子供ができたがどうしよう
お正月、面倒臭いあれこれを済ませて帰ってくると、空気が変わっていた。
傑だ。傑の様子がなんだかおかしかった。
なんか変に明るくて空元気って感じだし、月を見て考え事をしている事も多い。
後、なんだか俺や硝子にスキンシップが多い。
抱きついた手が震えてて、やけに力が籠ってるのがわかる。
2月3日、傑は家に帰るのだという。
誕生日プレゼントは何がいいか聞いたら、一緒の時間だと言われた。
マジかよ。俺らのこと好きすぎじゃん。
「って、はしゃいでられねーよなぁ」
傑が任務に出ている隙に、俺と硝子と夜蛾センで教室で作戦会議である。
「なんか明らかおかしいだろ、夏油。夜蛾セン、何か聞いてねぇの?」
トラブルに巻き込まれてるなら、なんとかしてやりたい。
「2月から一週間ほど、家庭の事情で休むと聞いているが……」
戸惑いがちに夜蛾センが教えてくれる。
「なんで一週間も?」
「それが話してくれなくてな」
「傑、家に帰るの嫌なのかな」
硝子が心配そうに声をあげる。
「そういや、お正月前に16の誕生日になんか儀式するみたいって言ってなかったか」
「言ってた。成人の儀式だって。一般家庭でもそんなのあるのかなんて思ったけど」
「成人の儀式かぁ。そんな嫌がるのなんて、えっちな奴とか?」
「それこそまさかだろ、御三家でも廃れてきてんのに」
「でもあったのか……」
こうして話していても、どうにもならないとか、本人に聞くべきってのはわかってる。でも、本人に聞こうとするとなんていうか、すごく追い詰められた顔をして、必死で誤魔化そうとするのだ。
あまり追い詰めすぎてもまずいな、と思う程度には。
「そこで、悟。ここに任務がある。2月3日。偶然、傑の家の近くだ」
「サンキュ、夜蛾セン!」
どんな事情があるかはわからないが、傑が困っているなら、傑の両親をぶん殴る事も辞さない。
ということで、迎えた2月2日。
ほんっとーに傑は俺と硝子に一日中ひっついていた。
夜になって硝子が帰って、俺は傑に問いかける。
「お前さー。助けて欲しかったら、助けてって言えよまじで」
ぽんぽんと傑の背を叩く。ぎゅうぎゅうと抱きついてくる腕。
でも傑は何も言わない。
「悟」
「言う気になった?」
「……抱いてくれないか」
「いいぜ」
言いたい事は、もちろん沢山ある。唐突すぎだろとか。男同士じゃんとか。
傑はそれでいいのかとか。どうしてとか。
でも、なんだかすごく追い詰められた様子の傑を拒むなんて考えられなかった。
傑みたいなプライドの高い男が、ようやく口に出してくれた弱み。
額面通りに受け取るほどバカじゃない。
少し驚いて、小さな声で礼を言って、粛々と準備をする傑。
「あのさ。傑を抱くのは全然嫌じゃねぇけど、傑の両親をぶん殴る方向じゃダメなわけ……? なんかえっちな儀式させられるんだろ」
こくりと頷く傑。ポロリと流れる涙。ハァァとため息をついた。
まじかよ。まじか。まじじゃねぇと傑がこんな真似しねぇよな。
「実家と縁切りしねぇ? 傑。そんな泣くほど嫌なら、さ」
「……仕方ないんだ」
そう言って、淡々と体を繋げようとする傑と、優しく交わった。
傑の内部はなんか枝分かれしていて、片方の道は閉じていた。
その閉じた方をこじ開けさせて、中に出す事を傑はねだった。
たっぷり中に出してやると、ようやく傑は安心したようだった。
結腸ではない。それはそれであったからだ。
「なぁ。これは俺の下卑た妄想なんだけど」
「……」
「傑の家って、両性具有とかがたまに生まれて、エッチな事を強制される家系だったりする?」
「……」
マジかよエロげかよ。
「まじで家と縁きって呪専に匿って貰ったら? 俺も協力するぜ」
家の権力を使うのは嫌だが、傑を救う為ならそれぐらいなんでもない。
「それかもう、俺ら付き合ってますって言っちゃう?」
「仕方ないんだよ、悟。世の中、どうにも出来ない事っていくらでもある」
「俺ら2人ならどうにでもなるって。俺ら最強だろ?」
「そう、だね。私も最強だから、頑張るよ」
何を頑張るんだよ。相談してくれよ。
不安でどうしようもなかったが、翌朝、身支度を整えた傑は家へと向かった。
傑からはついてくるなと言われたが、任務なら仕方ないよな。
速攻で任務を片付けた俺は、傑の傑の家に飛び込んだ。
「傑くんの友達でーす! 遊びに来ました!」
入った家は静寂が音を鳴らしそうなほど。
家のどこを探しても、傑の気配はなかった。
「くっそやられた!」
念の為に窓にも協力を頼んでいたのだが、傑が入ってから家から出た人はいないとのこと。
一体何が。
心配してどうにかなりそうになった頃、傑はケロッとした顔で帰ってきた。
俺達は、早速傑の部屋に押しかけた。
「いや、案ずるより産むが易しって言うけど、ほんとに大したことなかったよ。やっぱり私達最強だね」
「「何が!?」」
「私、学校は卒業まで通ってもいいって。その後、海外に行かなきゃなんだけど、相手も優しそうで、なんとかなりそうだよ」
傑はほわほわした顔で言うが、俺の心中は穏やかではない。
「政略結婚でもさせられそうなのか?」
「そんなとこ」
「相手男?」
「……うん。でも卒業まで待ってくれるって。それに向こうも、思ったほど地獄じゃなくて。一年に一回は悟達に会いにきてもいいって話だし」
心底良かったぁって顔である。だが不安しか感じない。
「……一ミクロンも大丈夫じゃなさそうだけど。売り飛ばされるわけ? 男に売り飛ばされるって何」
「あー。えっと、色々事情があってさ。でも大丈夫だったから」
「それを大丈夫って言うなら致命傷も大丈夫だわ」
「あはは。心配させて悪かったよ」
ハァァ。
「次から傑が実家に行く時は俺も行くから」
「え? いいよ別に大丈夫だったし」
「行くから。後、一ヶ月後にちゃんと検査薬使えよ。やればできんだから」
「あ。えっと、その。うん……」
「何の話だ。やな予感しかしねーぞお前ら」
それから余裕を持って一月半。
検査薬はバッチリ陽性を示していた。
硝子と一緒に作戦会議である。
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マシュマロ
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