鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~ 作:もすもす。
グラサン掛けた胡散臭さ全開の中年男性に衝撃的な事を告げられたで候。
『俺ちゃんの「勘」が囁くのさ。「君たちは対」ってね』
『「2人で1つ」ってヤツ!「運命の相手」とか、そういうの!』
以来、常に意識の何処かにアド君の事がチラついて、妙にそわそわとした落ち着かない時を過ごしてたりなんたりして・・
う、うぉぉぉぉぉっ!
嘘だぁ!
確かに、確かにですよ?!
アド君の事は好きさ!人としてねっ?!
優しいし可愛いし気遣い屋さんだし美形だし可愛いしエロいしお金持ちらしいしお姉さん美人だし傍仕えさんは見た目ショタエルフだしっ!
うんっ!好ましい要素しかねぇなっ?!
逆にマイナス要素って何よ?!
え~っと。え~っと・・・・
い、異世界人??・・いや、これは別にマイナスとかではないな・・
翻訳コ○ニャク的な道具があれば会話で困る事はないし。
う~ん・・アド君の嫌なところか・・・・・特に無くね?
まぁ、強いて言うなら直接触れ合えないってのは寂し・・
っっっだぁーーーーーっ!!!!
もう!何想像してんだ私っ!
違うだろっ!そうじゃないっ!!
この気持ちは、感情は、感覚は!
たぶん恋とかじゃないっ!
だって、知らないんだもんよ恋なんて!
映画もアニメも漫画も小説も山ほど観て、読んで、知識だけはあるけどさっ!
年齢(30年)=恋愛経験ナシなキモオタ腐女子だぞ?!
この感覚が恋かそうじゃないかなんて、経験無いのに判断出来るか!!?
それに恋ってあれでしょ?!
胸がぽわぽわ温かくって、世界がキラキラして、感覚も何かふわふわで幸せな感じがするんでしょ?!
でも今の私は、ふわふわキラキラとは程遠い感じですからして。
なんかぐわって熱い塊が湧き起こるような感覚が時折襲ってきて、そん時は右手の小指と薬指が痺れたみたいに末端からビリビリするし、ずっと心臓が跳ねててこれ絶対血圧とか上がってるでしょ。
その所為か胸がきゅぅーーって絞られてるみたいな圧迫感があってもぅキッツイのよ。
マジ脱稿後で良かった。
何やっても心臓が煩いもんだから机に向かっても全然作業に集中出来ないし。
しかも、漫画もアニメも内容が入ってこないから見る気にもなれないの。
でも何もしないで居るのはマジ落ち着かないから、「体動かすか」ってなって、部屋の掃除とかしちゃったりしてさ。
お陰で家の中が近年稀にみるピカピカっぷりっすわ。
つーかさ。
百歩・・いや、一万歩譲ったとして、これが恋ってヤツだったとしてですよ?
次は「じゃあどうする?」ってなるじゃん?
恋愛って相手あってのものなワケだし。
フツーだったら「告白する~」とかって、関係を進めるんだと思うけど・・
ぶっちゃけ、アド君にとってさ。
私からの恋愛感情なんて迷惑以外のナニモノでもなくね?
1、同人描き(フリーター)
2、年増(アド君より絶対7つ以上離れてる)
3、どオタク
4、しかも腐女子
5、ぽちゃ(ややデブ)
6、顔面偏差値平均以下
うん。
これだけマイナス要素が揃ってるのに、アド君に告白なんぞ出来るもんかい。
他人様。いや、アド君は大事な友だちだけど。
その大事な友だちに、迷惑や、嫌な思いはして欲しくないんよね。絶対。
だからま、結論。
「このそわそわ落ち着かない感じはちと辛いものがあるけど・・身の内に納めて耐えようかなって「バカなの?」思って・・て・・」
ぢゅーーーーーーーーーずごごごごごっ!!
お行儀悪く音を立ててグラスを空にした親友は、私が語らされた胸の内に対し不満気なチベスナ顔で「はぁぁぁぁぁぁぁぁ~」とクソでか溜め息を吐くと、ビシッと指を突きつけて言った。
「いい?あのね?まず誰だって初めての恋なんて後から「あれが初恋だったな~」なんて気付くもんだよ」
「そ、そうなの?」
「そ。最初っから「これが、恋?」なんてはっきり自覚する人って少数じゃない?相手の事が「気になるな」とか。「人として好きだな~」ってちょっとした好意がさ、いつの間にか「大好き」になって。気付いた時には恋してる状態になるわけよ」
「あたし個人の意見だけど」と親友はタブレットを引き寄せて追加の飲み物を注文しながら続ける。
「誰だって初めての経験は落ち着かないし不安だと思うよ?でもさ。何事も初めてって、大切なものだと思うわけよ」
「それは・・そう、かな?」
「アコの話を聞いてるとさ、「アド氏に迷惑かけたくない」って言うけど、それってアド氏に「嫌われたくない」つまり「今の関係を悪い方に崩したくない」からだよね?」
「・・・うん」
「「嫌われたくない」のは、「好意がある」からだよね?」
「・・そうだね」
「その「好意」、「好き」って気持ちをさ。アコには大事にして欲しいと思うわけ。諦めたり、押し殺したりするよりさ。前向きに楽しんじゃえば、そっちの方が後悔ないんじゃね?って思うわけ」
「・・後悔・・・」
両手の指先を添えたグラスの氷が、視線の先でカラリと動いて涼やかな音を室内に響かせた。
「そ。アコはさ、後悔なんてもう十分してきたじゃん・・これ以上後悔ゲージなんか溜めないでさ。楽しんだら良いんだよ」
「人生楽しんだもん勝ちってね!」と言う親友に「他人様に迷惑の無い範囲で?」と続くであろう言葉を先回りして答える。
「それは大前提ってやつ!周囲を顧みない人間が幸せになれるわけないんだから!」
「それはそう」
「ねー?。だからさ、アコも貴重な初恋は前向きに楽しんじゃえば?」
「えぇぇ・・うん。でも・・」
「はいはい。「でも」は要らない!そんなモノ丸めてポイだ!まずはその後ろ向きな意識の改革からいってみよう!」
「おーっ!」と片腕を高々と振り上げ、強引に話を進める親友に気圧されて尻込む。
「努力の結果失敗したとしても、その経験は後々自分を助けてくれるんだよ!だからアコもレッツ自分磨き!」
「うえっ?!」
「いい?アコが後ろ向きに考えちゃうのは、自分に自信が持てないからだと思うのよ!」
「えぇ・・単に客観視した結果だと・・」
「しゃらっぷ!これは良い機会だから言うけど、アコは磨けばもっと光るんだって!」
「・・泥団子は光っても所詮は泥だよ?」
首を傾げつつ心の底からの本音を伝えると、親友は「うっわ相変わらず自己評価低っ」とため息を吐いた。
「ん~・・よし。そんじゃ、前みたいに「ちょっとやってみたいけどしてこなかった事」をまたやっていこうよ!」
「あぁ・・永久脱毛した時?」
アキに出会ったばかりの頃だね。
私があんまりにもボロガリで、その時にも「意識改革だ!」とかって、一人じゃ絶対に選ばなかった行動の後押しをしてもらって・・
確かにあの時は自分の嫌いな所が少し減って、少しだけ前向きに考えられるようになったんだよね・・
『アコの親御さんは「好きな事をしなさい」って言ってくれたんでしょ?!ならその言葉を最上位に置かないと!何で嫌いな親戚の言葉なんかに振り回されてんの?!親御さんはアコが苦しむ事なんか絶対望んでないよ!』
そう言って、クソジジイやクズ従妹の言葉に縛られて、両親が残してくれた遺産を頑なに使おうとしなかった私が変わる切っ掛けをくれたのは、目の前にいる親友だった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日です。