鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~ 作:もすもす。
だって、ねぇ。
一度は着てみたいじゃない?
それならさ、恥ずかしくないように。
胸を張って笑えるように、なりたいじゃない?
痩せたら、ちょっとは卑屈な言動もマシになるかもだし。
背筋を伸ばして、堂々とカメラの前に立てたら素敵だよね。
それよりなにより・・
痩せたら・・頑張って、努力して。良い方向に変われたら・・
もしかしたらさ。
アド君が、褒めてくれるかも、なんて。
そんな事を考えたら、なんかスイッチ入ったよね。
や っ て や ん よ ! !
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
え~。そんなこんなで、ウエディングドレスフォトを目標にダイエットを開始した私です。
今まで痩せようとしてこなかったツケを払う羽目になっておりますが、皆様は如何お過ごしでしょうか?
私は甘味が恋しくて堪りません。
うぅ・・お砂糖・・シュガー・・なんでも良いから私に甘味を・・
あと油。
食事内容がガリだった頃に戻ったと言っても過言ではないのではないでしょうか・・
や、健康的で良いとは思いますけどね。
まぁ砂糖と油を完全に断つと速攻で発狂すること請け合いなので、ちょこちょこ摂取してはいたりします。
ドカッと食べ過ぎないように注意して、常に腹六分を心がけておりますれば・・ちょい食べは許して。
満腹になるまで食べないのって、最初は物足りなくてちょっと辛かったけど、3日も経てば慣れるもんだね。
人間の適応能力って凄ぇや。
「そんな訳でダイエット中なので、今日は紅茶だけで」
「あらぁ~そうなの。残念ね・・じゃあ今度低カロリーのケーキを作ってみようかしら?その時は是非、感想を聞かせてね♪」
そう言って、にっこりと微笑む喫茶「
「はい!その時は是非!」とカウンター席から若干前のめりで返答する。
やったぜ!
オネェさまのケーキめっちゃ美味しいから低カロリーでも期待大っ!
ふっふ~っ!楽しみ過ぎるっ!
たまには気晴らしで散歩に出るのも良いものだ♪
依頼された鉱物画のこともあったけどね。
とルンルン気分で紅茶を準備するオネェさまを観察していると、「因みに、どんなケーキがお好み?」と聞かれてつい勢いよく答えた。
「チョコレート系とか大好きです!」
「いいわね~!じゃあ幾つか考えてみるわ♪楽しみにしててね♪」
「はいっ!」
え?元気過ぎてキャラ崩壊?
じゃかしいわ!こちとら美味しい甘味に飢えてんだよ!
毎日のようにアイスだチョコだって食べてたのに、いきなり3日に一度のあず○バーだけで正気が保てるかっ!
へっへっへ。
でもこれでまた楽しみを糧に頑張れるってもんよ・・じゅるり。
脳内で垂れる涎を拭っていると、紅茶が目の前にサーブされてきた。
ふんわり届いた紅茶の心地よい香りに、鼻で深呼吸したいのを我慢して礼を言う。
「ありがとうございます!」
「良かったらミルクをソイミルクにする?そこまで拘らない感じかしら?」
「あ、いえ!出来れば有難く!」
「うふふ♪了解よ~♪」
うっ・・優しく笑うイケオジ尊い・・
てか、オネェさま優しい・・好き・・
今の私は優しくされると即コロのチョロイン並みに弱っているのでして、あまり優しくしないでいただきたい・・
嘘です。めっちゃ頑張ってるんで、めっちゃ甘やかして欲しいです。
なんて気弱な事を考えながら『ソイティー美味ぇ・・』と紅茶に舌鼓を打ち、暫し幸せな余韻に浸る・・
クラシックな弦楽器のBGMが流れる店内に他の客の姿は無く。
喫茶店特有の染みついたコーヒーの匂いの中に、優しい紅茶の香りが混じって行く・・
何だかほんわか幸せな空間に肩の力が抜けて、空気が弛緩する・・
あぁ。なんかすごい落ち着く・・
ほわほわと意識を揺蕩わせていたけど、大事な事を思い出してはっと覚醒。
持ってきたカバンからスケッチブックを取り出してオネェさまに示した。
「あの、鉱物画の下書きを幾つか描いてきたのですが・・」
「あら嬉しい!見ていいの?」
「はい。もっとこんな感じでとか、要望があれば言って頂けると助かります」
「了解よ~♪」
スケッチブックに鉱物や古いガラス瓶を描いてきたので、それをまるっと渡して見てもらう。
勿論新品に描いたので、破廉恥な絵は混じっていない。
・・アド君の時みたいに事故ったら洒落にならないしね。
・・今思えば、私はなんて事をしたんだっ!
あの時はどうかしてたとしか思えない・・
過去の自分のやらかしを思い出してちょっと凹み、沈みそうになる気持ちを誤魔化そうとカップに手を伸ばす。
そこにカウンターの内側でページを捲っていたオネェさまが笑顔で言った。
「どれも素敵ね!特にこれとか、これとか!とても気に入ったわ♪」
「ありがとうございます。変更して欲しいところとかありますか?」
「いいえ!このままで十分よ!あ、でもこっちは水彩でお願いしたいのだけど、良いかしら?」
「大丈夫です。確かに、水彩で淡く仕上げるといい感じになりそうですね」
「うふ。そうでしょ~?」
にこにこ笑顔のオネェさまからスケッチブックを返してもらい、カバンからペンケースを取り出して選んでもらったデッサンの下に希望された内容を書き込んでいく。
「それじゃ、まずはこの1枚を仕上げて持ってきますね」
「えぇ、お願いするわね。とても楽しみだわ!」
「ありがとうございます。ご期待に沿えるよう、精一杯描かせていただきます」
いや~嬉しいね!
ふらっと立ち寄ったのが切っ掛けで、こんな素敵なお店に私の絵が飾られる事になるなんて!
あの時の私マジGJ!
によによと口元を緩め、改めてカップを持ち上げたタイミングでオネェさまが何の気なしに問い掛けた。
「そう言えば頼子ちゃん、また霊力が上がってるみたいだけど、何か特別な修行とかしてるの?」
「っ?!んぐっ!?」
問われた内容を理解した瞬間、飲み込みかけていた紅茶が変な所に入って反射的に咽る。
吐き出す訳にもいかず、無理矢理嚥下してからげっほげっほと咳込んだ。
「あらあら!大丈夫?今お水用意するわね!」
「げほっ!い、いえ。大丈夫です」
若干涙目で『気遣い無用』と片手を上げて伝えながらも、思考は高速で巡る。
マジか?!
霊力の増減って見ただけで分かるもんなのか?!
えぇそうです!
ここのところ頻度が上がっておりますっ!
いやね?
元々性欲強い方ではありますけれども、異世界のアダルティなオモチャがですね。
存外に良くてですね。特に最近はダイエットによる空腹を紛らわせるのに使用回数が多くなってたりしておりまして。
「三大欲求は三大欲求で打ち消すんだよぉ!」みたいな。
結果。異世界グッズで連日自家発電したことにより魔力(多分こっちで言う霊力?的なモノ)がそれはもうモリモリっと上がったのだと思われます!
そんなアレな理由をどう伝えたものかと思案しながら視線を上げると、オネェさまは心配そうに言った。
「急に質問してごめんなさいね?無理に聞くつもりは無いから、秘密なら秘密のままで大丈夫よ」
「え、あ~・・ありがとう、ございます」
話の流れに任せてぺこりと頭を下げ、居た堪れなさもあって顔を伏せる。
言 え る か !!
霊力上がった理由が「異世界の道具でオナったから」なんて!
しかも初心者用は卒業して次の段階のモノに進んでますのことよ!
アド君のお姉さまから遮音の道具もお借りしたので音とか色々配慮しなくて済むようになっちゃったらアレやコレなタガが外れてもう本当に色々ヤバいですわありがとうございます!!
この年齢になってもまだ自己開発とか出来ちゃうんですねびっくり!
知れて嬉しいような知りたくなかったようなっ!!
嘘です作品のネタにもなるし大変ありがたいです!
やっぱり実体験が伴うと内容の密度とか説得力とかががががががっ!
下ろしたカップがソーサーに当たってカチャカチャと鳴る程、小刻みに震える私は見事な挙動不審っぷりで傍から見たら不審者丸出し!
おっと。オネェさま。大丈夫です。大丈夫です。
寒い訳じゃないので空調の温度を上げてくれなくても大丈夫です!
いやいや、心配事とかも今は特には!
あ゛ーっ!ヤメテー!
気遣いのお菓子とか有難いけどその優しさは今は過剰ですのことヨ!
今めっちゃ居た堪れないのでもうそこら辺でご勘弁を!
なんか色々ゴメンナサイっっ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日の予定です。