているはずなのでこの家には他人2人しかいないことになるが、棟梁はそれぐらい俺のことを信頼してくれていた。
リビングに入った五十鈴さんは昔ながらのちゃぶ台と座布団を見て目を輝かせ、俺と並んで座布団に腰掛けた。
「ノボル君っていっつもこのお家で晩ご飯食べてるんでしょ? その時もやっぱりノボル君が作るの?」
「ああ、俺も作るけどこの家にはとても料理上手なレディがいてな。2人で協力して作ることが多いよ」
「へえー、もしかして棟梁さんの奥さんかしら? あれ、でも仏壇に女性の写真が……」
エレインさんの写真が飾られている仏壇に気づいた五十鈴さんに、俺は棟梁の奥さんだったエレインさんが交通事故で既に亡くなっていることを話した。
五十鈴さんは無言で頷くと俺と一緒にエレインさんに手を合わせてくれて、それからはまたリビングで座布団に座って他愛もない話をした。
当たり前ながら棟梁の自宅で五十鈴さんと事に及ぶほど俺は大胆ではなく、今日は2人で何か食べたらカラオケにでも行こうかと話していた。
「ノボル君、そろそろお腹空いてきたけどウーバーイーツで何か頼む? 私美味しいホットケーキのお店を調べてきたの」
「それいいね、じゃあ五十鈴さんオススメのホットケーキを注文して貰おうかな。ええと確かここにアプリが……」
「ただいまー。あ、おにぃちゃん来てたんだ。そこの美人さんは噂の五十鈴さん?」
スマホを開こうとするといつの間にか玄関を上がっていたえりながリビングに入ってきて、五十鈴さんは日米ハーフの美少女であるえりなを見てまたしても目を輝かせた。
「ええそうです、あなたもしかして棟梁さんの娘のえりなちゃん? すっごくかわいい、お母さんによく似てるのね」
「ありがとうございますー。わたしもおにぃちゃんの彼女さんに会えて嬉しいです」
「えりな、今日は塾の授業じゃなかったのか? 夕方まであるって聞いてたけど」
「講師の先生がインフルエンザにかかっちゃって休講になったの。まだ4年生だから振替にはならないんだって。あーお腹空いたなー」
今は13時過ぎだがえりなは校内のコンビニでお弁当を買う前に同じ塾の友達から今日は休講になると聞かされたらしく、俺たちと同じでまだ昼食を取っていないようだった。
「えりなちゃん、今からウーバーイーツでホットケーキを注文するんだけどえりなちゃんもどう? 美味しいお店があるのよ」
「ホットケーキを注文ですか? そんなことしなくても、わたし自分で美味しいのを作れますよ。3人分作るのでそこで待っててください」
「ええっ?」
「そういえばえりなはホットケーキが得意だったな。よし、俺も手伝うよ」
さっさと冷蔵庫を開けて食材を準備し始めたえりなに俺も付いていき、そのままテーブルの上にホットプレートを用意して調理の準備を始めた。
五十鈴さんも手伝いますと言ってくれたがえりなは3人もいるとキッチンが狭くなるのでと言って断り、五十鈴さんが手持ち無沙汰になっている間にホットケーキは焼け始めた。
「やっぱりえりなが作るホットケーキは美味しいな。生地がしっとりとしていて、それでいてベタつかないスッキリした甘さだ。牛乳の代わりにアーモンドミルクを使用したのかな?」
「ふふふ、ありがとうおにぃちゃん。五十鈴さん、このプルーンジャムをつけると美味しいですよー」
「そ、そうね……本当に美味しい……」
えりなが作るいつものホットケーキの美味しさには五十鈴さんも驚いていて、俺はえりなが次々と焼き上げるホットケーキをぱくぱくと口に運んだ。
食べ終わった後はえりなと一緒に食器を食洗機に放り込み、大きくて食洗機に入らないホットプレートやボウルは手洗いで綺麗に洗った。
五十鈴さんからカラオケに行く前に見せたいものがあると言われて、2階の自室に行ったえりなを見送った俺はわくわくしながらリビングに戻った。
「じゃーん、実は私
「おおっ、流石は五十鈴さんだな。もしかすると将来ピアノ教室で働くかもって言ってたもんな。俺なんて英検3級しか持ってないから惚れ惚れしちゃうよ」
「おにぃちゃん、そういえば大事な話があるんだったー。これこれ」
またしてもいつの間にかリビングに入ってきていたえりなは俺と五十鈴さんに見覚えのある形状のスコアシートを差し出した。
そこには英検準1級二次試験合格と書かれていて、えりなは小学4年生にして英検準1級に合格するという快挙を成し遂げたようだった。
「えっ、英検準1級!? えりなちゃん、まだ小学4年生よね……? 準2級でも十分すごいのに……」
「わたし小さい頃から英語は得意なんです。あ、まだ小さいけど幼稚園児の頃って意味です。お母さんのおかげなのかなー」
「流石はえりなだな、五十鈴さんのTOEFLの点数とどっちが高いのかよく分からないけど2人とも本当にすごいよ」
俺は高卒なので全く知らなかったが、どうもこの時の五十鈴さんのTOEFLの点数は英検に換算するとえりなより2回りぐらい低かったらしい。
それからは五十鈴さんと2人で外出することになり、えりなに施錠を任せて玄関を出ると五十鈴さんは俺の方に振り向いた。
「ノボル君、悪いけど私今日はこのまま帰るから」
「えっ!? そんな、一緒にカラオケ行きたかったのに」
「……カラオケ行きたかったら、あの小さくてかわいい女の子と一緒に行ったらどう? 歌も私より上手なんじゃない?」
「まさか五十鈴さんえりなに嫉妬してるの!? えりなは俺の妹みたいなもので……」
「どこが妹よ、あんなの意地悪な
五十鈴さんは俺を怒鳴りつけると早足で立ち去ってしまい、俺は一体自分のどこがいけなかったのだろうと思った。
仕方がないのでえりなをカラオケに誘うとえりなは大喜びでカラオケに付いてきて、流行りのJ-POPで90点台を連発していた。
確か、五十鈴さんは80点台後半で喜んでいたような気がする。