※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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こちらは二話同時投稿の二話目です。


【126】突発!となりの人命救助!~異世界のお薬を添えて~

 

待って待って・・マジで待って!

 

うっかり「お、俺は何もヤッてねぇっ!」とか明らかに不審者!みたいな台詞が飛び出しちゃいそうなこの状況ってナニ?!!

 

コンビニの帰りで珍しく足にすり寄る懐っこい猫に遭遇して・・

あんまりにもきゃわゆかったもんだからつい、ふりふりと振られる尻尾に誘われるまま追い掛け狭い通路に駆け込んだら・・

 

急にバチンっ!て静電気が弾けた時みたいな音がして、音の方向いたらほぼ真上で万歳状態で浮いてる人影、が?

 

いや、意味解らんて。

 

硬直してガン見してる間にずずずって体が滑ってって、急にどさっと落ちて仰向けのままピクリとも動かないとか。

 

「え、えぇ~・・どゆ事?・・あ、結界か!」

 

意味不明な状況の理由に思い至って、咄嗟に腕輪に視線を落とす。

なんか薄っすら光ってる?のを見たら、逆にちょっと冷静になった。

そんで恐る恐る倒れた人に近づくと、怪我をしている事に気付く。

 

←今ココ。

 

うぇえぇえぇえっ?!

ヤバいっ!怪我してる?!

鼻から上、顔の上半分が血まみれですよ!

 

どどど、どうしよう?!

 

これって私の所為デスか!?前方不注意?!注意力散漫?!

 

咄嗟に上を見上げるが、開いてる窓は無い。

狭い空を背景に、遠い建物の端で動く影など無いかと目を凝らすが、特に怪しい感じはしなかった。

 

この人は落ちて来た、のか?

なんてどうでもよさ気な疑問が湧くが、はっと「通報」の二文字が頭に浮かび、慌てて鞄からスマホを取り出す。

 

「えっと救急車に警察?!先、救急車だよねっ?!」

 

非常事態に震える指でわたわたと番号をタップ、しようとしてギクリと動きを止めた。

 

この人。

 

もしかして息、してなくね?

 

慌てて手の平を口元に、反対の手を首筋に当てて脈を確認・・・

ゆっくりを意識して1、2、3・・10まで数える。

 

その間指に脈が触れる感じは無かった。

 

ど素人だから確実ではないけど、多分、脈があったとしても酷く弱いのだろう。

呼吸も、かざした手の平だけでなく胸の動きを見ていたけど、全く上下しないので本当にアカン状態だと察した。

 

これはヤバい。マジでヤバいっ!

救急車を呼んでも間に合うとはとても・・

 

『直ぐに蘇生しないと――』

 

焦り巡る思考の途中で過った、鞄の中。ガラスの小瓶。

 

「あっ!回復薬!」

 

そう。自分は今、持っているではないか。

超回復を起こす魔法の品・・

 

異世界の薬を。

 

・・逡巡は瞬きの間。

 

友だちが自分の為にとくれた大事な薬だが、目の前で瀕死の状態になった人を放っておけるほど自分は薄情な人間ではなかったらしく、直ぐに使用を決めてスマホを握ったままの手を鞄に突っ込んだ。

 

大丈夫、多分平気!まだ通報してないし、今なら人目もない、なんとかなる!

 

希望的観測の元、スマホを手放し替わりに取り出したのは「赤」と「青」2つの小瓶。

「赤」は軽い怪我、「青」は重症用だから、最初から「青」を選択。

 

「赤」を鞄に戻し、「青」の小瓶の栓になっている蓋をポンッ!と取り、『落ち着け、ゆっくり』と頭の中で繰り返しながら、そっと血にまみれた箇所に垂らしていく・・

 

その時になって漸く傷を直視したけど、あまりの酷さに血の気が引いた。

 

ひぃぃ・・右目の辺りがぐちゃぐちゃだようぅぅ・・

 

ぶるぶると震える手の所為で、垂らした薬が傷の上どころか無事そうな左目にもかかった。

焦って小瓶の傾きを戻し、残った薬の量を確認する。

 

うん、三分の一は残ってる・・かな?多分・・

 

その時、男性の体がビクンッ!と跳ねるように動いて、横を向いて吐血した。

真っ赤な血が、黒いアスファルトを更に色濃く染める。

 

「良かった生きてる!」

 

とりあえず命があった事にほっとして胸を撫で下ろすも、吐血したという事はもしかしたら見えない所も怪我をしているのか?と思い至って気を引き締めた。

 

「大丈夫ですか?!しっかり!」

 

げほっげほっ!と苦しそうに咽た男性だったが、それが落ち着くと普通に呼吸し始めたので今なら大丈夫そうだと残った回復薬を飲ませるべく、後頭部に手を差し入れる。

 

「頭起こしますね!お薬入れますので!飲み込んでください!」

 

飲み込みやすいようにと頭を持ち上げようとしたものの、支えの無い頭は重くグラグラと不安定に揺れるので片手では難しかった。

そこでいったん小瓶を地面に置き、着ていたパーカーを脱いで丸め、簡易の枕を作って頭の下に差し込む。

 

血で汚れたが、そんなの気にしている場合ではないので軽くスルーして、薄く開いている唇の隙間に回復薬を流し込んだ。

 

こくり、と喉が動いた後でまた盛大に咽たが、飲み込めたようなのでもう大丈夫だろうと判断。

実際、血に濡れた目元はあるべき造形を取り戻していたし、呼吸もゆっくりと落ち着いたものになってきた。

汚れてはいるものの、顔色も悪くなさそうだったので、ここにきて漸くほーっと深く息を吐く。

 

「ふぅーー・・マジでびびったぁ~・・心臓止まるかと思ったよぅぅぅ・・」

 

自分のがね。

今更ながら胸がばっくんばっくんしきて、汗がヤバい・・体の震えも止まりません。

 

それでも何とか小瓶を回収して鞄に仕舞い、改めて男性の様子を見てみる。

 

まず血まみれの顔に目が行くけど、うん。外傷は完治したみたい。

 

割とはっきりした顔立ち・・明るい茶髪だけど、40代・・前半、くらい?

横になってて分かり辛かったけど、身長は高そう。

黒地に黄色と赤で柄が入った派手なシャツから伸びる腕はがっしりしてて、けっこう体格も良い。

質の良さ気なスラックスが覆う足の先には、キュッととんがった革靴。

 

手首にはゴツイ腕時計となんか文字の入った数珠。

首元には太めの、たぶん金で出来た喜平のネックレス・・

 

・・・・・アレ?

この人、関わったらダメな人種(タイプ)のお方では?

 

明らかに筋者ですありがとうございました。

 

『って現実逃避してる場合かっ!別の意味でヤヴァイ!どうしよう?!』

 

幸いと言って良いのか、男性はまだ一度も目を開けていない。

つまり目撃はされてない、筈・・たぶん!めいびーっ!

 

呼吸も落ち着いているし、放置しても大丈夫・・・ではないかもだけど!

私も自分の身が一番大事なのでこの後の面倒までは見切れませんっ!

命を助けた分でチャラって事にしてください!

 

静かに立ち上がり、キョドって辺りを見回しながらジリジリと男性から離れ・・

ある程度距離を取ってから一気に駆け出した。

 

自分の身可愛さによる無責任な行動でジクジクと痛む良心を意味のない謝罪で慰めつつ、自宅に向かってひた走る。

 

まぁ、引きオタなんでそんな体力続く筈もなく、人通りのある道に出たら直ぐに歩きになりました。

ぜぇぜぇと息を荒げながら、ぐいと顎を伝う汗をTシャツの袖で拭い・・

 

脱いだパーカーを現場に置いてきてしまった事に気付いて愕然。

 

「やっちゃったぁー・・あ、コンビニの袋も無いし!」

 

しかも良く見たら手も血で汚れてる!

そんな目立つ程じゃないけど、他にも付いてるかも・・・

 

はぁ・・しゃーない。

コンビニまで戻ってお手洗い借りて、買い物もし直そう。

別の道通れば大丈夫でしょ。

 

あーあ。お弁当、めぼしいの残ってるかなぁ・・

 

 

〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

 

 

「なんて事がありまして、青い方を一本消費しちゃいました☆」

 

とまぁ、原稿作業しながら通話なうでござい。

 

『・・・言いたい事は山脈レベルであるんだけど、とりあえずアコが無事で良かったよ・・』

 

『さ、今から反省会&お説教を始めますよ☆』と、言う絶対チベスナのようなジト目であろう親友に観念して「で、ですよねぇ~」と返した。

やらかした自覚はあるけど、人命救助だったんだよぅ・・

そこを前面に押し出して反省の態度を見せれば落とされる雷が少しでも減りませんかね?

 

あ、ハイ。駄目ですか、そうですか・・

 

作業しながらでは失礼なので、結局ビデオ通話にして小一時間正座でお説教というか、『もうちょっと気を付けて生活しましょう』という至極当たり前な注意を受けましたよっと。

 

自主的に正座したけども、序盤で膝から下の感覚ががが・・

小ぽちゃにはアカン姿勢だったみたいです。

自分の体重舐めてましたわ・・・マジ反省したのでもう足崩してよいですか?

 

 

 




最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は金曜日です。
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