鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~ 作:もすもす。
小さく言葉を交わし合う、さわさわと静かに騒めく
その人魚らのまとめ役であるセレーネは腕を組み、気だるげな様子でカルセに言った。
「それで~?わちらの持つ
「はい。わたくしの全てを持って可能な限りの対価をお支払いいたします。ですのでどうか貴女方の持つ「魔法薬」の原液をお譲り頂けませんでしょうか?」
深く腰を折り、頭を下げて懇願するカルセを見下ろすセレーネは、咥えた細長い巻煙草をぷらぷらと揺り動かし考え込んだ様子を見せ・・
少しして「いいよ~」とカルセの願いを承諾した。
「あんたの主であるあの兄さんにわちらは命を救われてるからね~。対価もいらないさ持っていきな~」
そう言って、腰に巻いたベルトに吊るされた袋から小瓶を取り出しカルセに渡す。
「感謝致します」
「いいよいいよ~。次があればその時はきちんと対価をもらうさ~」
ひらりと水かきのある手を振って「行け」と示したセレーネに、再度頭を下げたカルセは自らの影に身を沈め消えた。
半精霊の魔法で移動したカルセを見送り、そのまま視線を落としたセレーネはぼそりと呟く。
「でも~もったいないね~。もったいない・・水のけはいにみちた子種・・ゆっくりじっくり、味わいたかったね~」
くすくすくすと笑い騒めく仲間に向き直り、その輪に加わりながら性に奔放な人魚らしく上唇をぺろりと舐めあげた。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
「魔法薬、譲り受けて来ました!」
「よくやった!」
暗い影から飛び出したカルセの報告に、貴族はパン!と手を打って称える。
「直ちに服用させますか?!」
「いや、まずは移動だ!外の魔力吸収に設定したままの魔術陣の上に殿下を!」
「分かりました!」と応えたカルセは回復薬により髪色の戻った主の姿を人目に晒さぬようにと、体を覆っている布を引き上げて口元だけを露出させ抱え上げた。
周囲を覆っていた壁の一部が開き半精霊が灯す強い明りの下へカルセが飛び出すと、アドを心配して集まっていた者達がその勢いに圧されて道を空ける。
皆の視線を集めたまま、カルセは横たわる水竜の躯に程近い一際大きな魔術陣へ辿り着くとその中心で主をそっと下ろした。
「アド様。お辛いでしょうが、耐えてください」
小さく声を掛け「失礼します」と一言断ると、カルセは微かに開いている主の口元で小瓶を傾けた。
人魚から譲り受けた魔法薬。
服用すれば、人魚の種役が数日で息絶えてしまう程の劇薬。
人魚の唾液から精製された、強力な精力剤。
「精液を過剰に作らせる魔法薬」が、アドの喉元を滑り落ちてその体内に取り込まれる。
元より、日頃から体内の魔力排出に自慰を用いていた所為もあったのだろう。
効果は劇的だった。
「が、あ゛ぁああああああっ!!」
横たえられたアドの体がビクリと大きく跳ね、咆哮のような悲鳴が上がる。
周囲の者達に聴かれたくないだろうと、カルセは直ぐに遮音の結界を半精霊に展開させた。
同時に、触れれば強すぎる刺激となり主の負担が増す為その身を離す。
精に乗り、体外に排出された濃厚な魔力を施された魔術陣によって「吸収」した布が、もう一方の「拡散」の魔術陣によって洞窟内の地面に刻まれた古の魔術陣にアドの魔力を行き渡らせていく。
「アド様・・どうか堪えてください!」
傍で見守る事しか出来ないカルセは、どこまでも付き纏う己の無力感に両拳を強く握りしめた。
唯一晒されたアドの口がはくはくと動き体が跳ねる度、魔力を吸収した魔術陣に強い光が波紋のように広がる。
幾度も幾度も走る光。
そうして既に水竜の魔力を吸収していた魔術陣にアドの魔力が無理矢理に供給されると、溢れ出た魔力は本来の流れを逆に辿った。
波状に光が走る度、1つ。また1つと点在する魔力結晶に光が灯り出す。
とうとう最後の結晶に光が生まれた時、魔力の過剰供給により魔力が溜まり始めた結晶が強く輝き出した。
場の者達が只ならぬ気配に辺りを見回した時には、状況は引き返せない所まで進んでいる。
「こ、古代の魔術陣が
貴族が告げた明らかな異常事態に、主を避難させようと手を伸ばしかけたカルセは、強烈な光の奔流に咄嗟に腕を上げて眼を庇った。
結果、その行動が決定的な別離を招く。
「アド様?!」
悲鳴に近いカルセの呼び掛けは消えゆく光の残滓に虚しく溶け、再び視界が正常に戻った時・・絶望の底へと、突き落とす。
「アド、様?・・」
無意識に零れた呼び声に答える筈の主の姿はそこに無く。
影も形も残さずに、魔術陣の上から消え失せていたのだった。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
苦痛しか感じない世界で、これ以上魔力を取り込む事だけを拒絶して痛みに耐える。
体内でうねり暴れる魔力を操作することも出来ず、ただ自然と抜けていくに任せた。
周りの音は耳に届くも、その中身を思考して判断する余裕は無く。
忙しなく動く眼鏡貴族や傍仕えの気配だけを支えに、意識だけは落とさぬようにと努めた。
やがて幾分か魔力が減り、僅かに周囲を窺う余力が生まれそうになった頃。
何やらぬるりと甘苦い液体が、乾ききった喉を滑り落ちて来た。
反射的にこくりと飲み下して一呼吸すると、ぐんっと熱が腹の下辺りに生まれ、そこ目掛けて魔力が集い凝る!
ばちんっ!と、覆い隠された布の下で見開いた眼前に、火花が散るような感覚。
「が、あ゛ぁああああああっ!!」
快感など皆無の、強制的な発情に伴って無理矢理に精が排出された。
一瞬遅れて背筋に悪寒にも似た感覚が走り、体が急激に熱を孕む。
「あっ!ぐ、ひぃ。ひっ!あ゛っ!」
抑える余裕は無く、勝手に溢れ出る声の合間に必死で空気を求め喘いだ。
無意識に跳ねる身体。
服が肌に擦れるその刺激だけで次々と爆ぜ出る精。
苦痛と似て非なる辛さに、命を削られる危機感を覚えて恐怖する。
し、ぬ・・死んでしまう・・こんな、こんなふうに命尽きる、など!
『いやだ、嫌だ!私は、アヤに・・生きて彼女の元へ、絶対に!』
強く、強く。彼女に会いたいと希う。
「あや、アヤっ!!」
布に巻かれ自由にならぬ腕の先。
激しく明滅する視界の中で掻き抱いた二の腕を強く握り・・
有らん限りの想いを乗せ、彼女の名を呼び叫んだ。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
あ゛~。気持ちい・・イくっ。いくいくいくっ!
ごっ!ごっ!と打ち付ける内側からの刺激に目の前がチカチカして、色々と漏れ出るに任せて絶頂の波に乗る。
「お゛っ!ほぉ゛っ、お゛ーっ!!」
快感を逃がそうと、腰の横で握り込んだシーツを強く引き絞った。
ぴんと伸びた足先に向かって、太腿の外側からびりびりと悦楽を伴う痺れが走る。
暫しびくびくと震えた両足が重力に引かれてベッドの上に落ちると、波が引くように落ち着いていく余韻に少しばかり微睡んだ。
落ちそうになる意識を蹴り飛ばして励ましつつ、足の間から異世界のアダルトグッズを引き出す。
その後は手慣れたもので、魔力を再吸収したら起き上がって洗浄を発動っと。
「今日も今日とてはっちゃけましたわ~」
綾小路頼子30歳。
すっかり肌寒くなった秋空の下でも毎日!元気に!ヤっておりますっ!
現在体重も順調に落ちてきておりまして、今の所最大値からマイナス5キロ!
げひひ。この調子ですっきりボディになってくれるわっ!
「ま、5キロくらいじゃ見た目あんま変化ないんだけど、ね~」
なんて。ぼりぼりと後頭部を掻きながら独り言ちて、ベッドの横に置いた遮音の魔道具へと手を伸ばした。
瞬間。
唐突に。
何の前触れもなく。
背後でどざっ!と結構な質量が落ちた音がして飛び上がる。
「ぎゃっ!」と乙女にあるまじき悲鳴を上げ、『何事か?!』と反射的に音の方を振り向いた。
それは、ベッドの足元。
見覚えの無い、薄茶色に変な幾何学模様が書かれた布の塊として、存在していた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の投稿は月曜日の予定です。