※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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お待たせしました。
こちらは二話同時投稿の一話目です。


【127】親友からお誘い!からのぉ~・・おや?

 

親友からの有難~い話をしかと拝聴してぐったり・・

私の為を思って言ってくれてるのが解ってるだけに、「もうその辺で・・」とは言えんかったとです・・

ええ、そらもぅね・・自業自得ですからして・・ははっ(乾いた笑い)

 

てなワケで。正座していた足を崩して10分くらいは仰向けで身動きとれなかったワタクシ。

情けない姿にて猛省ぴっぐなう。ぷぎぎぃ・・

 

『それで、傷治して放置した人ってどんな人だったの?』

 

胸に突き刺さる質問に「うぐっ!」と呻いた後、あの時の光景を振り返り一つずつ特徴を述べていった。

 

「あ~・・うん。男の人で明るめの茶髪で~」

『うん』

「体格良くて多分背も高くって~」

『うんうん』

「・・恰好からして恐らく、ヤの付くお仕事してる人?」

『うんう・・って。はい?今ナンテ?』

 

急に耳が遠くなったらしい親友に、「だから~」と続ける。

 

「ヤの付くご職業だって」

『・・・・マジで?・・え、本当に?確定するくらいあからさまな恰好だったの?』

「そう!そうなの!偏見だとは思うけどすっごいベタな感じでね?黒に赤と黄色の派手なシャツ着てて黒いズボンでとんがった革靴履いてて、極めつけにキンキラなネックレスにゴツイ時計と梵字?の数珠しててさ!もう正しく「絵に描いたような」って感じだったの!」

 

起き上がり、スマホの向こう側に居る親友に身振り手振りを交えて必死に語った。

が、親友は話を聞いていくうちに訝し気な表情を段々と真剣な物へと変化させ、話を聞き終わる頃には苦い薬でも飲んだみたいなしかめっ面に。

 

「あれ?どうかした?」

『・・ごめんアコ。ちょっと確認したい事が出来たから、今日はこのまま解散していいかな?』

「そりゃ全然構わないけど。何かあった?」

『うん。ごめん。今はなんとも言えないんだけど、何か分かったら連絡するから』

「何かよく解らんけど・・わかった。じゃ、オヤスミね?」

『うん。オヤスミ。またね』

「はーい、また~」

 

そう別れを告げるとスマホの通話が切れ、親友の姿も消えて画面はホームへ。

 

何だろ・・珍しく煮え切らない態度だったな。

 

親友の様子に首を傾げつつ、夕食用にと買ってあった冷やしうどんのお弁当を冷蔵庫から取り出す。

 

添えられていたワサビを麺つゆに溶かし、一塊になっているうどんにぶっかけて解しちゅるりと啜った。

 

前の日の晩は冷やし中華で今夜はうどん・・麺続きだけど、まぁいいよね!

暑い夜はワサビが効いた冷たいうどんの喉越しが気持ち良くって最高なんだぜっ!

 

「ごちそうさまっした!さぁ原稿の続きがんばろー!」

 

シンクで容器を軽く濯いでゴミ箱にポイ!したその足で冷蔵庫から紅茶のペットボトルを取り出し、タンブラーに追加して作業机に戻った。

BGMに異世界ケルト系のやつを選んで適当に流しつつ、ペンタブをかしかし動かす。

 

ペン入れは終わってるから、ベタとトーン処理・・うん。

真っ白な線画のみの原稿が、どんどん埋まってくのってやっぱ楽しいですな!

 

こうして順調に作業を進め、良い感じの進捗に鼻歌なんぞ出ていた翌日。

 

昼過ぎに親友から入電!

スチャッ!とスマホを耳に当て、いつものノリで「はーい!アコさんです!」と呑気に答えたら、そのまま数秒無言の時が過ぎる。

『・・アレ?』と思った所で、漸く親友の声が聞こえて来た。

 

『ごめんアコ。今いい?』

「いいよー。どした?」

『えっと、お昼もう食べた?』

「うん、適当に食べたよ」

『そう。それじゃあ・・この後予定ある?なかったらちょっと出て来て欲しいんだけど・・』

「特にないから全然問題ないよー。直ぐ出る?」

『うん。急で悪いんだけど、そうしてくれると助かる、かな?』

「おっけ了解~」

 

親友からの控え目な頼みを二つ返事で了承して、『駅近のカラオケ店に』との指示に「20分で行くよ」と返したら急ぎ支度に取り掛かる。

 

綿素材のゆったりめな長ズボンに、七分袖のだぼっとTシャツと鍔の小さいキャップ。

靴はペタンコのやつを選んで、結界の腕輪は左の二の腕に嵌めて服で隠す。

一応人目の多い場所だからとコンタクトにして、念のために眼鏡はケースで鞄の中に。

その鞄の中には他に財布とスマホと、例の小瓶を2種類ともIN。

 

外に出ても変じゃないくらいにはなったかな?と納得できたら、鞄を肩に掛けて玄関のドアノブを回した。

 

そうして急ぎめで歩くこと暫し、何事もなく駅の近くに到着。

待ち合わせ場所であるカラオケ店へ向かったところ、店の看板横に佇む親友の姿を発見する。

 

どうやら態々表で待っててくれたらしいと、急ぎ駆け寄った。

 

「ごめんアキ、待たせちゃった?」

「ううん。大丈夫。問題ないよ。とりあえず入ろっか?」

「おっけ」

 

すいーっとスライドした自動ドアをくぐり、店内に足を踏み入れると滲んだ汗にガツンとした冷気が効いて、勝手に大きな息が漏れ出た。

 

やっぱクーラーは叡智の極みですわ。涼しい店内最高!

 

久々に訪れた店の内装をきょろりと見回して、自然と記憶に残る風景と比較しながら親友が受付を済ませるのを待つ。

 

その後ろ姿を眺めつつ、ふと親友について思考を巡らせた。

 

人様に聴かせても良いレベルにない私と違い、親友は歌が上手い。

なのでカラオケに来ても、私は専ら聞き役だったりする。

歌うこと自体は嫌いじゃないんだけどね。

親友の歌を聴くのは大好きなんで、全く問題なっしんぐ!

 

さて。この親友ときたら細身で高身長、いくら食べても太らずスレンダー。

服を自作するくらい手先が器用で、そんな衣装に身を包めば黄色い声が響くカッコイイ系美人。

さらに声も良いし歌も上手い。

ちゃんと定職について自立した上で趣味のオタ活も楽しんでいる。

 

欠点らしい欠点と言えばちょっと料理が苦手な事・・くらい?

でも今時料理できないって珍しい事でも無いしね。あまり欠点とは言わないか。

 

思えばこんな高スペックな人が何で私のようなブサぽちゃオタクと親友やってくれてるんだか。

誠、この世は不思議に満ちている。

 

切っ掛けは、必死こいて描いた同人誌を『大ファンですっ!』つって買ってくれて、ガンガン話しかけられて・・

2人で話すのが本当に楽しくて、いつの間にか親友にって感じだったなぁ。

 

そんで私生活でもハチャメチャお世話になって・・

親以外でこんな気兼ねなく話したり、一緒にいて楽な人は初めてで・・

 

本当に得難い存在だよね。

 

てか、今アキに離れられたら自分、生きて行けないと思う。

 

『・・マジで大事にしないとね!』

 

定期的に降って湧く親友への感謝に、今回も心の中で両手を合わせて拝む。

と、その間に受付は終わっていたらしく、「行こう」と促され親友の後ろに付いて歩き出した。

 

番号の振られたドアが両端に並ぶ廊下を進み、一番奥のドアの前で立ち止まる。

 

「ここ?」

「うん、だね。はいどうぞ」

「あ、どもども」

 

親友がドアを押し開け、押さえてくれている間に室内に足を踏み入れ、入り口付近で立ち止まったら邪魔になるからとさっさと奥に進んだ。

途中、くるりと振り返えりつつ声を掛ける。

 

「そう言えば、今日の用事って・・」

 

振り向いた、僅か数歩先に立つ親友。

 

背後に閉じ掛けのドア。

 

そのドアの影から、見知らぬ人物が姿を現す。

 

いや、見(・)知(・)ら(・)ぬ(・)人(・)物(・)で(・)は(・)な(・)い(・)。

 

丸い黒のサングラス。明るい茶髪。ドアより高い背。広い肩幅。

服装こそ違うが、この男は昨日の―

 

思い至った瞬間、咄嗟に親友へと手を伸ばし、手首を掴んで思いきり引いた。

きょとん、と。何が起こったのか分からない様子の親友と入れ替わる形で前に出る。

背後で備え付けのソファに倒れ込む音がしたが、確認する余裕はない。

 

何の手立てもないまま、少しでも親友に意識が向かないようにと身構え、ただ男を睨みつける。

 

男は落ち着いた様子でくっ、とサングラスのブリッジを指先で押し上げ・・

不穏な気配を纏いニタリ、笑みを浮かべた。

 

 

 

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